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第 3 章システム概要設計 1 概要設計の基本要件 1100% 自活システムの概要設計とする 2 太陽光発電による再エネ 100% 自活システムの概要を設計する その際 以下の点を考慮する 対象離島間や海外の島しょ国に展開可能な 汎用性のある設計とする 本調査事業から 100% 自活実証開始までの間におこる電力需要の増減に対応出来る様 拡張性を持たせた設計とする 国内外の先進的事例があれば積極的に取り込む 設置やメンテナンス 交換工事などが安価且つ容易に可能な構造を目指す ( ただし 本事業の設置については台風を考慮すること ) バックアップ電源の確保方法について検討 提案する ( バックアップ電源については化石燃料使用可 ) 3 提案するシステムに新規性等がある場合は 技術検証試験等についても提案書に盛り込む 2 システム構成の基本提案 上記の概要設計の基本要件を考慮して システム構成は下記 3つを提案する 1オフグリッド再エネ住宅 容量数値は参考値 太陽電池パネル 6kW パワーコンディショナ 5kW/AC5kW AC ( 単相 ) 住宅内負荷平常時 1kW 各住宅への単独電源サイズは 1 世帯向け単相電源 家庭用蓄電池 10-15kWh ( 複数並列を含む ) AC( 単相 ) ポータブル発電機 (LP ガス発電機 ) 1.5kVA 2 単独フィーダ再エネ電源 ( 低圧線路接続 ) 太陽電池パネル 600kW パワーコンディショナ 500kW/AC50kW 容量数値は参考値 AC ( 三相 ) 島内負荷最大 50kW 低圧線路接続向け三相電源 100 世帯未満 AC10kW 以上 AC50kW 未満 産業用蓄電池 2000kWh ( 複数並列を含む ) AC( 三相 ) 非常用発電機 ( ディーゼル発電機 ) 60kVA 3 複数フィーダ再エネ電源 ( 高圧線路接続 ) 太陽電池パネル 600kW パワーコンディショナ 500kW/AC500kW 容量数値は参考値 AC ( 三相 ) 島内負荷最大 500kW 大容量蓄電池 500kWh ドループ PCS 125kW AC ( 三相 ) 非常用発電機 ( ディーゼル発電機 ) 600kVA 高圧線路接続向け三相電源 100 世帯以上 AC50kW 以上 AC2000kW 未満 187

3 システム構成の詳細検討及び技術検証 システム構成の詳細検討及び技術検証のため 各提案システムについて 以下の通りの協力会社を連携して実施した 1 オフグリッド再エネ住宅県内電機工事会社である沖縄小堀電機にて パナソニック製の創蓄連携システムをリース調達の上 実機検証を実施した 2 単独フィーダ再エネ電源 ( 低圧線路接続 ) 太陽光発電と蓄電池装置を連携運転できる創蓄連携システムの販売実績があるため パナソニック社にて 交流 5kW 以上 50kW の大型化 ( 低圧単相連携システム ) の開発検討を実施した 3 複数フィーダ再エネ電源 ( 高圧線路接続 ) 短絡事故電流の放出や FRT 制御 横流保証も可能な周波数調停率をもつドループ PCS を国内で唯一保有する日新電機 にて 250kW 以上の高圧三相連携市システムによる実現性検討を実施した 188

