Taro-22 No19 大網中(中和と塩

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< イオン 電離練習問題 > No. 1 次のイオンの名称を書きなさい (1) H + ( ) (2) Na + ( ) (3) K + ( ) (4) Mg 2+ ( ) (5) Cu 2+ ( ) (6) Zn 2+ ( ) (7) NH4 + ( ) (8) Cl - ( ) (9) OH -

理科科学習指導案

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FdText理科1年

2 単元の評価規準関心 意欲 態度 科学的な思考 表現 観察 実験の技能 知識 理解 酸 アルカリ, 中和と塩に関する事物 現象に興味 関心を持ち, それを科学的に探究しようとするとともに, 事象を日常生活との関わりで捉えようとする 酸 アルカリ, 中和と塩に関する事象 現象の中に問題を見いだし,

7 3. 単元の指導計画 (7 時間扱い ) 時 学習内容 授業のねらい 物質の溶解と水溶液の均一性 コーヒーシュガーが水に溶ける様子を観察し, 色の様子からコーヒーシュガーの拡散と水溶液の均一性を理解する ( 観 実 ) コーヒーシュガーと食塩の溶解 物質の溶解と水溶液の均一性 2 物質が目に見え

高 1 化学冬期課題試験 1 月 11 日 ( 水 ) 実施 [1] 以下の問題に答えよ 1)200g 溶液中に溶質が20g 溶けている この溶液の質量 % はいくらか ( 整数 ) 2)200g 溶媒中に溶質が20g 溶けている この溶液の質量 % はいくらか ( 有効数字 2 桁 ) 3) 同じ

FdData理科3年

群教セ G04-03 平 集 理科 - 中 生徒が解決の見通しを持って実験方法を立案する理科授業 モデル図やグラフを使った予想の共有と タブレット端末の活用を通して 特別研修員奈良達也 Ⅰ 研究テーマ設定の理由 平成 29 年 3 月公示の新学習指導要領では 内容のイとして思考 判断

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英語科学習指導案

がお互いの性質を打ち消しあう また, その際, その他のイオンから塩が生じる パフォーマンス課題 硫酸に電極をさし, 電源装置で電圧を加えると電流が流れ, 電球が点灯する これに水酸化バリウム水溶液を少しずつ加えていくと水溶液は白く濁り, 電球は次第に暗くなり, やがて消える しかし, さらに加え続

(2) 本単元に関わる生徒の実態及び指導方針 1 既習の学習内容 水溶液には酸性 中性 アルカリ性のものがあること 金属を変化させる水溶液があること( 小 6) 気体の発生と性質 物質への水への溶解について( 第 1 学年 ) 物質が原子や分子でできていること( 第 2 学年 ) 電流が電子の流れで

事例 2-2

とである そこで, 紫キャベツを使った料理にレモンをかけると色が変わることを取り上げたり, 湖沼の水質の中和やあくとりなどの例を用いたりして, 興味 関心を高めるようにしたい なお,1 学年の いろいろな気体の性質,2 学年の 化学変化と原子 分子 ( 化学式と化学反応式 ),3 学年の 酸 アルカ

指導計画 評価の具体例 単元の目標 単元 1 化学変化とイオン 化学変化についての観察, 実験を通して, 水溶液の電気伝導性や中和反応について理解するとともに, これらの事物 現象をイオンのモデルと関連づけて見る見方や考え方を養い, 物質や化学変化に対する興味 関心を高め, 身のまわりの物質や事象を

調査研究「教科等で考える異校種間の連携の工夫」〔理科〕

決するための学習の見通しをもたせ, 単元を貫く課題を意識させ, 目的意識をもたせた授業を展開していきたい 本単元では, 理科での学習内容が日常生活で見られる事象に関連することに気付かせたい 日常生活の事象から酸とアルカリの性質を粒子で考え中和反応をイオンのモデルと関連付けて理解させたい それを通して

