NDIS 3424 ボス供試体の作製方法及び圧縮試験方法 ボス試験マニュアル INDEX 1. 適用範囲 2. 本試験方法の特徴 3. ボス試験計画 4. 試験準備 5. ボス供試体の作製 6. 圧縮強度試験 7. 構造体コンクリートの強度推定 千代田建工株式会社ボス試験品質管理推進グループ
このボス試験マニュアルは 社団法人日本非破壊検査協会規格 NDIS 3424 ボス供試体の作製方法及び圧縮強度試験方法 を実施するにあたり その事前計画から強度試験までの具体的な試験要領を解説し 当該施工管理者および試験技術者が本規格を適性にかつ円滑に運用するために作成したものである 本試験マニュアルでは ボス供試体の作製方法及び圧縮強度試験方法 に関わる本試験方法全体を ボス試験 と呼ぶ
1. 適用範囲 本試験マニュアルは ボス供試体を用いてコンクリート構造物の強度試験を行う目的で作成したもので 対象とする構造物は 新設のコンクリート構造物とする 解説 ボス試験は コンクリート構造物の品質確認を目的に コンクリート構造物と同時に打ち込んで一体成形されたボス供試体によりコンクリート強度の確認を行うものである 適用するコンクリートの範囲を以下に示す コンクリートの圧縮強度: 呼び強度は 18 N/mm 2 ~130 N/mm 2 以下 * 最小強度は ボス型枠からボス供試体が脱型できる強度 使用骨材: 粗骨材の最大寸法は 40mm 以下 スランプ:8cm 以上 ( 実験では 5.5cm まで確認済み ) 2. 本試験方法の特徴 特徴 a) 構造体コンクリートと同様な環境 施工条件でボス供試体を作製できる b) 構造体からのボス供試体の採取は微破壊試験で ボス供試体の強度試験は破壊試験 c) ボス供試体は構造物の任意の位置から供試体の採取が可能 d) 強度試験は 材齢 1 日から任意の期間まで可能 e) ボス供試体の加圧面は 研磨 整形を要しない f) ボス型枠の取付け 取外し作業は 特別な技術 設備を要しない 解説 a) 構造体コンクリートと同様な環境条件 施工 養生条件で作製されたボス供試体によりコンクリート強度を確認することで 実構造物に近い強度を確認することができる b) ボス供試体は構造体コンクリートから直接採取するが 構造体を殆ど損傷しないで採取することが可能である また 圧縮強度試験は破壊試験により行われるためコア試験と同様な信頼性が得られる c) 本試験は 事前にボス型枠を打込みする構造物の任意の位置の型枠に取付けておくことにより 打込みする構造物全体の任意の位置で抜き取り検査ができる d) 構造体の強度確認は コンクリート打込み後 材齢 1 日から任意の時期に確認することができる e) ボス供試体の圧縮強度試験は 加圧端面を整形しないで そのまま試験を行うことができる コンクリート切断機 研磨機等は不要である f) ボス型枠の取付け 取外しは 特別な技術 設備 ( 工具 電気 水 ) を使用しないで行うことができる 1
試験手順と測定者の測定範囲3. ボス試験計画 3.1 ボス試験の手順 本試験の測定手順と測定する者の測定範囲を下記に示す START 測定者 測定者の確認範囲 圧縮強度 130N/mm 2 粗骨材最大寸法 40mm スランプ 8cm Yes No 適用範囲外 測定者 ( 受講者 ) NDIS3424 の適用範囲について, 発注者 ( 監理者 ) に確認 ボス型枠の選定 粗骨材最大寸法により決定 ボス型枠の組立 組立精度の確認 ボス型枠の取付け位置の選定 打込み計画などから決定 発注者の取付け位置, 打込み計画, 型枠などから微修正 せき板への開口の孔あけ ボス型枠の寸法により決定 孔あけ作業と寸法確認 ボス型枠の取付け 取付け位置 数量の確認 取付け作業と数量の確認 NDIS 受講者または, その者から指導を受けた者 コンクリート打込み 打込み 締め固め 叩き方法 充填性の確認 養生方法の確認 * 指導を受けた者の 役割分担 ボス型枠の割取り 割取り時期と方法の確認 割取り作業と養生の確認 圧縮強度試験の準備 ボス型枠の脱型時期 ボス供試体の精度確認 圧縮強度試験の立会い 報 告 圧縮強度試験の確認 試験機の荷重 加圧板精度, 大きさ 試験結果の報告 報告書の提出 NDIS 受講者または, その者から指導を受けた者の立会い ( 強度試験は試験機関の担当者が行う ) END 図 3.1 測定手順と測定者の測定範囲 2
