研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

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Transcription:

資料 - 生電 6-3 免疫細胞及び神経膠細胞を対象としたマイクロ波照射影響に関する実験評価 京都大学首都大学東京 宮越順二 成田英二郎 櫻井智徳多氣昌生 鈴木敏久 日 : 平成 23 年 7 月 22 日 ( 金 ) 場所 : 総務省第 1 特別会議室

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞の基本的な機能であるサイトカイン分泌特性に対してELISA 法を実施し 電波が影響を与えないかどうかについて検討する 2. 神経膠細胞に及ぼす電波の影響に関する研究 脳内免疫細胞として重要な役割を果たすことが知られている神経膠細胞に対して 電波が影響を及ぼしていないか検索するために 2.45GHz 2および10W/kgのSARで電波ばく露を行い 神経膠細胞の基本的な機能であるIFN-γに対する応答への影響について検討し 電波ばく露影響の有無を検討する

細胞ばく露用マイクロ波発生装置 2.45 GHz( 連続波 ) SAR: 2, 10 W/kg 37 5% CO 2 +95% 飽和湿度空気 首都大学東京 多氣研究室設計 製作

電波ばく露による免疫細胞への 影響に関する研究

実験条件 細胞 :U937( ヒトリンパ腫由来単芽球様細胞 ) 培養液 :RPMI1640 培地 (10% 牛胎児血清 ) 培養条件 :37 5% 二酸化炭素 飽和湿度電波ばく露条件周波数 :2.45GHz ばく露処理条件 :SAR 2および10W/kg ばく露時間 :4および24 時間 U937 細胞

ばく露中のサイトカイン産生への影響評価実験方法 播種 ( ホルボール 12- ミリステート 13- アセテート 50ng/ml を含有する培地 ) U937( ヒトリンパ腫由来単芽球様細胞 ) 終夜 ( マクロファージ分化誘導 ) 培地洗浄 培地交換終夜 sham マイクロ波ばく露 ( リポ多糖 (LPS)1μg/ml を含有する培地 ) ( サイトカイン産生刺激 ) 2.45 GHz, SAR: 2, 10 W/kg, 4, 24 h ELISA 法による解析 R&D Systems 製 Quantikine Human IL-1β Human IL-6 Human IL-8 Human IL-10 および Human TNF-α

ばく露中のサイトカイン産生への影響評価 (IL-1β) 5000 10000 4000 (Sham) (RF) 8000 (Sham) (RF) (pg/10 6 cells) 3000 2000 (pg/10 6 cells) 6000 4000 1000 2000 0 4 24 0 4 24 電波ばく露 (2W/kg) および LPS 刺激時間 (h) 電波ばく露 (10W/kg) および LPS 刺激時間 (h) U937 細胞による IL-1β 分泌量 U937 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 24 時間の電波ばく露は サイトカイン分泌量に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる

ばく露中のサイトカイン産生への影響評価 (IL-6) 15000 15000 (pg/10 6 cells) 10000 (Sham) (RF) (pg/10 6 cells) 10000 (Sham) (RF) 5000 5000 0 4 24 0 4 24 電波ばく露 (2W/kg) および LPS 刺激時間 (h) 電波ばく露 (10W/kg) および LPS 刺激時間 (h) U937 細胞による IL-6 分泌量 U937 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 24 時間の電波ばく露は サイトカイン分泌量に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる

ばく露中のサイトカイン産生への影響評価 (IL-8) 4000 5000 3000 (Sham) (RF) 4000 (Sham) (RF) (pg/10 6 cells) 2000 (pg/10 6 cells) 3000 2000 1000 1000 0 4 24 0 4 24 電波ばく露 (2W/kg) および LPS 刺激時間 (h) 電波ばく露 (10W/kg) および LPS 刺激時間 (h) U937 細胞による IL-8 分泌量 U937 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 24 時間の電波ばく露は サイトカイン分泌量に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる

ばく露中のサイトカイン産生への影響評価 (IL-10) 80000 50000 60000 (Sham) (RF) 40000 (Sham) (RF) (pg/10 6 cells) 40000 (pg/10 6 cells) 30000 20000 20000 10000 0 4 24 0 4 24 電波ばく露 (2W/kg) および LPS 刺激時間 (h) 電波ばく露 (10W/kg) および LPS 刺激時間 (h) U937 細胞による IL-10 分泌量 U937 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 24 時間の電波ばく露は サイトカイン分泌量に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる

ばく露中のサイトカイン産生への影響評価 (TNF-α) 400 600 300 (Sham) (RF) 500 400 (Sham) (RF) (pg/10 6 cells) 200 100 (pg/10 6 cells) 300 200 100 0 4 24 0 4 24 電波ばく露 (2W/kg) および LPS 刺激時間 (h) 電波ばく露 (10W/kg) および LPS 刺激時間 (h) U937 細胞による TNF-α 分泌量 U937 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 24 時間の電波ばく露は サイトカイン分泌量に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる

まとめ 免疫細胞に対するマイクロ波照射の影響 ヒトリンパ腫由来単芽球様細胞 (U937 細胞 ) を用いて マクロファージ分化誘導後 LPS 刺激とともに電波ばく露 (SAR 2 10W/kg 4 24 時間 ) することによって U937 細胞のLPS 刺激に対する応答機能への影響の有無を評価した U937 細胞が LPS 刺激に応答してIL-1β IL-6 IL-8 IL-10およびTNF-αのサイトカインを分泌することが確認された これらのサイトカイン分泌量に2.45GHz SAR2 10W/kg 4 24 時間のマイクロ波ばく露は統計学的に有意な影響を及ぼさなかった

神経膠細胞に及ぼす電波の 影響に関する研究

神経膠細胞 神経系 神経細胞 ( ニューロン ) 神経膠細胞 ( グリア ) アストログリア ( 星状膠細胞 ) 血管と神経細胞間の物質の移動などに関与し 多くの神経栄養因子を産生する オリゴデンドログリア脳の白質部分に多くミエリン鞘をつくる ミクログリア マクロファージ様の大食細胞で損傷や出血が起こった箇所に集積する

実験条件 細胞 :EOC20( マウス由来ミクログリア細胞 ) 培養液 : ダルベッコ改変イーグル培地 +10% 牛胎児血清 +20% マウス骨髄由来細胞株 LADMAC 培養上清 ) 培養条件 :37 5% 二酸化炭素 飽和湿度電波ばく露条件周波数 :2.45GHz ばく露処理条件 :SAR 2および10W/kg ばく露時間 :4 時間 EOC20 細胞

終夜 IFN-γ 刺激に対する応答への影響評価実験方法 播種 EOC20( マウス由来ミクログリア細胞 ) sham マイクロ波ばく露 2.45 GHz, SAR: 2, 10 W/kg, 4 h IFN-γ 刺激最終濃度 :10 ng/ml 24 h RT-PCRによる解析 MHC class II transactivator(ciita) nitric oxide synthase 2(NOS2) lymphocyte antigen 6 complex locus C1(Ly6c1) cdnaテンプレート標準化 ( ハウスキーピング ) 遺伝子 : グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素 (GAPDH) リボソーマルタンパクS18(RPS18) フローサイトメトリーによる解析 F4/80 抗原抗体 MHC class II 抗体

IFN-γ 刺激による CIITA 遺伝子発現の 変化と電波ばく露の影響 EOC20 細胞に対する2.45GHz 2および10W/kg 4 時間の電波ばく露は IFN-γ 刺激によるCIITA 遺伝子の発現増加に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる (**p<0.01)

IFN-γ 刺激による NOS2 遺伝子発現 の変化と電波ばく露の影響 EOC20 細胞に対する2.45GHz 2および10W/kg 4 時間の電波ばく露は IFN-γ 刺激によるNOS2 遺伝子の発現増加に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる (**p<0.01)

IFN-γ 刺激による Ly6c1 遺伝子発現の 変化と電波ばく露の影響 EOC20 細胞に対する2.45GHz 2および10W/kg 4 時間の電波ばく露は IFN-γ 刺激によるLy6c1 遺伝子の発現増加に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる (**p<0.01)

フローサイトメトリー解析の結果 (MHC class II 抗体 ) IFN-γ なし IFN-γなし IFN-γなし IFN-γあり IFN-γあり IFN-γあり IFN-γ 刺激によって MHC class II 抗体の発現量は増加する EOC20 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 時間の電波ばく露は IFN-γ 刺激による MHC class II 抗体の発現増加に対して影響を及ぼさないと考えられる

フローサイトメトリー解析の結果 (F4/80 抗原 ) IFN-γ あり IFN-γ あり IFN-γ あり IFN-γ なし IFN-γ なし IFN-γ なし IFN-γ 刺激なしでも F4/80 抗原は EOC20 に発現しており 刺激によって発現量は変化しない EOC20 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 時間の電波ばく露は IFN-γ 刺激の有無にかかわらず F4/80 抗原の発現量に影響を及ぼさないと考えられる

フローサイトメトリー解析の定量 (MHC class II 抗体 ) EOC20 細胞に対する2.45GHz 2および10W/kg 4 時間の電波ばく露は IFN-γ 刺激による MHC class II 抗体の発現増加に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる (**p<0.01)

フローサイトメトリー解析の定量 (F4/80 抗原 ) EOC20 細胞に対する 2.45GHz 2 および 10W/kg 4 時間の電波ばく露は IFN-γ 刺激の有無によらず F4/80 抗原の発現量に対して統計学的に有意な影響を及ぼさないと考えられる

まとめ 神経膠細胞に対するマイクロ波照射の影響 マウス由来ミクログリア細胞を用いて マイクロ波ばく露後 IFN-γ 刺激に対する応答について CIITA NOS2 Ly6c1 遺伝子の発現量変化を逆転写 -PCRを用いて MHC class II 抗体と F4/80 抗原の発現量をフローサイトメーターを用いて検討した 2.45GHz SAR2および10W/kg 4 時間のマイクロ波ばく露は EOC20 細胞のIFN-γ 刺激に対する応答に 統計学的に有意な影響を及ぼさなかった