3 検証結果 3.1 ソフトウェアのインストール Red Hat Enterprise Linux 5.7 は最小構成でインストールし 最新バージョンにアップデートした Thirdware Linux-HA を構成するパッケージ (DRBD Heartbeat Pacemaker) は LINBIT

Similar documents
目次 1 はじめに 対象読者 想定するサーバ環境 注意事項 OS 環境の準備 CentOS 6.2 のインストールと初期設定 Thirdware Linux-HA クラスタスタックのインストール...2 RH

CLUSTERPRO MC ProcessSaver 1.0 for Windows 構築ガイド 2012(Sep) NEC Corporation はじめに責任範囲適用範囲概要事前準備クラスタ設定

CLUSTERPRO MC ProcessSaver 2.1 for Windows 構築ガイド 2016(Mar) NEC Corporation はじめに 責任範囲 適用範囲 概要 事前準備 クラスタ設定

Microsoft Word - nvsi_050090jp_oracle10g_vlm.doc

はじめに 本書は Express5800/ft サーバに Red Hat Enterprise Linux 6 Server 及び ft Server Control Software がインストールされており OS がインストールされている内蔵ディス クに空き容量がある場合に 追加でボリュームを作

CLUSTERPRO MC RootDiskMonitor 1.0 for Windows FAQ 集 2013(Mar) NEC Corporation 導入に関する質問 運用に関する質問 動作環境に関する質問

OpenAM 9.5 インストールガイド オープンソース ソリューション テクノロジ ( 株 ) 更新日 : 2013 年 7 月 19 日 リビジョン : 1.8

Microsoft Word - qtsi_120246jp_rhev.doc

Microsoft Word - nvsi_090200jp_r1_nvbsvr_mscs.doc

HAクラスタで PostgreSQLを高可用化 (後編) ~ レプリケーション編 ~

CLUSTERPRO MC StorageSaver 1.1 for Linux リリースメモ 2015(Jun) NEC Corporation ライセンス パッケージのインストール セットアップ マニュアル 補足事項 注意事項

アジェンダ クラスタリングとは 今回の構成 DRBD Zabbix 等の構成ソフトウェア Zabbix2.0 新機能 構築方法 バックアップについて 参考資料 2

CLUSTERPRO MC RootDiskMonitor CLUSTERPRO MC StorageSaver for BootDisk 仮想環境 ( ゲスト OS) での設定手順 (Linux 版 Windows 版 ) 2017(Apr) NEC Corporation 仮想環境 ( ゲスト

Microsoft Word - nvsi_100221jp_vdr_extended_partition.doc

CLUSTERPRO MC RootDiskMonitor 1.1 for Linux リリースメモ 2013(Sep) NEC Corporation ライセンス パッケージのインストール セットアップ マニュアル

はしがき 本書は CLUSTERPRO MC ProcessSaver 1.0 for Linux ( 以後 ProcessSaver と記載します ) と CLUSTERPRO X 3.1 for Linux ( 以後 CLUSTERPRO と記載します ) を組み合わせて フェイルオーバクラスタ

Microsoft Word - nvsi_090203_r1_sanboot_vaultdr.doc

Samba on CLUSTERPRO for Linux HOWTO

改版履歴 版数改版履歴改版年月日 1.0 新規作成 2015/03/31 Page 2 NEC Corporation 2015

CLUSTERPRO MC ProcessSaver 1.2 for Windows 導入ガイド 第 4 版 2014 年 3 月 日本電気株式会社

CLUSTERPRO MC ProcessSaver 2.1 for Linux リリースメモ 2016(Mar) NEC Corporation ライセンス パッケージのインスト ル セットアップ マニュアル 障害発生時の手順 補足事項 注意事項

PowerPoint プレゼンテーション

DHCPサーバのクラスタ化

HULFT8 for Windows/UNIX/Linux/zLinux の機能で発生する不具合について

改版履歴 版数改版履歴改版年月日 1 新規作成 2013/3/29 2 TESTIO_MODE を追加 OVER_ACTION VG_STALL_ACTION の設定値を変更 2013/9/30 3 CLUSTERPRO MC StorageSaver for BootDisk (for Linux

