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Technical Report 報文 太陽光発電用パワーコンディショナ ラインバック αⅣ の開発 Development of Photovoltaic Generation System LINE BACK αⅣ * * * 遠藤浩輝詫間隆史水川雄太 * * 林健太郎篠田雄作 Hiroaki Endo Takafumi Takuma Yuta Mizukawa Kentarou Hayashi Yusaku Shinoda Abstract A power conditioner LINE BACK αⅣ has been developed for a photovoltaic system. This power conditioner consists of 10 kw 3 phase. Power generated by the PV cells is supplied to a local load connected to the grid, and when its power exceeds local load, the excess power is supplied to the grid. It is a wall mounted type and can be installed outdoor. Furthermore, the correspondence to the damage from salt breeze district is possible because LINE BACK αⅣ achieves high efficiency by using SiC(Silicon Carbide) and realizes Fanless structure. Key words : SiC; Fanless structure; Salt damage correspondence 1 まえがき 2011 年の東日本大震災以降, 原子力に代わるエネルギー源の一つとして太陽光発電が注目され,2012 年の全量買取制度の開始に伴い, 太陽光発電システムの普及が加速している. パワーコンディショナには, 停電時でも太陽光のエネルギーで発電を継続し, 特定負荷に電力を供給する自立システムが標準となり, 停電対策の意識も高まってきた. 太陽光のエネルギーを売電可能な電力に変換し商用系統へ逆潮流する太陽光 * 産業電池電源事業部電源システム生産本部開発部 発電用パワーコンディショナには, 全量買取制度による大量普及に伴い, 近年, 様々な系統安定化要件が必要とされている.2014 年には, 系統送電線事故による広範囲の瞬時電圧低下や周波数変動による一斉解列を防止するための 事故時運転継続 (FRT:Fault Ride Through) 要件が,2015 年には, 大量に普及した太陽光発電用パワーコンディショナによる電力系統への逆潮流抑制対策として, 外部の電力サーバからの指令によりパワーコンディショナの出力を抑制する 出力制御 要件および, 低圧配電線に連系する三相のパワーコンディショナに対して, 系統停止時にパワーコンディショナが系統から解列されない状態で単独運転を継続する動作を阻止する 新型能動検出方式 2016 GS Yuasa International Ltd., All rights reserved. 19

が, それぞれ義務付けられている 1. 当社の太陽光発電用パワーコンディショナは, これまでに中容量タイプとして ラインバック α シリーズ を, 大容量タイプとして ラインバックオメガ や ラインバックガンマ を, 蓄電池併設タイプとして ラインバック Σ シリーズ や パワーソーラーシステム を開発してきた 2. 今回新たに, 前述の系統安定化要件に対応した, 中容量タイプの ラインバック αⅣ を開発した. ラインバック αⅣ は, 主回路変換素子に新素材となる SiC( シリコンカーバイド ) を業界で初めて本格採用し, 高効率化を達成している. また, 冷却用のファンを用いないファンレス構造を実現し, メンテナンスフリーな設計としている. さらに, 筐体にアルミダイカストを使用し筐体空冷技術により主回路変換素子を密封した状態で冷却するとともに, 塩害地区への対応も可能となるように設計している. 以下, 今回開発した ラインバック αⅣ の概要について述べる. 