理科学習指導案

31608 要旨 ルミノール発光 3513 後藤唯花 3612 熊﨑なつみ 3617 新野彩乃 3619 鈴木梨那 私たちは ルミノール反応で起こる化学発光が強い光で長時間続く条件について興味をもち 研究を行った まず触媒の濃度に着目し 1~9% の値で実験を行ったところ触媒濃度が低いほど強い光で長

授業では, 課題を解決するための情報を集める前に, どのような方法だと必要な情報を集めることができるのかを考えています 58.8% 41.2% 授業では, 調べたことなどを, 図, グラフ, 表などにまとめています 73.5% 26.5% 授業では, 情報を比べたり ( 比較 ), 仲間分けしたり

6年 ゆで卵を取り出そう

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2011年度 化学1(物理学科)

木村の有機化学小ネタ セルロース系再生繊維 再生繊維セルロースなど天然高分子物質を化学的処理により溶解後, 細孔から押し出し ( 紡糸 という), 再凝固させて繊維としたもの セルロース系の再生繊維には, ビスコースレーヨン, 銅アンモニア

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現行の学習指導要領(1998年公示,2002年実施)は,教育の総合化をキーワードに,「生きる力の育成」と「ゆとりある教育」をねらいとしている

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質問 2 1イオンには大きさがあると思いますか あると思う人は どれくらいの大きさだと思いますか ある 35 人 ない 5 人 すごく小さい 12 人 原子サイズ 6 人 目に見えない大きさ 5 人 原子より小さい 2 人 種類によってちがう 2 人 分子サイズ 1 人 分子の 10 分の1 1 人

見いださせる 3 章 化学変化と電池 本章では電解質水溶液と2 種類の金属を用いて電池をつくる実験を行い 電流が取り出せることを見いださせる このとき化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを理解させる また 電極での電子の授受をイオンのモデルで表し 電池のしくみを微視的視点でとらえさせる

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平成27年度 前期日程 化学 解答例

木村の理論化学小ネタ 緩衝液 緩衝液とは, 酸や塩基を加えても,pH が変化しにくい性質をもつ溶液のことである A. 共役酸と共役塩基 弱酸 HA の水溶液中での電離平衡と共役酸 共役塩基 弱酸 HA の電離平衡 HA + H 3 A にお

単元の系統 粒子 学年 粒子の存在 粒子の結合 粒子の保存性 粒子のもつエネルギー 小学校ものの重さ 年 形と重さ 体積と重さ 4 年 空気と水の性質 空気の圧縮 水の圧縮 金属 水 空気と温度 温度と体積の変化 温まり方の違い 水の三態変化 5 年 ものの溶け方 物が水に溶ける量の限度 物が水に溶

小学校理科の観察,実験の手引き 第5学年A(1) 物の溶け方

必要があれば, 次の数値を使いなさい 原子量 O= 標準状態で mol の気体が占める体積. L 問題文中の体積の単位記号 L は, リットルを表す Ⅰ 次の問いに答えなさい 問 飲料水の容器であるペットボトルに使われているプラスチックを, 次の中から つ選び, 番号をマークしなさい ポリエチレン

留意点 指導面 化学に対する興味 関心を高めることが主なねらいなので, 原理については簡単に触れる程度にとどめる 身の回りにある合成高分子に気付かせ, それらが化学の先人の研究成果によって作られたものであることから, 化学が人間生活に果たしている役割について触れる 分子量が約 1 万以上の分子からな

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

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ウスターソース類の食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるウスターソース類及びその周辺製品に適用する 2. 測定方法の概要試料に水を加え ろ過した後 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.1 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費

2004 年度センター化学 ⅠB p1 第 1 問問 1 a 水素結合 X HLY X,Y= F,O,N ( ) この形をもつ分子は 5 NH 3 である 1 5 b 昇華性の物質 ドライアイス CO 2, ヨウ素 I 2, ナフタレン 2 3 c 総電子数 = ( 原子番号 ) d CH 4 :6

( 高等部 )( 自立活動 )学習指導案

2014 年度大学入試センター試験解説 化学 Ⅰ 第 1 問物質の構成 1 問 1 a 1 g に含まれる分子 ( 分子量 M) の数は, アボガドロ定数を N A /mol とすると M N A 個 と表すことができる よって, 分子量 M が最も小さい分子の分子数が最も多い 分 子量は, 1 H

