国民経済計算の平成23年基準改定に向けて

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第6章 海外勘定の推計

参考図表:2018年第2四半期の資金循環(速報)

GDP( 国内総生産 ( 支出側 )) については FISIMを除いた計数を参考表章する また FISIMの導入に伴い 国民経済計算における財産所得 ( 利子の受取 支払 ) の概念が変更となる 従前の受取 支払の利子総額には金融仲介サービスの対価が反映されていることから それぞれについてFISIM

「平成27年度国民経済計算年次推計」利用上の注意

年金給付 6 社会扶助給付 7 社会保障負担といった表現が使われ 脚注にあるようにそれぞれに定義が定められている したがって その定義を満たさなければ 社会保障費用統計では社会保障として扱われる項目であっても SNA では社会保障として扱われないことになる 一方 社会保障費用統計の財源として社会保障

第1章 経済動態

季刊国民経済計算

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第9回資料2

図 4-1 総額 と 純計 の違い ( 平成 30 年度当初予算 ) 総額ベース で見た場合 純計ベース で見た場合 国の財政 兆円兆 国の財政 兆円兆 A 特会 A 特会 一般会計 B 特会 X 勘定 Y 勘定 一般会計 B 特会 X 勘定 Y 勘定

第4章 一般政府及び対家計民間非営利団体関連項目の推計

平成 23 年北海道産業連関表について 北海道開発局 1 北海道産業連関表作成の趣旨 北海道開発局では 北海道の経済 社会動向を的確に把握し 北海道総合開発計画を立案 推進するための基礎資料として 昭和 30 年表からおおむね 5 年ごとに 北海道産業連関表 を作成しています なお 北海道産業連関表

一般会計 特別会計を含めた国全体の財政規模 (1) 国全体の財政規模の様々な見方国の会計には 一般会計と特別会計がありますが これらの会計は相互に完全に独立しているわけではなく 一般会計から特別会計へ財源が繰り入れられているなど その歳出と歳入の多くが重複して計上されています また 各特別会計それぞ

利用上の注意

主な用語の解説 (50 音順 ) い一般政府県民経済計算では 政府を財貨 サービスの非市場生産者としてとらえている 具体的には 国出先機関 県 市町村 社会保障基金で構成される ( 公的企業として他部門に含まれるものを除く ) なお 一般政府は 通常の経済活動では供給されないような無償あるいはコスト

時系列表1

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平成 30 年 4 月 10 日公表平成 28 年 農業 食料関連産業の経済計算 ( 概算 ) - 農業 食料関連産業の国内生産額は 兆円で全経済活動の約 1 割 - 統計結果 1 農業 食料関連産業の国内生産額平成 28 年における農業 食料関連産業の国内生産額は 115 兆 9,63

Ⅰ 平成 24 年度高鍋町財務書類の公表について 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示された 基準モデル

2018年4-6月期2次速報値 時系列表1

計算書類等

1 制度の概要 (1) 金融機関の破綻処理に係る施策の実施体制金融庁は 預金保険法 ( 昭和 46 年法律第 34 号 以下 法 という ) 等の規定に基づき 金融機関の破綻処理等のための施策を 預金保険機構及び株式会社整理回収機構 ( 以下 整理回収機構 という ) を通じて実施してきている (2

平成28年度国民経済計算 年次推計 (支出側系列等)

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

資金循環統計の改定値の公表について

県民経済計算に係る主な用語の解説 あ 営業余剰 混合所得生産活動により産み出された付加価値のうち 市場生産者 ( 企業等 ) の生産活動の貢献分であり 市場生産者の所得となります このうち 営業余剰は企業会計上の営業利益に近い概念です 混合所得は家計のうちの個人企業の取り分であり 事業主や家族労働者

イクル成分 のみから 需要側の動きの 仮置き値 の作成を行う これにより 次 QE から 2 次 QE への改定幅を縮小させることが期待される 本改善策は 22 年 4-6 月期 次 QE から導入する 本改善策の効果について 一定の仮定をおいて試算を行ったところ 民間企業設備の 2 年 7-9 月

が 93SNAではFISIM( 間接的に計測される金融仲介サービス ) として通常の財貨 サービスの一つに位置づけられました 金融機関の中には 借り手と貸し手に対して異なる利子率を課したり 支払ったりすることにより 明示的には料金を課さずにサービスを提供することができるものがあります このサービスの

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格納階層一覧(うち資金循環)

科目当年度前年度増減 [ 負債の部 ] 流動負債未払金 3,44,15,654 3,486,316,11-46,3,357 給付金未払金 3,137,757,265 3,192,611,196-54,853,931 年金未払金 287,13, ,91,778 7,228,646 その他未


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平成 28 年 3 月 25 日公表平成 25 年度 農業 食料関連産業の経済計算 - 農業 食料関連産業の国内生産額は 97.6 兆円で全経済活動の約 1 割 - 統計結果の概要 1 農業 食料関連産業の国内生産額平成 25 年度における農業 食料関連産業の国内生産額は 97 兆 5,777 億円

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なお 民間企業においても 地域の購買力調査の資料として また 事業所の立地計画 など経営施策の資料としても有効に活用されています (3) 市町村民所得推計上の問題点市町村民所得は 市町村ごとの経済活動を明らかにすることを目的としています 所得統計は 数多くの一次統計資料を利用し 所得概念に従ってその

