建築用仕上塗材の改修設計

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第2章 長寿命化改修各論 ~耐久性向上編~(1)

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また 建築工事市場単価フォローアップ要領 の3. 検討のための要件及び対応の内 3-4 本施行されている工種の急激な価格変動が認められた場合 の調査方法について フォローアップにおける定点調査の所要な変更を行った 内容は次回の定点調査は代表細目から全細目に変更することし 解りやすい表現とした 3.2

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114 ライン 5000 番級 弱溶剤 2 液型低汚染リアルハイブリッドシリコン樹脂塗料 親水性 低汚染性 高耐候 高耐久性 臭気がマイルド ホルムアルデヒド放散等級居室内で無制限に使用できます 防藻 防カビ性 環境低負荷

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建築用仕上塗材の改修設計 平成 28 年 2 月 22 日東京平成 28 年 3 月 8 日大阪平成 28 年 3 月 9 日名古屋 日本建築仕上材工業会企画総務委員会

目次 1. 仕上塗材 塗料とは 2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 3. 長寿命改修の考え方

1. 仕上塗材 塗料とは

1. 仕上塗材 塗料とは 塗料 仕上塗材 塗り厚数十ミクロン数 mm~ 約 10mm 材料の品質 日本標準産業分類の製造業区分 建築学会標準工事仕様書の区分 国交省標準工事仕様書の区分 JIS K XXXX JIS A 6909 ( 化学 ) ( 建築 ) F- 製造業 F- 製造業 1754 塗料製造業 3299 その他製造業 JASS18 塗装工事 JASS15 左官工事 JASS23 吹付け工事塗装工事左官工事 ( 仕上塗材仕上げ )

1. 仕上塗材 塗料とは 低粘度 ( 塗料 ) 粘度 粘性 高粘度 ( 仕上塗材 ) 例 ) JIS K ( 塗料 ) JIS A 6909 ( 建築用仕上塗材 ) 塗装器具 日本建築仕上材工業会 はけ ローラー スプレーガン エアレス 万能ガン スタッコガン リシンガン こて 砂骨ローラー( マスチック ) 仕上がり性 塗膜が薄い刷毛目がでにくいレベリング性がよい 塗膜が厚い自由自在なテクスチャーパターン付け

1. 仕上塗材 塗料とは 薄付け仕上塗材 下 地 厚付け仕上塗材 下 地

1. 仕上塗材 塗料とは 複層仕上塗材 下 地 1) 軽量 経年劣化などで塗膜が剥離した場合でも人名を損なうことが無いのも特徴の 1 つでメンテナンスも塗り重ねによる対応が可能 ( 活膜に限る ) 2) 耐用年数 躯体の耐久性に比べると耐用年数が短いため 経年における劣化状況を把握し 適切に改修することが重要

1. 仕上塗材 塗料とは 平滑刷毛 エアレス ウールローラー スプレー平らな面の仕上りなみがた多孔質ローラーさざ波状の山立ち仕上げ砂壁状リシンガン吹付砂状の形状が露出した粗い仕上げゆず肌リシンガン タイルガン吹付ゆずの表面肌状の仕上げ凹凸タイルガン吹付大小の玉を散らした山 谷のはっきりした仕上げヘッド押さえタイルガン吹付後凸部押え凹凸の凸部をローラーで押えた仕上げスタッコ状吹放しスタッコガン吹付け粗く山 谷の差を強調した仕上げスタッコヘッド押えスタッコガン吹付け後ヘッド押えスタッコの山部をコテ ローラーで平らに押さえたり カットした仕上げホーロー調タイルガン吹付けゆるく大きな波を打ち艶やかで金属ホーローのような滑らかな仕上げ

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ )

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 建物外皮の改修設計上 仕上げ分野の担う役割は非常に大きい 美観向上 建物の保護 居住性の向上 資産価値の向上

