将来 = 何年後 どのような状況になった時を明確に 誰に = 親族とは限らない どのように = 相続や提携や合併などの方法 どのような事業 = 既存事業とは限らない他事業との連携や転換も 自分や従業員 = 将来の家族も含めた生活保障重要な要素である 戦略を立て それを課題ごとに 時系列的に落とし込ん

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スライド 1

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

新株予約権発行に関する取締役会決議公告

ストックオプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

定款の一部変更に関するお知らせ

2 b. 廃業 3) 事業承継計画 1 現状の把握 a. 事業承継に係る関係者の状況 中小家の親族関係 その他の関係者 氏名 年齢続柄 備考 氏名年齢 備考 中小太郎 60 歳 本人 T 社の創始者 ( 代表取締役社長 ) A 63 歳 T 社の専務取締役 ( 太郎の右腕 最近病気がち ) 中小花子

株主間契約書 投資事業有限責任組合 ( 以下 A という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 B という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 C といいい A B C を総称し 投資者 といい 個別に 各投資者 という ) と 以下 D という ) と ( 以下 D という ) ( 以下 E といい

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

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株主各位 平成 29 年 8 月 2 日東京都港区虎ノ門三丁目 1 番 1 号 ITbook 株式会社代表取締役会長兼 CEO 恩田饒 ストック オプション ( 新株予約権 ) の発行に関する取締役会決議公告 当社は 平成 29 年 7 月 19 日開催の取締役会において 当社取締役 執行役員および

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09企業組織法-1

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10企業組織法-1

新株予約権発行に関する取締役会決議公告 株主各位 平成 29 年 8 月 1 日千葉県流山市南流山三丁目 10 番地 16 サンコーテクノ株式会社代表取締役社長洞下英人 平成 29 年 7 月 18 日開催の当社取締役会において 当社の取締役 ( 監査等委員である取締役及び社外取締役を除く ( 以下

2006年5月10日

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Nikon Information(募集新株予約権(株式報酬型ストックオプション)の割当てに関するお知らせ)

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手続が不要となるため キャッシュ アウト完了までのスケジュールを短縮することができるようになると見込まれています また 全部取得条項付種類株式の取得では新株予約権を強制的に取得することができないのに対し 株式等売渡請求制度では新株予約権をも対象とすることができるため 新株予約権の処理に関して個別の保

1. はじめに 中小企業経営者の高齢化が進展する中 事業承継の円滑化は喫緊の課題です 平成 30 年度税制改正において 事業承継の際に生ずる相続税 贈与税の負担を軽減する 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 以下 事業承継税制 ) が抜本的に改正されました 本改正では

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

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式質権者 ( 以下 優先株質権者 という ) に対し 普通株式を有する株主 ( 以下 普通株主 という ) または普通株式の登録株式質権者 ( 以下 普通株質権者 という ) に先立ち 発行価額に 100 分の 10 を乗じた金額を 当該事業年度における上限として 発行に際して取締役会で定める額の配

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

参考. 改正前の制度概要 ( 改正対象は太字 ) (1) 税の納税猶予の全体像 ( 概要 ) の要件 会社の代表者であったこと 時には代表権を有していないこと と同族関係者で決議数の 50% 超の株式を保有かつを除いた同族内で筆頭株主であったこと 認定対象会社の要件 の要件 会社の代表者であること

プルータスセミナー 新株予約権の税務について 株式会社プルータス コンサルティング 平成 18 年 12 月 7 日

(3) 分割の日程 ( 予定 ) 1 基準日設定公告 2013 年 9 月 13 日 ( 金 ) 2 基準日 2013 年 9 月 30 日 ( 月 ) 3 効力発生日 2013 年 10 月 1 日 ( 火 ) (4) 新株予約権の目的である株式の数の調整今回の株式の分割に伴い 当社発行の第 1

株式の贈与 相続税を ゼロ に! 中小企業の事業承継税制と金融支援 - 中小企業経営承継円滑化法事業者向け手引き - 神奈川県

定款規定不要必要経 3 売買価格決定のタイミング 4 当該株主以外の他の株主が自分の株式を買ってほしいという権利 ( 売主追加請求権 ) があるか否か 5 会社が買取る場合 財源上の制約があるか否かなお どのケースの場合も 株主総会の特別決議が必要です 決議にあたっては 対象となる株主 ( 売主 )