(1) オフグリッド再エネ住宅 特徴 : 国内でも多数のメーカーから家庭用蓄電池が販売されている その多くが停電時でも太陽光発電と併用して 家庭負荷への電力供給が可能となっている このような家庭用蓄電池の市場相場は 18 万円 /kwh であるが 最近 6 万円台 /kwh の製品 ( テスラ社 ) が登場し 価格競争の兆しが見え始めている このような家庭用蓄電池を用いたオフグリッド再エネ住宅を提案する ( 国内 50 機種の kwh 価格グラフを下図に示す ) 汎用性 : 国内複数の家電メーカー等が提供する家庭用蓄電池に太陽電池からの直流回路を接続するのみであるため システム構成がシンプルで 並列も可能であるため発電 / 蓄電の容量も選択可能であり 汎用性が高い 拡張性 : 既導入住宅内での拡張 未導入住宅への展開など拡張性は十分に高い 保守性 : 基本的には日常保守が不要なメンテナンスフリー製品である さらには家庭用蓄電池を提供する殆どの家電メーカー等は 10 年保証を提示しているため 耐久性は十分に期待できる バックアップ電源 : 万一の機器不具合に備えて バックアップ電源を準備する必要があるが 電源容量は概ね 1 世帯分のみで良く 過度なコストが不要となる利点がある バックアップ電源は数 kva のポータブル発電機とする システム構成 : モジュールの基本構成 [PV] [/] [ bus] [/AC] [AC bus] [LOAD] [BESS] [/] システム概念図 (5kW-AC5kW の例 ) 太陽電池パネル 6kW パワーコンディショナ 5kW/AC5kW AC ( 単相 ) 住宅内負荷平常時 1kW AC( 単相 ) 家庭用蓄電池 ポータブル発電機 10-15kWh (LP ガス発電機 ) ( 複数並列を含む ) 1.5kVA 189

国内外の先進的事例 製品事例 パナソニック製創蓄連携システム 東芝製蓄電システムエネグーン NEC 製小型蓄電システムポータブル発電機 (LP ガス発電機 ) 技術検証試験等テスラ製蓄電池装置が 1 月下旬に米国から入荷するとのことであったため 同社蓄電池装置も対象とした試験方案を検討していたが 不慮のトラブルから米国から入荷できていない状況が続いている そのための国内製蓄電池 ( パナソニック ) のみを用いた試験を実施した (1) 検証試験内容 1 検証試験日程 3 月上旬 : 試験用システム構築 3 月中旬 :2 週間 冬季の需給想定 モードにて動作検証 3 月下旬 :2 週間 夏季の需給想定 モードにて動作検証 ( 但し 日射量が良い日のみ選定 ) 2 検証試験項目試験中は電力計測を行うとともに 下記試験項目を毎日確認する 太陽光発電量及び蓄電量が低下する際に 実際にどこまで利用可能か? 蓄電量低迷時 故障時(PV 直流回路の断線等 ) に ユーザーが把握できるか? 遠方監視による発電量や蓄電量の監視 及びバックアップ方法を検証 数 kw のポータブル発電機での具体的なバックアップ方法を確立 家電通信規格(ECHONET Lite 規格 ) を利用すると より最適化できないか? その他 挙動なく安定運用が可能か? 3 評価項目 課題と解決策 費用対効果 190

(2) 試験時のシステム構成 試験時には 下図の試験装置を構築して実施する 機器はリース調達機器を調達する 100W 100W 300W 設定 600W 設定 600W 設定 定格 6kW ( 別途調達 ) タイマ電源 タイマ電源タイマ電源タイマ電源タイマ電源 試験時 / 将来連系無し < 太陽電池モジュール> コンテナPVを流用リース調達 1 太陽電池パネル JCU 製 260W JCUMS-6P6A-260-B 6kW 接続時 :24 枚 (260W 24 枚 =6.24kW 定格 )8 直 3 並列 ( コンテナ PV1 台分 ) 10kW 接続時 :40 枚 (260W 40 枚 =10.4kW 定格 )8 直 5 並列 < 蓄電池装置 > パナソニック製リース調達 1パワーステーション (5.5kW) 本体 LJP25533K 1 台 2パワーステーション (5.5kW) ベース LJP533K 1 台 3リチウムイオン蓄電池ユニット (11.2kWh) LJB1156 2 台 1 組 (2 台 / 組 ) 4 電力切替ユニット ( 特定負荷ブレーカ付 ) LJP63353 1 台 < 電力計測装置 > パナソニック製リース調達 1Data Logger Light(DLL) AKL1000 2 台 2 無線環境ユニット ENR1 親機 RS485 タイプ UENRMU002 2 台 3 無線環境ユニット ENR1 子機 RS485 タイプ UENRSU002 4 台 4 無線環境ユニット ENR1 スリーブアンテナ UENRSA801 6 台 5エコパワーメータ KW1M AKW1110B 4 台 6 専用電流センサ (CT) AKW4801B 4 台 < ポータブル発電機 > 所有品 1SUBARU2.5kVA SGI25 1 台 191