3.2 計画書の作成と事前準備 工事関係者との打合せボス試験を実施するにあたり 本試験が円滑に行えるように 試験計画について発注者 設計監理者 現場管理者と打合せを行う また 試験方法についてコンクリート工事業者 型枠工事業者等に対して十分な説明を行い 協力が得られるようにする 打合せ事項 1ボス型枠の寸法の選択 2ボス供試体の試験個所と試験数 ( 採取本数 ) 3ボス型枠の取付け 取外し作業 4コンクリート打込み時期の確認作業 5ボス供試体の採取時期 6 圧縮強度試験機関 a) 試験計画書は 次の事項を考慮し立案する 構造物の規模と平面図 立面図をもとに 試験箇所 採取個数を決める ボス試験は 1 検査あたり表 3.1 に示すロット数量を標準とする また 1ロットあたりのボス供試体の採取は表 3.2に示す数量とする コンクリート構造物の強度は 一般に構造部材の上部と下部で異なるので ボス供試体の採取位置は 打込み高さの中間付近にすることを標準とする 試験箇所は コンクリート構造物の強度評価を行う上で重要と考えられる箇所を選定することが望ましい 1) 表 3.1 標準ロット数対象構造物ロット数 (1 検査あたり ) 新設コンクリート 150m 3 当り1ロット 2) 表 3.2 供試体数供試体数採取位置 1ロット当り1 供試体打込み高さの中間付近 1),2) : 国土交通省の強度測定試行要領 ( 案 ) および土木研究所の強度測定要領 ( 案 ) を準拠すること b) 測定者の要件国土交通省大臣官房技術調査課 : 微破壊 非破壊検査によるコンクリート構造物の強度測定試行要領 ( 案 ) では 本試験の測定者の要件として ( 社 ) 日本非破壊検査協会が実施する講習会を受講した者または, その者から指導を受けた者が行う ( 図 3.1 参照 ) 発注者 監理者の了承を得て 受講終了者の指導 管理のもとに試験の一部を現場管理者 専門工事業者 コンクリート試験代行業者に行わせることができる ただし 測定の指導を受けた者以外は 測定を行うことはできない 3
3.3 ボス型枠の選定 使用するボス型枠は表 3.3に示すように 粗骨材の最大寸法とボス供試体の大きさにより3 種類の中から選定する 3 種類のボス型枠を写真 3.1 に示す 表 3.3 粗骨材の最大寸法とボス供試体の大きさ 粗骨材の最大寸法 ボス供試体の大きさ 20mm または 25mm 断面寸法 75mm 75mm 長さ 150mm ( 75 と呼ぶ ) 断面寸法 100mm 100mm 長さ 200mm ( 100 と呼ぶ ) 40mm 断面寸法 100mm 100mm 長さ 200mm ( 100 と呼ぶ ) 断面寸法 125mm 125mm 長さ 250mm ( 125 と呼ぶ ) 75 100 125 3.4 ボス供試体の採取位置 写真 3.1 ボス型枠の種類 採取位置は コンクリートの打込み計画に基づいて決める 図 3.2に示すようにボス型枠の採取位置がコンクリートの打継ぎ位置にならないように計画する ボス型枠取付け位置 : 可 : 不可 打継ぎ部 打込み回数 リフト 4 梁 リフト 3 打継ぎ部 リフト 2 リフト 1 柱 壁 図 3.2 構造物へのボス型枠取付け位置 4 打継ぎ部 水平積層打ち
4. 試験準備 4.1 ボス型枠の構成 ボス型枠は 写真 4.1 に示すような直方形の型枠で 構造体コンクリートと接する面にはコンクリートを充填するための開口が また 型枠上面にはコンクリートの充填性を確保するための空気抜き孔が設けられている 空気抜き孔 スリット板 ネジ孔 端面板 側板 成形板 コンクリート充填用開口 ( 割取り面 ) (a) 型枠の前側面 (b) 構造体コンクリート面 写真 4.1 ボス型枠 5