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第 2 部統計表 第 1 章 市町村内総生産 実 数 ( 平成 18 年度 ~ 平成 27 年度 ) 対前年度増加率 構 成 比 寄 与 度 対県構成比 206 第 2 章 市町村民所得 実 数 ( 平成 18 年度 ~ 平成

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結果の概要1

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財務諸表に対する注記

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おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金

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Ⅱ 国際収支とグローバルインバランス

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スライド 1

1. 国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 抜粋 翻訳 ) 国際財務報告基準に準拠した財務諸表の作成方法について当行の国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 以下 IFRS 財務諸表 という ) は 平成 27 年 3 月末時点で国際会計基準審議会 (IAS B) が公表している基準及び解釈指針に

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

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財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

平成 21 年経済センサス 基礎調査確報集計結果 (2) 産業分類別 - 従業者数 ( 単位 : 人 %) 北海道 全国 従業者数従業者数 (*2 (*2 A~S 全産業 A~R 全産業 (S 公務を除く )

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新しい地方公会計制度 これまで南阿蘇村では 総務省方式改訂モデル ( 以後 改訂モデルと言います ) の財務書類を作成してきました 南阿蘇村がこれまで積み上げてきた資産と この先返済する必要がある負債 すでに支払いが終わっている純資産などの情報を表示した貸借対照表など 今までの決算書では把握できなか

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目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

結果の概要

平成 26 年度 佐賀市財務諸類の公表について Ⅰ 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示された 基準モデ

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我が国中小企業の課題と対応策

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法人単位貸借対照表 平成 29 年 3 月 31 日現在 第三号第一様式 ( 第二十七条第四項関係 ) 法人名 : 社会福祉法人水巻みなみ保育所 資産の部当年度末前年度末 増減 負債の部当年度末前年度末 流動資産 23,113,482 23,430, ,370 流動負債 5,252,27

第 47 期末貸借対照表 2019 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 9,306,841 流 動 負 債 2,136,829 現 金 及 び 預 金 8,614,645 未 払 金 808,785 立 替

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科目印収納科目一覧

2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する

源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 ( 英語版 ) 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 平成 年分公的年金等の源泉徴収票合計表 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 )( 平成 28 年 1 月 1 日以後提出

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経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

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第7章 国内総生産(支出側)の推計

最上町バランスシートを読むにあたって

平成 25 年度 佐賀市財務諸類の公表公表についてについて Ⅰ 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示され

2 事業活動収支計算書 ( 旧消費収支計算書 ) 関係 (1) 従前の 消費収支計算書 の名称が 事業活動収支計算書 に変更され 収支を経常的収支及び臨時的収支に区分して それぞれの収支状況を把握できるようになりました 第 15 条関係 別添資料 p2 9 41~46 82 参照 消費収入 消費支出

計 算 書 類

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

Transcription:

国民経済計算の平成 23 年基準改定に向けて 平成 28 年 9 月 15 日経済社会総合研究所国民経済計算部 1

目 次 総論 2008SNAへの主な対応 ( 各論 ) その他の主な変更 ( 各論 ) 1. 国民経済計算の 基準改定 とは 3P 2. 平成 23 年基準改定の内容 4P 3.2008SNAの概要 5P 4. 我が国における2008SNA 対応の経緯 6P 5. 平成 23 年基準の推計結果公表スケジュール 7P 6. 平成 23 年基準改定による名目 GDP 水準への影響 8P 1. 研究 開発 (R&D) の資本化 11P 2. 特許等サービスの扱いの変更 13P 3. 防衛装備品の資本化 14P 4. 所有権移転費用の取扱い精緻化 15P 5. 中央銀行の産出額の明確化 15P 6. 雇用者ストックオプションの記録 16P 7. 定型保証の取扱いの精緻化 16P 8. 企業年金の年金受給権の記録の改善 17P 9. 一般政府と公的企業の間の例外的支払 18P 10. 国際収支統計との整合等 19P 1. 国際比較可能性を踏まえた経済活動別分類の変更 21P 2. 概念 定義等の変更 22P 3. 各種基礎統計の反映 22P 4. 各種推計手法の見直し 23P 2

1. 国民経済計算の 基準改定 とは 1 産業連関表 国勢統計 住宅 土地統計 など経済 社会の構造を把握するため約 5 年ごとに作成される大規模かつ詳細な基礎統計の最新版を取り込み 過去の計数を再推計する作業 約 5 年ごとに実施 2 反映する 産業連関表 の対象年を 基準年 とし 名目値 = 実質値 ( デフレーター =100) の年とする 3 基準改定時には 各種の概念 定義の変更や推計手法の見直しも併せて実施 前回の基準改定は平成 23 年度に実施した 平成 17 年基準改定 当時最新の 平成 17 年産業連関表 等を取り込むとともに 自社開発ソフトウェアの資本化や FISIM( 間接的に計測される金融仲介サービス ) の導入 固定資産 固定資本減耗の推計手法の抜本的見直し等も実施 3

