経営塾演習 違反事例に学ぶ廃棄物処理法 映写のみで 印刷資料には無い頁 箇所もありますので あ あらかじめご了承ください BUN 環境課題研修事務所 主宰長岡文明 1
行指導一般的な行政行為の順番 行政指導 違反事項 平常時の立入検査 報告徴収違反事項あり なし 検査結果通知 ( 口頭により文書は無い場合もある ) 軽微な違反 文書通知 改善計画書の提出 是正せず 指導しても是正せず 次ページへ 是正 是正の確認経過観察 政口頭指導 担当者名指導票交付 =
行政処刑事処一般的な行政行為の順番 行政処分 刑事処分 指導しても是正せず 改善命令 措置命令命令遵守せず 是正 是正の確認経過観察 = 施設 業の停止 取消処分刑事罰の要求分刑事罰の要求改善命令 措置命令違反で告発 = 司法の手に委ねられる 警察検察起訴裁判有罪懲役罰金分警察 検察 起訴 裁判 有罪 懲役 罰金
ここから事例です いくつかの ルール をお伝えします まず 実際に起きた事例を紹介します ます この事例の誰のどんな行為が まずかったのか? ( 一つとは限りません ) 次に その行為が廃棄物処理法のどういう規定に抵触したか? ( いわゆる 違反条文 ) その違反の罰則はどんなものか? そして 可能性のある行政処分はいかがなものか?
練習 事案の概要 BUN さんの注目点 普通のおばちゃんが 近くのショッピングセンターの駐車場に 家庭のごみを < わずか >19Kg 捨てた 廃棄物処理法違反になるか?
練習
違反条文 練習 廃棄物処理法第 16 条 ( 投棄禁止 ) 第十六条何人も みだりに廃棄物を捨ててはならない みだり 性の課題 社会通念上許容されない 廃棄物 の課題 捨てる の課題 有価物ではないのか 地上 海上に投棄する 地中地中 に埋める 不作為による 放置 が難しい 不適正保管 との境界 過去においては 場所 の課題 廃棄物の種類 の課題もあった 廃棄物の種類 の課題もあった
該当罰則 廃棄物処理法罰則 第 25 条 練習 第二十五条次の各号のいずれかに該当する者は 五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し 又はこれを併科する 一無許可営業二不正許可取得三無許可変更四不正変更許可五命令違反六無許可業者委託七 ~ 十三 ( 省略 ) 十四 不法投棄 ( 第十六条の規定に違反して 廃棄物を捨てた者 ) 十五 不法焼却 十六 2 指定有害廃棄物 ( 硫酸ピッチ ) 保管 収集 運搬又は処分者前項第十二号 第十四号及び第十五号の罪の未遂は 罰する 第
可能性のある行政処分の検討 練習 1. 許可取消はあり得るか? 許可業者ではないので 許可に関する 許可取消 事業停止 等はありえない 2. 改善命令はあり得るか? 改善命令は 基準を遵守せよ である 1 不法投棄は そもそも 保管 ではないので 保管基準を守れ という改善命令は<そぐわない> 2 一般国民には一般廃棄物処理基準はかからないので 通常 一般国民を般廃棄物般対象とした一般廃棄物の改善命令はありえない 3. 措置命令はあり得るか? 措置命令は 生活環境保全上の支障 の程度による の程度による
改善命令の概念 ちょっと解説 この場所の管理責任 すなわち 保管基準 処理基準は< 原則 >B に適用される 改善命令は 基準を守れ であるから 基準の適用される人物に命じられる よって いくら状態が悪くとも A に改善命令が出されることは< 原則 >ない ( 第 19 条の3) ( なお その行為を行った者 は命令の対象にはなる )
措置命令の概念 ちょっと解説 措置命令は 生活環境保全上の支障 ( おそれ も含め ) が発生している場合は その行為者はもちろん 広く関係者 ( 排出者 運搬者 要求 依頼 唆し 助けた者等 ) に適用される よって Bはもちろん A も措置命令の対象になる ( 第 19 条の 5)
課題 1 次の新聞記事から 廃棄物処理法違反の行為をピックアップしなさい 誰のどんな行為が 廃棄物処理法に抵触しますか?
事例
事案の概要 BUN さんの注目点 事例 1. 受託した 建設廃材を 契約で定めた目的地に運搬せず 2. ため込み 3. 運搬終了 と記載した 虚偽の管理票 4. 事業停止命令 45 日 1. 排出事業者は気がつかなかったのか? 2. 処分業者からの管理票 (D 票 E 票 ) の行方は? 3. 契約で定めた目的地に運搬せず は廃棄物処理法違反になるか? 4. ため込んだ 場所では積替保管の許可を有していたのか? 5. 事業停止が妥当な行政処分か?
