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2 就業規則について 労働条件は個別に労働者に説明しているため 就業規則は作成していない 常時雇用している労働者が 10 人未満の場合は除く 就業規則について 使用者が一方的に作成しており 労働者からの意見は聴いていない 就業規則を作っているものの 担当者が管理しており 労働者が自由に見られるように

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改正労働基準法

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労働基準関係法令に違反するおそれがある事項 労働時間 15 タイムカード等の客観的な記録から確認するなどにより 実際に働いた時間を適正に把握していますか 16 準備や片付けの時間 ( 学習塾等の場合 授業以外に行う質問対応 報告書の作成等に要した時間 ) を労働時間としていますか 賃金 17 賃金を

申出が遅れた場合は 会社は育児 介護休業法に基づき 休業開始日の指定ができる 第 2 条 ( 介護休業 ) 1 要介護状態にある対象家族を介護する従業員 ( 日雇従業員を除く ) 及び法定要件を全て満たした有期契約従業員は 申出により 介護を必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲で

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025 of 訪問介護員のための魅力ある就労環境づくり

必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲内で 3 回を上限として介護休業をすることができる ただし 有期契約従業員にあっては 申出時点において 次のいずれにも該当する者に限り 介護休業をすることができる 一入社 1 年以上であること二介護休業開始予定日から 93 日を経過する日から

( イ ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり 1 歳 6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡 負傷 疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合 6 育児休業をすることを希望する従業員は 原則として 育児休業を開始しようとする日の1か月前 (4 及び5に基づく1 歳

中央教育審議会(第119回)配付資料

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(3) 始業 終業時刻が労働者に委ねられることの明確化裁量労働制において 使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化する (4) 専門業務型裁量労働制の対象労働者への事前通知の法定化専門業務型裁量労働制の導入に当たり 事前に 対象労働者に対して 1 専

改正労働基準法

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

パートタイマー就業規則

学生アルバイトの労働条件に関する自主点検表 労働基準関係法令に違反する事項 労働条件の明示 1 アルバイトを雇い入れる際 賃金や労働時間などの労働条件を記載した書面を交付していますか 解説 労働条件を明確にすることは全てのトラブル防止の基本です そこで 労基法では 労働者との間で労働契約を締結するに

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(発表用)260819 求人内容及び労働条件の適正化発表資料(案)

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テーマ 5 労働時間 71

Microsoft Word - 22育児・介護休業等規程

ただし 日雇従業員 期間契約従業員 ( 法に定める一定の範囲の期間契約従業員を除く ) 労使協定で除外された次のいずれかに該当する従業員についてはこの限りではない (2) 週の所定労働日数が2 日以下の従業員 (3) 申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 2 要介護状態に

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貨物自動車運送事業のモデル三六協定およびその届 様式第 9 号 ( 第 17 条関係 ) 時間外労働休日労働に関する協定届 事業の種類 事業の名称 事業の所在地 ( 電話番号 ) 貨物自動車運送事業 新宿運輸株式会社 新宿区西新宿 ( ) 延長することができる時間

筑紫野市学童保育連絡協議会学童クラブ指導員就業規則

社内様式 2 育児 介護 休業取扱通知書 あなたが平成年月日にされた 育児 介護 休業の申出について 育児 介護休業等に関する規則 第 3 条 第 7 条 に基づき その取扱いを下のとおり通知します ( ただし 期間の変更の申出があった場合には下の事項の若干の変更があり得ます ) 1 休業の期間等

制度名 No. 1 ( 働 1) フレックスタイム制度 対象者: 営業職の正社員 労働時間の清算期間: 毎月 1 日から末日までの1か月 1 日の所定労働時間は 8 時間 清算期間内の総労働時間: 1 日あたり8 時間として 清算期間中の労働日数を乗じて得られた時間数 ただし 清算期間内を平均し1

(案)

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は社員の育児 介護休業 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短 時間勤務等に関する取り扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2 条 ( 育児休業の対象者 ) 1. 育児のために休業す

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基発第 号

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4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

社内様式 2 育児 介護 休業取扱通知書 平成年月日 会社名 あなたから平成年月日に 育児 介護 休業の 申出 期間変更の申出 申出の撤回 がありました 育児 介護休業等に関する規則 ( 第 3 条 第 4 条 第 5 条 第 7 条 第 8 条及び第 9 条 ) に基づき その取扱いを下のとおり通

