地質ニュース

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(b) 流れ及び波浪の状況 a) 波浪 ( 波向 波高 ) ( ア ) 経時変化及び最大値顕著な高波浪を記録した夏季について 海域ごとの代表地点における経時変化を図 に示します また 各調査地点における最大値を資料編に示します 波浪調査地点 注 ) 波浪の経時変化 ( 図 -6.

目的 2 汚染水処理対策委員会のサブグループ 1 地下水 雨水等の挙動等の把握 可視化 が実施している地下水流動解析モデルの妥当性を確認すること ( 汚染水処理対策委員会事務局からの依頼事項 )

東日本大震災 鳴らされていた警鐘

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472 土木学会論文集 B2 海岸工学 Vol. 66 No 図-1 図-2 西湘海岸の海底形状 1990年 測線 No.3と No.33 における縦断形変化 d50 の水深方向 分布および粒度組成の水深分布 0.425mm 粗砂 mm で覆われている 図-3-5m

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「活断層の補完調査」成果報告書No.H24-2


0.45m1.00m 1.00m 1.00m 0.33m 0.33m 0.33m 0.45m 1.00m 2

No.7 調査地点 : 北山崎 痕跡の種類 : 津波石自然公園 : 陸中海岸国立公園 ( 地種区分 : 特別保護地区 ) 調査日時 : 2011 年 7 月 12 日 15 時 55 分 天気 : 晴れ潮汐 ( 久慈 ) 干潮 06:58 18:19 概要 満潮 15:01 23:45 北山崎から海

Microsoft Word - 第5章07地盤沈下.docx

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平成 27 年度 新潟県たにはま海水浴場流況調査 報告書 平成 27 年 6 月調査 第九管区海上保安本部

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現況 現況 供用 60 度円錐視野に占める 区分 現況 供用 増減 景観要素の割合 空 人工物 樹林 草地 岩場 裸地 砂浜 供用海面

表 別 1-1 樋 門 ( 管 ) 一 覧 表 (1) 横 縦 延 長 ~ 連 完 成 年 度 札 幌 河 川 事 務 所 石 狩 川 左 岸 KP2.7 直 轄 区 間 渡 船 場 樋 門 ~1 S57 札 幌 河 川 事 務 所 石 狩 川 右 岸 KP1.0 直 轄 区

昼飯大塚現説資料 indd

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森林・河川等の環境中における 放射性セシウムの動き

図 6 地質と崩壊発生地点との重ね合わせ図 地質区分集計上の分類非アルカリ珪長質火山岩類後期白亜紀 火山岩 珪長質火山岩 ( 非アルカリ貫入岩 ) 後期白亜紀 花崗岩 後期白亜紀 深成岩 ( 花崗岩類 ) 花崗閃緑岩 後期白亜紀 チャートブロック ( 付加コンプレックス ) 石炭紀 - 後期三畳紀

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目次 1. アニメーションの軌跡の概要と仕組み 3 2. パノラマ写真にアニメーションの軌跡を設定 まとめ 課題にチャレンジ 19 レッスン内容 アニメーションの軌跡の概要と仕組み アニメーションの軌跡とは スライドに配置したオブジェクト ( テキストや図形 画像など ) を

030801調査結果速報版.PDF

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< 外力条件 > 海面上昇量 0.10 m 0.30m 0.50m 0.90mについて検討 詳細検討モデル地区の選定 各詳細検討モデル地区において検討対象となる施設等の整理 各施設毎の影響評価方法 ( 影響評価の判断基準 ) 影響評価 各詳細検討モデル地区の影響評価結果及びその特徴の分析 各詳細検討

H 時点 浜通り復旧 復興事業進捗状況図 ( 飯舘村 ) 工事 ( 未着手 ) 工事 ( 一部着手 ) 工事 ( 全部着手 ) 河川 : 赤 海岸 : 赤 道路 : 青 橋梁 : 青 公園 : 緑区画整理 : オレンジ 工事 ( 工事完了 ) 道路県道原町川俣線 ( 八木沢

豊 住 直 樹 岩 沢 雅 司 渡 邉 幸 彦 7 中 林 信 男 高 橋 功 7 竹 原 奈 津 紀 滝 沢 義 明 コ 9 片 見 明 コ ム ム 高 橋 進 小 峰 直 ム 中 島 克 昌 55 0 松 島 誠 55 滝 邦 久 関 竹 夫 嶋 田 道 夫 信 7 栗 原 孝 信 ム 竹 井


