平成 19 年度現代 GP 取組実施報告 2008.2.16 阪南大学花川典子 本学は, 文部科学省の平成 19 年度現代 GP の取組を平成 19 年 10 月より実施した. その実施内容を報告する. 1. 本取組の概要 本取組の名称は ICT を活用した双方向教育システムの構築 であり, 全体の取組期間は平成 19 年 10 月から 22 年 3 月までの 2 年半であり, 本年度はその 1 年目にあたる. 取組の概要は, 大講義室での一方向スピーチ形式授業をポータブル HInT( 以下 p-hint と記す ) システムを用いて教員と学生の双方向教育を実現することである.p-HInT は, 学生が一人一台ずつニンテンドー DS ( 以下 DS と記す ) を持参し, コンピュータ設備のない講義教室において, 着席順学生一覧による自動出席管理や小テスト実施, アンケート実施, さらにリアルタイムに結果を参照できるシステムである. これによって, 教員が学生の理解度を即座に把握し, その場で授業改善を実施できると共に, 理解度のデータを授業改善のための基礎データとして蓄積することによって, 全学的な FD 活動に役立つことができる取組である. 授業中のイメージ図を図 1 に示す. 図 1 授業での p-hint の小テスト活用イメージ 本取組の情報は http://www.hannan-u.ac.jp/p-hint/index.html を参照.
2. 平成 19 年度活動報告 図 2 に平成 21 年度までのスケジュールを示す. 本実施報告では図 2 のスケジュールのうち平成 19 年 10 月より 2 月初旬までの実施内容を報告する. 図 2 本取組の全体スケジュール 次に, 平成 19 年 10 月から 2 月初旬までの実施内容を各分科会の活動を中心に報告する. 2.1 p-hint 活用推進プロジェクト p-hint 活用推進プロジェクトは, 従来の情報センターの情報システム委員会の下部組織として平成 19 年 10 月に発足した. 本プロジェクトは (1) 授業活用研究分科会,(2) 実証実験分科会,(3) 教材作成支援分科会,(4)DS 普及支援分科会の 4 分科会から構成される ( 図 3 参照 ). 本プロジェクトの構成メンバは以下のとおりである. プロジェクトリーダ : 花川典子准教授 授業活用推進分科会担当 : 花川典子准教授 北川悦司准教授 実証実験分科会担当 : 田上博司准教授 教材作成支援分科会担当 : 桜田照雄教授 DS 普及支援分科会 : 前田利之准教授 教務課プロジェクト及び分科会事務局は情報システム課
図 3 p-hint 活用推進プロジェクト体制 さらに, 各分科会の活動報告を行う. 2.2 授業活用研究分科会 本分科会の今年度の役割は (1)p-HInT システムの開発,(2) 教室無線 LAN 設備の設置である. 以下にそれぞれの実施内容を示す. (1)p-HInT システム開発産学連携企業である株式会社富士通ビジネスシステムと共に, 本システムの開発を実施した. 以下の実施内容はすべて同社との共同開発の実施内容である. なお, 株式会社富士通ビジネスシステムとは,11 月 21 日付けで産学連携の覚書を交わしている. 10 月 19 日 ( 金 ) 15:00~16:00 初年度開発機能, スケジュール, 開発体制の確認 10 月 26 日 ( 金 ) 17:00~18:30 検案事項の確認, 授業 ( 業務 ) フローの検討, 問題点の抽出 11 月 2 日 ( 金 ) 14:00~17:00 アンケート 小テストの詳細機能の検討, 授業フローの検討,2 年目以降の開発機能の検討 11 月 14 日 ( 水 ) 10:00~11:30 授業フローの検討, ポータブル HInT サーバ機器の仕様確認及び問題点の検証
11 月 16 日 ( 金 ) 17:20~20:00 機能要求内容の確認, 授業フローの確認, 画面遷移及び画面設計 11 月 22 日 ( 木 ) 15:20~18:00 業務フローの最終確認, 画面遷移の問題点の検討及び確認, 画面設計 11 月 30 日 ( 金 ) 16:20~19:00 画面遷移の確認, 画面設計 12 月 12 日 ( 水 ) 10:50~12:10 アンケート 小テスト機能の詳細設計の確認, 着席順学生一覧表示 出席管理機能の実装機能検討 12 月 14 日 ( 金 ) 16:00~17:20 アンケート 小テスト機能の詳細設計の確認, 着席順学生一覧表示 出席管理機能の実装機能確認 12 月 19 日 ( 水 ) 予定の同時接続実証実験の実験内容の確認 12 月 21 日 ( 金 ) 15:00~17:00 アンケート 小テスト機能の詳細設計の最終確認, 着席順学生一覧表示 出席管理機能の実装機能確認 1 月 11 日 ( 金 ) 17:00~18:30 模擬講義実施前の事前検証 1 月 29 日 ( 火 ) 14:30~17:00 模擬講義実施後の問題点の洗い出し及び改善方法の検討,2 月 21 日 ( 木 ) 予定の成果発表フォーラムについての発表事項の確認開発システムの詳細は別紙のポータブル HInT 機能説明書と模擬授業映像記録に示す. (2) 教室無線 LAN 設備の設置 200 人 ~300 人教室 4 教室 (123,642,652,9209 教室 ) に無線 LAN 親機及びポータブル HInT 用教員機の設置等の整備を行う. 