総務省 ICTスキル総合習得教材 概要版 eラーニング用 [ コース2] データ蓄積 2-2: クラウドのサービスモデル 実装モデル [ コース1] データ収集 [ コース2] データ蓄積 [ コース3] データ分析 [ コース4] データ利活用 1 2 3 4 5
座学本講座の学習内容 (2-2: クラウドのサービスモデル 実装モデル ) 講座概要 クラウドの利用には 2 種類の分類があることを紹介します クラウドサービスの利用者とクラウド事業者の役割分担としての サービスモデル を説明します クラウドサービスの利用機会の開かれ方としての 実装モデル を説明します 講座構成 学習のゴール [1] クラウドに関する分類 [3] クラウドの実装モデルの分類 クラウドに関する 2 種類の分類を把握する クラウドに関する サービスモデル の分類基準とその事例を理解する クラウドに関する 実装モデル の分類基準とその事例を理解する
クラウドの利用形態と分類 様々な利用形態があることが クラウドの定義が不明瞭な原因の一つとなっています 講座 2-1 では クラウドの定義が不明瞭になっていることを示しました その理由の一つとして 講座 2-1 に示したように クラウド が脚光を浴びたため バズワードとして使われたことが挙げられます [1] クラウドに関する分類 クラウド の定義が不明瞭になっている理由の一つとして クラウド には様々な利用形態があり 簡潔で明瞭な定義が困難であることが挙げられます クラウド と言った場合に 組織が利用する仮想サーバの貸し出しを思い浮かべる人もいれば 個人が利用するウェブメールやデータ保存サービスを思い浮かべる人もいます NIST( 米国国立標準技術研究所 ) は 2009 年の資料において クラウドを明確に定義せず 必須の 5 つの特徴 を挙げるに留まりました 講座 2-1 で示したように 5 つの特徴のうちの 1 つには 仮想化技術等による スピーディーな拡張性 が示されています 同じ NIST の資料内には クラウドの利用形態に関して 2 種類のモデルでの分類が示されています NIST が公開した 2 種類のクラウドの分類 モデル名分類の基準区分 サービスモデル (service model) 実装モデル (Deployment model) クラウドサービスの構築 カスタマイズに関する役割分担による分類 クラウドサービスの利用機会の開かれ方による分類 クラウド事業者に任せる範囲 と 利用者が管理 構築する範囲 による区分 利用機会の公開の程度 公開状態の組み合わせによる区分 この講座では 2 種類のクラウドの分類に合わせて 各モデル内のクラウドの利用事例を説明します
NIST が示した 3 種のサービスモデル クラウドサービスのサービスモデルは クラウドサービスの構築 カスタマイズに関する役割分担 によって3つに分類されます サービスモデルは クラウド事業者に任せる範囲と利用者が管理 構築する範囲 によって IaaS PaaS SaaS の 3 種に分類されます 1. IaaS(Infrastructure as a Service: サービスとして提供されるインフラストラクチャー ) 2. PaaS (Platform as a Service: サービスとして提供されるプラットフォーム ) 3. SaaS (Software as a Service: サービスとして提供されるソフトウェア ) インフラストラクチャー は 基盤 や 下支えするもの を指し クラウドサービスにおいては仮想サーバを指しています プラットフォームは 個別の作業をする を導入する土台となる基本ソフトウェアで を含みます 保有機器 保有機器および各クラウドのサービスモデルの 構築 管理範囲 イアース または アイアース IaaS パース PaaS サース SaaS 凡例 ユーザーが構築 管理 クラウド事業者が構築 管理 各サービスモデルの主な利用者として IaaS は IT 技術者 PaaS は開発者 実装者 SaaS は一般ユーザーとなっています 利用開始時に IaaS では仮想サーバの提供を受けるのみですが SaaS ではソフトウェアをすぐに利用できます
IaaS/PaaS 型の有力なクラウドサービス IaaS/PaaS の型の有力なクラウドサービスとして AWS Azure GCP が挙げられます AWS は Amazon Web Service の略で Amazon 社が提供 Azure( アジュール ) は Microsoft 社提供 GCP は Google Cloud Platform の略で Google 社が提供しています これらは三大クラウドプラットフォームと呼ばれることもあります クラウドプラットフォームでは 様々なクラウドサービスを構築 運営することができます AWS のサービスメニューには IaaS PaaS に対応するものがあります 3 大クラウドプラットフォームと呼ばれる有力な IaaS/PaaS 型サービス Amazon Web Services は 米国その他の諸国における Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です Microsoft は 米国 Microsoft Corporation およびその関連会社の商標です 2015 Google Inc. All rights reserved. Google Cloud Platform は Google Inc. の商標です これらのクラウドサービスでは 簡単な操作で仮想サーバを構築できます 最も安い仮想サーバは 1 時間当たりの数円の利用料です Salesforce 社が提供する PaaS 型クラウドサービスの Force.com では 営業支援や経理といった業務用を開発 運営しやすい環境があらかじめ構築されています の構築には 会計年度 営業時間 など業務支援に適した変数が あらかじめ用意されています
SaaS の説明とサービス事例 SaaS 型のクラウドサービスの例として 電子メールサービスやファイル共有サービスが挙げられます SaaS 型クラウドサービスでは インターネットを経由してソフトウェアをサービスとして利用できます SaaS では ユーザーによるソフトウェアの更新 ( アップデート ) 作業の必要はありません SaaS 型クラウドサービスにおけるソフトウェアは 一般ユーザーがプログラミング不要で利用できるものとなっています SaaS は 仮想サーバの構築作業やプログラミング不要で利用できる反面 設定の自由度は IaaS や PaaS に比べて低くなっています 代表的なSaaS 型クラウドサービスとして Gmailなどの電子メールサービス dropboxなどのファイル共有サービスが挙げられます Gmail の利用画面 2015 Google Inc, used with permission クラウドの仮想化技術の進展によって 巨大な保存容量を安価に利用できるようになりました
NIST が示した 4 種の実装モデル 実装モデル利用権限がある者サービスの提供者 プライベートクラウド (Private cloud) コミュニティクラウド (Community cloud) 同一組織内の部門や個人 業界団体や特定のコミュニティ ( 共同体 ) に属する組織 [3] クラウドの実装モデル クラウドサービスの実装モデルは クラウドサービスの利用機会の開かれ方 によって4 種に分類されます パブリッククラウド (Public cloud) ハイブリッドクラウド (Hybrid cloud) クラウドサービスの実装モデルの分類 登録すれば 誰でも利用可能 その組織自体 またはクラウドの運営を委託された外部組織 コミュニティの構成組織 またはクラウドの運営を委託された外部組織 クラウドサービスを公に提供しているクラウド事業者 ハイブリッドクラウドは 上記 3 種のクラウドの実装モデルの組み合わせであるため クラウド内の仮想サーバやディレクトリ ( フォルダ ) やデータ種によって異なる プライベートクラウドは 物理サーバを運営組織内に設置するケースもあれば 組織外に設置するケースもあります 運営組織内にサーバを設置することをオンプレミスと言いますが スケーラビリティ等の条件を満たせば オンプレミス型プライベートクラウドとなります AWS や Gmail は 登録すれば誰でも使えるパブリッククラウドです パブリッククラウドは 利用機会が開かれていることを意味し パブリッククラウドで取り扱うデータが公開されることを意味しません ハイブリッドクラウドは 複数のクラウドの実装モデルを適材適所に組み合わせる形態です より機密性の高いデータはプライベートクラウド内で保管し それ以外の業務システムはパブリッククラウド内に保管する組み合わせが考えられます