Application er s Manual Note Keysight Insert the Title in this Space 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント
02 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント はじめにキーサイトが誇る強力信号解析ツール 89600B VSA ソフトウェアは単に復調機能のあるスペアナとしてのみご使用いただくにはもったいない無線信号の解析に便利な測定機能が数多く含まれています また 昨年 89601A から 89601B にアップグレードしたことにより さらに使いやすく進化しています 本アプリケーション ノートでは最新の 89600 VSA の機能を使った測定手法をご紹介します 1. スペクトログラム 累積確率表示 89600 VSA にはパワー変動をカラーで表すスペクトログラム表示 累積確率表示が搭載されております スペクトラム表示をいくつか表示させておき それぞれ通常のスペクトラム スペクトログラム 累積確率表示と違う状態で表示することが可能です 累積確率表示上のマーカを Fixed に変更するとトレース上のどこにでもマーカを置くことができ 累積確率をパーセントで表示します ( 図 1-1) 図 1-1: 累積確率表示上の Fixed Marker による確率表示 図 1-2: スペクトログラムとマーカの連動 また スペクトログラム上のマーカを時間軸 ( 縦軸 ) 方向に移動すると他のスペクトラム表示のトレースは連動して動きます
03 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 2. 再生速度の変更 Meas Setup, Time タブの Max Overlap 設定を変えることにより 再生速度を変更することが可能です 0%~99.99% まで設定可能で Overlap の値が大きいほど速度は遅くなります こちらの機能により瞬時的なイベントも容易に観測することが可能です 3.Playback Trigger レコーディング波形の中で信号が観測される頻度が低い場合 通常の Free Run で観測すると待ち時間が長くなってしまいます そのような時 Playback Trigger を使うと 信号波形のみの再生が可能です Hardware にかける Trigger と同様に信号レベル Delay, Hold Off の設定が可能です 図 3:Playback Trigger タブ 図 2:Time タブ
04 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 4.Gate 機能バーストの中の特定の部分を解析する Time Gate はご存じの方も多いかと思いますが スペクトログラムとは別の意味で スペクトラム対時間の解析が行えるツールです Time Gate が優れているのは位置と解析する長さを変更できる事です 図 4-1 図 4-2 はスマートメータ用の規格で使われる 802.15.4g の FSK 信号に Time Gate をかけています 先頭の部分は 01 の繰り返しが続くので線スペクトラムが出ています ( 図 4-1) Time Gate を移動していくと図 4-2 のような波形となっています こちら部分は相手先のアドレス部分なのですが XXXX00000001 の様に 0 が連続する部分があるのでこのようになります 5. 選択ツール - 拡大 バンドパワーツールバーにある Select Area ツールを選択し スペクトラム波形を選択すると Scale X & Y Frequency Span Band Power Maker などを選択できるメニューが表示されます ( 図 5-1) Scale X & Y を選択するとその部分のみ拡大表示ができます Band Power を選択すると選択した部分の積算パワーが表示されます 同じ動作を Time トレースや EVM vs Time, EVM vs Spectrum などのトレースで実行すると選択した部分のみの平均値を計算します ( 図 5-2) 図 5-1: 選択ツールメニュー 図 4-1:802.15.4g 先頭部の Gate 波形 図 4-2:802.15.4g 相手アドレス部 Gate 波形 図 5-2: バンドパワーマーカ 6. フォントの拡大 Utilities, Display Preference 設定では様々な表示上の設定を変更できます ( 図 6-1) 中でも Font の設定で文字を太字にしたり拡大したりするとディスプレイが小さいときや資料に画像を用いる際などに便利です ( 図 6-2) 元に戻すには File, Preset, Display Preference を選択します
05 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 図 6-2:Font の拡大表示 図 6-1:Display Preference 設定タブ 7. カップルマーカ Trace, Couple markers をオンにすると 各トレースのマーカが連動します ( 図 7) 例えばある周波数における EVM の値を確認したり ある時間軸のデータと EVM との関連を確認したりすることができます 結合 結合 図 7: カップルマーカによるマーカ間の結合
