子宮頸がん予防ワクチン公費助成接種状況 についての ) アンケート調査報告 2012.10.19 子宮頸がんがん征圧征圧をめざすをめざす専門家会議実行委員長今野良 1
調査概要 1. 調査名 : 子宮頸がん検診受診状況 及び 子宮頸がん予防ワクチン公費助成接種状況 についてのアンケート 2. 調査主体 : 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議議長野田起一郎 ( 近畿大学前学長 ) 実行委員鈴木光明 ( 自治医科大学産科婦人科講座主任教授 ) 実行委員長今野良 ( 自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授 ) 3. 調査の目的 : 全国自治体の住民検診の一環である子宮頸がん検診の受診状況の分析 子宮頸がん検診無料クーポン の利用状況 利用促進のために効果のあった工夫内容などを明らかにする 子宮頸がん予防ワクチン 接種に対する自治体の公費による助成の状況を明らかにする 調査結果をマスメディアや自治体に広く報告するとともに 当会活動の資料とする 4. 調査時期 : 2012 年 6 月 ~8 月 5. 調査対象 : 全国 1,738 自治体 * 高知県の安田町 田野町 奈半利町 北川村 馬路村の中芸広域連合は 1 自治体とカウント 6. 調査方法 : 郵送調査 自記入式 返信は FAX 7. 回収状況 : 有効回収数 1354 自治体 ( 有効回収率 77.9%) * 今回は電話による返信フォローを実施したため 高い回収率となった 8. 検定方法 : 検定ソフトウェアには R を使用し分割表に対して Fisher s Exact Test を適用した 2
第 1 回 ~ 第 5 回のアンケート返送率推移 今回は回答のない自治体に対して電話による回答依頼を行ったため 高い返送率となった 80 70 77.9% 60 50 51.3% 52.9% 40 42.0% 46.4% 30 20 10 0 第 1 回 (923/1798) 第 2 回 (747/1778) 第 3 回 (926/1750) 第 4 回 (809/1745) 第 5 回 (1354/1738) 3
香川県大阪府栃木県佐賀県島根県大分県鹿児島県富山県長崎県沖縄県神奈川県宮崎県滋賀県千葉県岐阜県兵庫県北海道埼玉県青森県山形県愛媛県山口県福岡県広島県愛知県群馬県京都府新潟県岩手県徳島県奈良県鳥取県和歌山県茨城県秋田県熊本県東京都三重県長野県石川県山梨県岡山県福井県福島県高知県宮城県都道府県別自治体アンケート返送率 返送率が高い都道府県は 静岡 香川 大阪 栃木 佐賀で 返送率 90% 以上 100% 80% 40% 20% 60% 0% 静岡県全体(1354 自治体 ) 4
子宮頸がん予防 HPV ワクチンの担当部署 Q5. 子宮頸がん予防ワクチン に関することは あなたの所属部署がご担当ですか? 子宮頸がん予防 HPV ワクチンの担当部署が 子宮頸がん検診担当部署と同じ 自治体は 90.9% ワクチンに関して 他の部署が担当 する自治体は約 1 割程度 子宮頸がん予防 HPV ワクチンの担当部署 いいえ 8.4% (114) 無回答 0.7% (9) はい 90.9% (1231) (1354 自治体 ) 5
平成 24 年度の HPV ワクチン接種の公費助成金額 Q6. 平成 24 年度の子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成 < 助成金額 > ワクチンの接種を全額公費助成しているのは 86.0% 11.6% の自治体で個人負担があり 金額は 1000~2000 円未満 63.7% 4000~5000 円未満 7.6% 5000~ 6000 円未満 11.5% 検診の個人負担金額程度と考える自治体と ワクチンの費用の 1/3 程度を個人負担としている自治体に大きく二分される 個人負担金額 (1 回当たり ) 個人負担あり 11.6% (157) その他 1.7% (23) 無回答 0.7% (9) 6000 円以上 4.5% (7) 5000~6000 円未満 11.5% (18) 無回答 5.1% (8) ~1000 円未満 3.2% (5) 4000~5000 円未満 7.6% (12) 全額公費助成 3000~4000 円未満 3.2% (5) 1000~2000 2000~3000 円未満 1.3% (2) (1354 自治体 ) (157 自治体 ) 円未満 63.7% (100) 6
