Microsoft Word - 16 基礎知識.pdf

Similar documents
被ばくの経路 外部被ばくと内部被ばく 宇宙や太陽からの放射線 外部被ばく 内部被ばく 呼吸による吸入 建物から 飲食物からの摂取 医療から 医療 ( 核医学 * ) による 傷からの吸収 地面から 放射性物質 ( 線源 ) が体外にある場合 放射性物質 ( 線源 ) が体内にある場合 * 核医学とは

目 的 GM計数管式 サーベイメータ 汚染の検出 線量率 参考 程度 β線を効率よく検出し 汚染の検出に適している 電離箱型 サーベイメータ ガンマ線 空間線量率 最も正確であるが シン チレーション式ほど低い 線量率は計れない NaI Tl シンチレー ション式サーベイメータ ガンマ線 空間線量率

PowerPoint プレゼンテーション

放射線とは 物質を通過する高速の粒子 高いエネルギーの電磁波高いエネルギの電磁波 アルファ (α) 線 ヘリウムと同じ原子核の流れ薄い紙 1 枚程度で遮ることができるが エネルギーは高い ベータ (β) 線 電子の流れ薄いアルミニウム板で遮ることができる ガンマ (γ) 線 / エックス (X) 線

等価線量

PowerPoint プレゼンテーション

fsc

第 7 回日本血管撮影 インターベンション 専門診療放射線技師認定機構 認定技師試験問題 Ⅲ 放射線防護 図表は問題の最後に掲載しています 日本血管撮影 インターベンション専門診療放射線技師認定機構


食品安全委員会はリスク評価機関 厚生労働省農林水産省 食品安全委員会消費者庁等 リスク評価 食べても安全かどうか調べて 決める 機能的に分担 相互に情報交換 リスク管理 食べても安全なようにルールを決めて 監視するルを決めて 2

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF C CF88F589EF816993DE97C789EF8FEA816A2E B8CDD8AB B83685D>

放射線の測定について

はじめに 一般社団法人長野県診療放射線技師会では 放射線についての啓発活動をおこなっています その一環として 放射線と被ばくについて理解を深めていただくためにこの冊子を作成しました 放射線についてより理解を深めていただければ幸いです 放射線の種類と性質 放射線にはさまざまな種類があります 代表的な

福井県地域防災計画(原子力防災編)の修正案の概要

福島原発とつくばの放射線量計測

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF CC95FA8ECB90AB95A88EBF82C982E682E98C928D4E89658BBF82C982C282A282C F38DFC A2E >

Microsoft PowerPoint - DI2016_8.pptx

きます そのことを示すのが 半分に減るまでの 半減期 です よく出てくるヨウ素 131 は 8 日で セシウム 137 は 30 年です 半減期を迎えた後は またさらに半分になるまで 半減期 を要することになり これが繰り返されます 2. 放射線の測定 東京工業大学での測定 (1) 放射線の測定放射

陰極線を発生させるためのクルックス管を黒 いカートン紙できちんと包んで行われていた 同時に発生する可視光線が漏れないようにす るためである それにもかかわらず 実験室 に置いてあった蛍光物質 シアン化白金バリウ ム が発光したのがレントゲンの注意をひい た 1895年x線発見のきっかけである 2

PowerPoint プレゼンテーション

reference3

スライド 1

島根原子力発電所原子力事業者防災業務計画の届出について

第 6 節原子力事業者防災業務計画の修正第 2 章原子力災害予防対策の実施第 1 節防災体制第 2 節原子力防災組織の運営第 3 節放射線測定設備及び原子力防災資機材の整備第 4 節応急措置及び原子力災害対策活動で使用する資料の整備第 5 節応急措置及び原子力災害対策活動で使用 利用する施設及び設備

