17-22_調査2-6月号.indd

Similar documents
調査 県内 4 地域別では 県北は 大きな影響があった が 12.9% と最も高く 影響あり の比率は 県北が 54.0% 県央が 53.9% 県西が 49.1% となった ( 図 2) 県南は最も低く 39.0% となった 以降 ) と離れていたにもかかわらず 減 少した は 18.7% となった

企業経営動向調査0908

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP・報道機関用)

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP用)

(2) 直接的な被害 影響の内容第 図および第 表は 直接的な被害 影響を受けた事業所の具体的な被害 影響の内容を示したものである 全体では 支店 営業店 倉庫 工場等の損壊 が 51.8% で最も多く 商品 仕掛品 原材料等の損壊 が 23.5% となっている 産業分類別で

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

新規文書1

質問1

(Microsoft PowerPoint \201y\221\3461\216l\224\274\212\372_\225\361\215\220\217\221HP\224\305\201z.pptx)

1. 調査目的 東日本大震災の影響に関するアンケート調査結果 3 月 11 日に発生した東日本大震災により 東北経済連合会会員企業も大きな影響を受けまし た 会員企業の被災状況を把握し 今後の経済活動の展望 および支援活動に資するためアンケ ート調査を行ないました 2. 調査期間平成 23 年 7

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

Newsletterむさしの_7.indd


目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

リオおよび東京五輪に対する埼玉県内企業の意識調査

Microsoft PowerPoint - QR2011春版その1.ppt [互換モード]

景気見通し調査 ( 平成 24 年 12 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 24 年 11 月 30 日

平成10年7月8日

(Taro-\222\262\215\270\225[.A4\207B.jtd)

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (

企業物流短期動向調査 ( 日通総研短観 ) 調査結果 ( 抜粋 ) (2008 年 9 月調査 ) 2008 年 10 月 株式会社日通総合研究所 ホームページはこちら

【調査要領】

<4D F736F F F696E74202D E9197BF C A89EF8C CC82CC95818B798FF38BB52E >

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

2015 年 6 月 19 日 ジェトロバンコク事務所 タイ日系企業進出動向調査 2014 年 調査結果について ~ 日系企業 4,567 社の活動を確認 ~ 1. 調査目的 タイへの日系企業の進出状況については 2008 年当時の状況について ( 独 ) 中小企業基盤 整備機構が タイ日系企業進出

12大都市の経済動向

Newsletterむさしの11.indd

Ⅰ 事業所に関する集計 1 概況平成 26 年 7 月 1 日現在の本道の事業所数 ( 国及び地方公共団体の事業所を含む 事業内容不詳の事業所を含む ) は 25 万 3,139 事業所 従業者数は 245 万 7,843 人となっており 全国順位は 事業所数 従業者数ともに 東京都 大阪府 愛知県

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

結  果  の  概  要

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

Newsletterむさしの12.indd

平成 21 年経済センサス 基礎調査確報集計結果 (2) 産業分類別 - 従業者数 ( 単位 : 人 %) 北海道 全国 従業者数従業者数 (*2 (*2 A~S 全産業 A~R 全産業 (S 公務を除く )

企業物流短期動向調査 ( 日通総研短観 ) 調査結果 ( 抜粋 ) (2008 年 12 月調査 ) 2009 年 1 月 株式会社日通総合研究所 ホームページはこちら

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

Newsletterむさしの1 2.indd

< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

社団法人日本生産技能労務協会

調査要領 1. 調査の目的 : 人口減少による労働力不足が懸念されるなかで 昨年 4 月には女性活躍推進法 ( 正式名称 : 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 ) が施行されるなど 女性の社会進出がさらに進むことが期待されている そこで 女性の活躍に向けた取り組み状況について調査を実施す

01Newsletterむさしの7.indd

世帯収入 DI 大幅な改善現在の 世帯収入 DI ( 増えた やや増えた ) と回答した割合から 減った やや減った と回答した割合を引いた値 ) は で前回 (11 年 6 月 :-24.6) から +6.8 ポイント上昇した 震災後に混乱していた企業のサプライチェーンが回復し生産体制

イノベーション活動に対する山梨県内企業の意識調査

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

Newsletterむさしの_2.indd

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

平成 29 年度下期新潟市景況調査 ( 本報告 ) Ⅳ テーマ別調査結果 93

<819A93C AA90CD2882C682E882A082A682B88AAE90AC292E786C73>

< 業種別 > D.I. 2 製造業主要判断 D.I. の推移 製造業 30/ /9 見込 /12 予想 < 製造業 > 当期 は 24.5( 前期比 +0.8) と景況感は横ばいであった

