著作権制度の概要 文化庁長官官房著作権課
著作権と著作物 著作権とはテキスト 1P 著作物を創作した者などに与えられる知的財産権 著作者の権利である著作権と 著作物の伝達に寄与した者に与えられる著作隣接権からなる テキスト 7~8P 著作物とは思想又は感情を創作的に表現したものであって 文芸 学術 美術又は音楽の範囲に属するもの 言語の著作物小説 論文 俳句など 音楽の著作物楽曲 歌詞など 美術の著作物絵画 彫刻 マンガなど 舞踊の著作物踊りの振り付けなど このほか 地図 映画 写真 芸術的な建築物など
思想又は感情 人の思いや考えを表現したもの 単なるデータ等は除かれる 富士山の標高 3,776 メートルは? 創作的な表現個性が何らかの形で表現されているもの 頭の中にあるアイディアは表現ではない 料理のレシピは? 文芸 学術 美術又は音楽の範囲 一般的に工業製品のデザイン等は除かれる 2
1 二次的著作物 著作物のタイプ テキスト 9P 著作物を翻訳 編曲 変形 脚色 映画化 その他翻案することにより創作した著作物 二次的著作物を利用する場合には 素材となっている原著作物についても別個に権利が発生している点に留意 2 法人著作 ( 職務著作 ) テキスト 11P 法人等の発意に基づき その法人等の業務に従事する者が職務として創作し 法人等の名義で公表されるものは 特段の定めがない場合 法人著作として法人が著作者及び著作権者となる 3
3 編集著作物 テキスト 9P 素材 ( 著作物に限らない ) の選択または配列によって創作性を有するもの 4 データベースの著作物 情報をコンピューターを用いて検索できるように構成したもので 情報の選択または体系的な構成によって創作性を有するもの 4
5 共同著作物 テキスト 10P 二人以上の者が共同して創作した著作物で 各人の寄与を分離して個別に利用することができないもの 著作者人格権の行使 著作者全員の合意によらなければ行使できないが 各著作者は 信義に反して合意の成立を妨げることはできない 共有著作権の行使 共有者全員の同意がなければ 共有著作権を行使できない 他の共有者の同意がなければ 自分の持ち分を譲渡等できない 5
保護を受ける著作物 テキスト 8P 日本国民が創作した著作物 ( 国籍の条件 ) 最初に日本国内で発行された著作物 ( 発行地の条件 ) 条約により我が国が保護の義務を負う著作物 ( 条約の条件 ) * 権利の目的とならない著作物 ( 第 13 条 ) その性質上国民に広く開放して利用されるべき著作物 憲法その他の法令 ( 地方公共団体の条例 規則を含む ) 国や地方公共団体又は独立行政法人 地方独立行政法人の告示 訓令 通達など 裁判所の判決 決定 命令など 上記の翻訳物や編集物 ( 国 地方公共団体又は独立行政法人 地方独立行政法人が作成するもの ) 6
著作権の発生 テキスト 3P 著作物の創作と同時に著作権が発生する 著作物を創作した者を著作者といい 著作権は著作者に帰属する 著作権の発生には 申請や登録等の手続は一切不要 ( 無方式主義 ) 申請と登録が必要な特許権 実用新案権 商標権 意匠権などとは異なる 例外 法人著作 ( 職務著作 ) 法人の使用者の発意に基づき 法人の業務に従事する者が職務上作成する著作物で その法人等の名義で公表されるものは 就業規則等に別段の定めがない限り その法人が著作者となる 映画の著作物 映画の著作物の著作者は 映画の全体的形成に創作的に寄与した者 ( プロデューサー 映画監督 ディレクター等 ) となり 著作権は原則として映画製作者に帰属する 7
著作権の内容 テキスト 12P 著作者人格権著作者の人格的利益を守る権利 譲渡できない 著作権 ( 財産権 ) 著作者の財産的利益を守る権利 譲渡 相続 分割できる 著作権を譲渡した場合には 著作者人格権と著作権が別々の者に帰属することとなる 8
1 著作者人格権 テキスト 13P 公表権著作物を公表するか否か いつ どこで どのように公表するか等を決定することのできる権利 同一性保持権著作物の内容や題名を無断で変更されない権利 氏名表示権著作物の公表の際 著作者名を表示するか否か 表示する場合に実名にするか変名 ( ペンネーム ) にするかを決定することのできる権利 9
