2018 年度放射性同位元素取扱実験画像処理実習資料 オートラジオグラフィ データ解析
オートラジオグラム ( RI 像 ) by イメージングプレート スキャン像 2
目的 オートラジオグラムの解析を題材として 画像解析の基礎を身に付ける 解析 1: オートラジオグラムの定量解析各植物個体 器官の 32 P 蓄積量を 定量的に比較する 解析 2: オートラジオグラムと光学スキャン像の重ね合わせ 32 P は植物体のどの部位に輸送 蓄積されたのか? 3
概要 1) 準備 Fiji のインストール 実験データのダウンロード 3) オートラジオグラムの定量解析 ROI Manager の操作 各種の領域選択法 定量計算 2) 画像の読込み 表示 画像ファイルの読込み画像フォーマット疑似カラー表示 コントラスト調節 4) オーバーレイ表示 光学スキャン像のサイズ変更 回転 平行移動オーバーレイ表示追加情報の入力 ( スケールバー 注釈 ) 4
1) 準備 5
Fiji ImageJ と各種プラクインをセットにしたもの インストールが楽 ( アップデートも自動 ) ダウンロード後に展開し Fiji.app を適当な場所にコピーするだけで使える 今回の実習では Fiji を利用する 公式サイト :http://fiji.sc/fiji ImageJ 医療 研究用の画像処理 / 解析ツール アメリ力国立衛生研究所 (NIH) で開発 オープンソースであり 無償で入手可能 Windows Mac Linux で動作する 数多くのプラグインが公開されており 機能を追加できる 操作法などを Web 検索する際は Fiji と ImageJ の両方をキーワードとして試すと良い 6
Fiji のインストール 公式サイト (http://fiji.sc/fiji) で Downloadをクリックする 自分のOSに合わせてFijiをダウンロードする Windowsの場合 ウィンドウズキー + Pauseキーで確認 Fiji は常にアップデートしているため 過去の安定版が必要な時は More downloads から入手 7
Fiji インストール時の注意 Fiji は基本的にコピーするだけで動くが コピー先として 日本語および空白 を含まないフォルダを選ぶ必要がある コンピューターのユーザー名に日本語を使っている場合 Cドライブ直下にコピーするのが無難 それ以外の場合 デスクトップにコピーするだけで動作する Program Filesは空白を含むので不適 Mac の場合 Applications にインストールするのが無難 8
ユーザー名の確認方法 1)windows 7 2)windows 8 3)windows 10 9
Fiji 起動について Windows の場合 Fiji.app という名前のフォルダにある 64bit の場合 :ImageJ-win64.exe 32bit の場合 :ImageJ-win32.exe をダブルクリックすると起動する Mac の場合 Fiji.app というアプリをそのまま起動 plugins フォルダ等にアクセスしたい場合は右クリックメニューで パッケージの内容を表示 を選ぶとアクセス可能 初めて起動する場合 アップデートのメッセージが出ます 時間に余裕がない場合などは アップデートを行わなくても OK です インストールがうまく行えている場合 起動すると上記のツールバーが出てきます 出てこない場合は インストールがうまくできていません ( 失敗の原因はおそらくユーザー名が日本語のため P8 参照 ) Fiji のフォルダを C ドライブに移す等 試してみてください 10
Fiji を頻繁に使う場合 C ドライブから起動するのは少し手間がかかるため 起動ファイルのショートカットをデスクトップに作成しておくと便利 11
2) 画像の読込み 表示 12
練習用データ フォルダ ;data に 2 つのファイルを同封 レポート用データ 後日 各班の実験データは学生実験のページからダウンロード 00.jpg 植物の光学スキャン像 (JPEG ) 00.tif IP の生データ (32bit TIFF) 00= 班番号 13
本日の練習用データ 試料の光学スキャン像 scan.jpg オートラジオグラム ip.tif 14
画像ファイルの読込み手順 Fiji のウィンドウに画像ファイルをドラッグ & ドロップするとオープンされる タイトルバー以外ならウィンドウのどこにドロップしても良い メニューの File > Open でファイルを選んでも読込み可能 Windows と mac で微妙に見た目が変わる 15
