号 以下 本願 という ) をしたが, 平成 23 年 10 月 26 日付けで拒絶査定を受けたので, 平成 24 年 1 月 31 日, これに対する不服の審判を請求するとともに, 手続補正書を提出した ( 以下 本件補正 という ) 特許庁は, この審判を, 不服 号事件とし

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

主文第 1 項と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は, 平成 24 年 6 月 14 日, 発明の名称を 遊技機 とする特許出願をし ( 特願 号 請求項数 3 ), 平成 26 年 5 月 12 日付けで拒絶理由通知 ( 甲 8 以下 本件

1 特許庁における手続の経緯原告は, 名称を 5 角柱体状の首筋周りストレッチ枕 とする発明につき, 平成 20 年 10 月 31 日に特許出願 ( 本願 特願 号, 特開 号, 請求項の数 1) をし, 平成 25 年 6 月 19 日付けで拒絶

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

審決取消判決の拘束力

にした審決を取り消す 第 2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を レーザ加工方法, 被レーザ加工物の生産方法, およびレーザ加工装置, 並びに, レーザ加工または被レーザ加工物の生産方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体 とする特

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

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☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第24号-

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平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

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平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

4CAE B10001CD83

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

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丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

間延長をしますので 拒絶査定謄本送達日から 4 月 が審判請求期間となります ( 審判便覧 の 2.(2) ア ) 職権による延長ですので 期間延長請求書等の提出は不要です 2. 補正について 明細書等の補正 ( 特許 ) Q2-1: 特許の拒絶査定不服審判請求時における明細書等の補正は

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨 1 特許庁が無効 号事件について平成 25 年 5 月 9 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争い

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

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平成25年5月  日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

最高裁○○第000100号

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

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☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

下 本件特許 という ) の特許権者である 被告は, 平成 23 年 11 月 1 日, 特許庁に対し, 本件特許を無効にすることを求めて審判の請求をした 特許庁は, 上記請求を無効 号事件として審理をした結果, 平成 25 年 9 月 3 日, 特許第 号の

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡 平成 29 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 13 日 判 決 原告株式会社コーエーテクモゲームス 訴訟代理人弁護士 佐 藤 安 紘 高 橋 元 弘 吉 羽 真一郎 末 吉 亙 弁理士 鶴 谷 裕 二

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第

例 2: 組成 Aを有するピアノ線用 Fe 系合金 ピアノ線用 という記載がピアノ線に用いるのに特に適した 高張力を付与するための微細層状組織を有するという意味に解釈される場合がある このような場合は 審査官は 請求項に係る発明を このような組織を有する Fe 系合金 と認定する したがって 組成

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最高裁○○第000100号

(イ係)

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

 

平成  年(オ)第  号

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

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を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

算税賦課決定 (5) 平成 20 年 1 月 1 日から同年 3 月 31 日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正のうち還付消費税額 6736 万 8671 円を下回る部分及び還付地方消費税額 1684 万 2167 円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定 (6) 平成 20 年 4 月

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

争点は,1 引用例 2 記載事項の発明該当性の判断の遺脱の有無,2 同発明該当性の判断の誤り及び3 本願発明の進歩性判断の誤りの有無である 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 24 年 5 月 2 日, 名称を 放射能除染装置及び放射能除染方法 とする発明につき, 特許出願 ( 特願 201

原告は, 発明の名称を 内燃機関の燃費削減装置 とする発明につき,201 3 年 ( 平成 25 年 )4 月 30 日 ( 優先権主張日 2012 年 平成 24 年 4 月 2 7 日 以下 本願優先日 という ) を国際出願日とする特許出願 ( 特願 号 以下 本願 と

第 1 原告の求めた判決 特許庁が無効 号事件について平成 23 年 12 月 28 日に した審決を取り消す 第 2 事案の概要本件は, 被告の請求に基づき原告の本件特許を無効とした審決の取消訴訟であり, 当裁判所が取り上げる争点は, 実施可能要件及びサポート要件の充足性の

令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

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31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

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である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