平成24年経済センサス-活動調査

12大都市の経済動向

新規文書1

【別添3】道内住宅ローン市場動向調査結果(概要版)[1]

世帯収入 DI 増えた と 減った 二極化の傾向現在の 世帯収入 DI ( 増えた やや増えた ) と回答した割合から 減った やや減った と回答した割合を引いた値 ) は - で前回 ( 年 6 月 :-8) から - ポイントとなりほぼ横ばいとなった 回答の内訳をみると やや増えた が + ポイ

Newsletterむさしの2.indd

消費税増税後の仕入・販売単価に関する東北6県企業の動向調査

01Newsletterむさしの6月.indd

「平成20年夏季ボーナス支給予定に関するアンケート調査」集計結果

< F2D BF8AD698418E968BC68ED C93FA967B8965>

Ⅲ.2019 年 10 月の消費増税に伴う資金需要について 2019 年 10 月の消費増税に伴う資金需要については 増加する が 2 割台半ば (26. 4%) 資金需要の中身は 消費増税後の需要減退 ( 売上減少 ) への備え 消費税の納税資金の増加 がともに半数超 (50.6%) で最多 消費

調査レポート 調査レポート 第 3 回国連防災世界会議 の開催に伴う経済波及効果について はじめに国連防災世界会議 ( 以下 防災会議 という ) とは 国際的な防災戦略について議論する国連主催の会議です 第 1 回会議 (1994 年 ) は横浜 第 2 回会議 (2005 年 ) は神戸といずれ

Newsletterむさしのvol_9.indd

Microsoft Word - 消費税2

中小企業の雇用・賃金に関する調査結果(全国中小企業動向調査(中小企業編)2015年10-12月期特別調査)

経済センサス活動調査速報

第1回「若手社員の仕事・会社に対する満足度」調査   

経済センサス活動調査速報

経済情報:日銀短観(2011年6月)の結果について.doc

「東日本大震災関連倒産」(発生後5年間累計)の動向調査

景気動向調査平成 3 年 1~12 月期実績 平成 31 年 1~3 月期予想 概況 業況 DI は改善 来期は悪化するもプラスを維持する見込み 今期の全業種総合業況判断 DIは 前期比 2.5 ポイント上昇の 9. と改善した 製造業は前期比 1.5 ポイント上昇の 14. 非製造業は同 2.9

ニュースリリース 中小企業の雇用 賃金に関する調査結果 ( 全国中小企業動向調査 2013 年 月期特別調査 ) 年 4 月 8 日株式会社日本政策金融公庫総合研究所 3 割の企業で正社員は増加 3 社に 1 社で給与水準は上昇 従業員数 2013 年 12 月において

波及効果の具体的計算方法 直接効果の推計 1 ( 需要増加額の推計 ) 合計額 ( 単位 : 百万円 ) 開催運営費 10.0 来場者支出額 90.0 飲食費 0.6 交通輸送費 3.0 広報関連経費 1.5 施設 機器レンタル料 1.0 アルバイト人件費 1.6 警備料 2.3 宿泊費

44 2. i NAC ii iii i HP iip. 43 pp iii HP : % 2-2 : % : 22 iv iv 22

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

補助金・助成金受託後の実態調査    報  告  書

PowerPoint プレゼンテーション

熊本県メーンバンク調査

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

第2回「若手社員の仕事・会社に対する満足度」調査 

「東日本大震災関連倒産」(発生から4年)の内訳と今後の見通し

スライド 1

鎌倉市

中小企業の海外進出に対する意識調査

第三章:保育士の就業・就職行動と意識

PowerPoint プレゼンテーション

第5回 企業の取引リスクに対する意識調査

2 外国人労働者の属性 (1) 国籍別にみると 中国 ( 香港等を含む 以下同じ ) が全体の 57.4% を占め 次いで フィリピンが 15.0% となっている また ベトナムについては対前年同期比で 62 人 (52.1%) 増加しており 同 181 人 (4.2%) を占めている 図 1 別表

平成 23 年 11 月 17 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 23 年 9 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査

< 生産用 はん用機械関係 > 震災直後生産面に大きな影響はないものの東日本への出荷を見合わせ 一部の部品を被災地から調達しており 今後影響が出る可能性もある 生産に影響はないが 物流関係が滞っており 一部地域への出荷を見合わせている ガソリンの調達が難しいため 北関東方面への出荷を自粛している 震

