地方公共団体金融機構 IR 付属資料 地方公共団体の基金の効果的な運用と 地方金融機構債の活用について 2015 年 6 月
1. 基金に係る資金の性質と運用手法例 ➀ 資金の性質 重視される要件 運用スタイル 手元に確保しておきたい資金例 : 財政調整基金 流動性の確保 ➀ 一時的な資金運用 取り崩し時期が決まっている資金例 : 満期一括型減債基金 庁舎建設基金 取り崩し時期の把握 ➁ キャッシュ フロー マッチング ( 取り崩し時期に合わせた運用 ) 取り崩し時期が決まっていない資金 ( コア資金 ) 例 : 財政調整基金の一部 基金残高に占めるコア資金の割合等の把握 3(a) ラダー型運用 3(b) 金利予測に基づく運用 果実運用型基金例 : 福祉基金 長期的な基金残高の把握 3(C) 長期債運用 複数の基金が設置されている場合 基金の一元的な管理を行い 同様の性質の資金については 一括運用するなどの最適な運用を目指すことを検討する必要がある -1-
1. 基金に係る資金の性質と運用手法例 ➁ 1 一時的な資金運用 預金や短期国債による一時的な運用 (1 年以内 ) 償還期間が短いため利回りが低い 2キャッシュ フロー マッチング 将来発生する取り崩し時期及び金額に 債券等の償還を合わせるように運用 必要な時期に資金を確保しつつ 可能な限り長い運用が可能 3(a) ラダー型運用 毎年償還となる金額が一定となるように債券を保有する運用形態 満期の構成がラダー ( はしご ) に似ていることから このように呼ばれている 毎年一定額の債券を購入するため 毎年の金利変動を長期的に中立化 3(b) 金利予測に基づく運用 将来の金利変動を予測して 今後 金利が低下すると予測した場合には 長期債を購入 反対に 今後 金利が上昇すると予測した場合には 短期債を購入 金利を見通すのは難しく 購入時期の見極めが困難 3(c) 長期債運用 可能な限り償還期間が長い債券による運用 償還期間が長いため利回りが高い -2-
2. 債券運用について ➀ 金利状況や運用期間によっては 預金ではなく 債券の方がより運用益を確保できる場合があります 債券の特徴 定期的に利子が支払われ 償還日 ( 満期日 ) に元本が返還される仕組みは定期預金と類似している 運用期間は 10 年以上も可能で 償還日前に売却することも可能 なお 償還日前に売却する場合 元本を下回る金額しか返還されないリスク ( 中途解約リスク ) がある 預金金利との比較 国債の利回り 1 ヶ月 6 ヶ月 1 年 2 年 5 年 10 年 20 年 2012 年 1 月 16 日時点 ( 日銀緩和前 ) 0.100% 0.100% 0.119% 0.125% 0.339% 0.945% 1.715% 2015 年 5 月 13 日時点 0.004% -0.008% 0.001% 0.001% 0.132% 0.466% 1.240% みずほ銀行の大口定期預金利率 ( 大口定期預金 1,000 万円以上 ) ( 出典 ) 財務省ホームページ 国債金利情報 日本証券業協会ホームページ 公社債売買参考統計値 1 ヶ月 6 ヶ月 1 年 2 年 5 年 10 年 20 年 2012 年 1 月 16 日時点 ( 日銀緩和前 ) 0.025% 0.025% 0.030% 0.040% 0.080% 0.250% - 2015 年 5 月 13 日時点 0.025% 0.025% 0.025% 0.040% 0.050% 0.150% - 債券運用を積極的に実施している自治体の基金運用利回り ( 平成 25 年度 ) 福岡県福岡市 1.749% 大分県国東市 1.960% ( 出典 ) 各市ホームページ -3- ( 出典 ) みずほ銀行ホームページ 債券運用により安全かつ効率的な運用を実現
