約 6 倍になると予測されており これら高経年マンションが増えていく中 経年による建物 設備の劣化等に対応するための大規模修繕や改修等の資金不足の問題が深刻化している 今後 良質なマンションを維持していくためにも 特にマンション共用部のリフォームについての支援が急務である (4) 賃貸住宅のリフォー

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1. 国土交通省土地 建設産業局関係の施策 不動産流通に関する予算要求が拡大 ここ数年 国の住宅 不動産政策において 不動産流通に関する施策が大幅に拡大している 8 月に公表された国土交通省の 2019 年度予算概算要求概要によると 土地 建設産業局における施策は大きく 4 項目あるが 全体の予算額

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

平成 29 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) 制度名既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充 税目所得税 ( 国土交通省 ) 既存住宅流通 リフォーム市場の活性化に向けて 耐震性 省エネ性 耐久性に優れた良質な住宅ストックの形成を促進するため 既存住宅の耐震 省

設 拡充又は延長を必要とする理由 関係条文 租税特別措置法第 70 条の 2 第 70 条の 3 同法施行令第 40 条の 4 の 2 第 40 条の 5 同法施行規則第 23 条の 5 の 2 第 23 条の 6 平年度の減収見込額 百万円 ( 制度自体の減収額 ) ( - 百万円 ) 東日本大震

公的な住宅改修制度について

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新設 拡充又は延長を必要とする理由(1) 政策目的 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備する観点や低炭素化 循環型の持続可能な社会の実現の観点から 中古住宅取得や増改築等工事の適用要件の合理化や増改築等工事の対象を拡充することにより 中古住宅の流通促進 住宅ストックの循環利用に資する (

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平成 28 年 12 月 国土交通省住宅局

4 住宅購入 名称住宅購入に対する各種税金と給付金に関する支援 担当部課 概要新築または中古の住宅を取得するとかかる税金があります また 所得税控除や給付金が支払われる制度もあります 1. 不動産取得税 ( 県税 ) 土地や家屋などの不動産の取得時に 県が課税する税金です お問い合わせ先 神奈川県藤

第 7 章 間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 52ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期

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( 資料 3) 比較検討した住宅 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資料 4) 住宅の選択理由 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資

の各種税制優遇を受けやすくする見直しが行われ 入居までに耐震基準に適合するという証明があれば 1 住宅ローン減税 2 住宅取得資金に関する贈与税の非課税措置 3 中古住宅に関する不動産取得税の特例措置の適用が可能となる 耐震基準に適合しない中古住宅を取得し 耐震改修工事を実施した後に入居するような場

住宅リフォームの減税制度の概要 リフォームの減税制度 一定の要件を満たすリフォームを行った場合に受けられる減税制度は 5 種類あります 各制度の概要と主な要件は以下の通りです 詳細は本編をご覧ください 減税制度の種類 1. 所得税の控除 1 投資型減税 2 ローン型減税 3 住宅ローン減税 2. 固

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所得税確定申告セミナー

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2. 省エネ改修工事 耐震改修工事をした場合の所得税額の特別控除に係る工事範囲の拡充 (1) 改正の趣旨 背景 新築の長期優良住宅の認定基準制度に加え 平成 28 年 2 月 増改築による長期優良住宅の認定基準が制定された 長期優良住宅であると認定されることで 税制上様々な優遇措置を受けることができ

国土交通大臣 太田昭宏殿 平成 27 年 7 月 27 日 一般社団法人プレハブ建築協会 会長樋口武男 平成 28 年度住宅関連税制及び制度改正要望 昨年 政府は経済再生と財政健全化を両立するため 平成 27 年 10 月に予定していた消費税率 10% の引き上げを平成 29 年 4 月に 1 年半

住宅の省エネエネ改修改修に伴う固定資産税固定資産税の減額制度減額制度について 平成 20 年 1 月 1 日以前に建てられた住宅 ( 賃貸住宅を除く ) について 平成 20 年 4 月 1 日から平成 32 年 3 月 31 日までの間に 一定の要件を満たす省エネ改修工事を行った場合 120 m2

4. 平成 27 年度税制改正の概要 (1) 住宅の取得に関わる税制 登録免許税 不動産取得税 改正項目ヘ ーシ 改正内容 所有権保存登記 所有権移転登記 所有権の信託 抵当権設定の登記の軽減措置 税率の軽減措置 宅地評価土地の課税標準の軽減措置 軽減税率の適用期限を平成 27 年 3