2 外観および仕様 今回開発した ラインバック αⅣ の外観をそれぞれ Fig. 1 に示す. ラインバック αⅣ は, すでに商品化している ラインバック αⅢ をベースに開発した. 外観は ラインバック αⅢ と同様の設計としていることにより, ラインバック α シリーズ との置き換えを可能とした. また, 太陽電池の最大入図 1 ラインバック αⅣ の外観 Fig. 1 Exterior of LINE BACK αⅣ. 力電圧は, 太陽電池パネルの 冬場に開放電圧が高くなる という特性に対応するために, これまでの DC600 V から DC650 V に拡張した. これにより, 太陽電池の直列枚数の選択幅が広がり, 顧客ニーズに幅広く対応することが可能となる. ラインバック αⅣ の主回路変換素子は, これまで一般的に使用されていた Si( シリコン ) チップの IGBT から,SiC( シリコンカーバイド ) チップの FET に変更した. これにより主回路変換素子のスイッチング損失を軽減でき, パワーコンディショナの変換効率を従来の 93.5% から 96.5% に改善した. 高効率化の達成により, パワーコンディショナの発熱が軽減されるため, これまで必要であった冷却用のファンが不要となり, 冷却ファンを用いない ファンレス構造 を実現し, メンテナンスフリーな設計とした. 筐体は従来の板金からアルミダイカストに変更し, 発熱体である主回路変換素子を筐体に直付けして冷却する 筐体空冷技術 を同時に開発した. 筐体空冷技術 は主回路変換素子を密封した状態で冷却できるため, これまで当社製品では対応できていなかった, 塩害地区への対応も可能となるように設計している. Table 1 に ラインバック αⅣ の仕様を示す. 従来機種である ラインバック αⅢ と比較すると, すべての面において性能が上回っていることが分かる. 3 システム概要と構成 Fig. 2 に ラインバック αⅣ の回路構成を示す. パワーコンディショナは, 停電時でも太陽光のエネルギーで発電を継続し 特定負荷に電力を供給する自立出力回路を搭載している. 以下, 系統安定化要件である 事故時運転継続 出力制御 および, 新型能動検出方式 の要素技術について述べる. 3.1 事故時運転継続 ラインバック αⅣ は系統送電線事故による広範囲の瞬時電圧低下 瞬時周波数上昇や大規模電源脱落, 系統分離による周波数変動に対し, パワーコンディショナを停止せずに運転を継続することができる. 系統連系規程では, 三相短絡 ( 残電圧 20%, 残電圧 0%) および二相短絡 (Y 結線 : 定格電圧の 87% および 24 の位相変化,Δ 結線 : 定格電圧の 52% および 41 の位相変化 ) を 0.3 秒継続する瞬時電圧低下と, ステップ状に+ 0.8 Hz(50 Hz 系統に連系する場合 ) 20

図 1 パワーコンディショナの仕様 Table 1 Specifications of power conditioner. 項 目 三相ラインバック αⅢ 三相ラインバック αⅣ 使用環境 周囲温度 - 20 ~+ 50 同左 保管温度 - 20 ~+ 55 同左 相対湿度 10 ~ 95% 同左 高度 海抜 0 ~ 2000 m 同左 設置場所 屋内外 同左 塩害対応 外観 外形寸法 W590 D275 H550 mm W550 D260 H550 mm 取付寸法 W700 H470 mm 同左 保護構造 IP35 IP56 筐体構造 ステンレス鋼 アルミダイカスト構造 入力仕様 定格電圧 400 V 同左 最大電圧 600 V 650 V 直流電圧範囲 0 ~ 600 V 0 ~ 650 V 最大電力追従範囲 200 ~ 550 V 同左 定格入力電流 26.6 A 25.9 A 出力仕様 相数 三相 3 線 同左 定格出力電圧 202 V 同左 定格出力電流 28.6 A 同左 周波数 50 または 60 Hz 同左 定格容量 10 kva 同左 無負荷損失 140 W±30 W 100 W±30 W INV 仕様 変換方式 電圧型電流制御方式 同左 電力制御方式 最大電力追従制御 同左 総合効率 93.5% 96.5% 絶縁方式 非絶縁 同左 冷却方式 風 令 自冷 能動方式整定値 0.8% ( 無効電力変動方式 ) 4.5 Hz/s ( ステッフ 注入付周波数フィート ハ ック方式 ) 国土交通省営繕仕様 対応 同左 自立仕様 自立運転機能 無し 有り 自立運転容量 - 1.5 kva, 100 V 自立冷却方式 - 自冷 インバータ方式 - 電圧型電圧制御方式 電気方式 - 単相 2 線式 その他 RoHS 対応 対応 同左 FRT 対応 非対応 対応 新型能動対応 非対応 対応 力率調整機能 非搭載 搭載 出力制御機能 非搭載 搭載 カレンダー機能 非搭載 搭載 + 1.0 Hz(60 Hz 系統に連系する場合 ),3 サイクル間継続する周波数変動およびランプ状の ±2 Hz/ 秒の周波数変動に対して運転を継続することを義務付けている. 