電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法改正に関する意見書

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資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

注 1: 要件の判断に係る算定に当たっては 複数の発電用の電気工作物が同一の接続地点に接続している場合は 一つの発電用の電気工作物とみなす 注 2: 特定発電用電気工作物に該当しない電気工作物は 発電事業の要件 ( 小売電気事業用等接続最大電力の合計が 1 万 kw 又は 10 万 kw を超えるも

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 1. 地球温暖化対策の推進 1-2 国内における温室効果ガスの排出抑制 租税特別措置等により達成しようとする目標 2030 年の電源構成における再生可能エネルギーの割合を 22~24% とする 租税特別措置等による達成目標に係る測定指

UIプロジェクトX

FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

申込代行事業者さまへのお知らせについて

RIETI Highlight Vol.66

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

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紙申請案内

接続契約締結先 電源接続案件募集プロセスへの参加の有無 東京電力パワーグリッド株式会社 有 ( エリア名 : 栃木県北部 中部エリア ) 無 工事費負担金 20,000,000 円 ( 税抜き ) 連系工事期間 特定 ( 買取 ) 契約締結先 平成 29 年 9 月 25 日 ~ 平成 31 年 1

参考資料3(第1回検討会資料3)

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

10kW 以上の太陽光 風力 水力 地熱 バイオマス発電の場合 1. 再生可能エネルギー発電事業計画書 みなし認定用 様式第 19 1 経済産業大臣殿 再生可能エネルギー発電事業計画書 みなし認定用 (10kW 未満の太陽光発電を除く ) 年 5 月 1 日 ( ふりがな ) とうきょ

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

Ⅰ. 認定制度 1. 認定制度 の現状 2. 認定時期について 3. 認定案件の適正な事業実施に向けて 4. 調達価格の決定時期

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

参考 :SWITCH モデルの概要 SW ITCH モデル は既存の発電所 系統 需要データを基にして 各地域における将来の自然エネルギーの普及 ( 設備容量 ) をシミュレーションし 発電コストや CO 排出量などを計算するモデルです このモデルでは さらに需要と気象の時間変動データから 自然エネ

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

資料 1 申込代行事業者さまにご確認 ご対応いただく内容 1. 同封資料の内容について ご確認をお願いいたします 1 今回 当社からご確認させていただく対象は ( 資料 2) 今回確認の対象となる発電所一覧 に記載している発電所です 複数の発電所を申込みいただいた申込代行事業者さまについては ダイレ

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

政策体系における政策目的の位置付け エネルギー基本計画 ( 平成 22 年 6 月 18 日閣議決定 ) において 一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を 2020 年までに 10% とすることを目指す と記載 地球温暖化対策基本法案 ( 平成 22 年 10 月 8 日閣議決定 )

れなくなる 特に 小規模の新規参入事業者にとって このリスクに対応するシステムが設けられていなければならない すなわち 万が一 小売販売事業者が倒産した場合には 送電を担う旧電力会社の責任で電力供給が保証されることになっており そのためには 在来の地域独占の旧電力会社が その発電量を補償する仕組みに

Ⅱ 主な改革内容 上記の 3 つの目的からなる電力システム改革につき 以下の 3 つの柱を中心として 大胆な改革を現実的なスケジュールの下で着実に実行する 1. 広域系統運用の拡大 電力需給のひっ迫や出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため 国の監督の下に 報告徴収等により系統利用者

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2017(平成29)年度第1四半期 決算説明資料


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1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

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規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案)

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) まとめ シート 複数の電源に共通する条件等を設定します 設定する条件は 以下の 6 つです. 割引率 - 0% % % 5% から選択. 為替レート - 任意の円 / ドルの為替レートを入力. 燃料価格上昇率 ( シナリオ ) - 現行政策シナリオ 新政策シナリオを選択 4. CO 価格見通し

平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-

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内の他の国を見てみよう 他の国の発電の特徴は何だろうか ロシアでは火力発電が カナダでは水力発電が フランスでは原子力発電が多い それぞれの国の特徴を簡単に説明 いったいどうして日本では火力発電がさかんなのだろうか 水力発電の特徴は何だろうか 水力発電所はどこに位置しているだろうか ダムを作り 水を

力率 1.0(100%) の場合 100% の定格出力まで有効電力として発電し 出力できます 力率 0.95(95%) の場合は 定格出力の 95% 以上は有効電力として出力できません 太陽光発電所への影響 パワコンの最大出力が 95% になるので 最大出力付近ではピークカットされます パワコンの出