本日の練習用データ ポジション マーカー 供試植物 検量線 試料の光学スキャン像 オートラジオグラム 16
画像のフォーマット 画像フォーマットに関連する ImageJ(Fiji) のメリット 1) 非常に多くの画像フォーマットを処理できる 特に設定を行わくても一般的なフォーマット (jpg, png, tif, bmp) の多くを読込める 2)32bit TIFF を扱える 画像上のある点 ( ピクセル ) のシグナル強度を 一般的な 8bit データでは 2 8 =256 階調でしか表現できない イメージングプレートは 5~6 桁のダイナミックレンジを持つと言われているが 8bit 画像ではたかだか 3 桁までのダイナミックレンジしかない 3) プラグインを追加することでマイナーなフォーマットも読込むことができる 学生実験で使用しているイメージングプレートの読取装置 (FLA-5000) はISACという古い医療系のフォーマットでデータを保存している これを ISAC Managerというプラグインを使って読込み それを 32bit TIFFに変換したデータを学生実験のページから配布している 17
疑似カラー 画像タイプがグレイスケール (8-bit, 16-bit, 32-bit) の場合 疑似カラーを用いてシグナル強度の違いを分かりやすく表示できる ( 人間の目は濃淡の変化よりも色彩の変化に鋭敏なため ) Image > Lookup Tables に様々な設定があるので実際に試して見やすいと思ったものを用いると良い 下記のシグナル強度と色の関係は 何も画像を開いていない状態で Lookup Tables を選択すると表示される 16 colors Green Fire Blue Fire Red Grays * 擬似カラーはデータ自体を変更しているわけではなく 表示を変更しているのみになります そのため 一度画像を閉じると元のグレイスケールに戻ります 18
コントラスト調節 Image > Adjust > Brightness/Contrast で コントラスト調節用のウィンドウが表示される 4 つのスライダー (Minimum,Maximum, ) を動かし 画像表示の変化を体感してみると良い スライダーで微調整できない数字に設定したい場合は画面下部の Set ボタンを利用する Apply を押さないこと!!! 最初に読込んだ際の見た目にとらわれず 調整してみること 黒つぶれ 白とびと思っているところにも情報があるかもしれない 調整したら Applyを押さずに閉じるボタンで終了すること もしくは ウィンドウを閉じずに表示させたままでもOKです 19
コントラスト調節 疑似カラー設定時の注意 ImageJでグレイスケール画像を扱う場合 コントラストの変更もLookup Tablesの変更も データそのものではなく画面上の表示だけが変更されます ただし B&CウィンドウのApplyボタンを押すと実際のデータも変更されるため Applyは使わない方がよい 見た目の変更は解析結果に影響しないので 解析作業中は作業しやすいコントラスト Lookup Tablesを選択すると良い シグナル強度の高い領域に注目して作業する場合はB&CウィンドウのMaximumを高めに設定し 低い領域に注目する場合はMaximum を下限近くまで下げたほうが作業しやすいはずである コントラスト Lookup Tablesで見た目を調整した画像を保存したい場合 File > Save As からTIFF 以外のフォーマット (jpgやpng) を選んで保存すると良い また キーボードの + - を押すことで拡大 縮小が可能だが これも見た目のみの変更である 後述する線分の端点など 正確な位置合わせが必要な際に活用すると良い 20
3) オートラジオグラムの 定量解析 イメージングプレートで得られる画像データのシグナル強度は 吸収した放射線エネルギー量と高い相関を持つ ImageJ(Fiji) に含まれる画像解析ツールを用いてシグナルを解析することで 植物体の各部位に含まれる ³²P の量を数値データとして取り出すことができる 本実習で触れる手法には RI の定量以外にも電気泳動のバンド解析や染色細胞の自動計数 葉面積の算出など 様々な利用法がある 21
各種の領域選択法 ImageJ で定量操作を行う場合 何らかの方法で関心領域 (Region of Interest, ROI) を設定し その内部のシグナル強度等の情報を収集する ROI の作製方法 Rectangular や Freehand を使って図形を描き 選択領域とする 各種のROI 選択法の例 1) Wandツール 2-5) Ovalツール 6-7) Polygon selectionツール 8-9) Freehandツール 10-11) Rectangularツール この画像の例では バックグラウンド値を算出するために何も試料が無い領域を Rectangular ツールで選択している (10-11) 22