規程番号

議決権行使に係る事務取扱手続

株式取扱規程

株式取扱規則

1 第 2 章都道府県知事の認定について 第 1 節第一種特例贈与認定中小企業者 贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施行規則第 6 条第 1 項第 11 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適用を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 1 対象会社要件 中小企業者であること 上場会社等 風俗営業

各位 平成 20 年 2 月 18 日 会社名株式会社松屋代表者代表取締役社長秋田正紀 ( コード番号 8237 東証第一部 ) 問合せ先コーホ レートコミュニケーション部担当部長武藤勝 (TEL. 代表 ) 連結子会社である株式会社スキャンデックスにおける 会社分割 ( 新

平成 26 年 5 月 13 日 各 位 会社名カルビー株式会社代表者名代表取締役社長兼 COO 伊藤秀二 ( コード番号 :2229 東証第一部 ) 問合せ先上級執行役員財務経理本部長菊地耕一 (TEL: ) 業績連動型株式報酬制度の導入に関するお知らせ 当社は 平成 26

平成8年月日

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

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2. BIP 信託の仕組み 1 本株主総会決議 株式市場 9 残余財産の給付 8 残余株式の無償譲渡 消却 4 当社株式 5 配当 委託者 当社 受託者 ( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 ( 株 ) 日本マスタートラスト信託銀行 ( 株 ) 本信託 3 信託設定 7 当社株式等

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株式取扱規程

事業承継関連税制について 関東経済産業局 平成 30 年 6 月 中小企業金融課

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第1章 財務諸表

(3)1 株未満の端数が生じる場合の処理 株式併合の結果 1 株未満の端数が生じた場合は 会社法第 235 条に基づき一 括して処分し その処分代金を端数が生じた株主様に対して 端数の割合に応じ て分配いたします (4) 株式併合により減少する株主数 平成 28 年 3 月 31 日現在の当行株主名

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平成 28 年 3 月 22 日 各 位 東京都千代田区麹町三丁目 2 番 4 号会社名株式会社スリー ディー マトリックス代表者名代表取締役社長岡田淳 ( コード番号 :7777) 問合せ先取締役新井友行電話番号 03 (3511)3440 ストック オプション ( 新株予約権 ) の取得及び消却

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

新株予約権発行に関する取締役会決議公告 株主各位 平成 30 年 11 月 8 日 東京都渋谷区東一丁目 2 番 20 号住友不動産渋谷ファーストタワー株式会社ミクシィ代表取締役社長木村弘毅 当社は 平成 30 年 11 月 8 日開催の当社取締役会において 会社法第 236 条 第 238 条及び

株式取扱規程 第一生命ホールディングス株式会社 (2016 年 10 月 1 日制定 ) - 1 -

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『事業承継の際の相続税・贈与税          の納税猶予制度』

組織再編税制の見直し

( 第 8 条から移動 ) 第 10 条 ( 単元未満株式の売渡請求 ) 当会社の単元未満株式を有する株主 ( 実質株主を含む 以下同じ ) は株式取扱規則の定めるところに従い その有する当会社の単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の当会社の株式を売渡すよう当会社に請求することができる 第 1

株式取扱規程

1 贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施 規則第 6 条第 1 項第 11 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適 を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 対象会社要件 中 企業者であること 上場会社等 俗営業会社に該当しないこと 資産保有型会社 は資産運 型会社 ( 以下 資産保有型会社等

東京リーガルマインド 無断複製 頒布を禁じます 不動産登記法 一所有権保存 1 74 条 1 項 1 号保存 申請書 1 不登 74 条 1 項 1 号前段 登記の目的 所有者 所有権保存 市 町 丁目 番 号 A 添付書類住所証明情報 (A の住民票の写し ) 代理権限証明情報 (A の委任状 )

