4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

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指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

最高裁○○第000100号

同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

(Microsoft Word \224\255\225\\\201yMSH\201z \224\273\214\210\201i\217\244\225W\201j.doc)

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

最高裁○○第000100号

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

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令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨 1 特許庁が無効 号事件について平成 25 年 5 月 9 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争い

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

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2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

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並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

審決取消判決の拘束力

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

B63EE1C51AFE4AD B000BA3B

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

最高裁○○第000100号

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

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年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

求める事案である 1 本件商標被告は, 平成 17 年 3 月 7 日, rhythm の文字を横書きしてなる商標 ( 以下 本件商標 という ) について, 第 25 類 履物, 乗馬靴 を指定商品として, 商標登録出願し, 同年 9 月 16 日に設定登録を受けた ( 登録第 号

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

原告は, 平成 26 年 12 月 9 日, 指定役務を第 35 類 市場調査又は分析, 助産師のあっせん, 助産師のための求人情報の提供, 第 41 類 セミナーの企画 運営又は開催, 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 書籍の制作, 教育 文化 娯楽 スポーツ用ビデオの制作

して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

事実及び理由控訴人補助参加人を 参加人 といい, 控訴人と併せて 控訴人ら と呼称し, 被控訴人キイワ産業株式会社を 被控訴人キイワ, 被控訴人株式会社サンワードを 被控訴人サンワード といい, 併せて 被控訴人ら と呼称する 用語の略称及び略称の意味は, 本判決で付するもののほか, 原判決に従う

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

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本件は, 商標法 50 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等被告は, 下記の KIRIN の欧文字を横書きしてなり, 平成 8 年 6 月 24 日に出願され, 第 30 類 コーヒー及びココア, 茶, 調味料, 香辛料

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

ない 4 訴訟費用は, 第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 第 2 事案の概要 1 事案の要旨本件は, 原判決別紙 商標権目録 記載の商標権を有する控訴人が, 被控訴人に対し, 被控訴人が原判決別紙 被告標章目録 記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が, 控訴人の商標権を

ある 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 23 年 6 月 8 日, 下記本願商標につき商標登録出願 ( 商願 号 ) をし, 平成 23 年 11 月 25 日, 指定商品の補正をしたが, 平成 24 年 1 月 30 日, 拒絶査定を受けたので, 平成 24 年 4

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1 特許庁における手続の経緯等 ( 後掲証拠及び弁論の全趣旨から認められる事実 ) (1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) の商標権者である ( 甲 1, 2) 登録番号第 号登録出願日平成 26 年 3 月 27 日設定登録日平成 28 年 4 月 22 日登録

主文第 1 項と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は, 平成 24 年 6 月 14 日, 発明の名称を 遊技機 とする特許出願をし ( 特願 号 請求項数 3 ), 平成 26 年 5 月 12 日付けで拒絶理由通知 ( 甲 8 以下 本件

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

判決【】

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平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

第 2 事案の概要本件は, 原告が有する下記商標登録 ( 本件商標 ) について, 被告が行った商標法 51 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求に対し, 特許庁がこれを認容する審決をしたことから, 原告がその審決の取消しを求めた事案である 争点は,1 原告による下記の本件使用商標 1 及び2(

平成 25 年 4 月 24 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 3 月 11 日 判 決 原 告 X 訴訟代理人弁理士 松 下 昌 弘 被 告 特 許 庁 長 官 指定代理人 井 出 英一郎 同 水 莖 弥 同 堀 内 仁 子

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(イ係)

平成 25 年 12 月 17 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 10 月 17 日 判 決 原告エイトマイハートイン コーポレイテッド 訴訟代理人弁護士 五十嵐 敦 出 田 真樹子 弁理士 稲 葉 良 幸 石 田 昌 彦 右

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平成 30 年 9 月 10 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 7 月 11 日 判 決 原告ハワード株式会社 同訴訟代理人弁護士 窪 田 英一郎 乾 裕 介 今 井 優 仁 中 岡 起代子 本阿弥 友 子 同訴訟代理人弁理士

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

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平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

平成 25 年 5 月 30 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 4 月 25 日 判 決 原告 X 訴訟代理人弁理士田中聡 被告東洋エンタープライズ株式会社 訴訟代理人弁理士野原利雄 主 文 原告の請求を棄却する 訴訟費用は原

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

事実及び理由 第 1 原告の求めた裁判特許庁が無効 号事件について平成 27 年 1 月 6 日にした審決のうち, 登録第 号の指定役務中 第 42 類ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供, オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラ

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平成 26 年 6 月 26 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 25 年 ( ワ ) 第 号商標権侵害差止等請求事件 口頭弁論終結日平成 26 年 4 月 18 日 判 決 原告 P1 同訴訟代理人弁護士同同訴訟復代理人弁護士同訴訟代理人弁理士 井上正人福島敏夫小幡靖弥前田健一

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

本件は, 商標法 50 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等被告は, 下記の KIRIN の欧文字を横書きしてなり, 平成 19 年 6 月 25 日に出願され, 第 35 類 酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

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平成 24 年 1 月 18 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 10282 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 12 月 22 日 判 決 原告 X 同訴訟代理人弁理士正林真之八木澤史彦被告日本電信電話株式会社補助参加人株式会社エヌ ティ ティ データ上記両名訴訟代理人弁護士水谷直樹曽我部高志 主 文 原告の請求を棄却する 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求特許庁が取消 2010-300845 号事件について平成 23 年 7 月 28 日にした審決を取り消す 第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告の下記 1の本件商標に係る商標登録の取消しを求める原告の下記 2の本件審判請求について, 特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書 ( 写し ) の本件審決 ( その理由の要旨は下記 3のとおり ) には, 下記 4のとおりの取消事由があると主張して, 原告が本件審決の取消しを求める事案である 1 本件商標本件商標 ( 登録第 3303268 号 ) は, 下記の構成を有するものであり, 平成 1

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 22 年 7 月 30 日, 本件商標の通常使用権者である補助参加人が, 本件商標の指定役務のうち, 本件役務の提供に際して, 特許庁職員に対して贈賄をするという法令に反する行為を行っており, したがって本件商標又は類似商標の使用が役務の質の誤認を生ずるものであったのに, 被告が, 補助参加人による当該品質誤認を生ずる使用を放置したと主張して, 商標法 53 条 1 項による取消審判を請求した ( 甲 28) 特許庁は, これを取消 2010-300845 号事件として審理し, 補助参加人の補助参加を受けた上で, 平成 23 年 7 月 28 日, 本件審判の請求は, 成り立たない との本件審決をし, その審決書謄本は, 同年 8 月 4 日, 原告に送達された ( 甲 9,31, 弁論の全趣旨 ) 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は, 要するに, 補助参加人が本件商標の通常使用権者であることを認めるに足りる証拠はなく, 補助参加人が使用する別紙に記載の標章 ( 以下 使用標章 という ) が, 本件商標の指定役務及びこれに類似する役務についての使用とはいえず, かつ, 本件商標と使用標章とが同一又は類似するものではない以上, 使用標章の使用が役務の質の誤認を生ずるものということはできない, というものである 4 取消事由 (1) 通常使用権者についての認定の誤り ( 取消事由 1) (2) 本件商標の使用についての認定の誤り ( 取消事由 2) 2

第 3 当事者の主張 1 取消事由 1( 通常使用権者についての認定の誤り ) について 原告の主張 (1) 本件審決は, 補助参加人が本件商標の通常使用権者であることを認めるに足りる証拠がない旨を説示する (2) しかしながら, 本件審決は, 被告の主張のみに基づいて, 補助参加人が通常使用権者であることを否定している むしろ, 補助参加人の商号 ( 株式会社エヌ ティ ティ データ ) は, 本件商標 (NTT) を含むこと, 被告と補助参加人とがいわゆるグループ企業の関係にあることに加えて, 被告は, 商標 NTTデータ ( 登録第 4657563 号 以下 別件商標 という ) を有し, 補助参加人に対して当該商標の使用許諾を行っているところ ( 甲 10,21), 別件商標の使用許諾は, 当然に, 本件商標の使用許諾を含む 現に, 別件商標は, 本件商標を含むのに, 被告は, 補助参加人による別件商標の使用について権利行使をしたことがない (3) よって, 補助参加人は, 本件商標の通常使用権者であると推認され, これに反する本件審決の認定は, 誤りである 被告及び補助参加人の主張 (1) 補助参加人は, 被告から本件商標について通常使用権の許諾を受けていない (2) 補助参加人の商号が本件商標を含み, あるいは被告と補助参加人とがグループ企業の関係にあるからといって, 通常使用権の許諾が合理的に推認されるものではない 補助参加人は, 別件商標について被告から使用許諾を受けているが, そのことが別件商標とは異なる本件商標についての使用許諾の根拠となるものではない しかも, 被告及び補助参加人は, いずれも我が国を代表する企業の1つであるから, それぞれの商号の略称である NTT ( 本件商標 ) と NTTデータ ( 別件商標 ) とは, 相互に識別可能であり, 非類似である 3