ROI Manager の操作 Analyze > Tools > ROI Manager で ROI Manager ウィンドウが表示される 同一画像に複数の ROI を設定したり 異なる画像に同一の ROI を設定したい場合に便利である 一度設定した ROI を移動することもできる 領域選択を行った状態で ROI Manager の Add ボタン ( またはキーボードの "t") を押すと 選択領域が ROI として登録される Show All と Labels に を入れておくと使いやすい 登録された ROI は自動的に数字とハイフンからなる名前が付くが 分かりにくければ Properties から名前を変更することもできる 23
ROI Manager の操作 全てのROIを登録したら ROI Managerで登録されたROIを全て選択し Measureボタンを押すと定量結果が表示される (File > Save Asで保存する ) 今回の場合は Area と Mean が必要な情報 24
定量計算 Area と Mean の積が ROI 内部のシグナルの総和を示す シグナル強度は試料の放射能に比例するため 標準溶液のスポット ( 濃い方からそれぞれ 100, 25, 5 Bq) の ROI のシグナル強度から検量線を作成することで イネ幼植物の ROI の放射能が算出できる 幼植物を細かい ROI ( 例えば葉身と葉鞘 ) に分けて解析しても良い IP は環境放射線によって常にシグナルを蓄積する この影響を除外するため IP 上のサンプルが存在しない位置に ROI を設定し バックグランドのシグナル強度を算出し これを各サンプルの ROI の値から減算する必要があることに注意する サンプルの正味シグナル強度 (Mean(Sample) - Mean(BG)) Area(Sample) 25
サンプルの正味シグナル強度 (Mean(Sample) - Mean(BG)) Area(Sample) 測定値 サンプルの正味シグナル BG ( 環境中の放射線や機械のノイズ ) 26
標準溶液のスポットから検量線を作製 PSL から Bq に変換が可能となる 27
4) オーバーレイ表示 マーカーを基準として光学スキャン像とオートラジオグラムを重ね合わせ 植物体のどの位置に ³²P が局在しているのかを確認する RI 実験に限らず 別々に撮影した画像同士を比較する際に有用 ( 例 : 顕微鏡の蛍光像と透過光像 ) 28
オーバーレイ作業の前に どちらの画像を編集するか? 今回の例に限らず オーバーレイ表示したい 2 つの画像がそのまま重ねられることは少なく 一方の画像を編集する必要がある場合が多い その場合 定量処理に用いる予定のある画像は極力編集せずに残すのが良い ( 今回は RI 像を編集せず scan 画像を編集 ) scan 画像に RI 画像を重ねる RI 画像に scan 画像を重ねる どちらでも OK です より見やすい方を使ってください 29
注意点 小さい画像に大きい画像を重ね合わせるとエラーがでて 重ね合わせができません 例えば スキャン画像に RI 画像を重ねたい場合 スキャン画像が RI 画像よりも大きくなければいけません ( 縦横の両方とも ) その際に スキャン画像が RI 像より小さい場合 Image > Adjust > Canvas Size により画像を大きくすることが可能です 起点 (Position) を Top-Left にしないと XY 座標がずれてしまうので注意 30
オーバーレイ作業の前に 画像間のずれを定量する方法は? 二つの画像を重ねあわせるために必要な編集は 主に以下の3つである 1) 拡大 or 縮小 2) 回転 3)XY 方向への平行移動これらの編集のために必要な数値は 以下の操作で定量できる Fijiのウィンドウの左から5 香目のアイコン (Straight) を選択する この状態で画像上をドラックすると線分が描かれ 線分の長さおよび角度がFijiウィンドウに表示される また その時点でマウスカーソルがある位置のXY 座標も表示される これらの情報を使い 光学スキャン像とオートラジオクラフィ画像それぞれのマーカー間に線分を引くことで サイズ 角度 位置のずれを定量することができる 31