06 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 8.Sync Search と Search Offset (Opt.AYA) デジタル変調において変調精度を求める場合 プリアンブル部分のように受信機の ALC の調整やタイミング 周波数同期を行う部分以外で計算する事が求められたりしますし 逆に立ち上がり部分だけを解析する事が求められたりということもあります 図 8-1 はスマートメータ用の規格で使われる 802.15.4g の FSK 信号です 図 8-3:Digital Demod の Sync Search 今回は 802.15.4g の FSK 信号の SFD( フレーム開始位置 ) 部分に同期させます 規格上 32bit 以上のプリアンブルパターンの後に SFD が現れるので Search Offset = 32 を設定しています 図 8-3 の Demod Bit トレースで確認すると 32bit のプリアンブル (01 の繰り返し ) の後に設定した SFD がハイライトされている事が確認できます Search Offset の値としては負の値も入れられます -32 と入力した場合 同期に用いたパターンの先頭から 32bit 後のデータからの解析となります 図 8-1:802.15.4g FSK 信号 ここでは 1000 bit で FSK エラーを測定する事にします バースト自体は 2000bit ほどの長さがありますが どの 1000bit を測定するかを決めるのが Sync Search になります Digital Demod Properties, Search タブの Constellation Sync Search にチェックを入れます ( 図 8-2) 9. ダイナミックヘルプ Help, Dynamic Help を開き トレースやメニューをクリックすると関連する説明が表示されます 図 9 では Error Vector Time のトレースをクリックしています それにより EVM の計算方法や選択できるフォーマットについての説明が表示されています 図 9: ダイナミックヘルプ 図 8-2:Digital Demod Properties タブ 10. キャプチャ & プレイバック 89600 VSA と信号発生器を接続していればアナライザで Recording したファイルを ARB 波形で信号発生器から出力することが可能です 例えば問題のある送信機からの出力をアナライザでキャプチャし その信号を信号発生器から再現し受信機のテストすることが可能です
07 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 11.Waveform 波形への変換 89600 VSA は Mat-file Txt, CSV 形式などで保存されている IQ データを再生することが可能です これを応用し これらの形式で保存されている IQ データを一度 89600 VSA で Recall した後 16bit の bin ファイル形式で保存しなおせば信号発生器で再生できる Waveform ファイルに変換することができます 12. トレースの重ね合わせ Trace タブの右上の波形のアイコンをクリックするとトレースを重ねて表示することが可能です 図 12-1 では I-eye と Q-eye を重ねて表示しています 図 12-2 では 2 チャネルで取得した RF 信号それぞれのスペクトラムなどを重ねて表示することにより タイミングやレベルなどの比較をしています Preamble も 32bit ではなくて 128chip になるので それを Search Offset に設定します 図 13-1:Sync Search 設定タブ しかしながら このままでは正しいビットを設定しているのに Sync Not Found と表示され 同期ができません ( 図 13-2) Sync Not Found の表示 図 12-1:I-eye と Q-eye の重ね合わせ 図 13-2:Zigbee 同期 - Sync Not Found 図 12-2: 2ch RF 信号の Trace 重ね合わせ 13. コンスタレーション定義の変更 (Opt.AYA) ヒント 8 の Sync Search と関連している内容ですが ZigBee のような QPSK の場合に 89600 VSA はどのようにして I/Q の軸を決定しているのでしょうか? これが決まらなければ デコードされたビットに戻すことができませんので ビットでの同期はとれる保証がありません 実は Constellation Sync Search を使っていない場合 この I/Q 軸はアナライザが最初にロックした軸で ビットもその時の軸で復号しただけとなっています Constellation Sync Search を有効にすると QPSK の場合は 4 種類ある軸の選択をすべて試しますし 同期した場合は正しい I/Q 軸なので復号されたビットが正しくなります 一例として ZigBee の 2450MHz の場合 拡散が入りますので SFD は 32chip となります これは ZigBee OQPSK 標準と 89600 VSA の OQPSK のマッピングが異なっていることが原因です このため Sync Search を使って正しい Sync Pattern を設定したにも関わらず Sync Not Found エラーになってしまうのです Zigbee 標準にマッピングを合わせるには下記のファイルを編集します C:\Program Files\Keysight\89600 Software <version>\89600 VSA Software\Data\Default.csd 編集前!