Taro-答申第64号

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( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に

別紙 答申 1 審査会の結論 委託事業者の企画提案書 及び 選考会議の資料 について行われた部分公開の決定は 妥当である 2 異議申立ての趣旨 (1) 異議申立人 ( 以下 申立人 という ) は 神戸市情報公開条例 ( 以下 条例 という ) に基づき 以下の公開請求 ( 以下 本件請求 という

(Microsoft Word - 06 \223\232\220\\\217\221\201i\214\210\222\350\201j.doc)

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

第1 審査会の結論

第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

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答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

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Microsoft Word - 答申第41号.doc

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

情報公開答申第733号本文(諮問第923号)

山形県県土整備部資材単価及び歩掛等決定要領

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

大情審答申第 号

警備の下にあり 仮に本件対象文書が開示されたとしても院内への不法な侵入及び院内での不法な活動は困難であり 犯罪の予防 鎮圧等に支障を及ぼすとは考えられず 合理性を欠いている したがって 本件対象文書は法第 5 条第 4 号には相当せず 規程第 4 条第 3 号に定める事務局不開示情報に該当しないこと

2 異議申立ての理由 文書不存在 はあり得ないと考える 第 4 実施機関の説明要旨 実施機関から提出された理由説明書の要旨は次のとおりである 1 本件開示請求と関わる可能性がある文書がないか調査した 開示請求のあった文書が 沖縄県と福建省との友好省県締結に関わるものであることが推測されたことから 対

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

諮問庁 : 防衛大臣諮問日 : 平成 28 年 2 月 25 日 ( 平成 28 年 ( 行情 ) 諮問第 192 号 ) 答申日 : 平成 29 年 1 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 行情 ) 答申第 694 号 ) 事件名 : 洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準 運用上の留意事項等に

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

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PowerPoint プレゼンテーション

別記様式 2 地方整備局長 知事 支社支社長 印 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第 11 条 社会保険等未加入 業者 の通知について 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 以下 法 という ) 第 11 条に基づき 弊社の発注工事において社会保険等未加入業者の存在が

個人情報の保護に関する規程(案)

Microsoft Word - 答申第141号.doc

202000歩掛関係(151001) END.xls

第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件事案の概要本件は, 審査請求人が平成 29 年 8 月 29 日付けで法人文書の開示請求を行ったことに対し, 同年 9 月 29 日付け千大総第 307 号により, 法人文書の一部を不開示とする開示決定等処分 ( 処分 1) を行ったところ, 審査請求が提起された

平成25年2月 日

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諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

て本学が過去に公表した内容は除く ) 及び 3 当該事故に係る診療科, 機構への報告日その他報告内容に係る情報として事務担当者が加筆したメモ について全部開示を求める 少なくとも患者, 医師の個人情報に係らない部分については開示すべき そもそもこの報告書は同じような事故が起きないようにするために医師

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

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2. 提出資料一覧表 落札予定者に求める提出資料は 要請書に示す調査区分 ( 基本調査または重点調査 ) に応じて下表に を付している内容とする なお 調査区分が 基本調査 の場合は 3 頁 ~4 頁に基づき作成すること 調査区分が 重点調査 の場合は 5 頁 ~7 頁に基づき作成すること 様式番号

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

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ありどのような証言がなされたのか ( 請求人にとって虚偽と思われる証言が無いか等 ), また産業医が本人の意見を聞かずにどう判断し診療録に記載したのかを知る権利が請求人にはあると考える 3 請求人については, 特定理由等から特定機関等が千葉大学に対して診療録の開示を求める可能性もあり得るが, 千葉大

11総法不審第120号

基づき, 平成 27 年 9 月 29 日付けで, 特定労働基準監督署( 以下 特定署 という ) へ特定日までに提出された特定事業場の就業規則, 就業規則届及び意見書 36 協定書, 同月 30 日付けで, 特定署に提出された特定事業場の36 協定書 3 年分 に係る開示請求を行った (2) 三重

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問にさらされることはむしろあるべき姿であり, それによって一層公益の増進に資するともいえる 特に, 本件のような面接試験の場合には, 試験結果の開示が, 面接試験以外の事由で受験者を選抜したのではないことを示すといった効果もあり, 面接試験が適正に行われることを確保するに大きく資すると言える したが

別紙 1 提出書類一覧様式番号 様式 1 様式 2-1 様式 2-2 様式 3 様式 4 様式名 施工体制確認調査報告書積算内訳書内訳明細書工程計画配置予定技術者名簿 次に該当する場合は 様式 4を提出する必要はありません 一般競争入札の場合 ( 開札後に提出のある 配置予定技術者の資格 工事経歴報

