スマートグリッド実証試験成果 平成 2 9 年 3 月 3 1 日 九州電力株式会社
実証試験の概要 1 太陽光など出力が不安定な再エネが大量に普及した場合においても 高品質 高信頼度の 電力供給が維持できるよう 将来のスマートグリッド構築に向けた技術的な課題解決のため 佐賀県玄海町と鹿児島県薩摩川内市に太陽光発電設備や蓄電池などの試験設備を設置 し 実証試験を実施 1 需給面 о 太陽光の出力推定手法の確立 精度向上 о 蓄電池の基本性能把握 最適制御 配置手法の確立 о 需給調整を単一系統で行う 部分最適化 と 複数系統を協調運用する 全体最適化 の比較 2 電圧面 о 配電線単位の太陽光出力推定 о 電圧制御方式の最適化 電圧調整機器 (SVC SVR) の最適配置 制御手法の確立 新型電圧調整機器の導入効果の検証 3 お客さま面 о 電力の使用状況の 見える化 や 夏季 冬季のピーク時間帯の電力削減量に応じて対価を支払う 料金インセンティブ による電力使用抑制効果の検証 2 ヵ年における電力使用抑制効果の検証 料金インセンティブ単価と抑制効果の関係性の検証
実証試験概略工程 設備概要 2 概略工程 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 工程 ( 実績 ) 社外公表 事前検討 製作 工事 実証試験 (H25~H28) 実証試験設備概要 佐賀県玄海町鹿児島県薩摩川内市 場所町民会館エネルギーパーク薩摩川内試験場 ( 旧寄田中学校跡地 ) 太 陽 光 発 電設 備 蓄電池 ( リチウムイオン ) 167kW 1 1kW 1 4kW 6 25kW 1 4kW 7 1kW/7kWh 1 3kW/1kWh 6 1kW/7kWh 1 3kW/1kWh 6 模擬設備等配電線日射量計 サーバー類模擬配電線路 サーバー類 お 客さ ま モ ニタ ー 宅内計測装置 約 1 世帯 ( 開始当初 ) 電力計測装置見える化端末 ( タブレット ) ホームゲートウェイ等 約 23 世帯 ( 開始当初 ) 電力計測装置見える化端末 ( タブレット ) ホームゲートウェイメータ等
3 スマートグリッド実証試験設備概略図 玄海エネルギーパーク 次世代エネルギーパーク 玄海町町民会館 PV 167kW PV(4kW) 計測 展示用PV 1kW LiB(1kWh) 総合研究所 表示装置 LiB 7kWh 遠隔監視端末装置 通信 サーバ類 PAS (5kW) (3kW) (1kW) 連系点 6セット 当社敷地内 Tr5kVA あすぴあ館 モニター宅内機器 日射計(玄海地区) 電力広域IP ネットワーク 日照計 計測箱 薩摩川内試験場 電力計 測装置 実験棟 1 電柱9本の柱上に日射計を設置 監視端末装置 見える化端末装置 分電盤 ACL メータ 試験フィールド 6.6kV模擬配電設備 エアコン 玄海町 約1世帯 薩摩川内市 約23世帯 一般負荷 高圧系統 低圧系統 ルータ HGW 見える化端末装置 PAS 光ケーブル ShR 模擬 LRT 装置1 装置2 装置3 装置4 センサー SW 計測器 電圧調整機器 実証試験設備の構成要素 可変 PV(4kW) LiB(1kWh) 日照計 気温計 柱上TR PV(4kW) 計測用PV 風向風速計 雲高雲量計 6セット 負荷 XXX.X 負荷 3kW (5kW) (自動タップ切替付) LiB 7kWh PV 25kW 装置1 4 [亘長 2.5km / 5km / 7.5km / 1km相当 SVR 3台 模擬負荷装置 5kW 4セット SVC 2台 :1対1の接続 :1対多の接続可 電線サイズ 4sq / 2sq相当 ]
研究成果 ( 需給面 ) 4 太陽光出力把握 予測 太陽光出力推定手法の確立 8 地点の日射量より九州全体の太陽光出力を推定する手法を考案 月毎の PV 出力換算係数を導出!! 太陽光出力推定精度向上のための対策 日射計の適正配置 PV 出力換算係数の精度向上 地点数を精査し 46 箇所の 月毎に加えて太陽光設備の 日射計データを取込み 規模 毎に換算係数を設定 に出向力け推た定取精り度組向み上 事業用と家庭用とでは パネルの設置角の違い等に伴い 換算係数が異なる ( 計 46 か所 ) 蓄電池の最適制御 蓄電池システムの基本特性把握 試験等によりシステム諸特性 ( 効率特性 応答特性等 ) を把握 ( 例 ) 蓄電池充放電効率特性 充放電の出力帯によって異なる効率特性を把握 蓄電池運用方法の確立 太陽光出力予測を活用した運用例 太陽光出力予測と実績の差を蓄電池充放電により調整 それにより 系統への 予測誤差 の影響 ( 流込み ) を回避 出力予測 出力実績 電力系統への予測誤差の影響を回避 ( 電力系統へ ) 充放電により予測誤差をしわとり 最適制御 配置手法確立 蓄電池容量に対する再エネ連系効果量を導出 再エネ連系に伴う潮流制約や電圧制約を改善する配置手法を確立 需給制御の全体最適化による運用効率の向上 地域単位で蓄電池運用を行うより 複数地域同士で相互協調運用するほうが 効率的な運用が可能 2 箇所の協調運用によって 蓄電池容量を 2 割程度削減可能な見込み 相互協調制御運用