4.2 ボス型枠の組立て ボス供試体の成形精度は ボス型枠の組立て精度により決まるため 型枠の組立てにあたっては 表 4.1に示す値を満足するように矩尺や写真 4.2 に示す型枠精度調整器より精度調整を行ってから組立てる a) 組立て精度ボス型枠の組立てにおいて 特に圧縮強度に影響する両端面板の平行精度と端面板と側板との直角度については 規格値を十分満足するように 矩尺 ( かねじゃく ) または写真 4.3 に示すような専用の型枠精度調整器を使用して組立てる ボス型枠の組立て手順については 附属資料 1に示す 表 4.1 ボス型枠の組立て精度 項 目 精 度 ボス型枠の内寸法と開口寸法 断面寸法の誤差 : 公称値の 1/200 以下型枠長さの誤差 : 公称値の 1/100 以下 両端面板の平面度 断面寸法の 0.05% 以内かつ 0.02mm 以下 両端面と側面との直角度 90 ±0.50 写真 4.2 型枠組立精度調整器 写真 4.3 組立精度調整器による端面板と側板の調整 6
b) 透気性シート ボス型枠上面の内側には 写真 4.4 に示すような透気性シートを貼る 注意 透気性シートを貼らないとコンクリート打込み時に 空気孔からモルタル分が流出し また 空気抜き孔から空気が抜けないため 写真 4.5 に示すようにボス供試体の上面に空気溜まり ( あばた ) が残るので注意する 空気溜まり 無し 透気性シート 有り 写真 4.4 型枠上面の透気性シート 写真 4.5 透気性シートの有無 c) ボス型枠への剥離剤塗布ボス型枠の組立て前に 型枠全体にアクリルラッカー等を塗装すると コンクリート打込みの際に ボス型枠にコンクリートが付着した場合清掃が容易となる また ボス供試体の割取り精度を確保するために ボス型枠の組立て後 成形板及びスリット板の内部面 表面に必ずグリス等を塗布する ( 写真 4.6 参照 ) 注意 透気性シートには グリス等が付着しないように注意する ( リチウムグリスを推奨する ) グリスを塗って置かないと ボス型枠を割取るときに成形板にコンクリートが付着して ボス供試体の割取り精度が悪くなる ( 写真 5.17 参照 ) 写真 4.6 成形板とスリット板への剥離剤塗布 7
4.3 構造体型枠 ( せき板 ) への開口の穴あけ せき板への開口の穴あけは 型枠を建て込む前に行う 開口寸法は 使用するボス型枠の大きさにより異なるので表 4.2 を参考とする 開口の穴開けには 写真 4.7 に示すようなテンプレートを用いて罫書きを行うと容易に行うことができる 罫書きした線の2 隅または4 隅にドリルで孔をあけ その後 ジグソーまたはノコギリで罫書き線に沿って切断する ボス型枠の罫書きについては 附属資料 2に示す 表 4.2 ボス型枠の大きさと開口寸法 ボス型枠の大きさ ( 内寸法 ) 1) せき板の開口寸法 断面寸法 75 75mm 長さ 150mm 110 208mm 断面寸法 100 100mm 長さ 200mm 135 258mm 断面寸法 125 125mm 長さ 250mm 165 308mm 1)NDIS 3424 より多少大きな寸法としている 注意 転用した合板や古い合板を 切れの悪いノコギリ等で開口部を穴あけすると 写真 4.8 のような切り口にバリが生じることがあるので注意する 切りバリが残っているときは取り去る 反りや曲がりのある合板は使用しない 上記ような状態の合板を使用するとボス型枠を取り付けたときにボス型枠がせき板に密着しないため コンクリートを打ち込んだときに せき板とボス型枠との隙間からモルタル分が流出するので注意する テンプレート せき板 切断による開口部のバリ 開口部 写真 4.7 せき板への罫書き 写真 4.8 せき板 ( 合板 ) の開口部 8