消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策 1 住宅取得については取引価格が高額であること等から 消費税率引上げの前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ 一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和するとともに 良質な住宅ストックの形成を促し響国民の豊かな住生活を確保する

第一住宅関係税制 1. 住宅税制の抜本的な検討 次期消費税引上げまでの期間を活用し 消費税を含めた住宅に係る多重な課税について 抜本的な検討が必要である 良質な住宅ストックの形成に向けて 住宅の取得 保有に係る既存税制と消費税のあり方について 国民にわかりやすい恒久的かつ抜本的な見直しが必要である

要望理由 (1) 政策目的 既存住宅の流通の円滑化を通じ 既存住宅流通 リフォーム市場の拡大 活性化を図る また 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備するとともに 既存住宅の耐震化を促進し 住宅ストックの品質 性能を高め 国民の住生活の向上を目指す (2) 施策の必要性 国民がライフステ

税幅を 1% ずつ小刻みに引き上げるべきであるといった意見も浮上しており 予定通り引上げが実施されるかは 不透明な状況です Q 消費税増税で住宅取得時の税負担は どのくらい増加しますか A そもそも住宅購入にかかる消費税は 土地にはかからず新築物件なら建物部分のみです 仮に図表 1の モデル のよう

平成26年度税制改正及び土地住宅政策に関する提言書(案)

平成 31 年度税制改正概要 ( 住宅局 ) 結果特例措置税目 - 消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策 住宅ローン減税の控除期間を 3 年間延長 ( 建物購入価格の消費税 2% 分の範囲で減税 ) 所得税個人住民税 延長 拡充 空き家の発生を抑制するための特例措置 ( 延長 ) 相続した空き家につ

NO 年 1 月 23 日発行 編集 発行公益財団法人住宅リフォーム 紛争処理支援センター 東京都千代田区九段北 九段センタービル3F TEL FAX 消費者が安全で安心して暮らせる豊かな住生活の実現に

図表 2 住宅ローン減税の拡充 消費税率が 5% の場合 消費税率が 8% または 10% の 場合 適用期間 ~2014 年 3 月 2014 年 4 月 ~2017 年末 最大控除額 (10 年間合計 ) 200 万円 (20 万円 10 年間 ) 400 万円 (40 万円 10 年間 ) 控

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固定資産税等の概要及び税収動向等 3-1

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マンション棟数密度 ( 東京 23 区比較 ) 千代田区中央区港区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区江戸川区

間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 53ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期間 5 年間

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

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相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

建設の施工企画 特集 5 長寿命化 維持管理 リニューアル 住宅の長寿命化への取組 国土交通省住宅局住宅生産課 今後の住宅政策においては これまでの つくっては壊す フロー消費型社会から いいものをつくっ て きちんと手入れして 長く大切に使う という ストック重視型への転換を図ってい

計資料 50 設

要望理由 (1) 政策目的我が国の住宅ストックのうち 高齢者が安心し自立して暮らせるバリアフリー化された住宅は極めて限られている状況を踏まえ サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進することにより 高齢者に適した住まいの確保を図る (2) 施策の必要性本特例措置により 1 高度のバリアフリー化 2 安

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内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

住宅建築・購入者アンケート実施報告

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契約をするとき 契約書に貼る印紙税不動産取引で取り交わす契約書は 印紙税の対象となります 具体的には 不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書 土地賃貸借契約書 ローン借入時の金銭消費貸借契約書等がこれに当たります 印紙税の額は 契約書に記載された金額によって決定されます 原則として 収入印紙を課税

Microsoft PowerPoint (確定)【住宅事業者様向け】平成29年度市場動向調査

マンション建替え時における コンテキスト効果について

の範囲は 築 20 年以内の非耐火建築物及び築 25 年以内の耐火建築物 ((2) については築 25 年以内の既存住宅 ) のほか 建築基準法施行令 ( 昭和二十五年政令第三百三十八号 ) 第三章及び第五章の四の規定又は地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして定める基準に適合する一定の既存

平成18年度地方税制改正(案)について

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

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(4) 宅地建物取引士の欠格要件について定める第十八条第一項の五号の二の次に次の号が 付け加えられました 五の三暴力団員等 ( 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規 定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者 ) (5) 更新日前でも手数料を