研究成果 ( 電圧面 ) 5 配電線の負荷管理上 太陽光出力推定が必要であるため 推定精度向上に向け以下の 2 手法について検討を実施 配電線単位の太陽光出力推定 現行の推定手法 における精度の分析 日射変動が大きな天候では 配電線エリア内でも地点によって日射量が異なり 推定誤差の要因となる 日射データを用いて 現行太陽光出力推定手法に用いる太陽光発電計測地点数と推定誤差の関係を分析 代表地点の計測値を基に配電線全体の太陽光出力を設備容量比で推定 配電線センサー付開閉器変電所 太陽光発電 計測値 推定未計測分 現行の太陽光出力推定手法 推定誤差 (p.u.).14.12.1.8.6.4.2 1 地点参照時の誤差 :11.7% 3 地点参照時は 1 地点参照時の約半分の誤差 6 地点参照以上は誤差がほとんど変わらない 発電計測地点数に対する出力推定誤差 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112131415161718 発電計測地点数 発電計測地数と出力推定誤差の関係 配電線路計測データを活用した新たな推定手法の適用 配電線路に設置されているセンサー付開閉器の計測値を用い 太陽光出力と実負荷を推定する手法の実用性を検証 計測値配電線センサー付開閉器変電所 太陽光発電 5 4 3 2 1 3: 6: 9: 12: 15: 18: 21: 5 4 3 2 1 負荷 + 太陽光出力 3: 6: 9: 12: 15: 18: 21: 区間ごとでも推定可能 3: 6: 9: 12: 15: 18: 21: 新たな太陽光出力推定手法 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 3: 6: 9: 12: 15: 18: 21: 太陽光出力推定例 推定値実測値 電圧制御方式の最適化 電圧調整機器の最適配置 制御手法の確立 電圧を適正に維持するための効果的な制御機器の整定 配置の考え方を検討し 太陽光導入量に応じた電圧対策を整理 複数の電圧調整機器を同一配電線に設置した場合 動作干渉を起こす恐れがあるため 回避する手法を実証試験やシミュレーションにより確認 相互干渉発生時 12 SVC1 SVC 出力が継続的に振動 8 SVC2 無効電力 (kvar) 4-4 1.. 1.5.5 2. 1. 再現例時間 (s) 制御応答速度を減少 回避策実施時 12 無効電力 (kvar) 8 4 静止型無効電力補償装置 (SVC) 相互干渉シミュレーション例 SVC1 SVC2 SVC 出力が安定 -4 2.. 2.5.5 3. 1. 回避事例時間 (s)
研究成果 ( お客さま面 ) 6 一般家庭 ( 約 3 世帯 ) をモニターとして 電力使用量の見える化 料金インセンティフ による電力使用抑制効果について検証 見える化 料金インセンティブによる節電効果検証 モニターク ルーフ 検証結果 ( 電力使用抑制効果 ) 見える化による効果 : 1~3% 見える化 + インセンティフ による効果 : 2~8% 2 年目は 抑制効果が低下する傾向 料金インセンティフ 単価を変動 (5 1 15 円 /kwh) させても抑制効果の向上は殆んど確認されず モニターに対する料金インセンティフ 適用の通知方法 需給が逼迫しそうな日 ( 適用日 ) の前日に 見える化 端末上へ適用予告メッセーシ を配信 (5 日程度 / 月 ) 見える化 適用区分 A(122 世帯 ) 見える化 インセンティフ ともなし B( 89 世帯 ) 見える化 C(121 世帯 ) 見える化 + インセンティフ [ 見える化端末 ] 多数のモニターが 電気の使い方を確認できた と 見える化の仕組みを評価 一般家庭内の機器 部屋毎の電力使用実態およびモニターの省エネ意識 行動変化を把握 ピーク時間帯 (13~16 時 ) の電力消費量 [kwh/ モニター ] [ 料金インセンティブ方式イメージ ] 適用対象 : グループ C ベースライン 8 月 27 日 8 月 28 日 8 月 29 日 ( 注 ) ベースラインを上回ってもペナルティは適用されない 見える化端末による提供内容や提供媒体に関するニーズ ( 省エネコンサルなどに有用な情報 ) を取得 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1. 夏季 ピ使ー用ク電時力間量帯の 3% 5% 2% 3% 見イ見えンえるセる化ン化テ + ィブ A B C A B C H26(1 年目 ) H27(2 年目 ) 適用日 ピーク時間帯 (17~2 時 ) の電力消費量 [kwh/ モニター ] 2.7 2.6 2.5 2.4 2.3 2.2 2.1 削減量に応じてリベート ( インセンティブ料金 ) を支払い 3% 8% 冬季 1% 2% A B C A B C H26(1 年目 ) H27(2 年目 ) 料金インセンティブ 見える化のみ以上の抑制効果が得られたものの 2 年目は意識低下などにより効果維持が困難であることを確認 インセンティフ 単価を変動させても モニターの省エネ行動に殆んど変化は認められず 料金インセンティフ 方式に対するモニターの意識 行動変化など電気使用に関するコンサルに有用な情報を取得