必要な時だけ目覚める無線通信ネットワーク技術 ~ 無駄な消費電力を削減します ~ 家庭やオフィスにある多くの無線 LAN アクセスポイント等の無線通信機器は 使わない時も つけっぱなし になっており 無駄に電力を消費しています 使わない時に スリープ させておくことができれば 消費電力を大幅に抑えることができます ATR では ユーザが使いたい時に即座に起動できるオンデマンド起動型無線 LAN アクセスポイント用のウェイクアップ機を開発しています 使っていないと自動的にスリープ状態になり 使う時に端末から起動できます ウェイクアップ機により 10mW 以下の消費電力で受け可能です 消費電力を平均で 75% 削減できます 通信機器メーカと連携して ウェイクアップ機を備えた無線 LAN アクセスポイントを実用化します 無線 LAN 以外の機器へも応用していきます スリープの対象範囲 ユーザが使いたい時に 使いたい場所で 無線通信を可能にします LAN 電源 ホスト CPU システム 起動 無線 LAN 切り替え ウェイクアップ器 オンデマンド無線通信装置 高速な通信が可能だが 消費電力は大きい 使い分けることで 無駄を削減! 通信の無駄を省くことで 消費電力が極めて小さい 連携! 協力! CO2 削減目標無線通信機器のCO2 排出量を 2020 年に 年間 110 万トン削減 家庭の使っていない無線通信機器の " つけっぱなし " をなくします オフィスでも無線通信機器が連携することで " 無駄づかい " をなくします 必要な時にだけ目覚める無線通信ネットワーク 本研究開発は総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度 (SCOPE) により実施したものです 本研究開発はNEC 通信システム 千葉大学 九州工業大学 関西大学と共同で実施したものです
無線 LAN フレーム長を用いた伝送 ~ ソフトウェアをインストールするだけでオンデマンド起動に対応します ~ 無線 LAN アクセスポイント (AP) のオンデマンド起動を実現するには 低い消費電力で端末からの起動信号を受けるウェイクアップ機が必要です ATR は 無線 LAN フレームの長さを用いて伝送される起動信号を検出できるウェイクアップ機を開発しました これにより スマートフォンなどの既存の子機端末に特別なハードウェアを追加する必要は無く ソフトウェアをインストールするだけで AP のオンデマンド起動が可能になります アクセスポイントの ESSID を圧縮して起動用のウェイクアップ ID とします 端末は 無線 LAN フレームの 長さ を調節して ウェイクアップ ID を送ります ウェイクアップ機は 包絡線検波により無線 LAN フレームの長さを検出します 長さ から検出した ID が自 AP のウェイクアップ ID と一致した場合は AP が起動します 他の端末からの無線 LAN フレームが混在しても ウェイクアップが可能です ESSID:atr_ap1 ID 生成 ウェイクアップ ID: 1011101011111 マップ 3µs 2µs 5µs 端末 5µs 2µs 3µs 無線 LAN フレーム ( ブロードキャスト ) アクセスポイント ESSID:atr_ap1 検出フレーム長 : 3µs 2µs 5µs マッチ? 起動 3µs 2µs 5µs マップ 101110101111 ( ウェイクアップID) 伝送方法の概略 他の端末からの割り込み 5µs 250µs 2µs 3µs 3µs 3µs 2µs 2µs 250µs 5µs 5µs マッチ マッチング処理方法の概略 m フレーム以上 ID マッチング処理
ウェイクアップ機の Duty-Cycling による省電力化 ~ ウェイクアップ機自身の省電力化をはかります ~ ウェイクアップ機に 周期的に動作 / 休止する間欠動作 (Duty Cycling) をさせることで ウェイクアップ機の更なる省電力化をはかります 無線チャネルに信号がない場合には OFF の時間を長くし 信号がある場合には OFF の時間を短くしをいつでもできるように受けます ウェイクアップ機の動作 / 休止を繰り返して ウェイクアップ ID 受け時の消費電力を削減します 無線チャネルに信号がない場合には OFF の時間を長くすることで ウェイクアップ機の無駄な稼動を抑制します 省電力方式処理概要 稼働率 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 1ms(random) 5ms(random) 10ms(random) 1ms(trace data) 5ms(trace data) 10ms(trace data) 0.0 0. 