平成  年(行ツ)第  号

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達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

平成  年(オ)第  号

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

13 条,14 条 1 項に違反するものとはいえない このように解すべきことは, 当裁判所の判例 ( 最高裁昭和 28 年 ( オ ) 第 389 号同 30 年 7 月 20 日大法廷判決 民集 9 巻 9 号 1122 頁, 最高裁昭和 37 年 ( オ ) 第 1472 号同 39 年 5 月

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

Taro-婚姻によらないで懐妊した児

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7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

平成  年(オ)第  号

併等の前後を通じて 上告人ら という 同様に, 上告人 X1 銀行についても, 合併等の前後を通じて 上告人 X1 銀行 という ) との間で, 上告人らを債券の管理会社として, また, 本件第 5 回債券から本件第 7 回債券までにつき上告人 X1 銀行との間で, 同上告人を債券の管理会社として,

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

本件合併時にA 信用組合に在職する職員に係る労働契約上の地位は, 被上告人が承継すること,3 上記の職員に係る退職金は, 本件合併の際には支給せず, 合併後に退職する際に, 合併の前後の勤続年数を通算して被上告人の退職給与規程により支給することなどが合意された また, 本件合併の準備を進めるため,

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

(イ係)

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審決取消判決の拘束力

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

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平成  年(あ)第  号

するためには, その行為が犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われることを要するとした昭和 45 年判例と相反する判断をしたと主張するので, この点について, 検討する (3) 昭和 45 年判例は, 被害者の裸体写真を撮って仕返しをしようとの考えで, 脅迫により畏怖してい

利子相当額 という ) を加えた額に相当する金額 ( 以下 退職一時金利子加算額 という ) の返還に関し, その経過措置を定める 厚生年金保険法等の一部を改正する法律 ( 平成 8 年法律第 82 号 以下 厚年法改正法 という ) 附則 3 0 条 1 項の委任に基づいて定められた, 厚生年金保

平成18年1月13日 最高裁判所は,貸金業者の過払い金の受領は違法と知りつつなされたことを推定するとした判例です

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平成  年(あ)第  号

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

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た本件諸手当との差額の支払を求め ( 以下, この請求を 本件差額賃金請求 という ),2 予備的に, 不法行為に基づき, 上記差額に相当する額の損害賠償を求める ( 以下, この請求を 本件損害賠償請求 という ) などの請求をする事案である 2 原審の確定した事実関係等の概要は, 次のとおりであ

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日税研メールマガジン vol.111 ( 平成 28 年 6 月 15 日発行 ) 公益財団法人日本税務研究センター Article 取締役に対する報酬の追認株主総会決議の効力日本大学法学部教授大久保拓也 一中小会社における取締役の報酬規制の不遵守とその対策取締役の報酬は ( 指名委員会等設置会社以

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<解説資料> 処分取消訴訟における原告適格

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る事案である 2 原審は, 控訴人 Aらの債権者代位権に係る訴えを却下し, 控訴人 Aらのその余の請求及び選定当事者らの請求をいずれも棄却した これに対し, 控訴人らは, 控訴人 Aら及び選定当事者らの別にそれぞれ控訴を提起した 3 基本的事実並びに争点及びこれに関する当事者の主張は, 次のとおり補

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事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

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法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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25 年に制定された公職選挙法の定数配分規定は, 上記の参議院議員選挙法の議員定数配分規定をそのまま引き継いだものであり, その後に沖縄県選挙区の議員定数 2 人が付加されたほかは, 平成 6 年法律第 47 号による公職選挙法の改正 ( 以下 平成 6 年改正 という ) まで, 上記定数配分規定

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

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原判決は, 控訴人ら及び C の請求をいずれも棄却したので, 控訴人らがこれを不服として控訴した 2 本件における前提事実, 関係法令の定め, 争点及びこれに対する当事者の主張は, 後記 3 のとおり, 原判決を補正し, 後記 4 のとおり, 当審における当事者の主張 を付加するほかは, 原判決 事