4. 土地 住宅用建物に係る不動産取得税の特例の延長土地や住宅に対する投資を促進し 都市や地域の活力を高める観点から 土地及び住宅用建物に係る軽減税率 3%( 本則 4%) 及び宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準の特例 ( 固定資産税評価額の 1/2) の適用期限 ( 平成 27 年 3

新しい住宅ローン減税・投資型減税のしくみ(上)

事務連絡 平成 31 年 2 月 28 日 ( 一社 ) 住宅リフォーム推進協議会ご担当者様 国土交通省住宅局住宅政策課 住宅企画官付 住宅生産課 建築指導課 税制特例に係る証明書における建築士等の個人の住所欄の削除について 平素より住宅行政の推進にご協力をいただき 誠に有難うございます 先般 パブ

2. 控除の適用時期 Q. 12 月に取得した自宅の所在地に 年末までに住民票を移しましたが 都合で引っ越しが翌年になってしまった場合 住宅ローン控除はいつから受けることになりますか A. 住宅ローン控除の適用を受けるためには 実際に居住を開始することが必要です したがって 住民票を移した年ではなく

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左記に該当しない方 ボタンを選択した場合 ( 特定増改築等 ) 住宅借入金等特別控除 というリンクになった文字をクリックすると 住宅借入金等特別控除の入力画面が表示されます 所得 所得控除等入力 画面で ( 特定増改築等 ) 住宅借入金等特別控除 というリンクになった文字をクリックすると 3 ページ

#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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以下本人の給与収入速報 平成 29 年度税制改正解説所得課税 ~ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 2 配偶者の給与収入が 万円超 15 万円以下の場合の改正案の控除額及び改正前後の影響について 配偶者特別控除 配偶者の給与収入 万円超 15 万円 15 万円以上 11 万円 11 万円以上 1

(3) 居住用財産の買換えに伴う長期譲渡所得の課税の特例の適用期限 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) を延長する Ⅱ. 時代を先取りするまちづくりの推進税制 1. 国家戦略特区に係る特例の延長 拡充 (1) 我が国の大都市に世界中からヒト モノ カネ 情報を呼び込む魅力的なまちづくりを推進

Taro-町耐震改修助成要綱 j

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2. 要望事項は 9 つのテーマ 一般社団法人プレハブ建築協会の要望事項は 以下の 9 項目となっている 要旨を紹介する 1. 住宅取得に係る消費税の負担軽減措置を含む住宅税制の見直しついて 住宅に係る税制は 消費税をはじめ多重に課税されており 特に住宅取得時には大きな負担となっている このため 国

PowerPoint プレゼンテーション

平成 28 年 12 月 国土交通省住宅局

目次 1 調査概要 P2~P4 2 平成 29 年度の販売見込みについて ( 住宅事業者 ) P5~P6 3 平成 29 年度の住宅の買い時感について ( 一般消費者 ) P7 4 住宅で重視するポイントは?( 住宅事業者 一般消費者 ) P8~P9 5 建物の性能で重視する事項は?( 住宅事業者

スライド 1

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表紙

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住宅税制の概要 1 住宅の取得に係る税制 ( 注 ) を付した部分は 平成 22 年度税制改正により改正されたもの ( 1) 所得税 住宅ローン減税 ( 租 41) ( 国税 ) 住宅の新築 取得又は増改築等をした場合 10 年間 住宅ローン等の年末残 個人住民税 高の1.0%( 長期優良住宅につい

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

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国土交通省 次世代住宅ポイント制度 活用ガイド リフォーム編 TOTO DAIKEN YKK AP の製品で ポイントがもらえます! リフォームで最大 30 万 条件により上限が 異なります ポイント

財団法人 神奈川県建築安全協会

平成23年度 住宅リフォーム実例調査

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

事業用資産の買換え等 用資産を譲渡し あらた 中小企業 適用実積の 8 の場合の課税の特例措 に事業用資産を取得し 割以上が地方関連であ 置の延長 ( 法人税等 ) た場合 譲渡した事業用 り 中小企業の設備投資 29.4~32.3 資産の譲渡益について 等の促進による生産性 80%( 一部 75%