CLUSTERPRO MC ProcessSaver 2.3 for Windows 導入ガイド 第 5 版 2018 年 6 月 日本電気株式会社

目次 1 はじめに 利用ソフトウェア 用語について 本書について SoftLayer 構成 構成図 OS/ ソフトウェア情報 SoftLayer 環境 SoftLayer 設定

CLUSTERPRO MC StorageSaver 2.2 for Linux リリースメモ 2017(Apr) NEC Corporation ライセンス パッケージのインストール セットアップ マニュアル 補足事項 注意事項

Microsoft Word - esm_update_jp.doc

ServerView RAID Manager VMware vSphere ESXi 6 インストールガイド

CLUSTERPRO X 4.0 for FileMaker Server ご紹介資料

Microsoft Word - nvsi_060132jp_datadomain_restoreDRAFT4.doc

CLUSTERPRO MC StorageSaver 2.0 for Windows 導入ガイド 第 1 版 2015 年 3 月 日本電気株式会社

HULFT の通信をよりセキュアに HULFT と SSH Tectia を組み合わせたセキュアで強力なファイル転送 Compatibility Note 2008 年 9 月 株式会社セゾン情報システムズの企業内 企業間通信ミドルウェアである HULFT は ファイル転送のアプリケーションとして

スライド 1

Microsoft Word - TestReport_PRIMEPOWER250_ doc

音声認識サーバのインストールと設定

SIOS Protection Suite for Linux v9.3.2 AWS Direct Connect 接続クイックスタートガイド 2019 年 4 月

CLUSTERPRO MC RootDiskMonitor 2.3 for Linux リリースメモ 2018(Jun) NEC Corporation ライセンス パッケージのインストール セットアップ マニュアル

100123SLES11HA.pptx

改版履歴 版数改版履歴改版年月日 1.0 新規作成 2013/03/ OverAction と DiskStallAction の値変更 (ActionNone ServiceCmdDisable ProcessOfRdmstatKillEnable ServiceCmdEnable)

NFS On CLUSTERPRO for Linux

Hi-Available Mail on CLUSTERPRO for Linux HOWTO

自己紹介 名前 所属 飯田雄介 ( いいだゆうすけ ) 主な活動 Linux-HA Japan プロジェクト Pacemaker 本体の機能改善や 外部ツールの開発を行っています Linux-HA Japan から pm_logconv や pm_crmgen といったツールを提供しています 2

アップデート手順概要

KSforWindowsServerのご紹介

ロードバランサー配下のシボレス IdP 環境設定に関する検証実験 2009 年 12 月 22 日国立情報学研究所学術ネットワーク研究開発センター山地一禎, 中村素典

PowerPoint Presentation

CLUSTERPRO MC RootDiskMonitor 2.3 for Linux HW-RAID 監視機能 リリースメモ 2018(Jun) NEC Corporation ライセンス パッケージのインストール セットアップ マニュアル

Microsoft Word - VPN...[.U.K.C.hLinux doc

CLUSTERPROXSingleServerSafe SingleServerSafe ご紹介 2007 年 10 月

Microsoft Word - nvsi_100222jp_oracle_exadata.doc

<MW-400k > InterSec/MW400k アップデート適用手順書 2017 年 8 月 1 版

Windows Server 2003 Service Pack 適用手順書

ServerView RAID Manager VMware vSphere ESXi 5 インストールガイド

目次 Pacemaker ってなに? Pacemaker の設定とは? Pacemaker のリソース設定 リソース定義 パラメータ設定 リソース種類選択 リソース制約 クラスタ設定 さいごに Linux-HA Japan の紹介 Linux-HA Japan Project 2