2 著作権 ( 財産権 ) テキスト 14P~ 複製権無断でコピーされない権利 上演 演奏権無断で著作物を公衆に上演 演奏されない権利 上映権無断で著作物を公衆に上映されない権利 公衆送信権無断で著作物を公衆に送信されない権利 ( 放送 インターネット等 ) 公の伝達権無断で受信機による公への伝達をされない権利 口述権無断で著作物を口頭で公衆に伝達 ( 朗読等 ) されない権利 公衆 : 不特定の者又は特定多数の者 10
2 著作権 ( 財産権 ) 展示権無断で著作物を公衆に展示されない権利 頒布権無断で映画の著作物を複製物により頒布されない権利 譲渡権無断で著作物 ( 映画の著作物を除く ) を公衆に譲渡されない権利 貸与権無断で著作物 ( 映画の著作物を除く ) を複製物により貸与されない権利 翻案権無断で著作物を翻訳 編曲 変形 脚色 映画化等されない権利 二次的著作物の利用権無断で自身の作品の二次的著作物を利用されない権利 11
著作隣接権 テキスト 27P~ 著作物の伝達に寄与する者に対して付与される権利 著作権と同様に 登録等の手続は不要であり 譲渡も可能 実演家の権利俳優 舞踏家 演奏家 歌手等の実演を行う者及び実演を指揮 演出する者に付与される 実演家人格権 ( 氏名表示権 同一性保持権 ) と財産権 ( 録音 録画 放送に係る権利 譲渡 貸与に係る権利 インターネットへのアップロードに係る権利など ) がある レコード製作者の権利レコードに固定されている音を最初に固定した者に付与される 人格権はなく 財産権 ( レコードの複製 譲渡 貸与に係る権利 レコードを放送等に二次利用することに係る権利 インターネットへのアップロードに係る権利など ) のみがある 放送 有線放送事業者の権利放送 有線放送を業として行う者に付与される 人格権はなく 財産権 ( 放送の複製 再放送に係る権利 大型ディスプレイなどを使ったテレビ放送の伝達に係る権利 インターネットへのアップロードに係る権利など ) のみがある 12
権利侵害への対抗措置 テキスト 87P~ 刑事上の制裁 著作権等侵害は犯罪であり 罰則規定が適用される 10 年以下の懲役又は1,000 万円以下の罰金法人の場合は3 億円以下の罰金 ただし 権利者の告訴を必要とする親告罪の扱い 民事上の被害者救済措置 1 差止請求 2 損害賠償請求 3 不当利得返還請求 4 名誉回復等措置請求 13
保護期間 テキスト 21P~ 原則として 著作物の創作時 ~ 著作者の死後 50 年が保護期間となる 50 年の起算は 死亡した年の翌年の 1 月 1 日から 著作者人格権については 著作者の死亡により消滅するが 死後であっても 著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない 保護期間には様々な例外がある 無名 変名の著作物 : 原則公表後 50 年 団体名義の著作物 : 公表後 50 年 映画の著作物 : 公表後 70 年 その他 条約や旧著作権法の規定にも留意が必要 著作隣接権の保護期間は 実演 : 実演後 50 年 レコード : 発行 ( 発売 ) 後 50 年 放送 : 放送後 50 年 50 年創作死亡消滅 50.2.1 60.4.1 61.1.1 10.12.31 著作者人格権 著作権 14
他人の著作物を利用するとき テキスト 53P~ 利用したいコンテンツは 著作物 ( 条文や判決文等を除く ) ですか? NO YES 利用にあたって著作権法上の問題はありません YES 著作権の保護期間は満了前ですか? NO 権利制限規定権利者の許諾なく著作物が利用できる場合を定めた例外規定 利用方法は権利制限規定の適用対象外ですか? NO YES 権利者から利用許諾を得ていますか? 得ている 利用にあたって著作権法上の問題はありません 得ていない 権利制限規定の内容に沿って 正しくご利用ください 許諾条件に従って 正しくご利用下さい 残念ながら ご利用いただけません 15