平成 29 年度税制改正要望 平成 28 年 9 月 5 日一般社団法人不動産協会 我が国の経済は緩やかな回復を続けているが 世界経済のリスクなどにより 先行きは不透明な状態となっている 我が国の経済がデフレからの脱却を確実なものとし GDP を拡大していくためには 経済効果の高い大都市が牽引すると


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障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

税金のいろいろ所得税の計算の税金サラリーマン20 生活の税金株式の税金事業の税金不動産の税金贈与の税金相続の税金(2) 適用を受けるための主な要件 取得又は増改築等をした日から6か月以内に居住すること 住宅の床面積が50m 2 以上で取得又は増改築後の家屋の床面積の1/2 以上が居住用であること 中

60 年超土地長期優良住宅の認定制度 長期優良住宅の認定制度 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 (H21.6 施行 ) に基づく長期優良住宅に係る認定制度の創設 長期優良住宅の建築 維持保全に関する計画を所管行政庁が認定 認定住宅は 税制 融資の優遇措置や補助制度の適用が可能 認定基準 <1>

平成23年度 住宅リフォーム実例調査

Transcription:

平成 29 年 8 月 28 日 国土交通省住宅局長 伊藤明子様 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 会長北野亮 平成 30 年度住宅リフォームに関する税制改正 予算に関する要望 住宅建設は 景気の緩やかな回復基調の中 住宅リフォーム市場は 全体としてみるとここ数年見られた堅調な消費マインドもやや曲がり角に差し掛かってきた感も否めない 政府が閣議決定した未来投資戦略 2017( 成長戦略 ) では 2025 年までに市場規模倍増を目標に掲げた既存住宅流通 リフォーム市場を中心とした住宅市場活性化に向けて 質の高いストックへの更新を進めながら 良質な既存住宅が適正に評価される仕組みや安心して取引できる市場環境整備などを総合的に進めることとしている 成長戦略を下支えするためには 現在 支援をいただいている固定資産税のリフォーム減税等について 引き続き支援を継続していただくほか それらを含めて ストック住宅への様々な政策による住宅リフォーム及び既存住宅流通市場への支援が必要であり 支援策の更なる拡大や新たな制度の追加をお願いしたい 1. 税制改正 予算要望の背景 (1) 若年世帯へのリフォームの支援について 住宅資材の高騰や人手不足により住宅の価格が高騰する中 30 代以下の若年層の平均年収および平均貯蓄は低下傾向にあり 住宅の取得方法についても 高齢者と比べて若年層では 注文住宅 や 新築分譲住宅 よりも 中古住宅購入 と 親からの相続 が最も多い ( 図 -1 参照 ) 結婚 出産を希望する若年世帯 子育て世帯が その特性に沿った質や広さの住宅に居住できるような支援が必要とされている (2) 高齢世帯へのリフォームの支援について 住宅リフォームの実施主体は依然として 60 代以上の高齢世帯が多く ( 図 -2 参照 ) これら高齢世帯は所得税の納税額も少なく リフォーム減税のメリットが受けにくい現状や 子供の独立等による家族構成の変化や高齢による身体能力の低下に即した住宅へのニーズが高い これら高齢世帯が その特性に沿った質や広さの住宅に居住できるような支援 ( 減税制度以外の給付金制度等 ) が必要とされている (3) 高経年マンションの支援について 平成 27 年末現在 56 万戸と推計されている築後 40 年超のマンションが 10 年後には約 3 倍 20 年後には - 1 -