仕様書 1 概要 (1) 供給場所茨城県笠間市鯉淵 6528 茨城県笠間市旭町 654 (2) 業種及び用途医療 ( 病院 ) 茨城県立中央病院 茨城県立こころの医療センター 2 仕様 (1) 電力供給条件ア電気方式交流三相 3 線式イ供給電圧 ( 標準電圧 ) 別紙 基本情報一覧表 参照ウ計量電圧

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

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参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

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宮下第三章

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における

2018年度第1四半期 決算説明資料

報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

個人情報の保護に関する規程(案)

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既設風力発電事業の採算性(事業者)

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タイトル

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望の内容平成 30 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) ( 経済産業省中小企業庁経営支援部創業 新事業促進課 ) 制度名 産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定自治体における登録免許税の軽減措置の延長 税 目 登録免許税 ( 租税特別措置法第 80 条第

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本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン

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経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

Trung Tâm Phát Triển Sáng Tạo Xanh

 

手順 1 必要書類の用意をお願いします 10kw 未満の太陽光発電 事業計画書様式 ( 提出者欄に設備設置者 ( お施主様 ) の情報を記入の上 実印を押印 ) 様式 20 再生可能エネルギー発電事業計画書 みなし認定用 (10kw 未満の太陽光発電 ) 新制度への移行手続について 紙申請 代行提出

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2017 年 7 月 14 日 (2019 年 4 月 1 日改訂 ) 再生可能エネルギー推進室 再生可能エネルギー発電事業計画における 再生可能エネルギー発電設備の設置場所について 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 ( 平成 23 年法律第 108 号 ) 第 9 条

第 1 章 我が国のエネルギーの現状と電力自由化 第 章 我が国のエネルギーの現状と電力自由化 1. 我が国のエネルギーの現状 (1) エネルギー消費 我が国のエネルギー消費は 経済の発展とともに増加してきましたが 世紀に入り経済成長がストップしたことや省エネが進んだことから 年度から 年度にかけて

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つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

目次

(鉱工業技術研究組合法の一部改正)第五条 鉱工業技術研究組合法(昭和三十六年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

聖籠町建設工事入札 契約等情報公表実施要綱 平成 14 年 3 月 27 日 告示第 45 号 ( 趣旨 ) 第 1 条 この要綱は 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 平成 12 年法律第 127 号 ) 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令( 平成 13 年政

平成 28 年度までに認定を受けた方の接続の同意を証する書類 新認定制度への移行手続にあたり必要となるもの旧一般電気事業者による買取 ( 高圧 ) 北海道 工事費負担金の額を契約書類に記載している場合 平成 29 年 3 月 31 日以前の接続同意分 1 接続契約成立のお知らせ 1 1をもって接続同

はじめに 1 電源 Ⅱ 事前予約の検証について 四国エリアにおいては 太陽光発電の計画差 ( 下振れ ) により十分な予備力が確保できなくなるおそれがある場合に電源 Ⅱ 事前予約を実施しています 今回 2018 年 8 月 9 月における電源 Ⅱ 事前予約の実績について事後検証を実施しました

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成 25 年 4 月 1 日から平成 27 年度 3 月 31 日まで ) 平成 26 年度縮減産業競争力強化法に基づく生産性向上設備投資促進税制の創設に伴い 一部の対象設備を見直した 平成 27 年度延長風力発電設備の即時償却の適用期限を1 年間延長した ( 平成 28 年 3 月 31 日まで

番号文書項目現行改定案 ( 仮 ) 1 モニタリン 別表 : 各種係 グ 算定規程 ( 排出削 数 ( 単位発熱量 排出係数 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 -