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木村の理論化学小ネタ 熱化学方程式と反応熱の分類発熱反応と吸熱反応化学反応は, 反応の前後の物質のエネルギーが異なるため, エネルギーの出入りを伴い, それが, 熱 光 電気などのエネルギーの形で現れる とくに, 化学変化と熱エネルギーの関

第 6 学年理科学習指導案指導者千葉市立小中台小学校本間希世 1 研究主題 (1) 市教研統一テーマ 自ら学び 心豊かに生きる力を身につけた児童生徒の育成 (2) 部会テーマ 個を生かした学習指導の進め方 小中合同主題 教材の本質にもとづき 児童の力で自然を調べる楽しさが体得される場の工夫と指導方法

フォルハルト法 NH SCN の標準液または KSCN の標準液を用い,Ag または Hg を直接沈殿滴定する方法 および Cl, Br, I, CN, 試料溶液に Fe SCN, S 2 を指示薬として加える 例 : Cl の逆滴定による定量 などを逆滴定する方法をいう Fe を加えた試料液に硝酸

2017 年度一般入試前期 A 日程 ( 1 月 23 日実施 ) 化学問題 (63 ページ 74 ページ ) 問題は大問 Ⅰ Ⅳ までありますが 一部 他科目との共通問題となっています 大問 Ⅰ は 化学基礎 + 生物基礎 の大問 Ⅰ と共通の問題です 大問 Ⅱ は 化学基礎 + 生物基礎 の大問

イオン化傾向 イオン化傾向 1 金属の単体はいずれも酸化されて陽イオンになりうる 金属のイオンのなりやすさを表したものをイオン化傾向という イオン化傾向 K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H) Cu Hg Ag Pt Au e- を出してイオンになりやすい酸化されやすい イ

キレート滴定

いきたいと考えるはずである 水溶液を区別する ためには, 水溶液のどんな性質やはたらきに着目していったらよいか, 子どもたちの考えを大切にしながら学習を進めていきたい 本単元の問題を解決するためには, いくつかの実験結果から, 総合的に判断することが必要である そこで,5つの水溶液を区別するという意

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第3類危険物の物質別詳細 練習問題

▲ 電離平衡

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(2) 単元構想図 学習の手立て 数は時数軸 授業の目標 視点 1 果物で電池を作り 電流を取り出す 果物電池から電流を取り出す実験を通して 電池の仕組みについて 疑問や関心を抱くことができる ( 自然事象への関心 意欲 態度 ) 小集団の中で果物電池を作り 疑問を出し合ったり 共有したりする姿 自

DVIOUT-酸と塩

2 原子やイオンのつ 3 原子が電気的に中性 3 原子の構造について くりに関心をもっ になる理由を 原子 説明している て説明を聞こうと の構造から指摘して 4 陽イオンや陰イオン する いる の違いを説明でき 4 イオンは原子が電子 イオンをイオン式で を失ったり 受け取っ 表している たりして

<連載講座>アルマイト従事者のためのやさしい化学(XVII)--まとめと問題 (1)

Ⅲ 化学変化とイオン 単元における観察 実験の位置付け 学習活動備考 課題 どのような水溶液が電流を通すのだろうか 実験 1 電解質や非電解質の水溶液について電流を通すか調べる実験 様々な水溶液を用意するが この後に 塩化銅水溶液や塩酸の電気分解に触れるため この 2 つの水溶液は用意しておくとよい

1 次の問い ( 問 1~ 問 5) に答えよ (23 点 ) 問 1 次の単位変換のうち, 正しいもののみをすべて含む組み合わせは どれか マーク式解答欄 1 (a) 1.0 kg = mg (b) 1.0 dl = ml (c) 1.0 g/cm 3 = 1.

