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個人情報保護に関する規定 ( 規定第 98 号 ) 第 1 章 総則 ( 目的 ) 第 1 条学校法人トヨタ学園および豊田工業大学 ( 以下, 総称して本学という ) は, 個人情報の保護に関する法律 ( 平成 15 年法律第 57 号, 以下, 法律という ) に定める個人情報取り扱い事業者 (

防犯カメラの設置及び管理運用に関するガイドライン Ⅰ はじめに 1 ガイドラインを策定する目的防犯カメラは 犯罪の抑止に役立ち 安全で安心して暮らせるまちづくりに 効果があると認められる また 自主防犯活動団体等による防犯活動を補完することで犯罪抑止効果の高まりや地域住民の防犯意識の向上 自主防犯活

Ⅰ はじめに 1 ガイドラインを策定する目的 大阪市は 政令指定都市の中でも街頭犯罪が多い都市となっており 安全で安心して暮らせるまちづくりのための対策が必要となっています その中で 防犯カメラは 24 時間撮影が可能であることから 犯罪の抑止効果があるとともに 犯罪発生時には容疑者の特定にも役立つ

個人情報の取り扱いに関する規程

東京医科歯科大学医歯学研究支援センター illumina Genome Analyzer IIx 利用基準 平成 23 年 10 月 1 日医歯学研究支援センター長制定 ( 趣旨 ) 第 1 条次世代型シークエンサーはヒトを含むあらゆる生物種の全ゲノム配列の決定 全エキソンの変異解析 トランスクリプ

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Wide Scanner TWAIN Source ユーザーズガイド

Microsoft Word - ○指針改正版(101111).doc

制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

(2) 情報資産の重要度に応じた適正な保護と有効活用を行うこと (3) 顧客情報資産に関して 当法人の情報資産と同等の適正な管理を行うこと (4) 個人情報保護に関する関係法令 各省庁のガイドライン及び当法人の関連規程を遵守すると共に これらに違反した場合には厳正に対処すること ( 個人情報保護 )

CROCO について

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

第 4 条公共の場所に向けて防犯カメラを設置しようとするもので次に掲げるものは, 規則で定めるところにより, 防犯カメラの設置及び運用に関する基準 ( 以下 設置運用基準 という ) を定めなければならない (1) 市 (2) 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 260 条の2

Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

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個人情報保護規程例 本文

JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

Ⅱ. 防犯カメラの設置及び運用に当たっての留意事項 1 設置の目的防犯カメラの設置者は 犯罪 又は事故を防止するなどの目的を明確にし その目的を逸脱した運用を行わないようにしてください 2 撮影の範囲と設置場所防犯カメラで撮影された映像は その取扱いによっては 撮影された個人のプライバシーを侵害する

14個人情報の取扱いに関する規程

複十字病院診療録および診療諸記録の電子保存に関する運用管理規定

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文書管理規程 1.0 版 1

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行政文書をより体系的 効率的に管理するための電子的な管理の充実 1. 共有フォルダでの体系的 効率的な管理を実現するため 標準例 共通マニュアルを作成する (A) 標準例 共通マニュアル 下記のポイントを踏まえた標準例 共通マニュアルを作成する (ⅰ) 共有フォルダ内の体系的保存の標準化 (ⅱ) 文

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

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個人情報保護規程

での教育的講演や市民に対して公開講座などを行う場合は, その社会的影 響が大きいことから演者には特段の指針遵守の義務がある Ⅲ. 利益相反開示の対象者 利益相反状態が生じる可能性がある以下の対象者に本指針が適用される 1 学術集会などにおける発表の筆頭演者 共同演者 2 学会誌, 刊行物における論文

特定個人情報等取扱規程

1 防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン 1. ガイドラインについて (1) はじめに本市では これまで高槻警察署管内防犯協議会や地域安全センター等の団体を中心に子どもの見守り活動や青色防犯パトロール活動等の地域に根ざした防犯活動を実施し 地域の安全を守ってきました しかし近年 下校中などの



記 1. 適用対象本通知は 製造販売業者等が GPSP 省令第 2 条第 3 項に規定する DB 事業者が提供する同条第 2 項に規定する医療情報データベースを用いて同条第 1 項第 2 号に規定する製造販売後データベース調査を実施し 医薬品の再審査等の申請資料を作成する場合に適用する GPSP 省


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日本医療情報学会

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

本サイトにおける個人情報の利用目的は以下のとおりです 当社は 本人の同意なく目的の範囲を超えて利用しません (1) 本サイト会員登録者の個人認証及び会員向け各種サービスの提供 (2) インターネットまたは電話を通じて提供する 宿予約サービス 及びそれに付帯関連する業務の遂行 (3) 上記 (2) に