約 6 倍になると予測されており これら高経年マンションが増えていく中 経年による建物 設備の劣化等に対応するための大規模修繕や改修等の資金不足の問題が深刻化している 今後 良質なマンションを維持していくためにも 特にマンション共用部のリフォームについての支援が急務である (4) 賃貸住宅のリフォームの支援について 賃貸住宅については 賃借人がインフィルのレベルアップのためのリフォームを実施して 性能を向上させたいと考えても 退去の際には原状回復という縛りがネックになっているという問題や 賃貸人が投資利回りを優先して 質の向上は二の次という実態がある 一方で 現在の所得税の減税制度は 居住要件があり賃貸人が実施した賃貸住宅のリフォームには適用されない このため 賃貸住宅は優良な住宅ストック推進にブレーキをかけていると言っても過言ではない これら賃貸住宅の質の向上のための支援策が必要である 以上のような背景を踏まえて 別記の項目を要望する 注文住宅 新築分譲住宅中古住宅購入親からの相続等その他 不明 新築分譲住宅中古住宅購入親からの相続等その他 不明 30 代以下 (n=148) 40 代 (n=200) 20.9 4.1 37.0 31.1 10.0 20.5 31.1 27.0 10.1 2.0 2.7 3.5 30 代以下 (n=45) 8.9 64.4 17.8 8.9 50 代 (n=426) 50.5 9.6 9.4 25.1 3.1 2.3 40 代 (n=84) 33.3 46.4 10.7 6.0 3.6 60 代 (n=712) 58.7 11.7 5.6 18.3 2.8 2.9 50 代 (n=101) 70.3 21.8 1.0 5.9 1.0 70 代以上 (n=271) 65.7 10.3 4.4 12.2 6.3 1.1 60 才以上 (n=108) 62.0 15.7 9.3 9.3 3.7 戸建て マンション 図 -1 住宅の取得方法 施主の年齢別 出典 : 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 住宅リフォーム実例調査 ( 平成 28 年度版 ) 20 才代 30 才代 40 才代 50 才代 60 才代 70 才以上不明 全体 (n=2191) 8.3 13.7 24.7 37.3 14.6 0.6 0.7 戸建て (n=1765) 7.6 11.3 24.1 40.3 15.4 0.5 0.7 マンション (n=338) 0.6 11.8 24.9 29.9 22.8 9.2 0.3 図 -2 施主の年齢出典 : 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 住宅リフォーム実例調査 ( 平成 28 年度版 ) - 2 -

2. 現行のリフォーム減税制度の改正要望について (1) 固定資産税減税の期限延長 固定資産税のリフォーム減税については 所得税減税のような自己所有の住宅という要件もないため 子供が親名義の住宅をリフォームした場合にも適用でき また 固定資産税の省エネリフォーム減税は 単なる窓の改修でも対象となるなど使いやすい これらのことから耐震 バリアフリー 省エネ 長期優良住宅化リフォームの固定資産税減税について 平成 30 年 3 月 31 日となっている適用期間の延長を要望する (2) 買取再販による登録免許税の特例措置の期限延長 買取再販業者が一定の住宅リフォームを実施した住宅を個人が取得し 居住した場合の登録免許税の特例措置について平成 30 年 3 月 31 日となっている適用期間の延長を要望する (3) 固定資産税減税の申告期間の延長 耐震 バリアフリー 省エネ 長期優良住宅化リフォームの固定資産税減税は 工事完了後 3ケ月以内に所在する市区町村へ申告しなければならないが 期間が短いために申告を失念してしまう場合があるので 申告期間を工事完了後 6ケ月へ延長することを要望する (4) 耐震リフォーム減税の対象住宅の拡充 耐震リフォームによる所得税及び固定資産税の減税は 現行では昭和 56 年の新耐震基準より前に建てられた住宅が対象となっているが 国土交通省と建築研究所が実施した熊本地震における建築物被害の原因分析の結果 新耐震基準導入以降の木造建築物では 接合部の仕様等が明確化された平成 12 年以降の建物の倒壊率が低いことが認められていることからも 平成 12 年の建築基準法改正より前の住宅まで対象を拡充することを要望する (5) 省エネリフォーム減税の対象工事の緩和 省エネリフォームの所得税減税の対象工事の必須要件である全居室の全窓改修要件について 今年度条件付きで緩和されたが その条件である住宅全体の省エネ性能の確保はハードルが高く 緩和の要望は依然として多いことから 主たる居室の窓の改修 への緩和を要望する (6) 省エネリフォーム減税の対象工事の拡充 国が推進する住宅の省エネ政策をさらに推し進めるためにも 省エネリフォームの所得税の投資型減税及びローン型減税の対象工事に 住宅ストック循環支援事業 のエコリフォームと同様に 窓 床 天井 壁のリフォームの他に 開口部の断熱という観点から 玄関ドア を追加し 対象を拡充することを要望する (7) バリアフリーリフォーム減税の要件の緩和 バリアフリーリフォームの所得税及び固定資産税の減税について 中古住宅を購入した若年世帯 子育て世帯が ( 図 -1 参照 ) 将来に備えてバリアフリーリフォームをすることが必要と考えられるので 年齢要件の撤廃を要望する - 3 -