育児休業申出書式例

第 1 章育児休業 第 1 条 ( 対象者 ) 生後 1 年未満 ( 第 5 条による育児休業の場合は 1 歳 6 ヶ月 ) の子と同居し養育する従業員であって 休業後も引き続き勤務する意思のある者は 育児のための休業をすることができる ただし 日々雇用者 期間雇用者 ( 申出時点において雇用期間が

★HP版調整事件解説集h28[023]

日商簿記2級直前対策講座

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短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

調査等 何らかの形でその者が雇用期間の更新を希望する旨を確認することに代えることができる ( 雇用期間の末日 ) 第 6 条第 4 条及び第 5 条の雇用期間の末日は 再雇用された者が満 65 歳に達する日以後における最初の3 月 31 日以前でなければならない 2 削除 3 削除 ( 人事異動通知

年金の日 をご存じですか 国民一人ひとり ねんきんネット 等を活用しながら高齢期の生活設計に思いを巡らす日として 厚生労働省が 2014 年度から 11 月 30 日 ( いいみらい ) の日としたそうです 掲載内容に関してご不明点等があれば お気軽に当事務所までお問い合わせください

深夜勤務の制限 5 妊産婦の時間外 休日 妊娠中の女性が 母体または胎児の健康保持のため 深夜勤務や時間外勤務等の制限を所属長に請求できます 病院助手専攻医臨床研修医 6 妊娠中の休息 妊娠中の女性は 勤務時間規程に規定する 職務に専念する義務の免除 を利用して 母体または胎児の健康保持のため 勤務

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

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目 次 第 1 条 目的及び内容 1 第 2 条 育児休業 2 第 3 条 パパ ママ育休プラス 2 第 4 条 1 歳 6 か月までの育児休業 2 第 5 条 育児休業の申出の手続等 3 第 6 条 パパ休暇の特例 3 第 7 条 介護休業 3 第 8 条 介護休業の申出の手続等 4 第 9 条

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は 従業員の育児 介護休業 子の看護休暇 介護休暇 育児のための所定外労働の免除 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短時間勤務等に関する取扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2

育児休業及び育児短時間勤務に関する規則

Microsoft Word 第二弾【公開版】改正育介法Q&A

様式 第9号

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公益社団法人松戸市シルバー人材センター臨時職員就業規程 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 公益社団法人松戸市シルバー人材センター ( 以下 センター という ) の臨時に雇用する者 ( 以下 臨時職員 という ) の就業に関して必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条この規程において

就業規則への記載はもうお済みですか

第 11 条育児休業を終了して復帰する教職員の年次有給休暇については 理事長が別に定める ( 育児短時間勤務 ) 第 12 条小学校就学の始期に達するまでの子と同居し 当該子を養育する教職員が申し出た場合には 当該子がその始期に達するまで 当該教職員の所定勤務時間を 6 時間とすること ( 以下 育

はじめに この規程は クルーと株式会社クラッソーネ ( 以下 会社 といいます ) の信頼関係を保ちながら 良い就業環境を築いていくことを目的として 賃金を制定したものです 第 1 章基本となるきまり 第 2 章賃金の計算および支払 第 3 章基本給の更改 第 4 章諸手当 ( 改訂中 ) 第 5

企業ブランディング計画

2 賞与 3 手当 4 福利厚生 5 その他 第 4 派遣労働者 1 基本給 2 賞与 3 手当 4 福利厚生 5 その他 第 5 協定対象派遣労働者 1 賃金 2 福利厚生 3 その他 第 1 目的 この指針は 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 ( 平成 5 年法律 -

就業規則への記載はもうお済みですか

 

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企業 メリット : 1 労働者が社内では得られない知識 スキルを獲得することができる 2 優秀な人材の獲得 流出の防止ができ 競争力が向上する 3 労働者が社外から新たな知識 情報や人脈を入れることで 事業機会の拡大につながる 留意点 : 1 必要な就業時間の把握 管理や健康管理への対応 労働者の職

09資料4-3<統合版> (300216差し替え)雇用型テレワークガイドライン(案)