著作権者から利用許諾を受ける場合 注意点 契約書を交わす場合も 口頭のみの場合も 契約 であるが 後々のトラブルを防ぐためには 契約書を作成すべきである 利用形態の多様化により 契約当事者間の認識のズレが生じやすい 後々のトラブルを防ぐためには 利用許諾の条件を明確にして契約書を作成すべきである 例 : どの著作物を利用できるのか例 : 紙ポスターを作成して掲示できるのか ホームページに掲載できるのか例 : 無料で利用できるのか 有料 ( いくら ) で利用できるのか例 : いつまで利用できるのか 5W1H (1When( いつ ) 2Where( どこで ) 3Who( 誰が ) 4What( 何を ) 5Why( 何のために ) + How( どのように )) 16
著作物の利用者1 権利委託 著作隣接権者著作権等管理事作権者著作権等管理事業者から許諾を受ける方法 JASRAC( 日本音楽著作権協会 ) 日本複製権センターなどの 著作権等管理事業者 が 著作権者等から委託を受けて 著作物の許諾の窓口として機能 利用者は 予め定められた料金表 ( 使用料規程 ) の使用料を管理事業者に支払えば 原則許諾を得ることができる ( 著作権等管理事業者の応諾義務 ) 5 使用料分配わずらわしい契約交渉に時間をとられることなく 創作に専念できる 著業者2 利用許諾申請 3 利用許諾 4 使用料支払 わずらわしい契約交渉に時間をとられることなく 簡単に契約できる 17
著作権者から著作権を譲り受ける場合 注意点 テキスト 56P~ 所有権と著作権は別ものである 所有権を譲り受けても 著作権を譲り受けたことにはならない 契約の際 物の譲渡契約と著作権の譲渡契約を混同しないこと 例 : 小説本を買った場合 本を捨てることはできるが コピーして販売することはできない 著作権の譲渡契約において 二次的利用に関する権利 ( 第 27 条および第 28 条の権利 ) が譲渡の目的として特掲されていないときは 留保されたものと推定される (61 条 2 項参照 ) すべての著作権を譲り受けたいときは すべての著作権 ( 著作権法第 27 条および第 28 条の権利を含む ) を譲渡する と明記すること なお 著作者人格権は譲り受けることができない 実務上 契約書に 著作者人格権の行使はしない と記載されることがある 18
著作権者不明等の場合の裁定制度 テキスト 57P~ 著作物を利用したくとも 相当な努力 を払っても権利者と連絡を取ることができない場合に 文化庁長官の裁定を受け 著作物等の通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより適法にその著作物等を利用することができる 相当な努力裁定申請裁定補償金の供託適法利用 相当な努力 1 権利者情報を掲載している資料の閲覧 2 権利者情報を保有している者への照会 3 公衆に対する権利者情報の提供の呼びかけ これまでの利用実績として例えば 国立国会図書館近代デジタルライブラリーで所蔵図書のインターネット公開 おしん のDVD 化校歌を着メロにして配信 詳しくは http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/chosakukensha_fumei/ 19
著作物等の 例外的な無断利用 ができる場合 ( 権利制限規定 ) テキスト 60P~ 私的使用のための複製等 ( 第 30 条 ) 学校その他の教育機関における複製等 ( 第 35 条 ) 付随対象著作物の利用 ( 第 30 条の 2) 試験問題としての複製等 ( 第 36 条 ) 検討の過程における利用 ( 第 30 条の 3) 視覚障害者等のための複製等 ( 第 37 条 ) 技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用 ( 第 30 条の 4) 聴覚障害者等のための複製等 ( 第 37 条の 2) 図書館等における複製等 ( 第 31 条 ) 営利を目的としない上演等 ( 第 38 条 ) 引用 ( 第 32 条 ) 時事問題に関する論説の転載等 ( 第 39 条 ) 教科用図書等への掲載 ( 第 33 条 ) 政治上の演説等の利用 ( 第 40 条 ) 教科用拡大図書等の作成のための複製等 ( 第 33 条の 2) 時事の事件の報道のための利用 ( 第 41 条 ) 学校教育番組の放送等 ( 第 34 条 ) 裁判手続等における複製 ( 第 42 条 ) 20
