技術資料 分電盤設計について 第 1.0 版 2017 年 8 月 22 日次世代製品企画室 禁無断複製 当社の責に帰すことができない事由から生じた損害 当社製品の故障に起因するお客様での機会損失 逸失利益 当社の予見の有無を問わず特別の事情から生じた損害 二次損害 事故補償 当社製品以外への損傷およびその他業務に対する補償については 当社は責任を負いかねます 内容は検討中のものであり予告なく変更される場合があります 予めご了承ください
目次 1.サーバ室電気設備の重要性 2.分電盤の仕様 タイプ 主要機器 プラグインMCCBの種類 配線用遮断器の種類 3.分電盤の設計 必要資料 分電盤要件資料 要件 ヒアリング 確認事項 現場調査内容 4.電気安全性 保護協調 過電流保護方式 保護協調の検討例 過電流保護方式の動画 5.注意事項 データセンタの事故事例 6.会社紹介 株式会社中央製作所 7.盤選定フロー 出力端子台 有 出力端子台 無 8.彼我比較表 分電盤 ラックマウント
1.サーバ室電気設備の重要性 データセンタの電気設備に求められていること データセンターの電源システムにとって重要なことは 電源設備に障害が発生して も IT 機器に給電を継続できる機能 を持つこと つまりIT 機器を停電させないこ とである (1) 金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準 解説書によると 負荷状態の監 視制御機能を充実すること とされている 電気安全性 電力供給における信頼性 電気回路の過負荷 短絡事故および地絡 事故に対する適切な保護協調を経済的に 構築 良質な電力を継続的に供給することがで きる電気設備 負荷状態の監視制御機能を充実すること ノイズの発生を従来の電気設備よりきわ めて低いレベルに抑制 出典 (1)JDCCファシリティスタンダードver2.3 日本データセンタ協会
2.分電盤の仕様 タイプ 分電盤には一般的に 自立形 壁掛形 ラックマウント形 のタイプがある タイプ 自立形 壁自立形 ラックマウント形 外形 W700 H2000 D1000 (19インチラック) W700 H2000 D350 W482.6 H88.1 D300.0 2Uサイズ 分岐数 2P60AF 64個 2P50AF 52個 2PCBE50AF 9個 変圧器 75KVA搭載可能 特徴 汎用プラグインブレーカ選 択可能 プラグインブレーカ選択可能 ラックの空きスペースで分岐 を増やしたい 注意点 設置には架台が必要 耐荷 重の確認 プラグインブレーカを挿抜す る際出力配線を取り外す必要 がある 配線サイズにより筐体サイズ が変更になる 外観
2.分電盤の仕様 主要機器 分電盤の中には主要機器として主幹ブレーカ及び分岐ブレーカが収容される ブレーカはMCCB Molded Case Circuit Breaker とも表現される 一般的には100A以上のものを主幹ブレーカ 50A以下のものを分岐ブレーカとする 場合が多い 注意 その他 主幹MCCB 分岐MCCB 引き外し方式が3種類あり 用途に応 じて選定する必要がある 熱動電磁式 中 大容量 完全電磁式 小容量 電子式 協調用 プラグインブレーカを採用することで 容量変更や増設 撤去が容易になる 尚 活線挿抜については 停電作業を 推奨 どうしても停電とすることがで きない場合は 対象MCCBをOFFとし 労働安全衛生規程の活線作業 活線近 接作業の規則を遵守して作業すること 単線結線図 簡易 プラグインMCCB 出典 選択遮断方式 技術資料集 三菱電機 接続方式 ホームページ 三菱電機