Ver.3.0 受付番号票貼付欄 合同会社設立登記申請書 フリガナ 1. 商号 1. 本店 1. 登記の事由設立の手続終了 1. 登記すべき事項 1. 課税標準金額金円 1. 登録免許税金円 1. 添付書類 定款代表社員, 本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面代表社員の就任承諾書払込みがあ

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1 制度の概要 (1) 金融機関の破綻処理に係る施策の実施体制金融庁は 預金保険法 ( 昭和 46 年法律第 34 号 以下 法 という ) 等の規定に基づき 金融機関の破綻処理等のための施策を 預金保険機構及び株式会社整理回収機構 ( 以下 整理回収機構 という ) を通じて実施してきている (2

10 第 1 章 1 株式会社の設立 会社法 445 条 1 項 [ 株式会社の資本金の額 ] 株式会社の資本金の額は この法律 [ 会社法 ] に別段の定めがある場合を除き ( memo. ) 設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする 株式会社

その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の

Institutional Shareholder Services Sumitomo Fudosan Kanda Building 16F 7 Kanda Mitoshirocho Chiyoda-ku, Tokyo T: 各位 2017 年 10

事業承継支援について

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速報!  平成27年度税制改正セミナー

就業規則

7.関係会社の概要

( 別紙 1) BIP 信託の概要 株式市場 残余財産の給付4 本件株式 4 代金の支払い 1 株主総会決議 委託者 5配当 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 本 BIP 信託株式 金銭 6 議決権不行使の指図93信託設定7 株式交付 8 残

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100325 あなたの会社の事業承継.doc

株式併合、単元株式数の変更および定款の一部変更に関するお知らせ

2. 本制度の一部改定について本制度の継続にあたり 本株主総会において承認を得ることを条件として 以下のとおり既に設定している信託の信託期間を延長するとともに 従前の制度から以下の点を一部改定します (1) BIP 信託の延長及び延長時における残存株式等の承継 2018 年 8 月 31 日に信託期

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役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

第 1 章会社法における合併の概要 49 (2) 不動産登記関係合併においては 被合併法人の所有する不動産の名義変更登記が必要となります 新設合併の場合には 合併当事会社がすべて消滅するため すべての不動産が対象となり 登記費用が吸収合併に比して高額となります (3) 社会保険届出等の事務手続新設合

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会社更生法 1. 会社更生とは? 破産とはどう違うの? 破産手続は 経済的に破たんした企業等の財産をすべて換価し 債権者に配当等を行う清算型の手続ですが 会社更生手続は 経済的苦境にある企業等について債務の減免等を行うことにより その経済的な立ち直りを図る再建型の手続です さらに 再建型の手続には民

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贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施 規則第 6 条第 1 項第 13 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適 を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 3 ( 贈与者 ) 先代経営者以外の株主等の要件 先代経営者からの贈与 は相続以後に 贈与を った者であること ( 先代経営者からの贈与 は相

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2. 本制度の仕組み 株式市場 残余財産の給付残余株式の無償譲渡 消却94 当社株式 4 代金の支払 1 本株主総会決議 54配代当金の支6 委託者 議決権不行使の指図8当社 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 BIP 信託 当社株式 金銭 4

(開示様式例)第三者割当により発行される株式/新株予約権/新株予約権付社債/転換社債型新株予約権付社債の募集に関するお知らせ

各 位 平成 29 年 5 月 18 日会社名太平洋セメント株式会社代表者名代表取締役社長福田修二 ( コード番号 5233 東証第 1 部 福証 ) 問合せ先総務部長井町孝彦 (TEL ) 単元株式数の変更 株式併合および定款一部変更に関するお知らせ 当社は 本日開催の取締