第22回規制改革会議 資料3

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< 是正勧告書の例 > 是正勧告書はあくまで勧告であり事業主の主体的な是正措置を期待するものですから 強制力は持っていません 法違反に対する行政指導上の措置であり 法的効果は生じません 改善しないことによる罰則はありません しかし 是正勧告書という行政指導文書の中に書かれていることは 罰則のある法令

22 1 退職時の証明労働者の退職時 労働者から使用期間 業務 地位 賃金 退職事由について証明書の請求があったとき 交付している ( 労働者が請求していない事項は記 明書を請求されたとき 交付している ( 労働者が請求していない事項は記入して 2 解雇理由の証明労働者が解雇の予告をされた日から退職

ただし 平成 22 年 6 月 30 日時点で 常時 100 人以下の労働者を雇用する事業主については 公布日から3 年後に当たる平成 24 年 6 月 30 日 ( 予定 ) までの間 < 短時間勤務制度の義務化 >< 所定外労働の免除の義務化 >< 介護休暇 >について 改正規定の適用が猶予され

( 休憩時間 ) 第 3 条 任命権者は 1 日の勤務時間が 6 時間を超える場合においては 少な くとも45 分 8 時間を超える場合においては 少なくとも1 時間の休憩時間を それぞれ所定の勤務時間の途中に置かなければならない 2 前項の休憩時間は 職務の特殊性又は当該公署の特殊の必要がある場合

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題名

CONTENTS

Microsoft Word - H29 結果概要

平均賃金を支払わなければならない この予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮される ( 労基法 20 条 ) 3 試用期間中の労働者であっても 14 日を超えて雇用された場合は 上記 2の予告の手続きが必要である ( 労基法 21 条 ) 4 例外として 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の

36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針 (労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針)

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( 育児休業の期間 ) 第 5 条育児休業の期間は 原則として 子が 1 歳に達するまでを限度として育児休業申出書 ( 様式 1) に記載された期間とする 2 前項にかかわらず 会社は 育児休業 介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 ( 以下 育児 介護休業法 という ) の定

2. 使用者は 労働者を解雇しようとする場合においては 少なくとも30 日前にその予告をしなければならない 30 日前に予告をしない使用者は 30 日分以上の平均賃金を支払わなければならない 但し 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づ

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4-1 育児関連 休業期間を有給にするか 無給にするかは 就業規則等の定めに従います また 雇用保険に加入している労働者には 国から給付金が支給されます (P106 参照 ) 産前産後休業期間中及び育児休業期間中は 労働者 使用者とも申請により社会保険料が免除になります 育児休業の対象者 ( 第 5

育児のための両立支援制度 制度の概要 ( イメージ ) 出生 1 歳 1 歳 6か月 3 歳就学 パパ ママ育休プラス 1 歳 6 か月延長 ( 子の年齢 ) ⑴ 育児休業 Ⅰ Ⅱ 努力義務 ⑵ 短時間勤務制度 ⑶ 所定外労働の免除 努力義務 努力義務 ⑷ 子の看護休暇 ⑸ 法定時間外労働の制限 ⑹

1 適用範囲 対象事業場 対象となる事業場は 労働基準法のうち労働時間に係る規定 ( 労働基準法第 4 章 ) が適用される 全ての事業場です 対象労働者 対象となる労働者は 労働基準法第 41 条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者 ( 事業場外労働を行う者にあっては みなし労働時間制

2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

育児休業制度の概要

事業主が知っておくべき社会保険の基礎知識

就 業 規 則

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【全文】就業規則(今井保育園H29.1.1)

目 次 Ⅰ 子育てのサポート 1 妊娠前 妊娠中のサポート 1 生理休暇 2 不妊治療の受診 3 妊娠障害 ( つわり ) 休暇 4 健康診査及び保健指導に係る休暇 5 危険有害業務の就業制限 6 深夜勤務及び時間外勤務の制限 7 通勤緩和措置 8 職員の休息等 2 出産前後のサポート 1 産前 産

育児休業をすることができる有期契約労働者の範囲 申出の時点で 次の12の両方を満たす方です 同一の事業主に引き続き 1 年以上雇用されていること 子が1 歳 6か月に達する日までに 労働契約 ( 更新される場合には 更新後の契約 ) の期間が満了することが明らかでないこと ご注意 :1 歳以降の育児

