Windows Server 2016 Hyper-V ストレージQoS機能の強化

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Windows Server 2016 Hyper-V ストレージ QoS 機能の強化 1. はじめに Windows Server 2012 R2 の Hyper-V ストレージ QoS(Quality of Service) 機能は 仮想ディスクに対する I/O 帯域制御において Hyper-V ホスト上の仮想マシン ( 以下 VM と略 ) に対してのみ管理が可能でした このため Hyper-V ホストクラスター構成では 期待した動作にならない場合がありました Windows Server 2016 では I/O 帯域制御の範囲が拡張され スケールアウトファイルサーバ ( 以下 SOFS と略 ) に仮想ディスクを格納した構成であれば SOFS 全体の I/O 帯域を制御できるようになります これにより Hyper-V ホストクラスター構成であっても 複数の仮想マシンをテナント / サービスごとに QoS 管理できるようになります 今回は Windows Server 2012 R2 のストレージ QoS との違いを確認しながら クラウド基盤としてより進化した Windows Server 2016 Technical Preview 2 版におけるストレージ QoS の動作についてご紹介します 2. ストレージ QoS の強化点 Windows Server 2012 R2 の Hyper-V ホストクラスター構成においては 自ノードに存在する VM しか管理できないため 相手ノードに存在する VM に対しては I/O を帯域制御できませんでした このため クラウド基盤全体としての帯域制御ができない場合がありました ( 詳細は 前回の豆情報 Windows Server 2012 R2 Hyper-V ストレージ QoS 機能による仮想ディスクの I/O 制御 を参照してください ) VM-01 VM-02 VM-05 VM-06 VM-07 VM-10 Windows Server 2012 R2 Hyper-V ホスト 1 Windows Server 2012 R2 Hyper-V ホスト 2 ホストが自ノードのみスループットを管理 共有ストレージ装置 LUN ホストが自ノードのみスループットを管理 図 1 Windows Server 2012 R2 のストレージ QoS 2.1 強化点 (1) Windows Server 2016 ストレージ QoS の SOFS 連携 Windows Server 2016 では Hyper-V ホストクラスター上の VM が使用する仮想ディスクを SOFS に格納している構成 ( 以降 SOFS 構成と略 ) において SOFS 全体で I/O 帯域を制御できるようになります ( 図 2) SOFS 全体の I/O 帯域はポリシーマネージャーが管理します ポリシーマネージャーはクラスターリソースとして存在し SOFS 上の 全ての仮想ディスクへの I/O を各ノードと連携して制御します 1

VM-01 VM-02 VM-05 VM-06 VM-07 VM-10 テナント #1 テナント #2 Windows Server 2016 Hyper-V ホスト1 Windows Server 2016 Hyper-V ホスト2 SMB3 接続 SMB3 接続 スケールアウトファイルサーバ ノード 1 Windows Server 2016 ノード 2 Windows Server 2016 ポリシーマネージャー SOFS 全体のストレージ QoS を管理する 共有ストレージ装置 LUN 図 2 SOFS 構成におけるストレージ QoS 2.2 強化点 (2) ポリシーベースのストレージ QoS SOFS 構成にてストレージ QoS を制御するには あらかじめ定義したポリシーを VM に適用します ポリシーを使うメリットは テナント / サービスを管理しやすくなることが挙げられます テナント / サービスごとにポリシーを作成し テナント / サービスに所属する VM に対して 適切なポリシーを適用するといった運用が可能になります Windows Server 2016 におけるストレージ QoS のポリシーは以下の 2 種類があります 1 シングルインスタンス同じポリシーを適用した全ての VM の使用帯域の総和に対して 最小 最大 (*1) を制御するポリシーです Windows Server 2016 から提供された 新たなストレージ QoS の動作になります 本ポリシーの用途としては たとえば 最大 IOPS を設定することで 複数 VM を同居させるテナント / サービスに対して I/O を制限するような利用シーンが考えられます *1) 最小 を設定すると 設定した IOPS が可能な範囲で確保される 最大 を設定すると 設定した値以上に IOPS が 使われないように I/O 帯域が制限される 最小 と 最大 の IOPS は ブロックサイズ 8KB 単位で設定する 2 マルチインスタンス同じポリシーを適用した全ての VM に対して 各々に同一の最小 最大を設定するポリシーです Windows Server 2012 R2 のストレージ QoS を設定した動作に相当します 本ポリシーの用途としては たとえば 最小 IOPS を設定することで 複数 VM を同居させるテナント / サービスの各々の VM に対して I/O を確保するような利用シーンが考えられます それぞれのポリシーの動作イメージを図 3 に示します 2