2.分電盤の仕様 プラグインMCCBの種類 プラグインMCCBには用途に応じて以下のタイプがある タイプ 差込形 電源側プラグイン 母線プラグイン 電源側 プラグイン プラグイン プラグイン 負荷側 プラグイン ねじ端子 即結端子 ねじ端子 即結端子 警報線 プラグイン リード線 リード線 容量 30AF 50AF 60AF 30AF 50AF 125AF 250AF 400AF 用途 サーバ用 サーバ用 電灯用 空調機用 PDP送り用 価格感 固定形と比較し約1.5倍 固定形と比較し約1.5倍 固定形と比較し約1.5倍 電圧 相を事前に決定する 必要がある 挿抜の際出力配線を撤去する 必要がある 1φ3Wの場合MCCB毎に 100V 200Vを任意に取得可能 挿抜の際出力配線を撤去する 必要がある 外観 特記事項 出展 遮断器写真 カタログ 富士電機 出典 遮断器写真 カタログ 三菱電機 出展 遮断器写真 カタログ 寺崎電気
2.分電盤の仕様 配線用遮断器の種類 配線用遮断器には標準タイプ以外に以下の特殊タイプがある 配線用遮断器 漏電遮断器 漏電アラーム遮断器 中性線欠相保護付き 遮断器 過電流 トリップ トリップ トリップ トリップ 漏洩電流 トリップ (警報のみ) 中性線欠 相保護 トリップ 負荷例 サーバ 空調機 サーバ 1φ3W回路の主幹 感度電流値の確認が 必要 感度電流値の確認が 必要 感電防止 15 100mA 火災防止 200 500mA 感電防止 15 100mA 火災防止 200 500mA 1φ3W回路に必須 タイプ 外観 特記事項 短絡遮断容量の確認 が必要 出典 遮断器写真 カタログ 三菱電機
3.分電盤の設計 必要性 必要資料 項目 目的 記事 負荷機器諸元表 空調機またはサーバ UPS等 分電盤に接 続される機器の容量を算出する 分電盤 出力容量 単線結線図 分電盤の接続される上位の設備を把握し適 切な電流容量 短絡容量を算出する 分電盤 入力電源 分電盤要件資料 分電盤の価格を算出するための必要最小限 の情報を得る 分電盤 スペック 必要性 必須 場合により必要 他で補えない場合必要 特に必要なし 容量 結線 二次電圧 AF/AT 極数 単線結線図 一例 増設分電盤 負荷機器諸元表(一例
3.分電盤の設計 必要 性 項目 分電盤要件資料 質問内容 回答例 確認事項 設置場所 設置床はフリーアクセスフロ アですか フリアク 筐体サイズ 設置場所はどこですか,設置場 所の制約はありますか ラック架列 出力端子台 出力端子台は必要ですか,入出 力配線の方向は指定あります か 出力端子台 必要 配線 入力上 下 短絡電流 分電盤入力端の短絡電流値は いくらを想定されていますか 5kA以下 15kA以下 15kA以上 (中小規模)(大型変圧器)(バスダクト) 短絡時の保護を確認 保護機器 負荷側機器容量は何Aですか, 本装置からの供給数はいくつ ですか,三相出力が必要ですか 2P50AF/20A 24個 3P50AF/50A 2個 分岐数を確認 電源 上位装置(MCCB)の電源種別 容量を教えてください 3φ3W200V 400AF/300A 3φ3W415V 225AF/150A 1φ3W200-100V 100AF/100A 入力電源を確認 計測 警報 計器は必要ですか,保護装置が 遮断した状態になった場合警 報信号が必要ですか 入力部 マルチメータ MCCBトリップ一括(無電圧接点) 計器 警報内容確認 変圧器 変圧器を搭載しますか,負荷側 機器の電源種別は何Vですか 30kVA Δ-Δ 負荷側1φ2W100V 変圧器搭載確認 アルミ二重床 スラブ 壁面側 固定面の確認 サイズと保守面の確認 不要 出力上 下 配線の確認 必要性 必須 場合により必要 他で補えない場合必要 特に必要なし
3.分電盤の設計 要件 必要資料より分電盤の単線結線図を完成させる 電源 上位装置 (MCCB)の電源種 別 容量は 保護機器 負荷側機 器容量は何A 供給 数は 三相 単相 三相3線式 単相3線式 三相4線式 出典 電気設備の技術基準 3605-3_連続負荷を有する分岐回路の負荷容量 内線規程 JEAC8001 配電方式と電圧 菱盤会技術講座 三菱電機
3.分電盤の設計 ヒアリング 確認事項 予備回路(将来サーバが増えるか) 運用方法 電流 電圧監視 耐震性(耐震計算書の作成について)