FdData理科3年

(2) 単元構想図 単元デザイン 時数と手立て軸 数ねらい 引き出したい学習活動の姿 ICT の活用 カリキュラムマネジメント 疑問や知りたいことを共有する 1 電池のしくみについて 疑問や知りたいことを共有することができる ( 自然事象への関 1 果物電池を作り 電子オルゴールを鳴心 意欲 態度

留意点 指導面 化学反応式 a 反応物 1+b 反応物 2 c 生成物 1+d 生成物 2 において, 反応物と生成物の物質量の比は, 反応物 1: 反応物 2: 生成物 1: 生成物 2=a:b:c:dとなる この考え方は生徒にとって難しくはないが, 物質量, 質量, 体積, 粒子の数の変換や,

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水溶液を薄める際の計算方法薄める前の塩酸の濃度 % 体積 密度 = 薄めた後の塩酸の濃度 % 体積 密度であるから 3% の塩酸 200mL 作る場合は 35% XmL 密度 =3% 200mL 密度 X=17.1mL ここでは薄める前と薄めた後の塩酸の密度は同じくらいとして計算した よって 水に濃

化学基礎 化学 化学基礎 化学 ( 全問必答 ) 第 1 問次の各問い ( 問 1~ 6 ) に答えよ 解答番号 1 ~ 8 ( 配点 25) 問 1 次の a ~ c に当てはまるものを, それぞれの解答群 1~4 のうちから一つずつ 選べ a Al 3+ と物質量の比 2 :3 で化合物をつくる

化学 1( 応用生物 生命健康科 現代教育学部 ) ( 解答番号 1 ~ 29 ) Ⅰ 化学結合に関する ⑴~⑶ の文章を読み, 下の問い ( 問 1~5) に答えよ ⑴ 塩化ナトリウム中では, ナトリウムイオン Na + と塩化物イオン Cl - が静電気的な引力で結び ついている このような陽イ

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てた後, ビーカーに水を 500 ml 入れて 1 度目の洗浄をした. 洗浄液の phをphメーターで測定した. さらに二度目の洗浄を 500 ml の水で行った. この洗浄液の ph も測定した. さらに流水で枝豆の洗浄を行った. その後この枝豆をめのう乳鉢ですりつぶし, 水を少量加えてその液の

【FdData中間期末過去問題】中学理科3年(酸とアルカリ/イオンの移動/中和/塩)

酢酸エチルの合成

7 炭酸水素ナトリウムの成分元素 ~ 成分元素の確認 ~ 難易度教材の入手日数準備時間実施時間 1 ヶ月 1 時間 50 分 目的と内容 物質の分離 精製や元素の確認などの観察, 実験 を行い, 化学的に探究する方法の基礎を身に付けさせ るとともに, 粒子の熱運動と三態変化との関係などに ついて理解

本時の評価規準 ( 観点 / 方法 ) 1. 今まで学習したことをもとに, 実験を適切な操作で行い, 各極で発生した物質を同定 することができる ( 観察 実験の技能 / ワークシートへの記述 ) 2. 食塩水に電流を通したときの陽極および陰極での変化の様子を粒子モデルを使って図 示し, そのモデル

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FdData高校入試過去問題】中学理科3年(酸の性質/アルカリの性質/中和とイオン)

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第6学年 理科学習指導案

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PowerPoint プレゼンテーション

補足 中学校では塩基性ではなくアルカリ性という表現を使って学習する アルカリはアラビア語 (al qily) で, アル (al) は定冠詞, カリ (qily) はオカヒジキ属の植物を焼いた灰の意味 植物の灰には Na,K,Ca などの金属元素が含まれており, それに水を加えて溶かすと, NaOH

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

2019 年度大学入試センター試験解説 化学 第 1 問問 1 a 塩化カリウムは, カリウムイオン K + と塩化物イオン Cl - のイオン結合のみを含む物質であり, 共有結合を含まない ( 答 ) 1 1 b 黒鉛の結晶中では, 各炭素原子の 4 つの価電子のうち 3 つが隣り合う他の原子との

SO の場合 Leis の酸塩基説 ( 非プロトン性溶媒までも摘要可 一般化 ) B + B の化学反応の酸と塩基 SO + + SO SO + + SO 酸 塩基 酸 塩基 SO は酸にも塩基にもなっている 酸の強さ 酸が強い = 塩基へプロトンを供与する能力が大きい 強酸 ( 優れたプロトン供与