中2中3高1高2その他平成 24 年度の HPV ワクチン接種の公費助成学年 Q6. 平成 24 年度の子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成 < 助成学年 > 9 割以上の自治体が中学 1~3 年生に助成を行う 高校 1 年生 86.9% 高校 2 年生 53.7% その他の回答では 小学校 6 年生 (48 自治体 ) 高校 3 年生 (44 自治体 ) が多かった 100% 96.6% (1308) 92.5% (1252) 91.5% (1239) 86.9% (1177) 60% 53.7% (727) 40% 20% 11.9% (161) 80% 0% 中10.8% (11) 無回答(1354 自治体 ) 7
ワクチン接種率 ( 初回接種 ) Q7. 平成 22 年度 ~23 年度にかけて 子宮頸がん予防ワクチン初回接種者数 すでにどの学年も 6 割以上は接種が進んでいる 中 1~ 高 2 の平均は 67.2% 70% H22 年度 ~H23 年度の学年別ワクチン初回接種率 ( 対象自治体数は 回答のあったもの ) 71.0% 67.4% 65.5% 65.9% 65.9% 67.2% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 中学 1 年生中学 2 年生中学 3 年生高校 1 年生高校 2 年生中 1~ 高 2 計 (1202 自治体 ) 8
封書電話個別訪問その他未接種者に対する接種勧奨 Q8. 未接種者 ( 公費助成対象者 ) に対し個別の働きかけ ( 接種勧奨 ) を実施していますか 未接種者に対し個別の働きかけを実施している自治体は 56.0% 勧奨手段は郵送 ( ハガキや封書 ) による働きかけが多く 79.2% その他の意見では 学校を通して案内 チラシを配布 (47) 広報 (45) など 無回答 0.5% (7) 未接種者に対する個別の働きかけ実施手段 (MA) 80% 79.2% (600) 60% 実施していない 43.5% (589) 40% 実施した 56.0% (758) 20% 15.2% (115) 19.3% (146) 80% ハガキ0% 1.5% (11) 0.7% (5) 無回答(1354 自治体 ) (758 自治体 ) 9
封書電話個別訪問その他3 月末までに初回接種を終える周知のための施策 Q9. 公費対象で接種する場合 現在の高校 2 年生は平成 24 年 3 月末までに初回の接種が必要でしたが 高校 2 年生に対して どのような形で周知しましたか? 高校 2 年生の初回の未接種者に対し周知を実施した自治体は 79.2% 周知手段は 郵送 ( ハガキや封書 ) が多く 75.8% その他の意見では 広報 (117) 広報 HP (80) 学校を通して案内 チラシ配布 (19) など 実施していない 19.8% (268) 無回答 1.0% (13) 高校 2 年生に対する周知の実施手段経路 (MA) 75.8% (813) 60% 40% 27.7% (297) 実施した 79.2% (1073) 80% 20% 0% ハガキ(1354 自治体 ) (1073 自治体 ) 8.2% (88) 0.7% (7) 0.5% (5) 無回答10
< 初回接種率分析 > 平成 24 年度の HPV ワクチン接種の公費助成 Q6 Q8 について 平成 22~23 年度ワクチン初回接種率 60% 未満 60~80% 未満 80% 以上 で分析 ( 平均 67.2%) Q6. 平成 24 年度ワクチン接種の公費助成 Q7. 平成 22~23 年度ワクチン初回接種率 接種率が 80% 以上の自治体では 96.4% がワクチン接種の全額公費助成をおこなっている ワクチン接種率の高低 (80% 以上 /80% 未満 ) と全額公費助成有無との関係を調べたところ p < 0.0001 となり 有意に全額公費助成の方が高い接種率につながる結果となった 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全額公費助成個人負担ありその他無回答 60% 未満 (N=281) 68.0% 27.8% 3.6% 60~80% 未満 (N=473) 87.5% 10.8% 1.3% 80% 以上 (N=448) 96.4% 1.8% 1.1% 不明 (N=152) 84.2% 13.2% 1.3% (1354 自治体 ) 11