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 ビジー率 シミュレーションとの削減効果比較 Duty-Cycling 動作中のウェイクアップ率の向上ための検討ウェイクアップ機の試作機による消費電力削減効果の検証 稼働率 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 PSU(Portland State University) CS Department PSU (Portland State University) Cafeteria coffee shop in Portland large outdoor area in downtown Portland PSU (Portland State University) Library hop at a bookstore in Portland Average 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 t off [ms] 実環境のデータを用いた削減効果のシミュレーション結果
高信頼送信 ~ ウェイクアップ ID の検出率を向上させます ~ ウェイクアップ ID は複数の無線 LAN 信号のフレーム長へ変調して送信されます バックグラウンド無線 LAN 通信の信号による干渉により ウェイクアップ ID の誤検知率が増加します また 無線 LAN 信号は長くなるにつれ そのフレーム長の検知率が低くなるため 誤検知率が増加します バックグラウンド無線 LAN 通信の信号による干渉を抑えながら ウェイクアップIDの検知率を向上させます ウェイクアップIDを構成する無線 LANフレームを連送させることで 干渉信号が割り込まないようにします 一連の無線 LANフレームの包絡線を等価 IDとして再解釈し 部分相関によって包絡線検波の誤り率を抑えながら 等価 IDのマッチングを行います 01 11 10 フレーム長のコンステレーション FL0=48us FL1=52us FL3=56us FL2=60us 01 11 10 等価ビットマッピング BS0=111111111111 BS1=1111111111111 BS3=11111111111111 BS2=111111111111111 ウェイクアップ ID の送信信号 ウェイクアップID 10, 01,, 11 FL2/BS2 FL1/BS1 FL0/BS0 FL3/BS3 SIFS SIFS SIFS WLAN Frame 1 WLAN Frame 2 WLAN frame 3 WLAN frame 4 Error ID 誤検知率 rate 10 0 10-2 10-4 10-6 10-8 信号 (r={r k }) 等価 ID E={E k } 0 1 1 1 1 1 1 1 0 相関窓 W={W k } IndCorr IndCorr (SyncErr) DirCorr PartCorr -90-88 信号強度 -86-84 (dbm) -82-80 -78 RSSI (dbm) 0 1 1 1 1 1 1 11 011 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 11 1 1 11111 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 Error ID 誤検知率 Rate 10 0 10-1 10-2 10-3 10-4 IndCorr IndCorr(SyncErr) DirCorr PartCorr -90-88 信号強度 -86-84 (dbm) -82-80 -78 Rssi (dbm) ウェイクアップ ID 誤検知率 ( 理論値 ) ウェイクアップ ID 誤検知率 ( シミュレーション結果 ) S 1 2 3 t t IndCorr: フレーム長をウェイクアップIDへ復調してから IDマッチングを行います DirCorr: 等価 IDの相関によって 等価 ID マッチングを行います PartCorr: 相関窓内の等価 IDのビットのみに対して相関を演算し 等価 IDマッチングを行います ウェイアップ ID を変調するための無線 LAN 信号のフレーム長の最適化を行います テストベッド実験によって提案方式の有効性を確認します 連絡先 : 適応コミュニケーション研究所担当 : 湯 長谷川 木村 E-Mail:acr.openhouse.2012@atr.jp
使いたいときだけ目覚める無線 LAN システム ~ 無線 LAN 機器の つけっぱなし をなくします ~ 無線 LAN ルータのオンデマンド起動 使っていない時は自動的にスリープ ( 既存技術 ) オンデマンド起動ソフトウェア スマートフォンなどの無線 LAN 端末 無線 LAN 信号の 長さ を用いた 低消費電力のウェイクアップ機 無線 LAN アクセスポイント以外への適用も可能です スマートフォンリモコン ウェイクアップ機 無線 LAN 搭載端末 オン / オフ オン / オフ スマートフォン / タブレットなどから家電などのオン / オフが可能になります ウェイクアップ機のデモ機を東京モーターショー 2011 に展示しました ウェイクアップ機モジュール オンデマンド起動ソフトウェア搭載スマートフォン ウェイクアップ機内蔵コンセント