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うものと推認することができる しかしながら, 被告人は, インターネットを通じて知り合ったAから金を借りようとしたところ, 金を貸すための条件として被害女児とわいせつな行為をしてこれを撮影し, その画像データを送信するように要求されて, 真実は金を得る目的だけであり, 自分の性欲を刺激興奮させるとか

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取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

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(1) 普天間飛行場は, 宜野湾市の中央部にあり, 昭和 20 年からアメリカ合衆国軍隊 ( 以下 米軍 という ) による使用が開始され, 現在, 米軍海兵隊の航空部隊の基地として用いられている 同飛行場周辺は, 学校や住宅, 医療施設等が密集している状況にある (2) キャンプ シュワブは, 名

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指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

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REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

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平成19年(ネ受)第435号上告受理申立理由要旨抜粋

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次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

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平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

平成  年(オ)第  号

べき標準的な事例における処分の標準例を定めたところ, 公務外非行関係の事由である 痴漢 わいせつ行為 による処分の標準例は, 免職又は停職とされている そして, 本件指針においては, 具体的な処分の量定を決定するに当たり,1 非違行為の動機, 態様及び結果,2 故意又は過失の度合い,3 職員の職務上

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の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

裁判年月日 平成 20 年 4 月 16 日 裁判所名 大阪高裁 裁判区分 判決 事件番号 平 20( ツ )7 号 事件名 管理費等請求上告事件 裁判結果 上告棄却 文献番号 2008WLJPCA 兵庫県西宮市 以下省略 上告人大阪市 以下省略 被上告人上記代表者理事長上記訴訟代理

定していました 平成 25 年 4 月 1 日施行の 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律 では, 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されていますが, 平成 25 年 4 月 1 日の改正法施行の際, 既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準につい

(2) 本件選挙は, 平成 28 年法律第 49 号 ( 以下 平成 28 年改正法 という ) 及び平成 29 年法律第 58 号 ( 以下 平成 29 年改正法 という ) により改定された本件区割規定による選挙区割りの下で施行されたものであるが, これに至る法改正等の概要は次のとおりである ア

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

第 6 平等原則違反の場合の救済方法 第 6 平等原則違反の場合の救済方法裁判所による直接的救済 ( 部分違憲 )( 1) 判例 参考 問題の所在, 前提 国籍法事件当時の国籍法 3 条 1 項は, 外国人の母より出生したが, 1 母が日本人の父と婚姻をし, 2 父より認知された場合に, 日本国籍の


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平成 26 年 ( 行ツ ) 第 96 号, 平成 26 年 ( 行ヒ ) 第 101 号 選挙無効請求事件 平成 26 年 7 月 9 日第二小法廷決定 主 文 本件上告を棄却する 本件を上告審として受理しない 上告費用及び上告受理申立費用は上告人兼申立人の負担とする 理 由 1 上告について民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは, 民訴法 312 条 1 項又は2 項所定の場合に限られるところ, 本件上告理由第 1 点及び第 2 点は, 公職選挙法 9 条 1 項並びに11 条 1 項 2 号及び3 号の規定 ( 以下 本件各規定 という ) が所定の者又は所定外の者につき選挙権を有しないものとしていることについて本件各規定の違憲をいうが, 所論はその前提を欠くものであって, 明らかに民訴法 312 条 1 項又は2 項に規定する事由に該当しない すなわち, 本件訴訟は, 選挙人が民衆訴訟 ( 行政事件訴訟法 5 条 ) である公職選挙法 204 条の選挙無効訴訟として選挙人たる資格で提起したものであるところ, 民衆訴訟は, 裁判所法 3 条 1 項の 法律上の争訟 ではなく同項の その他法律において特に定める権限 に含まれるものとして, 法律に定める場合において, 法律に定める者に限り, 提起することができる ものとされている ( 行政事件訴訟法 42 条 ) そして, 公職選挙法 204 条の選挙無効訴訟について, 同条は選挙人又 - 1 -