今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

MARKALモデルによる2050年の水素エネルギーの導入量の推計

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電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する 特別措置法改正に関する意見書 2016 年 ( 平成 28 年 )2 月 18 日 日本弁護士連合会 2016 年 2 月 9 日に閣議決定された電気事業者による再生可能エネルギー電気 の調達に関する特別措置法 ( 以下 特措法 という ) の改正法案 ( 以下 特措法改 正法案 という ) に対し, 当連合会は, 以下のとおり意見を述べる 第 1 意見の趣旨 1 国は, パリ協定に基づく我が国の温室効果ガス排出削減の実施のために, 再生可能エネルギー導入目標 (2030 年の総発電電力量における再生可能エネルギー比率の目標値 22% から24%) を大幅に引き上げるべきである また, その実現にとって実効性のある固定価格買取制度を一層充実させるなどの特措法改正を行うべきである 2 特措法改正法案のうち, とりわけ,1 再生可能エネルギー電気の優先的な系統接続を定める現行特措法第 5 条の接続義務の規定を削除する点,2 固定価格買取制度における買取価格の決定方法として入札方式を現時点で導入する点については, 再生可能エネルギー拡大の障害となるものであることから, 反対である 第 2 意見の理由 1 再生可能エネルギー導入目標を大幅に引き上げるべきであること 2015 年 12 月 12 日, 気候変動枠組条約第 21 回締約国会議 ( 以下 C OP21 という ) において採択されたパリ協定は, 地球全体の気温上昇を世界全体で産業革命前から2 未満にとどめることを目標として掲げ, 全ての締約国に対し, 今世紀下半期に温室効果ガスの人為的な排出量と除去量をバランスさせるとする中長期の排出削減ビジョンを共有し,5 年ごとに排出削減目標を引き上げ, その実施のための国内措置を策定することを求めている 日本が,COP21に当たり, 国連に提出した約束草案における温室効果ガス削減目標は,2030 年温室効果ガス削減目標を2013 年比マイナス2 6%(1990 年比マイナス18% 減 ) とするものであるが, この目標は, 必要とされる削減目標に全く及ばないものであり,2050 年 80% 削減の長期 1

目標とも整合せず,2030 年削減目標の更なる引上げが必要となる また, 約束草案における2030 年温室効果ガス削減目標 (2013 年比マイナス26%,1990 年比マイナス18% 減 ) を達成するためだけでも, 再生可能エネルギー発電を22% から24% よりも大幅に増やす必要がある すなわち, 約束草案においては,2030 年温室効果ガス削減目標 (2013 年比マイナス26%,1990 年比マイナス18% 減 ) を達成するために,20 13 年時点で, 総発電量 9308 億 kwh の88% を占めた火力発電を,203 0 年時点で, 総発電量 10650 億 kwh の56% に減らすこととしており, そのためには, 原子力発電を20% から22%(2013 年 1%), 再生可能エネルギー発電を22% から24%(2013 年 11%) とすることとしている( 1 この電源構成自体は, 約束草案と同時に決定された長期エネルギー需給見通しで定められ, 約束草案は長期エネルギー需給見通しに基づいて2030 年時点での電源構成を定めている ) しかし, そもそも,2030 年時点の原子力発電を20% から22% とすることは, 現実には再稼働が極めて困難な福島第二原発や東海原発などを含む既設原発を全て稼働した上で, 設置許可が出されている3 原発を全て増設し, 稼働年を60 年に延長することを前提とし, さらに, 福島原発事故前の稼働率よりも高くするというものであって, 福島第一原発事故により発生した甚大な損害に鑑みれば, おおよそ実現可能性がない ( 当連合会の2015 年 6 月 17 日付け 日本の約束草案 ( 政府原案 ) に対する意見書 ) そうすると, 約束草案の目標を達成するためだけでも, 再生可能エネルギー発電を22% から24% よりも大幅に増やす必要がある そして,2030 年時点の再生可能エネルギーの電源比率を22% から2 4% を相当上回る量とすることは十分に可能である すなわち, 環境省の調査報告書においても,2015 年 4 月に,2030 年に再生可能エネルギーの電源比率を30% から40% 以上とすることが可能であるとされている デンマークでは,2015 年には, 風力だけで総発電量の半分を発電した 再生可能エネルギー発電のうち, 風力と太陽光発電に関しては, 気象状況の変化によって供給量が変動することをデメリットとして, 不安定性が強調されてきたが, システム改革 2 によって, 安定的な系統運用が可能になっている 1 再生可能エネルギーの内訳について, 太陽光 7%, 風力 1.7%, 地熱 1.0% から 1.1%, 水力 8.8% から 9.2%, バイオマス 3.7% から 4.6% 程度と定められている 太陽光発電はこれまでに設備認定されている量であり, 風力もほとんど増加が見込まれていない 2 既に海外諸国では, 系統の運用エリアをより広域化し, 給電指令所と個々の発電源が双方向通信システムによって結ばれ, 気象予測技術の向上も相まって, 給電指令所が発電量をリアルタイムで把握しつつ, 遠隔操作によって電力引取量 ( 給電量 ) を調整する体制によって, 安定的な系統運用が可能になっている 2