(3) よって, 通常使用権の許諾に関する原告の主張は, 失当である 2 取消事由 2( 本件商標の使用についての認定の誤り ) について 原告の主張 (1) 本件審決は, 補助参加人のウェブページである甲 3の使用標章の表示が, 商標的使用ではなく, また, 本件役務及びこれに類似する役務についての使用とはいえない旨を説示するほか, 本件商標と使用標章とが同一又は類似するものではない旨を説示する (2) しかしながら, 甲 3の使用標章の表示が商標的使用であることを否定する事情はないばかりか, 甲 3には, お客様のあらゆるご要望に合わせた情報システムの構築 それが,NTTデータのコア コンピタンスであるシステムインテグレーション事業です と明記されており, ここにいう システムインテグレーション事業 は, 本件役務に該当する また, 補助参加人は, その広告用パンフレットである甲 17において, 使用標章を コンピュータネットワークを介して行うオンラインショッピングによる購買履歴 帳簿等のデータ処理を行う電子計算機プログラムの提供及びこれらに関連する情報の提供 について使用していたが, コンピュータプログラムの提供には, バージョンアップやウィルス対策等, 提供した後の保守が含まれることは, 周知の事実である したがって, 甲 17による使用標章の使用は, 当然に当該電子計算機プログラムの提供をした後の保守についての使用を含むか, 少なくともこれに類似する さらに, 本件商標と使用標章とは, NTT を共通にしており, 当然に類似するばかりか, 使用標章の称呼である エヌティーティーデータ が著名だとしても, 本件商標の称呼である エヌティーティー が, それよりもはるかに著名であることは, 周知である そして, 使用標章は, NTT と DaTa とが区別できるように2 段で表示しているのであるから, 需要者は, 使用標章から本件商標を当然に認識する さらに, 特許庁は, NTTDATA との文字を有する商標を登録し続けており, このことは, 特許庁が NTTDATA が周知ではないと認定して 4

いる証拠である (3) よって, 補助参加人は, 本件商標を本件役務に使用しており, この認定を誤る本件審決は, 取り消されるべきである 被告及び補助参加人の主張 (1) 甲 3は, 補助参加人の業務内容を検索するためのウェブページであり, お客様のあらゆるご要望に合わせた情報システムの構築 それが,NTTデータのコア コンピタンスであるシステムインテグレーション事業です との記載も, 単に補助参加人の多種多彩な事業内容をおおまかにまとめて表現し, それを公衆に向けて一般的に紹介しているものにすぎず, その具体的な役務の内容が理解できるような内容ではない したがって, 甲 3での使用標章の表示は, 商品やサービスを識別するための商標としての使用とはいえないし, 本件役務と同一又は類似の具体的な役務の内容を理解できるものではなく, 具体的な役務との関連において使用標章が使用されたとはいえず, それにより役務の質の誤認が生じる余地もない (2) 甲 17での使用標章の表示は, 電子計算機プログラムの提供に関するものであるが, 提供とは, 相手方に差し出してその用に供することであって, 提供後の行為である 保守 が含まれているとはいえない したがって, 甲 17での使用標章の表示は, 電子計算機プログラムの保守の役務に関するものであるとはいえない (3) 使用標章は, 別紙に記載のとおり,NTTとDaTaとを独特の文字書体で上下二段に一体表示した文字部分 ( 左側部分 登録第 3084129 号 商標権者は, 被告である 甲 22) と, 楕円を三角形状に積み上げた図形部分 ( 右側部分 登録第 3086207 号 商標権者は, 補助参加人である 甲 23) とを, 同一の青色の長方形の背景上で, まとまりよく一体に結合した表示であって,2つの登録商標からなる結合表示である そして, 上記文字部分 ( 左側部分 ) は, 補助参加人の商号 ( 株式会社エヌ ティ ティ データ ) から識別力のない 株式会社 の部分を除いた上で, エヌ ティ ティ の部分を NTT, データ の部分を D ata と, それぞれ独特のローマ字表記でデザイン化して表示したものである 5

