資料 2 平成 27 年度 第 2 回米軍施設環境対策事業検討委員会 ~ 海外調査結果について ~ 平成 27 年 12 月 2 日 沖縄県環境部環境政策課基地環境特別対策室
第 1 章海外調査 1.1 調査目的国外における米軍基地由来の環境問題や 基地返還予定地及び返還跡地における環境問題に関する実態や制度等に関する情報について調査 収集することを目的として 海外調査を実施した 1.2 渡航先及び選定理由 米国への渡航理由は以下のとおりである 表 1-1 海外調査の渡航先及び選定理由 渡航先 渡航先の選定理由 米国 ノースカロライナ州 基地環境問題に対して最新の浄化技術を有する キャンプレジューン基地が所在している キャンプレジューンの近くには 昨年度 ROD(Record of Decision) について調査を実施したチェリーポイント基地が所在している マサチューセッツ州 軍施設の浄化に関わっている 米国環境保護庁第一管区 (EPA リージョン 1) が所在している ワシントン DC 資料収集業務委託業者と資料収集の状況と今後の作業につい て打合せを行った 注 1) キャンプレジューンについては 国防省からの許可が下りず 視察をすることができなかった 注 2)ROD とは CERCLA の手続きにおいて 作成される図書であり 基地内の汚染調査結果及び浄化手法が記載されている -1-
1.3 海外調査結果 1.3.1 米国本国 (1) 行程及びヒアリング先行程及びヒアリング先を表 1-2 に示す 表 1-2 行程及びヒアリング先 詳細 訪問日工程及びヒアリング先応対者 9/8 終日ノースカロライナ州現地踏査 チェリーポイント海兵隊基地 キャンプレジューン 9/10 AM 米国環境保護庁第一管区 Deborah Szaro(Deputy Regional Administrator) (EPA リージョン 1) Bryan Olsen(Acting Deputy Director /Office of Site Remediation and Restoration) JimMurphy(Team Leader/ Government &Community Relations Office of the Regional Administrator) Claudia Deane(Communications & Information Coordinator/ Office of Site Remediation & Restoration) 9/11 AM 米国公文書館資料収集業務受託担当業者注 1)EPA リージョン1: 米国環境保護庁第一管区 連邦政府の地方代理機関として 州政府との調整を行っている 図 1-1 海外調査実施状況 -2-
(2) 訪問先の位置 訪問先を図 1-2 に ヒアリング状況を図 1-4 に示す 図 1-2 (1) 訪問先位置 図 1-3 (1) 訪問先 ( ノースカロライナ州 : チェリーポイント海兵隊基地 ) -3-
図 1-3(4) 訪問先位置 ( ボストン ワシントン DC の位置 ) 米国環境保護庁第一管区 (EPA リージョン 1) 図 1-3(5) 訪問先 ( 米国環境保護庁第一管区 :EPA リージョン 1) -4-
米国立公文書館 (ARCHIVESⅡ) 沖縄県ワシントン事務所 図 1-3(6) 訪問先 ( 米国公文書館 沖縄県ワシントン事務所 ) EPA EPA 米国立公文書館 図 1-4 ヒアリング状況 -5-
(3) 受領資料 受領資料については 特になし (4) 各訪問先における調査結果について 1) ノースカロライナ州 1 調査内容ノースカロライナ州にて 現地の状況を確認した 以下 2 か所の現地の状況を確認した チェリーポイント海兵隊基地 キャンプレジューン 2 調査結果 ( ア ) 概要 ( チェリーポイント基地について ) オスプレイ ハリア等が配備されている 米国では軍に対する考え方が日本とは異なるため 騒音はあまり問題視されない ( キャンプレジューンについて ) 浄化技術はキャンプレジューンでテストされ その後他の米軍基地における浄化手法として用いられる ( イ ) その他米軍に係るバックグラウンド等について ニューハンプシャー州議員ロバーツ氏( 元在沖海兵隊司令官 3 期 9 年間 ) が 兵役に就いていた際に有害物質と接触したことが原因でガンを患ったとして米退役軍人省に対し補償を求めており 同省は因果関係を認めている 同氏は その有害物質は枯葉剤だと述べており このことを沖縄の人に公開してくれと言っている 米国では 基地は周辺地域の経済活動に大きく寄与していることから 基地の整理縮小を進めた議員は次の選挙で落選すると言われている 在沖米軍は太平洋艦隊の下の組織である 陸軍は基地閉鎖をあまり実施しないため 浄化活動規模は大きくない 一方海兵隊は基地閉鎖を行ってきた事例が多いことから 浄化対策事例や研究も進んでいる 海兵隊は第 2 次世界大戦後に組織された 空軍は陸軍の一部として始まった -6-
