JBMIA 成果報告会 2016 静脈物流委員会使用済み製品の共同再資源化に関する考察 廃棄物処理法 資源有効利用促進法という二つの法制令により 事業者が自らの責任により世の中に送り出した製品を回収し廃棄 リサイクル処理を行なっている状況下 効果的かつ効率の良い回収 再資源化の方法を求めて静脈物流委員会は活動をしています 前回は回収部分で成果を上げている回収機交換システムについてご紹介させて頂きましたので 今般は再資源化の工程にスポットを当てて 使用済み製品の再資源化について考察しつつ その理想的な姿を描きます 発表 : 2016 年 7 月 15 日 ビジネス機械 情報システム産業協会静脈物流委員会
私たちが使用済み製品を回収 再資源化しなければならない背景 複写機 複合機 デジタル印刷機業界に関わる産業廃棄物処理関連法律 1. 廃棄物処理法産業廃棄物は排出事業者が責任を持って処理しなければなりません 一般廃棄物 ( 家庭ごみ ) は自治体が処理責任を負う 2. 資源有効利用促進法処理に際しては単純に廃棄 埋立するのではなく極力再資源化する努力を行わなくてはなりません 最終処分場の延命 資源の少ない日本の状況を鑑みて制定 複写機 複合機は指定再利用促進製品に上げられています 事業者の責任で回収する責務むやみに捨ててはダメ ( 不法投棄防止 ) 回収した使用済み製品は極力再資源化する責務 製造事業者は 2 つの責務を負っています 1
3R 活動の定義 3R( スリーアール ) は 環境と経済が両立した循環型社会を形成していくための 3 つの取組の頭文字をとったものです 3R は リデュース リユース リサイクルの順番で取り組むことが求められています 1. Reduce( リデュース ) 廃棄物の発生抑制 2. Reuse( リユース ) 再使用 3. Recycle( リサイクル ) 再資源化 リサイクルには以下の3 種類があります プロダクトリサイクル : 再生利用 ( リユースにかなり近い概念 ) マテリアルリサイクル : 材料 製品への再資源化 サーマルリサイクル : 燃料化 2
使用済み製品の回収 ~ 再資源化の流れ 顧客より引取された使用済み製品は各メーカーの再資源化施設に輸送され 解体作業を経て素材毎に分別され 再資源化されます 顧客 収集運搬 各社再資源化拠点 交換センター 本日スポットライトをあてる部分 3
使用済み製品の回収 ~ 再資源化の流れ 再資源化施設はメーカーごとに持っており 全国に点在しています それは 自社グループで運営しているケースもありますが 大体は 中間処理業者 と呼ばれる解体処理業者と処理を委託する契約を結び 解体 廃棄 再資源化を実施しています 札幌 盛岡 仙台 再資源化施設では技術や手法に若干のレベル差とばらつきがありますが 概ね次頁以降のような処理をしています 仙台 金沢 福岡 広島 東京 大阪 那覇 再資源化施設 4
使用済み機器の処理の概要 部品選別 ~ 洗浄 ( リユース ) 交換センター 物流業者 回収された使用済み機器の搬入 ( 前処理 ) 手解体 分離 選別 減容 破砕機 再生設備 圧縮機 減容機 選別機 有価物の取り出し 再資源化施設 ( 中間処理業者 ) 二次業者 ( 有価物の売却 ) 資源として再利用 再資源化率約 98~99% 最終処分場へ 単純焼却 埋立 最終処分率約 1~2% 5
高度なリサイクルのための条件 ( 排出事業者の視点から ) Key Word : コスト 利便性 コンフ ライアンス 排出拠点からできるだけ近くに処理施設があることが望ましい 処理施設が遠方にあると長距離輸送を余儀なくされ 輸送費がかさむため 処理業者はできるだけ高い処理技術を持ち キャパシティが多い方が良い 専用の処理ラインを持ち 速やかな処理を継続して行えることが理想 コンプライアンス遵守がベースにないと処理を委託できない 処理費を取りながら不法投棄をすることの無いよう *2012 年 2014 年に各一件ずつ刑事事件にまで発展した事例あり 排出事業者側は定期的な現地監査を励行 ; 牽制効果複数の排出事業者が共同で再資源化を行なうことが解の一つ 6
共同再資源化の実例紹介と効果の確認 < 現在実施している共同再資源化 > 沖縄地区 ( 委託業者 : 拓琉金属 )/ cf. 収集運搬業者 : 琉球物流 成立した経緯 回収機交換システムを拡張していた時期に沖縄地区は業者を絞り 共同輸送 ( 琉球物流 ) 共同再資源化 ( 拓琉金属 ) を一気に進めた ( それまでは各社とも海上輸送で九州の処理委託業者まで搬送していた ) 処理委託実績 ( 単位 :kg) 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 処理委託量 368,650 335,900 357,680 371,513 356,610 7