4.4 構造体型枠 ( せき板 ) の建込み 構造体型枠を建て込むときに 開口部周りには ボス型枠を取り付けるため作業スペースを確保する 縦桟木 ( 縦バタ ) は開口部より 30mm 以上離す ボス型枠の上部のせき板には 写真 4.9 のように 縦桟木を取付け コンクリートを打込みしたときにせき板が撓まないようにする これを行わないとせき板とボス型枠との間に隙間ができて モルタルが流失する 開口部と縦桟木との間隔 :30mm 以上 せき板が側圧で撓まないよう縦桟木を通す 写真 4.9 せき板の開口部 注意 ボス型枠の端面板と縦桟木 ( 縦バタ ) との間隔は 30mm より狭いとボス型枠をせき板に固定するための止め金具を回すことができないので注意する ボス型枠を取り付けた開口部の上下を補強する 100 と 125 のボス型枠では 両側の縦桟木 ( 縦バタ ) の間隔が大きくなるので コンクリートの打ち込みによって ( 側圧 ) せき板が撓むので注意する 9
5. ボス供試体の作製 5.1 ボス型枠の取付け 構造体型枠の建て込み後 ボス型枠をせき板に取り付ける 取付けは 写真 5.1 に示すようにボス型枠の空気抜き孔がある面を上にして行う 取付け手順は 附属資料 3に示すように行う 空気抜き孔を上にする a) 取付け全景 隙間防止用パッキン ボス型枠をセットした後で止め金具を回転して 型枠に固定する 止め金具 b) 止め金具固定前 b) 止め金具固定後 写真 5.1 ボス型枠の取付け 注意 構造体型枠に止め金具を固定するときに ボス型枠を軽く手前に引いてから止め金具を回すと容易に固定することができる 構造体型枠とボス型枠の端部とに隙間が生じたときは ボス型枠の端部にある隙間防止用のパッキンを構造体型枠側に引き出して隙間をなくす 10
5.2 コンクリートの打込み 構造体型枠にコンクリートを打ち込むとボス型枠内にも開口部からコンクリートが充填される ボス型枠内にコンクリートが十分充填されるようボス型枠周辺 ( 写真 5.2 参照 ) の構造体型枠とボス型枠を軽く叩く ボス型枠内のコンクリートの充填性は 写真 5.3 に示すように型枠上面の空気抜き孔からブリーディングがにじみ出ることで確認する ブリーディングが確認できないときは 型枠上面を軽く叩き 打音で確認する コンクリートの打ち込みおよびボス型枠への充填確認方法については 附属資料 4に示す 空気抜き孔からのブリーディングで確認 軽く叩き 打音で確認 写真 5.2 せき板とボス型枠の叩き 写真 5.3 充填の確認 注意 ボス型枠の取付け位置でコンクリートが打ち継ぎになった場合には ボス型枠内に分充填されないことがあるので注意する ( 写真 5.4 参照 ) このような時は ボス型枠を軽く叩いて充填状況の確認を行い 充填が十分でない場合は 次のコンクリートを打ち継ぐ際に せき板とボス型枠を軽く叩き コンクリートの流動を促す 分離したコンクリートを打ち込んだ場合の例を写真 5.5 および写真 5.6 に示す 特にコンクリート打込み中の降雨や底盤に漏水がある場合は コンクリートとともにモルタルのノロが上昇し このノロによって透気性シートが目詰まりを起こし そのままボス供試体の上層にノロが堆積するので注意する 開口部側 写真 5.4 打継ぎ部における充填不足 11
モルタルのノロ モルタル分 写真 5.5 分離したコンクリート (1) 写真 5.6 分離したコンクリート (2) 5.3 構造体型枠の脱型 せき板の存置期間後 構造体型枠のみを脱型する 構造体型枠の脱型は 写真 5.7 に示すように型枠を手前に引くとボス型枠を構造体に残したまま ( 写真 5.8 参照 ) 脱型することができる 構造体型枠の脱型手順については 附属資料 5に示す せき板を手前に引く 写真 5.7 せき板の脱型 写真 5.8 構造体に残置したボス型枠 注意 せき板を脱型する前にはボス型枠の止め金具が元に戻っていることを確認する 止め金具を元に戻さないで せき板を脱型すると写真 5.9 に示すようにボス型枠が変形し 使用できなくなるので注意する 止め金具が取外されていない 写真 5.9 ボス型枠の止め金具 ( 写真の型枠は旧式の止め金具を使用 ) 12