は公職の候補者のみがこれを提起し得るものと定め, 同法 205 条 1 項は上記訴訟において主張し得る選挙無効の原因を 選挙の規定に違反することがあるとき と定めており, これは, 主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき又は直接そのような明文の規定は存在しないが選挙の基本理念である選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指すものと解される ( 最高裁昭和 27 年 ( オ ) 第 601 号同年 12 月 4 日第一小法廷判決 民集 6 巻 11 号 1103 頁, 最高裁昭和 51 年 ( 行ツ ) 第 49 号同年 9 月 3 0 日第一小法廷判決 民集 30 巻 8 号 838 頁参照 ) このように, 公職選挙法 2 04 条の選挙無効訴訟は, 同法において選挙権を有するものとされている選挙人らによる候補者に対する投票の結果としての選挙の効力を選挙人又は候補者が上記のような無効原因の存在を主張して争う争訟方法であり, 同法の規定において一定の者につき選挙権を制限していることの憲法適合性については, 当該者が自己の選挙権の侵害を理由にその救済を求めて提起する訴訟においてこれを争うことの可否はおくとしても, 同条の選挙無効訴訟において選挙人らが他者の選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張してこれを争うことは法律上予定されていない そうすると, 選挙人が同条の選挙無効訴訟において同法 205 条 1 項所定の選挙無効の原因として本件各規定の違憲を主張し得るものとはいえないから, この点に関する論旨は採用することができず, 所論はその前提を欠くものといわざるを得ない また, その余の上告理由は, 公職選挙法の他の諸規定についてその違憲をいうが, その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって, いずれも明らかに民訴法 312 条 1 項又は2 項に規定する事由に該当しない 2 上告受理の申立てについて - 2 -

本件申立ての理由によれば, 本件は, 民訴法 318 条 1 項により受理すべきものとは認められない よって, 裁判官千葉勝美の補足意見があるほか, 裁判官全員一致の意見で, 主文のとおり決定する 裁判官千葉勝美の補足意見は, 次のとおりである 上告事件に係る本件決定は, 所論の違憲の主張が選挙無効訴訟における選挙無効の原因として主張し得る事由に該当せず, その前提を欠くものであり, 明らかに適法な上告理由に当たらないので, 憲法判断に入る余地はなく上告棄却の決定により処理するほかないとしたものである しかるところ, 原審では法令解釈に係る上記と同旨の説示に加えて受刑者の選挙権の制限に係る憲法判断に言及する説示も付加していることから, 念のため, これに関連して, 次のとおり私見を述べておきたい 1 原審は, 受刑者の選挙権を一律に制限した公職選挙法 11 条 1 項 2 号及び3 号 ( 以下 本件制限規定 という ) は違憲無効であることを本件選挙無効事由とする上告人 ( 原告 ) の主張について, それのみでは直ちに選挙の無効事由となるものではないと判示したが, それに加え, 本件制限規定の内容について合憲性の審査を行い, 国会の裁量の範囲の逸脱等はなく違憲とはいえないとも判示し, いずれにしても上告人の無効事由の主張は理由がないとしてこれを排斥している 上告人の選挙無効事由の主張がそれのみでは直ちに無効事由とはならないものであれば, 主張自体失当であり, 原審としてはその旨の説示をすることで足りたはずであるが, このような主張の中身についても憲法判断の説示を加えたのは, 念のためという趣旨か, あるいは, 主張自体失当とする判断が上告審で支持されない可能 - 3 -

