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は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

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2008年6月XX日

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

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ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

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架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

20 21 The Hachijuni Bank, LTD.

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区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

平成18年度標準調査票

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

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システムの開発は 国内において 今後の普及拡大を視野に入れた安全性の検証等に係る研究開発が進められている 一方 海外展開については 海外の事業環境等は我が国と異なる場合が多く 相手国のユーザーニーズ 介護 医療事情 法令 規制等に合致したきめ細かい開発や保守 運用までも含めた一体的なサービスの提供が

評価調査結果要約表

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類似業務対象国 / 類似地域語学の種類 各種評価調査インドネシア / 全途上国英語 5. 条件等 (1) 参加資格のない社等 : なし (2) 必要予防接種 : なし 6. 業務の背景インドネシア政府は 食料安全保障や農家の所得向上を政策上の優先課題の一つとして位置付けており 2013 年 7 月に

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平成 13 年度 決算概要と今後の計画について 平成 14 年 5 月 20 日 東京通信ネットワーク株式会社

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また 関係省庁等においては 今般の措置も踏まえ 本スキームを前提とした以下のような制度を構築する予定である - 政府系金融機関による 災害対応型劣後ローン の供給 ( 三次補正 ) 政府系金融機関が 旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に対して 資本性借入金 の条件に合致した

様式 重点項目 産業を担う人材確保対策の推進 雇用情勢の改善を背景に 就職相談者の減少が見込まれる中にあっても 本県産業の持続的な発展を図るため 優れた人材を確保していく必要があることから 県内外の学生や若年者をはじめとした幅広い世代 UI ターン希望者に対するきめ細かな支援により 人材確保を図りま

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国立大学法人富山大学 PPP/PFI 手法導入優先的検討要項

目次 1 当法人に関する事項 (1) 事業の計画 (2) 損益の計画と財産の見通し (3) 主要な事業内容 (4) 会員に関する事項 (5) 職員に関する事項 (6) 役員会等に関する事項 (7) 対処すべき課題 2 役員等に関する事項 (1) 理事 (2) 監事 (3) 評議員 1

Transcription:

事業事前評価表 1. 案件名国名 : キルギス共和国案件名 : キルギス共和国日本人材開発センター ビジネス人材育成プロジェクト英名 :Project for Capacity Development of Business Persons through Kyrgyz Republic-Japan Center for Human Development 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における産業人材育成の現状と課題キルギス共和国 ( 以下 キルギス ) は 1991 年の独立以降 いち早く民主化及び市場経済化を軸とした改革を推進してきた しかし 天然資源や基幹産業に恵まれない同国では 急速な自由化により国内産業は厳しい国際競争にさらされ 安定した経済成長を遂げることが出来ず 依然として高い貧困率を抱えている 同国では開発ポテンシャルのある地域や資源 産業分野や教育水準の高い労働力等の利点を最大限に活用し 牽引力のある基幹産業を育成しつつ 外資を誘致し 脆弱な産業基盤を強化することが急務となっている またそれを支える人材育成及び制度整備 経済インフラの整備が必要不可欠である こうした背景の下 キルギスにおける市場経済への移行を目指す改革の促進および経済分野における人材の育成を目的として キルギス政府と我が国関連の国際機関である支援委員会によって キルギス日本センター ( 以下 KRJC ) が 1995 年に開所された JICA は同センターの成果を引き継ぎ 2003 年 4 月から キルギス共和国日本人材開発センタープロジェクト (2003 年 4 月 ~2008 年 3 月 ) また 2008 年 4 月から キルギス共和国日本人材開発センターフェーズ 2 プロジェクト (2008 年 4 月 ~2013 年 3 月 ) を実施している これらプロジェクトでは 1ビジネスコースの提供を通じた市場経済化に資する実務人材の育成 2 様々な学習者のレベルに合わせた日本語教育事業の実施 3キルギスと我が国双方の相互理解促進事業を 3 本柱として活動を行ってきている 第一フェーズではセンターの活動基盤や組織体制の強化が図られ 第二フェーズにおいては センターの自立運営に向けた人材育成ニーズへの対応力強化 及び組織体制の確立を目指した協力が続けられた結果 センターは 実践的なビジネス知識 スキルを提供する機関 また 日本語学習及び日本の社会 文化についての発信拠点 としての高い評判と キルギス国民に開かれたセンターとしての地位を確立しつつある フェーズ 2 プロジェクトは 2013 年 3 月の終了を予定しているが キルギス側 1