シングルインスタンス マルチインスタンス 200 200 150 VM2 150 VM1 200 VM2 200 50 VM1 50 0 0 テナント #1 テナント #1 テナント #1 図 3. シングルインスタンスとマルチインスタンスの動作イメージ (200IOPS の例 ) 3.SOFS 構成におけるストレージ QoS の動作確認 Windows Server 2012 R2 では Hyper-V ホストクラスター構成でのストレージ QoS に 最小 設定した際に 設定どおりのスループットにならない場合がありました それに対して Windows Server 2016 では SOFS 全体で I/O 帯域制御できるストレージ QoS が機能追加されています この機能を使うことにより Hyper-V ホストクラスター構成でも 最小 設定が期待どおりにふるまうと想定されます 今回は この動作をマルチインスタンス / シングルインスタンスの両ポリシーで確認しました [3.1 章 ] マルチインスタンスで 最小 を設定した場合 [3.2 章 ] シングルインスタンスで 最小 を設定した場合 表 1 の環境で動作を確認しました 表 1. Windows Server 2016 Technical Preview 2 のストレージ QoS 動作確認に使用したハードウェア環境 (1)Hyper-V ホスト ( クラスター構成時のホスト 1 ホスト 2 共通 ) 機種 FUJITSU Server PRIMERGY RX300 S7 OS Windows Server 2016 Technical Preview 2(Build74) CPU Intel Xeon CPU E5-2690 @ 2.90GHz 2( 合計 32 論理プロセッサ ) メモリ 384GB (DDR3-1066RDIMM) LAN カード Intel 82599 10G (2) SOFS( クラスター構成時のノード 1 ノード 2 共通 ) 機種 FUJITSU Server PRIMERGY RX300 S7 OS Windows Server 2016 Technical Preview 2(Build74) CPU Intel Xeon CPU E5-2690 @ 2.90GHz 2( 合計 32 論理プロセッサ ) メモリ 384GB (DDR3-1066RDIMM) CNA カード Emulex LPe12002 8G Converged Network Adapter 3

(3) ストレージ機種 HDD RAID 構成 (4)VM(10 台 ) OS CPU メモリ HDD FUJITSU Storage ETERNUS DX90 S2 4TB RAID 1+0(HDD10 本 ) の 1LUN VM Windows Server 2016 Technical Preview 2(Build74) 2 仮想 CPU 2048MB 用 : 可変 IDE 128G : 固定 SCSI 20GB VM-01 VM-02 Windows Server 2016 Hyper-V ホスト 1 (PRIMERGY RX300 S7) VM-05 VM-06 VM-07 Windows Server 2016 Hyper-V ホスト 2 (PRIMERGY RX300 S7) VM-10 10GbE 接続 10GbE 接続 ノード1 Windows Server 2016 (PRIMERGY RX300S7) スケールアウト構成でクラスタ化したファイルサーバ ノード 2 Windows Server 2016 (PRIMERGY RX300S7) 共有ストレージ装置 (ETERNUS DX90 S2) LUN 図 4. ストレージ QoS 動作確認環境 上記構成で 以下のとおり測定しました VM05 はホスト1に配置し VM06 はホスト 2 に配置する をポリシーの設定対象とする VM で負荷ツール Iometer を使用して 全 VM の に I/O 負荷をかける Iometer のパラメーターは以下のとおり - Transfer Request Size = 512KB - Percent Random/Sequential Distribution = Random % - Percent Read/Write Distribution = Write % - # of Outstanding I/Os = 32 4