系統瞬時電圧低下時の運転継続動作原理を Fig. 3 に示す. パワーコンディショナは電流制御であるため, 系統電圧が残電圧 0% に低下した場合でも電流波形を維持し, 運転を継続することが可能となる. また残電圧 20% 以下の瞬時電圧低下の場合は直前の周波数を維持し, 系統電圧復電直後もパワーコンディショナ出力を瞬時電圧低下前の 80% 以上を確保することが可能となる. 3.2 出力制御 ラインバック αⅣ は RS485 通信を介して専用の出力制御ユニットと通信をおこない, 交流出力電力 ( 有効電力 ) を制御することによって出力制御要件に対応している. 出力制御値は 0 ~ 100% の 1% 刻み, 出力変化時間は 5 ~ 10 分の 1 分刻みで受信できる. 受信した出力制御値が太陽光発電電力より小さい場合は, 太陽電池電圧を出力電力最大点から徐々に上昇させ, 交流出力電力を制御する. 受信した出力制御値が太陽光発電電力より大きい場合 ( 曇天時など ) は, 出力制御は動作せず,MPPT 動作 (Maximum Power Point Tracking 最大出力追従制御動作 ) を継続する. 21

図 2 ラインバック αⅣ 回路構成 Fig. 2 LINE BACK αⅣ circuit configuration. 動作原理 ( 瞬時電圧低下時 ) 系統電圧 瞬時電圧低下 ( 残電圧 0%) 0.3 秒以内 パワーコンディショナ出力電流 正常時の電圧波形 図 3 系統瞬時電圧低下の運転継続動作原理 Fig. 3 Operating principle of momentary voltage drop. 出力制御の動作概要を Fig. 4 に示す. 電力会社のサーバより配信される出力制御情報を, インターネットを経由して出力制御ユニットで受信し, パワーコンディショナの出力を制御する. 出力制御ユニットが電力サーバとの通信を確立できない場合には, 初回通信時に取得した固定スケジュールにて動作を継続する. 取得した固定スケジュールの期間を経過した場合は, 固 定スケジュール終了にてパワーコンディショナを安全に停止させる. 電力サーバとの通信が再開しスケジュール情報を更新できた場合は, パワーコンディショナは自動で運転を再開する. また, インターネット環境のないシステムの場合は, 外部メモリ機器等より出力制御ユニットに固定スケジュールを保存し, 保存した固定スケジュールにて動作することができる. 22

インターネット 1PCS( 広義 ) 出力制御機能付 PCS スケジュール情報 通信方式 ( 有線 : 光 /ADSL 等 ) ( 無線 :3G/LTA 等 ) 通信モデム 2 出力制御ユニット 3PCS( 狭義 ) 太陽光モジュール 図 4 出力制御動作概要 Fig. 4 Operating schema of output control. 3.3 新型能動検出方式 ラインバック αⅣ では, 系統電圧の周波数偏差に応じた無効電力をパワーコンディショナから系統へ注入することにより周波数の変化を助長し, 単独運転の検出をおこなう. 新型能動検出方式 ( 検出方式名 : ステップ注入付周波数フィードバック方式 ) は, 単独運転の高速検出が可能であり, 不要動作がなく, 原理的に他方式との相互干渉もない. また, 能動信号による系統への影響も小さいといった特長を有す. パワーコンディショナの交流出力電流は, 制御回路内部の電流リファレンスによって制御しているが, この電流リファレンスを周波数偏差に応じて制御することにより, 無効電力を注入する. 無効電力注入量の最大値は, パワーコンディショナ定格出力の 0.25 P.U. で, このときの力率は 0.97 である.( 力率 = cos (tan-1 ( 0.25/1)) = 0.97 ) 新型能動検出方式の動作概要を Fig. 5 に示す. パワーコンディショナが系統に連系されている場合は, 系統電圧の周波数は商用周波数に等しいため無効電力は注入されないが, 系統が停電し単独運転状態になると, 単独運転発生の前後での微小な周波数変化により無効電力を注入するため, 無効電力の注入量に対応して周波数変化が大きくなる. これにより, さらに無効電力の注入量が増加していくため周波数変化も増加していき, 単独運転を検出することができる. 