汎用 CAD に対する電気設計専用 CAD の優位性 株式会社ワコムソフトウェア営業本部ソフトウェア営業部 1. はじめに弊社は 1984 年に電気設計専用 CAD システムを発売以来 日本のものづくりを担うお客様とともに成長し 電気制御設計の現場で 要求レベルの高いお客様ニーズに応えるために改良に改良を重ね 卓越した製品力を誇るまでに至った しかしながら 電気設計の用途でも汎用 CAD を利用されている企業は多く存在している 回路図やハーネス図など 単に図面として作成するだけであれば汎用 CAD でも事足りるが 今日の製造業においては 電気設計分野に限らず 低コスト化や設計リードタイムの短縮など業務改革は必須となっている 業務効率化という観点から汎用 CADの一般的な機能 ( 1) と比較し 電気設計 CADの優位性について解説する 1 各製品によって機能に差異があるため ここでは汎用 CAD や電気設計専用以外の CAD の標準的な機能を対象とする 2. 図面ファイル構造 通常 電気設計図面は数ページから数百ページに渡って作成される 汎用 CAD では それらの図面は別々のファイルで管理され ひとつの設計データとして扱うのは困難でなる 管理ツールなどを利用してもファイルは別々なので 設計者はどのファイルなのかを常に意識しなければならない 例えば 100 ページからなる図面情報を出図するには 100 個のファイルのオープン クローズが必要になる 電気設計専用 CAD の場合 設計データに要するすべてのページをひとつのファイルで管理できるので 設計者はファイルを意識する必要がない その結果として ページの切り替えがスムーズにでき 複数のページ間にわたる回路も高速に処理できる ページ毎に 1 ファイルで管理 1~9999 ページまで 1 ファイルで管理 図 1 一般の電気図面ファイルの構成 ( 左 ) と電気設計専用 CAD の図面構成 ( 右 )
3. 回路図面の作図 回路図の作成では 部品など回路要素の図記号を配置し 要素どうしを配線するが それぞれの配線には 線番 などの電気的な情報が存在する 配線も単なる線ではなく 信号の入力や出力など部品どうしを結び付ける接続情報をもたせることで回路としての意味をもつ このように回路図を構成する図面は 単に図形だけの表現ではなく 回路として様々な情報を伴ったものにする必要がある 汎用 CAD で回路図を作成する場合 それぞれは単なる図形と文字列でしかなく 配線の状態を認識させることはできない 部品や配線の変更が生じた場合 関係する全ての直線や文字を再度作図する必要が生じる 電気設計専用 CAD では すべての回路要素が電気情報を伴う専用データになっている そのため個々の要素に電気的な属性情報を容易に付加することができ 配線も単なる直線ではなく 配線機能として扱えるので 配線図を素早く作成することができる 図 2 電気設計専用 CAD の配線図 4. 設計自動化支援 電気設計では しばしば自動処理を必要とするケースがあり 例えば 複数ページに展開されるコイル 接点の取りあい 回路の接続関係を認識しながらの線番自動設定などである 汎用 CAD では このような自動化機能がないため 図面の作成に手間がかかり ミスの発生要因にもなりかねない 電気設計専用 CAD の場合 ページ間にわたる線 番の設定やコイル 接点の取り合い リファレンス情 報の作成など自動処理機能を豊富に備えている 図 3 電気設計専用 CAD のリファレンス編集と自動線番機能
5. 設計データの利用 設計 ~ 生産までのトータルな効率化を考えると 回路図面に入力された様々な情報を活用して後工程のための情報を付加し活用することが求められる また この時点で後工程への正確な情報が入力されれば設計の手戻りを未然に防ぐことができ 仕様変更などが発生しても迅速な対応が可能となる 汎用 CAD による回路図は 単なる図形と文字の集まりになっており 図面としての活用しかできない 電気設計専用 CAD では 図面データについて様々な活用が可能で 例えば 回路図から端子情報を抽出して端子リストを作成し 編集した後に回路内にフィードバックする機能 部品情報を抽出して部品集計を行なったり 編集した部品表を図面として作成できる機能が備わっている 制御回路図 外形部品自動展開 穴あけ加工図 部品マスター 部品表 部品集計表 図 4 電気設計専用 CAD の設計データの流れと活用 次ページより参考として 電気設計専用 CAD と汎用 CAD の機能比較一覧を記載する
