_第16回公益通報者保護専門調査会_資料2

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一公職の候補者となる労働者の雇用の継続の確保のための立候補休暇に関する法律案目次第一章総則 ( 第一条 第二条 ) 第二章立候補休暇 ( 第三条 第六条 ) 第三章雑則 ( 第七条 第九条 ) 附則第一章総則 ( 目的 ) 第一条この法律は 立候補休暇の制度を設けることにより 公職の候補者となる労働

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律

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個人情報の保護に関する規程(案)

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

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(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

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制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

内閣府令本文

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

劇場演出空間技術協会 個人情報保護規程

時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

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社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

平均賃金を支払わなければならない この予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮される ( 労基法 20 条 ) 3 試用期間中の労働者であっても 14 日を超えて雇用された場合は 上記 2の予告の手続きが必要である ( 労基法 21 条 ) 4 例外として 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の

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司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律新旧対照条文目次一司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)(第一条関係) 1 二土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)(第二条関係) 10

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第 4 章中第 34 条の次に次の 1 条を加える ( 行政指導の中止等の求め ) 第 34 条の 2 法令又は条例等に違反する行為の是正を求める行政指導 ( その根拠 となる規定が法律又は条例 ( 地方自治法第 252 条の17の2 第 1 項又は地方教育行政の組織及び運営に関する法律第 55 条

個人情報保護規定

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8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

Taro-議案第13号 行政手続条例の

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総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の 適用除外についての考え方 平成 25 年 9 月 10 日一部改定平成 27 年 4 月 1 日一部改定平成 28 年 4 月 1 日一部改定平成 28 年 11 月 28 日消費者庁 第 1 はじめに 1 法律の概要等消費税の

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

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第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

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(5) 個人データ 個人データ とは 個人情報データベース等を構成する個人情報をいう (6) 保有個人データ 保有個人データ とは 当会館が 開示 内容の訂正 追加又は削除 利用の停止 削除及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって その存否が明らかになることにより公益

五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

基発第       号

48

2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆

務が他の職種の職務と明確な差異がある場合には 解雇回避努力の内容として 配置転換や職務転換に限られず 退職金の上乗せ 再就職支援等をもって解雇回避努力を尽くしたとされる場合があり 他方 限定された職務が高度な専門性や高い職位を伴わない場合 あるいは当該職務が他の職種の職務と差異が小さい場合には 解雇


4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

平成 31 年 4 月 1 日から平成 34 年 3 月 31 日まで 63 歳平成 34 年 4 月 1 日から平成 37 年 3 月 31 日まで 64 歳 4 定年について 労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません ( 均等法第 6 条 ) ( 退職 ) 第 48 条前条に定める

_公益通報者保護専門調査会 中間整理

Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

公益財団法人全国競馬 畜産振興会役員慰労金支給規程 ( 平成 25 年 8 月 1 日会長達第 3 号 ) ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 公益財団法人全国競馬 畜産振興会 ( 以下 振興会 という ) 役員及び評議員の報酬等の支給に関する規程第 5 条の規定に基づき 役員 ( 常勤の者に限る

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定していました 平成 25 年 4 月 1 日施行の 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律 では, 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されていますが, 平成 25 年 4 月 1 日の改正法施行の際, 既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準につい

会員に対する処分等に係る手続に関する規則 (2018 年 7 月 30 日制定 ) 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本規則は 定款第 15 条に規定する会員に対する処分及び不服の申立てに係る手続の施行に関し 必要な事項を定めることを目的とする ( 定義 ) 第 2 条本規則において 次の各号

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14個人情報の取扱いに関する規程

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弁護士等の業務広告に関する規程

金を支払う (15 U.S.C 78u 6(b)(1)) ウ通報妨害の禁止従業員がSECの職員に接触することを妨げることを禁止する規定がある (17 C.F.R F 17) エ内部通報体制の整備匿名で通報できる体制整備の義務付けなど 内部通報者保護制度の整備を企業に義務付けていることは