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1. 湖内堆砂対策施設の見直し 1.2 ストックヤード施設計画 ストックヤードの平面配置は 既往模型実験結果による分派堰内の流速分布より 死水域となる左岸トラップ堰の上流に配置し 貯砂ダムから取水した洪水流を放流水路でストックヤード内に導水する方式とした ストックヤード底面標高は 土木研究所の実験結

天 塩 山 地 中 東 央 部 火 凹 山 地 地 域 夕 張 山 石 地 狩 0~40 m 低 40~100 m 地 勇 100~200 m 払 200 m 以 上 低 地


5 月 平 日 夜 間 1 木 那 須 森 屋 2 金 小 宮 山 井 上 博 元 3 土 浜 野 伊 東 祐 順 山 本 省 吾 中 下 ( 県 ) 坪 井 植 草 西 村 4 日 町 村 梅 沢 石 橋 武 川 賢 一 郎 松 田 秀 一 鈴 木 盛 彦 5 月 松 本 東 條 武 川 慶 郎



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Microsoft Word - 大分地区_解説書


( 株 ) 荒 井 建 設 興 業 市 内 南 房 総 市 和 田 町 布 野 205 番 地 水 道 施 設 工 事 特 定 B ( 株 ) 安 房 環 境 衛 生 市 内 南 房 総 市 千 倉 町 瀬 戸 2344 番 地 76 管 工 事 一 般 B 安 房 住 宅 設 備 機 器 ( 有



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8 8 0

レジャー産業と顧客満足の課題

目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が

資料調査結果 ( 新村地区 )- 53

6. 現況堤防の安全性に関する検討方法および条件 6.1 浸透問題に関する検討方法および条件 検討方法 現況堤防の安全性に関する検討は 河川堤防の構造検討の手引き( 平成 14 年 7 月 ): 財団法人国土技術研究センター に準拠して実施する 安全性の照査 1) 堤防のモデル化 (1)

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ha ha km2 15cm 5 8ha 30km2 8ha 30km2 4 14

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豪雨・地震による土砂災害の危険度予測と 被害軽減技術の開発に向けて

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函館平野西縁断層帯北斗市清川付近の変動地形 池田一貴 Ⅰ. はじめに 図 1 北海道と函館平野の位置関係 函館平野西縁断層帯は函館平野とその西側の上磯山地との境界に位置する断層帯である. 本断層帯は北部 中部の渡島大野断層と中部 南部の富川断層 ( 海底延長部を含む ) からなり, ほぼ南北に延びる

新潟県連続災害の検証と復興への視点

別添

関東中部地方の週間地震概況

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平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

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泊発電所 地盤(敷地の地質・地質構造)に関するコメント回答方針

○ 01 那覇市

学 校 対 抗 男 子 学 校 対 抗 6 月 3 日 ( 金 ) 9:00~ 開 始 式 ~ 学 校 対 抗 決 勝 リーグ2 回 戦 まで 6 月 4 日 ( 土 ) 9:00~ 学 校 対 抗 決 勝 リーグ3 回 戦, 個 人 戦 ( 複 ) 決 勝 まで, 個 人 戦 ( 単 )1 回 戦

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平成9年度水道事業年報 1概況 2施設

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9 箇所名 江戸川区 -1 都道府県東京都 市区町村江戸川区 地区 清新町, 臨海町 2/6 発生面積 中 地形分類 盛土地 液状化発生履歴 近傍では1855 安政江戸地震 1894 東京湾北部地震 1923 大正関東地震の際に履歴あり 土地改変履歴 国道 367 号より北側は昭和 46~5 年 南

局別風向頻度表 期間平成 29 年 4 月 1 日 ~ 平成 30 年 3 月 31 日 項目風向 市町村名 測定局 区分 N NNE NE ENE E ESE SE SSE S SSW SW WSW W WNW NW NNW CALM 合計 南町 度数

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積粘土と同様に上下で低く 中央で高い弓形分布を示す 図 () の I L は 長田 新庄 門真で 1 以上を示し 東大阪地域の沖積粘土の特徴である超鋭敏性が伺える ただし 鴫野の I L はかなり低い 図 (3) () の c v は 先の w L が反映されているが 特に新庄の中央部の圧縮性が高い

2016年熊本地震調査 第1報 2016年4月18日

むなかた電子博物館 紀要 第2号

スライド 1

0900167 立命館大学様‐災害10号/★トップ‐目次

防災教育の視点からみた円山川水系の水文環境と豊岡盆地の表層地質

PowerPoint プレゼンテーション

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マコガレイ中のセシウムの放射能濃度 ( 東電による 20km 圏調査 ) 厚労東電産地東電 No. No. 都道府県採取地採取 / 流通品魚種等採取部位採取日公表日公表 S1~S8: 刺し網 検査結果 (Bq/kg) ( グラフ用 ) ヨウ素 -131 セシウム計 セシウム -134 セシウム -1

