新しい幼稚園教育要領について

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1 幼児期の教育 保育と小学校教育の違い 幼児期の教育 保育と小学校の教育では 発達の段階の違いだけでなく 教育課程等の違いもあります まずは相互を理解することが必要です 幼児期の教育 保育と小学校教育との間には このように教育課程や指導方法の相違点がある一方で 5 歳児から小学校低学年までの発達の

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幼保連携型認定こども園教育・保育要領 中央説明会

Microsoft PowerPoint - 幼稚園教育要領の改訂について

はじめに P1 Ⅰ 豊後大野市幼児教育の現状と課題 P2~3 1 幼児数の変遷... P2 2 幼児教育の現状... P2~3 3 幼児教育の課題... P3 Ⅱ 豊後大野市幼児教育の基本方針 P4~7 1 豊後大野市幼児教育の基本... P4 2 豊後大野市幼児教育のねらい... P5 (1) 育

学習指導要領改訂の方向性

資料6 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理イメージ(たたき台)

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

中央説明会 改訂幼稚園教育要領 幼稚園教育要領の改訂について 主な改訂内容 平成29年 7月 文部科学省 初等中等教育局 幼児教育課 1

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

保育をシンプルにする 1 子どもと現状把握からスタートする子どもの心や体は大丈夫か? もっとこうしてあげたいという願い専門的視点と時代の要請から 2 プランが生まれる! 見通しを持つそうだ こうしよう! ( 例 ) 船であそこへ行こう! (5 つの要素 ) 船 スタッフ プラン 目的 旅の意義園舎

ICTを軸にした小中連携

Taro-H29 教育課程編成届3

幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

【160420】とりまとめイメージ目次

幼児教育とは: 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂を受けて

ハンドブックp10-14:東京都教育委員会

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

基本方針 これまでも幼稚園は幼稚園教育要領に 保育園は保育所保育指針に基づいた幼児教育 保育を展開してきた また 平成 20 年 3 月の大幅な改定により 3 歳児から5 歳児の教育に関する内容では整合性が図られている しかし 統一されたカリキュラムがないことで 幼稚園と保育園の内容に違いがあるかの

【参考資料1】審議のまとめ反映版

Microsoft PowerPoint 森ㆨè⁄ªç—¶ã‡™æ´»çfl¨ã†Šã†�ä¿šè‡²å¹¼å–’æŁŽè‡²ã†«éŒ¢ã†Žã‡‰è⁄ªæ²»ä½fi剛強ä¼ı-è³⁄挎(山呣朕絇盋).pptx

幼保連携型認定こども園教育・保育要領告示文

1 一日の生活の連続性及びリズムの多様性への配慮 (1) 全体的な計画の作成幼保連携型認定こども園教育保育要領第 1 章総則では 幼保連携型認定こども園の 全体的な計画 の作成について示されています 全体的な計画は 保育所保育指針における保育課程 幼稚園教育要領における教育課程に当たります また 全

幼稚園教育要領解説

60 金沢星稜大学人間科学研究第 11 巻第 2 号平成 30 年 2 月 要領を主な資料として内容を分析 考察する (1) 乳児保育に関わる ねらい及び内容 の3 視点,1 歳以上 3 歳未満児及び3 歳以上児に関わる ねらい及び内容 の5 領域, 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿, 小学

第 2 第 3 第 4 食育の推進 環境及び衛生管理並びに安全管理 災害への備え 第 4 章第 1 第 2 第 3 子育ての支援子育ての支援全般に関わる事項幼保連携型認定こども園の園児の保護者に対する子育ての支援地域における子育て家庭の保護者等に対する支援 - 2 -

高松っ子いきいきプラン策定の趣旨 本プランは, 就学前の子どもが幼稚園 保育所 幼保一体化施設など, どこに在籍していても, 等しく質の高い教育 保育を受けられるよう, 各施設が積み上げてきたものを生かしつつ, 今後, 重点的に取り組むための方針や具体的な取り組みを示しています さらに小学校との連携

