住宅ローンの収益 リスク管理 平成 25 年 6 月 11 日 横浜銀行 リスク統括部
目次 1. 住宅ローンを取り巻く現状 2. 住宅ローンの収益管理 3.PDモデルの構築 4. プリペイメントモデルの構築 5. 金利 6. 生涯収益シミュレーション 7. 期間収益シミュレーションション 8. 今後の課題 1
1. 住宅ローンを取り巻く現状 住宅ローン市場の飽和 近年の民間金融機関は 営業の最重要課題として住宅ローンに注力 その結果 融資残高は増大している しかし これは 制度変更に伴い これまで公的金融機関が貸し出していた分を振り替えているからで 住宅ローン市場が拡大しているわけではない 住宅ローンをめぐる金融機関の競争は激化の一途を辿り 金利は変動 固定とも大幅に低下している 住宅ローン残高 金利 2 18 16 公的金融機関 ( 左軸 ) 民間金融機関 ( 左軸 ) 変動金利 ( 右軸 ) 当初 1 年固定 ( 右軸 ) 3.5% 3.% 住宅ローン残高単位 : 兆円 14 12 1 8 6 4 2.5% 2.% 1.5% 住宅ローン金金利 2 197 79 198 8 198 81 198 82 198 83 198 84 198 85 198 86 198 87 198 88 198 89 199 9 199 91 199 92 199 93 199 94 199 95 199 96 199 97 199 98 199 99 2 2 1 2 2 2 3 2 4 2 5 2 6 2 7 2 8 2 9 21 21 1 資料出所住宅ローン残高 : 日本銀行 資金循環統計 住宅ローン金利 : 日本金融通信社 ニッキンレポート 大手行と地域銀行の実行金利 ( 店頭金利 - 優遇金利 ) の単純平均値 1.% 2
2. 住宅ローンの収益管理 住宅ローンの特徴の整理 残高が大きく残存期間が長いため時間軸も含めてリスクにさらされている残高が非常に大きい 初期与信時以外の債務者の情報が少なく取得が難しい PD の期間構造 プリペイメントの期間構造など時間軸の特性を把握した生涯収益評価が重要となる PD の期間構造イメージ プリペイメント ( 金額ベース ) の期間構造イメージ 全部繰上返済確率一部繰上返済確率 PD D CP PR 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112131415161718192 経過年数 12 24 36 48 6 72 84 96 18 12 経過月数 PD の期間構造 プリペイメントの期間構造を考慮した収益 リスク管理が重要となっている 3
2. 住宅ローンの収益管理 住宅ローン生涯収益評価フレームワークの概要 住宅ローンの生涯収益の不確実性要因 (PD やプリペイメントなど ) についてモデル化を行い 生涯の支出 収入に着目し債権ごとの採算性を把握 PD LGD PDプール区分別のPDの期間構造のモデル化 デフォルト債権の回収も評価 プリペイメント債権特性に応じた全部繰上返済 一部繰上返済モデルの構築 全部繰上返済確率一部繰上返済確率 金利将来金利 債務者の将来の金利選択の考慮 1% 9% 8% 7% PD CPR 選択割合 6% 5% 4% 変動固定 3 年固定 5 年固定 1 年以上 3% 2% 1% % 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 12 24 36 48 6 72 84 96 18 12 経過月数 271 273 275 277 279 2711 281 283 285 287 289 2811 291 293 295 297 299 2911 211 213 215 217 219 2111 2111 2113 2115 2117 2119 21111 2121 2123 信用リスクプリペイメントリスク金利要因 住宅ローンの収益評価 収入 経過時間 住宅ローン債権の経年効果を考慮し住宅ローン債権単位 月次単位でキャッシュフローを評価し 生涯収益の観点から評価を行う 支出 収入 支出 4