台東区希望型指名競争入札実施要綱 平成 1 7 年 7 月 1 日 17 台総経第 208 号 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 台東区が発注する建設工事等における希望型指名競争入札の実施に関し 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 地方自治法施行令 ( 昭和 22 年政令第 16

宮城県道路公社建設工事総合評価落札方式(簡易型及び標準型)実施要領

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

答申第203号(公表用)

二重床下地 という 参考図参照) として施工する方法がある 二重床下地は 支持脚の高さを一定程度容易に調整することができること また コンクリートスラブと床パネルとの間には給排水管等を配置できる空間があることから 施工が比較的容易なものとなっている 2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及

イ不動産鑑定評価書のうち次の部分 ( ア ) 鑑定評価額並びに鑑定評価額を導くための単価 補正係数 補正事項 想定係数及び想定事項 ( イ ) 取引事例に関する情報 ( 市町村名を除く ) (3) 開示しない理由ア (2) のア当該文書の作成又は取得をしていないためイ (2) のイの ( ア ) 条

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論 点 整 理 表

工事費構成内訳書の提出について ~ 法定福利費の明示が必要になります ~ 平成 29 年 12 月 6 日 中日本高速道路株式会社

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答申第693号

11総法不審第120号

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

様式第19号

Microsoft Word - 個人情報の取り扱いについて.doc

おいて開催されていた法の制度運営に関する検討会の報告 ( 平成 17 年 3 月 29 日 ) では, 法の運用に関する改善措置として, 理由付記に関して 特に, 文書不存在を理由とする不開示決定については, 例えば, 請求対象文書をそもそも作成 取得していない, 作成したが保存期間が経過したので廃

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

個人情報保護規程

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

privacypolicy

2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

個人情報保護規定

関が保有しているものをいうものとすること ただし 次に掲げるものを除くものとすること (1) 官報 県公報 白書 新聞 雑誌 書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの (2) 特定歴史公文書 (3) 山形県立図書館 山形県立博物館その他規則で定める施設において 規則で定めると

財営第   号

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

東村山市談合情報取扱要綱(案)

sannomaruriyou

大津市情報公開 個人情報保護審査会答申 ( 答申第 3 0 号 ) 平成 27 年 7 月 2 日 大津市情報公開 個人情報保護審査会

個人情報保護方針

Microsoft Word - 20年度(行情)答申第585号.doc

鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等に関する規則 平成 19 年 3 月 31 日規則第 15 号 改正 平成 21 年 2 月 16 日規則第 2 号平成 21 年 8 月 25 日規則第 28 号平成 28 年 3 月 25 日規則第 17 号鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等

11総法不審第120号

表紙1_4

Microsoft Word - 01社会保険等加入対策に係る事務処理要領

っている以上, 被面接者においてそもそも特別な対応策を採る必要はないといえる ウよって, 本件対象文書の不開示部分は法 5 条 6 号に該当しないといえる (2) 意見書 ( 添付資料省略 ) ア裁判官の場合, 新任判事補志望者カードの全部が開示されている ( 資料 1) ことからすれば, 検事に関

横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

(2) 共通費 第 3 編共通費 2 第 1 章共通事項 1 共通費算定に関する数値の取り扱い (1) 率による算定共通費基準の率により算定した金額は 一円未満切捨てとする (2) 積み上げによる算定積み上げによる算定は第 4 編 1に準ずる (3) 一般管理費等イ. 算出された金額の範囲内で 原則

11総法不審第120号

処分済み

キ入札参加グループの構成員は 他の入札参加者の構成員に加わることはできない ク事業者は 本工事の一部を下請業者に発注する場合は 可能な限り当該契約の相手を地元企業から選定するよう努めなければならない なお 地元企業とは 諫早市に本社 ( 本店 ) を置く者とする ケ入札参加グループ以外の地元企業への

(Microsoft Word -

ついて その取消しを求めるというものである (2) 異議申立ての理由異議申立人が 異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な理由は 次のように要約される ア異議申立書における主張異議申立人の配偶者が一方的に有り得ない夫婦間暴力の被害申告 ( 以下 虚偽 DV 被害申告 という ) を 警察署

H 刑事施設が受刑者の弁護士との信書について検査したことにつき勧告

Taro-入札公告(差替)

Transcription:

答申第 6 4 号 答 申 第 1 審査会の結論沖縄県知事 ( 以下 実施機関 という ) は 本件異議申立ての対象となった公文書について部分開示とした決定を取り消し 全部開示すべきである 第 2 諮問の概要 1 公文書の開示請求異議申立人 ( 以下 申立人 という ) は 平成 23 年 12 月 15 日 沖縄県情報公開条例 ( 平成 13 年沖縄県条例第 37 号 以下 条例 という ) 第 6 条第 1 項の規定に基づき 実施機関に対し 工事件名 3 4 8 号パイプライン線街路改良工事 ( H 2 3-1 ) の金額入り内訳明細書及び単価表の全て について開示請求 ( 以下 本件開示請求 という ) を行った 2 実施機関の決定実施機関は 対象公文書を 3 4 8 号パイプライン線街路改良工事 ( H 2 3-1 ) ( 以下 本件公文書 という ) と特定した上 条例第 7 条第 3 号及び第 7 号に該当する情報であることを理由に公文書部分開示決定 ( 以下 本件処分 という ) を行い 平成 23 年 12 月 19 日付け土道第 10156 号により 申立人に通知した 1 法人に関する情報であって 当該法人の利益を害するおそれがあるため 2 入札事務に関する情報であって 今後の公正かつ適正な当該事務又は事業の実施に支障を及ぼすおそれのある情報であるため 3 異議申立て申立人は 平成 23 年 12 月 27 日 本件処分を不服として 行政不服審査法 ( 昭和 37 年法律第 160 号 ) 第 6 条の規定により 実施機関に対し異議申立てを行った 4 諮問実施機関は 平成 24 年 12 月 10 日 条例第 20 条の規定により 沖縄県情報公開審査会 ( 以下 審査会 という ) に本件公文書の開示可否の決定について諮問した - 1 -

第 3 異議申立ての内容 1 異議申立ての趣旨開示しない部分とした 本工事費内訳書の細別 一次単価表 二次単価表 三次単価表 の開示 2 異議申立ての理由 (1) 開示しないこととする理由 1 に関しては一次単価表 二次単価表 三次単価表に記載されている産業廃棄物業者や材料業者名と思われるが これらは一次単価表 二次単価表 三次単価表に記載されているものではなく 1 の理由に該当する部分を黒塗りにすることで開示できる情報であり 開示しない理由とはならない (2) 開示しないこととする理由 2 に対して 一次単価表 二次単価表 三次単価表に含まれる単価は沖縄県土木建築部実施単価表として公表しているものであり その他の資材単価は財団法人建設物価調査会及び財団法人経済調査会により書籍等で公に開示されている 機械損料に関しては社団法人建設機械協会から建設機械等損料算定表として公に開示されている また 歩掛りに関しては土木工事標準積算基準書として財団法人建設物価調査会が公に開示している情報であり 既に情報は周知されているものであるため 入札事務に関し 公正かつ適正な当該事務の実施に障害は及ぼさないため 開示しないこととする理由とはならない 3 理由説明に対する意見 (1) 理由説明書には 一次単価表 二次単価表 及び 三次単価表 ( 以下設計単価表 ) には 財団法人建設物価調査会 財団法人経済調査会及び社団法人建設機械化協会の発刊する図書の単価が含まれているとあるが 設計単価表には定期刊行物そのままの単価を使用しているわけではなく 沖縄県が加工し使用しているはずである それらの単価を開示することにより 刊行物等の販売量の減少等 経済的不利益をこうむるおそれがあるとしているが 単価を公表したとしても 公表された時点の設計単価表はすでに過去のものであるため それ以降の入札に利用できる単価はほとんどない よって定期刊行物の販売量の減少等の経済的不利益は公表しないことの理由とはならない また 設計単価表には見積もりに基づき積算した内容も含まれており 公にすることで法人の権利 競争上の地位等を害するおそれがあるとしているが 設計単価表に法人名が記載されている部分を黒塗りにすることで回避できるため 公表しない理由とはならない (2) 工事の実施段階で請負業者が行う実際の取引価格を誘導することを - 2 -