16 三 島 北 普 通 Ⅰ (10% 程 度 ) Ⅱ (3% 程 度 ) 御 殿 場 情 報 システム Ⅰ (15% 程 度 ) Ⅱ (35% 程 度 ) 情 報 ビジ

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(2) 都 市 計 画 区 域 市 街 化 区 域 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 1 都 市 計 画 区 域 の 変 遷 2 市 街 化 区 域 及 び 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 旧 石 巻 市 ( 単 位 :ha) ( 単 位 :ha) 変 更 都 市 計 画 区 域 行

大会運営


第26号(PDF納品用)/表1・表4・背

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Transcription:

砂と砂浜の地域誌 27 阿武隈の海岸を訪ねる 相馬から広野へ 61 第2図 浜通平野の地質概要20万分の1地質図 福島 白河 を簡略化1 13は砂の 観察地点で 各地点の名称は第1図と同 じ 武隈山地の東縁は双葉断層で断ち切られますそし 南相馬市の中心街 旧原町市街 から新田川の沖 てその東側は 新第三系や第四紀の段丘堆積物など 積地に広がる水田地帯を一直線に駆け抜けて 新田 からなる台地と これを阿武隈山地から流下する中 川の河口を目指しました新田川はあくまでも穏やか 小河川が刻んだ谷とが交互に配列した浜通平野とな で 流路には砂礫の堆積も少なく 緑の川原をまとっ っています 第2図 て 静かに太平洋に流入しているようでした 阿武隈山地から流下する中小河川 北から新田 まず行き着いた海岸は 河口南側の渋佐海岸でし 川 太田川 小高川 請戸川 前田川 熊川 富岡 た高い護岸堤のある海岸で 護岸堤の上からは北 川 木戸川 浅見川が台地を削って 西から東へ延 に原町火力発電所の港湾の防波堤や高台の電力会 びる沖積平野を造っていますこれらの沖積平野と 社の施設などが望まれました 写真1 太平洋の間では 阿武隈山地の花崗岩に由来する石 高い護岸堤の陸側には松原が広がり 海側には草 英砂の美しい砂浜が 白砂青松 の風景を造り出して が茂り始めた砂礫の浜の先に2 列のテトラポッドが いました 延々と続いていました 早速 海岸を訪ねてみましょう今回は南相馬市の 砂礫の間の砂は径 1.5mm 淡褐色で分級やや良 北泉海浜公園の南 新田川の河口からスタートです 好な中 粗粒砂でした構成粒子は 石英が多く 褐 色珪質岩や長石 貝殻などが少量混じっていました 3新田川河口 2010 年 10 月号 写真2 砂礫質部では 砂岩 珪質岩 花崗岩の砂 礫が多く見られました

62 須 藤 定 久 写真1 渋佐海岸北の方を眺めると新田川の向こうの 台地と切り立つ海蝕崖が見えます 写真3 萱浜海岸護岸堤と離岸堤の間に砂礫の浜があ り 一部に砂の浜が残されています 写真2 渋佐海岸の砂粗粒部 左 と細粒部 右 画面 上下が約1cm 写真4 萱浜海岸の砂分級良好な細砂でした 画面上 下が約1cm 渋佐海岸から南へ1.2 km 萱浜という所で再び海 岸を覗いてみましたそこにも松林の海側に高い護 4太田川河口 岸堤があり その先に草が茂り始めた砂礫の浜が そ 新田川の沖積谷から南側の台地に登って しばらく の先にテトラポッドの列があり その切れ目に小さな入 走り 太田川の谷に下り込むとすぐに太田川の河口 り江と砂浜がありました 写真3 浜がありました 南の方を遠望すると 遠くの高台まで松原の海側 に 傾斜護岸とテトラポッドの列が続いているようで した 河口の北は磯となっており 崖の下にはテトラポッ ドが延々と並べられています 写真5 河口付近の太田川の川原には たっぷりの砂礫の 渚の砂は径 1.0mm 暗灰色で分級良好な中 粗 堆積が見られました 写真6 太田川の中流には横 粒砂でした構成粒子は 輝石 石英が多く 褐色珪 川ダムがありますが まだまだ砂礫の流下量は多いよ 質岩や砂鉄などが少量混じっていました 写真4 浜 うです の中部や上部では 輝石があまり多くない灰色の砂 が多く見られました 河口の南側の海岸には ここでも松林の海側に高 い護岸堤があり その先にはわずかに残された草が 地質ニュース 674 号