<4D F736F F D208CB48E7197CD8E968BC68ED296688DD08BC696B18C7689E E7C816A E31322E DC58F4994C5817A>

<4D F736F F F696E74202D B9E B95FA8ECB90FC5F904888C088CF8B7695DB2E B8CDD8AB B83685D>

講義の内容 放射線の基礎放射線の単位低線量被曝のリスク放射線防護

病院避難教材.pptx

<4D F736F F F696E74202D E9197BF31817A8CB48E7197CD91CE8DF482C98AD682B782E990A CC8FF38BB582C982C282A282C42E

QA- 内部被ばくの特徴は どのようなものですか 内部被ばくの特徴として 放射性核種によって特定の臓器に集まりやすいことがあります 特定の臓器についてはこちら * をご参照ください * 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料上巻第 章 ページしかし 体内に取り込まれた放射性物質は代謝によって

問題 1. 電離放射線障害防止規則において誤っているのはどれか 1. 規制対象は診療における患者の被曝も含まれる 2. 外部被曝による線量の測定は 1 cm 線量当量 及び 70 μm 線量当量について行う 3. 放射線業務従事者はその受ける実効線量が 5 年間につき 100 msv を超えず かつ

目次 Ⅰ. 監視測定設備 3 Ⅱ. 監視測定等に関する手順 9

sankou5

放射線の人体への影響

スライド 1

PowerPoint プレゼンテーション

以下 50 音順 アクチニド原子番号 89 の元素アクチニウムを代表として 化学的性質が極めて類似した一連の元素の総称 いずれも放射性元素である これに属する元素は アクチニウム (Ac) トリウム (Th) プロトアクチニウム (Pa) ウラン (U) ネプツニウム (Np) プルトニウム (Pu

緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)ネットワークシステム

平成18年度サイエンス・パートナーシップ・プログラム(SPP)

<4D F736F F D DB8CAF97BF8CB896C68B4B91A B6>

第 2 章 放射線による被ばく 環境省 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 ( 平成 28 年度版 ) 放射線による被ばく第 2 章

ガンマ線 (γ 線 ) 簡単に言うと原子核から出てくる電磁波 ( テレビの電波や赤外線 光などの仲間 ) で 電気をもっていません 極めて波長が短く X 線と同じ性質をもっています 詳しくいうと原子核が崩壊したときに必要なくなったエネルギーがガンマ線でアルファ線やベータ線と異なり電荷を持たない放射線

広く分布した放射性核種による放射線場 ―モンテカルロ計算コードegs5の活用-

はじめに 放射線 放射能 放射性物質とは 電球 = 光を出す能力を持つ ワット (W) 光の強さの単位 光 ルクス (lx) 明るさの単位 放射性物質 = 放射線を出す能力 ( 放射能 ) を持つ 放射線 ベクレル (Bq) 放射能の単位 換算係数 シーベルト (Sv) 人が受ける放射線被ばく線量の

2. 調査対象 国道 114 号等を自動車で通行する運転手等の被ばく線量 国道 114 号等で 事故 車両の故障等のために車外に待機した運転手等の被ばく線量 3. 調査方法 (1) 調査対象区間 ( 図 1) 経路 1: 国道 114 号川俣町 / 浪江町境界付近 ~ 浪江 IC 付近 [27.2k

Microsoft Word - 12用語集H26☆.doc

PowerPoint プレゼンテーション

放射線- 62 -Ⅴ放射能と放射線 懐中電灯 光 光を出す能力 放射能を持つ物質 ( 放射性物質 ) のことを指して用いられる場合もある 放射線に関する単位 放射能の単位 明るさを表わす単位 ルクス (lx) 放射性物質 放射線によってどれだけ影響があるのかを表わす単位 シーベルト

<4D F736F F F696E74202D2095FA8ECB90FC93C195CA8D758B E646F B8CDD8AB B83685D>

スタート! RI119

スライド 1

2011 年 11 月 25 日 - 低線量被ばく WG 資料 低線量被ばくの健康リスクとその対応 大分県立看護科学大学 人間科学講座環境保健学研究室 甲斐倫明

<4D F736F F F696E74202D202888E48FE390E690B6816A89A1956C8E738E7396AF8CF68A4A8D758DC08F4390B38CE32E B8CDD8AB B83685D>

矢ヶ崎リーフ1.indd

放射線被ばくによる小児の 健康への影響について 2011 年 5 月 19 日東京電力福島原子力発電所事故が小児に与える影響についての日本小児科学会の考え方 本指針を作成するにあたり 広島大学原爆放射線医科学研究所細胞再生学研究分野田代聡教授の御指導を戴きました 御尽力に深く感謝申し上げます