インド特許法の基礎(第35回)~審決・判例(1)~

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

事件名

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

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2.2.2 外国語特許出願の場合 2.4(2) を参照 2.3 第 184 条の 5 第 1 項に規定された書面 (1) 日本語特許出願 外国語特許出願を問わず 国際特許出願の出願人は 国内書面提出期間 ( 注 ) 内に 出願人 発明者 国際出願番号等の事項を記載した書面 ( 以下この部において 国

指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

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政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

平成 24 年 12 月 28 日付け拒絶理由通知平成 25 年 1 月 21 日付け手続補正書 意見書の提出平成 25 年 10 月 30 日付け拒絶理由通知平成 25 年 11 月 19 日付け手続補正書 意見書の提出平成 26 年 4 月 16 日付け拒絶理由通知平成 26 年 5 月 9 日

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

原告は, 平成 26 年 12 月 9 日, 指定役務を第 35 類 市場調査又は分析, 助産師のあっせん, 助産師のための求人情報の提供, 第 41 類 セミナーの企画 運営又は開催, 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 書籍の制作, 教育 文化 娯楽 スポーツ用ビデオの制作

事実及び理由 第 1 請求主文同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を 経皮吸収製剤, 経皮吸収製剤保持シート, 及び経皮吸収製剤保持用具 とする特許第 号 (2006 年 1 月 30 日国際出願 ( パリ条約による優先権主張 2005 年 1 月

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

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という ) 開始に係る各相続税 ( 以下 本件各相続税 という ) の申告をしたところ, 処分行政庁から本件各相続税の各更正及びこれらに係る重加算税の各賦課決定を受け, 裁決行政庁からこれらに係る原告らの審査請求を却下する旨の各裁決を受けたのに対し, 上記各更正のうち原告らが主張する納付すべき税額を

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

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平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

本件は, 特許無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 争点は, 進歩性の有無である 1 特許庁における手続の経緯 (1) 被告は, 平成 23 年 10 月 7 日に特許出願をした特願 号 ( 以下 原出願 という ) の一部である, 発明の名称を 位置検出装置 と

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

Transcription:

平成 25 年 8 月 9 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 10412 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 8 月 7 日 判 決 原告株式会社タイキ 訴訟代理人弁理士長谷部善太郎 同山田泰之 被告特許庁長官 指定代理人関谷一夫 同窪田治彦 同大橋信彦 主 文 1 特許庁が不服 2012-1824 号事件について平成 24 年 10 月 16 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨主文と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争いがない ) 原告は, 発明の名称を 化粧用チップ とする発明 ( 請求項の数は3である ) について, 平成 22 年 1 月 18 日に特許出願 ( 特願 2010-7777

号 以下 本願 という ) をしたが, 平成 23 年 10 月 26 日付けで拒絶査定を受けたので, 平成 24 年 1 月 31 日, これに対する不服の審判を請求するとともに, 手続補正書を提出した ( 以下 本件補正 という ) 特許庁は, この審判を, 不服 2012-1824 号事件として審理し, 同年 10 月 16 日, 本件補正を却下した上, 本件審判の請求は, 成り立たない との審決 ( 以下, 単に 審決 という ) をし, 審決の謄本を, 同月 3 0 日, 原告に送達した 2 特許請求の範囲 (1) 本件補正後の本願の特許請求の範囲における請求項 1の記載は次のとおりである ( 甲 5 この発明を, 以下 本願補正発明 という また, 本件補正後の本願の明細書及び図面を総称して, 以下 本願明細書 ということがある ) 請求項 1 塗布部先端の端縁部を直線状又は平面状にしてなる化粧用チップであって, 支持具の一端に繊維束ではない多孔性の基材が接着又はアウトサート成形されることにより設けられた化粧用チップ (2) 本件補正前の本願の特許請求の範囲における請求項 1の記載は次のとおりである ( 甲 11 この発明を, 以下 本願発明 という ) 請求項 1 塗布部先端の端縁部を直線状又は平面状にしてなる化粧用チップであって, 支持具の一端に基材が接着又はアウトサート成形されることにより設けられた化粧用チップ 3 審決の理由 (1) 別紙審決書写しのとおりであり, その概要は以下のとおりである 本願補正発明は, 本願出願日前に頒布された刊行物である特開平 10 1 55542 号公報 ( 甲 1 以下 刊行物 1 という ) に記載された発明