2. 平成 23 年基準改定の内容 本年末に 最新の基準改定となる 平成 23 年基準改定 を実施 1 最新の 平成 23 年産業連関表 ( 平成 27 年 6 月に確報公表 ) 等を取り込み 基準年を現行の平成 17(2005) 年から平成 23(2011) 年に変更 2 加えて 国際連合で加盟国合意の下採択された国民経済計算の最新の国際基準である 2008SNA ( 研究 開発の資本化等 ) に対応 * 統計法 ( 平成 19 年法律第 53 号 ) 第 6 条では 国民経済計算について 国際連合の定める国際基準に準拠するものと規定されている ** 現行の国際基準である 1993SNA には 平成 12(2000) 年に実施された 平成 7 年基準改定 で対応 3 また 各種の概念 定義の変更や推計手法の見直し等も実施 経済活動別分類の国際比較可能性の向上 供給 使用表の枠組みを活用した推計精度の向上 建設部門の産出額の推計手法の見直し 4 平成 6(1994) 年に遡って 20 年超の系列を再推計 公表 * 通常の基準改定時には 一般的に過去 10 年程度を遡及 等 4

3.2008SNA の概要 前身の 1993SNA をベースに それ以降の経済 金融環境の変化に対応 (4 分野に集約 ) 1 非金融 ( 実物 ) 資産の範囲の拡張等 2 金融資産 負債のより精緻な記録 研究 開発 (R&D) の資本化 ( 11~13P) 防衛装備品の資本化 ( 14P) 所有権移転費用の取扱い精緻化 ( 15P) 等 雇用者ストックオプションの記録 ( 16P) 企業年金受給権の記録の改善 ( 17P) 定型保証の取扱いの精緻化 ( 16P) 等 3 一般政府や公的企業の取扱精緻化 一般政府と公的企業間の例外的支払の取扱の精緻化 ( 18P) 中央銀行の産出の明確化 ( 15P) 等 4 国際収支統計との整合 財貨の輸出 輸入における所有権移転原則の徹底 ( 19P) ( 加工用財貨 仲介貿易の記録 ) 等 ( ) 主な内容を掲載 なお 2008SNA には 一般政府や公的企業の取扱精緻化 に関連して 政府諸機関の一般政府や公的企業への分類基準の明確化が盛り込まれているが 我が国では平成 17 年基準改定において既に実施済 5

4. 我が国における 2008SNA 対応の経緯 年月経緯関連基礎統計の 2008SNA 対応 平成 23 年 3 月 平成 23 年 12 月 公的統計の整備に関する基本的な計画 ( 第 I 期 ) ( 統計委員会の諮問 答申を経て平成 21 年 3 月閣議決定 ) を踏まえ 内閣府の工程表 ( ) の中で平成 17 年基準改定の次の基準改定で対応する方針を公表 ( 国民経済計算の 平成 17 年基準改定 実施 ) 平成 24 年 4 月 ~ 内閣府経済社会総合研究所における検討 平成 25 年 3 月 平成 26 年 3 月 9 月 平成 27 年 3 月 12 月 平成 28 年 3 月 国民経済計算次回基準改定に関する研究会 を通じた具体的な方針の検討 (~ 平成 26 年 7 月 ) 公的統計の整備に関する基本的な計画( 第 II 期 ) ( 統計委員会の諮問 答申を経て平成 26 年 3 月に閣議決定 ) において基準改定を行う平成 28 年度中に2008SNAに対応する方針が決定統計委員会に 国民経済計算の作成基準の変更 諮問 統計委員会国民経済計算部会における審議 統計委員会より 国民経済計算の作成基準の変更 答申 次回基準改定及び2008SNAへの対応に向けた今後の予定等 を公表 12 月国民経済計算の 平成 23 年基準改定 実施予定 内閣府 基本計画の工程表及びプロジェクトチームの基本的考え方 国際収支統計 ( 財務省 日本銀行 ) において 2008SNA と整合的な国際基準 (BPM6) に準拠 資金循環統計 ( 日本銀行 ) において 2008SNA に対応した見直し実施 6

5. 平成 23 年基準の推計結果公表スケジュール 四半期速報 年次推計 公表物時期内容 平成 28 年 7-9 月期 GDP2 次速報値 平成 27 年度年次推計フロー編 ( 支出系列 ) 同フロー編 ( 生産 分配系列等 ) 平成 28 年 12 月 8 日 平成 28 年 12 月下旬 GDP( 支出側 ) や内訳項目 雇用者報酬等 国民所得 貯蓄 純貸出 / 純借入 プライマリーバランス等 一部のストック系列を含む 同ストック編 平成 29 年 1 月中旬 固定資産残高 正味資産 ( 国富 ) キャピタルゲイン ロス等 一部のフロー系列を含む なお 以上の推計結果公表に先立ち 平成 28 年 11 月中に 統計法に基づく 国民経済計算の作成基準 ( 平成 27 年 3 月統計委員会答申 ) の告示のほか 国民経済計算の作成方法 平成 27 年度国民経済計算年次推計利用上の注意 等の公表を予定 7

6. 平成 23 年基準改定による名目 GDP 水準への影響 (1) ~ 基準年 ( 平成 23(2011) 暦年 )~ 全体 19.8 兆円 4.2% うち 2008SNA 対応 19.6 兆円 4.2% 研究 開発 (R&D) の資本化 16.6 兆円 3.5% 金額 ( 注 1) 改定前 GDP 比 ( 注 2) 影響する主な需要項目 民間企業設備公的固定資本形成 特許等サービスの扱い変更 1.4 兆円 0.3% 財貨 サービスの純輸出 防衛装備品の資本化 0.6 兆円 0.1% 公的固定資本形成 所有権移転費用の扱い精緻化 0.9 兆円 0.2% 民間住宅 中央銀行の産出額の明確化 0.2 兆円 0.0% 政府最終消費支出 うちその他 0.2 兆円 0.0% 各項目 ( 注 1) 現時点の暫定値であり 本年末の基準改定公表までに変更がありうる また あくまで平成 23 年への影響であり 影響 要因は年によって異なる ( 注 2) 支出側の名目 GDP として評価 つまり 改定前 GDP は 平成 17 年基準における平成 23(2011) 暦年の名目 GDP( 支出側 ) 8