3.PD モデルの構築 経過年別 PD の算出 住宅ローンの特性として実行からの経過時間とともに PD の上昇が一般的に観測される 過去の実績データから実行からの経過年別 PD を算出し PD の期間構造を認識 経過年別期初非デフォルト債権数イメージ経過年別期中デフォルト債権数イメージ経過年別 PD イメージ 期初非デフ ォルト債権数 期中デフォルルト債権数 PD D 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 実行から経過期間が長くなるにつれて債権数は少なっていく 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 デフォルト債権数は一定のピークを持つ構造 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 PD は経過年とともに上昇 5
3.PD モデルの構築 経過年別 PD の算出 住宅ローンの特性として実行からの経過時間とともに PD の上昇が一般的に観測される 過去の実績データから実行からの経過年別 PD を算出し PD の期間構造を認識 経過年別 PDの評価基準年による違いイメージ経過年別 PDの実行年度による違いイメージ経過年別 PDの信用度による違いイメージ P 2 年度実行 PDの高い実行年度 21 年度実行 22 年度実行 23 年度実行 D24 年度実行 25 年度実行 26 年度実行 27 年度実行 28 年度実行 29 年度実行 21 年度実行 211 年度実行 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数経過年数 293 信用度低 D PD D PD 信用度高 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 29 年 3 月基準の経過年別 PD は全体的に高い ( リーマンショック ) 等 特定の実行年度は推進スタンスなど信用度の高い先は実行からの経過の変更等でPDが常に高い特徴がみ時間が経っても PDは大きく上昇しられることがある ないが 信用度の低い先は 実行当初から経過時間とともに大きく上昇する特徴がある 6
3.PD モデルの構築 PD モデルの概要 PD のモデル化には Cox 比例ハザードモデルを使用 債務者の信用度に影響する変数を検討し 実務的な観点 統計的な検証を実施 信用度の指標としてPDプール区分を変数として採用 PD の期間構造モデル化結果イメージ 信用度の低いプール区分 PD ベースライン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 信用度の高い先は実行からの経過時間が経っても PD が上昇せず 信用度の低い先ほどPDの上昇が大きくなる特徴をもったモデルを構築 信用度の高いプール区分 7
4. プリペイメントモデルの構築 プリペイメントについて プリペイメントは大きく分けて 全部繰上返済と一部繰上返済に分けることができる プリペイメントによって将来受け取れるであろう金利収入が減ってしまうリスクも存在するがイメントによって将来受け取れるであろう金利収入が減ってしまうリスクも存在するが プリペイメントは 将来の信用リスク減少にも関わるため 一概にプリペイメントによって収益が悪化するとは言えない 全部繰上返済は 他行肩代わりや退職金などによる返済 一部繰上返済は余剰資金による返済が考えられる プリペイメントに影響があると考えられる代表的な変数は以下の通り プリペイメントに影響があると考えられる一般的な変数例 項目名全繰一繰内容 固定特約 固定特約期間満了前後に繰上返済が増加 残存期間 残存期間が短くなると全部繰上返済が増加 債権特性適用金利 金利水準が高い場合全部繰上返済が増加 金利種類 固定期間中の繰上返済が増加 支払月 住宅ローン減税などの季節性要因 市場環境金利感応度 市場金利との差 PDプール区分 信用度が高い債務者ほど一部繰上返済が増加 債務者特性 返済比率 返済比率が低い債務者ほど一部繰上返済が増加 年齢 退職時繰上返済の増加 給与振込の有無 給与振込がある先ほど一部繰上返済が増加 預かり資産残高 預かり資産残高が多いほど繰上返済が多い 他借入の有無 他の借入がある場合一部繰上返済が減少 8