(8) 最低床面積要件の引き下げ 近年 増加している単身者 少人数高齢者世帯の住宅リフォームや面積の比較的小さなマンション ( 表 -1 参照 ) のリフォームに対応するためや 住生活基本計画における単身世帯 ( 都市居住型 ) の誘導居住面積水準が40 m2であることからも 所得税 固定資産税等のリフォーム減税の適用要件である最低床面積要件の 5 0m2を40 m2に引き下げることを要望する 1 住宅当たり延住宅の総数総数 29 m2以下 30~49 50~69 70~99 100~149 150 m2以上べ面積 ( m2 ) 共同住宅 22,085,300 5,329,300 5,940,100 5,748,700 3,706,900 445,400 88,400 48.95 木造 2,761,700 1,052,800 940,600 400,100 77,100 26,400 11,400 36.44 非木造 19,323,600 4,276,500 4,999,500 5,348,700 3,629,900 418,900 77,000 50.62 表 -1 住宅の延べ面積 出典 : 総務省統計局 平成 25 年住宅 土地統計調査 (9) 最低工事費要件の引き下げ マンションにおいて 窓の改修は省エネに効果的であるが 例えば内窓設置工事等の性能向上リフォームは 全ての窓の改修を行っても比較的工事費が少額のため ( 表 -2 参照 ) 所得税 固定資産税等のリフォーム減税の適用要件である最低工事費要件の 50 万円を 30 万円に引き下げることを要望する 名称規格 仕様数量単位単価金額 リビング幅 2560 高 1800 mm 寝室幅 1650 高 1800 mm 寝室幅 1650 高 1800 mm 材工共 1 窓 76,910 ~ 107,424 76,910 ~ 107,424 材工共 1 窓 64,362 ~ 89,896 64,362 ~ 89,896 材工共 1 窓 64,362 ~ 89,896 64,362 ~ 89,896 合計 205,634 ~ 287,216 諸経費 41,127 ~ 57,443 総計 246,761 ~ 344,659 表 -2 内窓設置工事 ( 複層ガラス仕様 ) 見積明細 出典 :( 公財 ) 住宅リフォーム 紛争処理支援センター 見積チェックシステム (10) 賃貸住宅のリフォームに対する減税制度要件の緩和 賃貸住宅については 賃貸人が質の向上よりも投資利回りを優先という実態があり リフォームによる住宅 - 4 -

のレベルアップがなかなか進んでいない 賃貸人が賃貸住宅を耐震リフォームした場合に 所得税の投資型減税の要件の一つである 自ら居住する住宅 という要件を 自ら所有する住宅 へ緩和することを要望する (11) 贈与税の非課税措置対象の拡充 贈与税の非課税措置は 現行では満 20 歳以上の個人が親や祖父母から住宅取得等資金を贈与された場合が対象だが 若年層が親や祖父母から不動産を贈与されるケースも多いため ( 図 -1 参照 ) 住宅取得等資金だけでなく 不動産も贈与税の非課税措置の対象にすることを要望する 3. 新たなリフォーム減税制度の創設について (1) リフォーム瑕疵保険との連携 耐震 省エネ バリアフリー等の性能向上リフォームによる減税制度を利用した住宅で リフォーム瑕疵保険を利用している場合は 減税の控除率の引き上げを要望する そのことにより保険料負担軽減につながり ひいてはリフォーム瑕疵保険の利用促進に寄与することが可能となる 4. 予算要望 (1) インスペクションを実施した住宅への補助制度の創設 平成 30 年 4 月から義務化される不動産仲介業者によるインスペクションの告知により 今後 増えると思われる住宅のインスペクションについて 実施費用への補助制度を導入することを要望する このことにより インスペクションに伴い実施されることの多いリフォームにより 良質な中古住宅流通を促進し 更に 安心 R 住宅 ( 仮称 ) の普及にも寄与するものと考える (2) マンションの共用部改修促進のための補助制度の創設 高経年マンションが増えていく中 今後 良質なマンションを維持していくためにも 特にマンション共用部のリフォームについて 大規模修繕費への補助金の適用や 資金の借入については 利子補給の対象とすることを要望する (3) 住宅ストック循環支援事業の継続 良質な既存住宅の市場流通促進と若年層の既存住宅取得の支援を持続させるため 住宅ストック循環支援事業 の継続を要望する - 5 -