3.分電盤の設計 現場調査内容 設計前 単線結線図と現場の整合性確認 分電盤の有効設置スペースの確認(扉の開放寸法 メンテナンススペース) 配線ルート LANケーブルとの離隔が300mm以上とれているか 床下ケーブル量 ケーブル積み上げ量 例)フリアクの高さ450mmなら有効空調スペースを200mm以上確保 床下空調の場合 床下空調冷気の阻害 供給元のトランスはサーバ用 空調用で分けてあるか 設計後 分電盤の設置スペース確認(設置スペースは問題ないか図面を基に確認)
4.電気安全性 保護協調 保護協調とは受変電設備のある回路に何らかの事故が発生した場合に 対象の回路 の保護器が その上位の保護器が動作する前に動作して 正常な回路には給電を継 続しながら 事故回路を商用電源側より切り離すように保護器具相互の保護特性を 整定すること 上位に事故が波及しないように設計 部品の選択を行う 事故点 1 事故点 1 で事故が発生した場合は必ず MCCB-1で保護しなければ 事故の波及が上位 のMCCB-0を動作させ MCCB-0以下が全停電 となる 事故点 2 事故点 2 で発生した場合はOCR 過電流継 電器 で守り 上位への波及を防ぐ 出典 保護協調とは 第5章 保護協調と保護継電器 オムロン
4.電気安全性 過電流保護方式 金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準 解説書によると 過電流 漏電 により各機器に障害を及ぼさないよう措置を講ずること とされている 選択遮断 カスケード遮断 事故回路のみを遮断し 健全な回路はそのまま給電 が継続される方式 ブレーカの動作特曲線の組合せを検討する必要有 分岐回路遮断器接地点での推定短絡電流が 分岐回 路遮断器の遮断容量を超える場合 主回路遮断器に よって後備保護 バックアップ を行わせる方式 主幹と分岐のMCCB組み合せを検討する必要有 主幹MCCB 分岐MCCB 主幹MCCB 分岐MCCB 短絡 健全回路には影響なし 短絡電流に応じたMCCBの選定により高価 短絡 遮断容量の小さいもので構成でき安価 健全回路まで運用停止 出典 (1)受配電 制御機器コンポーネント データセンタ向け低圧遮断器 富士電機
4.電気安全性 保護協調の検討例 ①受電からICT装置までの単線結線図を作成し 各セクションでの短絡電流を計算 ②定格電流 突入電流などの機器データを記入し 事故点を想定 ③インピーダンスマップを作成し算出された推定短絡電流に対し最適なMCCBを選定 ④上位下位のMCCB同士の協調を確認し 必要に応じて調整
5.注意事項 過電流保護方式の動画 選択遮断 カスケード遮断
5.注意事項 データセンタの事故事例 データセンタの事故は深刻な損失に繋がる コストを優先し 電気安全性や電力供給における信頼性が十分に確保されていない 場合は 思いがけない規模の事故に波及する恐れがある 分岐MCCBへの負荷線接続作業時 誤ってねじが落下 事故例 そのねじが下の分岐MCCBの二次側端子に接触し 主幹 MCCBがトリップ その為 分電盤全体が停電状態とな り 負荷機器全てが停止した ねじを落下させた 分岐MCCB二次側での短絡容量を計算せず 安価な容量 原因例 だけ大きい主幹MCCBを選定し導入した ねじ落下防止 盤内保護等級確保(IP1XB) 分岐MCCB二次側での短絡容量を計算し 必要に応じた 対策例 選択遮断容量を確保できる主幹ブレーカの選定
5.注意事項 データセンタの事故事例 弊社製品(SVU-CB-PDF)の短時間耐電流試験の様子 試験No.1_AC240V-14kA(正面 10秒 試験No.5_AC240V-35kA(正面 7秒
6.会社紹介 株式会社中央製作所 会社案内動画 https://youtu.be/nga83viup4s
6.会社紹介 株式会社中央製作所
7.盤選定フロー 出力端子台 有
7.盤選定フロー 出力端子台 無
8.彼我比較表 分電盤
8.彼我比較表 ラックマウント