4. プリペイメントモデルの構築 プリペイメントモデルの概要 全部繰上返済と一部繰上返済は特性が異なるため個別にモデル化 プリペイメントのモデル化にもイメントのモデル化にも Cox 比例ハザードモデルを使用ドモデルを使用 実務的な観点 統計的な検証を実施し変数を決定 シミュレーション時に個別債権ごとのキャッシュフローへ反映 全部繰上返済モデル信用度別 CPR イメージ 信用度高 一部繰上返済モデル信用度別繰上返済率イメージ 信用度低 CPR 信用度高 CPR 12 24 36 48 6 72 84 96 18 12 経過月数 信用度低 12 24 36 48 6 72 84 96 18 12 経過月数 信用度別のCPRを描くと全部繰上返済は信用度の差による高低の差が小さい これは他行との競争が激しくどの属性からも他行肩代わりが発生していることを表す 一部繰上返済は信用度の高い先ほど繰上返済が行われる特性が見られ 全部繰上返済と比較すると信用度の差による高低の差は大きい 9
5. 金利 将来の金利選択 固定金利債権の場合 固定期間満了時に金利選択が行われる 現時点では 固定期間満了後に変動債権となるケ固定期間満了後に変動債権となるケースが多いがスが多いが 将来の金利情勢次第では再び固定化する割合が増える可能性がある また選択された固定期間によっては将来の金利収入や調達コストが変化するため生涯収益に少なからず影響がある 現在固定期間将来固定期間 固定期間満了後の金利選択集計イメージ 固定 1 年変動金利 1% 9% 固定 3 年 8% 7% 固定 5 年 6% 変動 5% 固定 5 年 固定 3 年 4% 固定 1 年以上 3% 選択割割合 固定 1 年固定 15 年 固定 2 年 2% 固定 ( 旧 ) 固定 ( 新 ) 経過時間 1% % 1 271 273 275 277 279 2711 281 283 285 287 289 2811 291 293 295 297 299 2911 211 213 215 217 219 2111 2111 2113 2115 2117 2119 21111 2121 2123
6. 生涯収益シミュレーション 収支項目の整理 住宅ローンの収支は 保証会社を含む銀行グループ全体の収入 支出を明らかにしシミュレーションに反映する 銀行グループ ( 銀行 + 保証会社 ) 銀行 収入 約定返済金利 保証料 団信保険料配当 手数料 支出 調達コスト 保証料 銀行経費 団信保険料 信用コスト 収入 保証料 手数料 保証会社 支出 信用コスト 保証会社経費 (LGDに含む) 青字部分を考慮 保険会社 債務者 団信保険 約定返済金利 団信料上乗せ ( 一部商品 ) 保証料 11
6. 生涯収益シミュレーション シミュレーション シミュレーションでは以下の項目を将来の経過月別に変更可能 環境の変化に柔軟に対応可能としている 番号項目名内容 1 対象債権 2 PDモデル 個々の債権について経過年別のPDを適用可 年に1 度パラメータの再推定と検証 3 LGD メインシナリオは共通 LGD 4 全部繰上返済モデル 個々の債権について経過月別の繰上返済確率を適用可 年に1 度パラメータの再推定と検証 5 一部繰上返済モデル 個々の債権について経過月別の繰上返済確率を適用可 年に1 度パラメータの再推定と検証 1 回あたりの期待一部繰上返済 6 金額 残存金額に依存して決定されると仮定 7 将来の金利選択 メインシナリオは固定期間満了後は変動債権 8 将来の基準金利 メインシナリオは現在の基準金利継続 9 将来の優遇幅 メインシナリオは現在の優遇幅継続 1 将来の調達金利 メインシナリオは現在の調達金利継続 11 将来の経費 メインシナリオは現在の経費率継続 12 将来の団信保険料 メインシナリオは現在の団信保険料継続 12
1, 6. 生涯収益シミュレーション シミュレーションにあたっての前提条件 シミュレーションは 1 債権単位でキャッシュフローを月次で評価 1 債権ごとの期待デフォルトや期待全繰 一繰を考慮繰を考慮 デフォルトやプリペイメントによるキャッシュフローの変化 デフォルト プリペイメント考慮なしデフォルトのみ考慮デフォルト 全繰考慮デフォルト 全繰 一繰考慮 1, 1, 1, 一繰全繰金利約定返済元本 7, 7, 7, 6, 5, CF 6, 6, 金利 5, 5, 全繰 CF CF 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 一繰一繰一繰全繰 9, 全繰 9, 全繰 9, 金利金利金利約定返済元本約定返済元本約定返済元本 8, 8, 8, 一繰 4, 4, 4, 3, 3, 3, 2, 2, 2, 1, 1, 1, 全期間 PD=% 全期間プリペイメント率 =% の場合 元利均等返済 ( 金利変化なし ) のため発生する CF( 