( 以下 引用発明 という ) 及び周知技術に基づいて, 当業者が容易に発明することができたものであるから, 特許法 29 条 2 項の規定により, 特許出願の際独立して特許を受けることができず, 本件補正は, 平成 23 年法律第 63 号改正附則 2 条 18 項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法 17 条の2 第 6 項において準用する同法 126 条 5 項の規定に違反するので, 同法 159 条 1 項において読み替えて準用する同法 53 条 1 項の規定により却下されるべきものである 本願発明は, 本願補正発明から, 発明を特定するために必要な事項である 繊維束ではない多孔性の との限定を省いたものであるから, 本願補正発明と同様に, 引用発明及び周知技術に基づいて, 当業者が容易に発明をすることができたものである 以上により, 本願発明は, 特許法 29 条 2 項の規定により特許を受けることができない (2) 審決が, 上記結論を導くに当たり認定した, 引用発明の内容, 本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点は, 以下のとおりである ア引用発明の内容アイラインを描くためのアイライナーの芯 2であって, アイライナーは, 中空の棒状の本体 1の両端に, 薄い板状の, それぞれ厚みは同じで, 幅の異なる芯 2を取り付けたアイライナーであり, 芯 2の先端面 6は略平面状であり, 芯 2の先端面 6の一辺は略直線状であり, 芯 2の素材は, スポンジ状の素材を使用する, 芯 2 イ本願補正発明と引用発明の一致点 塗布部先端の端縁部を線状又は面状にしてなる化粧用チップであって, 支持具の一端に繊維束ではない多孔性の基材が設けられた化粧用チップ

ウ本願補正発明と引用発明の相違点 ( ア ) 本願補正発明の化粧用チップが 塗布部先端の端縁部を直線状又は平面状にしてなる のに対し, 引用発明の化粧用チップの塗布部先端の端縁部は, 略直線状又は略平面状ではあるものの, 直線状又は平面状であるのか否か不明な点 ( 以下 相違点 1 という ) ( イ ) 支持具の一端に基材を設けるに当たり, 本願補正発明では, 接着又はアウトサート成形されることにより設けられ ているのに対し, 引用発明では, 接着又はアウトサート成形されることにより設けられ ているのか否か不明な点 ( 以下 相違点 2 という ) 第 3 原告の主張 1 本願補正発明と引用発明との相違点の看過 ( 取消事由 1) 審決は, 引用発明の アイラインを描くためのアイライナーの芯 2 又は 芯 2 は, 文言の意味, 形状又は機能等からみて, 本願補正発明の 化粧用チップ に相当すると認定する しかしながら, 本来, アイライナーと化粧用チップとは, 互いに異なる機能を備え, 使用方法及び使用する部位において明らかに相違する用具であり, せいぜい目の周囲に対して化粧を施す際に使用する点において共通するに止まるものの, 決して同一の用途又は共通する用具とはいえない すなわち, アイライナーとは, 化粧料を収納した容器と一体となり, 該容器から供給される化粧料が塗布部に含浸されて, 該塗布部から化粧部位に化粧料が塗布されるための用具であり, 又は, 塗布筆に含浸された化粧料を塗布部位に塗布するための用具である そして, 該化粧料は アイライナー という用語のとおり, アイラインを引くための化粧料であって, アイライナー もまたその用語どおり, まつげの生え際にアイラインの線を引くための用具であり, ほかの箇所を対象にして使用するものではない 他方, 化粧用チップは, 化粧料を化粧部位に塗るための用具である点におい