2 生徒観本単元までに無機物質として非金属元素の単体と化合物について学習してきた ただ, それまでの物質の変化の単元と違い, 個々の物質についての情報量が非常に多いため, そのつど内容を理解できてはいるが, それを知識として十分に定着させ, 活かすという段階までは達していない生徒が多く見うけられる

後期化学

留意点 指導面 物質量について物質を扱うとき, 体積や質量で表すことが多い しかし, 化学変化は, 物質の構成粒子が切り離されたり, 結合したりすることによっておこるため, 粒子の個数で表した方が都合がよい 一方, 物質の構成粒子は非常に小さく,1 個ずつ数えることはできない また, 私たちが日常取

ア 単元の指導内容と身に付けさせたい力 この単元では, いろいろな水溶液を使い その性質や金属を変化させる様子を調べ, 水溶液に は 1 酸性 アルカリ性及び中性のものがあること 2 気体が溶けているものがあること 3 金 属を変化させるものがあることなど 水溶液の性質や働きについての考えを児童がも

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中和と塩 Ⅰ 視覚的に確認でき, イオンなどの粒子概念の形成に役立つ中和反応の観察 実験例 1 観察 実験のあらまし中和反応の実験は, 塩酸と水酸化ナトリウムで行うことが多い ところが, この反応では生成する塩は塩化ナトリウム ( 食塩 ) という水に溶ける塩であるため, 混ぜた瞬間に中和反応が起きていることがわからない そこで, 硫酸と水酸化バリウムの組み合わせで行うことで硫酸バリウムという水に溶けない塩が生成するので,1 中性にならなくても中和反応が起きていること,2 混ぜ合わせる水溶液の量を変えると生成する沈殿の量が変化すること を視覚的にとらえることが可能となる さらに, そのようすをイオンのモデルで考えることにより, 原子や分子, イオンといった微視的な見方 考え方を養うことができる 2 準備するもの (1) 器具 (1 班に必要な数 ) 試験管 (6) 飽和水酸化バリウム水溶液用 試験管立て (1) 50mL または 100mL のビーカー (1) 希硫酸用 5mL 駒込ピペット (1) 希硫酸用 バット (1) 保護眼鏡 ( 人数分 ) (2) 材料 試薬等 (1 班に必要な量 ) 飽和水酸化バリウム水溶液 < 約 0.1 mol / L >(18mL) 希硫酸 < 約 0.1 mol / L >(15mL) BTB 溶液 (2~3 滴 6 本分 ) 3 学習前の観察 実験の指導の手立て 1mL や 2mL など指定した体積の液体を円滑にはかり取れるように, 事前に駒込ピペットの操作に慣れさせておくとよい 強酸性や強アルカリ性の水溶液を使用するので, 試薬の扱い方や, 衣類や皮膚についてしまった場合はすぐに多量の水で洗い流すなどの対処方法を十分に指導しておく 4 観察 実験の手順 様子 (1) 試薬作成手順ア飽和水酸化バリウム水溶液 < 約 0.1 mol / L > ( ア ) 水に十分な量の水酸化バリウムを溶かし, 数日間放置する ( イ ) 実験を行うときに上澄み液をろ過して使用する イ希硫酸 < 約 0.1 mol / L > ( ア ) 水 180mLを攪拌しながら, 市販の濃硫酸 1mLを少しずつ加える ( イ ) 冷却後, 試薬瓶に保存して使用する