からは 更なる自立化に向けた日本人材開発センターの運営管理とビジネス人 材育成の支援に特化したプロジェクトが要請されたことを受け ポストフェー ズ 2 プロジェクトの実施が決定された (2) 当該国における産業人材育成政策と本事業の位置づけキルギスは 2013 年 1 月 キルギスタン持続的発展戦略 2013-2017(Strategy of Sustainable Development of Kyrgyzstan 2013-2017) が大統領令にて承認された 同計画では 中小企業の発展と促進 : 所有権の保証 ローンの提供によるビジネスの自由化 及びビジネスに関する保険 に関する戦略を柱の一つとして掲げており 引き続き市場経済化促進のためのキルギス市場の大部分を占める中小企業セクター開発支援を目指している 本プロジェクトは 現キルギス政府が推進する市場経済化政策を側面支援し キルギスの経済発展を支える民間人材の育成を担うものとして位置づけるものである (3) 産業人材育成に対する我が国及び JICA の援助方針と実績我が国の 対キルギス共和国 : 国別援助方針 ( 2012 年 10 月 ) において 民主主義の定着を後押しする持続的かつ均衡のとれた経済成長への支援 を援助の基本方針として掲げ 開発課題の一つとして 市場経済化に資する人材育成 を設定している JICAはこれまで 市場経済化に資する人材育成プログラム にて キルギス共和国日本人材開発センタープロジェクト ( フェーズ1 2) 国立 ITセンタープロジェクト ボランティアの派遣等を通じ協力を行ってきた 現在策定中の国別分析ペーパーでは 独立後 20 年以上たった現在でも近代的経営を行える企業家の数が十分ではない現状が挙げられており 重点分野 農業 ビジネス振興 の ビジネス振興 投資促進プログラム の中でも 日本センター等を通じて中小企業の振興等に資するビジネス人材育成支援を継続することとしている (4) 他の援助機関の対応中小企業 (SME) セクターの振興分野では 欧州復興開発銀行 (EBRD) が Business Advisory Service(BAS) プログラム において SME へのコンサルティング費用支援 及び現地コンサルタントの育成を実施している また ドイツ国際協力公社 (GIZ) はキルギスを含む中央アジア 4 か国を対象に 中央アジア地域経済協力支援事業 (Support of regional economic cooperation in Central Asia) (2014 年まで ) において カイゼンサービスを提供するコンサ 2

ルタントの育成 繊維産業を中心とする中小企業へのコンサルティング サービスを行っている 更に米国国際開発庁 (USAID) は 地域開発プログラム (Local Development Program) (2013 年 8 月まで ) において 服飾製造業者向けに機材支援及びコンサルティング サービスを実施中である ビジネス人材の育成分野では スラブ大学や中央アジア アメリカ大学が MBA コースを Bishkek Academy of Finance and Economics (BAFE) が経済 経営 観光分野における学士 修士プログラムを実施している 3. 事業概要 (1) 事業目的本プロジェクトは キルギスにおいてKRJCの組織運営体制及び ビジネス人材育成機関としての機能の強化を行うことにより KRJCの持続的な運営体制と機能の確立を図り もってキルギスの市場経済の発展に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名ビシュケク市 (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) KRJC ビジネスコースの受講生 ( キルギスの民間セクターのビジネス人材 )1500 名程度 及び KRJC 現地職員 現地講師 15 名程度 (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2013 年 4 月 ~2016 年 3 月 ( 計 36 ヶ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) 約 2.9 億円 (6) 相手国側実施機関キルギス民族大学 (7) 投入 ( インプット ) 1) 日本側 専門家派遣: - 長期専門家 ( センター共同所長 36MM 業務調整 36MM) - 短期専門家 ( ビジネスコース運営管理 27MM ビジネスコース講師 21MM) 本邦研修( ビジネスコース講師の能力強化を目的とした 2 週間程度の研修 ) 機材供与(PC プリンター等プロジェクト実施に必要な機器等) 在外事業強化費 2) キルギス側 人員配置( センター共同所長 ) 3

