求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

Similar documents
ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

平成  年(オ)第  号

平成  年(オ)第  号

従業員 Aは, 平成 21 年から平成 22 年にかけて, 発注会社の課長の職にあり, 上記事業場内にある発注会社の事務所等で就労していた (2) 上告人は, 自社とその子会社である発注会社及び勤務先会社等とでグループ会社 ( 以下 本件グループ会社 という ) を構成する株式会社であり, 法令等の

平成 30 年 ( 受 ) 第 269 号損害賠償請求事件 平成 31 年 3 月 12 日第三小法廷判決 主 文 原判決中, 上告人敗訴部分を破棄する 前項の部分につき, 被上告人らの控訴を棄却する 控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする 理 由 上告代理人成田茂ほかの上告受理申立て理由第

併等の前後を通じて 上告人ら という 同様に, 上告人 X1 銀行についても, 合併等の前後を通じて 上告人 X1 銀行 という ) との間で, 上告人らを債券の管理会社として, また, 本件第 5 回債券から本件第 7 回債券までにつき上告人 X1 銀行との間で, 同上告人を債券の管理会社として,

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

平成  年(オ)第  号

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

(2) B 社に係る破産事件等東京地方裁判所は, 平成 21 年 2 月 24 日,B 社を再生債務者として, 再生手続開始の決定をした しかし, 東京地方裁判所は, 同年 3 月 24 日,B 社の事業継続を不可能とする事実が明らかになったとして, 再生手続廃止の決定をするとともに, 再生手続廃止

平成  年(あ)第  号

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

た本件諸手当との差額の支払を求め ( 以下, この請求を 本件差額賃金請求 という ),2 予備的に, 不法行為に基づき, 上記差額に相当する額の損害賠償を求める ( 以下, この請求を 本件損害賠償請求 という ) などの請求をする事案である 2 原審の確定した事実関係等の概要は, 次のとおりであ

平成18年1月13日 最高裁判所は,貸金業者の過払い金の受領は違法と知りつつなされたことを推定するとした判例です

本件合併時にA 信用組合に在職する職員に係る労働契約上の地位は, 被上告人が承継すること,3 上記の職員に係る退職金は, 本件合併の際には支給せず, 合併後に退職する際に, 合併の前後の勤続年数を通算して被上告人の退職給与規程により支給することなどが合意された また, 本件合併の準備を進めるため,

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

(4) 抗告人は, 平成 28 年 8 月 26 日, 本件仮登記の抹消登記を経由した (5) 抗告人は, 平成 28 年 9 月 7 日, 東京地方裁判所に対し, 本件再生手続に係る再生手続開始の申立てをし, 同月 20 日, 再生手続開始の決定を受けた 上記申立てに当たり抗告人が提出した債権者一

平成  年(オ)第  号

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

裁判所は, 同年 9 月, 被上告人に対し, 米国に被拘束者を返還することを命ずる旨の終局決定 ( 以下 本件返還決定 という ) をし, 本件返還決定は, その後確定した (4) 上告人は, 本件返還決定に基づき, 東京家庭裁判所に子の返還の代替執行の申立て ( 実施法 137 条 ) をし, 子

し, これを評点 1 点当たりの価額に乗じて, 各筆の宅地の価額を求めるものとしている 市街地宅地評価法は,1 状況が相当に相違する地域ごとに, その主要な街路に沿接する宅地のうちから標準宅地を選定し,2 標準宅地について, 売買実例価額から評定する適正な時価を求め, これに基づいて上記主要な街路の

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

Unit1 権利能力等, 制限行為能力者 ( 未成年 ) 1 未成年者が婚姻をしたときは, その未成年者は, 婚姻後にした法律行為を未成年であることを理由として取り消すことはできない (H エ ) 2 未成年者が法定代理人の同意を得ないで贈与を受けた場合において, その贈与契約が負担付の