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個人情報管理規程

役職員等 とは, この法人に所属するすべての理事, 監事及び組織内にあって直接又は間接にこの法人の指揮監督を受けてこの法人の業務に従事している者をいい, 雇用関係にある従業者のみならず, この法人との間に雇用関係のない者 ( 派遣社員等 ) も含む. (10) 個人情報管理責任者 個人情報管理責任者

審査結果 認可基準チェックシート参照 意見を求める事項 本件申請について審査した結果 児童福祉法に基づく認可基準に適合していること 設置者の基準に適合していると判断できることから 児童福祉法第 34 条の 15 第 5 項の規定に基づき 平成 29 年 4 月 1 日付で認可することについて意見を伺

医療用医薬品製造販売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約 ( 昭和 59 年 3 月 10 日公正取引委員会認定 ) ( 昭和 59 年 3 月 14 日官報 公正取引委員会告示第 8 号 ) 改定 ( 平成 6 年 1 月 20 日公正取引委員会認定 ) ( 平成 6 年 2 月 3

(3) 障害を理由とする差別障害を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいいます (4) 障害を理由とする不当な差別的取扱い客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく 障害又は障害に関連する事由により障害者を区別し 排除し 又は制限すること 障害者に障害者でない

また 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 ( 平成 3 年法律第 77 号 ) は 暴力団員の人数のうちに占める 暴力的不法行為等 に係る犯罪経歴保有者の人数の比率が一定の比率を超えること等を指定暴力団の指定の要件とするなどしており 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則 (

平成14年8月  日

いても使用者責任が認められることがあります 他方 交通事故の原因が相手方の一方的な過失によるものであるなど 被用者に不法行為責任が発生しない場合には 使用者責任も発生しません イ 2 使用関係被用者との使用関係については 実質的な指揮監督関係があれば足りるとして広く解されており 正社員 アルバイト

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中央教育審議会(第119回)配付資料

9-1 退職のルール 職することは契約違反となります したがって 労働者は勝手に退職することはできません 就業規則に 契約期間途中であっても退職できる定めがある場合には それに従って退職できることになりますが 特段の定めがない場合には なるべく合意解約ができるように 十分話し合うことが大切です ただ

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法律第三十三号(平二一・五・一)

の業務について派遣先が九の 1 に抵触することとなる最初の日 六派遣先への通知 1 派遣元事業主は 労働者派遣をするときは 当該労働者派遣に係る派遣労働者が九の 1の ( 二 ) の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること ( 第三十五条第一項関係

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研究活動における不正行為への対応等に関する規程 ( 目的 ) 第 1 条 本規程は小池化学株式会社 ( 以下 当社 という ) における研究活動での不正行為を防止 すると共に 不正行為が行われ 又はそのおそれがある場合の取扱いに関し 必要な事項を 定める ( 定義 ) 第 2 条本規程において 不正

財団法人日本体育協会個人情報保護規程

改正労働基準法


1 茨城県認可外保育施設指導監督実施要項(H29.3)

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

Taro-(番号入り)案文・理由

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

●租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案

資料 1 協会員に対する処分及び勧告について 平成 30 年 4 月 18 日 日本証券業協会 本協会は 本日 下記のとおり 法令等違反の事実が認められた協会員に対し 定款第 28 条第 1 項の規定に基づく処分及び同第 29 条の規定に基づく勧告を行いました 記 岩井コスモ証券株式会社 公表前のア

個人情報保護規程例 本文

平成  年(行ツ)第  号

四住宅の貸与 ( 昭六三労令三三 一部改正 平一〇労令七 旧第二条繰上 一部改正 平一二 労令四一 平一八厚労令一八三 一部改正 ) ( 実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置 ) 第二条法第七条の厚生労働省令で定める措置は 次のとおりとする 一労働者の募集又は採用に関する措置であつて

一般社団法人北海道町内会連合会定款変更(案)

Transcription:

資料 2 第 16 回公益通報者保護専門調査会 不利益取扱いが通報を理由とすることの立証責任の緩和 平成 30 年 6 月 28 日 消費者庁 第 1 問題の所在 1. 関連する現行法の規定等 公益通報者保護法 ( 平成十六年法律第百二十二号 )< 下線は引用者 > 第三条公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に掲げる事業者が行った解雇は 無効とする 一 ( 略 ) 二 ( 略 ) 三 ( 略 ) 第四条第二条第一項第二号に掲げる事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者で ある公益通報者が前条各号に定める公益通報をしたことを理由として同項第二号に 掲げる事業者が行った労働者派遣契約 ( 中略 ) の解除は 無効とする 第五条第三条に規定するもののほか 第二条第一項第一号に掲げる事業者は その使用し 又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として 当該公益通報者に対して 降格 減給その他不利益な取扱いをしてはならない 2 前条に規定するもののほか 第二条第一項第二号に掲げる事業者は その指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として 当該公益通報者に対して 当該公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めることその他不利益な取扱いをしてはならない 現行の公益通報者保護法 ( 以下 法 という ) では 通報者が法第 3 条から法第 5 条の保護を受けることができるのは 公益通報をしたことを理由として 解雇等の不利益取扱いを受けた場合に限られるが この事実の証明責任 ( 立証責任 ) 1 の所在について法に定めはない そのため 民事訴訟において 事業者が不利益取扱いは公益通報を理由としたもので 1 訴訟上 ある要件事実 ( 法令の要件に該当する具体的事実 ) の存在が存否不明に終わった結果 その事実を訴訟上存在しているものと扱うことができないために 当該法律効果が認められないという不利益又は危険をいう ある要件事実について証明責任を負う者が 当該要件事実について主張し 立証する必要がある 1

はないと主張した場合 民事訴訟における証明責任分配の原則 2 に従い 不利益取扱いが 公益通報をしたことを理由として 行われたことについては 通報者側が立証する必要がある 2. 立法時における考え方 法の制定時は 一定の法律効果を主張する者が立証責任を負うのが民事訴訟の原則であり 本法においてもこの原則に従って 不利益取扱いが公益通報を理由とすることについても 保護を受けようとする労働者が立証責任を負うとされた 3 また 実際の労働関係の裁判においては 労働者と事業者との立証能力の格差を踏まえて適切な立証責任の分配が行われており 公益通報者保護法に関する裁判においても同様な取扱いがされると考えられるとされた 4 3. 立法後に明らかになった課題 (1) 通報を理由として不利益取扱いが行われたと考えられるものの 通報を理由としていないとの主張がなされた事案の存在 実際は通報を理由として不利益取扱いが行われたと考えられるにもかかわらず ( 裁判において不利益取扱いが通報を理由とするものと認定された ) 民事訴訟において 事業者が不利益取扱いは通報を理由としたものではないと主張し この点が裁判で争われた事案がみられる ( 参考資料 1 1. 参照 ) 上記のうち 東京高判平成 23 年 8 月 31 日の事案では 第一審裁判所では事業者側の主張を認め 不利益取扱いが通報を理由とするものではないと認定し 通報者に不利な判決がなされたのに対して 控訴審裁判所では 不利益取扱いが通報を理由とするものであるとして 正反対の認定がされている ( なお 同事案では訴訟提起から勝訴判決確定まで 4 年以上を要している ) (2) 公益通報者保護制度相談ダイヤルに寄せられた相談の例 消費者庁が設置する公益通報者保護制度相談ダイヤルにおいても 通報した後に不利益取扱いを受けたところ 不利益取扱いの理由として通報とは別の事情を主張されたという相談が見られた ( 参考資料 1 2. 参照 ) (3) 通報経験者等へのヒアリングにおける指摘事項や事業者等の通報実態に関する意見 消費者庁が 平成 24 年以降 通報経験者や弁護士 事業者等 通報事案の当事者や 通報実務に携わる当事者に対して行ったヒアリング 5 においては 以下のような指摘が 2 民事訴訟においては 原則として各当事者は自己に有利な法律効果の発生を定める法令の要件事実について証明責任を負う 3 平成 16 年 6 月 11 日参議院内閣委員会における政府答弁 逐条解説 99 頁 4 平成 16 年 6 月 11 日参議院内閣委員会における政府答弁 逐条解説 100 頁 5 公益通報者保護制度に関する実態調査報告書 ( 平成 25 年 6 月消費者庁 ) 公益通報者保護制度に 2