3.1 マルチインスタンスで 最小 を設定した場合の動作確認ストレージ QoS に 最小 を設定した際に 設定どおりのスループットが出るのかを確認しました ポリシーは Windows Server 2012 R2 のストレージ QoS を設定した動作に相当するマルチインスタンスを適用しました ストレージ QoS の設定を 表 2 のとおり変化させて仮想ディスクのスループットを測定しました 表 2. ストレージ QoS 設定の変化 ( マルチインスタンスポリシー ) マルチインスタンスポリシー ホスト 1 ホスト 2 1 未設定,,VM03,VM04,VM05 VM06,VM07,VM08,, 2 最小 1500IOPS(12MB/sec),,VM03,VM04,VM05 未設定 VM06,VM07,VM08,, 3 最小 2000IOPS(16MB/sec),,VM03,VM04,VM05 未設定 VM06,VM07,VM08,, 4 未設定,,VM03,VM04,VM05 VM06,VM07,VM08,, 以下に測定結果を示します [MB/sec] 120 80 60 40 20 0 1 2 3 4 VM05 それぞれ期待値の 12MB/sec ( 合計 60MB/sec) になった 60MB/sec VM05 それぞれ期待値の 16MB/sec ( 合計 80MB/sec) になった 80MB/sec 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 110 120 130 140 150 160 170 180 VM09 VM08 VM07 VM06 VM05 VM04 VM03 [sec] 図 5. SOFS 構成でマルチインスタンスの 最小 を設定した際の仮想ディスクスループットの変化 図 5 の14すべての時点において 全 VM に対して均等に I/O 負荷がかかっています 1 の時点は 全 VM に対してストレージ QoS 未設定の状態です 2 の時点で VM05 の仮想ディスクそれぞれに対して最小 1500IOPS (12MB/sec) を設定したところ 期待どおり 12MB/sec( 合計 60MB/sec) のスループットになりました 3 の時点で VM05 の仮想ディスクそれぞれ最小 2000IOPS (16MB/sec) に設定変更したところ ここでも期待どおり 16MB/sec( 合計 80MB/sec) のスループットになりました 4 の時点で 全 VM に対するストレージ QoS を未設定にしました 5

このように SOFS 構成での 最小 設定は Windows Server 2012 R2 の場合とは異なり ホストクラスター構成 においても 設定したとおりのスループットになることを確認できました 3.2 シングルインスタンスで 最小 を設定した場合の動作確認次に 新たなストレージ QoS 動作であるシングルインスタンスポリシーのふるまいを確認しました その際 異なるホストで動作する VM に対して 同じシングルインスタンスポリシーを適用しても 期待通りに動作することも確認しました ストレージ QoS の設定を 表 3 のとおり変化させて仮想ディスクのスループットを測定しました 表 3. ストレージ QoS 設定の変化 ( シングルインスタンスポリシー ) シングルインスタンスポリシー ホスト 1 ホスト 2 1 未設定,,VM03,VM04,VM05 VM06,VM07,VM08,, 2 最小 4000IOPS(32MB/sec), 未設定 VM03,VM04,VM05 VM06,VM07,VM08,, 3 最小 4000IOPS(32MB/sec), 最小 6000IOPS(48MB/sec) VM03,VM04 未設定 VM05 VM06,VM07,VM08,, 4 最小 4000IOPS (32MB/sec), 最小 6000IOPS (48MB/sec) VM03, VM04,VM05 VM6 未設定 VM07,VM08,, 5 最小 4000IOPS (32MB/sec), 最小 8000IOPS (64MB/sec) VM03, VM04,VM05 VM6 未設定 VM07,VM08,, 以下に測定結果を示します 6

[MB/sec] 120 80 60 40 20 0 1 2 3 4 5, の合計スループットは期待値 32MB/sec になった 32MB/sec VM03,VM04の VM05,VM06を加えても合計スループットは合計スループットは期待値 48MB/secになった期待値 48MB/secになった 48MB/sec 48MB/sec VM03VM06 の合計スループットは期待値 64MB/sec になった 64MB/sec [sec] VM09 VM08 VM07 VM06 VM05 VM04 VM03 図 6. SOFS 構成でシングルインスタンスの 最小 を設定した際の仮想ディスクスループットの変化 図 6 の15すべての時点において 全 VM に対して均等に I/O 負荷がかかっています 1 の時点は 全 VM に対してストレージ QoS 未設定の状態です 2 の時点で と にシングルインスタンスの 最小 4000IOPS(32MB/sec) を設定したところ と が帯域を分け合う形で合計スループットは期待値の 32MB/sec になりました 3 の時点で VM03 と VM04 に対して2とは異なるシングルインスタンスとして 最小 6000IOPS(48MB/sec) を設定したところ VM03 と VM04 が帯域を分け合う形で合計スループットは期待値の 48MB/sec になりました 4 の時点で VM03 と VM04 のシングルインスタンスに対して VM05 と VM06 を追加したところ VM03 から VM06 が帯域を分け合う形で合計スループットは期待値の 48MB/sec になりました 5 時点で VM03 から VM06 のシングルインスタンス対して 8000IOPS(64MB/sec) に設定変更したところ VM03 から VM06 が帯域を分け合う形で合計スループットは期待値の 64MB/sec になりました なお, は2から5まで変化なく期待値の 32MB/sec を維持しました このように シングルインスタンスで 最小 設定した場合には 異なるホストで動作する VM を同じシングルインスタンスポリシーに混在させても 期待通り 帯域を分け合うことを確認できました 4. マルチテナントにおけるストレージ QoS 設定例前述の検証では マルチインスタンスに 最小 を設定した場合でも クラウド基盤全体での QoS 制御ができることが分かりました また シングルインスタンスに 最小 を設定する際に 異なるホストで動作する VM に同じポリシーを適用した場合でも 帯域を分け合う事が分かりました ここでは 最小 設定だけでなく 最大 設定を組み合わせて マルチテナントで使われることを想定した QoS 設定例を紹介します 想定したテナントには業務の優先度があり 各々のテナント要件は以下のとおりとします 7