平成22年7月30日

個人消費活性化に対する九州企業の意識調査

イ 産業構造 ( ア ) 市内総生産 市内総生産は 増減はあるものの概ね横ばいです 産業部門別では第 3 次産業 が 8 割以上を占めています 第 3 次産業は 成長率の推移からみても 市内総生 産の成長に寄与しているといえます 産業 3 部門別生産額 ( 単位 : 億円 ) 第 1 次産業 第 2

鹿児島県海洋再生可能エネルギー開発可能性調査仕様書

滋賀県内企業動向調査 2018 年 月期特別項目結果 2019 年 1 月 滋賀銀行のシンクタンクである しがぎん経済文化センター ( 大津市 取締役社長中川浩 ) は 滋賀県内企業動向調査 (2018 年 月期 ) のなかで 特別項目 : 働き方改革 ~ 年次有給休暇の取得

2002・2003年度

News Release 2018 年 8 月 1 日 香川県内民間企業の 2018 年夏季ボーナス支給見込み アンケート調査結果について 百十四銀行 ( 頭取綾田裕次郎 ) では 香川県内に本社または主工場をもつ民間企業 640 社を対象として 2018 年夏季ボーナスの支給予想について アンケー

アンケートの概要 平成 23 年度 平成 24 年度及び平成 25 年度グループ補助金の東北地域の交付先 7,927 に対しアンケートを実施し 5,809(73.3%) から回答があった ( アンケート調査は第 1 次 ( 平成 23 年 8 月 )~ 第 10 次 ( 平成 26 年 3 月 )

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

Transcription:

緊急アンケート調査 : 熊本地震の本県への影響 4 月 14 日 16 日に熊本県と大分県を震源として発生した 熊本地震 により 九州経済へのダメージは深刻なものとなった 被災地の隣県である本県にも地震の影響が及び始めている 熊本地震発生後 1 週間の県内経済への影響と 今後の見通しについて 県内 100 事業所へ緊急アンケート調査を実施し その結果を分析した 調査概要 図 1. 地震の影響の有無 調査対象 県内主要企業及び当所定期取材先等 100 先 ( 回収率 100%) 調査方法 電話 FAX メール送付によるアンケート調査 調査期間平成 28 年 4 月 21 日 ( 木 )~ 25 日 ( 月 ) 参 考 集計において小数点第 2 位を四捨五入した 単位 : 事業所 % 業種 回答数 構成比 農林漁業 20 20.0 製造業 20 20.0 建設業 20 20.0 卸小売業 20 20.0 運輸 サービス業 20 20.0 合計 100 100.0 1. 熊本地震の影響の有無調査対象先 (5 業種 100 先 ) の熊本地震発生後 1 週間の影響をみると 大きな影響があった 多少影響があった の合計が 58.2% を占め 被災地の隣県である本県でも幅広い業種に影響したことがうかがえる ( 図 1) 業種別にみると 農林漁業 卸小売業 運輸 サービス業の3 業種の 60% 以上が影響を受け 特に運輸 サービス業は 大きな影響があった の回答が 31.6% を占めた 一方 製造業 建設業への影響はこれら3 業種よりも少ないと考えられる 2. 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) への影響地震の影響を受けた回答先の売上 ( 生産 取扱 出荷 ) への影響をみると 地震発生前と比べ 減少 ( 減産 ) した が 52.6% と最も高い ( 次頁図 2) 一方 増加 ( 増産 ) した も 7.0% を占め 増加もしくは減少した 回答先は 59.6% を占め 多くの事業所が影響を受けたといえる 業種別にみると 卸小売業は 減少 ( 減産 ) した が8 割近くを占めるなど突出しており 運輸 サービス業も6 割を超えた 農林漁業は 変化なし が 58.3% 調査月報 2016 年 6 月号 17