目 次 第 1 はじめに 2 1 ガイドライン策定の目的 2 2 ガイドラインの対象となる防犯カメラ 2 3 防犯カメラで撮影された個人の画像の性格 2 第 2 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 3 1 設置目的の設定と目的外利用の禁止 3 2 設置場所 撮影範囲 照明設備 3 3

生活設計レジメ

44 4 I (1) ( ) (10 15 ) ( 17 ) ( 3 1 ) (2)

I II III 28 29

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9


178 5 I 1 ( ) ( ) ( ) ( ) (1) ( 2 )

マイナンバー対策セミナー(実践編) 「マイナンバー対策マニュアル」を利用した具体的な対策方法について

(3) 利用 保管方法 要介護認定情報等の申出にて発生する厚生労働省 大学内での倫理審査の文書 研究方法のマニュアル等は 研究室で適切に管理する 厚生労働省より提供を受けた要介護認定情報等の保存媒体の保管場所は 研究室の戸棚に保管し 施錠する 要介護認定情報等の利用場所は 研究室のみとする サーバ室

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社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

特定個人情報取扱要領 ( 目的 ) 第 1 条この要領は この組合の 個人情報保護方針 および 特定個人情報取扱規程 ( 以下 規程 という ) に基づき この組合における特定個人情報の具体的な取扱いを定めたもので 特定個人情報の保護と適正な利用を図ることを目的とする ( 用語の定義 ) 第 2 条

特定個人情報取扱規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人埼玉県社会福祉協議会 ( 以下 本会 という ) は 個人 番号及び特定個人情報を適正に取り扱うことを目的として 本規程を定める ( 用語の定義 ) 第 2 条本規程における用語の定義は 次の各号に定めるところによる (1) 番号法行政手続に

ドメインサービス約款

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財団法人日本体育協会個人情報保護規程

劇場演出空間技術協会 個人情報保護規程

第 1 はじめに 1 ガイドライン策定の目的安全で安心なまちづくりを進める上で 近年 防犯カメラの設置は広く有用であると認められており 市内においても防犯カメラの設置が進んでいます しかし その一方で 知らないうちに自分の姿が撮影され 目的外に利用されること等に不安を感じる市民の方もいます そこで

個人情報の取り扱いについて TaoTao 株式会社 ( 以下 当社 という ) は お客様が安心して当社のサービスをご利用いただけるよう 個人情報保護方針に基づき お客様の個人情報 個人番号 特定個人情報 ( 以下 ここではすべてを総称し 個人情報 といいます ) のお取扱いに細心の注意を払っており

検討課題の整理 1 第 1 回合同会議での意見及びその後委員から提出された意見を 第 1 回合同会議の 検討の進め方 ( 下記参照 ) に沿って分類 第 1 回合同会議資料 合同会議における検討の進め方 の抜粋 合同会議においては 以下の順で検討を進める (1) ゲノム指針と医学系指針との条文の整合

個人情報保護規定

公益財団法人岩手県南技術研究センター特定個人情報取扱規程 平成 28 年 4 月 1 日制定 規程第 14 号 第 1 章目的等 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 公益財団法人岩手県南技術研究センター ( 以下 センター という ) が 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関す

(I12) 土木学会特定個人情報取扱規程 平成 28 年 1 月 22 日制定 ( 目的 ) 第 1 条本規程は 公益社団法人土木学会 ( 以下 学会 という ) における 行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 ( 以下 番号法 という ) 個人情報の保護に関する法律

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手順書03

別紙(例 様式3)案

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ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

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1 ガイドライン策定の目的防犯カメラについては テレビや新聞で報道されているように 犯罪の解決や犯罪の抑止につながることなど その効果は社会的に認められており さまざまな施設に防犯カメラが設置されております しかし その効果が認知される一方で 防犯カメラにより個人のプライバシーなどの人権が侵害される

( 情報システム管理者 ) 第 4 条情報システム管理者は システム規程に基づき 電子メールの適正な管理及び運営に努めなければならない 2. 利用者のアカウントを適切に管理士しなければならない 3. 定期的に利用者に対し 電子メールの適切な運用管理と禁止事項について 教育指導を行うものとする ( メ

1 策定の目的 この手引書は 茅ヶ崎市地域防犯カメラ ( 以下 地域防犯カメラ という ) の設置及び運用について配慮すべき事項を定めることにより 地域防犯カメラの有用性とプライバシー保護等との調和を図り 地域防犯カメラを適切かつ効果的に活用し 茅ヶ崎市の安心して安全に暮らせるまちづくりを推進するこ