(3) 模擬需給想定 1 冬季の需給想定 100W 白熱電灯及び熱源ヒータ 及び電源タイマを使用した模擬負荷にて実施する 時刻 需給想定 負荷想定 模擬負荷 PV 充放電蓄電量合計 冷蔵庫照明 TV エアコン 炊事 その他電灯 1 電灯 2 熱源 1 熱源 2 熱源 3 0:00 0-0.1 5.89 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 1:00 0-0.1 5.77 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 2:00 0-0.1 5.66 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 3:00 0-0.1 5.54 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 4:00 0-0.1 5.43 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 5:00 0-0.1 5.31 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 6:00 0-1.1 4.05 1.1 0.1 0.1 0.2 0 0.6 0.1 0.1 0.1 0.3 0.6 7:00 0-1.1 2.78 1.1 0.1 0.1 0.2 0 0.6 0.1 0.1 0.1 0.3 0.6 8:00 0.5-0.6 2.09 1.1 0.1 0.1 0.2 0 0.6 0.1 0.1 0.1 0.3 0.6 9:00 1 0.7 2.79 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0 0.3 10:00 1.5 1.2 3.99 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0 0.3 11:00 2 1.9 5.89 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 12:00 2 1.9 7.79 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 13:00 2 1.9 9.69 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 14:00 1.5 1.2 10.89 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0 0.3 15:00 1 0.7 11.59 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0 0.3 16:00 0.5 0.2 11.79 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0 0.3 17:00 0-1.1 10.53 1.1 0.1 0.1 0.2 0 0.6 0.1 0.1 0.1 0.3 0.6 18:00 0-1.1 9.26 1.1 0.1 0.1 0.2 0 0.6 0.1 0.1 0.1 0.3 0.6 19:00 0-1.1 8.00 1.1 0.1 0.1 0.2 0 0.6 0.1 0.1 0.1 0.3 0.6 20:00 0-0.5 7.42 0.5 0.1 0.1 0.2 0 0 0.1 0.1 0.1 0.3 21:00 0-0.5 6.85 0.5 0.1 0.1 0.2 0 0 0.1 0.1 0.1 0.3 22:00 0-0.5 6.27 0.5 0.1 0.1 0.2 0 0 0.1 0.1 0.1 0.3 23:00 0-0.5 5.70 0.5 0.1 0.1 0.2 0 0 0.1 0.1 0.1 0.3 0:00 0-0.1 5.58 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0.1 192

2 夏季の需給想定 100W 白熱電灯及び熱源ヒータ 及び電源タイマを使用した模擬負荷にて実施する 時刻 需給想定 負荷想定 模擬負荷 PV 充放電蓄電量負荷 冷蔵庫照明 TV エアコン 炊事 その他電灯 1 電灯 2 熱源 1 熱源 2 熱源 3 0:00 0-0.4 5.54 0.4 0.1 0 0 0.3 0 0 0.1 0.3 1:00 0-0.1 5.43 0.1 0.1 0 0 0 0 0.1 2:00 0-0.1 5.31 0.1 0.1 0 0 0 0 0.1 3:00 0-0.1 5.20 0.1 0.1 0 0 0 0 0.1 4:00 0-0.1 5.08 0.1 0.1 0 0 0 0 0.1 5:00 0-0.1 4.97 0.1 0.1 0 0 0 0 0.1 6:00 0-1.4 3.36 1.4 0.1 0.1 0.2 0.3 0.6 0.1 0.1 0.1 0.6 0.6 7:00 0.5-0.9 2.32 1.4 0.1 0.1 0.2 0.3 0.6 0.1 0.1 0.1 0.6 0.6 8:00 0.5-0.9 1.29 1.4 0.1 0.1 0.2 0.3 0.6 0.1 0.1 0.1 0.6 0.6 9:00 1 0.7 1.99 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0.3 10:00 1.5 1.2 3.19 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0.3 11:00 3 2.6 5.79 0.4 0.1 0 0 0.3 0 0 0.1 0.3 12:00 3 2.6 8.39 0.4 0.1 0 0 0.3 0 0 0.1 0.3 13:00 3 2.6 10.99 0.4 0.1 0 0 0.3 0 0 0.1 0.3 14:00 1.5 1.2 12.19 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0.3 15:00 1 0.7 12.89 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0.3 16:00 0.5 0.2 13.09 0.3 0.1 0 0.2 0 0 0.3 17:00 0.5-0.9 12.05 1.4 0.1 0.1 0.2 0.3 0.6 0.1 0.1 0.1 0.6 0.6 18:00 0-1.4 10.44 1.4 0.1 0.1 0.2 0.3 0.6 0.1 0.1 0.1 0.6 0.6 19:00 0-1.4 8.83 1.4 0.1 0.1 0.2 0.3 0.6 0.1 0.1 0.1 0.6 0.6 20:00 0-0.8 7.91 0.8 0.1 0.1 0.2 0.3 0 0.1 0.1 0.1 0.6 21:00 0-0.8 6.99 0.8 0.1 0.1 0.2 0.3 0 0.1 0.1 0.1 0.6 22:00 0-0.8 6.07 0.8 0.1 0.1 0.2 0.3 0 0.1 0.1 0.1 0.6 23:00 0-0.8 5.15 0.8 0.1 0.1 0.2 0.3 0 0.1 0.1 0.1 0.6 0:00 0-0.4 4.69 0.4 0.1 0 0 0.3 0 0 0.1 0.3 193