性をも想定し, いわば仮定的 予備的な判断をあらかじめ示しておくほうがよいと考えたためかとも推察される 2 一般に, 裁判所としては, 当事者の主張を, 当該主張は理由がないとして排斥する場合, 当該主張を前提にして更に展開されている他の主張については, その前提が認められないのであるから, 中身に立ち入るまでもなく理由がないとする判示をすれば足りるはずである もっとも, 実務的には, このような場合であっても, 念のため ( 当事者の納得等のため ) あるいは仮定的に, 他の主張についても理由がない旨の判断を付加することはあり得ないではない また, 原審の処理は, 多種多様な無効事由を展開している上告人の訴訟活動を踏まえ, また, 今後も予想される争訟も視野に入れて, その主張に係る事由の全てに一応の判断を示しておくことが得策であるとする一定の実務的な考慮によるものとも考えられよう しかしながら, 本件のような公職選挙法 204 条の選挙無効訴訟は, 本件の決定理由のとおり, 行政事件訴訟法 5 条の民衆訴訟であり, 法律に定める場合に限り提起することができ, 選挙無効の原因も, 公職選挙法 205 条 1 項が規定する事項に限られているのである そして, 本件制限規定が違憲であるという上告人 ( 原告 ) の主張は, そもそも選挙無効訴訟制度が無効事由として予定していないいわば法の枠外のものであり, それゆえ本件ではこれをその前提を欠くとして排斥しているのであって, 審級のいかんを問わず, 念のため等であってもその中身の合憲性について言及する必要性が認められるようなものとはいえない 3 また, 我が国の違憲立法審査権の行使は, いわゆる抽象的な規範統制ではなく, 具体的な事件の解決に必要な場合に, その限度で行われる付随的違憲審査制である ( 最高裁昭和 27 年 ( マ ) 第 23 号同年 10 月 8 日大法廷判決 民集 6 巻 9 号 - 4 -

783 頁等参照 ) そして, 同じく付随的違憲審査制を採用している米国連邦最高裁の違憲立法審査の在り方について, 周知のとおり, 米国連邦最高裁のブランダイス判事は,1936 年のアシュワンダー対テネシー渓谷開発公社事件 (Ashwander v. TVA, 297 U.S. 288) の補足意見において, 憲法問題回避の準則であるいわゆるブランダイス ルールを説示しており, その第 4 準則は 最高裁は, 事件が処理可能な他の根拠が提出されているならば, 訴訟記録によって憲法問題が適正に提出されていても, それの判断を下さないであろう というものであり, また, 第 7 準則は 連邦議会の制定法の有効性が問題とされたときは, 当最高裁は, その問題が回避できる当該法律の解釈が十分に可能か否かをまず確認することが基本的な原則である としている ( 以上のブランダイス ルールの内容の記載は, 渋谷秀樹 憲法判断の条件 講座憲法学 6 141 頁以下による ) これは, 制定法についての憲法適合性の判断は, その結論のいかんにかかわらず, 多くの場合, 政治的 社会的に様々な影響をもたらすものであるところ, 必要な場合には違憲立法審査権を行使して判断を示すことは当然であるとしても, 司法の本質を見すえ, 必要な場合を超えてまで憲法判断を展開することには慎重であるべきものとする考え方であり, このブランダイス ルールの法理は, その後米国連邦最高裁の判例法理となっている そうすると, 裁判所が, 事件の結論を導くのに必要かつ十分な法律判断に加えて, 当事者の主張に対する念のための応答として憲法判断を付加的に判示することは, このブランダイス ルールの法理に抵触するおそれがある もっとも, その憲法判断が当審の確定した先例として既に存在し, あるいは異論のない明白な判断であるといえる場合には, そのような処理もあり得るところであろう しかし, 受刑 - 5 -

者の選挙権の問題に関しては, 諸外国の法制度が区々に分かれ, 特に英国など欧州において様々な議論が行われており, 近年, 諸外国における制度の見直しを含む法制上の対応や議論の動向は極めて流動的な状況にある このことを踏まえると, 本件制限規定の合憲性に係る判断を付加することは, 上記の場合に当たるとはいえず, ブランダイス ルールないしその精神に照らして疑問のあるところといわなければならない なお, このような処理は, 上訴審による審査を受ける余地のない形で下級審において憲法判断がされるという点でも, 違憲立法審査権の行使の在り方としてその当否が問題となるものといえよう 4 以上のとおり, 事件処理に必要な場合を超えて司法部が違憲立法審査権を行使することには, 上記のような様々な問題があり, その点についての十分な認識と適正な判断が求められるところであると考える ( 裁判長裁判官鬼丸かおる裁判官千葉勝美裁判官小貫芳信裁判官山本庸幸 ) - 6 -