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3 労働条件 - これだけは知っておきたい法的知識 - わりましちんぎん給料 ( 賃金 ) については 最低賃金 や残業した時の 割増賃金 など 労働時間や休暇については 8 時間労働制 や 年次有給休暇 などが法律で定められていま 1 賃金 (1) 賃金とは 給料 手当 賞与 ( ボーナス ) などの名称にかかわらず 働いたこと の対償として支払われるすべてのもの をいいます 労働基準法第 11 条 昇給 諸手当 ( 通勤手当 住宅手当 家族手当など ) 賞与や退職金などについては 法律に定めがありません 労働契約 就業規則などで決められることです (2) 賃金の支払方法は 1 通貨で 2 直接本人に 3 全額を 4 毎月 1 回以上 5 一定の期日を定めて 支払わなければならないことになっています 労働基準法第 24 条 賃金を通貨以外の現物で支払うことは 原則的に禁止されています 銀行振込は 労働者の同意があれば可能です 所得税の源泉徴収など他の法令で定めがある場合や 労働組合費 社内預金など労使が書面による協定で合意した場合については 賃金からの控除が認められます ここがポイント! - 最低賃金 - 大阪府の最低賃金は時間額 936 円です ( 平成 30 年 10 月 1 日から ) 最低賃金制度 とは 最低賃金法に基づいて 国が賃金額の最低限度を定めたものです 使用者は その金額以上の賃金を支払わなければなりません 労働契約で最低賃金に達しない賃金額を定めても その部分は無効とされ 最低賃金が労働条件になります 最低賃金には 都道府県ごとに決定される 地域別最低賃金 と 特定の業種について定められた 特定最低賃金 の 2 種類があり 両方の最低賃金が同時に適用される場合には いずれか高い方の最低賃金が適用されます 地域別最低賃金は パート アルバイト等を含むすべての労働者に適用されます 1

2 労働時間 - 仕事の始まりから仕事の終わりまで - (1) 労働時間とは 労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間のことです 実際に仕事をしている時間のほか 仕事の準備や後始末なども 使用者の命令があればその時間も労働時間となります 1 法定労働時間と所定労働時間 労働基準法では 原則として 1 日の労働時間を 休憩時間を除き 8 時間以内 1 週間の労働時間を 休憩時間を除き 40 時間以内と定めています これを法定労働時間といいます ( ただし 従業員 10 人未満の商業 映画 演劇業 ( 映画の製作の事業を除く ) 保健衛生業 接客娯楽業については 特例措置で週 44 時間以内です ) 労働基準法第 32 条 第 40 条 所定労働時間とは 労働契約や事業場の就業規則で定められている労働時間のこと です 法定労働時間よりも長い所定労働時間を定めることはできません 2 変形労働時間制業務の繁閑や特殊性に応じて 一定の要件の下に 一定期間を平均して週 40 時間を超えない範囲で 1 日及び 1 週間の法定労働時間を緩和する制度です 変形労働時間制を実施する場合には 就業規則や労使協定で定めておく必要があり さらに労働基準監督署長への届出が必要な場合があります 変形労働時間制には 1 か月単位 1 年単位の変形労働時間制 労働者が自ら始業時刻及び終業時刻を決定できるフレックスタイム制などがあります 労働基準法第 32 条の 2~5 3みなし労働時間制と裁量労働制変形労働時間制のほか 法定労働時間を弾力的に運用する制度として 事業場外で労働し 労働時間の算定が難しい場合に所定労働時間労働したものとみなされる みなし労働時間制 や 業務の性質上 業務の遂行や方法や時間の配分などに関し 労使協定や労使委員会の決議で定められた時間を労働したものとみなす 裁量労働制 があります これらの制度は対象となる職種 業務が限定的で 労使協定の締結等 具体的な制約や手続きが法律で定められています 労働基準法第 38 条の 2~4 2