となる一方 減少した が 41.7% とな 図 3. 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 増減率 った 建設業と製造業は 変化なし が 60% を超えた 観光関連産業が多い卸小売業 運輸 サービス業を中心に売上減少が発生しており 業種による影響の違いが際立つ結果となった 図 2. 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) への影響 3. 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) の変化地震の影響を受けた回答先のうち 地震発生後 1 週間の売上 ( 生産 取扱量 ) が地震発生前と比べ変化した割合 ( 増減率 ) をみると 全体では減少先の平均が 16.4% 増加先は+ 10.0% となった ( 図 3) 地震発生からの期間が短く 回答が難しい事業所も多い結果となった 業種別には 農林漁業が最も大きく 次いで食料品等に欠品や配送遅延等がみられた卸小売業の回答が多い また 運輸 サービス業では 影響が大きいと回答するものの 売上減少割合は不明とする回答が目立つ結果となった 4. 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 減少の要因 (1) 全業種における減少要因売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 減少先の要因をみると 物流の混乱 が 43.2% と最も高く 物流に影響を受けやすい本県の特徴が浮き彫りとなった ( 図 4) 次いで 観光客数の減少 キャンセル が 29.5% を占め 地震が観光業において大きな影響を及ぼしたことがうかがえる結果となった 図 4. 全業種売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 減少の要因 ( 複数回答 ) (2) 業種別減少要因業種別に減少要因をみると 農林漁業は 物流の混乱 が 88.9% と最も高く 18 調査月報 2016 年 6 月号

調査 物流の大動脈である高速道路が不通にな った影響が大きく響いた ( 表 1) 製造業は 納品 販売先の業務縮小 操業停止 仕入先 原産地の業務縮小 操業停止 がそれぞれ 60.0% と最も高く サプライチェーン関連先が被災したこと の影響の大きさがうかがえた 建設業は農林水産業と同様に 物流の 混乱 が最も高く 資材調達に混乱が生 じたことがうかがえる 卸小売業は 消費マインドの低下 が 38.5% と最も高く 地震発生後の個人消 費の減退がうかがえる結果となった 運 輸 サービス業は 観光客数の減少 キ ャンセル が 69.2% と最も高く 本県の みならず九州への観光自粛の影響が 特 に観光関連業種に幅広くみられた 表 1. 業種別売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 減少要因 ( 複数回答 ) 応状況をみると 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 減少先の 31.6% が 既に対応済み であり 対応検討中 も含め何らかの 地震対応 を図る回答先は 60.5% を占めた ( 図 5) 図 5. 売上 ( 生産 取扱量 ) 減少への対応 5. 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 増加の要因 (1) 全業種における売上増加の要因売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 増加先の要因をみると 被災地復旧 支援向け受注が増加 が 50.0% と最も高い ( 図 6) 次いで 防災意識の高まりにより受注が増加 が 16.7% と続き これら2つが主な要因となった 図 6. 全業種売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 増加の要因 ( 複数回答 ) 回答事業所数が少ないことから業種別分析は行わず (3) 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 減少への対応売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 減少への対 (2) 売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 増加への対応売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 増加先の対応状況をみると 現状にて対応 が 60.0% と最も高く 既に対応済み は 40.0% となった ( 次頁図 7) 調査月報 2016 年 6 月号 19

図 7. 売上 ( 生産 取扱量 ) 増加への対応 が 長期 と回答した 運輸 サービス業においては 観光業の落ち込み懸念が強い 一方 建設業には 隣県復興支援需要を予想した様子もうかがえる 6. 今後影響が続くと予想される期間地震の影響を受けた回答先が予想する今後の影響期間は 分からない が最も多く 53.4% を占め 地震後の混乱が続く中 先行き不透明感が強いことがうかがえる ( 図 8) 長期的とみる 半年 1 年超 合計が 21.6% を占める一方 1 カ月以内 3カ月 合計が 25.0% を占め 短期的との見方もあるようだ 図 8. 今後影響が続くと予想される期間 7. 今後予想される影響 (1) 今後予想される影響影響を受けた回答先の今後の影響予想をみると 物流遅延 が 41.8% と最も高く 以下 売上減少 ( 減産 ) 原材料確保困難 価格高騰 と続いた ( 表 2) 現段階では マイナス面 の予想が強く 復興支援特需などの プラス 予想は一部にとどまった また 今後予想する影響内容を業種別にみると 農林漁業は 物流遅延 のみの回答となった 製造業も農林漁業と同様に 物流遅延 が 66.7% と最も高い 建設業と卸売業は 売上減少 ( 減産 ) が最も高く 需要の落ち込みを心配する声が聞かれた 運輸 サービス業は交通網の混乱による 物流遅延 が 54.5% となった 表 2. 業種別今後予想される影響 ( 複数回答 ) 業種別では すべての業種で 分からない が最も高いが 特に製造業が 64.3 % と最も高い また 農林水産業と製造業 卸小売業は 短期 ( 1カ月以内 3 カ月 合計 ) の割合が高い 一方 運輸 サービス業は 長期 ( 半年 1 年超 合計 ) が 35.0% 建設業は 31.6% 20 調査月報 2016 年 6 月号

