平成 29 年度施政方針 1 財政規律の適正化本市においては 平成 28 年度から 法令等に特別の定めのあるもののほか 全ての補助金について交付要綱を定め 補助金支出の透明性を高めるとともに その支出の適正化を図るように致しました これまでの補助金の交付については 必ずしもその根拠が明確でなかったことは 否定できない事実であります そこで 財政規律を適正なものにするために 使途先が明確でない運営補助を原則として禁止し 個別の事業ごとに補助金を交付することとした上 その根拠と基準と金額を明確化するとともに 全ての補助金の使途先について これを明確にする書類の提出を義務付け 必要がある場合は市による調査を実施することと致しました 平成 29 年度は その検証の初年度にあたることから 補助金交付の適正化について厳格に検証してまいる所存であります また 財政上の重要な課題は 本市の財政における経常収支比率が極めて高く96パーセントを超えているということであります 本市の財政力指数は0.538であり さほど懸念される状況にはありませんが 経常収支比率は 近隣の自治体と比較してもかなり悪く 県内でも下 1
位に位置づけられるものであり 財政の硬直化は明らかであります 平成 29 年度におきましては この財政の硬直化について 十分検討を行い その原因と改善の方策について明らかにしていきたいと思います この問題は 単年度で解決できる課題ではないと思料されますが まず 平成 29 年度からこの課題の解決に取り組んでまいりたいと思います 2 産業 農業の支援強化平成 27 年度に産業振興アクションプランが策定され 同プランに基づきさまざまな取り組みが実施されるようになりました そして その一環として平成 29 年 3 月 22 日から 直鞍地域の中小企業の売上アップに焦点を絞った直鞍ビジネス支援センター 通称 N-biz を直鞍産業振興センター別館に開設致します この取り組みは 全国的な広がりを見せていますが 福岡県内においては初めての取り組みであり その役割は極めて重要であるとともに 期待も大変大きなものがあります 平成 29 年度は N-biz の活動開始の年であり その活動を積極的に支援するとともに その成果を見守っていきたいと思います また 平成 29 年度は 市内の各企業を積極的に訪問し そのモノづくりの現場を自ら知るとともに 経営者の方々と積極的に意見交換を 2
行い 行政として取り組むべき課題を的確に把握し 必要な施策の内容を検討し 検証していきたいと考えています こうした活動を通して 企業誘致や企業間の連携といった方向性についても果敢に取り組んでまいります さらに 平成 28 年度から農業委員会制度が抜本的に見直され 従来の事後的 後見的役割から 担い手への農地集積 耕作放棄地の発生防止及び解消 新規参入の促進など 農地等の利用の最適化を図るために農業経営について積極的な役割を担う協議体へと変化し 地域農業の中心的な存在へと脱皮することが求められるようになりました 本市としても こうした農業委員会制度の変化をふまえ 農業及び農業経営の課題を的確に把握するとともに 営農者の方々との意見交換を密にしつつ 行政としての支援を積極的に行ってまいる所存であります 3 福祉政策の一層の推進昨年 障害者差別解消法が施行されました これを受けて 市には 差別解消のための合理的配慮を実施することが義務付けられました ところで この法律の制定にあたって 障がい者に対する考え方について大変重要な転換が行われました いわゆる 医療モデル から 社 3
会モデル への転換であります 障がい者が社会的に様々な困難に遭い 不自由と不便と差別を余儀なくされることは 障がい者個人に原因があるのではなく 社会に原因があるという考え方が採用されることになったのです 障がい者の問題は 単に障がいのある人だけの問題ではなく 障がい者とともに住暮らす社会全体の問題であります したがって 社会全体として障がい者のことを考え 障がいのある人もない人も ともに住暮らす社会として不自由と不便と差別を余儀なくされることのない配慮をしていこうという考えを みんなで共有していこうということになったのです このことは 法律が制定されなくても 社会全体で取り組まなければならない問題でありますが 法律が制定されたことにより 一層 その取り組みを具体的かつ積極的に行うことが求められるようになりました そこで 本市におきましても この法律の理念を尊重し 積極的に実践していく所存であり そのひとつとして手話言語条例の制定を議案として提出しているものであります また 毎年 介護費等の扶助費は 1 億円を超える規模で増大しています これを抑制するためには 健康長寿のための施策が極めて重要であります そのためには介護予防事業を充実させるとともに それを地域に根付かせることが不可欠です その実現のためには 単に行 4