(4) 試験結果 < 試験装置 > 太陽光パネル ( コンテナ PV 流用 ) 蓄電池装置と模擬負荷 蓄電池装置リモコン 負荷制御用電源タイマ 分電盤 計測装置収集箱 計測装置データ集積 PC ポータブル発電機 194

<6.0kW 接続時 > 太陽光発電量及び蓄電量が低下する際に 実際にどこまで利用可能か? 太陽光発電量には依存せず 蓄電量 0% まで利用可能であった 2.0 1.8 1.6 消費電力量 kwh 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 時間 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 13 日模擬負荷 14 日模擬負荷 16 日模擬負荷 17 日模擬負荷 22 日模擬負荷模擬負荷 充電中状態 放電中状態 195

蓄電量低迷時 故障時 (PV 直流回路の断線等 ) に ユーザーが把握できるか? 故障時 (PV 直流回路の断線等 ) 故意に ブレーカを遮断 1 回線程度であれば 特に変化なし (PV 出力低下と同様 ) 全回線が断線した場合には 異常検知によりシステム停止となる 蓄電量低迷時蓄電残量が 10% 以下になるとリモコンのブザーが鳴りメッセージが表示される 蓄電残量が 0% になると使用している電気機器が止まり システムも停止する 蓄電残量が 5% になるまで充電のみの運転となり 5% を超えると電力の供給を開始する その他自立運転中の消費電力が出力可能な電力より大きい場合 ( 定格出力 5.5kW) は 運転を一時停止し リモコンのブザーが鳴りメッセージが表示される 決定 ボタンで運転を再開する 上記を 5 回くり返すと機器保護のため 異常による停止状態になる 数 kw のポータブル発電機での具体的なバックアップ方法を確立 下記手順でポータブル発電機からの補充電は可能である 1 ポータブル発電機 - 小型変圧器 - 蓄電池装置の分電盤 ( 商用電源端子 ) に接続 2 通常は自立運転状態であるが リモコン画面で 自立 / 連系 から連系を選択 3 連系運転状態となり 充電が開始される <ポータブル発電機のバックアップ補充電試験状況 > 1 日目 1) 商用からの接続を切り 発電機 - 小型変圧器 - 蓄電池装置で接続 自立運転状態 2) リモコン画面では 自立 / 連系 の画面に切り替わり 連系を選択 3) 逆潮用 CT 取付判定 画面に切り替わり 判定 NG 自立運転へ戻る 4) CT 接続状態 結線状態を確認し トランスから商用系統とパワコン入力を接続 5) トランスのブレーカを ON すると同時に商用 自立の切り替えが商用に ON 6) リモコン画面では蓄電優先となるも 連系停止中の表示 196