Windows Server 2003 Service Pack 適用手順書

CLUSTERPRO MC ProcessSaver 2.2 for Linux 構築ガイド 2017(Oct) NEC Corporation 責任範囲 適用範囲 概要 事前準備 クラスター設定 動作確認

<4D F736F F D20836F E C C6F6E C EE682E888B582A2837D836A B2E646F63>

ServerView RAID Manager VMware vSphere ESXi 5 インストールガイド

手動操作によるパーティション作成方法 4. リストア方法 (3) システム情報の復元 の 3-2) の手順で sfdisk コマンドによるシステムのパーティション情報の復元に失敗する場合は fdisk コマンドにて手動でパーティションを作成してください 作成するパーティションのサイズは バックアップ

BIGLOBEクラウドホスティングAPIリファレンス


スライド 0

CLUSTERPRO MC StorageSaver 1.2 for Linux はじめての StorageSaver (vsphere 対応版 ) 2014(Mar) NEC Corporation はじめに 製品概要 監視の設定と実践 付録 おわりに

Administration of Veritas Cluster Server 6.0 for UNIX の管理練習問題 例題 1. installvcs -installonly が正常に実行されたことが記録されるテキストファイルは次のどれですか (2 つ選択 ) a. インストールログ b.

CLUSTERPRO MC ProcessSaver ApsEdition 1.0 for Linux リリースメモ 2012(Sep) NEC Corporation ライセンス パッケージのインストール セットアップ マニュアル 補足事項 注意事項

クラスタ環境でのデータベースのアップグレード

HP Device Managerご紹介資料

Microsoft Word - nvsi_100220jp_dell_nvfr40.doc

Windows Server 2003 Service Pack 適用手順書

Microsoft PowerPoint - Module_pub_ _v1.02.ppt

DeploymentManager Ver5.1 仮想化ソフトウェア対応状況 管理対象コンピュータの各仮想化ソフトウェア環境上の対応状況について記載しています 2011/4/28

2013年『STSSスキルコミュニティ』 テーマ別Kickoff資料

HPE ProLiant Thin Micro TM200 サーバー Microsoft Windows Server インストール手順

HAクラスタで PostgreSQLを高可用化 (後編) ~ レプリケーション編 ~

SAMBA Stunnel(Mac) 編 1. インストール 1 セキュア SAMBA の URL にアクセスし ログインを行います xxxxx 部分は会社様によって異なります xxxxx 2 Mac OS 版ダウンロー

ActiveImage Protector 2016 R2 for Express5800 / ftサーバ

Red Hat Enterprise Linuxのcron(8)デーモンにデフォルト定義されたtmpwatch命令の動作による、WebOTXのトラブル対処方法

改版履歴 Ver. 日付履歴 1.0 版 2014/5/30 目次 0 はじめに 本文中の記号について Live Migration を設定するための準備 Live Migration の設定 Live Migration の運

CLUSTERPRO/システム構築ガイド

CLUSTERPRO X 3.2 for FileMaker Server 13 ご紹介資料 2015 年 8 月日本電気株式会社クラウドプラットフォーム事業部 CLUSTERPRO グループ ( グローバル プロモーションチーム )

内容環境... 3 対応 OS の変更... 3 関連アプリケーションの追加... 4 機能追加... 5 グラフ機能... 5 稼働率... 8 サービス一括削除 自動復旧エスカレーションコマンド AWS カスタムメトリックス監視 NRPE 任意監視... 11

Microsoft Word - クライアントのインストールと接続設定

2-3- 基 Linux のシステム管理に関する知識 1 独立行政法人情報処理推進機構

Microsoft Word - ssVPN MacOS クライアントマニュアル_120版.doc

CLUSTERPRO MC StorageSaver 2.1 for Linux FAQ 集 2016(Mar) NEC Corporation 導入に関する質問 起動 終了に関する質問 監視に関する質問 障害復旧に関する質問 クラスタに関する質問 動作環境に関する質問