砂と砂浜の地域誌 27 阿武隈の海岸を訪ねる 相馬から広野へ 63 写真5 太田川河口北側の海岸海蝕崖の下に護岸堤 テトラポッドの列が見られます 写真7 太田川河口部の砂粗粒部 左 と細粒部 右 画面上下が約1cm 写真6 太田川河口部に堆積した砂礫河口部にのみ多 量の砂礫が見られます 写真8 小高川河口北側の海岸ここにも海蝕崖の下に 護岸堤 テトラポッドの列が見られます 茂り始めた砂礫の浜 そしてその先にテトラポッドの 河口の北側は ここでも磯となっており 崖下には 列が延々と続いています テトラポッドの列が続いていました 写真8 河口付近の浜砂は径 4.5mm 淡褐灰色 分級極 テトラポッドの誘導堤で太平洋へと導かれる小高 不良な砂礫でした構成粒子は 石英 長石 砂岩 川の河口部には砂礫がたっぷりと堆積していました が多く 貝殻が少量混じり 円磨度はやや不良でした 写真9 小高川は浜通平野の台地を削って流下す 写真7 浜上部には吹き上げられたと思われる径 る川です大量の砂礫はどこからやってくるのでしょ 1.2mm 淡褐灰色 分級やや良好な中 極粗粒砂 も見られました うか 河口の南側には村上海岸海水浴場があります長 さ1,050mの階段状の湾曲した護岸堤とテトラポッドを 5小高川河口 太田川河口浜の南の狭い台地を越え 小高川を渡 ると小高川の河口浜でした 2010 年 10 月号 並べた長さ110 m の離岸堤7 基で守られた人工海浜 が広がっていました 写真10 この人工海浜は 高い護岸堤を壊して 階段状の 護岸と人工海浜とが整備されたようですまだ地形

64 須 藤 定 久 写真9 小高川河口部ここにも多量の砂礫が堆積してい ます 写真11 人工海浜の砂粗粒部 左 と細粒部 右 画 面上下が約1cm 写真10 村上海岸の人工海浜湾曲した護岸の先に 人工海浜が造られています 写真12 人工海浜の南護岸堤とテトラポッドの並ぶ浜 が続いているようです 図にも載っていませんので 最近のことなのでしょう やや良好でした 離岸堤にも 真新しいテトラポッドが大分追加されて いるようです 人工海浜の砂は径 0.7mm 灰色で分級やや良好 人工海浜の南側には 小高川と海の間に松林と砂 浜が続いていますが ここでも 松林と海の間に高い 護岸堤があり その先にわずかに残された草が茂り な中 粗粒砂でした構成粒子は 石英が多く 褐色 始めた砂礫の浜 そしてその先にテトラポッドの列が 珪質岩や長石 貝殻などが少量混じっています 写 延々と続いているようです 写真12 真11 人工海浜中部には 径 6.5mm 淡褐色 分 級やや不良な砂礫の分布が見られました構成粒子 は 石英 花崗岩 頁岩 砂岩 蛇紋岩 貝殻など多 彩で 円磨度はやや良好でした 6松林の向こうには 小高川河口浜から松林の脇を南へ進み 小さなこ 小高川の河口側の砂は径 2.5mm 淡褐色で分級 ぶを乗り越えると谷地海岸となっています海岸の やや不良な粗 極粗粒砂でした構成粒子は 石 松林に沿って南下しますが 海岸へ出る道は見つか 英 花崗岩 頁岩 砂岩 貝殻など多彩で円磨度は りません松林の向こうには高い護岸堤とテトラポッ 地質ニュース 674 号