(2) 実験の手順アバットの上に飽和水酸化バリウム水溶液を3mLを入れた試験管を6 本用意する イアの6 本の試験管にBTB 溶液を2~3 滴ずつ加える ウイの5 本の試験管に, ビーカーに入っている希硫酸を加える ただし, 加える希硫酸の量はそれぞれ,1mL 2mL 3mL 4mL 5mLを駒込ピペットではかり取って加え, 軽く振って混ぜたあと放置する 1 本は希硫酸を加えない エ中和によって白い沈殿ができたことを確認する オ BTB 溶液の色の変化を確認する カ十分時間をおいてから白い沈殿の量を確認する (3) 変化の様子ア混ぜる前イ混ぜた直後ウ十分時間が経った後 5 学習後の観察 実験の指導の手立て 中和反応によって生成する塩は, 混ぜ合わせる酸とアルカリの組み合わせによって決まる 今回の硫酸バリウムのように水に溶けない塩もあれば, 塩化ナトリウム ( 食塩 ) のように水に溶ける塩もあり, 多種多様であることを知らせ, 興味をもたせたい できれば, 酸とアルカリの組み合わせを考え, 何という塩ができるか予想し, 実際に実験で確かめることをさせたい 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜてできる塩化ナトリウム ( 食塩 ) は本来は水に溶ける塩なので, 水溶液を混ぜただけでは結晶を見ることはできない ところが, 少量の濃塩酸に水酸化ナトリウムの固体を直接 2~3 粒ほど入れると混合液が沸騰状態になり, 塩化ナトリウムの結晶が沈殿する 危険なので教師による演示実験となるが, 中和による発熱を実感させるなど, 興味をもたせるには有効である 6 器具や薬品等の扱い方等 (1) 指導面ア駒込ピペットで希硫酸を正確にはかり取る方法 (3mL をはかり取る例 ) ( ア ) 駒込ピペットに, 加える希硫酸を何回か出し入れしたあと, いったん液を全て出す ( イ ) 駒込ピペットを垂直に持ち, ゴム球を操作して液が 3mL の線まで上がったら駒込ピペットの先端を液面からはずし, ゴム球から指を離す イ飽和水酸化バリウム水溶液に希硫酸を加えたとき, 試験管を振りすぎると沈殿するのに時間がかかってしまうので, 振りすぎに注意させる (2) 安全面水酸化バリウムは強アルカリ性, 硫酸は強酸性なので保護眼鏡を使用し, 衣類や皮膚につけないように注意させる また, 衣類や皮膚についてしまった場合は, すぐに多量の水で洗い流すように指導する

(3) その他ア水酸化バリウム水溶液は空気中の二酸化炭素を吸収すると炭酸バリウムの沈殿を生じるので, 実験のたびにろ過をして水溶液をつくる ( ろ過して沈殿を取り除いても, 数分後には空気中の二酸化炭素と反応して, 表面に炭酸バリウムの膜がはってくるので, 実験の直前にろ過することを勧める ) イ希硫酸をつくるときは, 水に濃硫酸を加える 逆に, 濃硫酸に水を加えると激しく発熱するため, 液が飛び散る危険性があるので絶対にしない Ⅱ 指導の例 1 単元名中和と塩 2 単元のねらい酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜて中和反応を行い, 酸とアルカリを混ぜると水と塩ができることを理解できる 3 指導計画 ( 全 5 時間 ) 酸とアルカリを混ぜたらどうなるか (1 時間 ) 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和実験 (1 時間 ) 中和実験のまとめ (1 時間 ) 水酸化バリウム水溶液と硫酸の中和実験 (1 時間 ) 本時 いろいろな塩 (1 時間 ) 4 学習問題 水酸化バリウム水溶液に加える硫酸の量を少しずつ増やしていくと, 硫酸バリウムの沈殿の量はどうなるのだろうか 5 観察 実験の展開例 (1) ねらい 酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜ合わせる量を変えると生成する塩の量が変化する現象をイオンのモデルで考えることができる ( 科学的な思考 表現 ) (2) 展開例 評価の観点 学習活動と内容 指導上の留意点と評価の観点 1 前時の復習をする 酸とアルカリを混ぜると塩と水ができる 塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると塩化 ことを確認する ナトリウムと水ができた 2 本時の課題を確認する 演示実験を行い, 混ぜてすぐに濁ること 1 水酸化バリウム水溶液と硫酸を混ぜると白い沈 から, 水に溶けない塩であることに注目 殿ができることを確認する させる 2それぞれの水溶液の電離式を考える H + とOH - が一緒になるので中和反応で Ba(OH)2 Ba 2+ +2OH - あることに注目させる H2SO4 2H + + SO4 2- 塩とは酸の陰イオンとアルカリの陽イオ 3できた塩について考える ンが結びついたもので, 中には水に溶け Ba 2+ + SO4 2- BaSO4 ない塩があることに注目させる 4 水酸化バリウム水溶液に硫酸を少しずつ加える 塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を少しず