務が残っているが,E,F 及びGに対しては過払金が発生していることが判明した そこで, 被上告人は, 平成 17 年 9 月 27 日までに,Aの訴訟代理人として, E,F 及びGに対して過払金返還請求訴訟を提起し, その後, 上記 3 社とそれぞれ和解をして, 平成 18 年 6 月 2 日までに

電磁的方法による書面の交付及び 電磁的方法による交付に対する同意書 第 1 電磁的方法による書面の交付 1 契約締結前の電磁的交付ラッキーバンク インベストメント株式会社 ( 以下 当社 といいます ) は お客様が契約をご締結するにあたっては あらかじめ 下記事項を 書面によらず電磁的方法により交

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

れぞれ求める住民訴訟である 2 原審の確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 市は, 鳴門市公営企業の設置等に関する条例 ( 平成 16 年鳴門市条例第 3 8 号 ) により, モーターボート競走法に基づくモーターボート競走の開催及びこれに附帯する業務を行うため, 競艇事業を設置し

東京リーガルマインド 無断複製 頒布を禁じます 不動産登記法 一所有権保存 1 74 条 1 項 1 号保存 申請書 1 不登 74 条 1 項 1 号前段 登記の目的 所有者 所有権保存 市 町 丁目 番 号 A 添付書類住所証明情報 (A の住民票の写し ) 代理権限証明情報 (A の委任状 )

〔問 1〕 A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している

かった その後, 市は, 同年 11 月 14 日, 本件土地につき, 予定価格を非公表とし, 再度一般競争入札に付したが, 申込みをした者はいなかった (3) ア大願寺地区には, 平成 25 年 4 月までに小中学校を移転することとされていたところ, 市議会においては, 防犯や児童生徒の安全のため

2(1) 所得税法 34 条 2 項は, 一時所得の金額は, その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額 ( その収入を生じた行為をするため, 又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る ) の合計額を控除し, その残額から所定の特別控除額を控除した金額とす

第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

13 条,14 条 1 項に違反するものとはいえない このように解すべきことは, 当裁判所の判例 ( 最高裁昭和 28 年 ( オ ) 第 389 号同 30 年 7 月 20 日大法廷判決 民集 9 巻 9 号 1122 頁, 最高裁昭和 37 年 ( オ ) 第 1472 号同 39 年 5 月

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

株主間契約書 投資事業有限責任組合 ( 以下 A という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 B という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 C といいい A B C を総称し 投資者 といい 個別に 各投資者 という ) と 以下 D という ) と ( 以下 D という ) ( 以下 E といい

<4D F736F F D208B7A8EFB95AA8A8482C982A982A982E98E96914F8A4A8EA68F9196CA2D312D322E646F6378>

日税研メールマガジン vol.111 ( 平成 28 年 6 月 15 日発行 ) 公益財団法人日本税務研究センター Article 取締役に対する報酬の追認株主総会決議の効力日本大学法学部教授大久保拓也 一中小会社における取締役の報酬規制の不遵守とその対策取締役の報酬は ( 指名委員会等設置会社以

業務委託基本契約書

最高裁○○第000100号

平成 30 年度新潟県自殺対策強化月間テレビ自殺予防 CM 放送業務委託契約書 ( 案 ) 新潟県 ( 以下 甲 という ) と ( 以下 乙 という ) とは 平成 30 年度新潟県自殺対 策強化月間テレビ自殺予防 CM 放送業務について 次の条項により委託契約を締結する ( 目的 ) 第 1 条

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

最高裁○○第000100号

< F2D947A957A8E9197BF F81408ED DE092638AD6>

<4D F736F F D2094DB944690BF8B818C8892E BC96BC8F88979D8DCF82DD816A2E646F63>

平成 27 年 ( 行ヒ ) 第 75 号法人税更正処分取消請求事件 平成 28 年 2 月 29 日第一小法廷判決 主 文 本件上告を棄却する 上告費用は上告人の負担とする 理 由 第 1 事案の概要等 1 本件は, 平成 21 年 2 月 24 日にa 株式会社 ( 以下 a 社 という ) か

