政策課題分析シリーズ15(本文2)

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2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 介護保険は社会保険を構成する 1 つです 介護保険制度の仕組みや給付について説明していきます 介護保険制度 介護保険制度は 高齢者の介護を社会全体で支えるための制度

政策課題分析シリーズ15(要旨)

 

(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

地域包括ケア 見える化 システムの概要 地域包括ケア 見える化 システムは 都道府県 市町村における計画策定 実行を支えるために 介護 医療の現状分析 課題抽出支援 課題解決のための取組事例の共有 施策検討支援 介護 サービス見込み量等の将来推計支援 介護 医療関連計画の実行管理支援 の機能を提供す

レビューの雛型(ワード)

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

目次 1 高齢化率 ( 山形県 ) 1 2 高齢化率 ( 全国 ) 2 3 将来の高齢化率 ( 山形県 ) 3 4 将来の高齢化率 ( 全国 ) 4 5 人口ピラミッド ( 山形県 ) 5 6 平均寿命の推移 6 7 出生数 出生率の推移 7 8 高齢者のいる世帯 ( 山形県 ) 8 9 高齢者のい

22. 都道府県別の結果及び評価結果一覧 ( 大腸がん検診 集団検診 ) 13 都道府県用チェックリストの遵守状況大腸がん部会の活動状況 (: 実施済 : 今後実施予定はある : 実施しない : 評価対象外 ) (61 項目中 ) 大腸がん部会の開催 がん部会による 北海道 22 C D 青森県 2

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医療保険制度の保険料はどうやって決まるの?

健康長寿社会の実現に向けた保健 医療 介護関連システムの役割分担 連携強化 健康長寿社会の実現に向けて それぞれの保健 医療 介護関連システムの特徴を活かしつつ 役割分担 連携を強化する また 地域包括ケアシステムの構築に向けて 国民 地方自治体にとって有益な情報を利活用しやすいように DB から提

70-4/表1~表4.pwd

( 福岡県 ) 等級月額日額全額全額全額全額 10.12% 11.67% % % 1 58,000 1,930 ~ 63,000 5, , , , ,000 2,270 63,000 ~ 73,000 6, ,

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共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-

図表 1 個人保険の新規契約 保有契約 ( 万件 % 億円) 新規契約 保有契約 件数 金額 ( 契約高 ) 件数 金額 ( 契約高 ) 前年度比 前年度比 前年度比 前年度比 平成 25 年度 1, , , ,575,

平成 28 年度介護保険事業状況報告 ( 年報 ) のポイント 1 第 1 号被保険者数 (28 年 3 月末現在 ) (29 年 3 月末現在 ) 3,382 万人 3,440 万人 ( 対前年度 +59 万人 +1.7% 増 ) ( 単位 : 万人 ) 3,500 3,000 2,500 2,0

2. 男女別の無償労働の貨幣評価額無償労働の貨幣評価額を男女別にみると ( 図表 2-2) 2006 年時点の女性の構成比は OC 法では 80.5% RC-S 法では 83.7% RC-G 法では 84.7% となっている また 時系列では 女性の構成比が次第に低下してきていることが分かるが これ

表 3 の総人口を 100 としたときの指数でみた総人口 順位 全国 94.2 全国 沖縄県 沖縄県 東京都 東京都 神奈川県 99.6 滋賀県 愛知県 99.2 愛知県 滋賀県 神奈川

暫定ケアプランの取扱いについて 平成 30 年 11 月 29 日事務連絡隠岐広域連合介護保険課長通知 暫定ケアプランの取扱いについては 介護制度改革 INFORMATION vol.80 平成 18 年 4 月改定関係 Q&A(vol.2) について ( 平成 18 年 3 月 27 日厚生労働省

事務連絡 平成 26 年 2 月 28 日 各都道府県 各保険者 介護保険主管課 ( 室 ) 御中 厚生労働省老健局老人保健課 地域包括ケア 見える化 システムのプロトタイプの運用開始について 介護保険行政の推進につきましては 日頃からご協力を賜り厚くお礼申し上げます さて 厚生労働省では 地域包括

平成28年版高齢社会白書(概要版)

通話品質 KDDI(au) N 満足やや満足 ソフトバンクモバイル N 満足やや満足 全体 21, 全体 18, 全体 15, NTTドコモ

0. ポイント低いが, 宮城県では 歳代における出生率の低さが, 京都府では0 歳代の低さが影響しており, その要因が異なる. 次に, 平均出生年齢と合計特殊出生率との関係をみたものが図 である. 概して, 平均出生年齢と合計特殊出生率との間には負の相関関係がみられる. ただし, 各都道府県が直線上