プロジェクト活動に必要な施設 場所と光熱水費 他プロジェクト活動に必要な項目( 両者の合意に基づく ) (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1カテゴリ分類 C 2カテゴリ分類の根拠本プロジェクトは 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年公布 ) に掲げる影響を及ぼしやすいセクター 特性及び影響を受けやすい地域に該当せず 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため (9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 2003 年 4 月 ~2008 年 3 月までの期間 キルギス共和国人材開発センタープロジェクト 2008 年 4 月 ~2013 年 3 月までの期間 キルギス共和国人材開発センタープロジェクトフェーズ 2 を実施 これまで KRJC を通じビジネスコース 日本語教育 相互理解促進を 3 本柱とした事業を行ってきた 2) 他ドナー等の援助活動既述した通り EBRD の BAS プログラムは SME セクターの振興を目的に個別企業がコンサルティング サービスを受けるための費用支援を実施している KRJC は同コンサルティング サービスを提供するコンサルタントの育成面で連携してきた また GIZ の 中央アジア地域経済協力支援事業 は カイゼンサービスを提供するコンサルティング サービスを実施しており カイゼン分野に精通したコンサルタントの育成面で協力を得てきた 本プロジェクトにおいても他ドナーによる コンサルタント等の実践的なビジネス人材の育成面での協力との連携を行っていくこととしている 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標 : KRJC がキルギスの市場経済開発を担うビジネス人材を輩出する中核機関となる 指標 民間セクターで活躍するビジネスコースの修了生が毎年 XX 名輩出され 4

る 2) プロジェクト目標 : キルギスの人材育成機関として KRJC の持続的な運営体制と機能が確立される 指標 1 事業終了時までに KRJC の実施可能な運営管理 予算 人材計画が キルギス側のイニシアチブによって策定され JCC で承認される 2 プロジェクト終了後の KRJC 中期運営計画がキルギス側のイニシアチブにより作成され JCC で承認される 3) 成果及び活動成果 1:KRJC 職員による自立発展的な組織運営管理体制が強化される 指標 1 プロジェクト終了時までに KRJC 支出に占める JICA の在外事業強化費の割合が XX% になる 2 KRJC 職員によって組織図が策定され 年に一度以上定期的に更新される 3 KRJC 職員によって年間事業計画と予算計画が策定され JCC にて承認が得られる 4 KRJC 職員によって活動報告書が半年に一度作成され センター所長の承認が得られる 5 KRJC 職員によって事業ごとの財務諸表が整備され 活動報告書に含まれる 6 JCC が毎年開催され 年間活動報告書と年間事業計画が承認される 7 事業終了時までに KRJC 事業の計画 実施 運営管理が KRJC 職員によって日本人専門家のサポート無しで自立的に実施される 8 プロジェクト終了後の KRJC のミッション 運営上の方針と主要活動が KRJC 中期運営計画として取り纏められ JCC にて承認される 活動 ( 自立計画 ) 1-1. KRJC の運営管理を KRJC 職員が主体的に実施するために必要な人員配置計画と育成 研修 ( スキルアップ ) 計画を策定する 1-2. 1-1 に基づき KRJC の C/P 及び職員と日本人専門家の TOR と権限 責任を明記した組織図を策定し 定期的に更新する 1-3. 年間事業計画と予算計画を策定し 実施する (KRJC の支出のカバー率増加に係る対策の計画 実施を含む ) 5