#!# State definitions for Offset QPSK!#! "S_OQPSK_1","01", 00"! "S_OQPSK_2", 11","10" 編集後!#!# State definitions for Offset QPSK!#! "S_OQPSK_1","01","11"! "S_OQPSK_2","00","10" このように設定することにより 同期ができるようになります この設定は再起動後も反映されます
08 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 図 13-3:Zigbee 信号の同期 14.EYE Pattern の長さの変更 (Opt. AYA) Eye Pattern の長さの初期設定は 2 ですが Trace, Digital Demod タブの Eye Length で長さの変更が可能です 15.Mirror Frequency MeasSetup, Demod Properties, Compensate tab もしくは Advanced Tab の Mirror Frequency にチェックを入れると ダウンコンバータなどの周波数変換デバイスを通過し 中心周波数に対して反転された信号を正しく復調することが可能になります こちらの機能ではスペクトラム表示自体は反転されません スペクトラム表示自体を中心周波数に対して反転させる場合には Frequency タブの Mirror Frequency にチェックを入れます 16.Show All Frequency Points 通常 表示されるスペクトラムはエイリアス保護されたデータのみが表示されます Display Preference, Trace タブの Show All Frequency Points を On にするとハードウェア最少 最大の周波数レンジを含む全ての周波数ポイントデータが表示されます 図 14:Eye Length 2 10
09 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 18.X 軸の Log Scale Trace, Format で Lox X-scale にチェックをすると X 軸が Log 表示となります Phase Noise を測定するときなどに便利です 図 18:X 軸の Log Scale 19. 複数の測定器への接続 89601B のバージョン 15 から複数の測定器への接続が可能になりました 図 19-1 のように 例えばオシロスコープとスペクトラム アナライザ 2 つを接続し それぞれの測定器で取り込んだ信号を同時に表示することが可能です 図 16:All Frequency Points Off On 17.SCPI コントロール一般的な測定器と同様 SCPI コントロールに対応しておりますので様々なプログラム言語でリモート PC から自動制御用プログラムを簡単に組むことが可能です 周波数設定 マーカ設定などの基本設定の多くのコマンドは掃引型のスペクトラム アナライザのモードで使用されるコマンドと同じとなっています 図 19-1: オシロスコープとシグナル アナライザを用いたノイズ解析測定系 図 17:SCPI コントロール
10 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 図 19-2: オシロスコープ スペクトラム アナライザ信号の同時表示 図 19-2 の上 2 つのトレースはスペクトラム アナライザで取得したスペクトラム波形 下 2 つのトレースはオシロスコープで取得した時間波形になります ノイズが発生するときに近傍チャネルで数十 khz の信号が発生していることが確認できています このときヒント 2 に記載されている再生速度の変更機能が役立っています 再生速度を遅くすることにより信号の挙動の確認が容易です 20.Multi Measurement 89601B のバージョン 15 から複数の復調解析を同時に行うことが可能になりました 図 20 では帯域内にある GSM, W-CDMA, LTE の信号を同時に復調解析しています こちらの画像ではヒント 12 に記載したトレースの重ね合わせが用いられており それぞれの信号のスペクトラムとコンスタレーションが重ねて表示されています
11 Keysight 89600B VSA ソフトウェア使いこなし 20 のヒント 図 20:GSM, W-CDMA, LTE の同時復調解析
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