1. 概要直近 5 ヵ年売上高 ROE 推移 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000, ,000 40% 30% 20% 10% 0% -10% -20% 左表は 直近 5 ヵ年の売上高及び ROE 推移である 2007/3 期にボーダ

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連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

第 16 回ビジネス会計検定試験より抜粋 ( 平成 27 年 3 月 8 日施行 ) 次の< 資料 1>から< 資料 5>により 問 1 から 問 11 の設問に答えなさい 分析にあたって 連結貸借対照表数値 従業員数 発行済株式数および株価は期末の数値を用いることとし 純資産を自己資本とみなす は

Microsoft Word - 訂正短信提出2303.docx

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計算書類等

(訂正・数値データ修正)「平成29年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

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(訂正・数値データ訂正)「平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

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10年分の主要財務データ

リコーグループサステナビリティレポート p

(2) サマリー情報 1 ページ 1. 平成 29 年 3 月期の連結業績 ( 平成 28 年 4 月 1 日 ~ 平成 29 年 3 月 31 日 ) (2) 連結財政状態 訂正前 総資産 純資産 自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円銭 29 年 3 月期 2,699 1,23

ご説明用資料 2018 年度決算概要 2019 年度業績予想 2019 年 5 月 15 日 Copyright (C) 2019 Toyo Business Engineering Corporation. All rights Reserved. 事業セグメント ソリューション事業 SAPを始め

平成31年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

財剎諸表 (1).xlsx

第4期電子公告(東京)

NO 連結精算表科目 & 連結開示 前連結会計 当連結会計 増減差額 科目 借 年度 年度 借方 方 連結借対照表 千円 千円 千円 千円 開 38 社債 20,000,000 5,000,000 開 39 長期借入金 16,500,000 16,071,500 開 40 リース債務 632,000

3. その他 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3)

添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

前連結会計年度 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) 当第 2 四半期連結会計期間 ( 平成 30 年 6 月 30 日 ) 負債の部流動負債支払手形及び買掛金 8,279 8,716 電子記録債務 9,221 8,128 短期借入金 未払金 24,446 19,443 リース

(訂正・数値データ訂正)「平成30年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

2017 年度決算概要 Ⅰ 年度連結業績概要 Ⅱ 年度連結業績予想 Ⅲ. 補足資料 シャープ株式会社 2018 年 4 月 26 日 見通しに関する注意事項 本資料に記載されている内容には シャープ株式会社及び連結子会社 ( 以下 総称して シャープ という ) の計画 戦略

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営業報告書

リリース

添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

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Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

4. 計数計画の策定 - (2/18) 解答 貸借対照表 ( 一部科目集約 ) ( 単位 : 千円 ) 実績 -1 計画 0 年目 計画 1 年目 計画 2 年目 計画 3 年目 計画 4 年目 計画 5 年目 H24/9 H25/9 H26/9 H27/9 H28/9 H29/9 H30/9 現金


決算説明補 資料 2018 年 3 期第 3 四半期 (IFRS) 株式会社リクルートホールディングス 本資料に含まれる数値 指標は 当社グループの経営成績及び財政状態に関して 適切な理解を促進することを 的として開 しており 全ての数値 指標が監査法 による監査 はレビューの対象ではない点にご留意

第4期 決算報告書


1. 国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 抜粋 翻訳 ) 国際財務報告基準に準拠した財務諸表の作成方法について当行の国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 以下 IFRS 財務諸表 という ) は 平成 27 年 3 月末時点で国際会計基準審議会 (IAS B) が公表している基準及び解釈指針に

タイトルを入力

Microsoft Word 決算短信修正( ) - 反映.doc

決算説明会プレゼンストーリー案の検討


定性的情報 財務諸表等 1. 連結経営成績に関する定性的情報当第 1 四半期におけるわが国の経済は 原油 穀物 原材料価格の高騰による物価上昇や米国経済の減速が 個人消費や外需への依存が大きい企業の収益に大きく影響し 景気の先行きに対する不透明感が一層増してきております こうした景気の先行きに警戒感

貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

2017 年 12 月期第 2 四半期決算 ( 平成 29 年 12 月期第 2 四半期決算 ) 補足説明資料 FACT SHEETS 2017 年 8 月 7 日 目次 2017 年 12 月期 ( 平成 29 年 12 月期 ) 第 2 四半期決算

-2-

平成29年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)