6. 平成 23 年基準改定による名目 GDP 水準への影響 (2) ~ 基準年 ( 平成 23(2011) 暦年 )~ 改定前 (17 年基準 ) 改定後 (23 年基準 )( 注 1) 改定差 ( 注 1) 改定前 GDP 比 ( 寄与度 ) 国内総生産 (GDP) 471.6 兆円 491.4 兆円 19.8 兆円 4.2% 民間最終消費支出 284.2 兆円 286.3 兆円 2.0 兆円 0.4% 民間住宅 13.4 兆円 14.3 兆円 0.9 兆円 0.2% 民間企業設備 63.1 兆円 69.4 兆円 6.3 兆円 1.3% 民間在庫変動 -1.9 兆円 1.0 兆円 2.9 兆円 0.6% 政府最終消費支出 96.1 兆円 99.2 兆円 3.1 兆円 0.7% 公的固定資本形成 20.5 兆円 23.9 兆円 3.4 兆円 0.7% 公的在庫変動 0.0 兆円 0.0 兆円 -0.0 兆円 -0.0% 財貨 サービスの純輸出 -4.0 兆円 -2.7 兆円 1.3 兆円 0.3% ( 再掲 ) 総固定資本形成 ( 注 2) 97.1 兆円 107.6 兆円 10.5 兆円 2.2% ( 注 1) 現時点の暫定値であり 本年末の基準改定公表までに変更がありうる また あくまで平成 23 年への影響であり 影響は年によって異なる ( 注 2) 総固定資本形成は 民間住宅 民間企業設備 公的固定資本形成の合計 9

2008SNA への主な対応 ( 各論 ) 10

1. 研究 開発 (R&D) の資本化 (1) 2008SNA における位置づけ R&D は 知識ストックを増加させ それを活用して新たな応用を生むような創造的活動 R&D への支出 ( フロー ) について 原則として 1993SNA のように中間消費でなく 総固定資本形成に記録 その蓄積の結果であるストックは固定資産 ( 内訳としては知的財産生産物 ) として記録 特許実体は 固定資産としての R&D に内包される扱い (1993SNA では無形非生産資産 ) 市場生産者 研究機関 企業内研究開発 非市場生産者 ( 大学 国立研究開発法人等 ) 平成 17 年基準 (1993SNA 準拠 ) R&D 産出額を記録主な需要先は中間消費 R&D 産出額を記録せず (R&D の費用は各種生産費用に内包 ) 費用積上げで計測する全体の産出額に内包主な需要先は最終消費支出 ( 政府最終消費支出等 ) 平成 23 年基準 (2008SNA 準拠 ) R&D 産出額を記録主な需要先は総固定資本形成 R&D 産出額を記録主な需要先は総固定資本形成 R&D 産出額を明示的に記録 主な需要先は総固定資本形成 GDP 水準への影響 総固定資本形成が増加 GDP 水準への影響 R&D の支出分 政府 / 対家計非営利団体最終消費支出から 総固定資本形成へ振替 新たに計上される R&D の固定資産から発生する減耗分 政府 / 対家計民間非営利団体最終消費支出が増加 ( ) ( ) 非市場生産者の産出額は生産費用の合計により計測されるため 新たに固定資産に計上される R&D から発生する減耗についても生産費用を構成し 産出額に反映される 11

1. 研究 開発 (R&D) の資本化 (2) R&D 産出額 総固定資本形成 (R&D の産出額 ) 国際的なガイドラインに準拠した 科学技術研究統計 (SRD) 等を使用して 2008SNA や諸外国の取扱いを踏まえ R&D に要した費用の合計により推計 産出額 = 中間投入 + 雇用者報酬 ( )+ 固定資本減耗 + 生産 輸入品に課される税 - 補助金 + 固定資本収益 ( 純 )( ) (R&D の総固定資本形成 ) 総固定資本形成 =R&D の産出額 + 研究開発サービスの純輸入 ( ) 支出項目としては 民間企業設備 ( 民間企業 対家計民間非営利団体分 ) や公的固定資本形成 ( 公的企業 一般政府分 ) に記録 2008SNA や諸外国の取扱いを踏まえ R&D への支出は全て総固定資本形成として扱う 償却率 デフレーター ( 償却率 ) R&D の固定資産や減耗の計測にあたり 他の固定資産と同様 定率法の下 恒久棚卸法 (PIM) により推計 その際 償却率には 国際的にも一般的な平均使用年数 10 年を想定して設定 大宗を占める製造業は 生産技術 知識に関する陳腐化のスピードを考慮して 産業毎に設定 ( 平均使用年数として 9~15 年 ) ( デフレーター ) 投入コスト型により推計 ( 諸外国と同様 ) 備考 ( ) 大学等は 科学技術研究統計 の人件費に教育分が含まれるため別途研究専従分を推計 ( ) 固定資本収益 ( 純 ) は非市場生産者分には加算されない ( ) 国際収支統計 の 研究開発サービス の支払 - 受取 12