1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

Microsoft PowerPoint - 医療の中の放射線 - A4.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

監修者 浅利靖 北里大学医学部救命救急医学教授 山口芳裕杏林大学大学院医学研究科外科系専攻救急医学分野教授 本教材は 平成 25 年度原子力災害時における医療対応に関する研修事業及び平成 26 年度原子力災害医療に関する研修の実効性向上事業において作成したものを基に改訂しました 作成に当たりご協力い


PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 食品安全委員会(2011年4月28日講演) (NXPowerLite).ppt [互換モード]

放射線や放射性同位元素などの安全取扱い ( 基礎 ) 安全取扱 ( 基礎 ) 生命資源研究 支援センター古嶋昭博 放射線に関する基礎 1. 放射線の発生放射性同位元素 : 放射性崩壊 放射能 半減期 X 線の発生 :X 線管 2. 放射線の性質放射線の種類 :α 線 β 線 γ 線 X 線 中性子線

Microsoft Word 改(QA集)HP掲載.doc

首都大学東京

何が起こっているかを知ろう!

原子力規格委員会シンポジウム平成 26 年度活動報告 原子力発電所緊急時対策指針 (JEAG ) の改定について 平成 27 年 6 月 4 日 ( 一社 ) 日本電気協会原子力規格委員会 運転 保守分科会 緊急時対策指針検討会

2. 防災拠点の代替施設の指定防災拠点施設が被災し使用不能となれば 災害対策本部等が設置できず 活動体制全体に遅れが生じ 迅速な災害対応を指揮することが困難となるとともに 災害対応以外の業務 ( 通常業務 ) を行うことも困難となるため 代替施設での対応が必要となります そのため 防災拠点施設におい

untitled

放射線量(マイクロシーベルト)と身を守る対応について.doc

東電福島原発事故後の放射線防護対策-リスクコミュニケーションの担い手は?-

防護一般課程 (10 日間コース ) シラバス 各科目の時間配分とキーワード 講義 放射線防護の原則と安全基準 [90 分 ] 放射線防護の考え方 安全基準の考え方 放射線の物理学 (1)(2) [90 分 x2] 原子構造 放射線と物質との相互作用 単位 放射線計測 (1)(2) [90 分 x2

スライド 1

破綻した原子力防災

<4D F736F F F696E74202D B B DE97C78CA F81698BDF8B4591E58A C993A1934

Microsoft PowerPoint - ALIC  pptx

* _目次.indd

PowerPoint プレゼンテーション

目次 第 1 ガイドラインの目的 第 2 避難計画作成に当たっての留意事項 第 3 避難計画の内容等 ( 避難計画の作成例 )

DVIOUT-radiati

目次 ( スライド No) 1. 原子力発電所における安全確保の取り組み 1 2. 原子力災害発生時における原子力事業者の支援の枠組み 2 (1) 原子力緊急事態支援センターによる支援 3 (2) 原子力事業者間協力協定に基づく支援 5

はじめに 放射線と放射性物質の違い 放射線 この液体には放射能 ( 放射線を出す能力 ) がある 放射性物質はそこから放射線を 出します 放射性物質 放射線 放射性物質 放射性物質が体に入ると 体に残ったり 移動したりすることがあります 放射線は体に残りません移動しません