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まちの新しい介護保険について 1. 制度のしくみについて 東温市 ( 保険者 ) 制度を運営し 介護サービスを整備します 要介護認定を行います 保険料を徴収し 保険証を交付します 東温市地域包括支援センター ( 東温市社会福祉協議会内 ) ~ 高齢者への総合的な支援 ( 包括的支援事業 )~ 介護予

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13 (参考資料4-5)松下参考人資料(三菱総研)

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2 受入施設別献血量 ( 推計値 ) ブロ都ック道府県 合計 全国血液センター献血者数速報 (Ⅰ) 血液センター 平成 30 年 12 月分 L % L % 日 L L % 日 L L % 台 L L % 台 L 8, ,768

厚生労働科学研究費補助金 (地域健康危機管理研究事業)

1 福祉施設の動向 1.1 特養 平米単価は平成 22 以降初めて低下 近年は高止まりの様相を呈す 地域別では首都圏 近畿地方等で平均を上回る (1) 平米単価 平米単価は 全国平均および首都圏ともに平 成 22 を底に上昇傾向にあったが 平成 29 は初めて低下した ( 図表 1) 長期的にみ れ

そこで 本稿では 単独世帯に着目して217 年の賃金水準から年金額を算出し 高齢単独世帯の平均的な支出額と比較することにより 超高齢社会における所得基盤確保のあり方の課題を確認する 2. 単独世帯の年金額と支出額の比較 (1) 月額の年金額と支出額の比較厚生労働省 賃金構造基本統計調査 (217 年

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表紙 雛形(都道府県、市町村、関係団体)介護保険計画課

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N_①公表資料2017

別紙様式 3( 付表 1) 平成 年度介護職員処遇改善加算実績報告書積算資料 薄い黄色のセルに必要事項を入力してください 1. 加算受給額 ( 現行の加算 Ⅰと 現行の加算 Ⅱの比較額について ) 別紙様式 3の56を記載する場合のみ記載 別紙様式 3の34により報告した場合は記載不要です 単位 :


別紙様式 3 松山市長様 介護職員処遇改善実績報告書 ( 平成年度届出用 ) 記載例 事業所等情報 事業者 開設者 主たる事務所の所在地 事業所等の名称 事業所の所在地 フリガナ カブシキガイシャマツヤマ 名称株式会社松山 79- 都 道愛媛松山市 一丁目 1-1 府 県 電話番号 89-- FAX

1 1 A % % 税負 300 担額

81 平均寿命 女 単位 : 年 全 国 長野県 島根県 沖縄県 熊本県 新潟県 三重県 岩手県 茨城県 和歌山県 栃木県

事務連絡 平成 29 年 12 月 20 日 都道府県 指定都市要介護認定担当課御中 老健局老人保健課長 平成 30 年 4 月 1 日以降の要介護認定制度等について 介護保険行政の推進につきましては 日頃からご協力を賜り厚くお礼申し上げます 平成 30 年 4 月 1 日以降の要介護認定制度等につ

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別添2 乳児家庭全戸訪問事業の実施状況

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( 図表 1) 特別養護老人ホームの平米単価の推移 ( 平均 ) n=1,836 全国東北 3 県 注 1) 平米単価は建築工事請負金額および設計監

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金のみの場合は年収 28 万円以上 1 年金収入以外の所得がある場合は合計所得金額 2 16 万円以上が対象となる ただし 合計所得金額が16 万円以上であっても 同一世帯の介護保険の第 1 号被保険者 (65 歳以上 ) の年金収入やその他の合計所得が単身世帯で28 万円 2 人以上世帯で346

平成29年3月高等学校卒業者の就職状況(平成29年3月末現在)に関する調査について

介護職員処遇改善加算実績報告チェックリスト 提出前に 次の書類が揃っているか最終の確認をお願いします このチェックリストは 提出する実績報告書類に同封してください チェック 介護職員処遇改善実績報告書 ( 別紙様式 3) 事業所一覧表 ( 別紙様式 3 添付書類 1) 必要に応じて 別紙様式 3 添

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

共通基準による観光入込客統計 ~ 共通基準に基づき 平成 22 年 月期調査を実施した 39 都府県分がまとまりました~ 平成 23 年 10 月 31 日観光庁 各都道府県では 平成 22 年 4 月より順次 観光入込客統計に関する共通基準 を導入し 信頼 性の高い観光入込客統計調査を