調査 (2) 今後の売上 ( 生産 取扱 出荷 ) への影響今後の売上 ( 生産 取扱 出荷 ) への影響は 全体では 変化なし が 56.4 % と最も高く 減少が予想される が 29.5% 増加が予想される が 14.1% を占めた ( 図 9) 業種別では 運輸 サービス業は減少が 61.1% を占める一方 33.3% が増加と回答し 増減ともに最も売上高への影響が強いことが明らかとなった 次いで 卸小売業は減少予想が 35.3% と2 番目に高く これに農林漁業 建設業の減少割合が続いた 図 9. 今後の売上 ( 生産 取扱 出荷 ) への影響 (3) 今後の売上 ( 生産 取扱 出荷 ) の変化の予想今後 地震の影響により売上の変化を懸念する回答先の 地震発生前からの予想変化率の割合 ( 増減率 ) をみると 全体では減少先の平均が 12.5% 増加先の平均が+ 8.0% となった ( 図 10) 図 10. 今後の売上 ( 生産 取扱 出荷 ) 増減予想率 業種別では 売上減少においては 農 林漁業が最もマイナス幅が大きく 16.5% となり 次いで運輸 サービス業 が 13.9% となり 卸 小売業がこれに 続いた また 売上増加においては 建 設業が + 20.0% となり 次いで運輸 サ ービス業 卸小売業となった 参考 個人消費関連産業及び観光関連 産業への影響 ( 推計 ) アンケート結果から小売業 飲食サー ビス業 宿泊業 その他個人サービス業 ( 対個人サービス業 ) の計 20 先の今後 3 カ月間の売上 ( 需要 取扱 ) 減少予想平 均割合を推計すると 宿泊業が最もマイ ナス影響を受けることがうかがえる ( 図 11) 図 11. 個人消費関連産業の今後 3 カ月間の売上 ( 取扱 需要 ) 減少予想率 調査月報 2016 年 6 月号 21

観光消費の核となる前頁図 11 のうち 飲食業と宿泊業の売上減少が 3 カ月間続 くと仮定し 宮崎県産業連関表 (2005 年 表 宮崎県 ) 上のマイナス影響額を推計 すると 本県における両産業の損失推計 額 ( 直接マイナス効果 ) は 55 億円 ( 注 ) となる 注 ) 観光客数の季節変動要因は含まず 2005 年宮崎県産業連関表の当該産業の県内生産額に 3 カ月間の減少比率を乗じて推計 8. ゴールデンウィーク時期及び それ以降の観光面における影響予想ゴールデンウィーク時期及びそれ以降 の観光面における影響については 観光 客数は地震の影響で減少が見込まれる が 82.8% を占め 製造業を除く全ての産 業で 80% 超の回答となった ( 図 12) 図 12. ゴールデンウィーク及びそれ以降の観光面における影響予想 アンケート先へのヒアリングにおいて は 九州自体からの観光客の減少を懸念 する声が聞かれた また 風評被害や過 度な旅行自粛ムードの広がりへの危機感も強まっている 9. まとめ熊本地震発生後 1 週間の経済的影響をみると 県内も直接被災した高千穂町などの県北をはじめ 県内全域で大きな影響を受けた 現時点での影響をみると 九州の高速道路網の寸断による物流混乱の影響が最も大きいが 隣県取引先が被災したことによる 取引縮小を懸念する回答も目立つ また 当調査の電話ヒアリングにおいては 取引先が被災し 大幅な営業戦略の見直しを決断せざるを得ない 品薄感による仕入れ価格の高騰 など 影響を懸念する回答もみられた 今後 これら直接的な影響に加えて 2 次的 ( 間接的 ) な影響の広がりも懸念される なお 県内においては 当面は農林漁業 観光関連業種にてマイナスの影響が強いと考えられる また 卸小売業やサービス業においては 消費マインドの低下が個人消費に影響を及ぼすと予想される 現在は地震発生直後であることから不明な部分も多いが 今後 県内経済への影響が時間経過とともに顕在化すると考えられる 県内においても 幅広い経済的支援策の検討が必要と考えられる ( 杉山 ) 22 調査月報 2016 年 6 月号