2. 特許等サービスの扱いの変更 2008SNA における位置づけ 特許実体は 固定資産としての R&D に内包される扱い (1993SNA では無形非生産資産 ) 特許実体がライセンス下で使用が許諾される場合のライセンシーからライセンサーへの使用料の支払いについて支払形態等に応じて サービスの支払 ( 中間消費 ) または資産取得 ( 総固定資本形成 ) に対する支払として記録 知識ストック増大 知識ストック蓄積 固定資産としての R&D の蓄積 R&D 活動における特許実体や使用料の位置づけ R&Dの実施 R&D 活動から生産される知的財 R&Dの平成 17 年基準平成 23 年基準産生産物 (R&D) の産出を記録純輸入 R&D 資本化に伴い 特許特許 R&Dとともに特許実体 R&D 産出額の需要先として実体を固定資産 (R&D) 実体は 固定資産の対象外総固定資本形成に計上に含めて記録 特許実体を含む 特許等サービスの産出 特許権使用料 財産所得として記録 ( 生産の境界外 ) 特許等サービスという財貨 サービスの産出とそれに対する支払として記録 ( 生産の境界内 ) 知識ストック活用 財貨 サービスの生産活動に貢献 R&D 資産からの固定資本減耗発生 特許等サービスの純輸出分 ( 国際収支統計 の産業財産権等使用料 の受取 - 支払 ) が GDP 水準の増加要因 国内の需要先はすべて中間消費と整理 13

3. 防衛装備品の資本化 2008SNA における位置づけ 政府による戦車や艦艇等の購入は 防衛サービスの生産に継続して使用されるものとして 1993SNA のように中間消費でなく 総固定資本形成として記録し その蓄積を固定資産として記録 また 一回限り使用される弾薬等の増減分を中間消費でなく在庫変動に またその蓄積を在庫として記録 考え方 知識ストック大 記録方法 平成 17 年基準 政府のサービス生産に継続して使用されない ( 一年内で費消 ) 防衛装備品への支出 ( フロー ) はいずれも中間消費として記録 ストック ( 資産 ) は記録せず 平成 23 年基準 政府の防衛サービスの生産に一年を超えて継続して使用される 戦車 艦艇等への支出 ( フロー ) は総固定資本形成 ストックでは固定資産 ( 防衛装備品 ) として記録 弾薬類の増減 ( フロー ) は在庫変動 ストックでは在庫資産として記録 知識ストック ( 注 ) 防衛費の大宗を占める人件費や糧食費 油購入費等は資本化の対象外活用 防衛装備品のフロー ( 産出や需要 ) については 防衛省の決算書類や製造業関連の各種基礎統計をもとに推計 固定資産や固定資本減耗推計に際しての償却率は防衛省資料等をもとに種類ごとに設定 ( 平均使用年数に換算して 15~35 年 ) GDP 水準への影響 戦車 艦艇等の購入分 政府の中間消費が減少し 政府最終消費支出が減少するとともに 公的固定資本形成が増加 ( 支出項目の振替 ) 新たに計上される防衛装備品の固定資産から発生する減耗分 政府最終消費支出が増加 なお 在庫計上分は 在庫変動と政府最終消費支出の振替のみ (GDP 水準への影響なし ) 14

4. 所有権移転費用の取扱い精緻化 5. 中央銀行の産出額の明確化 2008SNA における位置づけ 資産の取得や処分に係る所有権移転費用について その発生時に総固定資本形成として記録 これに係る固定資本減耗について 原則 対象となる資産の取得後 取得者が当該資産を保有すると予想される期間をかけて記録 2008SNA における位置づけ 中央銀行の産出を 金融仲介 ( 市場生産 ) 金融政策サービス ( 非市場生産 ) その他 ( 市場または非市場生産 ) に分け 非市場生産分は生産費用の合計で計測 非市場産出分は 一般政府の最終消費に記録し 同額を中央銀行 ( 金融機関 ) から政府への経常移転に記録 平成 17 年基準 平成 23 年基準 平成 17 年基準 平成 23 年基準 設備等に係る商業 輸送費等は総固定資本形成に記録知識ストック大 対象となる資産と一体化して 資産の平均使用年数で減耗を記録 新たに 住宅 宅地の売買に係る不動産仲介手数料を所有権移転費用として総固定資本形成に記録 住宅資産の一所有者あたりの平均的な保有期間で減耗を記録 中央銀行の産出額は 生産費用の合計として計測 産出額から各種受入手数料を控除した残りについて 金融機関が中間消費するものと扱う 中央銀行の産出額は 生産費用の合計として計測 産出額から各種受取手数料を控除した残りについて 一般政府の最終消費支出に記録 同額を中央銀行から一般政府への経常移転に記録 不動産仲介手数料分の総固定資本形成知識ストック ( 住宅投資 ) が活用 GDP 水準の増加要因 生産費用から受取手数料を控除した非市場産出分について 政府最終消費支出を通じて GDP 水準の増加要因 15