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) ( 調査 診断の抜粋 ) 外壁の仕上塗材仕上げは 躯体の耐久性に比べると耐用年数が短いため 経年における劣化状況を把握し 適切に改修することが重要である 劣化現象とは 劣化外力により塗膜に期待される本来の機能が失われる現象 第一段階 表面が汚れ 変退色 白亜化などで外観の機能が失われた段階 第二段階 表面劣化が進行して白亜化 磨耗 割れなどが生じ 塗膜が連続性を失いだし 割れが下地まで進行したり 部分的な膨れ 剥がれが生じ 下地に対する保護機能が低下し始めた段階 第三段階 下地への付着性が低下して連続性が失われ 保護機能を失い 下地の表面層の劣化が進行し始めた段階

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 劣化した仕上塗材仕上げ表面

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 1) 目的 調査 診断により改修が必要であると判断された部位を対象として 美観の回復 下地の保護 安全性の確保などを目的として実施する 2) 仕上塗材の主要な性能 美観 1 テクスチャー 3 光沢 2 色調 4 耐汚染 仕上塗材の性能 耐久性 下地保護 1 耐水性 2 耐アルカリ性 3 耐候性 4 耐熱性 5 付着力 1 中性化抑制 ( 炭酸ガス SOX NOXの透過抑制 ) 2 塩化物イオン透過抑制 3 耐透水性 4 耐透湿性 5 耐酸性 6 下地挙動への追従性 7 断熱性 8 凍結融解抵抗性

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 既存塗膜の処理方法の選定 改修工事は 新築工事と異なり 既存塗膜の処理が必要となる 脆弱な塗膜 塗膜表面の付着物 下地や塗膜の劣化部分などを適切に処置しないと 改修に用いる塗膜の連続性や付着性が確保されず 改修後の不具合や早期劣化に至る可能性がある 改修設計にあたっては どのような方法で処理するかを総合的に検討しておくことが肝要である 既存塗膜の処理方法 (1) 清掃 (2) 除去 塵あい 菌類 藻類 油脂類 白亜化 エフロレッセンスなどの粉類 鉄さび 機械的 ( 物理的 ) 除去 化学的除去 (3) 固定 シーラー塗り 下地調整塗材塗り

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 既存塗膜の処理方法の選定 下地の種類 既存塗膜の劣化状態 既存塗膜の種類 建物の立地条件 改修に用いる仕上塗材の種類 改修に用いる仕上塗材の工法 テクスチャー 処理方法の選定 設定耐用年数 改修コスト 工期 処理技能レベル その他の要因 参考 ; 日本建築学会内外装改修工事指針 ( 案 ) 同解説解説図 5.3.5 処理方法選定のための要因

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 既存塗膜の全面除去方法の選定

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 改修材料 工法の選定 1) 仕上面の状態 耐用年数 塗膜の機能 価格に関連する選定条件 2) 要求される性能に関連する選定条件 3) 中性化抑制効果に関連する選定条件 4) 有機溶剤の削減に関連する選定条件 5) 既存塗膜との適合性に関連する選定条件 6) シーリング材との適合性に関連する選定条件 7) 居室におけるホルムアルデヒド規制に関連する選定条件 8) 内装制限に関連する防火材料選定条件

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 改修材料 工法の選定

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 改修材料 工法の選定

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 改修材料 工法の選定

水性塗料と溶剤塗料の使い分け ( 用途 ) 水系上塗材を用いた複層塗材 E の溶剤削減率 ( 計算 ) 出展 : 日本建築仕上材工業会

2. 改修設計 ( 仕上塗材仕上げ ) 改修工事仕様書の作成 建築物全体の耐用年数を考慮して作成された長期保全計画にのっとり, 当該改修工事における目標とする耐用年数を決定する. 特に, 外装仕上げの耐用年数は, 単に適用する仕上塗材の種類やその工法の特性のみによって決定されるものではなく, 下地や部位さらには使用される環境条件や用途などによって変化するものである. また, 改修工事においては, 下地の補修方法や既存塗膜の処理方法などによっても大きな影響を受けることになる. したがって, 当該改修工事において目標とする耐用年数を確保するためには, 工事に着手する前に上述の項目以外にも材料性能を十分に発揮させるための施工工程, さらには検査の項目や方法などを十分に検討して仕様書を作成しておくことが重要である.