SAMBA Stunnel(Windows) 編 1. インストール 1 セキュア SAMBA の URL にアクセスし ログインを行います xxx 部分は会社様によって異なります xxxxx 2 Windows 版ダウンロード ボ

CLUSTERPRO X OperationHelper 3.2 for Windows Server Failover Cluster 製品ご紹介資料 2017 年 9 月日本電気株式会社クラウドプラットフォーム事業部 CLUSTERPRO グループ ( グローバル プロモーションチーム )

LifeKeeperサポートへの問い合わせ

Linux のインストール

WebSAM System Navigator JNS isadmin SNMP Trap 連携設定手順書 NEC 2012 年 12 月

CLUSTERPRO SSS 動作環境編

Linux のインストール

SRA OSS, Inc. ホワイトペーパー IBM Power Systems (Linux) における PaceMaker/DRBD/PostgreSQL/pgpool-II 動作検証 2011 年 10 月 1 日 SRA OSS,Inc. 日本支社 Copyright 2011SRA OSS

Intel MPI Library Linux


プリンタドライバのインストール. Windows で使用する場合 Windows プリンタドライバのインストール方法は 接続方法や使用するプリンタドライバによって異なります また コンピュータの OS によってインストール方法が異なります お使いのコンピュータの OS に合わせて 以下の参照ページを

Microsoft iSCSI Software Targetを使用したクラスタへの共有ディスク・リソースの提供

Transcription:

Thirdware Linux-HA による HULFT7 のクラスタリング ー RHEL 5.7 でアクティブ スタンバイ クラスタとして動作を確認ー HULFT7 は基幹業務システムで他のコンピュータとの間でデータを連携するために幅広く使われているソフトウェアで 日本におけるデファクト スタンダードの製品となっている アクティブ スタンバイ構成の HA クラスタ構成にも対応しているため Thirdware Linux-HA と組み合わせた動作の検証試験を実施した 1 検証試験の目的 今回の検証試験では 以下の項目についての検証 評価を実施した 1. HA クラスタ環境に対して HULFT7 を正常にインストールして環境設定できること 2. Thirdware Linux-HA によるクラスタ環境で HULFT7 が稼働すること 3. さまざまな障害に対して HULFT7 がフェールオーバし サービスの可用性を維持できること 2 検証試験環境 2.1 機器構成 ソフトウェア構成 今回の検証試験には 以下の仮想マシン環境を使用した ホスト OS: KVM (Red Hat Enterprise Linux 6.1) ゲスト OS: Red Hat Enterprise Linux 5.7 (2 台 ) メインメモリ ( ゲスト OS): 512MB HULFT7 for Linux-EX Ver.07.02.00.A 2.2 ネットワーク構成 Thirdware Linux-HA は アクティブ スタンバイ構成の HA クラスタシステムの場合 次のような 3 つのネットワークインタフェースを用意することを推奨している クライアントなどと通信するためのネットワーク DRBD のデータレプリケーション用ならびにクラスタのハートビート通信用ネットワーク ハートビート通信用ネットワーク この原則を踏まえて 2 台のゲスト OS と 3 つの仮想ネットワークを用意して 下図のようなネットワーク構成を用意して 検証を実施した 1