資料第10-1-1号 :文部科学省によるプルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について

<4D F736F F F696E74202D2088C08AC78BA D A8E7589EA32835E815B DB8AC78CC972372E B8CDD8AB783828


Microsoft PowerPoint - 05.Tanaka.pptx

<4D F736F F F696E74202D208DC590565F89AA8E528CA797A7907D8F918AD9815B8CF68A4A8D758DC0>

防護体系における保守性

<4D F736F F D DA18CE382CC A835E838A F95FB906A89FC92E888C BD A2E646F63>

放射線遮蔽ゴムシートは 放射線遮蔽効果のある硫酸バリウムを当社独自の配合設計により高充填させることによって開発した 放射線遮蔽材です 従来では考えられないような量の硫酸バリウム (70% 以上 : 重量比 ) をゴムの中に配合し かつゴム本来のもつ柔軟性を保持することに成功しました INDEX 開発

原子力災害対策指針の改悪に反対しよう 毎時 20μSv( 一時移転の基準 ) を計測しても 1 日がまん SPEEDI 等の予測的手法は使わず 実測値による避難指示 被ばく前提の避難 30 km圏外のプルーム対策 (PPA) は必要なし 屋内退避のみ安定ヨウ素剤の準備も不要子どもや妊婦の基準もなし

スライド 1

原災法第 15 条第 2 項に規定する原子力緊急事態宣言 ( 以下 原子力緊急事態宣言 という ) の発出に基づき 直ちに避難を実施するなど放射性物質の環境への放出前の段階から予防的に防護措置を準備する区域をいう (2) 緊急時防護措置を準備する区域 (UPZ) 原子力施設の緊急事態区分に応じた緊急

fruikei.xls

放射線の人体に与える影響および 放射線とアイソトープの安全取扱の実際Ⅱ   北海道大学大学院医学研究科  加藤千恵次

REMAT における初動対応での放射線防護 REMAT の隊員が汚染のある地域や高線量率の地域において活動する可能性がある場合 各隊員は個人線量計の他 携帯型の空間線量率計および表面汚染サーベイメータを装備す る また車両および各隊にはラジプローブ ( 補足資料 2 参照 ) を装備する 活動内容や

東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故直後の平成 23 年 3 月 17 日には 原子力安全委員会の示した指標値を暫定規制値として設定し 対応を行ってきました 平成 24 年 4 月 1 日からは 厚生労働省薬事 食品衛生審議会などでの議論を踏まえて設定した基準値に基づき対応を行っています 食品

1. はじめに 1. 放射能 放射線と聞いた時のイメージは? (1) 怖い (2) 危ない (3) 恐ろしい (4) がんになる (5) 白血病 (6) 毛が抜ける (7) 原爆 (8) 奇形 (9) 遺伝的影響 遺伝障害 (10) 原発 (11) 原発事故 (12) 福島事故 (13) 目に見えな

2 チェルノブイリ事故でどんなことが起こったか ( いろんな報告があるが 国連の会議で検討した結果 2008 年に発表された内容による ) ⑴ 緊急作業従事者 134 人が重篤な被ばくにより急性放射線障害を発症した このうち 28 名は致命的な被ばくであった ( 皮膚障害 白内障 ) ⑵ 復興作業員

Transcription:

資料 16 基礎知識 (1) 放射能と放射線 - 65 -

- 66 -

出典 :2012 年版原子力 エネルギー図面集 ( 電気事業連合会 ) - 67 -

(2) 放射線の人体への影響 - 68 -

出典 : 放射線の影響が分かる本 ( 公益財団法人放射線影響会 ) - 69 -

(3) 放射線被ばくの早見図 出典 : 独立行政法人放射線医学総合研究所ホームページ - 70 -

(4) がんのリスク 出典 : 国立がん研究センターホームページ - 71 -

(5) 放射線業務従事者の線量限度 実効線量限度 等価線量限度 緊急作業に係る線量限度 100mSv/5 年 50mSv/ 年女子については 5mSv/3 月妊娠中である女子 1mSv ( 管理者が妊娠と知ったときから出産までの間につき ) 目の水晶体 150mSv/ 年皮膚 500mSv/ 年妊娠中である女子の腹部表面 2mSv( 管理者が妊娠と知ったときから出産までの間につき ) 放射線業務従事者 ( 女子 * を除く ) の線量限度は実効線量について 100mSv 目の水晶体の等価線量について 300mSv 及び皮膚の等価線量について 1Sv とする ( 女子 *: 妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を使用者等に書面で申し出た者を除く ) - 72 -