周波数偏差検出の整定値は ±4.5 Hz/ 秒で, この整定値を同一方向に連続で超過すれば単独運転と判定し, パワーコンディショナのゲートブロックおよび連系遮断をおこなう. 本機能の動作時間は 0.2 秒以下となる. さらに, 複数台のパワーコンディショナを併設する場合でも, パワーコンディショナ間の能動的方式を同期させる必要はない. なお, パワーコンディショナが系統に連系されている場合に負荷投入等による周 波数変化が発生しても, 周波数変化は一瞬であるため, 能動的方式の誤作動の心配はない. 4 特性 Fig. 6 に ラインバック αⅣ の力率および効率の特性を示す. 主回路変換素子は, これまでの Si チップの IGBT から,SiC チップの FET に変更することで, 主回路変換素子のスイッチング損失を軽減し, パワーコンディショナの変換効率を従来の 93.5% から 96.5% に改善し, 高効率化を達成することができた. また, 主要部材は次期開発品である単相機との共用化を意識して選定しており, 部品納期や在庫管理を一元化し, コストダウンにも寄与することができた. つぎに,Table 2 に主回路部材の温度評価結果を示す. ラインバック αⅣ は冷却ファンを用いない自冷構造としているが, アルミダイカスト筐体空冷技術により, 周囲温度が 40 の夏季においても, 主回路 FET は 121.0 ( 定格 175 ), 主回路ダイオードは 100.0 ( 定格 150 ), 直流側フィルタリアクトルは 92.8 ( 定格 115 ), 交流側フィルタリアクトルは 84.0 ( 定格 115 ) とそれぞれの定格温度まで余裕があり, 問題ないことを確認している. 塩害地区への対応可否を判断するための試験内容を Table 3 に示す. 耐塩仕様の太陽光製品は, 当社初の試みとなるため, 様々な試験を実施している. 試験は 3 項目実施しており,1 つ目はパワーコンディショナ本体に塩水を噴霧する 塩水噴霧試験 JIS C 60068-2-52 : 2000,2 つ目はパワーコンディショナ内部のパーツに塩水を直接噴霧する 中性塩水噴霧試験 JIS K 5600-7-1 : 1999, そして 3 つ目は, 実際の塩害地区にパワーコンディショナを設置する フィールド試験 である.1 つ目の塩水噴霧試験は, 実フィール 23

ブロック図 系統電圧 出力電流指令 PLL カウンタ 高調波検出 周期偏差 Δf 検出 正弦波 Ref 発生 余弦波 Ref 発生 瞬時電流指令 出力無効電流指令 ステップ注入指令 Δf > 閾値 連続検出 開閉器開放ゲートブロック 動作原理 [ 定常時 ] T1 T2 T3 T4 T5 V I T0 -T1 = 0 T1 -T2 = 0 T2 -T3 = 0 T3 -T4 = 0 (T0はT1の前回周期を示します) 系統電圧の周波数に変化が生じた場合 周波数の偏差に応じた無効電力を注入し 電流を変化させます ( 周波数上昇方向の変化時には電流を進み方向 周波数低下方向の変化時には電流を遅れ方向 ) 定常時では 系統電圧に変化がないため 電流の変化もありません (T1 = T2 = T3 = T4 = T5) 単独運転発生 [ 単独運転時 ] V I T1 T2 T3 T4 T5 T6 T2 -T3 T0 -T1 = 0 T1 -T2 = 0 > 整定値 (T0はT1の前回周期を示します) T3 -T4 > 整定値 T4 -T5 > 整定値 単独運転時では 電流の変化にあわせて系統電圧の周波数が変化します (T1 = T2 > T3 > T4 > T5 > T6) 一定以上の変化が同一方向に連続して発生すれば 0.2 秒以内に単独運転と判断します 負荷投入等によって周波数が一瞬変化しても 電流の変化は投入時の一瞬のみであり 一定以上の変化が同一に連続して発生するものではないため 誤作動の心配はありません 図 5 新型能動検出方式 Fig. 5 New type active islanding detection schema. ドを想定した 厳しさ (2) という条件にて試験を実施し, 外観に著しい劣化が見られず電気的特性にも差異のないことを確認した.2 つ目の中性塩水噴霧試験は, 一般耐塩仕様 ( 海岸から 300 m を超え 1 km 以内の屋外 ) で要求される 500 時間の塩水噴霧に対して, 外観に著しい劣化が見られず電気的特性にも差異のないことを確認した. なお, 重耐塩仕様 ( 海岸から 300 m 未満 ) で要求される 1000 時間の塩水噴霧に対しても, 問題ないことを確認している.3 つ目のフィールド試験については, 昨年 12 月 25 日より淡路島の現場にパワーコンディショナを設置して, 曝露試験を実施した. 設定場所は, 瀬戸内海沿岸より 10 m ほどの場所で, 重耐塩地区に該当する環境での試験である. 本年 4 月 11 日に約 3 ヶ月間曝露した試験機の外観を 24