てアイライナーと共通するものの, まつげの生え際に線状に化粧料を塗布するために使用されるものではなく, まぶたのようにより広い範囲の皮膚上にアイシャドー等の化粧料を塗り拡げるための用具であって, その用途に応じて塗布部は幅が広く, 先端部のみではなくその塗布部の胴部も使用するための形状を呈している また, 化粧用チップは粉状の化粧料にも使用できるよう, 積極的にアイライナーほどには化粧料を吸収する等して保持する用具ではなく, むしろ化粧用チップの上に化粧料を付着させ, これを化粧部位上に塗り拡げることにより目的とする化粧を行うものである このように, アイライナーと化粧用チップとは, 使用する化粧の部位, 化粧液を積極的に保持する構造の有無やそれによる用途, 塗り方などの点において明らかに相違するから, アイライナーと化粧チップとを互いに置換可能な用具として位置付けることはできない よって, アイライナーである引用発明が化粧用チップと同じであるとした審決の認定は誤りである 2 相違点 1に関する容易想到性判断の誤り ( 取消事由 2) 引用発明のアイライナーは, 先端面をまつげの生え際に軽く押し当てることによって使用するものであり, その先端面の形状は, まつげの生え際に軽く押し当てた状態において, アイライナーを任意の方向に移動させることによって化粧料を塗布するように使用するものではない 他方, 化粧用チップは, 化粧する部位に軽く押し当てながら任意の方向に移動させることにより化粧料を塗布するものである このように, 引用発明におけるアイライナーと, 化粧用チップとでは, 塗布時における動かし方が異なるので, たとえ, 引用発明におけるアイライナーの先端面の形状が平面状であり, 先端面の一辺の形状が直線状であるとしても, その形状を基に, アイライナーではなく化粧用チップの先端の形状を直線状とすることができる根拠にはならず, 結局のところ, 当業者が容易に発明できる

ものではない 第 4 被告の主張 1 取消事由 1について 化粧用チップ とは, 原告が出願人である別件の国際出願 ( 国際公開第 2 012/063924 号フロントページ ) を参照すれば, 英語では cosm etic applicator tip と訳される ここで tip とは, 1 先, 先端,( あることの ) 小さな 表面的な 一部 2 頂上, 頂, 頂点 3 先端に付ける金具, 金輪, 金たが,( 刀剣のさやの ) こじり,( 杖やこうもりがさの ) 石突き ( 研究社新英和大辞典 ) であり, applicat or tip で 塗布用の先端部材 と解される また, 日本語における チップ とは, tip ボールペンなどの先端 ( 広辞苑第六版 ) などを意味するものであるから, 通常, 化粧用チップ とは, 化粧料の塗布用の先端部材 と解されるものである 本願補正発明の請求項 1には, 化粧用チップ について, 具体的な用途や使用方法に関しては何らの特定がされていないが, 本願明細書によれば, 化粧用チップ とは, 一般的に化粧料をある範囲に塗布するものとして用いられるものと理解される 一方, 本願明細書には, 本発明の化粧用チップの使用方法の一例を以下に示すが, この使用方法に限定されるものではなく, 使用者が任意の方法にて使用できる 図示はしないが, 目の際を化粧する際にも化粧用チップの端縁部 4の幅方向を, まつげに沿って付け, 次いで目頭から目尻にかけて線を引くようにして化粧料を塗布する この場合には端縁部 4の幅方向に化粧用チップを引くようにするので, なめらかなラインを引くことができ, ぼやけずにはっきりとした色を出すことが可能となる との記載があり, この 目頭から目尻にかけて の ライン はアイラインに他ならないから, 本願補正発明の 化粧用チップ は, 用途として, 少なくともアイラインを引くことを含んでいるものと解される よって, 本願補正発明の 化粧用チッ