行政機関情報公開法等による開示のための利用 ( 第 42 条の 2) 公文書管理法等による保存等のための利用 ( 第 42 条の 3) 国立国会図書館法におけるインターネット資料収集のための複製 ( 第 42 条の 4) 放送事業者等による一時的固定 ( 第 44 条 ) 美術の著作物等の原作品の所有者による展示 ( 第 45 条 ) 公開の美術の著作物等の利用 ( 第 46 条 ) 美術の著作物等の展示に伴う複製 ( 第 47 条 ) プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等 ( 第 47 条の 3) 保守, 修理等のための一時的複製 ( 第 47 条の 4) 送信の障害の防止等のための複製 ( 第 47 条の 5) 送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等 ( 第 47 条の 6) 情報解析のための複製等 ( 第 47 条の 7) 電子計算機における著作物の利用に伴う複製 ( 第 47 条の 8) 情報通信技術を利用した情報提供に必要な情報処理のための利用 ( 第 47 条の 9) 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等 ( 第 47 条の 2) 21
私的使用のための複製 テキスト 61P 条件 ( 第 30 条第 1 項 ) (1) 家庭内など限られた範囲内で 仕事以外の目的に使用すること (2) 使用する本人が複製すること (3) 誰でも使える状態で設置してあるダビング機などを用いないこと (4) コピーガードを解除して ( 又は解除されていることを知りつつ ) 複製するものでないこと (5) 著作権を侵害したインターネット配信と知りながら 音楽や映像をダウンロードするものでないこと 22
私的使用のための複製 (1) 家庭内など限られた範囲内で 仕事以外の目的に使用すること 自分自身 自分の所属する小規模で閉鎖的なグループ 大規模なグループ (1) 家庭内など限られた範囲内で 仕事以外の目的に使用すること 会社等において新聞をコピーして回覧 23
私的使用のための複製 (2) 使用する本人が複製すること 指示に従って作業してくれる人に頼むこと (2) 使用する本人が複製すること いわゆるコピー 録画 ダウンロード プリントアウト ブログにアップ = 公衆送信 限定なし 複製の手段に 24
私的使用のための複製 (3) 誰でも使える状態で設置してあるダビング機などを用いないこと 当分の間 コンビニのコピー機 など 文献複写 のみに用いるものは除く 人から借りて家庭内で使用する自動複製機器 その他 未公表の著作物についてはどうか 映画のような経済的価値の高い著作物 すべての著作物 OK 25
検討の過程における利用 テキスト 65P 条件 ( 第 30 条の 3) (1) 著作権者の許諾を得て 又は裁定を受けて著作物を利用しようとする者であること (2) 許諾を得て 又は裁定を受けて行う著作物の利用についての検討の過程における利用に供することを目的とすること (3) 必要な限度内のものであること (4) その著作物の種類や用途などから判断して, 著作権者の利益を不当に害しないこと 最終的には適法に行われる著作物の利用行為の 準備 26
検討の過程における利用 (1) 著作権者の許諾を得て 又は裁定を受けて著作物を利用 しようとする者であること 最終的に利用が行われることは必要か (2) 許諾を得て 又は裁定を受けて行う著作物の利用についての 検討の過程における利用に供することを目的とすること 著作権者に許諾を申し出る際の資料 27