元金 + 金利 ) は一定 PD の期間構造考慮 デフォルトを考慮するため本来発生するであろう元本 金利部分が減少 全繰は約定返済金額の減 一繰によって期日の短縮 少に影響 化へ影響 CF 2124 2134 2144 2154 2164 2174 2184 2194 224 2214 2224 2234 2244 2254 2264 2274 2284 2294 234 2314 2324 2334 2344 2354 2364 2374 2384 2394 244 2414 2424 2434 2444 2454 2464 2124 2134 2144 2154 2164 2174 2184 2194 224 2214 2224 2234 2244 2254 2264 2274 2284 2294 234 2314 2324 2334 2344 2354 2364 2374 2384 2394 244 2414 2424 2434 2444 2454 2464 2124 2134 2144 2154 2164 2174 2184 2194 224 2214 2224 2234 2244 2254 2264 2274 2284 2294 234 2314 2324 2334 2344 2354 2364 2374 2384 2394 244 2414 2424 2434 2444 2454 2464 2124 2134 2144 2154 2164 2174 2184 2194 224 2214 2224 2234 2244 2254 2264 2274 2284 2294 234 2314 2324 2334 2344 2354 2364 2374 2384 2394 244 2414 2424 2434 2444 2454 2464 1, 元本 PD の期間構造プリペイメントの期間構造 全部繰上返済確率一部繰上返済確率 PD CPR 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 12 24 36 48 6 72 84 96 18 12 経過月数 13
6. 生涯収益シミュレーション 生涯収益シミュレーション結果 基準時点に存在する対象住宅ローン債権 ( ストック ) について将来時点の収支計算 発生 CF 残高の推移イメージ 収益計算イメージ 一部繰上 全部繰上 一部繰上全部繰上約定返済金利約定返済元本 金利 ( 銀行分 ) 保証料 ( 後 ) 保証料 ( 前 ) 信用コスト 保証会社経費 銀行経費 調達コスト 保証料 ( 後 ) 保証料 ( 前 ) 金利 ( 銀行分 ) 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 227 228 229 23 231 CF 金額 ( 百万円 ) 約定返済金利 約定返済元本 銀行経費 調達コスト 信用コスト収支収益率 ( 年率 ) 収益金額収益率 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 227 228 229 23 231 年度末残高 ( 百万円 ) 2, 15, 1,.2% 5, 残高.1%.7%.6%.5%.4%.3% 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 227 228 229 23 231 年度末残高 収益金額 収益率 ( 年率 ) -5,.% -.1% -.2% 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 227 228 229 23 231 収益は 当初高いものの経過年とともに減少 将来的にはマイナスとなる ただし 残高が小さくなるため大勢への影響は小さい 14