3. 長寿命改修の考え方

外装ライフサイクルコスト (LCC) 30 汎用仕上げ材料 (10 年想定 ) 汎用仕上げ 10 年毎の塗替え 耐候性仕上げ 15 年毎の塗替え 材料費 A 3 1.3A 2 足場代 4A 3 4A 2 人工代 3A 3 3A 2 合計 24A 16.6A コスト 15 耐候性仕上げ材料 (15 年想定 ) 0 5 10 15 20 25 30 35 A= 汎用仕上げ材料の材料費 経過年数 ライフサイクルコスト (LCC) の考え方の市場定着

長寿命改修の考え方 修繕 + 改良 = 改修

長寿命改修の考え方 事後補修より維持保全へ 修繕 + 改良 = 改修 付加価値のある外装仕上材の活用 ビル 賃貸テナント確保マンション資産価値向上に寄与することが出来る!

仕上塗材の役割 (1) 建物外壁の下地保護 屋外環境下の劣化因子から下地を守る役割 RC( 鉄筋コンクリート ) の中性化抑制 モルタル外壁 PCa ALC 等の乾式建材 (2) 機能の付与 外装 耐久性 耐候性 低汚染性 防かび 防藻性 遮熱性 内装 調湿性( 吸放湿性 ) 消臭性 汚染除去性( 拭き取り除去性 ) 照度向上性( 照明節約 ) (3) 美観の付与

長寿命改修の考え方 1. 躯体保護の持続性 1.1 雨水 炭酸ガス浸入抑制屋外環境下の炭酸ガス 雨水浸入抑制コンクリート中性化抑制 1.2 連続塗膜の持続性連続塗膜を持続する性能 ひび割れ追従性防水形 ( 弾性 高弾性 ) 可とう形 ( 微弾性 )

ひび割れ追従性能を有する仕上塗材の品質規格 平成 27 年度 NSK 講演会 JIS 試験項目 追従性試験 試験項目規格防水形 複層塗材 防水形外装薄塗材 可とう形改修塗材 可とう性 ひび割れがないこと 伸び (%) 標準時 伸び率 120% 以上 -10 時伸び率 20% 以上 浸水後 伸び率 100% 以上 加熱後 伸び率 100% 以上 伸び時の劣化 剝離, 反り及びねじれがなく, 主材に破断及びひび割れがない

複層仕上塗材 可とう形改修仕上塗材の活用 複層仕上塗材 (JIS A 6909) の種類と特徴 種別 複層塗材 RE 反応硬化形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材 複層塗材 E 合成樹脂エマルション系複層仕上塗材 生産割合 6.5% 55.2% 通称 エポキシ系吹付タイル ( 水性 ) アクリル系吹付タイル 防火認定 無 無 用途適用下地特徴 外装 内外装 ( 防火認定不要の場合 ) RC PC RC PC ALC 硬度が高い 塗膜に傷がつきにくい ローコスト 防水形複層塗材 E ( 高弾性タイフ ) 防水形複層塗材 E 30.1% 高弾性吹付 アクリルゴム系吹付タイル ( 高弾性 ) 弾性吹付 アクリルゴム系吹付タイル 無無 外装外装 RC PC ALC RC PC ALC ひび割れ追従性がある 水密性が高く比較的厚膜 ひび割れ追従性がある 水密性が高く比較的厚膜 複層塗材 Si けい酸質系複層仕上塗材 4.8% シリカ系吹付タイル ケイ酸質系吹付タイル 有 内外装 RC PC ALC 防火認定 複層塗材 CE ポリマーセメント系複層仕上塗材 0.9% ポリマーセメント系吹付タイル 有 内外装 RC PC ALC 防火認定 複層塗材 RS 合成樹脂溶液系複層仕上塗材 0.02% エポキシ系吹付タイル ( 溶剤系 ) 無 外装 RC PC 付着力が非常に高い 防水形複層塗材 RE 防水形反応硬化形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材 1.8% 特に無し無 外装 RC PC ALC 防水形複層塗材 RS 防水形合成樹脂溶液系複層仕上塗材 0.02% 特に無し 無 外装 RC PC ALC ひび割れ追従性がある 水密性が高く比較的厚膜 生産割合 : 日本建築仕上材工業会複層仕上塗材生産数量 (H21 年 ) より 複層塗材 CE 複層塗材 RS 防水形複層塗材 RE 防水形複層塗材 RS に関しては 近年採用は殆ど無い