インターネット上の著作物の利用 ( 画像 ) イラスト素材サイト 1 利用のルールを確認する 利用規約 や 利用について といったタイトルのページに 著作物を使うときはこれを守って欲しい というルールがあるので必ず確認する はじめに利用規約著作権についてお問合せ 利用規約利用にあたっては著作者の名前を表示してください 2 著作権を持っている人を確認する 著作権を持っているのが誰か きちんと書いてあるか確認する 他人の著作物を勝手にフリー素材サイトに掲載してしまう人がいるが そういった著作物をフリー素材だと思って使ってしまうと 使用料を請求されることも 著作権について 本サイトのイラストの著作権はすべて文化太郎に帰属します
インターネット上の著作物の利用 ( 地図 ) Web 上での地図の利用の可否 印刷物への利用の可否 一定の部数であれば申請不要で利用できる 指定の文言の記入が必要など ウェブサイトにより利用の方法や範囲に限定がある 利用規約を確認し それに沿って利用する必要がある 規定は変わるので必ず利用の度に最新の利用規約を確認してください 29
30 引用 テキスト 79P 条件 ( 第 32 条第 1 項 ) (1) 公表された著作物であること (2) 公正な慣行に合致する引用であること 引用の 必然性 があること 引用する部分が 明確に区別 されること (3) 引用の目的上 正当な範囲内 であること 自分の著作物と他人の著作物との間に妥当な 主従関係 があること 引用する分量が必要最小限度の範囲内であること (4) 出所の明示 が必要 ( 複製以外はその慣行があるとき )
必要最小限度 参考 明確に区別引用の良い例 ( ) 引用の悪い例 ( ) 主 従 この点,A 大学の文化教授は, 引用部 と主張する出所の明示 ( 文化太郎 法概説 87 頁 ( 出版,1995 年 )) しかしながら, この見解は, 以下の理由から妥当ではない すなわち, 理論的にみても, であり, 例え必然性ば, のような事例を考えた場合, 文化教授の説によれば, という不合理な結論とならざるを得ない むしろこの問題は, と考えるのが理論上適切であるし, 条文の解釈としても, より素直であろう このように解すれば, 上記事例においても, 文化教授説のような不都合は無理なく回避でき, 妥当な結論を導くことができる 裁判例を見ても, 従来は 32 条により適法 会報 8 月号 コラム 7 月 31 日の 新聞に 博物館に関する興味深い記事が出ていたので, 当コラムでご紹介します! 新聞記事をそのまま転載 32 条の 引用 の範囲とはいえず, 著作権侵害 ( 複製権侵害 ) となる 31
引用 その他 日本語の小説を英訳した上で引用してよいか ダイジェスト引用 翻訳 OK (43 条 2 号 ) 翻案不可 禁転載 といった表示がある著作物の引用 禁転載 等の表示により転載ができないのは [1] 国 地方公共団体等の作成する広報資料等を説明の材料として 新聞 雑誌等の刊行物に転載する場合 ( 第 32 条第 2 項 ) [2] 新聞又は雑誌に掲載して発行された時事問題の論説を他の新聞 雑誌に転載し又は放送 有線放送する場合 ( 第 39 条第 1 項 ) 32
行政の広報資料 等の転載 条件 ( 第 32 条第 2 項 ) (1) 一般に周知させることを目的とした資料であること (2) 行政機関等の名義の下に公表した資料であること (3) 説明の材料として転載すること (4) 転載を禁止する旨の表示がないこと (5) 出所の明示 が必要 典型例 : 文部科学白書など 未公表資料を転載してよいか 引用のように分量の主従関係は必要か 禁転載 の表示がある場合 翻訳して転載してよいか 33
教育機関 での複製 テキスト 67P 条件 ( 第 35 条 ) (1) 営利を目的としない教育機関であること (2) 授業等を担当する教員等やその授業等を受ける学習者自身が複製すること (3) 授業の中でその複製物を使用すること (4) 必要な限度内の部数であること (5) すでに公表されている著作物であること (6) その著作物の種類や用途などから判断して 著作権者の利益を不当に害しないこと (7) 慣行があるときは 出所の明示 が必要 34