6. 雇用者ストックオプションの記録 7. 定型保証の取扱いの精緻化 2008SNA における位置づけ 企業が役職員に付与する株式の購入権 権利付与から権利確定時点までの期間にはその価値を雇用者報酬 ( 賃金 俸給 ) 及び家計の金融資産に記録 権利確定から権利行使時点までの期間には 金融派生商品 雇用者ストックオプション という金融資産に振替 2008SNA における位置づけ 保証のうち 定型化された小口の保証 ( 定型保証 ) については 新たに非生命保険と同様に産出額や経常取引 金融資産 負債の取引 残高を記録 金融資産 負債の 保険 年金 定型保証 の内訳として 定型保証支払引当金 を新設 権利付与行使待ち期間知識ストック大権利確定 行使可能期間 権利行使 金融資産の取引等 その他の金融資産 金融派生商品 雇用者ストックオプション 非金融面 雇用者報酬 行使待ち期間 + 行使可能期間の残高は 0.4 兆円程度 持分 権利行使期限知識ストック ( ) 家計部門から見た場合 雇主企業にとっては負債を記録活用 ( 出所 ) 日本銀行 ( 定型保証として計上する範囲 ) 住宅ローン保証 信用保証制度等 ( 定型保証支払引当金の新設 ) 定型保証支払引当金 として 債務肩代わりに対応するための引当金 + 未経過保証料を 定型保証機関の負債 債務者 ( 保証対象ローン借り手 ) の資産に記録 定型保証支払引当金の残高は 2.5 兆円程度 (2008SNA 対応後の 資金循環統計 ( 日本銀行 ) より ) 16

8. 企業年金の年金受給権の記録の改善 2008SNA における位置づけ 雇用関係をベースとする社会保険に係る金融資産 負債や関連する取引の記録に発生主義の考え方を貫徹 確定給付型の企業年金等について 年金受給権 残高は 企業が家計に約束した将来給付額の割引現在価値を記録 ( 家計の資産 年金基金の負債 ) 積立不足分 ( 運用者である年金基金 ( 金融機関 ) の運用資産と年金受給権 ( 負債 ) の差 ) は 年金基金の対年金責任者債権 ( 年金基金の資産 雇主企業の負債 ) に記録 年金受給権 のフロー = 社会負担 - 社会給付 うち 雇主の社会負担 は 実際の掛金支払でなく 一年間の勤務に対する対価として発生した受給権の増分 家計の追加社会負担 ( 財産所得 年金受給権に係る投資所得 を迂回計上 ) は 実際の運用収益ではなく 前期末の受給権残高に割引率を乗じた概念上の利子額を それぞれ記録 ( 雇用関係をベースとする確定給付型の制度の範囲 ) 退職給付会計基準 の対象となる企業年金( 確定給付企業知識ストック年金 厚生年金基金 ) と退職一時金大 ( 関連項目の計上方法の変更 ) 年金受給権 残高は 現行でも上場企業中心に発生主義により記録しているが 23 年基準では これを一国ベースで記録 積立不足分を 年金基金の対年金責任者債権 として明示的に記録 ( 現行は上場企業中心に 未収金 未払金等 に記録 ) 雇主の社会負担 は 実際の掛金でなく企業会計の 勤務費知識ストック用 を 家計の追加社会負担 は 実際の運用収益ではなく活用企業会計の 利息費用 をもとにそれぞれ推計 家計の金融資産や雇用者報酬等に影響 確定給付型の年金受給権等の推移 ( 年度末 ) ( 兆円 ) 150 130 100 年金基金の対年金責任者年金受給権 50 25 0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ( 出所 )2008SNA 対応後の 資金循環統計 ( 日本銀行 ) より 17

9. 一般政府と公的企業の間の例外的支払 2008SNA における位置づけ 公的企業から一般政府への例外的な支払 ( 高額で不定期な支払 ) は 支払側 ( 公的企業 ) の蓄積された準備金または資産の売却によってなされる場合は 金融取引である 持分 の引出しとして記録 一般政府から公的企業への例外的支払については 1 公共政策の目的の結果として発生した累積損失を賄うものは非金融取引の 資本移転 2 財産所得としての確実な収益期待がある場合は金融取引である 持分 の追加として記録 ( 例外的支払の範囲 ) 特別な立法措置がとられるものと定義 うち公的企業から一般政府への支払については 支払の原資が資産の売却や積立金の取崩しであるもの ( 例外的支払の記録方法の変更 ) 現行では 公的企業から一般政府への例外的支払は 資本移転 として記録しているが 平成 23 年基準では 一般政府による持分の引出し ( 減少 ) と 見合いの現金 預金の増加として記録 一般政府から公的企業への支払で扱いに変更があるものはない これにより 国民経済計算上の一般政府のプライマリーバランスに影響 ( ただし 政策運営上のプライマリーバランスではこうした特殊要因の大半は控除されている ) 純貸出 (+)/ 純借入 (-) の推計において扱いを変更する公的企業から一般政府への例外的支払年度資金の流れ根拠法金額 1998~ 2002 郵便貯金特別会計 一般会計 一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律 各年 0.2 兆円 財政投融資特別会計 国債整理基 2006 12 兆円金特別会計 2007 日本郵政公社 一般会計日本郵政公社法 ( 公社解散時の規定 ) 約 1 兆円財政運営のための財政投融資特別財政投融資特別会計計約 11.3 2008 会計からの繰入れの特例に関する 一般会計 国債整理基金特別会計兆円法律等 2009 財政投融資特別会計 一般会計 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律 約 7.3 兆円 2010 財政投融資特別会計 一般会計同上約 4.8 兆円財政投融資特別会計 一般会計東日本大震災に対処するために必約 1.1 兆円 2011 ( 独 ) 鉄道建設 運輸施設整備支援要な財源の確保を図るための特別約 1.2 兆円機構 一般会計措置に関する法律 18