なされている ( 参考資料 1 3. 参照 ) 通報する側からは 通報と不利益取扱いとの間の因果関係を立証するためのハードルは高いという意見や そもそも裁判で争うこと自体 弱い立場の労働者には重大な負担となるといった意見があった 他方 事業者側からは 特に人事関係については様々な考慮要素があるので 通報をしたことを理由とした対応かどうかを判断することは非常に難しいとの意見があった 関する意見聴取 ( ヒアリング ) における主な意見 ( 平成 27 年 4 月消費者庁 ) 等に依拠している 3

第 2 本論点に関するこれまでの主な議論の整理 1. 立証責任の緩和を法律上規定することの是非についてア法律上規定することに積極的な立場からの主な意見 訴訟においては 一方当事者に都合の良い主張や証拠の提出が行われるため 不利益取扱いに至る経緯を示す内部資料について十分にアクセスできない通報者の側で 不利益取扱いが通報を理由とすることを証明することは困難である 事業者は労働者に関する資料を保有しているため 処分が労働者の非違行為に基づくもので 通報を理由としてはいないことを証明するのは困難ではなく 立証責任を緩和する規定を設けたとしても 事業者に過度の負担を負わせるものではない 仮に 問題を起こしたことに対する処分を免れるために通報する労働者がいたとしても 本当に非違行為があるというのであれば 事業者としてこれを立証することにより不利益取扱いを正当化することは容易である 6 イ法律上規定することに慎重な立場からの主な意見 労働者が不利益取扱いを争って訴訟になった場合 実務上は事業者側が解雇に正当な理由があったということ 配転に業務上の必要性があったということなど 不利益取扱いの理由を積極的に立証することになるため 通報者の立証の負担を緩和しなくとも支障は生じない 解雇 降格 減給 配置転換 出向などは不当労働行為としても争われることが多いところ 不当労働行為については立証責任が緩和されておらず 通報を行った労働者の立証責任を緩和することは このような取扱いとのバランスを逸する 通報と不利益取扱いとの因果関係についての立証責任が緩和された場合 不利益取扱いを免れることを目的とした通報が増加することが懸念され 円滑な労務管理及び内部通報制度の運営に支障を来たす可能性がある ( 参考 ) 労働契約法第 16 条により解雇権の濫用が争われる場合においても 実務上は 労働者側から何ら落ち度なく勤務してきた等の概括的な主張があれば 一応解雇権濫用の評価根拠事実 7 の主張があったものとして 使用者側に解雇の理由を解雇権濫用の評価障害事実 8 として主張立証させることが一般的である 9 6 公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会 ( 消費者庁 ) において示された意見 ( 同検討会第 13 回 参考 1 参照 ) や 同検討会最終報告書 ( 第 9 回専門調査会 参考資料 7 ) における提言内容 同報告書に対するパブリックコメントに寄せられた意見 ( 同専門調査会 参考資料 8 ) 等を整理して紹介しているものである 7 解雇が 客観的に合理的 社会通念上相当 ( 労働契約法第 16 条 ) ではないこと等の規範的要件 ( 評価を記載している要件 ) を根拠付ける具体的な事実を指す ( 解雇権濫用が争われる訴訟においては 解雇が濫用とされることで利益を得る労働者が 解雇が客観的に合理的でないこと等を基礎付ける具体的な事実の主張立証責任を負う ) 8 解雇が 客観的に合理的 社会通念上相当 ( 労働契約法第 16 条 ) ではないこと等の評価を障害する 4