テナント #1:, 優先度は高 最重要な業務を行っているため 各々の VM に最低限 16MB/sec の帯域を確保するだけでなく 帯域に余裕があれば もっと帯域を使いたい テナント #2: VM03,VM04 優先度は中 他のテナントの負荷が高い場合でも 最低限 32MB/sec の帯域を確保したい ただし 32MB/sec で十分まかなえる業務を行っており 最大 32MB/sec までしか帯域を使わせない テナント #3: VM05 優先度は低 雑多な業務を行っており 最大 24MB/sec までしか帯域を使わせない 図 7 にテナントごとの I/O 帯域使用イメージを示します [MB/sec] 50 40 30 20 10 それぞれ最低限 16MB/sec を確保したい余裕があればもっと使いたい 最小 最低限 32MB/sec を確保したい 最大 最小 VM4 VM1 VM2 VM3 最大 32MB/sec に制限したい 最大 24MB/sec に制限したい 最大 VM9 VM8 VM7 VM6 VM5 テナント #1 テナント #2 テナント #3 図 7. テナントごとの I/O 帯域使用イメージ このような場合 VM に対して以下のポリシーを適用します,: マルチインスタンス 最小 2000IOPS を設定 (16MB/sec) 帯域に余裕がある場合には 16MB/sec 以上に帯域を利用できます VM03,VM04: シングルインスタンス 最小 4000IOPS と 最大 4000IOPS を設定 (32MB/sec) 最小 と 最大 に同じ値を設定することで 32MB/sec 以下にも以上にもなりません VM05: シングルインスタンス 最大 3000IOPS を設定 (24MB/sec) 最大 24MB/sec までしか帯域を利用できません 図.8 に 実際に設定した場合の仮想ディスクスループットを示します 8

VM05 の合計スループットは期待値 24MB/sec に固定 VM03,VM04 の合計スループットは期待値 32MB/sec に固定, はそれぞれ期待値 16MB/sec 以上 ( 合計 32MB/sec 以上 ) を確保 [MB/sec] 120 80 60 40 20 0 24MB/sec 32MB/sec VM09 VM08 VM07 VM06 VM05 VM04 VM03 図 8. マルチテナント利用を想定した際の仮想ディスクスループット 5. まとめ Windows Server 2016 は SOFS 構成において ポリシーベースのストレージ QoS を利用できるようになります ポリシーベースのストレージ QoS を利用することで クラウド基盤にあるテナント / サービスごとに I/O 帯域を制御できるため 管理者の作業負荷軽減が期待できます 今回は PCサーバ FUJITSU Server PRIMERGY( プライマジー ) とストレージ FUJITSU Storage ETERNUS( エターナス ) を用いて Windows Server 2016 のホストクラスター構成におけるストレージ QoS が期待どおりに動作することを確認しました ( 注意 ) 評価した Windows Server 2016 Technical Preview 2 は開発段階にあるため仕様変更の可能性があります また 測定値については 開発中の機能であることと評価環境により左右されるため 参考値としてご覧ください 9

PC サーバ FUJITSU Server PRIMERGY につきましては 以下の技術情報を参照願います PC サーバ FUJITSU Server PRIMERGY( プライマジー ) http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/ FUJITSU Server PRIMERGY 機種比較表 http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/products/lineup/select-spec/ FUJITSU Server PRIMERGY サーバ選定ガイド http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/products/lineup/select-model/ PC サーバ FUJITSU Server PRIMERGY のお問い合わせ先 PC サーバ FUJITSU Server PRIMERGY お問い合わせ http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/contact/ 基幹 IA サーバ FUJITSU Server PRIMEQUEST につきましては 以下の技術情報を参照願います 基幹 IA サーバ FUJITSU Server PRIMEQUEST( プライムクエスト ) http://jp.fujitsu.com/platform/server/primequest/ FUJITSU Server PRIMEQUEST 製品ラインナップ http://jp.fujitsu.com/platform/server/primequest/products/ 基幹 IA サーバ FUJITSU Server PRIMEQUEST のお問い合わせ先 本製品のお問い合わせ http://jp.fujitsu.com/platform/server/primequest/contact/ 10