10. 国際収支統計との整合等 2008SNA における位置づけ 国際収支マニュアル第 6 版 (BPM6) と整合的に 財貨の輸出入を所有権移転ベースで記録するという原則を徹底 仲介貿易 ( 居住者が 非居住者から財貨を購入し 自国に財貨を入れることなく 非居住者に転売 ): 購入を財貨の負の輸出 売却を正の輸出に記録 加工用財貨 ( 所有権が加工依頼国に残り 加工請負国に移転されない場合 ): 請負国が依頼国から受け取る加工賃をサービスとして記録 ( 仲介貿易 ) GDP( 支出側 ) の財貨 サービスの輸出入について 現行では売買差額分を サービス の輸出に記録しているが 平成 23 年基準では 財貨 の輸出として記録 ( 加工用財貨 ) GDP( 支出側 ) の財貨 サービスの輸出入について 現行では加工前後の財貨の往来を 財貨 の輸出入としているが 平成 23 年基準では 加工賃の受払を サービス の輸出入に記録 B 国財貨の販売国 A 国の財貨の負の輸出 80 平成 17 年基準 平成 23 年基準 資本サービス量の計測 A 国仲介国 サービスの輸出 20 C 国財貨の購入国 A 国の財貨の正の輸出 100 A が B から 80 で購入して C に 100 で売却するケース A 国加工の依頼国 ( 財貨の所有国 ) 財貨 100 財貨 160 サービス 60 B 国加工の請負国 A が B に加工前財貨を 100 で送付し B が A に加工後財貨として 160 で送付するケース 2008SNA では 市場生産者について 資本サービス量 ( 生産に使用される固定資産等の各期における生産への貢献 ( フロー )) を計測するよう推奨 基準改定後できるだけ速やかに一国の市場生産者分の資本サービス量の公表を検討 19

その他の主な変更 ( 各論 ) 20

1. 国際比較可能性を踏まえた経済活動別分類の変更 生産側 GDP を計測するための 経済活動別分類 について 国際比較可能性を向上させる観点から 国際標準産業分類 (ISIC Rev.4) とできる限り整合的となるよう見直し これにより 従前の 産業 政府サービス生産者 対家計民間非営利サービス生産者 の区分 (1968SNA の区分 ) を取り止めるとともに サービス業が細分化 平成 17 年基準平成 23 年基準 ( 参考 )ISIC Rev.4 大分類 1. 産業 1. 農林水産業 A. 農林漁業 (1) 農林水産業 2. 鉱業 B. 鉱業及び採石業 (2) 鉱業 3. 製造業 C. 製造業 (3) 製造業 D. 電気 ガス 蒸気及び空調供給業 (4) 建設業 4. 電気 ガス 水道 廃棄物処理業 E. 水供給業 下水処理 廃棄物処理及び浄化活動 (5) 電気 ガス 水道業 5. 建設業 F. 建設業 (6) 卸売 小売業 6. 卸売 小売業 G. 卸売 小売業 ; 自動車 オートバイ修理業 (7) 金融 保険業 7. 運輸 郵便業 H. 運輸 保管業 (8) 不動産業 8. 宿泊 飲食サービス業 I. 宿泊 飲食業 (9) 運輸業 9. 情報通信業 J. 情報通信業 (10) 情報通信業 10. 金融 保険業 K. 金融 保険業 (11) サービス業 11. 不動産業 12. 専門 科学技術 業務支援 L. 不動産業 M. 専門 科学及び技術サービス業 2. 政府サービス生産者 サービス業 N. 管理 支援サービス業 (1) 電気 ガス 水道業 13. 公務 O. 公務及び国防 強制社会保障事業 (2) サービス業 14. 教育 P. 教育 (3) 公務 15. 保健衛生 社会事業 Q. 保健衛生及び社会事業 3. 対家計民間非営利サーヒ ス生産者 R. 芸術 娯楽 レクリエーション業 16. その他のサービス業 (1) サービス業 S. その他のサービス業 ( 備考 ) 1. 平成 17 年基準 の 産業 及び 平成 23 年基準 は経済活動別大分類 平成 17 年基準 の 政府サービス生産者 対家計民間非営利サービス生産者 は国民経済計算年報付表 2 経済活動別の国内総生産 要素所得 における分類 2. 平成 23 年基準の経済活動別中分類 小分類は 平成 23 年基準改定結果公表までに公表する予定 3. 平成 23 年基準の国民経済計算年報の 経済活動別の国内総生産 要素所得 ( 名目 ) においては 各経済活動別分類に含まれる一般政府 対家計民間非営利団体分を別途集計して ( 再掲 ) として計上することを検討 21