学校法人金沢工業大学個人情報の保護に関する規則

平成 26 年 3 月 6 日千葉医療センター 地域医療連携ネットワーク運用管理規定 (Ver.8) 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク運用管理規定 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条この運用管理規定は 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク ( 以下 千葉医療ネットワーク ) に参加

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個人情報の保護に関する規程(案)

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苦情等処理規程 第 1 章総則 第 1 条 ( 目的 ) この規程は 当社が行う仮想通貨交換業に関して 顧客等より申し出のあった苦情等や顧客等との間に生じた紛争等を迅速かつ公正に処理するための基本的事項及び手続を定め さらに苦情等や紛争等の再発防止を図ることを目的とする 第 2 条 ( 定義 ) 1

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

不正行為の疑いが指摘された10論文に関する調査概要

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特定保健指導における情報通信技術を活用した面接による指導の実施の手引き 新旧対照表 改正後 特定保健指導における情報通信技術を活用した面接による指導の実施の手引き 現行 ICT を活用した特定保健指導の実施の手引き 最終改正平成 30 年 2 月 9 日 1.ICTを活用した特定保健指導の実施者保険

点で 本規約の内容とおりに成立するものとします 3. 当社は OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用申込みがあった場合でも 任意の判断により OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用をお断りする場合があります この場合 申込者と当社の間に利用契約は成立し

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事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

PowerPoint プレゼンテーション

目次 Ⅰ 本ガイドラインの対象となる防犯カメラ 設置目的 設置場所 防犯カメラの機能... 1 Ⅱ 防犯カメラの管理 運用に関して配慮すべき事項 設置に際しての協議 防犯カメラ運用規程の策定 撮影対象区域 設置してい


る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

第 1 ガイドライン策定の目的及び対象 1 ガイドライン策定の目的美濃加茂市では犯罪のない安全で安心できる住みよい地域社会を実現するため 平成 21 年 10 月に 美濃加茂市防犯活動推進条例 を施行するとともに 同条例に基づく防犯計画を策定し 市民 事業者及び市が一体となって 犯罪のないまちづくり

本手順書で使用する用語の定義 用語電子的記録書面電子的記録利用システム実務担当者原データ治験関連文書サイボウズサイボウズメッセージ 定義人の知覚では認識できない, 電子式等の方法で記録され, コンピュータで処理される記録紙媒体による資料治験依頼者, 実施医療機関の長, 治験責任医師並びに治験審査委員

新旧対照表

東レ福祉会規程・規則要領集

目次 1. 一般 目的 適用範囲 参照文書 用語及び定義 内部監査 一般 内部監査における観点 内部監査の機会 監査室

Transcription:

東京大学大学院医学系研究科 医学部 生命科学系研究データ保存のガイドライン ( 第 1 版 ) ( 平成 28 年 4 月 1 日 ) 1

要旨 1 電子化された研究資料の保存期間は当該論文等の発表後 10 年間 論文や学位など 研究成果発表のもととなった研究資料は電子化し 当該論文等の発表後教室内 に 10 年間保存する 電子化した研究資料の作成日や分類等の付加情報 ( メタデータ ) や研究試料等の情報は研究資料 等保存内容証明書に記入し 再現可能な形で教室内に保管する 研究資料等保存用ディスクや研究試料等の保管にあたっては外部の者がアクセスできないように 厳重な管理を行う 2 ノートなど紙媒体の研究資料の保存期間は当該論文等の発表後 5 年以上 保管スペースの制約があるなど やむを得ない事情がある場合は教室主宰者と協議を経て教室主 宰者の責任により廃棄することを可能とする 3 研究試料や装置などの もの の保存期間は当該論文等の発表後原則 5 年間 保存が困難なもの ( 不安定なもの 実験自体で消費されるもの ) や保存に多大なコストがかかる ものはこの限りではない 4 教室主宰者が異動する場合の措置 教室主宰者は 異動日の 1 ヶ月前までに研究資料等保存用ディスクと研究資料等保存内容証明書 研究資料等保管履歴簿を教室内から医学系研究科内の共通の保管場所へ移管する ただし 共通保管場所での保管期間は保管開始日から 10 年間とする 用語の定義 保存 : そのままの状態に保つこと. 保管 : 他者の物を預かって, 保護 管理すること 電子化 : 紙の文書などを コンピューターで使えるようディジタルデータにすること データ : コンピューターで プログラムを使った処理の対象となる記号化 数字化された資料 研究資料 :PC 等のハードディスク等の記録媒体に保存されている当該研究に関するデータならびに紙媒体資料 ( 実験ノート等 ) のこと ( 日本学術会議 科学研究における健全性の向上について (2015 年 3 月 6 日 ) 資料に準拠 ) 研究試料 ( もの ): 反応性物質や生物試料 貴重な標本等の劣化するものや標本ならびに安定物質など劣化しなないもののこと ( 日本学術会議 科学研究における健全性の向上について (2015 年 3 月 6 日 ) 資料に準拠 ) 研究データ : 電子化された研究資料 保存用研究データ : 保存用に電子化された研究資料 研究資料保存用ディスク : 教室内で保存用研究データを保存する DVD あるいは Blu-ray ディスクのこと 研究資料等保存内容証明書 : 研究データ保存用ディスクに保存した研究資料 保存できなかった研究資料等や研究装置名 他機関や他部局との共同研究の場合には研究成果に応じ共同研究者と相談等を行い適切な内容を記載する書類 研究資料等保管履歴簿 : 教室内での研究資料等の保管日 保管者 所在等の履歴を記載した保管履歴簿 研究資料等保管担当者 : 研究資料保存用ディスクおよび研究資料等保存内容証明書 保管簿を教室内で保管する担当者 責任著者 :Corresponding author が定義されている場合にはそれを指し Corresponding author が定義されていない場合には論文に関わるプロジェクト代表 もしくは代表に準ずる共同研究者を指すこととする 2