プ に アイライナー が含まれると解するのが妥当である これに対し, 引用発明の アイライナー は, 顔料 という化粧料を まつげの生え際 という範囲に塗るための用具といえ, また, 芯 2 はその配置や機能等からみて, この用具の 塗布用の先端部材 といえる そして, 化粧用具に関する技術分野においては, 化粧料を化粧部位に塗るために使用されるチップは, 化粧料を含浸させるチップを排除するものではないから, 引用発明における アイライナーの芯 2 が, 原告の主張するように 容器から供給される化粧料が塗布部に含浸されて, 該塗布部から化粧部位に化粧料が塗布されるための用具 の芯 2であったとしても, 化粧料 ( 顔料 ) をある範囲 ( まつげの生え際 ) に塗るために使用される塗布用の先端部材であることに変わりはなく, 通常の意味としての 化粧用チップ に該当することは明らかである 審決は, 本願の特許請求の範囲に 化粧用チップ の具体的用途や使用方法について何らの特定のないこと, 本願補正発明の 化粧用チップ はアイラインを引くことにも使用されること, 引用発明の アイライナーの芯 2 も 塗布用の先端部材 という意味における 化粧用チップ の概念に含まれることを踏まえた上で, 引用発明の アイラインを描くためのアイライナーの芯 2 又は 芯 2 は, 文言の意味, 形状又は機能等からみて本願補正発明の 化粧用チップ に相当し と認定したのであり, その認定に誤りはない 2 取消事由 2について原告による相違点 1についての主張は, 本願補正発明の 化粧用チップ と引用発明の アイライナー とが塗布部位において本質的に異なり, また, 塗布方法において異なることを前提とする主張であるが, 原告の主張がその前提において失当であることは, 前記 1のとおりであるから, 本願補正発明は当業者が容易に発明することができたとの審決の判断に誤りはない 第 5 当裁判所の判断当裁判所は, 審決には本願補正発明と引用発明との相違点を看過した誤り

( 取消事由 1) があり, この審決の判断の誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるから, 審決は取消しを免れないと判断する その理由は次のとおりである 1 本願補正発明における 化粧用チップ について (1) 本願明細書には, 以下の記載がある ( 甲 4) 技術分野 0001 本発明は, 化粧料を塗布するためのチップに関する 背景技術 0002 パウダー状のラメやアイシャドー等を塗布するために用いられる化粧用具として化粧用チップは知られている そして, アイメイクの際には, 目の上下のまぶた全体や二重の幅にチップを用いてアイシャドーを塗布したり, 塗布されたアイシャドーをチップを使ってぼかしたり, グラデーションを作っている この際に使用する化粧用チップにはその形状においていくつもの例が挙げられる 0003 例えば, 特許文献 1に記載されたチップは, 基板先端にウレタン等により略紡錘形の塗布部が形成されたものであり, 先端には紡錘形状の凸部端部が形成された形状となっている 特許文献 2に記載された化粧用チップは, 一端に特許文献 1に記載のチップの塗布部の形状と同様の形状の塗布部と, 他端に塊状の塗布部が形成されたものである 特許文献 3 及び4に記載された化粧用綿棒は, 先端部分に向かって扁平状となるように圧偏してなるものであり, その先端部は円弧状を形成してなる

ものである このような化粧用チップの塗布面にアイシャドー等を付着させた後, それをまぶたや二重の幅部分に接触させて, アイシャドー等を塗布したり塗り拡げたりすることにより化粧を行っている 発明を実施するための形態 0013 ( 本発明の化粧用チップの構造 ) 本発明の化粧用チップは公知の化粧用チップと同様に指示具 2とその一端に化粧料の塗布部 1を有してなる そしてその塗布部 1は基材 5を有し, その基材表面に化粧料を含浸又は担持するための塗布面を構成する皮膜層 6を設けてなるものであっても良く, また, 皮膜層 6を設けることなく, 該基材の表面が塗布面を構成していても良い 本発明は特定の形状の化粧用チップとするために, 特に塗布面の形状に特徴を有するのであり, その形状は支持具に取り付けられてその先端部となる端縁部 4が頂点を形成するのではなく, 直線又は平面を形成するものである 0015 本発明の化粧用チップが皮膜層 6を有する場合には, 該皮膜層 6は化粧料を含浸でき, 又は担持できるように多孔性又は植毛されたものであることが望ましい 0016 図 3は本発明の化粧用チップの側面図であり, 中でもaで示すような塗布部の端縁部 4の厚さが厚いものでも良く,bで示すような薄いものでも良い 薄いほうが目の際を塗布する際により細い線を描くことができるし, 二重幅の目頭もよりピンポイントで塗布することが可能となる 0029