政とその職員だけでは不可能であり 民間の事業者はもちろん地域の住民の方々の参加と協力が不可欠であります そのための取り組みを積極的に行ってまいります さらに 高齢者の方々による自主的 自発的な取り組みも重要であります 高齢者の方々が 相互に助け合い 互いに力を合わせ 様々なイベントを開催しておられますが こうした取り組みは 高齢者を孤独から解放し 相互の連携を育み 健康長寿へと導く有効な道であります こうした取り組みを積極的に支援してまいります 4 教育大綱とその実践平成 28 年度に 直方市の教育大綱を策定致しました その内容は 無限 地球が遊び場地球が学び場 というものです これは 地球を舞台として 地球規模で遊び 学び 経験し 成長することを期待したものであります 平成 29 年度から この大綱を実践していくことになります そのひとつとして 16 歳から25 歳までの若者を対象とした チャレンジ支援 の仕組みを制定致します 若者の夢をかなえるための支援であります 例えば ニューヨークで本場のミュージカルを見たいとか 世界の大自然に触れたいといった夢を持った若者たちに 20 万円を限度として支援するものです 小中学生に対しては 5
国際サマーキャンプへの参加 高校生に対しては 給付型のハートフル奨学金があり さらに その一つ上の若者たちに対して このチャレンジ支援を実施することによって 小学生から若い社会人までを対象とした 3 つの支援策が揃うことになります 学校教育だけでは得られない 夢と経験とを若者たちに提供しようとするものです 教育について もう一つ大切なことは 教育現場における職場環境の改善であります 教職員は 授業などの本務以外に様々な負担を強いられており その負担の増大は看過できない状況になっています この本務以外の 例えば部活動の指導などの負担について これを軽減するための措置を講ずる必要性が極めて高く 平成 29 年度は この負担軽減のための方策について 関係各部局と連携をとりながら十分検討してまいる所存であります 教育現場における職場環境の改善は 教育の質の向上のための一歩であると考えています 5 文化政策の一層の推進これまで 本市においては 明確な文化政策ないし文化施策というものが 意識的に取り上げられたことはなかったのではないかと思います そこで 平成 29 年度においては これまで明確に意識化されることのなかった文化政策や文化施策について 明確なコンセプトのもとに 6
一層の推進を図っていく所存です その一つとして デジタル博物館が 3 月中に一部開館する運びとなりました これまで歴史資料館がなく なかなかその全容を公開できなかった本市の遺跡とその資料 仏像等の文化財 絵画や陶器等の美術品をデジタル化して公開できるようになりました また 上野英信氏が運営されていた 筑豊文庫 の資料の寄贈を受けたことに伴い かつて 筑豊文庫 が担っていた知的生産の場を再興し 知の拠点 を形成することを通して この地域の文化を積極的に発信し 無形文化への取り組みを強化していく所存であります こうした取り組みを通して 様々なネットワークを構築し 多様な人の輪を形成し 歴史的 文化的 重層的な時間軸を共有し 埋もれた文化と歴史を発見 発掘することによって 真に豊かな街づくりを目指していきたいと思います 6 人財の育成の推進と充実最後に 市役所職員の人財育成について 一層の推進と充実を図っていく所存であります 従来から 人事交流や関係機関等への出向による人財育成の方策がとられておりましたが 今後は これを一層推進するとともに その内容をより充実したものにし 職員の能力の向上と魅力的な職場環境の醸成を図っていきたいと考えています 7
民間企業への職員の派遣 中央省庁等との人事交流や派遣など 通常の職務では得難い経験を通して 行政職員としての職務能力の向上を図るとともに より広い視点から本市の行政を検証し その改善 改革の礎となり そのリーダーとなるような人財の育成を図っていきたいと考えています さらに 庁内における研修についても 多種多様な研修の実施や 職員のスキルアップを支援する制度の創設など 一層の充実を図っていく所存であります 8