第6期決算公告


計算書類等

(2) 財政状態 ( 連結 ) の変動状況総資産 株主資本 株主資本比率 1 株当たり株主資本 百万円 百万円 % 円 銭 18 年 6 月期第 3 四半期 28,677 11, , 年 6 月期第 3 四半期 17 年 6 月期 27,515 11,159 40

営 業 報 告 書



ハウスフリーダム (8996) 平成 27 年 12 月期第 2 四半期決 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. サマリー情報 ( 注記事項 ) に関

連結財政状態計算書分析 資産 3,832 億円増 6 兆 2,638 億円 その他 +23 6,264 有形固定資産が減少したものの ビッグローブな どの連結子会社化に伴う資産の増加 au WALLET クレジットカード事業の拡大やau 携帯電話端末の 営業債権及びその他の債権 +16 割賦販売によ

営 業 報 告 書

(2) 財政状態 ( 連結 ) の変動状況総資産 株主資本 株主資本比率 1 株当たり株主資本 百万円 百万円 % 円 銭 18 年 6 月期第 1 四半期 27,832 10, , 年 6 月期第 1 四半期 17 年 6 月期 27,515 11,159 40

貸借対照表 平成 29 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 百万円 ) 資産の部 負債の部 流動資産 13,610 流動負債 5,084 現金 預金 349 買掛金 3,110 売掛金 6,045 短期借入金 60 有価証券 4,700 未払金 498 商品 仕掛品 862 未払費用 254 前

営業活動によるキャッシュ フロー 投資活動によるキャッシュ フロー 財務活動によるキャッシュ フロー 現金及び現金同等物期末残高 百万円 百万円 百万円 百万円 28 年 3 月期 12,634 11,407 4,547 34, 年 3 月期 14, ,391 38,41

スライド 1

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会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(計算書類及び連結計算書類)新旧対照表

連結財政状態計算書分析 資産 1,85 億円増 5 兆 8,72 億円 ジュピターショップチャンネルの新規連結化な 営業債権及び現金及びその他の債権現金同等物 その他の流動資産 +22 5,87 どに伴う資産の増加に加え au WALLET クレジッ トカード事業の拡大 au 携帯電

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Microsoft PowerPoint - ★決算説明資料_0110


ファクトブック(H ).xdw

精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

2009 年 12 月期第 2 四半期決算 ( 平成 21 年 12 月期 ) 補足説明資料 FACT SHEETS 2009 年 7 月 31 日 東京建物株式会社 目次 2009 年 ( 平成 21 年 )12 月期第 2 四半期決算 ( 連結 )

貸借対照表 ( 平成 25 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 14,146,891 流動負債 10,030,277 現金及び預金 2,491,769 買 掛 金 7,290,606 売 掛 金 9,256,869 リ

第28期貸借対照表

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注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3) 発行

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

貸 借 対 照 表 ( 平成 28 年 3 月 31 日現在 ) 科 目 金額 科 目 金 額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 4,007 流動負債 4,646 現金及び預金 2,258 買掛金 358 売掛金 990 リース債務 2,842 有価証券 700 未払金 284 貯蔵品

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第 76 期 計算書類 自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 大泉物流株式会社


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2019 年 3 月期 第 2 四半期決算短信 日本基準 ( 連結 ) 2018 年 10 月 30 日 上場会社名 日本冶金工業株式会社 上場取引所 東 コード番号 5480 URL 代 表 者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 木村 始 問合

監査手続の実施状況に関する表示この決算短信は 金融商品取引法に基づく監査手続きの対象外ですが この決算短信の開示時点において 金融商品取引法に基づく連結財務諸表の監査手続きは終了しております 業績予想の適切な利用に関する説明 その他特記事項 ( 国際会計基準 (IFRS) の適用 ) 当社は 平成

第 29 期決算公告 平成 26 年 4 月 1 日 平成 27 年 3 月 31 日 計算書類 1 貸借対照表 2 損益計算書 3 個別注記表 中部テレコミュニケーション株式会社

第69回取締役会議案書

2. 配当の状況 1 株当たり配当金 ( 基準日 ) 第 3 四半期末 円 銭 19 年 3 月期第 3 四半期 年 3 月期第 3 四半期 平成 20 年 3 月期の連結業績予想 ( 平成 19 年 4 月 1 日 ~ 平成 20 年 3 月 31 日 ) 参考 (%