(6) 放射線測定 - 73 -

- 74 -

出典 :2012 年版原子力 エネルギー図面集 ( 電気事業連合会 ) - 75 -

(7) 原子力発電のしくみ - 76 - 出典 :2012 年版原子力 エネルギー図面集 ( 電気事業連合会 )

- 77 -

(8) 用語集 外部被ばく確定的影響確率的影響吸収線量空間線量率 ( 空気吸収線量率 ) グレイ (Gy) 原子力緊急事態宣言 体外に存在している放射線源からの放射線による被ばく 放射線による人体影響の分類の一つ しきい線量が存在し 重篤度が線量の大きさと共に増大する しきい線量を超えた場合にのみ影響が現れ 線量の増加と共に影響の発生確率が急激に増加 重篤度も増加する 例えば 皮膚障害 組織障害 固体死などがある 線量のしきい値なしに発生し その発生確率は線量に比例し その重篤度は線量に無関係とされる放射線影響 例として発がんがある 吸収線量はある任意の物質中の単位質量当りに放射線が付与したエネルギーの平均値である 吸収線量の SI 単位 ( 国際単位系 ) は J/kg であるが これにはグレイ (Gy) という特別な名称が付けられている 吸収線量は 照射線量と異なり 適用できる放射線や物質の種類に制限はない また 物質が異なると 同じ種類の放射線に対しても吸収線量の値は異なる このため 吸収線量を示す場合には 空気吸収線量 組織吸収線量というように 物質の種類を明示することが必要である 放射線により単位時間に空気中で吸収されるエネルギー量 単位は Gy/h または Sv/h で表す グレイは 放射線をある物質に当てた場合 その物質が吸収した放射線のエネルギー量を表す単位で 吸収線量の単位に用いられる 1グレイは 放射線を受けた物体 1キログラムあたり1ジュールのエネルギーを吸収したことに相当する この単位は放射線や物質の種類によらず適用されるもので 放射線が物質 ( 人体を含む ) に与える影響を評価するときの基本的な物差しになる 原子力災害対策特別措置法第 15 条に定める下記の原子力緊急事態に至った場合 内閣総理大臣による原子力緊急事態宣言が発出される この宣言により 国は原子力災害対策本部 ( 本部長 : 内閣総理大臣 ) - 78 -

サーベイメータ 実効線量 シーベルト (Sv) の設置 原子力事業者 国の各機関 関係自治体などに対する必要な指示などを行うとともに 原子力災害現地対策本部 ( 本部長 : 副大臣 ) をオフサイトセンターに設置し 原子力災害合同対策協議会が組織される サーベイメータは 放射性物質または放射線に関する情報を簡便に得ることを目的とした 小型で可搬型の放射線測定器である サーベイメータには 電離箱式 GM 管式 シンチレーション式 半導体式の各検出器がガンマ線 X 線用に用いられる ベータ線放出核種による汚染の検査には GM 管式検出器 比例計数管式検出器が アルファ線放出核種にはシンチレーション式検出器がよく用いられる 中性子線の測定には BF3 ガスまたはヘリウム-3ガスを用いた比例計数管式検出器とプラスチックなどの減速材を組合せて熱中性子から高速中性子までの広いエネルギー範囲の中性子線を測定することのできるレムカウンタが用いられる 放射線による身体への影響 すなわちがんや遺伝的影響の起こりやすさは組織 臓器ごとに異なる 組織ごとの影響の起こりやすさを考慮して 全身が均等に被ばくした場合と同一尺度で被ばくの影響を表す量を実効線量という 実効線量を表す方法として ある組織 臓器の等価線量に 臓器ごとの影響に対する放射線感受性の程度を考慮した組織荷重係数をかけて 各組織 臓器について足し合わせた量が用いられる 実効線量 (Sv)=Σ( 等価線量 (Sv) 組織荷重係数 ) 人体が放射線を受けた時 その影響の程度を測るものさしとして使われる単位である 放射線の種類やそのエネルギーによる影響の違いを放射線荷重係数として勘案した 臓器や組織についての 等価線量 さらに人体の臓器や組織による放射線感受性の違いを組織荷重係数として勘案した 全身についての 実効線量 がある - 79 -