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社団法人日本経営士会中国支部研究会事業承継実務研究会 事業承継と会社法 株式会社 FMS 経営士 ふじしま経営サポート代表 藤島公平 753-0831 山口市平井 822-7 山大通りオフィスビル2F Tel -924 083-3936 Fax -924-3904 083 URL : http://fms9.com E-mail : keieispt@fms9.com 研究会の目的 事業承継の事例研究などを通して事業承継の実務的力量を高めて 事業承継分野での業務領域の拡大を目指すこと 事業承継の分野は特に地方では実態的には未だ手付かずの状態 承継税制や民法特例などの講演会中心 私たちが目指すのは事業承継計画を立て それを完結するためのコーディネートをする仕事 1. 事業承継とは 事業承継とは既存の事業を継続していくために 会社を親族またはその他の人や会社に託していくことで 事業で培ってきた雇用や技術 取引先等の関係や 事業家や関係者の生活をできるだけ壊さずに未来へつなげていくこと そのことで 事業家としての責任を全うすること 2. なぜ今盛んに言われるのか 中小企業は 企業数で全体の9 割以上 約 433 万雇用の約 7 割 健全な発展のための環境を整備し 未来に承継してゆくことは 日本経済が継続的に発展を続けていく為に必要不可欠 事業を後継者に承継させるに当たって 障害があると認識している経営者は全体の4 割強 引退予想年齢の平均が約 67 歳という調査 過半の中小企業が 今後 10 年程度の間にはこの問題の対応を迫られることとなる ( 事業承継ガイドラインより ) ところが まだまだ私は元気だ とか 私の一代で終わってもいい とか 承継に対して無理解 軽視が多い 企業家への啓蒙が必要な時 実務的な講演会が必要な時 成功事例や失敗事例に学ぶ時 経営者の責任として自覚する時 3. 事業承継の戦略と戦術 承継税制 民法特例適用 定款設計などは戦術重要なのは戦略 将来 誰にどのようにして どのような事業を展開させたいか その中で自分や従業員はどうありたいのか そして事業承継計画に沿って経営改善を平行して行うことがなければならない 1

将来 = 何年後 どのような状況になった時を明確に 誰に = 親族とは限らない どのように = 相続や提携や合併などの方法 どのような事業 = 既存事業とは限らない他事業との連携や転換も 自分や従業員 = 将来の家族も含めた生活保障重要な要素である 戦略を立て それを課題ごとに 時系列的に落とし込んだものが事業承継計画 4. 事業承継の形態とポイント 1 親族への承継 2 従業員等への承継 3 外部経営者の招聘 4 スポンサーの介入 5 M&A 又は事業譲渡の場合 6 法的整理に向かう場合 1 親族への承継 相続対策財産分散による経営圧迫を防止 株式関係経営者以外への支配権分散を防止民法特例の活用 定款設計早くから種類株式等の準備 税対策相続税承継税制の活用 現経営者の処遇承継への不安の払拭 後継者教育理念承継現場経験交代時期 2 従業員等への承継 相続対策経営資産分散による経営圧迫を防止 株式関係経営者以外への支配権分散を防止 定款設計早くから種類株式等の準備 負債の責任関係の整理承継への不安払拭 資産の権利関係個人資産との賃借契約 現経営者の処遇承継への不安払拭 後継者教育理念承継現場経験交代時期 他の従業員との調整 ライバル的人物の処遇 3 外部経営者の招聘 負債の責任関係の整理旧経営者の保証継続や担保関係の継続 株式関係旧経営者の支配権継続もしもの場合の交代可能に インセンティブ定時報酬と業績連動の賞与又は報酬改定契約 期間契約などの契約外部にとっては期間中は安心旧経営者にとっては交代又は延長のフリーハンド 2