定性的情報 財務諸表等 1. 連結経営成績に関する定性的情報当第 2 四半期連結累計期間におけるわが国の経済につきましては 米国金融危機に端を発した世界経済の混乱により 実体経済への深刻な影響が懸念される状況になってまいりました こうした経済環境のもと 当社グループの主力事業であります広告ビジネスに

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新旧対照表(計算書類及び連結計算書類)

国家公務員共済組合連合会 民間企業仮定貸借対照表 旧令長期経理 平成 26 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 円 ) 科目 金額 ( 資産の部 ) Ⅰ 流動資産 現金 預金 311,585,825 未収金 8,790,209 貸倒引当金 7,091,757 1,698,452 流動資産合計 3

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Microsoft Word - e00721_wk_ _ _表紙_osx昭文社_訂正3Q(平成23年3月期).doc

2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する


(1) 連結貸借対照表 ( 添付資料 16 ページ ) (3) 連結株主資本等変動計算書 ( 添付資料 28 ページ ) 6. 個別財務諸表 (1) 貸借対照表 ( 添付資料 31 ページ ) (3) 株主資本等変動計算書 以上 2

Transcription:

ソフトバンク 覆面会計士 T の財務調査報告書 ~ ソフトバンク 2009 年 3 月期分析 2009 年 8 月 31 日 目次 1. 概要 2. 損益計算書分析 3. 貸借対照表分析 4. キャッシュ フロー分析 5. 同業他社分析 6.T の視点 免責事項この財務調査報告書は 筆者の私見に基づくものであり 報告書内の数値 記述について保証を行うものではない 使用している情報は公表されているもののみであり 筆者の試算 分析数値を除き 誰でもが入手可能なものである この報告書は 特定の顧客に向けて作成されたものではなく 当該報告書の情報の利用について 筆者は何らの責任を負うものではない 覆面会計士 T の財務調査報告書

1. 概要直近 5 ヵ年売上高 ROE 推移 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 40% 30% 20% 10% 0% -10% -20% 左表は 直近 5 ヵ年の売上高及び ROE 推移である 2007/3 期にボーダフォンを取得しており それ以降売上高 約 2.5 倍 ROE も 2 倍以上となっている 0 2005/3 2006/3 2007/3 2008/3 2009/3-30% 売上 経常利益 / 純資産 企業業績の概要 2005/3 2006/3 2007/3 2008/3 2009/3 売上 837,018 1,108,665 2,544,219 2,776,168 2,673,035 経常利益 -45,248 27,492 153,423 258,614 225,661 経常利益率 -5% 2% 6% 9% 8% 当期利益 -59,871 57,550 28,815 108,624 43,172 当期利益率 -7% 5% 1% 4% 2% 純資産 178,016 242,767 716,237 848,725 824,798 経常利益 / 純資産 -25% 11% 21% 30% 27% 2007/3 期にボーダフォンを取得しており そのため 2007/3 期の投資 CF 財務 CF が大きくなっている 直近は利益の出る体質となっており 営業 CF も生み出せる体質となっている 営業 CF -45,989 57,806 311,201 158,257 447,857 投資 CF -242,944 27,852-2,097,937-322,461-266,295 財務 CF 277,770 30,078 1,718,384 284,727-210,348 CF 増減 -11,163 115,736-68,352 120,523-28,786 1 覆面会計士 T の財務調査報告書

2. 損益計算書分析 営業利益 EBITDA 売上 2,673,035 100% 売上原価 1,365,903 51% 販管費 948,011 35% 営業利益 359,121 13% 減価 のれん償却費 297,124 11% EBITDA 656,245 25% は営業利益率 13% EBITDA 率 25% となっている EBIT 経常利益 225,661 支払利息 112,345 受取利息 -1,399 EBIT 336,607 支払利息が 1,123 億と多額に発生している EBIT は 3,366 億円である 企業概要の情報及び損益計算書を見ると 成長企業であるように見える 売上は伸びているし ROE は 25% 超である しかし 損益計算書をよく見てみると 支払利息が 1,123 億円と多額であることに気づく そこで有利子負債はどの程度あるのか 貸借対照表 を見てみる 2 覆面会計士 T の財務調査報告書