幼児教育部会における審議の取りまとめ

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

Taro-自立活動とは

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幼稚園教育要領解説

ポイント 1: 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解する 保幼小の円滑な接続に向けて まずは 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解することが重要です 幼児教育 幼児期の教育では 幼児の自発的な活動としての 遊び を通して 様々な体験や学びの芽生えを積み重ねることができるよう 保育者が環境を構成し

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

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学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである


第4章 道徳

保育所保育指針

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

教育と法Ⅰ(学習指導要領と教育課程の編成)


基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

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また 今回の改訂では 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 が新たに示された この 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 は 幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり 教師が指導を行う際に考慮するものであると記されており 5 歳児後半の幼児の目指すべき姿として捉えることができる そして 幼児期の終わりまでに

3 平成 29 年 3 月に幼稚園教育要領 保育所保育指針 幼保連携型認定こども園教育 保育要領が改訂され 来年度から全面実施されます 新幼稚園教育要領等では 改訂の基本的な方針として 1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 の明確化 健康な心と体 自立心 協同性 道徳性 規範意識の芽生え 社会生

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

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2 教育及び保育の 標 Q17 認定こども園法第 9 条に規定する6つの教育及び保育の目標の達成に努めるとともに これらが満 3 歳未満の園児の保育にも当てはまることを理解している Q18 第 2 教育及び保育の内容に関する全体的な計画の作成 教育及び保育の内容に関する全体的な計画は 教育及び保育を

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幼保連携型認定こども園教育・保育要領(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第1号)


第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

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訂されている 幼稚園 小 中学校学習指導要領改訂の基本的な考え方として 次の 3つがあげられる 1. 子供たちに求められる資質 能力を明確にし それらを社会と共有していくという社会に開かれた教育課程を実現していく 2. 現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で 知識の理解の質を高めていく 3

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(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

彦根市立城陽幼稚園 幼稚園の特色 本園は 荒神山を間近に仰ぎ 琵琶湖岸まで広がる田畑や犬上川 宇曽川の両河川に囲まれた 自然に恵まれたところに位置し 旧市街地と新興住宅地が点在する地域にあります 平成 3 年 ( 旧 ) 平田幼稚園の一室を借りて開園し 翌年 3 月 日夏町の現在地に移りました 今年

★00 生活科表紙

人権教育の推進のためのイメージ図

4 単元の指導計画 (10 時間扱い ) 時間 1 次問 (2) いをもつ 2 次調 (4) べる 3 次振 (4) り返る発信する 育てたい資質 能力 主な学習活動 内容 未来への創造 評価 地域の祭りについて話し合う グローバル化に 地域の祭りや伝承について知っていること 対応する力 を話し合う

1

主な取組 質の高い幼児教育の推進 幼稚園教育要領の内容の定着を図るため幼稚園において 幼児の実態等を踏まえた適切な教育課程を編成し 家庭や地域と連携 協力しつつ幼児教育を推進します 幼稚園において運動遊びを充実させ 幼児の体力向上を目指します ふかやこども園モデル園運営事業に係る3 歳児受入れ 平日

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愛媛県学力向上5か年計画

H30全国HP

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

を生かした環境を構成することも求められます 3 安全で保健的な環境次に 施設などの環境整備を通して 保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること としています 子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です 全職員が常に心を配り 確認を怠らず 子どもが安心 安全に過ごせる保育の環境

目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

工業教育資料347号

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

地域の幼児教育の拠点となる幼児教育センターの設置及び「幼児教育アドバイザー」の育成・配置に関する調査研究 実施報告書(2年次)(4)

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

身近な自然に親しみ, 動植物に優しい心で接すること 第 3 学年及び第 4 学年 自然のすばらしさや不思議さを感じ取り, 自然や動植物を大切にすること 第 5 学年及び第 6 学年 自然の偉大さを知り, 自然環境を大切にすること [ 感動, 畏敬の念 ] 第 1 学年及び第 2 学年 美しいものに触

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

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総合的な学習の時間とカリキュラム・マネジメント

資料3 文部科学省説明資料

第 1 章 札幌市幼児教育振興計画の策定 本計画は 主に幼稚園教育を対象とする 本計画は 平成 18 年度から概ね10 年間を計画期間とし 今後はこの方向性に基づいて早期に具体的な施策 ( アクションプログラム ) を打ち出していく 本計画は 社会情勢の変化などに対応し 必要に応じて計画の見直しを行