2. 債券運用について ➁ 地方公共団体における債券運用の状況 都道府県 政令市 11 団体 16.4% 56 団体 83.6% 市区町村 政令市除く 1143 団体 66.5% 575 団体 33.5% 債券残高あり 債券残高なし 都道府県及び政令市で 基金において債券残高を有している団体の割合は 83.6% となっております 市区町村で 基金において債券残高を有している団体の割合は 33.5% となっております 平成 25 年度末時点 資金管理等に関するアンケート ( 平成 26 年度地方公共団体金融機構実施 ) より作成 地方公共団体が購入できる債券 地方財政法第 4 条の 3 第 3 項積立金は 銀行その他の金融機関への預金 国債証券 地方債証券 政府保証債券 ( その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう ) その他の証券の買入れ等の確実な方法によつて運用しなければならない 地方金融機構債は極めて安全かつ有利な債券であり 多くの地方公共団体にご購入いただいております -4-
2. 債券運用について ➂ ~ 地方金融機構債の活用 ~ 都道府県 政令市をはじめ 市町村においても多くの団体に地方金融機構債を購入していた だいております 資金管理に関する規程の例 長浜市公金管理運用基準に関する規程 ( 抜粋 ) 平成 18 年 2 月 13 日訓令第 33 号 ( 最終改正 : 平成 22 年 8 月 20 日訓令第 37 号 ) ( 基金の管理及び運用 ) 第 8 条各種基金の管理及び運用は 歳計現金の例による ただし 利回りの比較 期間 金額等の点で 債券 ( 国債 地方債 政府保証債及び地方公共団体金融機構債 ) での運用が有利と判断される場合は 運用できるものとする ( 出典 ) 長浜市ホームページ 地方金融機構債の活用事例 ( 出典 )JFM だより vol.11 ( 出典 )JFM だより vol.10-5-
3. 基金の一括運用について ➀ 複数の基金が設置されている場合 基金の一元的な管理を行い 同様の性質の資金については基金を超えて一括運用することで 有利に運用できる場合があります ( 事例 ) 財政調整基金 5 億円の取崩し 個別管理している場合 基金名 財政調整基金 基金 区分 前年度現在高 年度中増減高 年度末現在高 預金等 200 200 0 債券 800 300 500 合計 1,000 500 500 預金等 100 0 100 債券 200 0 200 合計 300 0 300 基金 500 0 500 一括運用を行っている場合 ( 単位 : 百万円 ) ( 単位 : 百万円 ) 基金名 区分 前年度現在高 年度中増減高 年度末現在高 財政調整基金 1,000 500 500 基金 300 0 300 基金合計 預金等 2,000 500 1,500 債券 8,000 0 8,000 合計 10,000 500 9,500 預金等だけでは足りないため 債券の売却が必要となる 基金合計の預金額 20 億円から 5 億円を取り崩すため 債券は売却しない より長期の運用が可能に! 一括運用のメリット ➀ 効率性の向上 ➁ペイオフ対策 ( 金融危機対応 ) ➂ 事務の軽減 埼玉県 ペイオフ全面解禁後の公金管理 より抜粋 ノウハウを持った専担組織が 合算されまとまった資金を市場の動向に即して機動的に運用できる 金融機関の健全性の変化に即応し 預金引き揚げ等の対策を迅速に講じることができる 各基金の預託事務等が集約され 事務が軽減される -6-
3. 基金の一括運用について ➁ 地方公共団体における一括運用の状況 一括運用 とは 単に複数の基金の通帳や台帳を管理しているのではなく 資金を集約して定期預金や債券等で運用していること 都道府県 政令市 市区町村 政令市除く 18 団体 26.9% 10 団体 14.9% 15 団体 22.4% 24 団体 35.8% 35 団体 227 団体 13.2% 2.0% 全ての基金を一括運用している 1289 団体 75.0% 168 団体 9.8% 一部の基金を一括運用し それ以外は単独運用 複数の基金を一元的に運用せず 各基金単独で運用 その他 資金管理等に関するアンケート ( 平成 26 年度地方公共団体金融機構実施 ) より作成 都道府県及び政令市において複数の基金を一括運用している団体の割合は 58.2% となっており 特に政令市においては全ての基金を一括運用している団体が約 7 割を占めています 市区町村において複数の基金を一括運用している団体の割合は 23.0% となっています -7-