民事訴訟法

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

利子相当額 という ) を加えた額に相当する金額 ( 以下 退職一時金利子加算額 という ) の返還に関し, その経過措置を定める 厚生年金保険法等の一部を改正する法律 ( 平成 8 年法律第 82 号 以下 厚年法改正法 という ) 附則 3 0 条 1 項の委任に基づいて定められた, 厚生年金保

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

とを条件とし かつ本事業譲渡の対価全額の支払と引き換えに 譲渡人の費用負担の下に 譲渡資産を譲受人に引き渡すものとする 2. 前項に基づく譲渡資産の引渡により 当該引渡の時点で 譲渡資産に係る譲渡人の全ての権利 権限 及び地位が譲受人に譲渡され 移転するものとする 第 5 条 ( 譲渡人の善管注意義

03宅建表01.indd

Taro-婚姻によらないで懐妊した児

べき標準的な事例における処分の標準例を定めたところ, 公務外非行関係の事由である 痴漢 わいせつ行為 による処分の標準例は, 免職又は停職とされている そして, 本件指針においては, 具体的な処分の量定を決定するに当たり,1 非違行為の動機, 態様及び結果,2 故意又は過失の度合い,3 職員の職務上

0A8D6C A49256C A0

Microsoft Word - å§flè¨Šå¥‚ç´—æł¸_éłłå½¢.docx

新株予約権発行に関する取締役会決議公告 株主各位 平成 29 年 8 月 1 日千葉県流山市南流山三丁目 10 番地 16 サンコーテクノ株式会社代表取締役社長洞下英人 平成 29 年 7 月 18 日開催の当社取締役会において 当社の取締役 ( 監査等委員である取締役及び社外取締役を除く ( 以下

新株予約権発行に関する取締役会決議公告

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

ロボットショップポイントサービス利用規約

7265BB4891EFF48E A000659A

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

Microsoft Word - Webyuupuri_kiyaku.rtf

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

過払金等請求事件

物品購入契約書

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

裁判年月日 平成 20 年 4 月 16 日 裁判所名 大阪高裁 裁判区分 判決 事件番号 平 20( ツ )7 号 事件名 管理費等請求上告事件 裁判結果 上告棄却 文献番号 2008WLJPCA 兵庫県西宮市 以下省略 上告人大阪市 以下省略 被上告人上記代表者理事長上記訴訟代理

民事系 第 問 [ 商法 ] 川﨑作成解答例 全員の承認があり, 取締役会の承認があったと評価される余地はある しかしながら, 条 項の重要な事実の開示がない 取締役会の承認を必要とした趣旨からすれば, 利益の衝突を来すか否かを判断するに足りる事実, 本件でいえば, 乙の事業の内容, Bの関与の程度

除されたものを除く ) について 1 本件は, 被上告人を定年退職した後に, 期間の定めのある労働契約 ( 以下 有期労働契約 という ) を被上告人と締結して就労している上告人らが, 期間の定めのない労働契約 ( 以下 無期労働契約 という ) を被上告人と締結している従業員との間に, 労働契約法

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

201204shijyo.pdf

平成8年月日

2. 本サービスの申込者において 本規約に反する事由 本サービスへの申込みが適当でない と当社が判断する事由等がある場合には 当社は 本サービスへの申込みを承諾しないこ とがあります 第 5 条 ( 利用契約の成立時期 ) 1. 当社が当該申込みを承諾したときに利用契約が成立するものとします ネット

4. 韓国併合後の我が国においては 内地 朝鮮 台湾等の異法地域に属する者の間で 身分行為 があった場合 その準拠法は 共通法 ( 大正 7 年法律第 39 号 )2 条 2 項によって準用される法例 ( 平成元年法律第 27 号による 改正前のもの 以下同じ ) の規定によって決定されることとなり

ストックオプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

物品売買契約書

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

規程番号

合併基本合意書

株 式 取 扱 規 則

保証契約とは しゅさいむしゃ が 保証契約 とは, 借金の返済や代金の支払などの債務を負う 主債務者 その債務の支払をしない場合に, 主債務者に代わって支払をする義務を負うことを約束する契約をいいます なお, 連帯保証契約 とは, 保証契約の一種ですが, 主債務者に財産があるかどうかにかかわらず,

委託契約書(案)

ても認知者による認知の無効の主張を許さないという趣旨まで含むものではないなどとして, 被上告人による本件認知の無効の主張を認め, 被上告人の請求を認容すべきものとした 4 所論は, 認知者自身による認知の無効の主張を認めれば, 気まぐれな認知と身勝手な無効の主張を許すことになり, その結果, 認知に

ETCスルーカード規定

Microsoft Word - denkijyukyuu doc

Microsoft Word - MVNO啉åfi†å›²è³¦è²©å£²å¥‚紗紗款+201607ï¼›.docx

Transcription:

平成 27 年 ( 受 ) 第 766 号損害賠償請求事件 平成 28 年 9 月 6 日第三小法廷判決 主 文 1 原判決中, 上告人の被上告人ら各自に対する1 億 6 500 万円及びこれに対する平成 20 年 1 月 23 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員の支払請求に関する部分を破棄する 2 前項の部分につき, 本件を東京高等裁判所に差し戻す 3 上告人のその余の上告を却下する 4 前項に関する上告費用は上告人の負担とする 理 由 上告代理人日野原昌ほかの上告受理申立て理由 ( ただし, 排除されたものを除く ) について 1 上告人は, 被上告人 Y 1 ( 以下 被上告会社 という ) との間で, 被上告会社の営業のために出資をする旨の匿名組合契約を締結した 被上告人 Y 2 は被上告会社の代表取締役であり, 被上告人 Y 3 はその弟である 本件は, 上告人が, 被上告会社への出資金が被上告人 Y 2 及び被上告人 Y 3 と上告人との利益が相反する取引に充てられて損害を被ったなどと主張して, 被上告人ら各自に対し, 不法行為に基づき,1 億 6500 万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めるとともに, 選択的に, 被上告会社に対しては債務不履行に基づき, 被上告人 Y 2 に対しては会社法 429 条 1 項に基づき, 上記と同額の損害賠償金及び遅延損害金の支払を - 1 -

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とするA 株式会社 ( 以下 A という ) の代表取締役であった (2) 上告人は, 平成 19 年 6 月 1 日, 被上告会社との間で, 上告人を匿名組合員, 被上告会社を営業者として, 被上告会社が有価証券の取得, 保有及び処分等の事業を営むために上告人が3 億円の出資をし, 被上告会社が上告人に上記事業から生じた損益の全部を分配する旨の匿名組合契約 ( 以下 本件匿名組合契約 という ) を締結し, 同月 27 日, 本件匿名組合契約に基づき, 被上告会社に出資金 3 億円を支払った (3) 被上告人 Y 2 は,Aのパソコンリサイクル事業を株式会社 B( 以下 B という ) との共同事業とすることを計画し, 平成 19 年 8 月までに, 公認会計士からその手法について提案を受けた その手法は,Aのパソコンリサイクル事業を新設分割により設立する株式会社に承継させ, 被上告人 Y 2 及び被上告人 Y 3 に割り当てられる同社の株式を更に別に設立する株式会社が譲り受け, 両社が合併するというものであった (4) Aは, 平成 19 年 10 月 26 日, その事業のうちパソコンリサイクル事業を新設分割により設立するCに承継させた 被上告人 Y 2 及び被上告人 Y 3 は, 上記新設分割の際にCが発行する株式 ( 以下 本件株式 という ) を全部取得し, 被上告人 Y 3 はCの代表取締役に, 被上告人 Y 2 は取締役に就任した - 2 -