他方 配転命令の権利濫用が争われる場合には 業務上の必要性を基礎付ける事実は事業者が主張立証しなければならないものの 労働者の適正配置 業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは 業務上の必要性を肯定すべきとされている 他方 不当な目的があるか 著しい生活上の不利益があるかについては 労働者の側が これらの評価を基礎付ける事実を具体的に主張する必要がある 10 不当労働行為等の他の労働紛争との差異に関して 公益通報に係る紛争については 労働者の利益のほか 通報に係る法令の遵守が図られることを通じて国民の利益に資するという特徴を有すると考えられる 不正の目的 を理由とした通報は公益通報にあたらず 当該通報に対して懲戒処分等をしたとしても本法に違反することにはならないと考えられる 不利益取扱いを免れることを目的とした通報等の濫用事例については 不正の目的の通報に該当することを逐条解説等で明確化することも考えられる 役員や事業者を不利益取扱いから保護される通報者の範囲に含めるとした場合 これら労働者以外の者が民事訴訟において 不利益取扱いが通報を理由とするか争う場合においても 立証責任を緩和すべきか否かを検討することが必要となる 2. 立証責任を緩和する規定を設けるとした場合の内容について ( 主な意見 ) ア規定の効果に関するもの 立証責任の転換については 事業者側に不利益取扱いが通報とは別の理由に基づくことを証明させるものであり かなり穏当な政策である イ通報と不利益取扱いの期間の考慮に関するもの 通報と不利益取扱いとの蓋然性を一定以上に高めるため 通報から一定期間内 ( 例えば通報から1 年又は2 年以内 ) の不利益取扱いに限定して 立証責任の緩和等を行うのが適当である 人事異動等は数年に一度の頻度でしか行わない事業者も多いことから 通報から1 ~2 年以内の不利益取扱いについてのみ立証責任を緩和しても意味がない ウ対象となる不利益取扱いの種類に関するもの 解雇のように特定の不利益取扱いのみに限定する等 一律ではない慎重な検討を行 うべきである 配置転換については 例えば 労働者の利益のために異動させた方が良い事情があ り 労働者からするとそれが不利益に見えるかもしれないが 事業者側としては本 具体的な事実を指す 9 山口幸雄他 労働事件審理ノート ( 第 3 版 ) 判例タイムズ社 25 頁 10 山口他 前掲 80 頁 5

労働者の利益のために異動させたということもあるため 不利益取扱いであるか否 かの判断が難しい場合もある エ不利益取扱いの兆候の考慮に関するもの 公益通報者を探索し公益通報の撤回を求めるなど 通報者に対する不利益取扱いの準備行為をうかがわせる一定の行為がある場合に 通報者の立証負担の軽減を図る必要がある ( 参考 ) 参考資料 1 1. で例示した裁判例において 不利益取扱いが通報を理由とするか否かを判断するにあたり考慮している事情としては 不利益取扱いの内容 不利益取扱いの必要性 労働者の被る不利益の程度 使用者が通報を知った時期 通報と不利益取扱いとの間の時間的接着性 事業者内部において不利益取扱いの検討を開始した時期 通報者に対する嫌悪の程度等がある 不利益取扱いの理由について立証責任を転換する類例として 男女雇用機会均等法第 9 条第 4 項 11 がある 同規定では 立証責任が転換される場合を 解雇が行われた場合に限定しており 降格や配転等 その他の不利益取扱いが行われた場合を含めていない また 妊娠中及び出産後 1 年以内に解雇が行われた場合に限定している 立証責任の転換を行うにあたり 一定の経験則がみられることが必要であるとした場合 通報を理由に不利益取扱いが行われることは経験則として成り立ちうるのかも論点となり得る 前記のとおり 現状においても 解雇については 事業者側が解雇に相当する理由を主張立証させることが一般的である一方 配転等の人事権の行使については 労働者側の主張立証の負担が重いと考えられることから 立証責任を転換する規定を設け 事業者側が別の不利益取扱いの理由を立証しなければならないとした場合 配転等の人事権の行使を争う上で 労働者側の負担は軽減されると考えられる 以上 11 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 ( 昭和四十七年法律第百十三号 ) 第九条 ( 略 ) 2 ( 略 ) 3 事業主は その雇用する女性労働者が妊娠したこと 出産したこと 労働基準法 ( 昭和二十二年法律第四十九号 ) 第六十五条第一項の規定による休業を請求し 又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として 当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない 4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は 無効とする ただし 事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは この限りでない 6