( 本発明の化粧用チップの使用方法 ) 本発明の化粧用チップの使用方法の一例を以下に示すが, この使用方法に限定されるものではなく, 使用者が任意の方法にて使用できる 図 5は, 本発明の化粧用チップの塗布部 1の専ら端縁部 4を使用して二重幅に化粧料を塗布する図である その端縁部 4に所定量の化粧料を含浸又は担持させた後,aのように, まぶたを少し閉じつつ二重幅が拡がった状態において, 目頭に化粧用チップの端縁部 4の角を合わせ, 次いでbに示すように, 化粧用チップを目尻方向に移動させながら, 変化する二重幅に合うように移動方向と化粧用チップの先端部の幅の向きを調整しながらcで示すように塗布する この方法により, 目頭には比較的細く線を入れることが可能であると共に, 引き続き二重幅に塗布する線の幅を調整しながら塗布できるので, 二重幅からはみ出たりすることなく, 意図した色濃度となるように塗布することができる 0030 図示はしないが, 目の際を化粧する際にも化粧用チップの端縁部 4の幅方向を, まつげに沿って付け, 次いで目頭から目尻にかけて線を引くようにして化粧料を塗布する この場合には端縁部 4の幅方向に化粧用チップを引くようにするので, なめらかなラインを引くことができ, ぼやけずにはっきりとした色を出すことが可能となる 0031 図 6は, 本発明の化粧用チップを用いてまぶたに化粧料を塗布する方法を示す図である 化粧用チップの塗布部 1の側面をまぶたの目頭の部分にあてて, 化粧用チップを目尻方向に引きながらまぶたを塗布する このとき, 本発明の化粧用チップは端縁部 4での幅を有しているためにその側面の面積が大きいので,1 回の塗布により塗布できる面積が大きく, まぶた全体を塗布し塗り拡げる場合にも, 手間がかからず, 均一により早く塗布することが可

能である (2) 本願明細書の上記記載によれば, 本願補正発明の 化粧用チップ は, まぶた全体や二重の幅部分に化粧料を付着させるものであって, 化粧料を付着させた化粧用チップを化粧部位に接触させて塗布したり塗り拡げて, アイシャドー等を付するための化粧用具であると共に, これを目の際に使用してアイライナー用に使用することもできるものであると認められる なお, 本願明細書の前記記載に加え, 発明の名称を 化粧用具 とする特開 2004-57694 号公報 ( 甲 3) には, この化粧用ユニットAの化粧用チップ4に, パウダー状のラメやアイシャドー等の化粧品を付着させ, この付着させた化粧品を顔等に塗布すればよい ( 0013 ) とあることや, 化粧用チップの使用方法に関する文献の記載 ( 甲 10の44 頁 2, 46 頁 5,47 頁 8,48 頁 910,50 頁,96 頁 6,99 頁 6 ) に照らしても, 化粧用チップ は, 一般的にも, アイシャドー等の化粧料を付着させるものであって, 化粧料を付着させた化粧用チップを化粧部位に接触させて塗布したり塗り拡げたりする化粧用具であるということができるけれども, 本願明細書の前記 0015 の記載からすると, 本願補正発明の化粧用チップには, 化粧料を含浸するタイプのものも含まれるのであり, このようなタイプのものを排除するわけでもない 2 引用発明における アイライナー について (1) 刊行物 1には, 以下の記載がある ( 甲 1) 特許請求の範囲 請求項 1 中空の棒状の本体(1) の両端に, 薄い板状の, それぞれ厚みは同じで, 幅の異なる芯 (2) を取り付け, その芯 (2) の先端面 (6), 及び本体後面側 (4) の先端面 (6) に沿った先端の一部を露出させるように枠 (3) で被ったことを特徴とするアイライナー 発明の詳細な説明