2. 概念 定義等の変更 3. 各種基礎統計の反映 ( 各種項目の概念 定義の変更 ) 事業税 ( ) について 生産 輸入品に課される税 から 所得 富等に課される経常税 に変更 法人事業税や個人事業税のほか地方法人特別税を含む 役員賞与について 財産所得 の 配当 から 雇用者報酬 の 賃金 俸給 に変更 公費負担医療給付 ( ) について 現物社会移転以外の社会給付 の 社会扶助給付 から 現物社会移転 の 現物社会移転 ( 市場産出の購入 ) に変更 生活保護等における医療扶助分 政府諸機関の分類について ( ア ) 特許特別会計を一般政府から公的非金融企業に ( イ ) 自動車検査独立行政法人 ( 平成 20 年度以降 ) を一般政府から公的非金融企業に ( ウ ) 食料安定供給特別会計 ( 平成 19~25 年度 ) の業務勘定を公的非金融企業から一般政府に それぞれ変更等 ( 各種項目名の変更 ) 在庫品増加 在庫変動 現物社会給付等 ( ) 現物社会移転 ( 市場産出の購入 ) 商品 非商品販売 ( ) 財貨 サービスの販売 政府最終消費支出の計測に使用される項目 ( 産業連関表 ) 平成 24 年経済センサス - 活動調査 等を活用して作成された 最新の 平成 23 年産業連関表 ( 確報 ) をベンチマークとして取り込む 加えて 平成 12-17-23 年接続産業連関表 や過去の接続表の情報を可能な範囲で反映 ( 国勢統計 ) 調査結果が利用可能な最新の国勢統計である 平成 22 年国勢調査 を取込み ( 雇用者数や雇用者報酬の推計に反映 ) ( 住宅 土地統計 ) 最新の 平成 25 年住宅 土地統計調査 とともに 前回基準改定で反映できなかった 平成 20 年調査 の情報を取込み ( 住宅賃貸料の推計に反映 ) ( その他 ) 在庫変動の推計 ( 平成 23 年 ) に 平成 24 年経済センサス 活動調査 の情報を反映 固定資産や固定資本減耗の推計について 民間企業投資 除却調査 の平成 18 年度から 26 年度調査までの 9 年分 ( 前回基準改定では 3 年分 ) の情報を取込み等 * なお 平成 23 年基準改定時より 固定資産の実質値を公表予定 22

4. 各種推計手法の見直し 供給 使用表の枠組み活用 支出面と生産面の GDP は 概念的には一致 実際には基礎資料や推計アプローチの違いがあり 統計上の不突合が発生 支出面はコモディティ フロー法 生産面は付加価値法等により推計 平成 23 年基準改定では 基準年以降 供給 使用表 (SUT) の枠組みを活用することなどにより 統計上の不突合を縮減させる取組を実施 コモディティ フロー法等から推計される財貨 サービス別の 中間消費 と付加価値法等から推計される財貨 サービス別の 中間投入 について 財貨 サービスごとの特性を踏まえて突合 調整を図る こうした SUT の枠組みを活用した調整は 工業統計 ( 確報 ) 等を用いて推計される 第二次年次推計 の計数について その翌年に 第三次年次推計 として実施 年次推計の呼称と公表時期等 呼称 公表時期 主な基礎統計等 第一次年次推計 ( 現在の確報 ) 年度終了 9か月後 経済産業省生産動態統計等 第二次年次推計 ( 現在の確々報 ) 年度終了 1 年 9か月後 工業統計 ( 確報 ) 等 第三次年次推計 年度終了 2 年 9か月後 (SUTの枠組みの活用) 第一次年次推計は 本年末に作成 公表する平成 27 年度分より 基礎統計の利用可能な時期との兼ね合いから 工業統計 ( 速報 ) 等から 経済産業省生産動態統計 等を用いた推計手法に変更 建設部門の産出額の推計手法の見直し 平成 17 年基準 本見直しにより 平成 23 年基準の基準年である平成 23 年の建設部門の産出額は現行よりも約 1.7 兆円下方改定されるとともに 過去分も含めて水準 伸び率が改定される見込み ( 例 ) 平成 25 年の対前年伸び率は 現行の 5.8% から 11.3% に上方改定の見込み等 その他の推計手法の見直し ( 主なもの ) 平成 23 年基準 基準年 17 年産業連関表に基づく 23 年産業連関表に基づく 基準年以外 建設活動に要したインプット ( 中間消費 雇用者報酬等 ) の動きを活用 工事出来高ベースの基礎統計 ( 建設総合統計 等 ) の動きを活用 延長推計値が 結果として事後的に分かる次の基準年の値と乖離する傾向 統計上の不突合 の縮減を図る観点から 国民経済計算年報フロー編の主要系列表 1 国内総生産 ( 支出側 ) と付表 1 財貨 サービスの供給と需要 に記録する純輸出の整合性を向上 賃金 俸給のうち役員報酬について 役員賞与の概念変更や各種基礎統計の取込みとともに 非役員との給与格差に係る推計手法を見直し 鉱物探査 評価について 現行のように 1 年内の償却ではなく 複数年かけて償却するものとし 固定資産 ( ストック ) に計上 23

( 経済活動別 ) (財貨 サービス別総固定資本形成在庫変動最終消費支出財貨 サービス別輸出総需要不突合 ある財貨 サービス )[ 経済活動別中間投入計 ] 財貨 サービス別中間投入 突合して調整 財貨 サービス別中間消費 総供給=経済活動別付加価値 ( 雇用者報酬 営業余剰等 ) 財貨 サービスごとの特性を踏まえた調整 経済活動別産出額 24