4 スポンサーの介入スポンサーの動機は売買目的又は本業との相乗 効果期待 etc デューデリ財務だけでなく企業価値の調査 負債の処理金融機関と協議しスポンサー資金での弁済する計画の協議 事業計画スポンサーのために企業価値を高めるための計画 反対給付の条件スポンサーへの見返り 役員体制スポンサーの意向の反映 現経営者の処遇現経営者を交代させるのか継続させるのか退職金や報酬契約 5M&A 又は事業譲渡の場合 デューデリ相互に企業価値を調査株式の交換比率や新株の引受数に影響 反対株主対策買取交渉 定款設計株式分割や自己株式の環境作り 合併の形態事業譲渡 吸収合併 新設合併金銭か株式か 株式関係株式交換か株式移転か 新株引受か自己株式引受か第三者株式か 役員関係対等かどうかの分かれ目 6 法的整理に向かう場合 デューデリ法人や経営者個人の資産価値の調査別除権額のもととなる 反対株主対策買取交渉 定款設計どのような方向でも決定可能な環境 裁判 弁護士費用の捻出法的提起の段階で一定期間返済中止となるので捻出可能それでも捻出できない場合は破産しかない 大口取引先対策今後の取引を考え直前には内諾を得るような交渉 再生事業計画特にキャッシュフロー計画 5. 戦略にそった戦術を決める 戦略に沿った戦術を時系列的に計画するのが承継計画 1 承継税制について 2 民法特例の適用について 3 会社法の活用について会社の支配権会社の評価額会社の譲渡 分割 合併 1 承継税制について 一定の要件を満たせば 非上場株式等について後継者が先代経営者から一括で自社株式の贈与を受けた場合に 贈与前から後継者が既に保有している議決権株式等を含め 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの部分についての贈与税を全額納税猶予する 非上場株式等について後継者が先代経営者から自社株式を相続した場合に 相続前から後継者が既に保有している議決権株式等を含め 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの部分に係る課税価格の 80% に対応する相続税を納税猶予する 納税猶予制度の手続等と適用要件 3

2 民法特例の適用について 生前贈与株式を遺留分の対象から除外 ( 除外特例 ) 先代経営者の生前に 経済産業大臣の確認を受けた後継者が 遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることで 先代経営者から後継者へ贈与された自社株式その他一定の財産について 遺留分算定の基礎財産から除外する 贈与株式が遺留分減殺請求の対象外となるため 相続に伴う株式分散を未然に防止することができる 事業継続に不可欠な自社株式が後継者に集中させることができる 3 会社法の活用 事業承継に係わる部分 1 様々な種類株式を発行できるようになった (108 条 ) 2 自己株式の取得制限が大幅に緩和 (156 条 ) 3 相続による株式移転の制限 (174 条 ) 4 現物出資 債務の株式化が容易に (236 条 ) 5 事業譲渡の緩和 (467 条 ) 株式交換 株式移転 会社分割 ( 五編一章 ~ 四章 ) など手法は様々 1 様々な種類株式 1) 有利優先配当株式 2) 残余財産の優先分配株式 3) 議決権制限種類株式 4) 譲渡制限種類株式 5) 取得請求権付種類株式 6) 取得条項付種類株式 7) 全部取得条項付種類株式 8) 拒否権付種類株式 ) 9) 選解任種類株式 ) 1) 剰余金の配当の活用 反対株主や議決権制限株式への交換を拒否する株主に有利配当株式として交付する懐柔策や出資への期待時に活用例 ) 株式配当の時 普通株式の配当 1 に対して有利配当株式には 1.2 の割合による配当を支払う 従来は株主平等の原則だったが 会社経営よりは配当収益に関心を持つ者はこちらを望む 3) 議決権制限種類株式 経営に直接タッチしない相続人などに議決権制限株式を交付して 議決権環境 ( 会社の支配権 ) を良くする 株主総会で希望する方向での議決がしやすくなる ただし 総株主 の中にはカウントされるので超特殊決議 ( 後に解説 ) の場合に影響する 4) 譲渡制限種類株式 中小企業の場合 株式全体への譲渡制限が普通であるが 譲渡制限の網をかけられない場合 ( 上場又は店頭公開株式 ) 発行済み株式の 50% 未満までは譲渡制限株式とすることができる 譲渡できないという訳ではなく 譲渡の場合取締役会又は株主総会の承認を要するとするもの もし承認しなかったら 新たな買い手を指名しなければならない 敵対的な者に譲渡させないという意味では意味がある 4