0001 発明の属する技術分野 本発明は, 先端を薄く平たい形状にしたアイライナーに関するものである 0002 従来の技術 従来のアイライナーは, 先端が筆型になったもの, 或いは鉛筆型になったものであった どちらも, まつげの生え際に沿って描くことは技術を要し, 慣れるまで時間がかかっていた また, 均一な太さの線を描くことも難しく, 特に筆型のものは先端部が軟らかい為, 必要以上に太い線になり易かった また, 顔料の付着する部分が広い為, まつげや瞼など余分な部分を汚し易かった 0003 発明が解決しようとする課題 本発明は, 慣れない人であっても, まつげの生え際に沿って, 均一な太さのアイラインを手早く簡単に描くことが出来, まつげや瞼など余分な部分を汚しにくいアイライナーの提供を目的とするものである 0005 発明の実施の形態 以下, 図面に示す実地の形態について説明する 中空の本体 1の両端に, 薄い板状の, それぞれ厚みは同じで, 幅の異なる芯 2を取り付け, その芯 2の先端面 6, 及び本体後面側 4の先端面 6に沿った先端の一部を露出させるように枠 3で被う 本体正面側 5の先端近くから枠 3との接続部まで, ゆるい傾斜をつける 液体を含み易い, スポンジやフェルトなどの素材に, アイライナー用の液状の顔料を含ませ, 本体 1 内部に挿入する その顔料を含ませた部分と芯 2を接続し, 顔料が芯 2に浸透するようにする 芯 2の素材は, 液状の顔料が浸透し易く, 容易に変形しにくい, 固めのスポンジ状の素材, フェルト状の素材などを使用する また, 本体 1と枠 3は, 合成樹脂や金属など, 顔料が浸透しにくく, 固くて変形しにくい素材

を使用する 0006 このアイライナーでアイラインを描く時には, 顔料が付着した芯 2の先端面 6をまつげの生え際に軽く押し当てる このとき, 本体後面側 4の先端部をまつげの生え際に沿わせる この部分には枠 3が無いので, 芯 2の先端面 6の一辺が, まつげの生え際に密着することになる アイライナーを除くと線状になった芯 2の先端面 6の形が一度にまつげの生え際に沿って描かれる 先に描かれた線に続けて同じ動作を繰り返すことによって, アイラインが描かれていく 短い幅の方の先端部は, 目頭や目尻付近など細かい微妙な線を描く時に使用する 0008 発明の効果 本発明は, 一度にある程度の長さの, 太さの均一な線が描けるうえに, まつげの生え際に沿わせ易く, また, 顔料が付着する部分は先端のごく一部なので, 手早く, 簡単に, 汚さず, まつげの生え際に沿ったアイラインを描くことが出来る (2) 刊行物 1の上記記載によれば, 従来のアイライナーは, 先端が筆型あるいは鉛筆型になったものであるのに対し, 引用発明における アイライナー は, 先端を薄く平たい形状にして, 中空の本体内部に, アイライナー用の液状の顔料を含ませたスポンジやフェルトなどの素材を挿入し, その顔料を含ませた部分と芯とを接続して, 顔料が芯 2に浸透するようにしたものであって, 顔料が付着した芯の先端面をまつげの生え際に軽く押し当てることによって, 線状のアイラインを描く化粧用具であると認められる 3 以上を踏まえ, 本願補正発明の 化粧用チップ と引用発明の アイライナーの芯 2 との異同について検討する (1) 本願補正発明の 化粧用チップ と引用発明の アイライナーの芯 2 とは, 化粧料を化粧部位に塗布する化粧用具の先端部という点では共通するものの, 本願補正発明の 化粧用チップ は, まぶたや二重の幅にアイシャド

