失行 伝達講習

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2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

基盤的認知能力の障害 < 意識の障害 > 個体が外から入ってくる刺激や内部から上がってくる刺激に気づく能力 睡眠 / 覚醒 覚醒の明るさ / 広がり / 深さ < 注意の障害 > 意識内容 ( 気づきの対象 ) を鮮明にする働き選択性 / 持続性 / 転導性 / 分配性 / 感受性 < 記憶の障害

さらに, そのプロセスの第 2 段階において分類方法が標準化されたことにより, 文書記録, 情報交換, そして栄養ケアの影響を調べる専門能力が大いに強化されたことが認められている 以上の結果から,ADA の標準言語委員会が, 専門職が用いる特別な栄養診断の用語の分類方法を作成するために結成された そ

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3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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リハビリテーション歩行訓練 片麻痺で歩行困難となった場合 麻痺側の足にしっかりと体重をかけて 適切な刺激を外から与えることで麻痺の回復を促進させていく必要があります 麻痺が重度の場合は体重をかけようとしても膝折れしてしまうため そのままでは適切な荷重訓練ができませんが 膝と足首を固定する長下肢装具を

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図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

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右の後大脳動脈閉塞症により同時に道順障害と街並失認を呈した 2 症例原著 ときだ時田 はるき春樹 * ) たがわ田川 こういち皓一 ** ),*** ) *) 社会医療法人祥和会脳神経センター大田記念病院リハビリテーション課 ( 広島県福山市沖野上町 ) **) 社会医

Transcription:

失行の評価とリハビリテーション はじめに 28 年 8 月 28 日に,NDK 横浜研修会にて森岡周先生の 脳科学から見た高次脳機能 半側空間無視 失行を中心に - という講義を受けさせていただきました. 今回はケースを通して, 失行についての伝達講習をさせていただきます. 佐藤病院リハビリテーション科作業療法士丸井智子理学療法士石川拓磨作業療法士碇屋瑛理 失行とは? 運動可能であるにも関わらず合目的な運動ができない状態. 指示された運動を間違って行うか, 渡された物品を誤って用いる患者のうち, そのほかの障害が除外された場合に失行と診断される. 失行症の責任病巣 部位主な働き症状 左下頭頂小葉縁上回 角回 体性感覚連合野から感覚情報 視覚情報を受け取り 物体の認識をする 後頭葉から言語に関する視覚情報を受け取り 読み 書き 計算など一連の行為に関わる 観念運動失行伝導性失語 観念失行ゲルストマン症候群 失読 失書 知覚表象と意味知識における左右半球間差 異種感覚統合における視覚と体性感覚の統合は右半球で担われる. その上で, その統合された知覚的表象は左半球において, 意味知識と統合される. 左半球システム 意味的分類 失認に関連した障害を起こす 統覚に関連した障害を起こす 知覚的分類 右半球システム 道具の意味的知識 機能に関する知識 Q 用途が同じものはどれですか? 爪切り ペンチ ハサミ 操作に関する知識 Q 使う時の動作が同じものはどれですか? 三味線 バイオリン ギター 視覚の分析 視覚の分析 1

失行の評価 失行の質的誤り ( チェックポイント ) 失行のスクリーニングテスト 1) さようならと手を振ってください 2) おいでおいでをしてください 3) 兵隊戦の敬礼をしてください 4) 歯ブラシを持ったつもりで歯を磨く真似をしてください 5) 櫛を持ったつもりで髪の毛をとかす真似をしてください 6) ドアに鍵をかける真似をしてください 7) 金槌を持ったつもりで釘を打つ真似をしてください 標準高次動作性検査 拙劣 修正行為 保続 錯行為 無定形反応 開始の遅延 困惑 誤使用 位置の誤り 省略 失行のリハビリテーション 目標日常生活における行為の改善 ( 道具使用における日常生活動作の獲得 ) 方法 1 特異的アプローチ 根底にある問題の改善 2 機能的アプローチ 日常生活活動を通じて行為の練習 失行に対する治療手続き フィードバック誤反応をフィードバックし修正する 言語誘導と徒手誘導がある 行為のイメージと遂行道具や対象の写真 文脈 ジェスチャーで行為をイメージ その後実物を提示し 手本の提示等で遂行を補助する 代償的戦略日常生活動作で行為を言語化し 言語化しながら代償的に行為を習得する あるいは外的に絵を用いて代償する エラーのフィードバックは エラーレス学習 失行症では エラーをフィードバックしながら ADL を実行する. 理解できず, より症状を悪化させることもある エラーが起きそうになったらセラピストが介助し, エラーを経験しないで ADL を遂行する. 直接訓練 ( エラーレス学習 ) 患者が ADL 実行中, エラーが最小限になるようにセラピストが助ける ADL 実行中, 患者がうまくできていればセラピストはサポートを低減 難しい行為は繰り返し訓練する その行為は常に必ず完了するようにする!! 失行症に対する介入手段 1 ストラテジートレーニング ADL 上での失行症状を代償する戦略を教え 機能再編成を狙う 問題のある ADL に関して次の 3 過程のフレームワークを行う 1 適切な実行計画および正確な使用物品の選択 2 選択された計画の適切な実行 3 間違いの修正 2