3 休憩時間使用者は 労働時間が 6 時間を超える場合においては少なくとも 45 分 8 時間を超える場合においては少なくとも 1 時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません また 休憩時間は原則として一斉に与え 自由に利用させなければなりません 労働基準法第 34 条 4 休日休日とは 労働契約において労働義務がないとされている日をいいます 使用者は 労働者に対し 毎週少なくとも 1 日か 4 週間を通じて 4 日以上の休日を与えなければなりません これを 法定休日 といいます 労働基準法第 35 条 5 時間外 休日労働と割増賃金 (1) 時間外労働 とは 所定労働時間又は法定労働時間を超えて働くこと 休日労 働 とは 法定休日に働くことをいいます (2) 使用者が 法定労働時間 (1 日 8 時間 : 週 40 時間 ) を超えて または法定休日に働かせるためには あらかじめ 労働者の過半数で組織する労働組合 過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と書面による協定を結んで 所轄の労働基準監督署長に届けておかなければなりません この協定は 労働基準法第 36 条に基づくことから 36( さぶろく ) 協定といわれています 労働基準法第 36 条 時間外労働については 長時間にならないよう 36 協定の上限時間の基準が設け られています 時間外労働に関する基準 ( 一般労働者の場合 ) ( 単位 : 時間 ) 期間 1 週間 2 週間 4 週間 1 か月 2 か月 3 か月 1 年 限度 15 27 43 45 81 120 360 H21..5..29 厚生労働省告示第 316 号 P91 働き方改革関連法について の Ⅰ1 参照 3

(3) 深夜労働 とは 午後 10 時から午前 5 時までの間に働くことをいいます (4) 法定時間外労働 休日労働 深夜労働をさせた場合 使用者は労働者に対し 通常 の賃金より割り増しした賃金を支払わなければなりません 労働基準法第 37 条 各々の割増率と計算式は以下のとおりです 1 法定労働時間を超える残業 2 法定休日の労働 3 深夜労働 25% 以上 ( 注 1) 時間外労働が深夜労働に及んだ場合 50% 以上 法定休日に深夜労働をした場合 35% 以上 ( 振替休日は除く ( 注 2)) 60% 以上 25% 以上 注 1 1 か月 60 時間を超える時間外労働については 使用者は労働者に対し 50% 以上の割増賃金を支払わなければなりません 注 2 法定休日に労働をしても 事前に休日の振替を行った場合 割増賃金が不要で すが 振替によって週の労働時間が法定労働時間を超えるなどの時間外労働が 発生した場合は 割増賃金の支払が必要となります 注 3 1 か月 45 時間などの限定基準 ( 限度時間 ) を超える時間労働については 使用者は 25% を超える割増賃金率とするよう努めることとされています 労働基準法第 36 条第 2 項 P91 働き方改革関連法について の Ⅰ4 参照 ここがポイント! - 割増賃金の計算式 - 通常賃金の 1 時間分の賃金 割増率 時間数 例えば 時給 1,000 円で 深夜労働にならない範囲で法定時間外労働を 2 時間した場合 1,000( 円 / 時間 ) 1.25 2( 時間 )= 2,500( 円 ) となります 月給制の場合 通常の賃金の 1 時間分の額は 月の所定賃金額 月 ( 平均 ) 所定労働時間数で計算します 月 ( 平均 ) 所定労働時間数 =1 日の所定労働時間数 年間所定労働日数 12 か月 通常の賃金の 1 時間分の額を計算する際 計算から除外できる手当は家族手当 通勤手当 別居手当 子女教育手当 住宅手当 臨時に支払われた賃金 1 か月を超える期間ごとに支払われる手当です これ以外の手当は 通常の賃金に含めなければなりません 手当の名称が除外できる賃金と同一であっても 趣旨や金額の根拠によっては算入する必要があります 労働基準法第 37 条第 5 項 4

6 年次有給休暇 - 休日以外の休み - (1) 年次有給休暇とは 賃金をもらいながら 自分の希望する所定労働日に休みを取ることができる制度です 会社があるかないかを決めるのではなく 労働基準法で定められた権利です 労働基準法第 39 条 (2) 労働者が 雇われた日から 継続して働き 働く日と決まっている日数 ( 所定 労働日数 ) の 8 割以上出勤した場合 使用者は 10 日の有給休暇を与えなければなり ません その後 労働者が 1 年を経過するごとに同じく所定労働日数の 8 割以上出勤 すれば 使用者は < 表 1> の日数の有給休暇を与えなければなりません P91 働き方改革関連法について の Ⅰ3 参照 < 表 1> 年次有給休暇の付与日数 週所定労働日数が 5 日以上または週所定労働時間が 30 時間以上の労働者 勤続年数 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 6 年 以上 付与日数 10 日 11 日 12 日 14 日 16 日 18 日 20 日 (3) パート アルバイトなど 所定労働時間 日数の短い労働者にも その週または年あたりの所定労働日数に応じて 使用者は < 表 2> の日数の有給休暇を与えなければなりません 労働基準法第 39 条第 3 項 < 表 2> 年次有給休暇の付与日数 ( 短時間労働者 ) 週所定労働日数が 4 日以下かつ週所定労働時間が 30 時間未満の労働者 週所定労働日数 4 日 3 日 2 日 1 日 勤続年数年間所定 6 年 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年労働日数 以上 169 日 ~216 日 7 日 8 日 9 日 10 日 12 日 13 日 15 日 121 日 ~168 日 5 日 6 日 6 日 8 日 9 日 10 日 11 日 73 日 ~120 日 3 日 4 日 4 日 5 日 6 日 6 日 7 日 48 日 ~72 日 1 日 2 日 2 日 2 日 3 日 3 日 3 日 5