今回整備する教室には, プロジェクタ, スクリーン等のプレゼン機器は既に整備されており, 教員機を設置し, プロジェクタと接続することで, アンケートや小テストの結果をスクリーンに提示し授業を進める. さらに書画カメラで DS を撮影することで, 操作手順等をスクリーンに投影し, 操作方法等の説明で活用する. なお, 工事は 12 月下旬 ~1 月上旬を予定していたが, 無線 LAN 親機の手配が間に合わず,2 月 10 日及び 16 日に整備する予定である. 2.3 実証実験分科会 10 月より開発された p-hint システムにおいて, 以下の実証実験を実施した. (1)DS の無線接続実証実験日時 :8 月 9 日 ( 木 ) 場所 : 本学フロンティアホール確認事項 : 無線 LAN アクセスポイントと DS の接続確認 複数アクセスポイントによる SSID と Wep キーの設定方法 DS での利用可能な無線 LAN アクセスポイントの機能の確認 (2)200 台 DS の同時接続実証実験日時 :12 月 19 日 ( 水 )
場所 :642 教室確認事項 : 200 台同時接続の可能性の確認 200 台同時接続の接続時間の確認 無線 LAN アクセスポイントの同時接続台数上限値の確認 200 台同時接続での Web サイトへの接続確認 無線 LAN アクセスポイントの設置位置及び配置の確認 200 台同時接続に必要な無線 LAN アクセスポイントの個数の検証 無線 LAN アクセスポイントをまたがって通信可能 ( ローミング ) かどうかの検証 (3) 模擬授業での活用 ( 映像記録あり ) 日時 :1 月 16 日 ( 水 ) 場所 :642 教室確認事項 : 受講生 49 名の同時ログイン 5 回の小テスト (2 択と 4 択の問題 ) の実施 リアルタイムの小テスト結果表示の確認 模擬授業での問題点の抽出 DS の配布回収に時間がかかる パスワード入力フィールドが短かったため, 長いパスワードを設定していた学生がログインできない 学生のボタン操作による一部機能のハングアップ DS の操作の慣れない学生へのサポート 学生への DS 活用授業へのアンケート実施 ( 表 1 参照 ) アンケート内容はいいいえどちらでも無い未回答 DSを使った授業に興味を持てましたか? 30 13 6 DSは使い易かったですか? 13 29 7 今後 DSを使った授業を受講してみたいですか? 25 17 7 表 1 アンケート結果 (4) 着席順学生一覧, 出席管理機能の確認日時 :2 月 18 日 ( 月 )14:00~( 予定 ) 場所 : フロンティアホール確認事項 : 着席順着学生一覧機能の確認 出席確認機能の確認 2.4 教材作成支援分科会 平成 20 年度の前期授業の p-hint 活用予定授業の一覧を以下に示す. 最初の本科授業活用にあたり, 科目を絞り, さらに情報コースの専任教員が担当する科目に限定する. IT 入門 (2 クラス, 約 300 受講者 ) データベース論 (1 クラス約 100 名受講者 ) ネットワーク論 (1 クラス約 100 名受講者 )
上記の科目の教材を作成するために, 教材作成支援分科会を以下のように実施する予定である. 日時 :2 月 15 日 ( 金 )10:00~ 参加メンバ : 花川准教授, 桜田教授, 北川准教授, 前田准教授, 筒井教授, 島教授, 田上准教授, 情報システム課職員 2 名確認事項 : p-hint の機能説明と使い方 IT 入門の小テストの内容と作成方法 データベース論での教材作成キット活用方法の確認 ネットワーク論の CSV ファイルから HTML ファイルへの変換の確認 2.5 DS 普及支援分科会 平成 20 年度授業に向けて, 学生 ( 特に p-hint 授業対象科目の受講生 ) に一人一台の DS を実現するために分科会を実施した. 日時 :2 月 6 日 ( 水 ) 10:40~12:30 場所 :1D 会議室参加メンバ : 花川准教授, 前田准教授, 教務課職員 3 名, 情報システム課職員 2 名確認内容 : 学生購入における販売ルート確保の検討 大学側購入 DS の学生への貸与方法の検討 2.6 その他の活動 以上の分科会活動以外に, 主に広報活動として以下を実施した. (1) 取組活動関係ホームページの開設 (http://www.hannan-u.ac.jp/p-hint/) (2) 学内説明会実施 (9 月 21 日 ) (3) 企業フォーラムによる学外説明会の実施 (10 月 24 日 ) (4) 成果発表フォーラムの実施 (2 月 21 日 ) (5) 外部評価委員会, 学内評価委員会の設置 3 まとめ 本年度は平成 20 年度以降の授業科目での実施準備が中心であり, 特にシステム開発に重点をおくと同時に, 模擬授業の実証実験にて, 授業での活用の問題点を明確にすることに主眼をおいた. 本問題点を考慮したうえで,p-HInT の機能改善をはじめ, 授業での活用, 運用方法のマニュアル化, 授業モデルの構築へ向けて今後も活動する予定である.