(5) 平成 20 年 1 月 7 日, 被上告会社, 被上告人 Y 3 及びBの出資により,D が設立された 被上告人 Y 3 はDの代表取締役に, 被上告人 Y 2 は取締役に就任した Dの設立時の出資額は, 被上告会社が8000 万円, 被上告人 Y 3 及びBがそれぞれ1000 万円であった 被上告会社は,Dの発行する新株予約権付社債を引き受け, 平成 20 年 1 月 23 日,1 億円を払い込んだ Dの設立時の被上告会社の出資及び上記新株予約権付社債の引受けには, 上告人が本件匿名組合契約に基づき出資をした3 億円の一部が充てられた (6) Dは, 平成 20 年 1 月 23 日, 被上告人 Y 2 及び被上告人 Y 3 との間で, 本件株式の全部を合計 1 億 5000 万円で買い受ける旨の契約 ( 以下 本件売買契約 という ) を締結し, その代金を支払った 本件売買契約の代金額は,Cの依頼により作成された平成 20 年 1 月 10 日付けの株式価値評価書に基づいて定められた 上記株式価値評価書には, 本件株式の価値の総額について,2 種類の評価手法により導かれた,200 万円との算定額及び 2 億 9755 万 7000 円との算定額を折衷するなどして, 最終的に1 億 4229 万円ないし1 億 5726 万 7000 円となる旨記載されていた (7) Dは, 平成 20 年 3 月 1 日,Cを吸収合併した 3 原審は, 上記事実関係の下で, 次のとおり判断して, 上告人の被上告人ら各自に対する1 億 6500 万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払請求をいずれも棄却すべきものとした (1) 匿名組合員と営業者又はその利害関係人との利益が相反する取引をすることは, 営業者がその営業の遂行に当たりその地位を利用して匿名組合員の犠牲にお - 3 -

いて自己又は第三者の利益を図るものと認められるときに限り, 営業者が匿名組合員に対して負う善管注意義務に違反すると解すべきである 本件における被上告会社の行為は, 上告人の犠牲において自己又は第三者の利益を図る行為であったと認めることができないから, 営業者の善管注意義務に違反するとは認められず, 被上告会社は上告人に対し債務不履行に基づく損害賠償義務を負わない (2) 上記 (1) のとおり, 被上告会社に善管注意義務違反は認められないから, 被上告人らは不法行為に基づく損害賠償義務を負わず, 被上告人 Y 2 は会社法 429 条 1 項に基づく損害賠償義務を負わない 4 しかしながら, 原審の上記判断は是認することができない その理由は, 次のとおりである 前記事実関係によれば, 被上告人らは, 被上告会社が資本金の8 割の出資をする Dの設立時において,Dが被上告人 Y 2 及び被上告人 Y 3 から本件株式の全部を購入するという本件売買契約を締結することを予定し, 被上告会社の代表取締役の弟である被上告人 Y 3 においてDの代表取締役としてこれを実行したものというべきである そして, 被上告会社が, 本件売買契約の締結を予定してDの設立時に出資をし, その発行する新株予約権付社債を引き受け,Dに本件売買契約を締結させるという一連の行為は, これにより被上告会社に生ずる損益が本件匿名組合契約に基づき全部上告人に分配されることに鑑みると, 本件売買契約の買主であるDの利益 不利益が被上告会社を通じて上告人の利益 不利益となることから, 本件売買契約の売主であり被上告会社の関係者である被上告人 Y 2 及び被上告人 Y 3 と上告人との間に実質的な利益相反関係が生ずるものであるといえる また, 本件売買契約の売主が, 買主であるDの取締役や代表取締役であること, - 4 -