組織加重係数等価線量特定事象ベクレル (Bq) 放射性物質 組織荷重係数は 照射された臓器 組織によりがんや遺伝的影響の程度が異なることを考慮するために乗じる係数である 実効線量を計算するときにこの係数を等価線量に乗じ積算する 等価線量は 人の組織や臓器に対する放射線影響が放射線の種類やエネルギーによって異なるため 組織や臓器の受ける放射線量を補正したものである 単位は シーベルト (Sv) である 等価線量は 次式のように吸収線量に人体への影響の程度を補正する係数である放射線荷重係数を乗じて得られる 等価線量 (Sv)= 吸収線量 (Gy) 放射線荷重係数特定事象とは 原子力災害対策特別措置法第 10 条第 1 項に規定する次の基準または施設の異常事象のことをいう 原子力事業所の境界付近の放射線測定設備により5 μsv/h 以上の場合排気筒など通常放出場所で 拡散などを考慮した5 μsv/h 相当の放射性物質を検出した場合管理区域以外の場所で 50μSv/h の放射線量か 5μ Sv/h 相当の放射性物質を検出した場合輸送容器から1m 離れた地点で 100μSv/hを検出した場合臨界事故の発生またはそのおそれがある状態原子炉の運転中に非常用炉心冷却装置の作動を必要とする原子炉冷却材の喪失が発生すること 等放射能の量を表す単位のこと 1ベクレルは 1 秒間に1 個の原子核が壊れ 放射線を放出している放射性物質の放射能の強さ または量を表す 放射線を出す能力を放射能といい 放射能をもっている原子 ( 放射性核種という ) を含む物質を一般的に放射性物質という また 個々の核種を限定しない場合は 放射性核種のことを総称して放射性物質ということもある 放射性物質 放射線及び放射能の関係は 電灯 が放射性物質に 電灯から出る 光線 が放射線に そして電灯の 光を出す能力 と その強さ ( ワット数 ) が放射能にあたる - 80 -

放射線放射能内部被ばく放射線加重係数モニタリングポスト EPZ(EPZ:Emergency Planning Zone): 防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲 ERSS( Emergency Response Support System): 緊急時対策支 ウランなど 原子核が不安定で壊れやすい元素から放出される高速の粒子 ( アルファ粒子 ベータ粒子など ) や高いエネルギーを持った電磁波 ( ガンマ線 ) 加速器などで人工的に作り出された X 線 電子線 中性子線 陽子線 重粒子線などのこと 原子核が別の原子核に壊れて変化し アルファ線 ベータ線あるいはガンマ線などの放射線を出す性質を放射能という 放射能をもっている物質を放射性物質といい その量をベクレル (Bq) で表す 体内の放射線源からの放射線による被ばく 吸収線量に乗じて等価線量を求めるため ICRP が定めた係数 低 LET 放射線に比べ 高 LET 放射線の高い生物学的効果を反映させるために 臓器又は組織の吸収線量に乗じる無次元の係数 放射線を定期的に または連続的に監視測定することをモニタリングといい 原子力発電所などの周辺でモニタリングを行うための設備をモニタリングポストという 環境の放射線量率の測定は 通常 ガンマ線を対象に行われ 検出器としてガンマ線に感度のよい 蛍光作用を利用した シンチレーション検出器 や電離作用を利用した 電離箱式検出器 がよく用いられる これらの測定器は 平常時の放射線レベルから緊急事態全般に渡る広範囲の放射線の変動を欠かすことなく連続測定監視できるようになっている 一部の地域では 中性子線の検出もできるようになっている 原子力施設からの放射性物質又は放射線の異常な放出を想定し 周辺環境への影響 周辺住民などの被ばくを低減するための防護措置を短期間に効率良く行うため あらかじめ異常事態の発生を仮定し 施設の特性などを踏まえて その影響の及ぶ可能性のある範囲を技術的見地から十分な余裕を持たせて定めた範囲をいう ( 原子力安全委員会の 原子力施設等の防災対策について ( 防災指針 ) による ) 緊急時対策支援システム (ERSS) は 原子力発電所の万一の事故などの緊急時に電気事業者から送ら - 81 -