表 2 主回路部材の温度 Table 2 Temperature of main parts. 部品 温度上昇値 [ ] 絶対値 [ ] ( 周囲温度 40 時 ) 定格 [ ] 判定基準 判定 主回路 FET 43.3( ベース板部 ) 83.3 121.0 ( ベース板部 ) ( 接合部 ) 接合部温度 175 定格値の 80% 以下 良 主回路 43.4( ベース板部 ) 83.34( ベース板部 ) 接合部温度 定格値の 80% 以下 良 ダイオード 100.0 ( 接合部 ) 150 直流側フィルタ 52.8 92.8 115 定格値以下 良 リアクトル 交流側フィルタリアクトル 44.0 84.0 115 定格値以下 良 表 3 塩害対応の試験内容 Table 3 Examination contents of salt breeze district. No. 試験項目 試験内容 判定基準 ( 自主基準 ) 試験結果 判定 1 塩水噴霧試験パワーコンディショナ本体に塩水外観に著しい劣化が見られない良良 JISC60068-2-52:2000 噴霧試験を実施こと 電気的特性に差異がない 厳しさ (2) 加速度試験 こと 2 中性塩水噴霧試験筐体の一部 & パーツに塩水噴霧試外観に著しい劣化が見られない良良 JISK5600-7-1:1999 験を実施こと 電気的特性に差異がない(500h 経過で外観に 加速度試験 こと ( 一部のパーツのみ ) 著しい劣化なし ) 塩害地区 ( 淡路島 ) 実際の塩害地区にてパワーコンデ外観に著しい劣化が見られない良 良 3 でのフィールド試験 ィショナ本体の曝露試験を実施 ランニング試験 こと 電気的特性に差異がないこと Power factor 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 92.38 0.999 1 1 1 1 0 0 20 95.51 96.80 97.04 96.97 Power factor Efficiency 70 40 60 80 100 120 Output Power / % 100 Efficiency /% 図 6 ラインバック αⅣの出力に対する効率および力率 Fig.6 Conversion efficiency and power factor for LINE BACK αⅣ output. 確認し, 装置外部に著しい劣化のないことを確認した. 装置内部には発錆や腐食は一切見られず, 設計通りの結果であることを確認した. さらに通電試験を実施し, 試験前と電気的性能に差異のないことも確認した. 以上より, ラインバック αⅣ の塩害対応は問題ないと判断している. 95 90 85 80 75 5 まとめ 以上, 今回開発した太陽光発電用パワーコンディショナ ラインバック αⅣ の概要について報告した. 本製品では, 系統安定化要件である 事故時運転継続 出力制御 および, 新型能動検出方式 への対応を可能とした. また, 一般の屋外環境における系統正常時の太陽光発電システムや系統異常時の自立対応システムのみならず, 塩害地区への対応も可能となるように設計した. さらに,SiC デバイスを用いた高効率化とアルミダイカスト筐体空冷技術により, 冷却ファンを用いない自冷構造を実現し, メンテナンスフリーを達成した. クリーンエネルギーに対する社会の関心は高まる一方であり, そのニーズに応えていくために今後もさらなる研究 開発をおこなっていく所存である. 文献 1. 一般財団法人電気安全環境研究所ホームページ http://www.jet.or.jp/products/protection/index. html 2. 横山昌央, 遠藤浩輝, 詫間隆史, 横山晋也 Yiga Allan,GS YUASA Technical Report, 9(2), 24(2012). 25