失行に対する介入手段 2 ジェスチャートレーニング 機能再建を目指す. 観念運動失行に対して実施. 1 他動詞ジェスチャー訓練 2 自動詞 象徴的ジェスチャー訓練 3 自動詞 非象徴的ジェスチャー訓練 ( それぞれ 3 段階の過程を経る.) 他動詞ジェスチャー訓練 1 一般的な道具使用を行う ( 例 : スプーンの使用 ) 2 他動詞ジェスチャー訓練中の写真 ( 例 : スプーンの使用 ) を見て, そのパントマイムを行う. 3 一般的な道具の写真を見て ( 例 : スプーン ) を見て, そのパントマイムを行う. ( 各段階 20 項目のうち,17 項目クリアで次の段階に進む.) 自動詞 象徴的ジェスチャー訓練 1 1 ある文脈の写真 ( 例 : 人がマドレーヌを食べている ) とそれに関連する非象徴的なジェスチャーの写真 ( 例 : 食べるジェスチャー ) を見てそのジェスチャーを再現する. 自動詞 象徴的ジェスチャー訓練 2 2 文脈の写真 ( 例 : 人がマドレーヌを食べている ) だけを見て, それに関連したジェスチャー ( 例 : 食べるジェスチャー ) を再現する. 自動詞 象徴的ジェスチャー訓練 3 3 異なる ( 新しい ) が関連する文脈の写真 ( 例 : 人がゼリーをスプーンで食べる ) を見てそれに関連したジェスチャー ( 例 : 食べるジェスチャー ) を表現する. 自動詞 非象徴的ジェスチャー訓練 12 種類の意味のない自動詞ジェスチャー ( 静的 6 種類, 動的 6 種類 ) の模倣をする. ( 各段階 20 項目のうち,17 項目クリアで次の段階に進む.) 3

物品使用行為モデルのまとめ 三つの視覚情報処理経路 上頭頂小葉 背 背経路 PMd 背側運動前野道具操作に関する知識を保有. 背外側前頭前野主に到達運動に関わり, 下頭頂小葉オンライン情報処理を担う. 腹側運動前野 腹 背経路 PMv 一次視覚野道具の操作と機能に関する知識を保有主に把握運動に関わり, 側頭葉オンラインとオフラインの両方の情報処理を担う.( 中 下側頭回 ) 腹側経路 PFC: PMd/PMv 道具の機能に関する知識を保有道具の名称 動詞 意味的知識などのオフライン情報処理を担う. 道具使用における情報処理過程と失行症状 1 オンライン情報処理 操作に関する知識前頭 - 頭頂ネットワーク = 視覚の背側経路 ( 背側 - 背側経路 腹側 - 背側経路 ) リアルタイムでの知覚情報 ( 道具の位置, 方向, 形,etc ) がある場合 それに合った腕や手の運動を作り出す. 損傷されると 視覚性運動失調 失行の拙劣症状 道具使用における情報処理過程と失行症状 2 オフライン情報処理 機能に関する知識前頭 側頭ネットワーク = 視覚の腹側経路と腹側 背側経路 ( 左半球優位 ) リアルタイムでの知覚情報 ( 道具の位置, 方向, 形,etc ) がない場合. その文脈に必要な道具の名前 形態 機能 操作方法などを適切に想起し運動出力する. 損傷されると 意味性の錯行為 有意味 無意味ジェスチャー 模倣の脳内基盤 行動の入力 視覚的分析 意味的な長期記憶 行動の出力 4