3 検証結果 3.1 ソフトウェアのインストール Red Hat Enterprise Linux 5.7 は最小構成でインストールし 最新バージョンにアップデートした Thirdware Linux-HA を構成するパッケージ (DRBD Heartbeat Pacemaker) は LINBIT 社の認定バイナリをダウンロードしてインストールした 各ソフトウェアのバージョンは以下のとおり DRBD 8.3.12 Heartbeat 3.0.5 Pacemaker 1.0.11 Resource Agents 1.0.4 HA クラスタとして動作させるためのディスク設定など ( 後述 ) を実施した後 セゾン情報システムから支給された HULFT7 for Linux-EX をインストールした インストールは HULFT7 UNIX/Linux 導入マニュアル の説明のとおりに実施した ただし HULFT 実行モジュール格納ディレクトリ (HULEXEP) はデフォルト値のままを指定したが HA クラスタ環境へのインストールであるため HULFT 環境設定ファイル格納ディレクトリ (HULPATH) については DRBD で冗長化した共有ディスク領域 (/h/hulft) を指定した 3.2 Thirdware Linux-HA による共有ディスクの取り扱い Thirdware Linux-HA に含まれる DRBD は 2 台のクラスタ構成ノードのディスク領域をネットワーク越しにリアルタイムで同期させることによって 外付け共有ディスク装置と同等に取り扱える共有ディスク領域を実現する 同一データが 2 台のクラスタ構成ノードのディスクに同時に書き込まれるため ハードディスクのクラッシュなどの障害でデータを喪失するリスクが極めて低くなる このような DRBD のメリットを実現するため ゲスト OS (RHEL 65.7) をインストールするときに 8GB 用意した仮想ディスクを次のようなパーティションに分割した (fdisk -l コマンド出力結果 ) [root@hulft1 bin]# fdisk -l Disk /dev/vda: 8388 MB, 8388608000 bytes 255 heads, 63 sectors/track, 1019 cylinders Units = シリンダ数 of 16065 * 512 = 8225280 bytes デバイス Boot Start End Blocks Id System /dev/vda1 * 1 14 112423+ 83 Linux /dev/vda2 15 525 4104607+ 83 Linux /dev/vda3 526 590 522112+ 82 Linux swap / Solaris /dev/vda4 591 1019 3445942+ 83 Linux /dev/vda1 は /boot に /dev/vda2 はルート (/) にマウントし 2 台の /dev/vda4 同士を DRBD で冗長化するように設定した DRBD によるレプリケーションの初期化が完了した後 このレプリケーション領域はアクティブノード側で /h 2

ディレクトリにマウントして利用することとした 3.3 HA クラスタ設定 Thirdware Linux-HA では Heartbeat および Pacemaker を使って HA クラスタを構成する HULFT7 の場合 クラスタ設定手順は以下のようなステップで構成される 1. Heartbeat の動作パラメータを設定する これは 2 台のクラスタ構成ノードでまったく同一でなければならない 2. Heartbeat を起動して 初期状態のクラスタを起動する この時点では HULFT7 を含めて 一切のクラスタリソースは動作していない 3. DRBD を 両方のノードで動作してアクティブノード側ではプライマリ スタンバイノード側ではセカンダリとして動作するリソース として定義する プライマリ側では DRBD を経由してディスクにデータを書き込めるば セカンダリ側 DRBD はプライマリ DRBD から受け取ったデータをディスクに書き込むだけの役割として動作する この役割分担により 同時書き込みアクセスによるファイルシステム破壊を防止できる DRBD の管理には 開発元 LINBIT 社が提供している drbd リソースエージェントがそのまま利用できる 4. HULFT7 がサービスを提供するための仮想 IP アドレス HULFT 環境設定ファイル格納ディレクトリ (HULPATH) にアクセスするための DRBD レプリケーション領域のマウント そして HULFT7 デーモン (hulsndd hulrcvd hulobsd) をリソースとして定義する 仮想 IP アドレスの管理には IPaddr2 マウントの管理には Filesystem という Resource Agent に含まれるプログラムがそのまま利用できる HULFT7 の管理には別途スクリプトが必要になるため hulft という名前のスクリプトを作成して利用した 5. DRBD プライマリ側で HULFT7 が動作するよう リソースの依存関係を正しく定義する 3.3.1 hulft スクリプト hulft スクリプトは Red Hat Enterprise Linux に含まれている各種サービスの起動スクリプト (/etc/rc.d/init.d ディレクトリ内に置かれているスクリプト群 ) に類似したスクリプトで 以下のように動作する start を指定して実行すると HULFT7 を構成するデーモン (hulsndd hulrcvd hulobsd) を起動する stop を指定して実行すると HULFT7 の実行を終了する status を指定して実行すると HULFT の動作状態をメッセージならびにリターンコードで報告する 実行中ならばリターンコードは 0 停止中なら 3 となる 構築した HA クラスタシステムのクラスタ制御の設定は以下のようになった ( オプションパラメータなどは省略 ) primitive res_drbd_r0 ocf:linbit:drbd \ params drbd_resource="r0" primitive res_hulft lsb:hulft primitive res_ip ocf:heartbeat:ipaddr2 \ params ip="<ip アドレス >" cidr_netmask="< ネットマスク >" \ primitive res_mount ocf:heartbeat:filesystem \ params device="/dev/drbd0" fstype="ext3" directory="/h" options="noatime" group hulft res_mount res_ip res_hulft ms ms_drbd_r0 res_drbd_r0 \ 3