5.4 ボス型枠 ( 供試体 ) の養生 構造体型枠の解体後 ボス型枠は写真 5.10 に示すように型枠を脱型しないで 所定の試験材齢まで構造体コンクリートに取り付けておく ただし 外気温度が 5 以下になる場合や降雪等にさらされる環境にある場合には 発砲スチロール製の断熱箱により断熱養生を行う ( 写真 5.11 写真 5.12 参照 ) また 直射日光が当たる場合には 遮光シート等で覆い養生する ( 写真 5.13 参照 ) 図 5.1に断熱養生した場合の構造体コンクリートとボス供試体との温度履歴を示す 写真 5.10 構造体コンクリート上で 写真 5.11 発泡スチロール製の 養生中のボス型枠 断熱箱 参考 写真 5.12 ボス型枠の断熱養生 写真 5.13 遮光シートによる養生 温度 ( ) 60 50 40 30 20 模擬柱中央ボス断熱ありボス断熱なし外気温 10 0 0 1 2 3 4 5 6 7 経過時間 ( 日 ) 図 5.1 断熱養生した場合の構造体コンクリートとボス供試体の温度履歴 13
5.5 ボス型枠の取外し 所定の試験材齢に構造体コンクリートからボス型枠 ( 供試体 ) を割り取る 割取りは 写真 5.14 に示すようにボス型枠のスリット板のネジ孔にボルトを差し込み スパナ等でボルトを回す ボルトを回した反力でスリット板が構造体から離れ ボス型枠を割取りすることができる ( 写真 5.15) 割取り手順については 附属資料 6に示す スパナでボルトを回す 写真 5.14 ボス型枠の割取り 写真 5.15 割取り面の状況 注意 割取りは 左右 2 本のボルトを交互に均等な力で回す 一方のボルトのみで割り取ると写真 5.16 に示すように ボス供試体の割取り面が平坦な割取り面にならない場合があるので注意する ボス組立て時にスリット板と成形板に剥離剤 ( グリス等 ) を塗っていないと ボス型枠を取り外すときに コンクリートがスリット板と成形板に付着し コンクリートが剥がれなくなる このため写真 5.17 のように成形板の内側でコンクリートにひび割れが入り 適正な精度のボス供試体が作製できなくなるので注意する 割取り面の変形 写真 5.16 割取り面のコンクリート コンクリートが剥がれないでひび割れを起こす 写真 5.17 成形板の変形 14
5.6 ボス型枠の割取り後の養生と運搬 割取り後 ボス型枠を試験機関に運搬するときは 割取り面のコンクリートが乾かないように養生シート ( ビニール ) 等で養生する 宅配便等でボス型枠を搬送する場合は ボス型枠が損傷しないように梱包箱または専用の運搬ケースを用いるとよい 5.7 ボス型枠の脱型 ボス型枠の脱型は スリット板 成形板 端面板を外した後 側板の開口側を上下に広げて ボス供試体を取り出す ボス型枠から取り出したボス供試体を写真 5.18 に示す 割取り面からコンクリートの粗骨材が均一に充填されていることが確認する ( 写真 5.19 参照 ) ボス供試体は圧縮強度試験まで乾燥しないようにビニール袋や湿ったウエス等で養生する 写真 5.18 ボス供試体 写真 5.19 粗骨材の充填状況 15
5.8 ボス型枠の割取り時期 ボス型枠の割取りは, 原則として圧縮試験の当日はまたは前日とする ただし, やむを得ず早期にボス型枠を割取る必要がある場合は, 図 5.2に示すフロー図に従って, 所定の試験材齢まで, ボス供試体の養生を行うことも可能である 橋梁下部工 ( フーチング部 ) などでは 埋戻しなどの工程により所定の試験材齢より早くボス供試体を採取しなければならない場合がある このような場合 早期に採取したボス供試体をビニール袋に入れて封かんし ( 写真 5.20 参照 ) その後対象構造物と同様な環境で試験材齢まで養生し 所定の試験材齢で圧縮強度を行うことも可能である 冬期の場合は 構造物の内部と同様な温度を確保することが困難なので 封かん養生したボス供試体を発砲スチロール製の断熱養生箱に入れて試験材齢まで管理する 構造体型枠の脱型 早期採取が必要 No 所定の圧縮強度試験まで, 構造体にボス型枠を設置したまま養生を行う Yes ボス型枠の割取り ボス型枠の転用が必要 No ボス型枠をつけたままビニールなどで封かん養生し, 構造体付近にて養生を行う Yes ボス型枠を脱型して, ボス供試体をビニールなどで封かん養生し, 構造体付近にて養生を行う 図 5.2 ボス型枠割取りのフロー図 16