6. 生涯収益シミュレーション 生涯収益シミュレーション結果 - 実行年度別 基準時点に存在する対象住宅ローン債権 ( ストック ) について実行年度別の収支計算 発生 CF 残高の推移イメージ 収益計算イメージ 4, 35, 3, 25, 2, CF 一部繰上全部繰上約定返済金利約定返済元本 一部繰上全部繰上 4, 3, 2, 1, 信用コスト保証会社経費銀行経費調達コスト保証料 ( 後 ) 保証料 ( 前 ) 金利 ( 銀行分 ) 保証料 ( 後 ) 保証料 ( 前 ) 金利 ( 銀行分 ) 15, 1, 5, 約定返済金利 約定返済元本 収支 -1, 199 95 199 96 199 97 199 98 199 99 2 2 1 2 2 2 3 2 4 2 5 2 6 2 7 2 8 2 9 21 1 21 11 調達コスト銀行経費 実行年度 4, 35, 3, 25, 残高 2, 15, 1, 5, 実行年度 1995 1996 1997 1998 1999 2 残高 年度末残高 ( 百万円 ) 1995 1996 1997 1998 1999 2 21 21 22 22 23 23 24 24 25 25 26 26 27 27 28 28 29 29 21 21 211 211-2, -3, 16, 14, 12, 1, 収益金額 8, 6, 4, 2, 生涯収益率生涯収益金額 1995 1996 1997 1998 1999 2 21 22 23 24 25 26 27 収支収益率 ( 年率 ) 平均 28 29 21 211 16% 1.6% 1.4% 1.2% 1.%.8%.6%.4%.2%.% 収益率 信用コスト 実行年度別にみると過去に実行した債権の収益が大きいことが分かる これは 過去実行債権はスプレッドが厚いため現時点でも収益性が高くなっている一方直近の債権では残高が多く残存しているがスプレッドが薄いため収益性が低下している 15
6. 生涯収益シミュレーション シミュレーション結果の分析 シミュレーション結果は主要な属性別に定期的にモニタリング 変化要因について分析し今後の施策への反映を検討 モニタリングしている主要属性 番号 主要属性 内容 1 全対象債権 2 PD プール区分 プール区分 3 金利種類 変動 固定金利 n 年 4 実行年度 直近実行年度は別途 PDプール区分別 金利種類別にモニタリング 生涯収益モニタリング項目の一例 基本情報 件数 残高 ( 百万円 ) 残高加重平均金利 212 年 3 月末時点対象残高 生涯収益 金額 ( 百万円 ) 年率 金利 うち銀行収入分 生涯収入 ( 百万円 ) 保証料 ( 前 ) 金利うち保証料 ( 後 ) 金利 うち団信保険料分 調達コスト 生涯支出 ( 百万円 ) 銀行経費団信保険料分 信用コスト 生涯収支 ( 百万円 ) CF 金額 ( 百万円 ) 年率 生涯約定返済 ( 百万 約定返済元本 円 ) 約定返済金利等 生涯プリペイメント 全部繰上返済 ( 百万円 ) 一部繰上返済 生涯デフォルト ( 百万円 ) 指標 年 残高加重平均残存年数 (WAL) 主要収入支出項目をモニタリング 16
6. 生涯収益シミュレーション シミュレーション結果の活用例生涯収益動向のモニタリング ポートフォリオ全体 直近 1 年度実行分の切り口で生涯収益の動向をモニタリング 3, 生涯収益金額 ( 左軸 ) 生涯収益率 ( 右軸 ) 25, 2, 生涯収益金額 15, 1, 5, -5, ポートフォリオの生涯収益金額 率の分布イメージ.7%.6%.5%.4% 生涯収収益率 ( 年率 ).3%.2%.1%.% 1,8 1,6 1,4 1,2 生涯収益金額 1, 8 6 4 2 直近 1 年度実行の生涯収益金額 率の分布イメージ 生涯収益金額 ( 左軸 ) 生涯収益率 ( 右軸 ) A B C D E F -.1% -.1% 信用度高信用度低 A B C E F -.2% 信用度高信用度低 -2 -.2%.7%.6%.5%.4% 収益率 ( 年率 ).3%.2% 生涯.1%.% ポートフォリオ全体の評価だけではなく 直近 1 年間実行先の生涯収益率の変化をモニタリングを実施 足元の状況の変化を確認することで今後のポートフォリオ全体への影響を考察することが重要 17
6. 生涯収益シミュレーション シミュレーション結果の活用例生涯採算金利の推定 生涯収益評価のフレームワークで信用度別の生涯採算金利を推定 生涯収益イメージ 信用度別採算金利イメージ 2, 15, 収益金額 1, 5, 生涯収益収支がゼロとなる水準の適用金利を求める 1.6% 1.4% 1.2% 1.% 採算金利.8%.6%.4% 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 227 228 229 23 231.2% -5,.% 1 2 3 4 5 6 信用度 信用度高 信用度低 -1, 生涯収益がゼロとなる金利または一定のスプレッドを加えた金利を採算金利と定義 新規実行債権の信用度別金利ガイドライン等に活用可能 18