5) 取得請求権付種類株式 株主の請求により配当優先株式や議決権制限株式が普通株式に転換することになる これにより 将来の制約なく株主が出資できるため 会社の資金調達の多様化が図られることになります つまり優良資金提供者を呼び込む手法として活用できる 一方 その株主が将来敵対側に廻れば怖いことになる可能性もある 6) 取得請求権付種類株式 強制償還株式や強制転換条項付株式をいう (1) 普通株式を強制的に議決権制限株式に転換 (2) 議決権制限株式を強制的に普通株式に転換 (1) は一定の事由が生じた時に議決権を行使させたくない場合 (2) は一定の事由が生じた時に議決権を行使させたい場合に有効なパターン一定の事由とは定款で定める 事業譲渡を決するする場合 取締役会で議決された場合 etc 取得の手続は取締役会決議で決めることができる 7) 全部取得条項付種類株式 その1つの種類株式の全部を株主総会の特別決議で取得可能な定款の定めがある種類の株式普通株式に全部取得条項を付けるためには 1) 定款変更株主総会特別決議且つ 2) 全部取得条項の種類株主総会の特別決議且つ 3) 取得請求権付株式及び取得条項付株式の種類株主総会の特別決議が必要となります 当該種類株主総会の決議に反対した株主には 利益保護の為 株式買取請求権が付与される取得条項付株式との違いは一定の事由で会社が 株主の同意なしにその株式を取得できること 8) 拒否権付種類株式 一定の事由が生じた場合 そのことを拒否権付種類株式総会の議決で議決されない限り効果が生じないというもの いわゆる 黄金株 といわれ 必ず味方となる者に交付する これによって敵対的な買収や事業譲渡の要求などを拒絶できる 9) 選解任種類株式 これは拒否権付種類株式に似ていて 役員に敵対的と思われる人物を排除するためのもので 絶対的に信頼できる者に交付する これも 黄金株 の一種 2 自己株式の取得制限が緩和 自己株式とは会社が自社株を買取りした株式金庫株ともいう 従来は定時総会時のみ自己株式の取得方法を議決しておかなければならなかった 会社法では臨時株主総会でも可能となり 譲渡人を指定しなくてもよく取締役会に時期 譲渡人 譲渡価格などを委任できる 自社株で株式交換や株式移転の際の交付する株式として活用可能 5

3 会社の支配権 309 条 普通決議 ( 取締役の選任 解任 決算の承認等 ) 定款に定める場合を除き 総株主の議決権の過半数を有する株主の出席で出席株主の議決権の過半数の賛成により成立特別決議 ( 定款変更 合併等 自己株式の取得 新株発行 相続人への売渡請求 会社または指定買取人による買取決議 事業譲渡および解散 役員の責任免除等 ) 定款に定める場合 ( 総議決権の 3 分の 1 以上 ) を除き 総議決権の過半数を有する株主の出席 で出席株主の議決権の 3 分の 2 以上の賛成により成立 特殊決議 ( 株式譲渡制限のための定款変更等 ) 議決権を有する株主の過半数 ( これを上回る割合を定款で決めた場合はその割合以上 ) の出席で出席株主の議決権の 3 分の 2 以上 ( それ以上の割合を定款で決めた場合はそれ以上 ) の賛成により成立人的種類株式に関する決議 ( 超特殊決議 ) 総株主の過半数 ( これを上回る割合を定款で決めた場合はその割合以上 ) の出席で 総株主の議決権の 4 分の 3 以上 ( これを上回る割合を定款で決めた場合はその割合以上 ) の賛成により成立従って 株主環境の良いうちに定款設計を行う必要がある 4 会社の評価額 会社の評価額は株式価格 発行株式数 ( 自己株式を除く ) 株式価額は純資産額 発行株式数 ( 自己株式を除く ) により 同じことの裏返しの様で意味が異なる 5 会社の譲渡 分割 合併 株式交換による子会社化 株式価格は市場性があるものは実価とは限らない 株式価額は株式買取 交換の場合の目安 株式移転による子会社化 会社分割の 3 つのパターン 吸収分割 [ 分割前 ] (1) 分社型の吸収分割 6

新設分割 [ 分割前 ] (2) 分社型の新設分割 (3) 分社型分割 + 剰余金配当 ( 分割型分割 ) 会社分割と事業承継 抜け殻方式 の手法 ( イ ) 後継者が新会社を設立し 後継者が新会社の社長に就任する ( ロ ) 高収益部門を新会社に営業譲渡する ( ハ ) 旧会社は 収益性が低くなる現経営者の持株価値が下がる相続がし易くなる 事業承継関係法を熟知し実践に応用しましょう 次回から MPP 方式で事例とテーマを用意し 各自の知識と経験で実践的に訓練していきます おわり 7