写真 5.20 ボス型枠の封かん養生の状況 ボス型枠の採取材齢と圧縮強度の関係を図 5.3 に示す ここでは 早期に採取 (3 日 7 日 14 日 ) したボス供試体を現場付近で封かん養生し 材齢 28 日で圧縮強度を行ったものと 材齢 28 日に採取し 材齢 28 日で圧縮強度を行ったものを比較した 図 5.3より適正な養生管理を行えば 早期にボス供試体を採取し 材齢 28 日で圧縮強度試験を行っても大差はないと言える ただし 構造体コンクリートの温度は 打設後 セメントの水和熱によって約 1 日で最高温度となり その後徐々に約 7 日間程度で常温近くなることから 早期のボス供試体の採取は 7 日以降が望ましい 50 3 日採取 7 日採取 14 日採取 28 日採取 40 圧縮強度 (N/mm 2 ) 30 20 10 0 配合 A 配合 B 配合 C 図 5.3 ボス型枠の採取材齢と圧縮強度との関係 17
6. 強度試験 6.1 試験前の準備 圧縮強度試験前にボス供試体の以下のような項目に注意し 外観検査を行う ボス供試体が損傷していないか 両加圧面が平行に仕上がっているか 加圧面が平滑に仕上がっているか 割取り面が平坦に仕上がっているか( 粗骨材により凸凹状態は除く ) 6.2 ボス供試体の寸法測定 通常 ボス供試体は ボス型枠の組立て精度が規定値を満たしていれば 寸法測定は必要ない しかし ボス供試体が写真 5.4 等のような成形状況になったとき または 本規格の 10. 報告 による義務付けや試験精度が要求される場合は 図 6.1 のような位置でボス供試体の寸法を測定する Ab1 (Bb1) Ab2 (Bb2) Aa1 (Ba1) 加圧面 Aa2 (Ba2) b1 A 面 b2 割取り面 B 面 a2 供試体上面 a1 図 6.1 ボス供試体の寸法測定位置 注意 ボス型枠を再度組立てて使用した場合には ボス供試体の寸法測定は必ず行う a) 寸法測定位置ボス供試体の両端面の平面度及び側面との直角度の測定は JIS A 5308 付属書の 5.3 を参考にして行う ボス供試体は 図 6.1 に示すように両端面の4 辺の長さ (Aa1 Aa2 Ab1 Ab2 及び Ba1 Ba2 Bb1 Bb2) と 供試体の上下面それぞれ2 箇所 (a1 a2 b1 b2) の長さを測定する 18
b) ボス供試体の寸法 ボス供試体の加圧面積は (1) 式により算出し 有効数字 3 けたに丸める {( Aa1 + Aa2) ( Ab1 + Ab2) + ( Ba1 + Ba2) ( Bb1 Bb2) }/ 8 A = + -(1) ここに A: ボス供試体の加圧面積 (mm 2 ) Aa1 Aa2 Ab1 Ab2 Ba1 Ba2 Bb1 Bb2: 図 6.1に示す加圧面の寸法 (mm) 供試体の長さは (2) 式により算出し 小数点以下 1 けたに丸める ( a1 + a2 + b1 b2) / 4 h = + -(2) ここに h: ボス供試体の長さ (mm) a1 a2 b1 b2: 図 6.1に示す長さ方向の寸法 (mm) 6.3 圧縮強度試験 ボス供試体の圧縮強度試験は 以下の項目以外は JIS A 1108 に準拠して行う 圧縮強度試験の状況を写真 6.1 に示す ボス供試体は ボス型枠の組立て精度によって確保されているため 加圧面は整形する必要がない 構造体コンクリートと同様な乾湿状態での強度試験が望ましいことから 水中浸せきはしない試験を行う 写真 6.1 ボス供試体の圧縮強度試験 注意 圧縮試験機の耐圧板の球座が十分に動くか確認してから強度試験を行う 写真 6.2 は ボス供試体の加圧面と側面の直角精度が NDIS 3424 7.2 ボス供試体の寸法 d の規定値を満足していないで かつ 球座が加圧面に十分に密着しないで強度試験を行ったために偏芯破壊を起こしたものである ボス供試体の加圧面は正方形であるために 供試体の対角線の長さが 2 倍になる このため通常の円柱供試体に比較して圧縮強度試験機の耐圧版が大きいものが必要になるので注意する 19