そして, 使用標章は,IT 業界で我が国のトップの企業である補助参加人 ( 甲 2 6,27) 及びその企業グループを示すシンボル表示として, これまで新聞, 雑誌等の広告上において継続して表示されるなどしてきており ( 甲 24,25), 遅くとも平成 10 年において, 周知著名性 ( 強固な出所表示性 ) が既に獲得されていたことが明らかである したがって, 本件商標との類否判断は, 使用標章から文字部分 ( 左側部分 ) のみを抽出してすること自体が失当であり, 使用標章全体と対比してされてしかるべきところ, 本件商標と使用標章とは, 外観, 称呼及び観念のいずれにおいても識別可能であり, 相互に類似していない しかも, エヌティーティー 及び エヌティーティーデータ とそのいずれもが著名であれば, 両者は識別可能であって非類似ということになるから, 原告の主張は, それ自体失当である (4) よって, 原告の主張は, 理由がない 第 4 当裁判所の判断 1 取消事由 1( 通常使用権者についての認定の誤り ) について (1) 証拠及び弁論の全趣旨によれば, 次の事実を認めることができる ア被告は, 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の発行株式の総数を保有し, これらの株式会社 ( 地域会社 ) による適切かつ安定的な電気通信役務の提供の確保を図ること並びに電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うことを目的として ( 日本電信電話株式会社等に関する法律 1 条,5 条 ), 昭和 60 年 4 月 1 日に発足した株式会社であり, 政府が, 常時, その発行済み株式の総数の3 分の1 以上に当たる株式を保有している ( 同法 4 条 1 項 ) など, 我が国の電気通信事業分野において特殊な地位を占めている会社であって, 被告以外の者は, その商号中に 日本電信電話株式会社 という文字を用いることが刑事罰をもって禁じられている ( 同法 8 条,25 条 1 項 ) そして, 被告の商号を英語表記したもの (Nippon Telegraph and Telephone Corporation) の略称である NTT( エヌ ティ ティ ) が被告を表示するもの 6

として我が国で一般に広く認識されていることは, 当裁判所に顕著である イ補助参加人は, 昭和 63 年 5 月 23 日, 当初の商号を エヌ ティ ティ データ通信株式会社 として設立され, 同年 7 月 1 日, 被告のデータ通信事業本部に属する営業を譲り受けた株式会社であり, 平成 10 年 8 月 1 日, 商号を現在のもの ( 株式会社エヌ ティ ティ データ ) に変更した ( 甲 4,11,21) 被告は, 平成 22 年 3 月 31 日当時において, 補助参加人の発行済み株式総数のうち54.18% を有している ( 甲 8) なお, 補助参加人は, 我が国のITサービス業界において, 最多の従業員を擁する会社であり, 平成 21 年度において我が国で最高の売上高を記録したものである そして, 別件商標及び使用標章は, 補助参加人の商号から 株式会社 との部分を除いた部分と称呼 ( エヌ ティ ティ データ ) が一致するものであって, 補助参加人のウェブページ, 新聞等の広告及びパンフレットにおいて補助参加人を表示するものとして広く使用されており, 取引先も, 補助参加人を 株式会社 NTTデータ と表示していること ( 甲 3,4,8,12~20,24,26,27) に照らすと, 別件商標及び使用標章は, NTT 部分に対して, データ ( 別件商標 ) 又は DaTa 及び図形部分( 使用標章 ) が付加されていることにより, いずれも ITサービス業に特化した被告の関連会社である補助参加人を表示するものとして, 需要者及び取引者に周知著名であったものと認められる ウ補助参加人は, 別件商標及び使用標章の文字部分について, いずれも商標権者である被告から使用の許諾を受けている通常使用権者である ( 甲 3,4,8,1 0,12,13,16~19,21~24) 補助参加人が自己の役務について, データ 若しくは DaTa などの文言又は使用標章の図形部分を伴わない, NTT( エヌ ティ ティ ) との外観又は称呼を有する標章を使用したと認めるに足りる証拠はない (2) 原告は, 補助参加人が本件商標の通常使用権者である旨を主張する しかしながら, 本件商標は, 被告の通称名を図案化した英文字で表したものであ 7