I. はじめに研究成果発表に用いたデータや実験ノート等の研究資料 試薬等の研究試料 実験装置の情報等 ( 以下研究資料等 ) を保存する最大の目的は研究成果の再現性や反証可能性の確保という科学的方法における要請であり それはひいては研究者 学生自身を守ることにも通じる そこでここに研究者 学生 教室主宰者 研究科長の研究資料等の保存や保管の基本的責務を明確にし 生命科学系における研究資料等の保存や保管の期間及び方法についてガイドライン ( 第 1 版 ) としてまとめることとした II. 関係者の基本的責務 1) 研究者 学生の基本的責務研究資料等の保存は それらを生み出した研究者 学生自身が主たる責任を負う 公的な資金によって実施された研究で生み出された成果やそのもととなる研究資料等は公的資産としての性格も有することから それらを適切に保存することは 研究者 学生に課せられた責務である 第一著者 或いは第一著者が責任著者でない場合には責任著者 もしくは責任著者が指名した共著者は 論文が受理された日 ( 学位論文の場合には学位授与日 ) 以降速やかに論文に関する研究資料を電子化し 研究資料保存用ディスクに保存し 研究資料等内容証明書に必要事項を記入した後 両者を教室内の所定の場所に保存するものとする 責任著者が他機関の研究者の場合は 責任著者と保存場所について相談し 保存場所を決定する 2) 教室主宰者の基本的責務教室主宰者は自らのグループの研究者の転出や退職および学生の卒業に際して 当該研究者や学生の研究活動に関わる研究資料等のうち保管すべきものについて (a) 教室内で適切な形態で保管する ないしは (b) 所在を確認し追跡可能としておく などの措置を講ずる責務を有する 教室主宰者自身が異動する場合 医学系研究科がこれら研究資料等を保管出来るよう適切に共通保管場所へ移管するか または 教室主宰者自身が責任を持ってこれら研究資料等を保存するとともにその内容を研究資料等保存内容証明書に記載し 研究資料等保管履歴簿に異動先を記入した後研究科長に届け出るものとする 3) 研究科長の基本的責務公的な資金によって実施された研究で生み出された成果やそのもととなる研究資料等は公的資産としての性格も有することから それらを適切に管理 保存し 必要に応じて開示することは 研究科長に課せられた責務である また 研究科長は 教室主宰者の転出や異動に際してこれら研究資料等の保存や保管に関する措置を円滑に進めるために 研究資料等の保存や保管 所在確認等について適切な管理を行うための倫理教育等を研究者 学生に周知徹底する 3