援システム ETE(Evacuation Time Estimates): 避難時間推定 GE(Generic Criteria): 一般的基準 OIL(Operational Intervention Level): 運用上の介入レベル PAZ(Precautionary Action Zone): 予防的防護措置を準備する区域 PPA(Plume Protection planning Area): プルーム通過 れてくる情報にもとづき 当該原子力発電所の機器の状態を監視し 専門的な知識データベースにもとづいて現在の施設の状態を判断し その後の事故進展をコンピュータにより計算して予測するシステムである 情報収集システム 判断 予測支援システム 及び 解析予測システム から構成されている 情報収集システム は 情報収集計算機及び情報表示装置からなり 緊急時に電気事業者からオンラインで伝送されてくる発電所の情報を一括して収集し 事故の状況を迅速かつ的確に把握できるように 分かりやすい視覚情報として情報表示装置の画面上に表示するもので 経済産業省原子力安全 保安院の緊急時対応センター内に設置されている 一方 判断 予測支援システム 及び 解析予測システム は 独立行政法人原子力安全基盤機構に設置され 情報収集システムからの入力情報により専門的なデータベースに基づいて現在の事故状態を判断し その後の進展をコンピュータにより計算して予測するもので 計算結果を緊急時対応センターの画面表示装置に表示する 緊急時対応計画策定の際に 防護措置の一つである避難実施に掛かる必要な時間の推定 国際基準等に従って 確率的影響を実行可能な限り回避するため 環境モニタリング等の結果を踏まえた運用上の介入レベル (OIL) 緊急時対策レベル (EAL) 等に基づき 避難 屋内退避 安定ヨウ素剤の予防服用等を準備する区域 防護措置導入の判断に用いられる測定器による測定値などより求めたレベル 急速に進展する事故を考慮し 重篤な確定的影響等を回避するため 緊急事態区分に基づき 直ちに避難を実施するなど 放射性物質の環境への放出前の予防的防護措置 ( 避難等 ) を準備する区域放射性物質を含んだプルームによる被ばくの影響を避けるため 自宅への屋内退避等を中心とした防護 - 82 -

時の被ばくを避けるための防護措置を実施する区域 SPEEDI(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information): 緊急時迅速放射能影響予測 措置を実施する地域 SPEEDI ネットワークシステムは 原子力施設から大量の放射性物質が放出されたり あるいはそのおそれがあるという緊急時に 周辺環境における放射性物質の大気中濃度及び周辺住民の被ばく線量などを 放出源情報 気象条件及び地形データをもとに迅速に予測するシステムである 文部科学省 原子力安全委員会 経済産業省 緊急事態応急対策拠点施設 ( オフサイトセンター ) 地方公共団体及び日本気象協会とを原子力安全技術センターに設置された中央情報処理計算機を中心に専用回線により接続している 国 地方自治体は SPEEDI ネットワークシステムが予測した情報により 周辺住民のための防護対策の検討を迅速に行うことができる UPZ(Urgent Protective action Planning Zone: 緊急時防護措置 を準備する区域 国際基準等に従って 確率的影響を実行可能な限り回避するため 環境モニタリング等の結果を踏まえた運用上の介入レベル (OIL) 緊急時対策レベル (EAL) 等に基づき 避難 屋内退避 安定ヨウ素剤の予防服用等を準備する区域 出典 : 原子力防災基礎用語集 ( 公益財団法人原子力安全技術センター ) 原子力施設等の防災対策について の 見直しに関する考え方について中間とりまとめ ( 平成 24 年 3 月 22 日 ) - 83 -