平成 29 年度児童発達支援センターバンビ事業計画 1. 基本方針 児童発達支援センターバンビは相模原市南区の発達障害児の療育を遂行するため 以下の基本理 念 療育基本指針に則りサービスを提供する 1) 基本理念 1 児童一人ひとりに対する丁寧な 根拠 ある療育相模原療育園の医療スタッフとの連携によ

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

1 小学校入学前の子どもの学びとは 幼児期の生活のほとんどは 遊びによって占められています 子どもは遊びを中心として 頭も心も体も動かして様々な対象と直接関わりながら 総合的に学んでいます (1) 幼児教育と子どもの学び 幼稚園の遊びの一場面子どもたちがものを転がす遊びに集中しています 子どもたちは

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

平成 30 年 4 月 1 日 平成 30 年度 第 70 回 日本連合教育会研究大会 桐生大会 大会主題 分科会研究協議題 等 Ⅰ 大会主題及び大会主題設定の趣旨 Ⅱ 分科会研究協議題 研究協議題設定の理由 研究協議の視点 (1) 第 1 分科会国語 (2) 第 2 分科会 社会 (3) 第 3

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新しい幼稚園教育要領について 文部科学省初等中等教育局幼児教育課幼児教育調査官 河合優子

目次 1 第 1 章総則の改訂 2 第 2 章ねらい及び内容の改訂 3 第 3 章教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの 留意事項の改訂

幼稚園教育において育みたい資質 能力の明確化第 1 章総則第 2 幼稚園教育において育みたい資質 能力及び 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 1 幼稚園においては, 生きる力の基礎を育むため, この章の第 1 に示す幼稚園教育の基本を踏まえ, 次に掲げる資質 能力を一体的に育むよう努めるものとする (1) 豊かな体験を通じて, 感じたり, 気付いたり, 分かったり, できるようになったりする 知識及び技能の基礎 (2) 気付いたことや, できるようになったことなどを使い, 考えたり, 試したり, 工夫したり, 表現したりする 思考力, 判断力, 表現力等の基礎 (3) 心情, 意欲, 態度が育つ中で, よりよい生活を営もうとする 学びに向かう力, 人間性等

幼稚園教育において育みたい資質 能力の明確化 第 1 章総則第 2 幼稚園教育において育みたい資質 能力及び 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 2 1 に示す資質 能力は, 第 2 章に示すねらい及び内容に基づく活動全体によって育むものである

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化 第 1 章総則第 2 幼稚園教育において育みたい資質 能力及び 幼児期の終わりまでに育って欲しい姿 3 次に示す 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 は, 第 2 章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質 能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり, 教師が指導を行う際に考慮するものである

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 1 (1) 健康な心と体幼稚園生活の中で, 充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ, 見通しをもって行動し, 自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる (2) 自立心身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で, しなければならないことを自覚し, 自分の力で行うために考えたり, 工夫したりしながら, 諦めずにやり遂げることで達成感を味わい, 自信をもって行動するようになる (3) 協同性友達と関わる中で, 互いの思いや考えなどを共有し, 共通の目的の実現に向けて, 考えたり, 工夫したり, 協力したりし, 充実感をもってやり遂げるようになる (4) 道徳性 規範意識の芽生え友達と様々な体験を重ねる中で, してよいことや悪いことが分かり, 自分の行動を振り返ったり, 友達の気持ちに共感したりし, 相手の立場に立って行動するようになる また, きまりを守る必要性が分かり, 自分の気持ちを調整し, 友達と折り合いを付けながら, きまりをつくったり, 守ったりするようになる