教育機関 での複製 (1) 営利を目的としない教育機関であること 小 中 高 大学 高専 専修学校 図書館 美術館 博物館 = 組織的 継続的教育機能 私人の経営する予備校 を営む教育機関であること 35
教育機関 での複製 (2) 授業等を担当する教員等やその授業等を受ける学習者自身が複製すること 授業を実際に行う者 という意味 教育委員会がまとめてコピー 校長がまとめてコピー 指示に従って作業してくれる人に頼むこと ( 参考 ) 授業等を受ける学習者自身 は 平成 15 年に追加 児童生徒は 自ら主体的に学習し 情報を適切に収集 判断 創造 発信していくことが求められているため 36
教育機関 での複製 (3) 授業の中でその複製物を使用すること 運動会 必修のクラブ活動 校内 LANへの蓄積 職員会議 (4) 必要な限度内の部数であること クラスの人数以上に配布すること (6) その著作物の種類や用途などから判断して 著作権者の利益を不当に害しないこと 市販のドリルを 1 部購入して人数分コピー 37
試験問題 としての複製 テキスト 69P 条件 ( 第 36 条 ) (1) すでに公表されている著作物であること (2) 試験 検定の目的上必要な限度内であること (3) 営利目的 の試験 検定の場合は著作権者に 補償金 を支払うこと (4) 慣行があるときは 出所の明示 が必要 38
試験問題 としての複製 (2) 試験 検定の目的上必要な限度内であること 試験後にその問題を冊子に印刷 配布すること (3) 営利目的 の試験 検定の場合は著作権者に 補償金 を支払うこと 典型例 : 受験料を徴収して行う模擬試験 支払うべきは問題作成業者か 依頼者か 業者 39
司法 立法 行政のための内部資料としての複製 テキスト 76P 条件 ( 第 42 条 ) (1) 裁判 の手続き又は 立法 行政 の目的の 内部資料 として必要な場合であること (2) 裁判 立法 行政 の目的上必要な限度内であること (3) その著作物の種類や用途などから判断して, 著作権者の利益を不当に害さないこと (4) 出所の明示 が必要 未公表の著作物でも複製できるか 行政目的の広報資料の場合はどうか 40
営利を目的としない上演 演奏 上映 口述 テキスト 77P 学校の学芸会 市民グループの発表会 公民館での上映会など 非営利 無料で一定の条件のもとでは著作物を許諾なく利用できる 条件 ( 第 38 条第 1 項 ) 1 上演 演奏 上映 口述 のいずれかであること ( 複製や公衆送信は含まれない ) 2 公表された著作物であること 3 営利を目的としていないこと 4 観衆 聴衆から料金等を受けないこと 5 出演者等に報酬が支払われないこと 非営利無料 ( 弁当代や車代 ( 実費相当 ) は 報酬 には該当しない ) 無報酬 慣行があるときは 出所の明示 が必要 41
TPP 協定に対応する著作権法の改正 改正事項 1. 著作物等の保護期間の延長著作権の保護期間が 50 年から 70 年に 2. 著作権等侵害罪の非親告罪化有償著作物の権利者の利益を不当に害する場合などに著作権者等の告訴がなくとも検察官が控訴を提起できるように 3. アクセスコントロールの回避等に関する措置著作物等の利用を管理するためのいわゆる アクセスコントロール を権限無く回避する行為について 原則著作権等を侵害する行為とみなすとともに 当該回避を行う装置の販売等の行為について刑事罰の対象とする 4. 配信音源の放送二次使用に対する使用料請求権の付与実演家及びレコード製作者に認められている使用料請求権の対象を拡大し 配信音源を用いて放送又は有線放送を行う場合についても 使用料請求権を付与する 5. 損害賠償に関する規定の見直し侵害された著作権等が著作権等管理事業者により管理されている場合は 著作権等管理事業者の使用料規程により算出した額を損害額として賠償を請求することができる 国会審議平成 28 年 12 月 9 日に改正法案成立 TPP 協定の発効条件全参加国が 2 年以内に批准できない場合 TPP 域内の国内総生産 (GDP) の合計が 85% 以上を占める 6 カ国以上の批准で発効 改正著作権法の施行日 TPP 協定が日本国について効力を生ずる日から施行 ( 附則 1 条 ) 42