国際エネルギー機関 (IEA) も,2015 年 12 月 21 日, 経済産業省資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会第 19 回会合において, パリ協定について, エネルギー部門の革新を促す歴史的マイルストーンと評価し, 電力部門がエネルギーシステムの転換を先導し,2030 年頃には再生可能エネルギーが世界で最大の電源になるとして, 日本に対しても, 再生可能エネルギーの貢献を最大化するための電力市場改革を求めている したがって, 国は, パリ協定に基づく我が国の温室効果ガス排出削減目標達成のために, 再生可能エネルギー導入目標 (2030 年の総発電電力量における再生可能エネルギー比率の目標値 22% から24%) を大幅に引き上げるべきである 2 固定価格買取制度をより一層充実させるべきであること我が国の再生可能エネルギー導入目標を大幅に引き上げるためには, 以下に述べるとおり現在の固定価格買取制度をより一層充実させることが必要不可欠となる 再生可能エネルギー電気事業では, 設備投資など最初の時点でコストを要するが, バイオマスを除き, 設備設置後の発電コストはほぼゼロである そのため, 発電した再生可能エネルギー電気の系統 3 への接続と相当期間 ( 日本の場合 20 年間 ) 同一の価格 ( 固定価格 ) での買取を保障する制度 ( 固定価格買取制度 ) が導入されれば, 事業収益の予測が可能となり, 多くの事業者の新規参入が期待できる 現に, ヨーロッパ各国においては, それらの制度を導入することにより, 再生可能エネルギー電気が爆発的に普及し, 発電コストも急速に低減し, 今日では洋上風力など一部の再生可能エネルギー電気を除き, 化石燃料による火力発電と競争できるところまで至っている 日本においても,2012 年に固定価格買取制度を導入する特措法が施行され, 太陽光発電においては, 制度導入前に比べ4 倍の発電能力までの大幅な増加をみて,2015 年夏には, 発電量で太陽光が全発電量の6% 前後を占めるところまで来た とはいえ, 各地で予定している地方自治体主導型や市民出資方式などの小規模太陽光発電事業者の多くはいまだに事業を実施できていない状況にあり, また, 太陽光発電以外の風力, 小水力, バイオマス, 地熱などは, 環境アセスメントや自然公園法の規制, 水利権者との調整, 燃料となる木材などの安定供給の確保などの問題からまだまだほとんど進んでおらず, 現時点 (2 3 系統 とは, 電力を需要家の受電設備に供給するための, 変電施設を含めた送配電設備のことをいう 3

016 年 2 月時点 ) では, 発電できる可能性 ( 前述の30% から40%) と比較して, その導入量は少ない したがって, 新規の再生可能エネルギー電気事業者の参入を促進し, 我が国の再生可能エネルギー導入目標を大幅に引き上げるためには, 現在の固定価格買取制度を, 複数年の固定価格を明示して 4 予見可能性を高めるなどして, より一層充実させることが必要不可欠である 3 接続義務を定める現行特措法第 5 条の削除について (1) 再生可能エネルギー電気の系統への優先的な接続が確保されていなければ, 再生可能エネルギー電気事業者は市場へ安心して参入することができない 再生可能エネルギー電気の系統への優先的な接続の確保は, 再生可能エネルギー電気事業者の市場への参入の促進にとって必要不可欠である そこで, 現行の特措法は, 第 5 条において, 特別に, 再生可能エネルギー電気の系統事業者の接続義務を規定することにより, 再生可能エネルギー電気への優先接続を確保してきた 特に, 現行の接続拒否事由を定める特措法第 5 条及び同条に委任された特措法施行規則第 6 条各号では, 接続に必要な費用を負担しない場合, あるいは, 送電可能量や受入可能量を超えるなど物理的に受け入れ困難な場合など, 限定した接続拒否事由を可能な限り詳細明確に列挙し, その優先的な接続 利用を前提としてきた 5 (2) ところが, 特措法改正法案は, 現行特措法第 5 条の接続義務を削除することとした 現行特措法第 5 条の接続義務を削除することにした理由については,20 16 年 4 月から発電事業者と送配電事業者が分離することにより, 火力や原子力などの他の発電事業者においても送配電事業者に対して系統接続を求める必要が生じることから, 改正電気事業法第 17 条第 4 項で発電事業者全般からのオープンアクセス義務を保障することで, 現行特措法第 5 条による接続義務が不要になった, と説明されている (3) しかし, 改正電気事業法第 17 条第 4 項では, 接続拒否事由として, 当該発電用の電気工作物が当該電線路の機能に電気的又は磁気的な障害を与えるおそれがあるときその他正当な理由 としか規定しておらず, 具体的に接続 4 現在は毎年度末に翌年度の買取価格を決め告示している このため, 当該年度の買取価格は年度の開始直前にならないとわからない なお, 接続契約の申込時の買取価格は 20 年間, 当該施設については変わることがない 5 当連合会は,2014 年 12 月 18 日付け 再生可能エネルギー発電事業者に対する電気事業者の接続回答保留措置に関する意見書 において,2014 年 9 月に複数の電気事業者が接続申込みに対して回答保留を行うと発表したことについて, それは特措法第 5 条の接続義務に反するとして, 早急に回答保留措置を撤回すべきであるとの意見を表明したところであり, 特措法第 5 条が遵守されるべきことを求めてきたところである 4