2 日目 1) ポータブル発電機 2.5kVA の容量不足を疑い 発電容量 25kVA の発電機に取り換えた 2) 再試験を実施したところ 充電できることを確認できた 3) 再試験時のリモコン表示の充電電力は 3.0kWであった 4) このため 3.0kVA 以上の発電機であれば 充電可能であったと推察する 5) 充電電力制御が可能であれば 1.0kVA 未満でも充電可能であると考えられる 遠方監視による発電量や蓄電量の監視 及びバックアップ方法を検証 HEMS モニターの表示内容を遠方からも監視可能である 4 太陽光発電状況 5 蓄電池充 / 放電状況 6 パワーステーション出力 / 停止状況 7 使用可能時間 家電通信規格 (ECHONET Lite 規格 ) を利用すると より最適化できないか? エコーネットコンソーシアムが定める家電通信規格 (ECHONET Lite 規格 ) は ZEH や VPP ERAB 等の影響で近年更新が相次いでいる 蓄電池クラスも 2016 年 5 月の改定で大幅に機能追加されている 今回試験で用いた蓄電池装置は メーカーに確認したところ ECHONET Lite 規格 Release G 対応品で 今後は Release Hに移行予定とのこと 例えば隣接した家屋に対して遠方から電力融通制御でバックアップするなど考えた場合 Release G でも対応可能であるが Release Hではより精度の高い制御が可能になると考えられる <Release G> 必須コマンドのみ 運転動作状態( 急速充電 / 充電 / 放電 / 待機 / テスト / その他 ) 運転モード設定( 急速充電 / 充電 / 放電 / 待機 / テスト / 自動 / その他 ) の指令 蓄電残量(Wh 表示 /% 表示 ) <Release H> 必須コマンドのみ 運転動作状態( 急速充電 / 充電 / 放電 / 待機 / テスト / 自動 / 再起動 / 実効容量再計算処理 / その他 ) 運転モード設定( 急速充電 / 充電 / 放電 / 待機 / テスト / 自動 / 再起動 / 実効容量再計算処理 / その他 ) 蓄電残量(Wh 表示 /% 表示 ) 系統連系状態( 系統連系 ( 逆潮流可 )/ 独立 / 系統連系 ( 逆潮流不可 )) AC 実効容量 ( 充電 / 放電 ) AC 充電 / 放電可能容量 AC 充電 / 放電可能量 AC 積算充電 / 放電電力量計測値 AC 充電量 / 放電量設定値 最小最大充電 / 放電電力値 197

ECHONET Lite 規格は任意コマンドではあるが 充電電力設定値 (EPC:0xEB) があり これ に対応している機種であれば 充電電力を制御して 1.0kVA 未満のポータブル発電機でも蓄電 池補充電が可能となる その他 挙動なく安定運用が可能か? 今回試験では蓄電残量低下時以外では 特に挙動なく安定運用が可能であった < 評価項目 > 課題と解決策 今回試験では以下の価格の蓄電池装置を使用したが 現時点での価格では経済性が見込めない テスラ社の蓄電池装置を使用することはできなかったが 国産の蓄電池装置がテスラ社の低価格販売をきっかけに安価になることで 将来経済性が見込めるようになることに期待したい 費用対効果 今回試験で使用した蓄電池装置の標準価格は 下記の通りである 1パワーステーション (5.5kW) 本体 LJP25533K 1 台 730,000 円 2パワーステーション (5.5kW) ベース LJP533K 1 台 170,000 円 3リチウムイオン蓄電池ユニット (5.6kWh) LJB1156 2 台 / 組 1 組 2,080,000 円 4 電力切替ユニット ( 特定負荷ブレーカ付 ) LJP63353 1 台 175,000 円 5 蓄電池ネットアダプタ LJ-NA01 1 台 40,000 円 6AiSEG MKN700 1 台 40,000 円 7HEMS モニター (7 型 ) MKN710K 1 台 94,000 円 小計 3,329,000 円 消費税 266,320 円 合計 3,595,320 円 198