meta master-max="1" master-node-max="1" clone-max="2" clone-node-max="1" \ notify="true" colocation c_hulft inf: hulft ms_drbd_r0:master order o_hulft inf: ms_drbd_r0:promote hulft:start property default-resource-stickiness="200" \ no-quorum-policy="ignore" \ stonith-enabled="false" 3.4 HA クラスタの動作確認 3.4.1 クラスタ開始時の動作 クラスタを構成する 2 台のノードをともに停止状態から起動すると 約 2 分後にクラスタ 1 号機 (hulft1) がアクティブな状態になり HULFT7 サービスが利用可能になった DRBD に関しては 1 号機ではプライマリ状態 2 号機 (hulft1) ではセカンダリ状態になり アクティブ側の HULFT7 がディスクに書き込んだ情報はリアルタイムに 2 号機にもレプリケートされていることを確認した Pacemaker に付属のクラスタ動作状況確認コマンド (crm_mon) の出力は次のようになった Online: [ hulft2 hulft1 ] Resource Group: hulft res_mount (ocf::heartbeat:filesystem): Started hulft1 res_ip (ocf::heartbeat:ipaddr2): Started hulft1 res_hulft (lsb:hulft): Started hulft1 Master/Slave Set: ms_drbd_r0 Masters: [ hulft1 ] Slaves: [ hulft2 ] この出力は以下のように解釈できる クラスタは hulft1 と hulft2 の 2 台のサーバで構成され 両方がオンライン状態にある DRBD は正常に動作していて hulft1 がマスター hulft2 はスレーブ状態になっている マスター側には HULFT7 が状態などのデータを書き込めるが スレーブ側はそれを忠実にリアルタイムにレプリケートしている hulft1 上で HULFT7 が動作している 3.4.2 手動操作によるリソース移動 ( スイッチオーバ ) クラスタ構成ノードのメンテナンスのために アクティブノードを移動させることがある Thirdware Linux-HA では migrate ( または move) コマンドでこのようなスイッチオーバを管理できる HULFT7 を hulft1 と hulft2 の間で何度か移動させ 正常に動作することを確認した スイッチオーバ後 crm_mon コマンドの出力は以下のように変化した 4