(3) 最大較差 平成 17 年国調口平成 22 年国調口 H24.9 選挙名簿 在外選挙名簿 H25.9 選挙名簿 在外選挙名簿 最大 : 千葉 4 569,835 東京 ,677 最大 : 千葉 4 497,350 北海道 1 487,678 最小 : 高知 3 258,681 鳥取

要介護 ( 要支援 ) 認定者 (ⅰ) 要支援 1 ( 各月末日の数 ) 福岡県 43,104 43,023 43,237 43,251 43,318 43,170 43,360 43,331 43,170 42,996 42,742 42,782 福岡県 6,210 6,129 6,188 6,1

景況レポート-表

表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

平成 31 年 3 月分 (4 月納付分 ) からの健康保険 厚生年金保険の保険料額表 健康保険料率: 平成 31 年 3 月分 ~ 適用 介護保険料率: 平成 31 年 3 月分 ~ 適用 厚生年金保険料率: 平成 29 年 9 月分 ~ 適用 子ども 子育て拠出金率: 平成 30 年 4 月分

平成 22 年第 2 四半期エイズ発生動向 ( 平成 22(2010) 年 3 月 29 日 ~ 平成 22(2010) 年 6 月 27 日 ) 平成 22 年 8 月 13 日 厚生労働省エイズ動向委員会

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対象疾患名及び ICD-10 コード等 対象疾患名 ( 診療行為 ) ICD-10 等 1 糖尿病 2 脳血管障害 3 虚血性心疾患 4 動脈閉塞 5 高血圧症 6 高尿酸血症 7 高脂血症 8 肝機能障害 9 高血圧性腎臓障害 10 人工透析 E11~E14 I61 I639 I64 I209 I

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4月20日(水)衆・厚労委 古屋範子議員の議事録(抜粋)

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統計トピックスNo.120 我が国のこどもの数―「こどもの日」にちなんで―

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調査結果(資料1~資料9)

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第2期データヘルス計画について

国 都道府県による財政リスクの軽減 運営については 保険料徴収は市町村が行い 財政運営は都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行う 広域連合の財政リスクの軽減については 国 都道府県が共同して責任を果たす仕組みとする 2 年単位の財政運営 負担 負担 高額医療費に係る公費負担 給付増リスク 後期

平成 27 年の救急出動件数等 ( 速報 ) 消防庁

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【1117修正原稿】説明会資料

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Microsoft Word - 公表資料2013本番

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1 国民年金被保険者の動向 Ⅰ 平成 27 の被保険者の状況 国民年金第 1 号被保険者数 ( 任意加入被保険者数を含む ) は 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 被保険者数の増加に伴い 平成 27 末で 1,668 万人と 前末と比べ 74 万人減少している 平成 27 末の納付対象者数は 1,9

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( 福岡県 ) 1 58,000 ~ 63,000 5, , , , ,000 63,000 ~ 73,000 6, , , , ,000 73,000 ~ 83,000 7, ,

( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

Transcription:

2. 要介護 ( 要支援 ) 認定率を巡る現状 介護サービス費用は 2000 年度の介護保険制度開始以降 高齢化率の上昇等を背景として 増加を続けている 第 4 期介護保険計画の初年度に当たる 2009 年度 ( 約 7 兆円 ) 以降の動きをみると 第 6 期介護保険計画の初年度に当たる 2015 年度 ( 約 9 兆円 ) までの間に約 1.3 倍に増加している その間の第 1 号被保険者 24 における要介護 ( 要支援 ) 認定率の変化を並べてみると 介護サービス費用と同様に 要介護 ( 要支援 ) 認定率も増加を続けている ( 図表 2-1) なお介護サービス費用 (2015 年度 ) の内訳は 居宅介護サービス (54.3%) 地域密着型サ ービス (12.0%) 施設サービス (33.7%) で構成されている 図表 2-1 介護サービス費用と要介護 ( 要支援 ) 認定率の時系列変化 介護サービス費用の増加には 要介護 ( 要支援 ) 認定率要因の他に 第 1 号被保険者要因 サービス受給率要因 サービス利用者 1 人当たり費用要因等が考えられる 本章では 介護サービス費用増加の諸要因における 要介護 ( 要支援 ) 認定率要因の位置付けを確認した上で 要介護 ( 要支援 ) 認定率やその変化率について都道府県間や介護保険者間の地域差の現状を追っていく 24 介護保険の被保険者のうち 65 歳以上の被保険者をいう 第 1 号被保険者は 原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができる 一方 40 歳から 64 歳までの医療保険加入者である第 2 号被保険者は 加齢に伴う疾病 ( 特定疾病 ) が原因で要介護 ( 要支援 ) 認定を受けたときに介護サービスを受けることができる - 35 -