3. 貸借対照表分析 連結貸借対照表 連結貸借対照表サマリー 2009/3 末 現金及び預金 457,953 売掛金 858,084 その他 204,276 流動資産 1,520,313 有形固定資産 1,000,946 のれん 956,730 ソフトウェア 226,131 その他無形資産 39,245 無形固定資産合計 1,222,108 投資その他の資産 641,980 固定資産合計 2,865,036 繰延資産 1,322 資産合計 4,386,672 短期借入金 575,532 その他流動負債 774,051 流動負債 1,349,583 社債 324,566 長期借入金 1,436,292 その他固定負債 451,432 固定負債 2,212,290 負債合計 3,561,873 純資産 824,798 負債 純資産合計 4,386,672 現金及び預金 457,953 10% のれん 956,730 22% その他資産 2,971,989 68% 資産合計 4,386,672 100% 有利子負債 2,336,390 53% その他負債 1,225,483 28% 負債合計 3,561,873 81% 純資産 824,798 19% 負債 純資産合計 4,386,672 100% 運転資本 2009/3 末 売上債権 858,084 棚卸資産 42,320 仕入債務 -160,339 運転資本 740,065 月数 売上債権回転期間 3.9 在庫回転期間 0.4 仕入債務回転期間 -0.7 運転資本回転期間 3.5 3 覆面会計士 T の財務調査報告書

4. キャッシュ フロー分析 連結キャッシュ フロー計算書 営業 CF 447,857 投資 CF -266,295 財務 CF -210,348 差額 -3836 増減 -32,622 期首 490266 期末 457,644 有利子負債関連 2009/3 末 うち1 年内 短期借入金 575,532 575,532 社債 324,566 64,000 長期借入金 1,436,292 0 リース債務 ( 流動 ) 88,241 88,241 リース債務 ( 固定 ) 233,314 0 未経過リース料 (Fリース) 141,378 30,726 未経過リース料 (Oリース) 63,059 21,930 合計 2,862,382 780,429 営業 CF+ 投資 CF 181,562 貸借対照表を見ると 有利子負債が 2 兆 3 千億円あることがわかり 総資産の 53% である 資産側ではのれんの 9,567 億円 ( 約 1 兆円 ) が目立つ のれん 1 兆円に対して 純資産は 8,250 億円であり のれんが純資産を支えている状況である 運転資本が 7,400 億円に対して短期借入金が 5,755 億円あり 営業活動においても借入金が欠かせない状況であることがわかる 次に キャッシュ フローの状況を見てみると 営業 CF は順調に出ている様子がうかがえる 営業 CF と投資 CF の合計を簡易なフリー キャッシュ フローと考えると FCF が 1,815 億円であることがわかる 有利子負債関連の情報を見てみる 借入金 社債に合わせてリース債務も有利子負債なのでここに含める オフバランス情報は注記から拾ってくる すると 有利子負債が 2 兆 8 千億円あることがわかる さらに そのうち 1 年内に返済期限の来るものが 7,800 億円ある FCF は 1,800 億円である 営業活動で稼いできたキャッシュと その営業活動を維持するために必要な投資をした残りは 1,800 億円であり これが借金の返済財源となるはずである 7,800 億円は返せない FCF を約 2,000 億円とすると 差額 5,800 億円は返せない 現預金が 4,500 億円あるが これを取り崩してもまだ 1,300 億円足りない 4 覆面会計士 T の財務調査報告書

5. 同業他社分析 各社携帯電話事業セグメント情報 SoftBank NTTドコモ KDDI 売上高 1,562,890 4,381,254 2,719,211 営業費用 1,391,500 3,525,967 2,217,750 営業利益 171,390 855,287 501,461 営業利益率 11.0% 19.5% 18.4% 資産 3,033,653 4,960,000 1,974,648 減価償却費 212,946 796,807 305,306 減損損失 0 0 43,614 資本的支出 199,568 601,307 445,846 償却費 / 資産 7.0% 16.1% 15.5% 減価償却方法 SoftBank NTTドコモ KDDI 機械設備 定額法 定率法 定率法 耐用年数 N/A 8~16 年 2~17 年 減価償却方法の調整 調整前 のれん控除 控除後 資産 3,033,653 956,730 2,076,923 減価償却費 212,946 61,111 151,835 償却率 7.0% 6.4% 7.3% のれん控除後 16% 償却 追加償却費 資産 2,076,923 - - 減価償却費 151,835 332,308-180,473 営業利益 171,390 - -9,083 各社携帯電話事業セグメント情報 左上表は のソフトバンク NTT ドコモ KDDI の携帯電話事業セグメントの情報である NTT ドコモが 売上 営業利益率ともトップであることがわかる 注目していただきたいのは 減価償却費である NTT ドコモ及び KDDI が償却率 16% 前後に対して ソフトバンクは 7% と低い そこで 減価償却方法の情報を探してみると ソフトバンクは機械設備を定額法で償却していることがわかる さらに その耐用年数の開示はされていなかった 減価償却方法の調整 営業利益調整 また ソフトバンクの資産及び減価償却費にはのれんが含まれているため これを除く調整をする なお ソフトバンクののれん償却費は ボーダフォン ( 現ソフトバンクモバイル ) のものがほとんどであるので 全額を控除する のれん控除後の資産は KDDI と同水準となるが その償却費は約半分である 次に 同業他社の水準である 16% で償却計算をしたらどうなるか試算したところ 減価償却費は 3,323 億円となり 追加で 1,804 億円費用が発生する計算になる 最後に この追加費用を当該セグメントの営業利益から差し引くと 90 億円の営業損失であると試算された 5 覆面会計士 T の財務調査報告書