と沈殿の量はどうなるかを考える 沈殿の量は変わらない 沈殿の量はだんだん増える 沈殿の量はだんだん増えるが, 途中から増えなくなる つ加えていくと酸性 中性 アルカリ性と変化したことを思い出させる 水酸化バリウム水溶液に加える硫酸の量を少しずつ増やしていくと, 硫酸バリウムの沈殿の量はどうなるのだろうか 3 実験を行う 沈殿が沈むまで時間がかかるのでできる 観察 実験例 だけ短時間で実験を行わせる 1 6 本の試験管に入っている水酸化バリウム水 水酸化バリウム水溶液と硫酸を混ぜ合わ 溶液にBTB 溶液を入れる せたときに振り過ぎないように注意させ 2 1の5 本の試験管に希硫酸を1mL~5mL る を加え放置する 1 本は希硫酸を加えない 4 イオンのモデルで考える 水溶液中の変化をイオンのモデルを使っ 1 個人で考える て書かせることで, 水溶液の性質の変化 2 班で意見をまとめる のときと同じように, 沈殿の量について 3 班毎に発表する もイオンの振る舞いで考えられることに気づかせる 生成する塩の量が変化する現象をイオンのモデルで考えている ( 科学的な思考 表現 ) 他の班の発表を参考に, 自分たちの意見を改善させる 5 実験結果を確認する 1BTB 溶液の色の変化を確認する イオンのモデルで考えた結果と同じにな 青 ( 緑 ) 黄 ることを確認させる 2 沈殿の量を確認する だんだん増えたが, 途中で増えなくなった 6 本時のまとめをする 水溶液がアルカリ性の間は, 沈殿の量は増加する 水溶液が中性から酸性の間は, 沈殿の量は増加しない

Ⅲ よりよい観察 実験にするために 1 生徒 教師の失敗例 (1) 駒込ピペットで 1mL~5mL をはかり取ることができない または時間がかかる < 対処法 > 別の試験管に 1mL~5mL をはかり取ったものを準備し, それぞれの水溶液を全部入れるようにさせる 全体的に駒込ピペットの操作に不安がある場合には, はじめから水酸化バリウム水溶液を 1mL~5mL を入れた試験管を準備して, それぞれの水溶液を全部入れるようにしてもよい ( ただし, 使用する試験管の数がかなり多くなること, 準備に大変時間がかかることに問題がなければ ) (2) 薬品をこぼしてしまった ( 試験管を倒してしまった ) < 対処法 > 事前に, 次の 1~4 について十分に確認しておくこと 1 実験中 ( 操作中 ) は必ず保護眼鏡を使用し, 立って行うこと 2 薬品は必ずバットの上に置き, バットの上で操作すること 3 こぼしてしまったら, すぐにぬれた雑巾で拭き取ること 4 衣類や皮膚についてしまった場合は, すぐに多量の水で洗い流すこと 2 経験談からこの実験は, 駒込ピペットの操作が正確にできれば,2 種類の水溶液を混ぜるだけなので簡単かつ短時間で操作が終了します 結果の方も, 沈殿するのに時間がかかるものの,BTB 溶液の色の変化と沈殿量のちがいを確認するだけなので見てすぐわかるという利点があります また, 操作をできるだけ短時間で終わらせることで, 沈殿する時間の確保やイオンのモデルで考える時間の確保が行えます 中和反応はとかく 中性になるときに起こる という誤解を生みやすいのですが, この実験を見ると 中性にならなくても中和反応は起きている ということが視覚的に確認できるので, ぜひ見せてください 参考文献 1) 理科の世界 3 年 教師用指導書 大日本図書