アマチュア無線のための インターネット通信の基礎 2018 年 4 月 8 日 (V1.0) JR1OFP 1
1. インターネットとは 世界中の ISP のネットワークが相互接続された巨大なネットワークのこと AT&T AOL ティアワンプロバイダー OCN KDDI Yahoo (ISP: Internet Service Provider AT&T, AOL, OCN, KDDI など ) 家庭や企業は何処かの ISP に接続することで インターネットに接続できる 2
2.IP パケット通信 IP パケット ヘッダー データ ルータルータルータ ネットワーク #1 ネットワーク #2 ネットワーク #3 ネットワーク #4 ルーティンク テーフ ル ルーティンク テーフ ル ルーティンク テーフ ル 1. 送りたいデータは IP パケット と呼ばれる小包にしてネットワークに送り込む 2.IP パケットには ヘッダー と呼ばれる荷札が付いている この中には 宛先 IP アドレス 送信元 IP アドレス 等の情報が入っている 3. ネットワークとネットワークを接続するルータは この宛先 IP アドレスを見て次にどのネットワークに送るかを判断して IP パケットを中継し 目的の装置 (PC やサーバ ) まで届けられる 4. 通常 IP パケットの大きさは最大 1,500 バイトで それより大きなデータは複数の IP パケットに分割して 運ばれる 3
3.IP パケットの構造 ヘッダー NI ヘッタ ー IP ヘッダー トランスポートヘッダー AP ヘッタ ー データ 1.NI ヘッダー : ネットワーク インターフェースヘッダー一つのネットワーク内通信に使われる 宛先 MAC アドレス 送信元 MAC アドレス等の情報が入っている 2.IP ヘッダー : インターネットプロトコルヘッダー複数のネットワークを経由した End to End 通信に使われる 宛先 IP アドレス 送信元 IP アドレス等の情報が入っている 3. トランスポートヘッダー装置 (PC サーバ ) 内で 目的のアプリケーション ( プログラム ) にパケットを届ける 宛先ポート番号 送信元ポート番号等の情報が入っている 4.AP ヘッダー : アプリケーションヘッダーアプリケーション間通信に必要な情報が入っている 4
4.IP アドレス (1) 例 :192.168.0.5 / 24 31 0 1 1 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 192 168 0 5 ネットワークアドレス部 ホストアドレス部 1. IP アドレスは 32bit で 8bit ずつピリオドで区切って 10 進数で表記する 2. /24 はネットワークアドレス部が 24bit であること示す 通常は ネットワークアドレス部 24bit ホストアドレス部 8bit で使われている 3. ネットワークアドレス部は ネットワークの存在する住所を表す ホストアドレス部は ネットワーク内のホスト (PC, サーハ ) の番号を表す 5
5.IP アドレス (2) <IP アドレスの種類 > 1. グローバル IP アドレス インターネットで使われる IP アドレスで 世界中でユニークな番号が PC やサーバに割り当てられる 2. プライベート IP アドレス 家庭内や企業内 組織内の閉じたネットワークでのみ有効な IP アドレス一般家庭では 192.168.xxx.xxx の IP アドレスが多く使われている プライベート IP アドレスは インターネットでは使えない 6
6.MAC アドレスとポート番号 1. MAC アドレス ( 例 : 44-37-E6-46-63-B5) 47 24 23 0 ベンダーコード シリアル番号 MAC アドレスは各装置のネットワーク接続部に書き込まれている 48bit の番号で 世界中でユニークな番号が工場出荷時に書き込まれる 1 つのネットワーク内通信で 宛先 / 送信元を識別する番号として使われる 2. ポート番号 ( 例 : HTTP=80) 15 0 ( 0 ~ 65535 ) 装置 (PC サーバー) 内には複数のプログラムが動いており ネットワーク通信を行う各プログラムにポート番号が割り当てられる 装置が受信したIPパケットをどのプログラムに渡すかを判断するためにポート番号が使われる 代表的なプログラムには 固定のポート番号が割り当てられている Webサーハ ー :HTTP = 80 メール送信:SMTP = 25 メール受信:POP3 = 110 7
7. 家庭からのインターネット接続 LAN ケーフ ル LAN ケーフ ル BB ルータ LAN ケーフ ル ONU/ADSL /CATV モデム 光ファイバー電話回線ケーフ ルテレヒ ISP 無線 LAN 家庭内 LAN : プライベート IP アドレスが設定される インターネット : グローバル IP アドレスが設定される ( BB ルータ :Broad Band ルータ, LAN: Local Area Network ) 8
8. ネットワークアドレス変換 (NAT) 家庭内の PC( プライベート IP) からインターネットアクセスするには? BB ルータでフ ライヘ ート IP とク ローハ ル IP を相互変換する 宛先 IP: 123.4.5.6 送信元 IP: 192.168.0.10 宛先 IP: 123.4.5.6 送信元 IP: 111.1.1.1 PC 192.168.0.10 IP ハ ケット 192.168.0.1 IP ハ ケット 宛先 IP: 192.168.0.10 送信元 IP: 123.4.5.6 BB ルータ 111.1.1.1 IP ハ ケット IP ハ ケット 宛先 IP: 111.1.1.1 送信元 IP: 123.4.5.6 Web サーバー 123.4.5.6 家庭内ネットワーク ( プライベート IP アドレス ) インターネット ( グローバル IP アドレス ) ( NAT: Network Address Translation ) 9