図表 2-2 ( 参考 ) 介護サービス費用の構成要素 介護費用の動向について ( 経済財政諮問会議経済 財政一体改革推進委員会第 8 回社会保障ワーキング グループ (2016 年 3 月 23 日 ) 厚生労働省提出資料 ) により作成 2.1. 要介護 ( 要支援 ) 認定率の変化 まず 2009~2015 年度について介護サービス費用の増加要因の分析結果を確認する 2015 年度の介護サービス費用は 2009 年度と比較して 33.1% 増加しており その主な要因について変化状況をみると 第 1 号被保険者数 (16.9%) 要介護( 要支援 ) 認定率 (10.5%) サービス受給率 (3.4%) サービス利用者 1 人当たり費用 (-0.4%) となっている 高齢化率の増加に伴い第 1 号被保険者数が増加していることが確認されることと同時に 要介護 ( 要支援 ) 認定率の上昇が介護サービス費用増加の主要因の一つとなっていることが確認できる また 都道府県毎にみると 介護サービス費用の変化率には 17.3%( 高知県 ) から 45.9% ( 埼玉県 ) のバラつきがあり 要介護 ( 要支援 ) 認定率についても 低い大分県 (-2.6%) と 高い福島県 (15.6%) のように その変化要因に地域差がみられる ( 図表 2-3) - 36 -

図表 2-3 介護サービス費用の変化要因 (2015 年度対 2009 年度 都道府県 ) 上述のように 要介護 ( 要支援 ) 認定率 (2015 年度 ) は 2009 年度と比較して 10.5% 上昇 している ( 図表 2-3) 変化要因を要介護状態区分 ( 要介護 2 以上 要介護 3 以下 ) 別にみると 要介護 2 以下認 定率は上昇 (11.0%) している 一方で 中等度以上に値する要介護 3 以上の認定率は 28 都道府県で低下した結果 全国計で低下 (-0.9%) している ( 図表 2-4) 図表 2-4 要介護 ( 要支援 ) 認定率の変化率要因 (2015 年度対 2009 年度 要介護度区分 都道府県 ) - 37 -

2.2. 要介護 ( 要支援 ) 認定率の水準続いて 介護サービス費用や要介護 ( 要支援 ) 認定率の水準 (2015 年度 ) について地域差を確認していく まず 介護サービス費用について 第 1 号被保険者 1 人月当たり介護サービス費用 25 をみると 約 2.8 万円 ( 島根県 ) から約 1.8 万円 ( 埼玉県 ) まで 1.6 倍の地域差が確認できる 第 1 号被保険者 1 人月当たり介護サービス費用 (2015 年度 ) は 要介護 ( 要支援 ) 認定率 ( 全国平均 17.9%) サービス受給率( 同 84.2%) サービス利用者 1 人月当たり介護サービス費用 ( 同 約 15 万円 ) に要素分解できる このうち 第 1 号被保険者 1 人月当たり介護サービス費用が高い都道府県から順番に並べて要介護 ( 要支援 ) 認定率の値をみると 第 1 号被保険者 1 人当たり介護サービス費用の高い都道府県は 要介護 ( 要支援 ) 認定率が概ね全国平均よりも高くなっている ( 図表 2-5) 図表 2-5 第 1 号被保険者 1 人当たり介護サービス費用と要介護 ( 要支援 ) 認定率 (2015 年度 都道府県 ) 要介護 ( 要支援 ) 認定率の都道府県地域差 (2015 年度 ) をみると 要支援認定率の全国平均は 5.1% であるが 7.3%( 和歌山県 ) から 2.5%( 山梨県 ) まで 2.88 倍の地域差がある 同様に 要介護認定率の全国平均は 12.9% であるが 15.8%( 秋田県 ) から 10.7%( 埼玉県 ) まで 1.48 倍の地域差がある 25 第 1 号被保険者 1 人月当たり介護サービス費用 は 介護サービス費用 を 第 1 号被保険者数 と月数 (12 ヶ月 ) で除した値 被保険者 1 人月当たり介護サービス費用 は 要介護 ( 要支援 ) 認定率 サービス受給率 サービス利用者 1 人月当たり介護サービス費用 に分解できるが そのうち サービス受給率 は各サービスの年間の延べサービス利用者数を月数 (12 ヶ月 ) で除した人数から求めている - 38 -

それらを合計すると 要介護 ( 要支援 ) 認定率では 22.2%( 和歌山県 ) から 14.3%( 埼 玉県 ) まで 1.56 倍の地域差があることが確認できる ( 図表 2-6) 図表 2-6 要支援認定率 要介護認定率の地域差 (2015 年度 都道府県 ) - 39 -