6. 生涯収益シミュレーション シミュレーション結果の活用例ストレステスト 金利上昇をトリガーとしたシナリオを作成 金利上昇による PD の上昇 プリペイメントの変化を考慮した生涯収益の評価 金利上昇が住宅ローンへ与える影響例 金利上昇要因 1:PD 上昇 支払額の増加による信用度の悪化 要因 2: 一部繰上返済増加 信用力の高い先は余剰資金で繰上返済 要因 3: 一部繰上返済減少 信用力の低い先は余剰資金が無いため繰上返済が減少 要因 4: 固定債権へのシフト 固定金利満了後も引き続き固定を選択変動金利から固定金利へのシフト 要因 5: 調達金利の上昇 市場金利上昇による調達金利 要因 6: 基準金利の上昇 市場金利上昇による基準金利上昇 変動債権の金利上昇 PD と返済比率の関係イメージ ストレス要因が生涯収益へ与える影響イメージ PD PDプール区分とPD 返済比率の関係をモデル化ストレス時の信用力悪化度合いを定量化 生涯収益 ストレステストでは ストレス個別要因に分解しその影響度を検証 PD 上昇 プール区分 A ストレス時プール区分 A 返済比率 基準要因 1 要因 2 要因 3 要因 4 要因 5 要因 6 19
6. 生涯収益シミュレーション シミュレーション結果の活用例リバースストレステスト 現在の各プール区分の債権の PD がどれくらいの水準まで上昇すると収益を維持できなくなるかを推定 生涯収益がゼロとなる PD の水準を推定する リバースストレス時 PD イメージ 2, 生涯収益イメージ 15, PD PD n 倍 1, 収益金額 5, -5, 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 227 228 229 23 231 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 シミュレーション結果の活用例条件変更の考慮 -1, 生涯収益がゼロとなる PD の水準 ( 倍率 ) を探索し求める 条件変更先を含めた場合の PD を算出し ストレス PD としてシミュレーションを行い信用コストの増加を把握 条件変更先を含む PD イメージ 条件変更先を含む PD PD PD 条件変更先を勘案し生涯収益シミュレーション 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 経過年数 2
7. 期間収益シミュレーション 期間収益シミュレーションの概要 前頁までは基準時点に存在する債権の生涯収益に着目したシミュレーション 期間収益シミュレーションは新規実行債権を考慮し毎年ションは新規実行債権を考慮し毎年 ( 毎月 ) の実行シナリオを作成 特定の期間 ( 将来 5 年間など ) の残高や収支をシミュレーションすることが可能 エリア別 信用度別の予算策定や施策の検証が可能となる 期間収益シミュレーションイメージ 生涯収益シミュレーションイメージ 期間収益シミュレーションイメージ 信用コスト保証会社経費銀行経費調達コスト保証料 ( 後 ) 保証料 ( 前 ) 金利 ( 銀行分 ) 信用コスト 保証会社経費 銀行経費 調達コスト 金額 ( 百万円 ) 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 227 228 229 23 231 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 金額 ( 百万円 ) 224 225 226 将来時点の新規実行債権 4, 4, 4, 信用コスト 信用コスト 信用コスト 保証会社経費 保証会社経費 保証会社経費 3 3, 3, 3 3, 銀行経費銀行経費銀行経費調達コスト調達コスト調達コスト 保証料 ( 後 ) 保証料 ( 後 ) 保証料 ( 後 ) 2, 2, 2, 保証料 ( 前 ) 保証料 ( 前 ) 保証料 ( 前 ) 金利 ( 銀行分 ) 金利 ( 銀行分 ) 金利 ( 銀行分 ) 1, 1, 1, -1, -2, 保証料 ( 後 ) 保証料 ( 前 ) 金利 ( 銀行分 ) 212 213 214 215 216 212 217 213 218 214 219 215 22 216 221 212 217 222 213 218 223 214 219 224 215 22 225 216 221 226 217 222 227 218 223 228 219 224 229 22 225 23 221 226 231 222 227 金額 ( 百万円 ) -1, -2, 223 228 224 229 225 23 226 231 金額 ( 百万円 ) -1, -2, 21 227 228 229 23 231 金額 ( 百万円 ) 将来時点の毎月の実行債権の生涯収益状況を追加