9. ネットワークアドレスポート変換 (NAPT) 家庭内に複数の PC があると NAT 機能ではアドレス変換ができない そこで 通常は複数 PC に対応できる NAPT 機能が使われている PC#1 192.168.0.10 (PORT:40000) PC#2 192.168.0.20 (PORT:50000) 宛先 IP:123.4.5.6 宛先 PORT: 80 送信元 IP:192.168.0.10 送信元 PORT: 40000 宛先 IP:192.168.0.10 宛先 PORT: 40000 送信元 IP:123.4.5.6 送信元 PORT: 80 宛先 IP:123.4.5.6 宛先 PORT: 80 送信元 IP:192.168.0.20 送信元 PORT: 50000 宛先 IP:192.168.0.20 宛先 PORT: 50000 送信元 IP:123.4.5.6 送信元 PORT: 80 BB ルータ (192.168.0.1) (111.1.1) ( 変換表 ) (PORT) (IP) 40000 =>192.168.0.10 50000 =>192.168.0.20 パケット送信を行うと BBルータ内に一時的に変換表が作られる 宛先 IP:123.4.5.6 宛先 PORT: 80 送信元 IP:111.1.1 送信元 PORT: 40000 宛先 IP:111.1.1 宛先 PORT: 40000 送信元 IP:123.4.5.6 送信元 PORT: 80 宛先 IP:123.4.5.6 宛先 PORT: 80 送信元 IP:111.1.1 送信元 PORT: 50000 宛先 IP:111.1.1 宛先 PORT: 50000 送信元 IP:123.4.5.6 送信元 PORT: 80 ( 家庭内ネットワーク ) ( インターネット ) Web サーバー 123.4.5.6 (PORT:80) ( NAPT: Network Address Port Translation ) 10
10. ポート開放とは (1) NAPT 機能があるので 家庭内の PC( プライベート IP) から 外部 ( グローバル IP) の装置 (PC, サーバー ) には パケットを送信し 応答パケットを受信することができます しかし いきなり外部 ( グローバル IP) の装置から家庭内の PC( プライベート IP) に IP パケットを送信することはできません 宛先 IP:123.4.5.6 OK BB ルータ ( インターネット ) 家庭内 PC 192.168.0.10 192.168.0.1 111.1.1.1 外部 PC 123.4.5.6 家庭内 LAN ( プライベート IP) NG 宛先 IP:192.168.0.10 ( インターネット内では グローバル IP しか指定できない ) 11
11. ポート開放とは (2) 外部 ( グローバル IP) の装置から家庭内の PC( プライベート IP) にパケットを送信できる様にする機能が ポート開放です この機能を使うと 家庭内に各種サーバーを立ち上げ 外から使うことができます 家庭内 PC 192.168.0.10 ( ポート :2461) 宛先 IP:192.168.0.10 宛先ポート :2461 192.168.0.1 BB ルータ 111.1.1.1 ( ポート開放表 ) (PORT) (IP) 2461 =>192.168.0.10 ( インターネット ) 宛先 IP:111.1.1.1 宛先ポート :2461 外部 PC 123.4.5.6 あらかじめ BB ルータにポート開放の設定をしておく 12
12. ポート開放設定の例 AMBE サーバー BB ルータ ( インターネット ) ID-51P ターミナルモート IP: 192.168.0.121 TCP ホ ート : 20021 UDP ホ ート : 2461 192.168.0.1 111.1.1.1 宛先 IP:111.1.1.1 宛先 PORT: 40000 IP: 192.168.0.110 UDP ホ ート : 40000 AMBE サーバー用ポート開放 ID-51P ターミナルモート 用ポート開放 13
13.TCP と UDP ( 参考 ) インターネットを使った通信 (TCP/IP) には TCP 通信と UDP 通信がある これはトランスポート層の機能で アプリケーション毎にどちらの通信方法を使うか決めることになっている TCP 通信 : 送信パケットに番号を付け 受信側でパケットエラーやパケット抜けを検出した場合 パケットの再送を行うことで 信頼性が高い通信ができる パケット再送を行うので 音声や映像等のリアルタイム通信には使えない UDP 通信 : パケットの送達確認は行わない シンプルな通信方法なので信頼性は低い 音声や映像等のリアルタイム通信に使われる 14
14.MAC アドレスの使い方 ( 参考 ) (1) MAC アドレスはネットワーク内の通信に使われる (2) PC やルータは 宛先 MAC アドレスが自分宛の時にパケットを受信する (3) 従ってネットワーク内通信では 送りたい装置の IP アドレスからその装置の MAC アドレスを求めて 宛先 MAC アドレスに設定してネットワーク内にパケットを送信する PC#1 IP アト レス : 192.168.1.1 MAC アト レス : PC1 宛先 IP:123.4.5.6 宛先 MAC: PC2 宛先 IP 192.168.1.2 宛先 MAC PC2 対応付けが必要 (ARP 処理で求める ) PC#2 IP アト レス : 192.168.1.2 MAC アト レス : PC2 15
15.IP パケットデータの例 ( 参考 ) 送信元 MAC アドレス (PC) 宛先 MAC アドレス (AMBE サーバー ) ヘッダー 送信元 IP アドレス (PC) 宛先 IP アドレス (AMBE サーバー ) 送信元ポート番号 (BlueDV for Windows) 宛先ポート番号 (AMBE サーバー ) 16