Online: [ hulft2 hulft1 ] Resource Group: hulft res_mount (ocf::heartbeat:filesystem): Started hulft2 res_ip (ocf::heartbeat:ipaddr2): Started hulft2 res_hulft (lsb:hulft): Started hulft2 Master/Slave Set: ms_drbd_r0 Masters: [ hulft2 ] Slaves: [ hulft1 ] 初期状態と比較するとホスト名が入れ替わっていることが確認できる すなわち HULFT7 は hulft2 上で動作していることがわかる 3.4.3 アクティブノード側クラスタを停止したときの動作 アクティブノード側 (hulft1) の Heartbeat をコマンドによって終了させると 2 号機 (hulft2) がアクティブ状態に遷移し HULFT7 のサービスは 2 号機で継続された このときの切り替えに要する時間は約 10 秒であった DRBD に関しては 当初は hultft1 がプライマリであったが hulft2 がアクティブに遷移するのに伴って hulft2 がプライマリになり 共有ディスクへのアクセスが正常に切り替わることが確認できた hulft1 を停止したときの crm_mon の出力を下記に示す Online: [ hulft2.3ware.co.jp ] OFFLINE: [ hulft1.3ware.co.jp ] Resource Group: hulft res_mount (ocf::heartbeat:filesystem): Started hulft2.3ware.co.jp res_ip (ocf::heartbeat:ipaddr2): Started hulft2.3ware.co.jp res_hulft (lsb:hulft): Started hulft2.3ware.co.jp Master/Slave Set: ms_drbd_r0 Masters: [ hulft2.3ware.co.jp ] Stopped: [ res_drbd_r0:1 ] 3.4.4 アクティブノード障害時の動作 アクティブ状態の hulft1 に対して仮想マシンマネージャーから 電源オフを強制 を実行して電源障害をシミュレートした 約 30 秒後に Linux-HA クラスタは障害を検出し hulft2 にすべてのリソースがフェールオーバし 約 40 秒のダウンタイムでサービスが継続できることが確認できた なお 何も起こらない 30 秒という時間は Heartbeat のデフォルト設定値である パケットロスや高負荷などによってハートビート信号が欠落したことによって誤ってノード障害と判断してしまう フォールス ポジティブ ( 誤検知 ) を避けるための安全側に振った推奨値とされている ネットワーク品質が高く負荷も高くない環境では 小さい値を指定してダウンタイムをさらに短縮できる可能性がある 実際に 10 秒に設定したところ アクティブノードダウン後約 10 秒でフェールオーバが開始した 5

3.4.5 サービスダウン時の動作 正常運用時の HULFT7 関連デーモンの動作状態は次のようになっている [root@hulft1]# ps ax grep hul 18680? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulsndd 18686? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulrcvd 18692? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulobsd 18694? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulobsd 操作ミスその他の偶発的な理由でいくつかのデーモンが終了してしまった場合 再起動を試みて成功した場合にはそのまま運用を続けるという立場がある このような運用が可能か 検証を行った 動作中のデーモンを kill コマンドで強制終了させる試験をさまざまなパターンで実施した その結果 クラスタは異常を検出し HULFT7 を再起動した 再起動後の状況は たとえば以下のようになる [root@hulft1]# ps ax grep hul 23405? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulsndd 23411? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulrcvd 23417? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulobsd 23419? S 0:00 /usr/local/hulft/bin/hulobsd 左端の数字 ( プロセス ID) が変化しているが これはクラスタが HULFT7 を再起動したことを表している なお 1 回でもデーモンが異常終了したらフェールオーバさせたいという運用ポリシーを立てることもありえる このような場合には リソース定義に migration-threshold=1 というオプションパラメータを追加すればよい 実際に このパラメータを指定した場合には どれかのデーモンの異常終了によってフェールオーバが起きることも確認した 4 結論 Thirdware Linux-HA 環境で HULFT7 の運用の可能性を検証した その結果 Linux-HA クラスタは HULFT7 を HA クラスタとして正しく運用できることが確認できた 具体的に得られた知見は以下のとおりである 1. あらかじめ DRBD などの Thirdware Linux-HA 用の設定を行っておけば HULFT7 に付属するインストールマニュアルの手順に従って HULFT7 をインストールできることが確認できた 2. DRBD によるリアルタイムレプリケーション環境に HULFT 環境設定ファイル格納ディレクトリ (HULPATH) を置いて HULFT7 が正常に動作することを確認できた 3. 手動操作によって HULFT7 を他のノードに移動できることを確認した 4. アクティブノードのハードウェア障害によってフェールオーバが生じることを確認できた また 障害発生からフェールオーバ開始までの時間をパラメータによって調整できることを確認できた 5. 偶発的なデーモンの異常終了に対して 再起動を試みる動作モードとただちにフェールオーバを生じる動作モードが選べること いずれも設定のとおりに動作することを確認できた 6