過労死等防止対策推進法について < ものしり豆知識 > 過労死をゼロにし 健康で充実して働き続けることのできる社会へ 毎年 11 月は 過労死等防止啓発月間です 近年 わが国において過労死等が多発し大きな社会問題となっています 過労死は 本人はもとより その遺族や家族だけでなく社会にとっても大きな損失です 過労死等がなく 仕事と生活を調和させ 健康で充実して働き続けることのできる社会を実現するため 平成 26 年 11 月に過労死等防止対策推進法が施行されました 同法では 過労死等の防止のための対策として 国が 調査研究 啓発 相談体制の整備 民間団体の活動に対する支援などを行うことが定められています 大阪府や市町村においても 国と連携し 啓発などに取り組んでいくこととされています 6

年少者の保護 1 最低年齢児童 ( 満 15 歳に達した日以後の最初の 3 月 31 日が終了するまでの者 ) を労働者として使用することは 禁止されています ただし 非工業的事業で児童の健康 福祉に有害でない軽易な業務や映画制作や演劇など事業の種類等によっては 労働基準監督署長の許可を受けて児童を使用することができるという例外があります 労働基準法第 56 条 2 未成年者の労働契約親権者または後見人 ( ) が 未成年者に代わって労働契約を締結することは禁止されていますので 未成年者の労働契約は 未成年者が自ら締結することになります ただし 未成年者が締結した労働契約がその未成年者に不利であると認められる場合には 親権者 後見人または所轄の労働基準監督署長は その労働契約を将来に向かって解除することができます 未成年者は 独立して賃金を請求することができます 親権者または後見人は 未成年者の賃金を代わって受け取ってはいけません 労働基準法第 58 条 第 59 条 後見人 親権者のいない未成年者の財産管理などを行う人 3 深夜業年少者 ( 満 18 歳未満 ) を深夜 ( 午後 10 時 ~ 午前 5 時 ) に働かせることは原則として禁止されています ただし 次の例外があります 交替制で使用する満 16 歳以上の男性 交替制による事業において労働基準監督署長の許可により午後 10 時 30 分まで労働させる場合など 農林水産業 保健衛生業 電話交換業務の従事者 非常災害時の時間外 休日労働 労働基準法第 61 条 7

4 危険有害業務の就業制限及び坑内労働の禁止年少者 ( 満 18 歳未満 ) を 危険な業務 重量物 毒劇薬を取扱う業務 有害ガスの発生場所 高温 高圧の場所等で働かせることは禁止されています また 坑内 ( ) で労働させることも禁止されています 労働基準法第 62 条 第 63 条 坑内 炭鉱 鉱山やトンネルの中 < ものしり豆知識 > - いやゆるブラック企業ってどんな会社なの - ブラック企業についての明確な定義はありませんが 一般的な特徴として 1 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す 2 賃金不払残業やパワーハラ スメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い 3 このような状 況下で労働者に対し過度の選別を行う などが挙げられています このような企業に就職してしまった場合の対応としては 第一義的には会社に対 して問題点の改善を求めていくことが考えられます しかしながら 新入社員が単 独で会社に問題点の改善を求めて交渉等をするのは現実的には非常に難しいと考え られます したがって 一人で抱え込まず 問題点に応じて 外部の関係機関や労 働組合に相談することも有効な手段と考えられます ( 厚生労働省ホームページ 確かめよう労働条件 より引用 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/zenpan/q4.html) 8