沖縄共同再資源化の紹介 沖縄地区一帯の使用済み複写機 複合機が琉球物流の倉庫に集積され交換される そこから拓琉金属に向けて共同輸送されます 収集運搬 琉球物流 ( 株 ) 琉球物流の倉庫が実質的に沖縄交換センターの役割を果たす 処理 ( 株 ) 拓琉金属 共同輸送 処理委託契約を結ぶメーカー キヤノン コニカミノルタ 京セラドキュメントソリューションズ 東芝テック パナソニック リコー 理想科学工業 * 契約メーカーは同じ水準の処理を享受 8
廃複写機 複合9 解体 手選別拓琉金属の処理フロー図 : 廃棄物 : 再生品 ( 有価売却 ) 売却 ( 再生品 ) 最終処分場 鉄 61.8% 破砕 ( ギロチン ) 鉄 61.8% 売却 鉄原料 61.8% アルミ 0.7% 溶解 ( アルミ溶解炉 ) アルミインゴット 0.7% 売却 アルミ原料 0.7% 機株式会社拓琉金属手銅 2.0% プリント基板 ケーブル ユニット類 2.1% 基盤類 2.6% 6.0% アルミ 溶解 0.1% プラスチック 24.9% トナー インク オイル ゴム プラスチックゴミ 0.4% ガラス 2.0% 破砕 選別 ( シュレッタ ー ) 破砕 (2 軸破砕機 ) 鉄 3.0% プラスチック 0.3% 破砕 (1 軸破砕機 ) ( アルミ溶解炉 ) 破砕 (1 軸破砕機 ) 燃料 ( アルミ溶解炉 ) 委託 売却 売却 売却 アルミインゴット 0.1% プラスチック 25.2% 売却 売却 再資源化率 100% 銅原料 2.0% プリント版 4.7% 鉄原料 3.0% アルミ原料 0.1% プラスチック原料 25.2% ガラス原料 2.0%
ではどのように再資源化が行われているか ( 拓琉金属のケース ) 搬入された使用済み機器は先ず手解体により分解し 素材分けが行われる 鉄 手解体後の機器の姿 筐体はほとんど鉄だけの姿にまで解体される 再生鉄として売却 10
フ ラスチック 手解体もしくは破砕機にかけられたプラスチックは選別機にかけ PS PC ABS などの種別に分け それぞれ再生プラとして別の製品に組み込まれる 破砕 分別後のプラ ; 再生プラ業者に売却される プラスチック選別機 11
破砕機にかけた後の混合廃棄物で 選別機で分別でききれなかった 部分は手分別により素材分けする 12
ハードディスクの解体取出し工程 取り出したハードディスクは専任者により 磁気破壊 ( 右 ) を行ない 更に物理破 ( 左 ) を経てアルミ 鉄に分別し マテリアルリサイクルされる 13
ドラム カートリッジや廃トナーボトルから残トナーを吸引 回収する工程 ドラム部分はアルミ素材なので溶解され再生アルミに ( 後述 ) 廃トナーは補助燃料として熱回収される 14
アルミ溶鉱炉 炉の温度差を使いアルミを液体にして不純物と分けて取り出す 吸引された廃トナーは廃タイヤとともに溶鉱炉の補助燃料として使われる 再生アルミのインゴット 業者へ売却 15
拓琉金属から見た共同再資源化とは (2015/11 ヒアリング実施 ) 複数メーカーの機器を扱うことのメリット 解体技術が飛躍的に高まっていった 解体する機体がコンスタントに運び込まれ 人員 ライン等処理の計画が立てやすい 入庫待ちがなくなり効率的な作業が行えるようになった メーカーからのアドバイスを多くもらい 運用上の改善が進み 技術 設備に反映できている 今後あるべき姿をどのように思い描くか 処理業者としては 処理量により対応人員 ラインを変えていかなくてはならない ~ 今後も共同で受託する体制を続けていただきたい リユース メーカー内マテリアルリサイクル等への対応可能性 対応は可能 価格との兼ね合いで 双方メリットがあれば進められる 雇用促進 社会貢献への影響 安定した処理量により人員確保にも安定性 ( 家電 OA 担当人員が最も多い ) 16
共同再資源化サマリー ~ 共同再資源化を進めるメリット ~ < 排出事業者側 > 安定的で効率的な処理の確保 速やかな処理の担保 一様の再資源化率の維持 共同輸送による効率化 < 処理業者側 > 高い処理技術の確保 安定した処理の実施 雇用の確保 素材売却益の安定化 一方で沖縄地区のような共同再資源化が進まない理由 各社の収集運搬 ~ 処理網が確立されきっている ~ 処理業者が排出事業者のグループ企業であったり 取引関係 ( 互恵 ) である場合は容易に委託先を変更することが出来ない 17
共同再資源化推進に向けた今後の課題 共同再資源化の拡大 ( 可能な地区の選定 ) 全てのメーカーの参加を前提にするとどの地区も共同再資源化は実現しない少しでもメリットを引き出すためには 部分最適でも進めることができるよう検討を重ねることが重要 現在の各社委託先マップ作成 共同再資源化の可能性模索 候補北海道 1 社宮城 1 社東京 1 社石川 1 社 標準化 共有化委託先選定 委託先監査方式の標準化 より適切な処理委託の改善 維持 ( コンプライアンス 再資源化技術 ) 再資源化ノウハウの共有 : 再資源化技術 処理委託先情報 18