< 初回接種率分析 > 平成 24 年度の HPV ワクチン接種の公費助成学年 Q6. 平成 24 年度ワクチン接種の公費助成 Q7. 平成 22~23 年度ワクチン初回接種率 助成学年については どのグループも中学 1 年から高校 1 年を中心に助成している 接種が進んだ接種率 80% 以上の自治体では 中学 1 年に集約化していく傾向が見られる 100% 80% 97.5 96.6 96.2 96.1 96.4 96.1 94.1 94.7 93.4 94.7 87.5 85.5 91.4 89.0 90.1 80.8 60% 未満 (N=281) 60~80% 未満 (N=473) 80% 以上 (N=448) 不明 (N=152) 63.8 60% 57.1 52.7 44.1 40% 20% 14.7 10.7 10.4 10.5 0% 中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 その他 (1354 自治体 ) 12
< 初回接種率分析 > 未接種者に対する接種勧奨 Q8. 未接種者に対し個別の働きかけを実施 Q7. 平成 22~23 年度ワクチン初回接種率 接種率が高い自治体では 未接種者に対し個別の働きかけを実施している割合が高い ワクチン接種率の高低 (80% 以上 /80% 未満 ) と個別の働きかけ有無との関係を調べたところ p = 0.0007 となり 有意に働きかけを実施した方が高い接種率につながる結果となった 0% 20% 40% 60% 80% 100% 実施した実施していない無回答 60% 未満 (N=281) 45.2% 54.8% 60~80% 未満 (N=473) 56.4% 43.1% 80% 以上 (N=448) 62.3% 37.3% 不明 (N=152) 55.9% 42.1% (1354 自治体 ) 13
< 初回接種率分析 > 未接種者に対する接種勧奨手段 接種勧奨の手段ついては ハガキや封書のほか 接種率 80% 以上の自治体では電話が高い ワクチン接種の勧奨手段としては 電話も効果的のようだ 個別の働きかけ手段 電話 に注目してワクチン接種率の高低 (80% 以上 /80% 未満 ) と電話の有無との関係を調べたところ p < 0.0001 となり 有意に電話をした方が高い接種率につながる結果となった 未接種者に対する個別の働きかけ実施手段 (MA) 80% 78.0 80.2 78.5 80.0 60% 60% 未満 (N=127) 60~80% 未満 (N=267) 80% 以上 (N=279) 不明 (N=85) 40% 25.8 24.4 22.8 20% 0% 16.5 14.3 11.8 9.4 7.5 2.6 1.4 0.0 0.0 0.0 1.1 0.4 1.2 ハガキ 封書電話個別訪問その他無回答 (758 自治体 ) 14
まとめ 1. ワクチンを全額公費助成しているのは 86.0% 11.6% の自治体で個人負担があり 金額は 1000~2000 円未満 63.7% 4000~5000 円未満 7.6% 5000~6000 円未満 11.5% 2.9 割以上の自治体が中学 1~3 年生に助成を行う 3. 平成 22-23 年度は どの学年も 6 割以上は接種し 中 1~ 高 2 の平均は 67.2% 4. 未接種者に対し個別の働きかけを実施している自治体は56.0% 勧奨手段は郵送( ハガキや封書 ) による働きかけが多い (79.2%) 5. 高校 2 年生の初回の未接種者に対し周知を実施した自治体は 79.2% ではがきが多かった ( 75.8% ) 6. 接種率が 80% 以上の自治体では 96.4% がワクチン接種の全額公費助成をおこなっている 全額公費助成の方が高い接種率になっていた 7. 助成学年については 中学 1 年から高校 1 年だが 接種率 80% 以上の自治体では 中学 1 年 ( 新規の学年 ) に集約化していく傾向が見られる 8. 接種率が高い自治体では 未接種者に対し個別の働きかけを実施している割合が高い 接種率 80% 以上の自治体では電話が高く 効果的と思われる