るところ, 前記 (1) アに認定のとおり, NTT( エヌ ティ ティ ) は, 被告を表示するものとして一般に広く認識されていることに加えて, 被告は, 我が国の電気通信事業分野において特殊な地位を占めており, 被告以外の者がその商号中に 日本電信電話株式会社 という文字を用いることが刑事罰をもって禁じられている したがって, 被告がその商号を英語表記したものの略称 ( 通称名 ) を図案化した本件商標について, その使用を他者に対して許諾するということは, それ自体にわかに想定し難い 次に, 別件商標及び使用標章の称呼は, いずれも補助参加人の商号から 株式会社 との部分を除いたものと一致するのであるから, 補助参加人が別件商標及び使用標章の文字部分について, 商標権者である被告から使用許諾を受けていること ( 前記 (1) ウ ) は, 両者の関係に照らしても, それ自体ごく自然であるといえる 他方, 別件商標及び使用標章のうち NTT( エヌ ティ ティ ) との部分は, 本件商標の外観及び称呼と重複するとはいえるものの, 補助参加人とは別の法人である被告の通称名として一般に広く認識されているばかりか, 当該部分を図案化した本件商標は, 別件商標などとは別個に登録された商標であるから, 補助参加人が別件商標及び使用標章の文字部分と併せて本件商標について使用許諾を受けることは, 両者の関係に照らしても, それ自体不自然であって, 被告による別件商標及び使用標章の文字部分の使用許諾の事実は, 被告による本件商標の使用許諾を裏付けるものではない 以上のような事情に照らすと, 前記 (1) イに認定のとおり, 補助参加人が被告の営業の一部を譲り受けたものであり, かつ, 被告が補助参加人の発行済み株式総数の過半数を有しているからといって, これらの事実から, 補助参加人が本件商標の使用権者であることを推認することもできない (3) 以上のとおり, 補助参加人は, 被告から本件商標の使用許諾を受けたと認めるに足りる事実はなく, むしろ, 補助参加人は, 前記 (1) ウに認定のとおり, 補助参加人が自己の役務について, データ 若しくは DaTa などの文言又は使用商 8

標の図形部分を伴わない, NTT( エヌ ティ ティ ) との外観又は称呼を有する標章を使用したと認めるに足りる証拠がないから, 本件商標の使用権者であるとは認められない よって, 本件審決の判断に誤りはなく, 原告の前記主張は, 採用できない 2 取消事由 2( 本件商標の使用についての認定の誤り ) について (1) 補助参加人は, 本件商標の使用権者であるとは認められないから, 原告の請求は, 理由がないが, なお念のため, 補助参加人による本件商標の使用についても検討すると, 前記 1(1) イに認定のとおり, 補助参加人は, 別件商標及び使用標章を自己のウェブページ, 新聞等の広告及びパンフレットに自己又はその役務を表示するものとして掲記して使用しており, これらは, いずれも, 英文字 NTT との外観を有する部分を含み, エヌ ティ ティ データ との称呼を有している (2) 他方, 別件商標及び使用標章は, 前記 1(1) イに認定のとおり, NTT 部分に対して, データ ( 別件商標 ) 又は DaTa 及び図形部分( 使用標章 ) が付加されていることにより, いずれもITサービス業に特化した被告の関連会社である補助参加人を表示するものとして, 需要者及び取引者に周知著名であったものと認められるから, そこから NTT の部分, データ (DaTa) の部分又は使用標章の図形部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しており, 別件商標及び使用標章の全体から出所識別標識としての称呼及び観念が生じているものと認められる したがって, 別件商標及び使用標章からその構成部分の一部 ( NTT の部分 ) を抽出し, この部分だけを本件商標と比較してその類否を判断することはできないのであって, エヌ ティ ティ データ との称呼及び補助参加人という観念を生じる別件商標及び使用標章は, エヌ ティ ティ との称呼及び被告という観念を生じる本件商標とは, 外観, 称呼及び観念のいずれにおいても異なるものというほかなく, 具体的な取引状況から両者について混同が生じると認めるに足りる証拠もない したがって, 別件商標及び使用標章と本件商標とでは, NTT との英文字で表示される部分が重複するとしても, 9

相互に類似する商標であるとはいえない (3) したがって, 別件商標及び使用標章の文字部分と本件商標とは, 類似しているとはいえないから, 補助参加人による別件商標及び使用標章の使用 ( 甲 3,17) は, 本件商標の使用には当たらない そして, 前記 1(1) ウに認定のとおり, 補助参加人が自己の役務について, データ, DaTa などの文言や使用標章の図形部分を伴わない NTT( エヌ ティ ティ ) との外観又は称呼を有する標章を使用したと認めるに足りる証拠はないから, 補助参加人は, 結局, 本件商標を使用したものとは認められず, 他にこの認定を左右するに足りる証拠はない (4) よって, 補助参加人が本件商標を使用したとの原告の主張は, 採用できない 3 結論以上の次第であるから, 原告の主張をもって役務の質の誤認を生ずるか否かについて検討するまでもなく, 原告の請求は棄却されるべきものである 知的財産高等裁判所第 4 部 裁判長裁判官滝澤孝臣 裁判官井上泰人 裁判官荒井章光 10

別紙使用標章の構成 11