1-4. 年間事業計画に基づいた活動の進捗を定期的にモニタリングし 報告書を作成する ( 半年に1 度 ) 1-5. 事業ごとに取りまとめた財務諸表を取り纏め 1-4 の報告書内に含める 1-6. JCC において 年間活動報告書と次年度の年間事業計画の報告をする ( 各年度 ) 1-7. プロジェクト終了後の KRJC のミッション 運営上の方針と主要活動を検討 計画し KRJC 中期運営計画に取りまとめる 成果 2:KRJC のビジネス人材育成機能が強化される 指標 ( ビジネスコースの企画 運営 ) 1 ビジネスコースの参加者が各コースの受講可能数の XX% 満足度が平均 XX% 以上となる 2 ビジネスコース修了者による起業 キャリアアップ 経営改善等の実践的成果が確認された数 3 育成された現地講師 ( 非常勤講師含む ) が XX 分野で各 XX 名以上となる 4 現地講師による講義時間の比率が向上する 5 カリキュラム 教材の改定 新規開発が定期的に実施され センター内での会議で協議される 6 事業終了時までに ビジネスコースの計画 運営 管理が KRJC 職員によって日本人専門家のサポート無しで自立的に実施される ( ビジネス人材のネットワーク化 関連組織との連携 ) 7 ビジネスコース修了者及び同窓会会員データベースが年に一度以上定期的に更新され 活用される 8 ビジネスコース修了者及び同窓会会員に対するセミナー 現場指導等のフォローアップ活動がコース毎に各 XX 回以上実施される 9 他関連機関 事業とのビジネス人材育成分野におけるネットワーキング 1 や連携活動の種類と数 活動 ( ビジネスコースの企画 運営 ) 2-1. 人員配置計画と予算計画を伴うビジネスコース全体の年度実施計画を策定する 1 ネットワーキングの活動としては 他の関連機関の協力を得て行ったビジネスコースやイベントの広報活動等が挙げられる 6

2-2. コース運営管理とコース実施 ( 講義 ) に必要なキルギス人材の育成計画を策定する 2-3. カリキュラムと教材を定期的に更新 開発する 2-4. キルギス人講師の育成を行う (OJT 含む講師研修 本邦研修 TOT 等 ) 2-5. ビジネス人材育成に係わるニーズ調査を年に一度以上定期的に実施する 2-6. ビジネスコースの計画 運営 管理の責任権限を KRJC 職員に段階的に移行する ( ビジネス人材のネットワーク化 関連組織との連携 ) 2-7. ビジネスコース修了者及び同窓会会員データベースの維持管理を行う 2-8. ビジネスコース修了者及び同窓会の会員に対する定期的なフォローアップ活動を実施する 2-9. 他関連機関とのビジネス人材育成分野でのネットワーキング 連携事業を促進する 4) プロジェクト実施上の留意点指標の XX については プロジェクト開始後半年以内に ビジネスコースの計画を策定した段階で プロジェクト関係者との協議の上 設定する (2) その他インパクト本プロジェクトの終了後も 日本語コース及びビジネスコースや文化交流関連活動が継続される場合は KRJC はキルギスにおいて 日本の文化 経験 また 日本ブランド 等を提供 発信する 日本センター として 外交上及び文化交流の面でも重要な役割を果たしていくことが期待される 5. 前提条件 外部条件 ( リスク コントロール ) (1) 事業実施のための前提 キルギス側よりプロジェクトの実施に必要な場所施設が確保される (2) 成果達成のための外部条件 特になし (3) プロジェクト目標達成のための外部条件 キルギス国政府が市場経済化を促進する現在の経済政策を維持する (4) 上位目標達成のための外部条件 キルギス国の政治情勢が安定している 7

6. 評価結果 本事業は キルギスの開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 KRJC のセンター運営費に占める自己収入の比率は他センターと比べても低く 自立的に発展していくためには財務的基盤の強化が必要である 今後更なるセンターの収支モニタリングの体制の強化が必要であることがこれまでのプロジェクトの教訓として導き出されたことから 事業毎の財務諸表の導入等センターの収支モニタリング体制を強化するための活動を取り入れることとした 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画事業中間時点中間レビュー (2014 年 9 月頃を予定 ) 事業終了 6 ヶ月前終了時評価 (2015 年 10 月頃を予定 ) 事業終了 3 年後事後評価 (2019 年 4 月頃を予定 ) 以上 8