7. 期間収益シミュレーション 期間収益シミュレーションシナリオ例 昨年度実行債権から将来の新規実行シナリオに従いサンプリング 将来時点の実行債権を仮定 シナリオ例 シナリオ 1: 新規実行横ばいシナリオ 直近年度実行状況が将来にわたって継続すると仮定 シナリオ 2: 新規実行残高変化に関するシナリオ 毎年度の実行件数が年率 3% 増減 人口減少の連動等のシナリオを作成 シナリオ 3: 新規実行債権の質に関するシナリオ 競争が激化し信用度の悪い先が増加する等のシナリオを作成 シナリオ4: 新規実行債権の実行金利変化に関するシナリオ 競争が激化し新規実行案件の金利優遇幅が一律.2% 拡大等のシナリオを作成 シナリオ 5: 新規実行債権の金利選択が変化 金利上昇による長期固定債権が増加する等のシナリオを作成 22
7. 期間収益シミュレーション 期間収益シミュレーション ( シナリオ 1 イメージ ) 新規実行残高横ばいシナリオに基づく実行が継続した場合の将来の単年度収益を予測 発生 CF 残高の推移イメージ 収益計算イメージ 金利収入低下 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 24 25 26 CF 金額 ( 百万円 ) 一部繰上全部繰上約定返済金利約定返済元本 信用コスト保証会社経費銀行経費調達コスト 保証料 ( 後 ) 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 22 22 22 保証料 ( 前 ) 金利 ( 銀行分 ) 2, 18, 残高上昇将来収益減少 16, 14, 年度末残高 ( 百万円 ) 12, 1, 8, 6, 4 4, 2,,.7%.6%.5%.4%.3%.2% 年度末残高 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 収益金額 収益率 ( 年率 ) 収支収益率 ( 年率 ).1%.% 223 224 225 226 212 213 214 215 216 217 218 219 22 221 222 223 224 225 226 この前提では残高は上昇するが (1) 収益性の低い新規実行債権の増加と (2) 収益性の高い既存債権の残高減少のため将来の単年度収益は急速に減少していくことがわかる 23
8. 今後の課題 今後の課題 前提条件の精緻化 モデルの高度化 将来の金利選択のモデル化等 継続的なモニタリング 収益シミュレーション結果の活用 中期経営計画や目標策定への結果の活用 キャンペーンや個別の施策への結果の活用 金利ガイドライン等への反映 24
本研究の履行体制について 本研究の履行体制 本研究は 横浜銀行 と 浜銀総合研究所 共同で履行 同時に 住宅ローン収益 リスク管理研究会 に参加しリスク管理研究会 に参加し 分析結果の比較や情報交換に活用 住宅ローン収益 リスク管理研究会 横浜銀行を含む地方銀行 14 行 (213 年 5 月現在 ) と浜銀総合研究所が参加する住宅ローンの研究会 ( 年 2 回開催予定 ) 各銀行のデータを基に住宅ローンの各種分析を進めるほか 情報交換を通して リスク管理の高度化 営業戦略の立案に活用 住宅ローン収益 リスク管理研究会イメージ 参加行 A 参加行 B 既存のコンサルティング契約内でのデータ拠出 既存のコンサルティング契約内でのデータ拠出 浜銀総合研究所 参加行 参加行 Aデータ Bデータ 参加行 X 総会 個別説明 共通データによる分析結果情報交換会 本研究会に関するお問合せ先浜銀総合研究所情報戦略コンサルティング部 Tel: 45(225)2378 分析結果フィードバック 共通データによる分析結果例初期与信 共通モデル デフォルト判別力 各変数とデフォルトとの関係途上管理 全体 PD LGD シーズニング プリペイメント 収益の状況 25
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