ー等を付するために, 化粧料を面状に付着させたり, 塗布したり塗り拡げたり, ぼかしてグラデーションを作るなどするための化粧用具の先端部であると共に, これを目の際に使用して線状のアイラインを描くためにも用いることができるものであるのに対し, 引用発明の アイライナーの芯 2 は, まぶたの生え際 ( 目の際 ) に線状のアイラインを描くためにのみ使用する化粧用具の先端部であり, 本願補正発明の 化粧用チップ のように, 化粧料をまぶたや二重の幅に面状に塗布したり塗り拡げたりして, アイシャドー等を付するとの機能を備えた用具の先端部ではない点で異なるものである ( 化粧用チップは, 面状のアイシャドー等及び線状のアイライン形成のいずれのためにも使用することができるのに対し, アイライナーの芯 2は線状のアイライン形成のためにのみ使用することができるものであり, 面状のアイシャドー等を形成するために使用されるものではない ) したがって, 化粧用チップとアイライナーの芯 2とは, 一部において用途が共通するとしても, その主たる用途は異なるものであり, これを化粧用具の先端部として同一のものとみることはできない してみると, 審決が, 引用発明の アイラインを描くためのアイライナーの芯 2 又は 芯 2 が, 文言の意味, 形状又は機能からみて本願補正発明の 化粧用チップ に相当すると判断し, これを本願補正発明と引用発明との相違点として認定せずに, 両者は, 塗布部先端の端縁部を線状又は面状にしてなる化粧用チップ である点で共通すると認定したことは誤りである そして, 審決は, 本願補正発明と引用発明との上記相違点を看過した上で, その一致点及び相違点 1 及び2を認定し, 相違点 1については, 引用発明のアイライナーの 芯 2 の先端部の 略直線状又は略平面状 の形状を化粧用チップの 直線状又は平面状 の形状とすることは 当業者であれば適宜なし得た と判断したものである しかし, 引用発明の アイライナーの芯 2 は, 化粧用チップと異なり,

まぶたや二重の幅に化粧料を面状に塗布したり, これを塗り広げるなどしてアイシャドー等を施すとの機能を奏さず, 線状にアイラインを描くとの機能のみを奏するものであるから, そのような アイライナーの芯 2 の塗布部先端の形状を, まぶたや二重の幅に化粧料を面状に塗布したり, これを塗り拡げるなどしてアイシャドー等を施すとの機能を奏する化粧用チップの塗布部先端の形状として転用し得るものか否かは直ちには明らかではなく, 本来であるならば, 審決は, このような相違点も踏まえて容易想到性についての判断をすることを要するのに, これをせずに, アイライナーの芯と化粧用チップとの上記相違点を看過して容易想到性の判断をしたものである よって, 審決の上記相違点の看過は, 審決の容易想到性の判断に実質的な影響を与える誤りであるといわざるを得ず, 審決は取消しを免れない (2) 被告は, 化粧用チップ は, 英語の tip や日本語の チップ の語義に照らして, 化粧料の塗布用の先端部材 と解されること, 本願の特許請求の範囲に 化粧用チップ の具体的用途や使用方法について何らの特定のないこと, 本願明細書の記載によれば, 本願補正発明の 化粧用チップ はアイラインを引くことにも使用されると理解されること, 化粧用具に関する技術分野においては, 化粧料を化粧部位に塗るために使用されるチップが, 化粧料を含浸させるチップを排除するものではないことに照らせば, 引用発明の アイライナーの芯 2 が本願補正発明の 化粧用チップ に相当するとの審決の認定に誤りはないと主張する しかし, 本願補正発明の 化粧用チップ は, その特許請求の範囲に具体的な用途や使用方法についての特定がないとしても, まぶたや二重の幅に化粧料を付着させ, これを塗布したり塗り拡げたりする化粧用具の先端部であり, またアイラインを引くことにも使用され得るものであることが, 本願明細書の記載から優に認められるものであることは, 前記のとおりである また, 本願補正発明の 化粧用チップ が化粧料を含浸させるタイプのものも

排除するものではないことも前記認定のとおりであるものの, 引用発明の アイライナーの芯 2 が, まぶたや二重の幅に化粧料を付着させ, これを面状に塗布したり塗り拡げたりするアイシャドー等用の化粧用具のための先端部ではないことも刊行物 1の前記記載から明らかである以上, 本願補正発明の 化粧用チップ と引用発明の アイライナーの芯 2 は, 化粧用具の先端部として同一のものであるとはいえず, 被告の上記主張を斟酌しても, 引用発明の アイライナーの芯 2 を本願補正発明の 化粧用チップ とみることができないことも前記認定判断のとおりである 被告の上記主張は採用することができない 4 結論以上のとおり, 取消事由 1は理由があり, 審決には取り消すべき違法がある よって, 審決を取り消すこととして, 主文のとおり判決する 知的財産高等裁判所第 3 部 裁判長裁判官設樂 一 裁判官田中正哉 裁判官神谷厚毅