複層仕上塗材 可とう形改修仕上塗材の活用 工程 塗膜の役割と機能 下塗り ( シーラー ) 下地 ( 素地 ) と中塗りとの密着性を高める 下地の吸い込みを抑制する 中塗り ( 主材 ) テクスチャーを形成する 防水機能を付与する 上塗り ( トッフ コート ) 色 光沢を付与する 防かび 防藻性を付与する 耐候性 耐汚染性を付与する 特殊機能を付与する ( 遮熱性 撥水性 )

複層仕上塗材 可とう形改修仕上塗材の活用 厚塗り仕上げゆず肌状 薄塗り仕上げ旧塗膜のパターン 可とう形改修塗材 E 可とう形改修塗材 RE マスチックローラー 0.8 kg/ m2 1 回塗り ウールローラー 0.3 kg/ m2 2 回塗り

外壁既存仕上塗材下地処理後の模様合わせ 平成 27 年度 NSK 講演会 ひび割れ補修箇所については 既存塗膜の模様合わせを行っておくことが美観復旧において重要! 参考 ; 日本建築学会内外装改修工事指針 ( 案 ) 同解説解説図 5.4.1 複層仕上塗材の模様合わせの例

長寿命改修の考え方 2. 美観持続性 2.1 耐候性能を考える 耐候性塗料系の上塗材への適用化

長寿命改修の考え方 金属系素地に対する塗装仕様の選び方の目安抜粋 ( JASS 18 付録 ) 環境 要求性能グレード 塗装仕様 耐久性 指数 コスト 指数 超高級 常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り Ⅴ E 外部 高耐久性 防 食 性 超高級 高級 弱溶剤系常温乾燥形 ふっ素樹脂エナメル塗り アクリルシリコン樹脂エナメル塗り Ⅴ Ⅳ~Ⅴ E D 高級 弱溶剤系アクリルシリコン樹脂 Ⅳ~Ⅴ D エナメル塗り 高級 2 液形ポリウレタンエナメル塗り Ⅲ C 高級 弱溶剤系 Ⅲ C 2 液形ポリウレタンエナメル塗り 耐久性指数 :Ⅰ( 劣る ) Ⅴ( 優れている ) コスト指数 :A ( 安価 ) E ( 高価 )

長寿命改修の考え方 セメント系素地に対する塗装仕様の選び方の目安 ( JASS 18 付録 ) 環境 要求性能 グレード 塗装仕様 耐久性 指数 コスト 指数 超高級常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り Ⅴ E 外部 高耐候性 超高級弱溶剤系常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り Ⅴ E 高級 アクリルシリコン樹脂エナメル塗り Ⅳ D 高級 弱溶剤系 Ⅳ D アクリルシリコン樹脂エナメル塗り 高級 2 液形ポリウレタンエナメル塗り Ⅲ C 高級 弱溶剤系 Ⅲ C 2 液形ポリウレタンエナメル塗り 美 装性 高級 ポリウレタンエマルションペイント塗り Ⅲ C