本件株式に市場価格はない上, 上告人が本件売買契約の代金額の決定に関与する機会はないこと,Dの設立時の被上告会社の出資及び上記新株予約権付社債の引受けの合計額は1 億 8000 万円であり, 本件売買契約の代金額は1 億 5000 万円であって, いずれも本件匿名組合契約に基づく出資額の2 分の1 以上に及ぶものであることに照らすと, 上記一連の行為は上告人の利益を害する危険性の高いものというべきである 以上によれば, 被上告会社が上記一連の行為を行うことは, 上告人の承諾を得ない限り, 営業者の善管注意義務に違反するものと解するのが相当である ところが, 原審は, 上記の諸事情があるにもかかわらず, 上記承諾の有無について審理判断することなく, 被上告会社の善管注意義務違反を否定しているのであるから, 原審の上記 3(1) の判断には, 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある また, 被上告会社に善管注意義務違反が認められないことを理由に, 被上告人らは不法行為に基づく損害賠償義務を負わず, 被上告人 Y 2 は会社法 429 条 1 項に基づく損害賠償義務を負わないとした原審の上記 3(2) の判断にも, 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある 論旨は上記の趣旨をいうものとして理由がある 5 以上によれば, 原判決中, 上告人の被上告人ら各自に対する1 億 6500 万円及びこれに対する平成 20 年 1 月 23 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員の支払請求に関する部分は破棄を免れない そして, 上記承諾の有無等について更に審理を尽くさせるため, 上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする なお, その余の上告については, 上告人は上告受理申立ての理由を記載した書面を提出しないから, これを却下することとする - 5 -

よって, 裁判官全員一致の意見で, 主文のとおり判決する なお, 裁判官木内道祥の補足意見がある 裁判官木内道祥の補足意見は, 次のとおりである 法廷意見は, 被上告会社が本件売買契約に至る一連の行為を行うことは, 上告人の承諾を得ない限り, 営業者の善管注意義務に違反するとするものであるところ, 承諾が必要とされる趣旨について, 補足して意見を述べる 上記一連の行為の実質は, 被上告人 Y 3 が代表取締役であったAのパソコンリサイクル事業の譲渡である 一般に, 事業譲渡において, 譲り受けた事業の運営を従来の経営陣 ( 譲渡人の経営陣であった者 ) に委ねることはしばしば見られることであるが, このような事業譲渡に際して, 譲受人がもっとも関心を抱くのは, 当然のことながら譲渡価格であり, 譲渡価格の決定につき自ら関与する機会がないまま従来の経営陣に委ねることは, 通常, あり得ない事態である 事業譲渡の具体的な実務 ( 例えば, 事業評価のための作業, 評価書の作成依頼など ) を従来の経営陣が担当したとしても, その経過を譲受人に報告し, 承諾を得てはじめて, それに基づく事業譲渡を実行することができるものである Aのパソコンリサイクル事業をDに譲渡するについて, 譲受人となったDの代表取締役は被上告人 Y 3 であり,Dの資本金の8 割の出資者の被上告会社の代表取締役は被上告人 Y 3 の兄の被上告人 Y 2 であるから, 譲受人側のD 及び被上告会社が, 譲渡価格を含め, 事業譲渡の内容を知り, 承諾していたといえる しかし, 本件においては, 被上告会社が行ったDへの投資 ( 設立時の出資と社債の引受け ) によって被上告会社に生ずる利益 不利益は, 本件匿名組合契約によって全て上告人 - 6 -

に帰属するという関係にあり, 事業譲渡の結果についてリスクを負う, すなわち, 損失が生ずるとするとそれを負担するのは, 上告人であって被上告会社ではないから, 事業譲渡における譲渡価格を含めたその内容の決定について, 実質的に利害関係を持ち, 関与する必要のある立場にあるのは上告人であり, 上告人がその決定に関与する機会のない本件の事業譲渡は, 法廷意見が述べるその余の事情も併せると, 上告人の利益を害する危険性が高いものである 本件の事業譲渡は, 匿名組合員である上告人との間に実質的な利益相反関係が生じ, 上告人の利益を害する危険性の高いものであり, 被上告会社は, 営業者の善管注意義務として, それについての上告人の承諾を得ることが求められるのである ( 裁判長裁判官木内道祥裁判官岡部喜代子裁判官大谷剛彦裁判官大橋正春裁判官山崎敏充 ) - 7 -