6. 電気設計専用 CAD と汎用 CAD の機能比較一覧 比較項目電気設計専用 CAD 汎用 CAD 図面管理機能 専用の管理ツールで直接図面を管理している 1 ファイルで複数ページ ( 最大 9999 ページ ) の データを扱い 高速な処理が可能 管理機能はほとんどない 複数ページのデータはページごとに操作する しか方法がない 図面検索機能作図開始時の操作性図記号 ( シンボル ) の配置データ形式配線の作図線番の作図回路パターンの利用 図面内の管理情報を用いて高速な検索が可能図面内の部品情報も検索できる作成から情報転記までが一連の作業で行えるため 比較的わかりやすい専用コマンドで簡単に配置できる図記号は別ファイルのため処理が高速通常の削除や移動コマンドで編集が可能 ( 自動で配線の再結合ができる ) 図記号の文字は 記号挿入時に一連の操作で入力できる図記号はプレビュー ファイル一覧 管理コード 図記号コメント等を参照しながら挿入できる図記号挿入時の絞り込み 検索等の機能があるシンボルファイルは外部参照のため 図記号の数が増えても図面のファイルサイズは肥大しないシンボル内蔵時も 1 つの図記号データを共有しているためファイルサイズへの影響は小さい全ページに一括してシンボルの修正ができる T 字型の配線時は接続点が自動で挿入され 結線の接続毎に電線情報が入力できるデータ形式は 図形自体が電線としての情報を持つため豊富な情報を図面に挿入して利用できる図面を直接参照してチェックする機能があり ページ内 図面 ( プロジェクト ) 内 範囲指定自動線番などの機能があるデータ形式は 専用の属性を DB で連結するため自由な位置変更ができるパターン入力コマンドで挿入し 通常図面と同様に編集ができる一覧よりパターンを選択できる ( プレビュー ファイル名 管理コード コメント等管理情報を参照して選択でき 絞り込みも可能 ) 一般的なファイル名や文字での検索は可能相当な標準化を行わないと 図面の再利用ができない単なる図形のため 個々に作成するしかない図形の呼び出しはブロック化することで可能だが 図記号ライブラリのように運用することは難しい汎用 CAD の図形データのみ専用のコマンドがなく 結線として認識できないデータ形式は図形のみ専用コマンドがなく データ形式は図形のみブロック挿入は可能
比較項目電気設計専用 CAD 汎用 CAD 図枠部品情報の入力印刷拡張機能拡張性他ツールとの相互運用性 自由に変更可能図面内のすべてのページを一括変更可能各ページのフォーマットはプルダウンリストから選択部品マスター DB を参照して入力できるマスター管理ツールが付属している複数図面一括 図面毎 ページ毎で自由に選択し印刷できる印刷データは一括してプリンタに送信するため負荷が少なく 印刷中も作業が続行できる部品表作成 布線表作成 PLC( オムロン 三菱 ) データの取込みができるカスタマイズでの対応が可能 COM API を利用してユーザーがカスタマイズすることも可能各ツールに有効なデータの抽出電子印鑑各種 PDM との連携パスワード設定機能 タイトルブロック機能で可能不可 1 ページ毎に開いて印刷するなしカスタマイズは可能情報抽出は不可 詳しい資料のご請求は弊社 HP より http://cad.wacom.co.jp/ 電気設計専用 CAD に関するお問い合わせ株式会社ワコムソフトウェア営業本部ソフトウェア営業部 164-0012 東京都中野区本町 1-32-2 ハーモニータワー 21F Tel 03-5309-1517 Fax 03-5309-1520 本資料に記載されている内容の著作権 に関しては 株式会社ワコムに帰属しま す 内容の全体か一部かを問わず 著 作権者の許可なく転載 複製することを 禁じます