長寿命改修の考え方 耐候性塗料系の上塗材の優位性

長寿命改修の考え方 2. 美観持続性 2.2 耐汚染性能を考える 低汚染型塗料の上塗材活用 低汚染型塗料の普及

長寿命改修の考え方 2. 美観持続性 2.2 耐汚染性能を考える 低汚染性塗料 暴露風景 ( 建築研究所 / 機能性外装材委員 ) 一般塗料

長寿命改修の考え方 公的委員会での測定事例 汚れ防止研究委員会 ( 日本建築仕上材工業会 ) 平成 11 年 6 月から平成 13 年 10 月まで開催され塗料メーカー 19 社が参加していた委員会 市場での汚れ防止ニーズの高まりに対応し 汚れの試験方法を NSKS にて規格化することを目標に低汚染仕上塗材の研究開発につなげるための 技術委員会の下部組織として発足した 試験体の内訳 常温乾燥型ふっ素樹脂塗料 ( 溶剤型 水性 ) アクリルシリコン樹脂塗料 ( 溶剤型 水性 ) ポリウレタン樹脂塗料 ( 溶剤型 水性 ) アクリル樹脂エナメル ( 溶剤型 ) つや有合成樹脂エマルションペイント ( 水性 ) 無機塗料 その他

長寿命改修の考え方 汚れの評価 (NSK 汚れ防止研究委員会 ) 屋外暴露開始 3 ヶ月 6 ヶ月 11 ヶ月及び 17 ヶ月後に 2 通りの汚れの評価を行った 目視評価雨筋評価見本帳 (5 段階 ) を作成し 雨筋汚れを 5 段階評価した 色差計による評価 色差計を用いて明度 (L*) を測定 大口径ミノルタ CR-310( 直径 50mm) 雨筋の発生していない傾斜部と雨筋の発生した垂直部 ( 雨筋部分と雨筋でない部分を含めた全体 ) を測定 小口径ミノルタ CR-321( 直径 3mm) 垂直部分に発生した雨筋部分と雨筋の無い部分それぞれの L* 値を測定

長寿命改修の考え方 塗膜のぬれ性 ( 表面 ) 汎用塗料 親水性塗膜

長寿命改修の考え方 親水性塗膜による低汚染化 雨 膜表面の緻密性は高く 汚れが付着し難い 高い表面親水性により 汚れが浮き上がる 浮き上がった汚れは降雨とともに流れ落ちる ( セルフクリーニング )

水性塗料と溶剤塗料の使い分け ( 用途 ) 脱溶剤化 低 VOC 対策 水系塗料の普及も 環境条件下によって使い分け 出展 : 日本建築仕上材工業会

長寿命改修の考え方 (3) 美観の付与 仕上塗材による建物の資産価値向上化

長寿命改修の考え方 * 美観の付与 - 土塗壁調

長寿命改修の考え方 * 美観の付与 - 石材調

長寿命改修の考え方 * 美観の付与 - その他の仕上

長寿命改修の考え方 (4) 新規機能の付与 省エネ化 遮熱塗料の活用化 外皮側の表面温度低減化 空調費削減化

長寿命改修の考え方 高日射反射率塗料 (= 遮熱塗料 ) とは? 太陽光に含まれる近赤外領域の光を高いレベルで反射することにより塗膜ならびに被塗物の温度上昇を抑えることができる機能性塗料

長寿命改修の考え方 色相 明度低明度領域 近赤外波長域日射反射率 100 80 汎用塗料遮熱塗料 L*: 26.5 反射率 /% 60 40 20 0 0 500 1000 1500 2000 2500 中明度領域 100 80 汎用塗料遮熱塗料 反射率 /% 60 40 L*: 52.4 20 0 0 500 1000 1500 2000 2500 高明度領域 100 80 汎用塗料遮熱塗料 反射率 /% 60 40 L*: 90.9 20 0 0 500 1000 1500 2000 2500 波長 /nm

長寿命改修の考え方 明度と日射反射率の関係

長寿命改修の考え方 (5) その他の特徴を持った仕上塗材 MRSA から病院を守る塗料 カビに強い塗料

長寿命改修の考え方 平成 27 年度 NSK 講演会

長寿命改修の考え方 平成 27 年度 NSK 講演会

御清聴有難うございました 日本建築仕上材工業会