ひび割れ ひび割れ (a) (b) 写真 6.2 ボス供試体の成形精度と圧縮試験機の球座の不具合よる偏芯破壊 a) ボス供試体強度の算定ボス供試体強度は (3) 式により算出し 有効数字 3 けたに丸める f B = P / A -(3) ここに fb: ボス強度 (N/mm 2 ) P: ボス供試体の圧縮試験における最大荷重 (N) A: ボス供試体の加圧面積 (mm 2 ) b) 供試体の密度供試体の見かけの密度は (4) 式によって算出し 有効数字 3 けたに丸める 9 ( A h) 10 ρ = m / -(4) ここに ρ: 見かけの密度 (kg/m 3 ) m: ボス供試体の質量 (kg) A: ボス供試体の加圧面積 (mm 2 ) h: ボス供試体の長さ (mm) 20
7. 構造体コンクリートの強度推定 a) 強度算定現在 構造体コンクリートの強度推定法の中で コア供試体採取による方法は信頼性が高いとされており 他の試験方法もこのコア採取方法を指標として強度評価している 本試験においても ボス供試体強度とコア供試体強度とを比較して その相関性を求め 構造体コンクリートの強度推定をする 既往の研究によるコア強度とボス強度の関係を図 7.1 から図 7.3 に示す 1 75 のボス供試体の場合両者の相関性は寄与率 R 2 =0.982 で その回帰式は (5) 式のようになる f cb =0.990f B -1.027 -(5) 通常 構造体コンクリートの圧縮強度推定の算定は (6) 式により行う f c =f B -2.0 -(6) 2 100 のボス供試体の場合両者の相関性は寄与率 R 2 =0.974 で その回帰式は (7) 式のようになる f cb =1.009f B -0.951 -(7) 通常 構造体コンクリートの圧縮強度推定の算定は (8) 式により行う f c =f B -1.0 -(8) 3 125 のボス供試体の場合両者の相関性は寄与率 R 2 =0.984 で その回帰式は (9) 式のようになる f cb =0.869f B +3.451 -(9) 通常 構造体コンクリートの圧縮強度推定の算定は (10) 式により行う f c =f B -1.0 -(10) ここに f c : 構造体コンクリートの圧縮強度 (N/mm 2 ) f cb : コア強度 (N/mm 2 ) f B : ボス強度 (N/mm 2 ) 21
160 160 fcb: コア強度 (N/mm 2 ) 120 80 40 f CB =0.990f B -1.027 R 2 =0.982 fcb: コア強度 (N/mm 2 ) 120 80 40 f CB =1.009f B -0.951 R 2 =0.974 0 0 40 80 120 160 f B : 75ボス強度(N/mm 2 ) 図 7.1 75 ボス強度とφ100 コア強度との相関 0 0 40 80 120 160 f B : 100ボス強度(N/mm 2 ) 図 7.2 100 ボス強度とφ100 コア強度との相関 fcb: コア強度 (N/mm 2 ) 60 50 40 30 20 10 f CB =0.869f B +3.451 R 2 =0.984 0 0 10 20 30 40 50 60 f B 125ボス強度 (N/mm 2 ) 図 7.3 125 ボス強度とφ100 コア強度との相関 b) 強度評価判定基準は 国土交通省 微破壊 非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定試行要領 ( 案 ) ( 平成 19 年 10 月一部改訂 )6. 判定基準による ただし 強度管理のための強度評価は 1 回の構造体コンクリートの推定強度 f c の値が (11) 式の値以上とする f c f ck -(11) ここに f act : 設計基準強度 (N/mm 2 ) f c が f ck 以下になる場合は 速やかに試験結果をフィードバックし対応策を講じる 22