課題 2 運搬終了 と記載した 虚偽の管理票 は 廃棄物処理法第何条に違反する行為ですか? 違反条文を探してください
違反条文 事例 3. 運搬終了 と記載した 虚偽の管理票 ( 産業廃棄物管理票 ) 第十二条の三 ( 虚偽の管理票の交付等の禁止 ) 3 産業廃棄物の運搬を受託した者 ( 以下 運搬受託者 という ) は 当該運搬を終了したときは 第一項の規定により交付された管理票に環境省令で定める事項を記載し 環境省令で定める期間内に 管理票交付者に当該管理票の写しを送付しなければならない この場合において 当該産業廃棄物について処分を委託された者があるときは 当該処分を委託された者に管理票を回付しなければならない 第十二条の四 3 運搬受託者又は処分受託者は 受託した産業廃棄物の運搬又は者搬処分を終了していないにもかかわらず 前条第三項若しくは第四項の送付又は次条第二項の報告をしてはならない
課題 3 ため込み は 廃棄物処理法第何条に違反する行為ですか? 違反条文を探してください
違反条文 事例 2. ため込み 積替保管なし の許可の場合は ( 変更の許可等 ) 第十四条の二産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者は その産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業の範囲を変更しようとするときは 都道府県知事の許可を受けなければならない 積替保管あり で許可を取っていた場合は 保管量超過等の場合は第 14 条第 12 項 処理基準 違反 12 第一項の許可を受けた者 ( 以下 産業廃棄物収集運搬業者 という ) 又は第六項の許可を受けた者 ( 以下 産業廃棄物処分業者 という ) は 産業廃棄物処理基準に従い 産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない
課題 4 受託した 建設廃材を 契約で定めた目的地に運搬せず は 廃棄物処理法第何条に違反する行為ですか? 違反条文を探してください
違反条文 事例 1. 受託した 建設廃材を 契約で定めた目的地に運搬せず 運搬しなかった 別の場所に運搬した 法令違反は無いのでは? もちろん 民事上の契約違反にはなる
課題 5 ここまでの 行為は 廃棄物処理法では どの程度の罰則になるのでしょうか? 懲役 10 年ですか? 罰金 1 万円ですか? 該当する罰則条文を探してください
該当罰則 廃棄物処理法罰則 第 29 条 事例 3. 運搬終了 と記載した 虚偽の管理票 第二十九条次の各号のいずれかに該当する者は 六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する 十第十二条の四第三項又は第四項の規定に違反して 送付又は報告をした者 第 25 条 2. ため込み 積替保管なし の許可の場合は第二十五条次の各号のいずれかに該当する者は 五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し 又はこれを併科する 三第七条の二第一項 第十四条の二第一項又は第十四条の五第一項項又は第十四条の五第項の規定に違反して 一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業を行つた者
該当罰則 廃棄物処理法罰則 事例 罰則無し 2. ため込み 積替保管あり で許可を取っていた場合は処理基準違反は改善命令の対象にはなるが 直罰はない ただし あまりに程度が悪く みだりに投棄している と判断されると 不法投棄となり 罰則 25 条の対象にも 1. 受託した 建設廃材を 契約で定めた目的地に運搬せず 受託した 建設廃材を契約で定めた目的地に運搬せず 違反条文はなく したがって これだけでは罰則の対象にはならない
課題 6 溜め込み を行っている業者に対する行政処分は どのようなものがあるでしょうか? 妥当な行政処分を考えてみてください
可能性のある行政処分の検討 事例 1. 許可取消はあり得るか? 許可業者なので 許可に関する 許可取消 事業停止 等はありえる 許可に関する 許可取消 事業停止 等はありえる 2. 改善命令はあり得るか? ため込み が 保管 と見なされれば 保管基準を遵守せよ という改善命令はありうる 3. 措置命令はあり得るか? ため込み が 生活環境保全上の支障 のレベルであれば 措置命令もありうる また 排出事業者も 委託基準違反 ( たとえば 処分業者からのマニフェスト返却の未確認等 ) があれば 19 条の 5 の規定により排出者にも 措置命令はあり得る 平成 23 年 3 月 15 日付け環境省通知によれば標準的な行政処分の内容は 無許可変更に注目すれば 許可取消 が妥当 虚偽管理票に注目すれば 停止 30 日 が妥当 命令に至らないレベルでの 処理基準違反 に注目すれば 停止 10 日 が妥当
法第 14 条の 3 等に係る法定受託事務に関する処理基準について
おまけ 排出者に対する 違反条文 罰則は 行政処分を考えてみてください
可能性のある行政処分の検討 事例 1. なぜ 排出事業者へ 勧告 や刑事告発を行わなかったか? < 参考条文 >( 勧告及び命令 ) 第十二条の六都道府県知事は 第十二条の三第一項に規定する事業者 運搬受託者又は処分受託者 ( 以下 この条において 事業者等 という ) が第十二条の三第一項から第十項まで 第十二条の四第条の四第 二項から第四項まで又は前条第一項から第三項まで 第五項 第六項及び第十項の規定を遵守していないと認めるときは これらの者に対し 産業廃棄物の適正な処理に関し必要な措置を 講ずべき旨の勧告をすることができる 2 都道府県知事は 前項に規定する勧告を受けた事業者等がその勧告に従わなかつたときは その旨を公表することができる 該当罰則第二十九条次の各号のいずれかに該当する者は 六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する 三第十二条の三第一項 ( 第十五条の四の七第二項において準用する場合を含む 以下この号において同じ ) の規定に違反して 管理票を交付せず 又は第十二条の三第一項に規定する事項を記載せず 若しくは虚偽の記載をして管理票を交付した者
経営塾演習 違反事例に学ぶ廃棄物処理法 単に違反記事を眺めるだけでなく 自社でも起きる可能性はないか それを防止する手段はあるか等 他山の石 として眺める訓練もしていきましょう BUN 環境課題研修事務所 主宰長岡文明 29