4. 一時借入と繰替運用による運用の比較 金利状況や歳計現金が不足する期間によっては 全額繰替運用ではなく 債券と一時借入との組み合わせの方が より収支を確保できる可能性があります 川崎市 戦略的資金管理推進検討委員会報告書 より抜粋 過去 3 か年の歳計現金の動きから 一時借入 ( 一借 ) と繰替運用による運用をシミュレーションし 比較すると 収支不足について全額一時借入で対応するパターンが最も運用益を上げられるという結果となった 比較 一借なし 全額一借 ( 全額債券運用 ) 収支不足 100 億円以上は一借 (100 億円未満は繰替運用 ) 推計 収支不足 200 億円以上は一借 (200 億円未満は繰替運用 ) 収支不足 300 億円以上は一借 (300 億円未満は繰替運用 ) -8- 収支不足 400 億円以上は一借 (400 億円未満は繰替運用 ) 債券運用額 97,300 184,500 174,500 164,500 154,500 144,500 繰替運用 & 預金運用額 87,200 0 10,000 20,000 30,000 40,000 H24 歳計現金 H23 歳計現金 H22 歳計現金 債券運用利子収入 1,405 2,664 2,520 2,375 2,231 2,087 繰替運用利子収入 1 0 0 1 1 1 預金利子収入 96 0 10 14 18 23 一時借入利子支出 0-57 -19-3 0 0 収支 1,502 2,607 2,511 2,387 2,250 2,111 債券運用利子収入 1,405 2,664 2,520 2,375 2,231 2,087 繰替運用利子収入 9 0 0 1 3 4 預金利子収入 114 0 3 8 16 26 一時借入利子支出 0-250 -135-58 -16-3 収支 1,528 2,414 2,388 2,326 2,234 2,114 債券運用利子収入 1,405 2,664 2,520 2,375 2,231 2,087 繰替運用利子収入 9 0 0 1 2 3 預金利子収入 105 0 6 12 20 29 一時借入利子支出 0-159 -79-31 -7 0 ( 出典 ) 川崎市ホームページ 収支 1,519 2,505 2,447 2,357 2,246 2,119 ( 単位 : 百万円 ) < 利子計算の前提条件 > 一時借入利率 1.475% 短期プライムレート 繰替運用利率 0.027% 本市基金の平成 24 年度繰替運用平均利回り 預金運用利率 0.137% 本市基金の平成 24 年度預金運用平均利回り 債券運用利率 1.1444% 本市基金の平成 24 年度債券運用平均利回り 全基金の残高は 1,845 億円とする (H25.3.31 時点残高 ) 一借なし の場合の債券運用額は 973 億円とする (H25.3.31 時点残高 ) 基金残高から債券運用額と収支不足額を控除した額を定期性預金として運用 収支不足額は各年度の実績を使用
連絡先 資金部資金課 住所 : 100-0012 東京都千代田区日比谷公園 1 番 3 号市政会館内 電話 :03-3539-2696 FAX :03-3539-2615 E-mail: shikinka@jfm.go.jp URL:http://www.jfm.go.jp/ ( 日比谷市政会館 ) 免責条項 1. 本資料は 参考情報として提供するものです 実際の資金運用にかかる政策判断や意思決定は 貴団体の責任と判断において実行してください 2. 本資料の一部あるいは全部について 公開情報を除き あらゆる権利を留保いたします 本資料の第三者に対する公表 譲渡は 事前承諾を受けた場合を除き コピー ファックス送付 郵送および手交等あらゆる手段において禁止されております 3. 本資料の内容について 真実性 正確性および完全性を保障するものではありません また 本資料の内容について 本資料作成時以降の環境変化などに伴い 変更することがあります 4. 本資料の受領者が本資料の一部または全部を利用することにより生じたいかなる紛争 損失 損害についても責任を負いません