否定できないとあるが 民間の建設業者へ民間の土木積算ソフトが導入されており 例え設計単価表が公表されたとしても設計単価を類推することは可能であり 実際の取引価格を誘導することにはならない また 今後予定される同種工事の入札段階で予定価格の類推が容易となる等 公平な競争や適正な事業の推進に支障が生じるおそれがあるとしているが 土木工事に同じ工事は存在せず 例え同じ路線であったとしても設計条件が異なるため 同じような予定価格になることは少ない さらに 前述のとおり 積算ソフトを利用することで 設計単価は類推することが可能であるため 公平な競争や適正な事業の推進に支障が生ずるおそれはない (3) コンピュータが普及していない時代であればまだしも 現在はコンピュータを保有していない民間建設業者は無い また 公共土木工事の入札に参加している建設業者で積算ソフトを導入していない会社もほとんどない このような時代に設計単価を公表することで 公正な競争や適正な事業の推進に支障が生じるとは考えにくい 国土交通省中国地方整備局や北海道開発局はホームページ等で 契約が終了した工事の金額入り設計書を公表している また 東京都をはじめとしたほとんどの地方自治体でも金額入り設計書を公表している 第 4 実施機関の説明要旨 1 本件処分の具体的理由 (1) 本工事の 一次単価表 二次単価表 及び 三次単価表 ( 以下 設計単価表 という ) には 財団法人建設物価調査会 財団法人経済調査会及び社団法人建設機械化協会の発行する図書の単価が使用されている その単価は定期刊行物等 ( 有償 ) に掲載され その著作権は当該法人が保有していることから これらの単価を開示することは 刊行物等の販売量の減少等 経済的不利益をこうむることや著作権法に抵触するおそれがあるため不開示としている また 設計単価表には 見積に基づき積算した内容も含まれており 公にすることにより 法人の権利 競争上の地位を害するおそれがあることから不開示としている ( 2) 本工事費内訳書の細別は設計単価表から構成されており 設計単価表は特定の工種に対して 特定の歩掛を適用し 特定の材料により算出されるものであり これを開示することによって パイプライン線の工 - 3 -

事の実施段階で請負業者が行う実際の取引価格を誘導することが否定できないことや 今後予定される同種工事の入札段階で予定価格の類推が容易となる等 公平な競争や適正な事業の遂行に支障が生ずるおそれがあることから不開示としている 2 その他類似の工事の予定価格が類推されることにより 落札価格が高止まりする可能性があり また 入札談合が行われるおそれがある 積算努力をしない業者がでてくるのも困る 第 5 審査会の判断理由本件対象公文書は 3 4 8 号パイプライン線街路改良工事 ( H 2 3-1 ) で 本工事設計内訳書 一次単価表 二次単価表 三次単価表から構成されており 工事区分 工種 種別 細別ごとの規格 数量 単価 金額等が記載されている 本件公文書は 予定価格を設定するための工事費積算書類で 予定価格は契約を締結する際の上限価格であり 落札金額を決定する基準となる価格である 実施機関は これらのうち細別及び一次単価表 二次単価表 三次単価表に係る単価 金額について 条例第 7 条第 3 号及び条例第 7 条第 7 号に該当すると主張するので以下検討する 1 基本的な考え方について条例は その第 1 条にあるように 地方自治の本旨に即した県政を推進する上で 県民の知る権利を尊重し 県政の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにすることが重要であるとの認識に立ち 公文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに 情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めることにより 県政に対する県民の理解と信頼を深め もって県民の参加と監視の下に公正で開かれた県政の推進に資することを目的として制定されたものである また 第 3 条においては 実施機関は 公文書の開示を請求する県民の権利が十分に尊重されるようにこの条例を解釈し 及び運用するものとしている 審査に当たっては これらの趣旨を十分に尊重し 関係条項を解釈し 判断するものである 2 条例第 7 条第 3 号該当性について本号は 法人等に関する情報の不開示要件を定めたもので 不開示 - 4 -

情報としては 生産技術や販売のノウハウ 信用上不利益を与える情報 経理 人事等の情報等で 通常 営業上の秘密とされているもの等が該当し 公にすることにより競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを指し 出版 報道等により既に公にされている情報は基本的には含まれないものと考えられる なお おそれについては それが現実的なものであることまでは要しないものの 主観的なものでは足りず 客観的なものでなけれならないと解されている 本件公文書には 一般財団法人建設物価調査会 一般財団法人経済調査会 一般社団法人日本建設機械施工協会 ( 以下 財団法人等 という ) の刊行物 建設物価 及び 積算資料 ( 以下 物価資料 という ) 建設機械等損料 に記載された単価及び複数の業者から徴収した見積り単価が引用されており 実施機関の説明によれば 物価資料は月 1 回 建設機械等損料は概ね 2 年に 1 回発行されるものである したがって 本件情報は出版物として既に公開されている情報で誰もが入手し得るものであり 不開示情報には当たらない 加えて 実施機関は 財団法人等の刊行物の単価を開示することは 刊行物の販売量の減少等 経済的不利益をこうむるおそれがあると主張するが 販売量減少のおそれについての具体的な根拠は示されなかった 当審査会は 物価資料等から本件公文書に引用された単価はその内容のごく一部に過ぎず 沖縄県土木建築部における資材単価の決定要領 ( 以下 決定要領 という ) によれば 物価資料を引用して単価決定をするに際しては その平均値を用いることとされているため建設物価及び積算資料の各単価は公開されず また 刊行物はそれぞれ月 1 回 年 1 回の発行でその都度内容が更新されることなどから 本件公文書を開示したとしても物価資料等の販売量が減少する可能性は低いと考えるものである また 実施機関は 見積りに基づいて積算した内容についても 公にすることにより 法人の権利 競争上の地位を害するおそれがあると主張しているが 決定要領によると 見積りによる単価決定に際しては 3 社以上の業者の見積書の平均値を採用することが原則とされており 見積りによる単価を開示しても 3 社の平均値が示されるのみで 特定の法人の情報が明らかとなるものではないから 実施機関の主張 - 5 -