図 1-5 チェリーポイント基地のモニュメントについて -7-
2) 米国環境保護庁第一管区 (EPA リージョン 1) 1 調査内容 EPA リージョン1と打ち合わせ行った 事前に送付した質問状を元に EPA 担当者が回答した 2 調査結果 EPA リージョン 1 の役割や浄化基準について (EPA リージョン 1 の地位 役割 ) リージョン 1 は 基本的に連邦政府の地方代理機関として 州政府との調整を行なっている リージョン 1 は同じ連邦政府である各軍と同じ地位となっている 環境に関しては軍より EPA に決定権がある ( 適用する浄化基準について ) ARARs(Applicable or Relevant and Appropriate Requirements) という基準設定の考え方に基づき 連邦の基準 州の基準を踏まえつつ かつ現場の汚染の状況からどのような基準を適用するべきか調整している SARA(The Superfund Amendments and Reauthorization Act) において ARARs を満たすことが要求されているが ARARs は具体的に数字が設定されているわけではないため 汚染サイトごとに基準設定に係る調整が行われる EPA は CERCLA(The Comprehensive Environmental Response, Compensation, and Liability Act) NCP(National Contingency Plan) に基づき 汚染サイトの発覚から浄化工事終了までの進行管理を行う 米環境保護庁は 浄化終了の判断を行い 終了していないと判断した場合には 国防省に命令できるシステムとなっている 基地汚染の特徴 情報把握の困難さ EPA リージョン 1 の役割について 米軍からもらった情報だけでなく 自分たちでも調査を行い確認する 汚染は完全に把握できているわけではない 中には軍が知らなかった汚染もある RAB( 回復助言委員会 ;Restoration Advisory Board) は EPA 地方事務所が関係者との仲介役として行う 汚染物質について 軍は専門ではなく EPA 長官の方が権限を持っているので 軍を抑えることができる -8-
基地への立入りについて 返還予定基地ごとに同意書(Federal Facility Agreement) を作成している ここでは EPA の基地への出入りを許可されている 論理上 軍は断る権限があるがそれを超える EPA の権限がある 断るのは唯一国家の安全保障に係るものだけである 他機関との協働について 基本的には EPA と州政府で職員交換はしない 日本にはないが 米軍人はマイヤーズブリッグスと呼ばれる性格分析を実施しており これを基にチームを作る 各現場では EPA のプロジェクトマネージャーが統括している また 汚染浄化をしている国防総省を管理する EPA が雇用する業者がいる 全てのサンプルを2つに分けて 国防総省側 EPA 側でそれぞれ分析する 3 その他の意見概要 元ピース空軍基地では軍は 20 年前に汚染処理は終わったと思っている 米国 EPA は 汚染物質に対処するため 軍から予算を取って対処したことがある ( 米国 EPA) ( 米国内における軍の対応について ) 米国 EPA は CERCLA を根拠法として 土地の所有者 ( 軍も含む ) に対して Information Requests の提出要請を行い 調整を開始する ( 米国 EPA) リスクは 0 にすることはできない それが現実的な解決策である 浄化した後に行政がこれで OK といっても 地元が心配だと言って トラブル になる場合がよくある 完全浄化は難しいことを地元に説明している (ARARs) -9-
3) 米国公文書館 1 調査内容資料収集業務受託業者との打ち合わせを行った 2 調査結果 ( 情報収集の難しさについて ) 資料収集は非常にハードルが高く 汚染や化学物質等のキーワードを軸に調べられるものではない そのため 情報がありそうな情報源を片っ端から当たっていく方法があるが 時間の制約といった課題がある ( 情報収集の方向性の提示 ) 物質輸送等の重要イベントにフォーカスしてから 次年度以降 必要に応じて前後に伸ばしていくことを検討 現時点では ベトナム戦争の時期にフォーカスした資料収集を行っていくこととする 今後の事業進行にあたっての配慮事項 米国では国 (EPA) が軍の基地汚染解決に向け 大きな役割を担っていることを認識する必要がある 米国内においては CERCLA という根拠法があるから 軍は環境省の要請に対応せざるを得ないことを認識する必要がある -10-