III. 保存を義務付ける対象 保存期間 保存方法 図 1 に生命科学系研究に関連する研究資料等の概要と表 1 にその類型と保存法を示す IV. 研究資料の保存 保存期間 保存方法 1) 紙媒体資料 ( 実験ノート等 ) の取扱い東京大学大学院医学系研究科 医学部における生命科学研究分野では教室が所有権を有するノート等の紙媒体の研究資料は当該論文等の発表後 5 年以上保存することとする 保管スペースの制約など止むを得ない事情がある場合には 教室主宰者と協議を経て教室主宰者の責任により廃棄することも可能とする 実験 観察をはじめとする研究活動においては その過程を実験ノートなどの形で記録に残すことが強く推奨される 実験ノートには 実験等の操作手順やデータ取得の条件等を 後日の検証等が可能なよう十分な情報を記載し かつ事後の改変を許さない形で作成し 研究活動の一次情報記録として適切に保管しなければならない 2) 記述データの取扱い論文や学位等 研究成果発表のもととなった研究計画 研究経過 研究報告 論文校正原稿等をデジタル化した記述データは後日の検証等に堪えるよう適正な形で保存しなければならない これらの記述データの保存期間は 原則として 当該論文等の発表後 10 年間とする これらの記述データに関する作成日や分類等の付加情報 ( 以下メタデータ ) を整理 管理し 適切にバックアップを作成し再現可能な形で保存しなければならない 3) 生データの取り扱い論文や学位等 研究成果発表内容の再現や反証可能性の証明に必要な生データの保存に関しては 後日の参照等が可能となるように 当該論文等の発表後 10 年間保管する また メタデータの整備や検索可能性 追跡可能性の担保に留意すべきである ただし 保存 保管が本質的に困難なものについては 教室主宰者と協議を経て教室主宰者の責任により合理的な範囲で廃棄することも可能とする 4) ダウンロードデータ等外部から取得した電子データの取扱い論文や学位等 研究成果発表内容の再現や反証可能性の証明に必要なダウンロードデータの保存に関しても 当該論文等の発表後 10 年間保存する また 後日の利用 / 参照が可能となるようにメタデータの整備や検索可能性 追跡可能性の担保に留意すべきである ただし 保存や保管が本質的に困難なものについては 教室主宰者と協議を経て教室主宰者の責任により合理的な範囲で廃棄することも可能とする 5) デジタル化された研究資料の保管上の留意点インターネットに接続されている端末あるいはハードディスクを研究データ保存用として使用する場合には 適切な情報セキュリティ対策が講じられていることを必須条件とする また ハードディスクは約 5 年を過ぎると障害を来す確率が高くなるので DVD や Blu-ray ディスクなどの耐久性の高いメディアへのバックアップを行い 適切に保管することが望ましい 4

V. 研究試料および実験装置等の保存 保存期間 保存方法研究試料 ( 実験試料 標本 ) や装置など もの の保存に関しては 当該論文等の発表後 5 年間保存することを原則とする ただし 保存や保管が本質的に困難なもの ( 例 : 不安定物質 実験自体で消費されてしまう試料 ) や 保存や保管に多大なコストもしくはスペースを必要とするもの ( 例 : 生物系試料 ) についてはこの限りではない VI. その他個人データ等 その扱いに法的規制等があるものや倫理上の配慮を必要とするものについては それらの規制等に従う また 特定の研究プロジェクトに関して研究資料等もしくは成果物等の取扱いについて資金提供機関もしくは研究資料等の提供機関との取り決めや契約等がある場合にはそれに従う 1 本ガイドラインは 学術論文については東京大学大学院医学系研究科 医学部の生命科学系関 連分野の研究者が責任著者の場合 学位論文については学位取得者が東京大学大学院医学系研究科 医学部生命科学系関連分野等に所属する場合に適用する 2 他機関の研究者が責任著者である共同研究の成果は 共同研究者と相談のうえ 他機関もしく は東京大学などで保存する 3 個人データなどその扱いに法的規制があるものや倫理上の配慮を必要とするものはそれらの 規制やガイドラインに従う 特定の研究プロジェクトに関して成果物の取り扱いに資金提供機関と の取り決めや契約等がある場合はそれに従う 4 社会科学分野の調査データや 臨床分野の診察データ ヒトのゲノム情報などデータの扱いに 法的な規制があるものや倫理上の配慮を必要とするもの 知的財産権が関係するものについては 必要に応じて別途定める 附属病院における臨床研究の資料の保存期間は 5 年とする 5 本ガイドラインは平成 28 年 4 月 1 日以降に受理された学術論文から適用する 学位論文は学 位授与日を発表日とする 5

図表 図 1. 生命科学系研究資料 試料等の保存ガイドラインに関係する資料 資料等の概要図 参考資料日本学術会議 科学研究における健全性の向上について 2015 年 3 月 6 日より附則 1). 本ガイドラインは 28 年 4 月 1 日より施行する 2). 本ガイドラインの具体的手順については 別途運用手順書にて定める 6