のれん償却費調整 のれん当初計上額 償却年数 のれん償却費 20 年の場合 1,222,220 20 61,111 5 年の場合 1,222,220 5 244,444 差額 -183,333 調整前 16% 償却 5 年償却 営業利益 171,390-9,083-192,416 のれん償却年数の調整 ボーダフォン取得のれんは 20 年と日本基準で認められる最長年数で償却されているので これを 5 年で償却した場合どうなるか試算する のれん償却費 611 億を 20 倍した 1 兆 2 千億をのれんの当初計上額とすると 5 年償却では償却費は 2,444 億円となる 上記の調整計算の結果 最終的に 1,924 億円の営業損失となった 6.T の視点減価償却費分析について付け加えておきます 通常であれば償却費とほぼ同額の設備投資が行われるのが一般的な状態と考えると ソフトバンクが同業他社並みの償却計算をしたときの償却費 3,320 億円に対して 実際の設備投資は約 2,000 億円であり 維持投資をしていないということになります 設備が陳腐化しているということです NTT ドコモや KDDI を見ると ほぼ償却費と同額の投資をしており 一見するとソフトバンクも同じように見えます しかし実際は 同業他社ほどのペースでは取替投資をしていないことがわかります この試算で ソフトバンクが粉飾をしていると言っているのではありません この償却方法がソフトバンクの実態を表しているのでしょう 他社よりも長い耐用年数で償却しているということは つまりソフトバンクは他社よりも長い期間その設備を使うのです そして 取替投資を抑えて キャッシュを蓄えている 言いかえれば 積極的な設備投資をするだけのキャッシュがない状態なのでしょう このことは 有利子負債分析でわかります 2 兆 8 千億の有利子負債を抱えています さらに オフバランスしている社債が 750 億あります そして支払利息は 1,000 億を超えています フリー キャッシュが約 2,000 億であり これで借金を返していかなければなりません NTT や KDDI のように 5,000 億も設備投資に回せないのです 一見すると 利益が出ているように見えましたが 減価償却方法で黒字にもなり 赤字にもなることがわかります のれん償却費の調整は 6 覆面会計士 T の財務調査報告書

若干数字遊びの嫌いがありますが それでも耐用年数を何年にするかで 利益金額が大きく変わってくるということがよくわかると思います 細かく記載しませんでしたが 借金関係の注記がかなりあり 複雑な状況です ( 財務制限条項や担保 デット アサンプションなど ) 借金返済のために借金を重ねる状況であり 金融機関としても担保をしっかりと押さえたいところでしょう ソフトバンク分析をまとめると 下記のようになるでしょうか 2 兆 8 千億の有利子負債があり そのうち 1 年内に返済期限が来るものが 7,800 億 それに対して フリー キャッシュは 2 千億 現預金は 4,500 億であり 差額 1,300 億は借金が必要な状況 のれん 1 兆円に対して 純資産 8,250 億円であり 実体があるか分からない のれん が純資産を支えている状況 設備の維持投資を同業他社の半分以下の水準に抑えなければならない状況 多額ののれんを抱えているため その償却負担が大きく 利益を圧迫している状況 端末純増数ナンバー 1 というニュース 有名な CM 高い株価 でも 有価証券報告書を読んでみると 違った顔が見えてきました それが 今回の感想です ちなみに 2010 年 3 月期に入ってから 8 月末までに 2 度の社債発行をしており 合計 900 億円の調達を試みているようです 筆者が足り ないと指摘した 1,300 億円の調達を行っているようです 以上 7 覆面会計士 T の財務調査報告書