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 2 (5) 社会生活との関わり家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに, 地域の身近な人と触れ合う中で, 人との様々な関わり方に気付き, 相手の気持ちを考えて関わり, 自分が役に立つ喜びを感じ, 地域に親しみをもつようになる また, 幼稚園内外の様々な環境に関わる中で, 遊びや生活に必要な情報を取り入れ, 情報に基づき判断したり, 情報を伝え合ったり活用したりするなど, 情報を役立てながら活動するようになるとともに, 公共の施設を大切に利用するなどして, 社会とのつながりなどを意識するようになる (6) 思考力の芽生え身近な事象に積極的に関わる中で, 物の性質や仕組みなどを感じ取ったり, 気付いたりし, 考えたり, 予想したり, 工夫したりするなど, 多様な関わりを楽しむようになる また, 友達の様々な考えに触れる中で, 自分と異なる考えがあることに気付き, 自ら判断したり, 考え直したりするなど, 新しい考えを生み出す喜びを味わいながら, 自分の考えをよりよいものにするようになる (7) 自然との関わり 生命尊重自然に触れて感動する体験を通して, 自然の変化などを感じ取り, 好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら, 身近な事象への関心が高まるとともに, 自然への愛情や畏敬の念をもつようになる また, 身近な動植物に心を動かされる中で, 生命の不思議さや尊さに気付き, 身近な動植物への接し方を考え, 命あるものとしていたわり, 大切にする気持ちをもって関わるようになる

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 3 (8) 数量や図形, 標識や文字などへの関心 感覚遊びや生活の中で, 数量や図形, 標識や文字などに親しむ体験を重ねたり, 標識や文字の役割に気付いたりし, 自らの必要感に基づきこれらを活用し, 興味や関心, 感覚をもつようになる (9) 言葉による伝え合い先生や友達と心を通わせる中で, 絵本や物語などに親しみながら, 豊かな言葉や表現を身に付け, 経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり, 相手の話を注意して聞いたりし, 言葉による伝え合いを楽しむようになる (10) 豊かな感性と表現心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で, 様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き, 感じたことや考えたことを自分で表現したり, 友達同士で表現する過程を楽しんだりし, 表現する喜びを味わい, 意欲をもつようになる

幼稚園におけるカリキュラム マネジメント 第 1 章総則第 3 教育課程の役割と編成等 1 教育課程の役割各幼稚園においては, 教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの幼稚園教育要領の示すところに従い, 創意工夫を生かし, 幼児の心身の発達と幼稚園及び地域の実態に即応した適切な教育課程を編成するものとする また, 各幼稚園においては,6 に示す全体的な計画にも留意しながら, 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 を踏まえ教育課程を編成すること, 教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと, 教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して, 教育課程に基づき組織的かつ計画的に各幼稚園の教育活動の質の向上を図っていくこと ( 以下 カリキュラム マネジメント という ) に努めるものとする

小学校教育との接続 第 1 章総則第 3 教育課程の役割と編成等 5 小学校教育との接続に当たっての留意事項 (1) 幼稚園においては, 幼稚園教育が, 小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し, 幼児期にふさわしい生活を通して, 創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにするものとする (2) 幼稚園教育において育まれた資質 能力を踏まえ, 小学校教育が円滑に行われるよう, 小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け, 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 を共有するなど連携を図り, 幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続を図るよう努めるものとする

幼児理解に基づいた評価 第 1 章総則第 4 指導計画の作成と幼児理解に基づいた評価 4 幼児理解に基づいた評価の実施幼児一人一人の発達の理解に基づいた評価の実施に当たっては, 次の事項に配慮するものとする (1) 指導の過程を振り返りながら幼児の理解を進め, 幼児一人一人のよさや可能性などを把握し, 指導の改善に生かすようにすること その際, 他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではないことに留意すること (2) 評価の妥当性や信頼性が高められるよう創意工夫を行い, 組織的かつ計画的な取組を推進するとともに, 次年度又は小学校等にその内容が適切に引き継がれるようにすること

特別な配慮を必要とする幼児等への指導 第 1 章総則第 5 特別な配慮を必要とする幼児への指導 1 障害のある幼児などへの指導障害のある幼児などへの指導に当たっては, 集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し, 特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ, 個々の幼児の障害の状態などに応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする また, 家庭, 地域及び医療や福祉, 保健等の業務を行う関係機関との連携を図り, 長期的な視点で幼児への教育的支援を行うために, 個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに, 個々の幼児の実態を的確に把握し, 個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとする

特別な配慮を必要とする幼児等への指導 第 1 章総則第 5 特別な配慮を必要とする幼児への指導 2 海外から帰国した幼児や生活に必要な日本語の習得に困難のある幼児の幼稚園生活への適応 海外から帰国した幼児や生活に必要な日本語の習得に困難のある幼児については, 安心して自己を発揮できるよう配慮するなど個々の幼児の実態に応じ, 指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする

現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し 第 2 章ねらい及び内容この章に示すねらいは, 幼稚園教育において育みたい資質 能力を幼児の生活する姿から捉えたものであり, 内容は, ねらいを達成するために指導する事項である 各領域は, これらを幼児の発達の側面から, 心身の健康に関する領域 健康, 人との関わりに関する領域 人間関係, 身近な環境との関わりに関する領域 環境, 言葉の獲得に関する領域 言葉 及び感性と表現に関する領域 表現 としてまとめ, 示したものである 内容の取扱いは, 幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項である 各領域に示すねらいは, 幼稚園における生活の全体を通じ, 幼児が様々な体験を積み重ねる中で相互に関連をもちながら次第に達成に向かうものであること, 内容は, 幼児が環境に関わって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることに留意しなければならない また, 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 が, ねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質 能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であることを踏まえ, 指導を行う際に考慮するものとする

現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し 1 近年の子供の育ちをめぐる環境の変化等を踏まえ 以下の事項を改善 充実 (1) 領域 健康 見通しをもって行動すること 食べ物への興味や関心をもつこと 食の大切さに気付くこと 多様な動きを経験する中で 体の動きを調整するようにすること 遊びを通して安全についての構えを身に付けること (2) 領域 人間関係 身近な人と親しみ 関わりを深め 工夫したり 協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい 愛情や信頼感をもつこと 諦めずにやり遂げることの達成感や 前向きな見通しをもって自分の力で行う事の充実感を味わうことができるようにすること 自分のよさや特徴に気付くようにすること

現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し 2 (3) 領域 環境 日常生活の中で 我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむこと 文化や伝統に親しむ際には 正月や節句など我が国の伝統的な行事 国歌 唱歌 わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり 異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて 社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること 自分なりに比べたり 関連付けたりしながら考えたり 試したりして工夫して遊ぶこと 自分の考えをよりよいものにしようとする気持ちが育つようにすること (4) 領域 言葉 言葉に対する感覚を豊かにすること 幼児が生活の中で 言葉の響きやリズム 新しい言葉や表現などに触れ これらを使う楽しさを味わえるようにすること その際 絵本や物語に親しんだり 言葉遊びなどをしたりすることを通して 言葉が豊かになるようにすること (5) 領域 表現 豊かな感性を養う際に 風の音や雨の音 身近にある草や花の形や色など自然の中にある音 形 色などに気付くようにすること 様々な素材や表現の仕方に親しむこと

教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動 / 子育ての支援 第 3 章教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項 1 地域の実態や保護者の要請により, 教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動については, 幼児の心身の負担に配慮するものとする また, 次の点にも留意するものとする (2) 家庭や地域での幼児の生活も考慮し, 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画を作成するようにすること その際, 地域の人々と連携するなど, 地域の様々な資源を活用しつつ, 多様な体験ができるようにすること

教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動 / 子育ての支援 3 第 3 章教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項の改訂 第 3 章教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項 2 幼稚園の運営に当たっては, 子育ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放して, 園内体制の整備や関係機関との連携及び協力に配慮しつつ, 幼児期の教育に関する相談に応じたり, 情報を提供したり, 幼児と保護者との登園を受け入れたり, 保護者同士の交流の機会を提供したりするなど, 幼稚園と家庭が一体となって幼児と関わる取組を進め, 地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たすよう努めるものとする その際, 心理や保健の専門家, 地域の子育て経験者等と連携 協働しながら取り組むよう配慮するものとする

新しい幼稚園教育要領について 文部科学省初等中等教育局幼児教育課幼児教育調査官 河合優子