模倣のための二つの経路 行動の入力 サブタイプに基づいた訓練課題の作成 ジェスチャー訓練を修正した課題 良好な背側経路を使用しつつ 腹側経路を活性化させる課題 正答した場合は実動作を実行してもらい 誤答した場合はエラーのフィードバックを行わず次課題へと進むエラーレス学習を採用 ケース 症例紹介 診断名左中 ~ 後大脳動脈梗塞 現病歴平成 28 年 7 月 12 日頃から会話困難 失見当あり 7 月 15 日に地域包括員訪問の際 起立困難であったため本院に救急搬送 経過観察のため入院となる 既往歴不明 元々の生活生活保護 独居 評価 ウェルニッケ性失語 (+) 読み書き困難 ジャーゴン (+) 右同名性半盲疑い 関節可動域著名な可動域制限なし 運動麻痺顕著な運動麻痺なし 感覚検査 Brs 等 口頭指示が必要な検査は指示理解困難のため精査不能 5

同名性半盲 物品使用 ( はさみ セロハンテープ くし ) 視索後半部 外側膝状体の病変では対側の同名性半盲を生じる 後頭葉病変では中心視野の保たれた同名性半盲が生じる 視放線の障害による右同名性半盲か? 失行のチェックポイント 無定形反応 開始の遅延 困惑 誤使用が当てはまる 物品の操作以前に意味的知識が障害されている 障害経路 しかし ハンドソープの意味は理解していても 操作の仕方が分からない 物品によって 意味的知識が保たれていても 物品操作の動詞が障害され 物品使用ができない場合もある 道具の機能に関する知識を保有し 道具の名称 動詞 意味的知識などのオフライン情報処理を担う腹側経路が障害されている また 介入初期には食事の際 食器から外れたところをスプーンですくう様子が見られた 右同名性半盲の影響もあるが 到達運動も障害されていた可能性がある 障害経路 治療 ジェスチャー訓練を修正した課題を試みるが 失語症の影響によりパントマイム観察 物品選択の意図が伝わらず失敗 失語症患者に適した課題を検討 本症例は文字の理解は困難であるが 〇 と の記号の意味 概念は理解可能 〇 と を利用した訓練を考案 腹側経路だけではなく 道具の操作と機能に関する知識を保有し 把握運動 動詞の生成に関わる腹 - 背経路も障害されている 6

選択課題 ➀ 物品を使用している写真を 2,3 枚渡し その中から正しく使用している写真を 〇 の箱に 間違えて使用している写真を の箱に入れてもらう 正しく を分けられた場合のみ その後実際に物品を使用してもらう 正しく を分けられなかった場合は実際に物品は使用しない エラーレス学習 まず 症例がこの時点で使用できていた物品 ( 箸 ) の写真から行い 訓練の意図を理解してもらうところから始める 選択課題 2 箸の使用写真 3 種 くしの使用写真 3 種 ハンドソープの使用写真 2 種 結果 ➀ 結果 2 箸 正しい写真選択可能 実際の使用も可能 くし 正しい写真を選べるようになったが 物品の使用はできていない エラーレス学習の失敗 口に使う物ではなく 顔の整容に使うものであることは理解できたが 操作方法が分からない ハンドソープ 正しい写真の選択が可能になり それに伴い実際の物品使用も可能になった 考察 1 考察 2 写真を用いた操作方法の 選択課題により 物品の意味の理解を促し 腹側経路の賦活を図った 物品使用をする前に 選択課題を行うことにより 間違えた際のエラーをフィードバックしないようエラーレス学習を試みた ハンドソープの操作に関しては 課題を何度も繰り返し腹側経路を賦活させたことにより 実際の物品使用が可能になった 腹側経路の賦活により物品の操作 ( 背側経路 ) が可能になったことから 腹側経路と背側経路は密接な関係にあり 片方の経路を賦活させればもう片方も活性化される可能性がある 脳画像からも下側頭回 ( 腹側経路 ) が障害されたことにより全体的な道具の機能に関する知識が障害されてていた くしが最後まで使用できなかった原因としては 元々の使用頻度の影響もあると考えられる ( 元々の使用頻度 : 箸 > ハンドソープ > くし ) 元々使用頻度の高い道具に関しては少ない課題量で可能になるが 使用頻度の低かった物品に関しては時間がかかることが示唆された 7

おわりに 失行について理解に乏しく, 現象と大まかな病巣に関してしか知識がなかったが, 今回の講習を受講し, 脳科学の観点から考える方法を学んだ. 実際のケースに当てはめることで, 理解を深め知識を定着させることが出来たとともに, 知識を臨床で生かすことの困難さを痛感した. 今回学んだことを今後の治療に応用していきたい. ご清聴ありがとうございました 8