は採用できない 以上のことから 本件情報は 条例第 7 条第 3 号に該当するとは認められない なお 実施機関は 著作権法に抵触するおそれについても述べているが 著作権法第 42 条の 2 は 情報公開条例の規定により著作物を公衆に提供等することを目的とする場合には 情報公開条例で定める方法により開示するために必要と認められる限度において著作物を利用することができるとしており 実施機関の主張は失当である 3 条例第 7 条第 7 号該当性について本号は 事務又は事業に関する情報の不開示の要件を定めたもので 県等が行う事務又は事業に関する情報であって 公にすることにより 当該事務又は事業の性質上 当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を不開示情報としている 当該事務又は事業の性質上とは 当該事務又は事業の性質に照らして保護する必要がある場合のみ不開示とすることができることとする趣旨で 当該事務又は事業には 同種の事務又は事業が反復される場合の将来の事務又は事業も含まれる 適正な遂行に支障を及ぼすおそれとは 実施機関に広範な裁量権限を与える趣旨ではないので 各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり 支障の程度については 名目的なものでは足りず実質的なものが要求される おそれの程度については 上記 2 で記したとおりである 実施機関は 単価表を開示することによって請負業者が行う実際の取引価格を誘導することが否定できないと主張するが そのことが 事業の適正な遂行に具体的にどのような支障を及ぼすおそれがあるのか実施機関からは明らかにされず かつ 物価資料等や実施機関が公表している実施設計単価表等を用いて積算すれば 請負業者等においても実施機関が決定する単価の近似値を求めることは可能であり 本件公文書を開示したとしても単に単価が明らかになったのみで実際の取引価格を誘導するおそれがあるとまではいえず 事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない また 実施機関は 今後予定される同種工事の入札段階で予定価格の類推が容易となることや 落札価格が高止まりする可能性 入札談合が行われるおそれ 積算努力をしない業者が出てくる等の主張をしている - 6 -

が 同種工事にどの程度の類似性があり 具体的にどのような支障が生ずるのかは明らかにされなかった 一般的に 公共工事は工事の構造 仕様 材質 時期的 地域的条件など各個別の特殊性があり 予定価格積算の基礎となる本件公文書に記載された単価についても 今後の物価の変動 技術の進歩 工事を取巻く環境の変化等の事情に伴って同種の工事であっても違いが生ずるものと考えられる したがって 過去の単価等から将来の予定価格等を類推することには一定の限界があると考えられ 過去の単価を開示することにより 将来の予定価格等の類推にどの程度役立ちうるのか明らかではない 予定価格や最低制限価格の事後公表などに加えて設計単価表等は従前から年間をとおして公表されるなど 現在でも公共工事の積算の仕方はかなりの部分が公開されており 業者はこのような情報をもとに予定価格等をある程度推測することができるのであるが 単価等を開示しても工事内容の違いから将来の同種工事における予定価格や最低制限価格を正確に類推することが必ずしも可能になるわけではない 以上の事情を考慮すると 本件公文書の開示により 条例第 7 条第 7 号に規定する 当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断した - 7 -

本案件を審議した沖縄県情報公開審査会委員 五十音順 氏名役職名等備考 池田修弁護士 上江洲純子沖縄国際大学准教授 植松孝則弁護士 徳田博人琉球大学教授会長 宮尾尚子弁護士会長職務代理 審査会の処理経過 年月日内容 平成 24 年 12 月 11 日 諮問書受理 平成 25 年 5 月 28 日審議 ( 第 233 回 ) 平成 25 年 6 月 20 日 実施機関から理由説明書受理 平成 25 年 6 月 25 日審議 ( 第 234 回 ) 平成 25 年 7 月 1 日 異議申立人から意見書受理 平成 25 年 7 月 23 日審議 ( 第 235 回 ) 平成 25 年 8 月 22 日審議 ( 第 236 回 ) 平成 25 年 9 月 20 日審議 ( 第 237 回 ) - 8 -