砂と砂浜の地域誌 27 阿武隈の海岸を訪ねる 相馬から広野へ 65 写真13 高い護岸堤民家の2階の屋根ほどの高い護岸 堤がどこまでも続いています 写真15 マリンパークなみえ の北側には 離岸堤に守 られた砂浜が続いています 写真14 護岸堤の先狭い砂礫の浜の先にテトラポッド 列が続き 荒波が打ち寄せていました 写真 16 マリンパークなみえ 海水浴場の砂粗粒部 左 と細粒部 右 画面上下が約1cm ドの列が続き 海岸には近づくことができない状況と に降り しばらく進むと請戸川の河口でした なっているようです もう一つの台地を越えると井田川地区の海岸です かつて沼であった干拓地と海の間に松林が続いてい 7請戸川河口 ます海岸に出てみたいと思い松林に沿って南下し 河口の北側には マリンパークなみえ がありま てみましたが なかなか海岸へ出る道は見つかりませ すさまざまなスポーツ施設がある公園の少し先 請 んようやく道が見つかったのは この海岸の南部 戸川河口の北側に海水浴場が設けられています 浦尻地区でした やはり 松林の海側には2 階の屋根ほどの高い護 階段状の護岸の先には河口から北へ延びる長さ約 1 kmに及ぶ砂浜が広がっています河口のすぐ北に 岸堤が築かれ その先には疲弊しきった浜とテトラポ ある海水浴場付近には 請戸川から流下する砂礫が ッドの列が延々と続いていました砂浜には近づけま 河口の南側にある請戸漁港の防波堤の影響で堆積す せんでした 写真13 14 るためか 広い砂浜となっていますしかし すぐ北 再び台地に駆け上がり 5 kmほど南で請戸川の谷 2010 年 10 月号 側から砂浜は狭まり 離岸堤で守られているようです

66 須 藤 定 久 写真17 請戸漁港テトラポッドが並べられ 漁港の拡張 が進められているようです 写真19 中浜海岸の砂渚の砂の粗粒部を撮影してみま した 画面の上下が約1cm 写真18 中浜海岸緩傾斜護岸の下に離岸堤が造られ わずかに細かい砂の浜が残っています 写真20 階段状護岸が整備され その先にヘッドランドと 離岸堤に守られた浜があります 写真15 そんな浜の渚の砂は径 0.7mm 灰色で分級良好 海水浴場の砂は径 1.0mm 淡褐色で分級やや良 な中 粗粒砂でした構成粒子は 石英 長石 褐 好な中 粗粒砂でした構成粒子は 石英 長石 色珪質岩 貝殻など多彩で円磨度はやや良好でした 褐色珪質岩 貝殻など多彩で 円磨度はやや良好で 写真19 浜の中部には径 1.7mm 淡褐灰色の中 した 写真16 渚の一部には径 3.0mmの粗粒砂 砂礫が 上部 極粗粒砂が 浜の上部には径 0.7 mm 灰色 分 級良好な中 粗粒砂も見られました には径 1.5mmの粗 極粗粒砂も見られました 河口の南側には請戸漁港があり 大がかりな拡張 工事が進められています 写真17 漁港から南1.5 kmほどの中浜海岸に出てみました 8双葉海岸 海岸の松原に沿ってさらに南へ1 kmほど南下する ここでも松林の海側には高い護岸堤が築かれ そ と前田川河口の南側 小高い丘の麓に双葉海水浴場 の先には疲弊しきった浜とテトラポッドの列がありま があります海側に張り出したヘッドランド 突堤 と した 写真18 階段状の緩傾斜護岸とが造る角地に 離岸堤で守ら 地質ニュース 674 号

砂と砂浜の地域誌 27 阿武隈の海岸を訪ねる 相馬から広野へ 67 写真21 双葉海岸の砂分級良好な細かい砂でした 画面の上下が約1cm 写真23 熊川海岸の南 青い海の向こうには真っ白い海 蝕崖が望まれました 写真22 双葉海岸南側の海蝕崖浸食を防ぐために大 量のテトラポッドが投入されています 写真24 熊川海岸の砂粗粒部 左 と細粒部 右 画 面の上下が約1cm れた三角形の砂浜が広がっていました 写真20 砂浜の渚の砂は径 1.0mm 淡灰色で 分級良好 9熊川海岸 磯の間のポケットビーチ な中 粗粒砂でした構成粒子は 石英 褐色珪質 河口の北側に熊川海岸があります熊川の河口部 岩 長石 貝殻など多彩で円磨度はやや良好でした にある長さ500mほどの小さな浜ですすぐ北側には 写真21 浜の一部には輝石が多い暗灰色の砂も見 台地が迫り 高い海蝕崖の下のテトラポッドに波が砕 られました けています南側 熊川の河口の南には 新第三系 この海水浴場から南側は磯となっており 高さ20m の水平な白い地層が露出した海蝕崖に囲まれた台地 を越える海蝕崖が眺められます 写真22 海水浴場 が真っ青な海に張り出し 印象的な光景が展開して から台地に登り 南下すると福島第1原子力発電所で いました 写真23 すそれを迂回して しばらく台地上を南下すると間 もなく熊川の河口に達します この浜の渚の砂は径 1.5mm 淡灰色の分級良好 な中 極粗粒砂でした構成粒子は石英 褐色珪質 岩 長石 貝殻など多彩で円磨度はやや良好でした 写真24 浜の一部には 径 6.0mmの砂礫質な部 2010 年 10 月号