拒否できる場合を限定する定めもなく, かつ, 再生可能エネルギー電気の優先接続も明示されていない 特措法第 5 条を削除した場合, 再生可能エネルギー電気の原子力発電に対する優位性を定める法律上の定めはなくなり, 再生可能エネルギー電気の系統への接続の確保が大幅に害される結果となりかねない (4) よって, 現行特措法第 5 条の接続義務の規定の削除には反対である 4 固定価格買取制度における買取価格の決定方法としての入札方式を導入することについて ( 特措法改正法案第 4から8 条関係 ) (1) 現行特措法では, 経済産業大臣が, 専門家を構成員とする経済産業省調達価格等算定委員会における通常必要となる事業コストを基礎に適正な利潤などを勘案した意見に基づき, 毎年 3 月に次年度の買取価格を決定することとなっている ( 現在のところ, それまでの事業コスト実績を基に毎年買取価格を決定するトップランナー方式という方法がとられている ) (2) これに対し, 特措法改正法案では, 買取価格の決定方法として入札方式を導入することとしている 入札方式とは, 設備認定の申請に先立ち, 買取量の上限を設けた上で買取価格に関する入札を行い, 入札価格の低い事業者から優先的に, 申請を行う権利を得る仕組みである 入札方式を導入する目的については, 競争を通じてコスト効率的な発電設備の導入を進め, 買取価格を低減させるためである, と説明されている (3) しかし, 再生可能エネルギー発電設備を大幅に増やしてこそ, 設備のコストを下げることが可能となるのであり, 現状から設備数がほとんど増えないところで, 入札方式を導入しても, 買取価格が低減する基盤が欠如しているので, 設備価格の低下は容易に実現しない むしろ, 入札方式においては, 落札されて初めて固定価格が決定されるので事業の予見可能性を失わさせる上, 落札できないリスクもあることから, 入札方式の導入により, 再生可能エネルギー電気事業への参入促進による再生可能エネルギー発電設備の大幅な増加が困難となり, 買取価格の低減が阻害されるおそれがある 6 そして, 再生可能エネルギー電気のエネルギー源がその性質上各地に分散していることや再生可能エネルギー電気の安定供給を考えると, 再生可能エ 6 現に, ドイツは入札制度を導入せずに, 買取価格を 80% 以上引き下げた 2012 年以降は, 隣国フランスで入札制度が導入されたが, ドイツの買取価格の下がり方のほうが早い, という結果になった ドイツが太陽光のコスト引き下げに成功したのは, 設備数の増加でコスト削減ができたことと, 政府が買取価格を計画的に引き下げていくことで, より効率のいい発電設備 工事 保守を業界に迫ったためである 5

ネルギー電気については, 多数の場所で多様な種類の発電がなされることが必要であり, 地域に密着した地方自治体主導型や市民出資方式などの中小規模事業者も, 再生可能エネルギー電気事業に多数参入することが望まれるが, 入札制度の下では, 資金力のない中小規模事業者が, 落札できないリスクを心配して, 再生可能エネルギー電気事業への参入を躊躇するおそれがある (4) よって, 固定価格買取制度における買取価格の決定方法として入札方式を現時点で導入することには反対である 以上 6