画像のマー力ー上に線分を引いている際の表示 Fiji(ImageJ) のウインドウ内に線分の angle と length が表示される length( 線分の長さ ) の比に従って拡大 縮小を行い angle( 線分の角度 ) の差に従って回転を行う 32
光学スキャン像のサイズ変更 Image > Scale を選択し 光学スキャン像を拡大 / 縮小する 設定すべき倍率はマーカー間の距離から算出する ( ) Interpolation は 特に理由が無ければ Bicubic を選ぶのが良いと思われる 処理が重い場合は Bilinear を試してみること メモリが足りなくて処理が重い場合以外は Create new window の を外さない方が良い ImageJ は undo(= やり直し ) 機能が弱いので 失敗した場合に備えて元の画像を残しておく方が良い 何らかの方法で 2 つの画像間の縮尺比がわかっている場合 それを利用することもできる たとえば試料を光学スキャンした時の解像度 (dpi) と IP 読み取りの際のピクセルサイズが分 かっていれば これらを用いて縮尺比を算出することもできる 33
光学スキャン像の回転 ( サイズ変更済の画像を選び )Image > Transform > Rotate を選択する マーカーを 結ぶ線分の角度から算出した画像間の角度差を入力し 回転させる ImageJの場合 ウインドウに表示される角度 ( 反時計回りが正 ) とRotateで指定する数字 ( 時計回りが正 ) が逆なので注意 ウインドウ表示でプラス方向 ( 反時計回り ) に回転させたい場合 Rotateではマイナスの数値を入力すること この操作もundoが効かないので あらかじめ Image > Duplicate で画像を複製しておくと良い Enlarge Image to Fit Result と Preview はいずれも を入れておくと良い Grid Linesに数値を入力すると Preview 画面で表示される格子パターンを調整できる 34
光学スキャン像の平行移動 ( 回転済の画像を選び )Image > Transform > Translate を選択する この操作も undo が効かないので あらかじめ Image > Duplicate で画像を複製しておくと良い 回転済の両画像上で同一マーカーの上にマウスカーソルを合わせた状態の X,Y 座標の数値を読取り この差から X Offset / Y Offset の数値を算出する Interpolation は None で良い マウスカーソルの位置の座標はここに表示される 35
オーバーレイ表示 ここまでで オーバーレイ表示に必要な画像編集が終了したので 編集済の光学スキャン像をオートラジオグラフィに重ねるオーバーレイ操作を行う オートラジオグラフィのウィンドウを選択した状態で Image > Overlay > Add Image を実行する Image to add で編集済の光学スキャン像を選ぶ Opacity(= 不透明度 ) に適当な数値 (30-70% 程度 ) を設定し OK を押す 失敗したと思ったら Image > Overlay > Remove Overlay で元の状態に戻せるので Opacity を変えつつ試行錯誤すると良い 36
スケール情報の入力 Image > Properties から画像のスケール情報を指定できる この実習で用いるIP 画像は200μm/pixelでIPを読み取ったので Unit of length にmm Pixel width と Pixel height に0.2を入力してOKを押す ( 1) この状態で Analyze > Tools > Scale Bar を実行すると mm 単位のスケールバーを入れることができる ( 2) なお 線分を引いた際の length の単位も pixel から mm に変化し 後述の定量作業の際の Area 表示も平方 mm 単位となる 1 μm を指定したい場合 um と入力する ( ギリシャ文字のマイクロではなく小文字の U を使う ) 2 ImageJ 本来の Scale Bar と異なり Fiji に含まれる Scale Bar Plus には Overlay オプションがあるので しておくと良い 画像に直接書き込まれるのではなく Overlay として入力されるので 後述の ROI マネージャー等で修正できる 37
Powerpoint, Photoshop 等のソフトを用いて 注釈を入力 Fijiでもできなくはないが (Overlay 機能 ) 使い勝手がよくないため おすすめしない そのため今回は割愛 注釈の入力 38