次に 要介護 ( 要支援 ) 認定率について 比較的軽度と考えられる要介護 2 以下と中等度以上の要介護 3 以上に分けて その地域差をみる 要介護 2 以下認定率の全国平均は 11.7% であるが 15.1%( 長崎県 ) から 8.5%( 山梨県 ) まで 1.77 倍の地域差がある また 要介護 3 以上認定率の全国平均は 6.2% であるが 8.5%( 沖縄県 ) から 5.2%( 埼玉県 ) まで 1.64 倍の地域差が確認できる ( 図表 2-7) 図表 2-7 要介護 2 以下認定率 要介護 3 以上認定率の地域差 (2015 年度 都道府県 ) - 40 -

最後に 図表 2-7 で確認した要介護度区分別の要介護 ( 要支援 ) 認定率について 都道 府県毎の相関をみると 要介護 2 以下認定率が高い都道府県では 要介護 3 以上認定率が高 い傾向が確認できる ( 図表 2-8) 図表 2-8 要介護 2 以下認定率と要介護 3 以上認定率の相関 (2015 年度 都道府県 ) ここまで 要介護 ( 要支援 ) 認定率の地域差について 都道府県別に確認してきた 要介護 ( 要支援 ) 認定は 介護サービスの必要量を全国一律の基準に基づき 客観的に判定する仕組みであるが 一次判定と二次判定の結果に基づいて 市町村が認定業務を実施している ( 図表 2-9) - 41 -

図表 2-9 要介護 ( 要支援 ) 認定の仕組み 申 請 認定調査員による心身の状況に関する調査 主治医意見書 基本調査 (74 項目 ) 特記事項 要介護認定基準時間の算出状態の維持 改善可能性の評価 ( コンピューターによる推計 ) 一次判定 介護認定審査会による審査 二次判定 要介護認定 厚生労働省 公的介護保険制度の現状と今後の役割 により作成 要介護 ( 要支援 ) 認定は市町村が実施していることを鑑みて 介護保険者別 26 に要介護 ( 要支援 ) 認定率の地域差を確認する 要支援認定率では 14.9%( 奈良県野迫川村 ) から 0.0% ( 北海道音威子府村等の3 保険者 ) の地域差がある 同様に 要介護認定率では 23.9%( 奈良県天川村 ) から 5.7%( 北海道音威子府村 ) まで 4.23 倍の地域差がある それらを合計すると 要介護 ( 要支援 ) 認定率では 31.0%( 奈良県十津川村 ) から 5.7% ( 北海道音威子府村 ) まで 5.48 倍の地域差が確認できる また 都道府県別の分析でみた区分と同様に要介護 2 以下と要介護 3 以上に分けて その地域差をみてみる 要介護 2 以下認定率では 21.3%( 奈良県野迫川村 ) から 2.6%( 北海道音威子府村 ) まで 8.16 倍の地域差 要介護 3 以上認定率では 15.8%( 福島県三島町 ) から 3.0%( 北海道音威子府村 ) まで 5.19 倍の地域差があることが確認できる ( 図表 2-10) 26 介護保険の保険者とは 市町村と特別区 ( 広域連合を設置している場合は広域連合 ) - 42 -

図表 2-10 要介護 ( 要支援 ) 認定率の地域差 (2015 年度 介護保険者 ) 第 1 第 2 第 3 指標 (%) 平均値標準偏差最小値最大値四分位四分位四分位 要支援認定率 4.5 1.6 0.0 3.4 4.4 5.4 14.9 - 要介護認定率 13.4 2.3 5.7 11.7 13.4 14.9 23.9 4.23 要介護 ( 要支援 ) 認定率 17.8 3.0 5.7 15.8 17.9 19.7 31.0 5.48 要介護 2 以下認定率 11.1 2.2 2.6 9.6 11.1 12.6 21.3 8.16 要介護 3 以上認定率 6.7 1.4 3.0 5.7 6.6 7.6 15.8 5.19 3. 格差とは 最大値と最小値の比率 格差 ( 倍 ) 続いて 図表 2-8において都道府県別にみたものと同様に 要介護 ( 要支援 ) 認定率について 要介護度区分別に介護保険者別の相関をみる 都道府県別に確認した結果と同様に 要介護 2 以下認定率が高い介護保険者では 要介護 3 以上認定率が高い傾向が確認できる ( 図表 2-11) 図表 2-11 要介護 2 以下認定率と要介護 3 以上認定率の相関 (2015 年度 要介護 2 以下 要介護 3 以上 介護保険者 ) - 43 -