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資料 3-2 政策討議 農業 統合イノベーション戦略 ( 農業分野 ) の策定に向けて Ⅱ 日本が目指すイノベーション 平成 30 年 2 月 28 日 農林水産技術会議事務局

1. 日本の強み 1 スマート農業 センサー技術 などスマート農業の核となる要素技術は我が国で多く蓄積しており 我が国の強みを活かした 工業 農業 の融合が重要 < 栽培技術等に関する日米欧中韓への特許出願件数 ( 出願者国籍別 )> 項目 1 位 2 位 3 位 センシング日本 (267) 欧州 (196) 米国 (193) スマート農業用機械 ( ハードウェア ) 日本 (164) 欧州 (158) 米国 (153) 各種支援システム ( ソフトウェア ) 日本 (162) 欧州 (140) 米国 (127) 環境制御 ( 育種技術に関するもの ) 日本 (169) 韓国 (136) 欧州 (52) 施設園芸農業 ( 1990~2014 年 ) 日本 (8,315) 中国 (6,176) 韓国 (3,659) の記載がないものについては 1993~2012 年出典 : 特許出願技術動向調査等報告 我が国の強みを活かした 工業と農業の融合 が重要 自動車部品メーカーの事例 自動車分野で培った高耐候性 高精度のセンサー技術等を応用し ハウス栽培における環境制御技術を開発 栽培ノウハウをもつ種苗販社と共同して農業生産支援のサービスを展開 ( 株 ) デンソー トヨタネ ( 株 ) のホームページ パンフレットより引用 2-1

2-2 Ⅱ 日本が目指すイノベーション 1. 日本の強み 2 新たな育種技術 健康関連市場の急速な拡大 アジアにおける食市場の拡大で 日本の農林水産物の市場開拓 拡大の機会 日本のイネ等のゲノム研究 ゲノム育種は世界トップレベル トマト等のゲノム編集農水産物の開発や競争力のある国産ゲノム編集技術の開発が進行 < チャンス > 健康関連市場の急速な拡大 アジアにおける食市場の拡大 農業競争力強化プログラム等による民間事業者の参入促進 生物情報ビッグデータの蓄積とゲノム編集技術の登場 新たな育種技術の確立による高付加価値農作物の生産 流通の可能性 < 強み ( さらに発展させるべき分野 )> 日本の農家による高品質な農作物の生産 世界トップレベルのイネ等のゲノム情報の蓄積 ゲノム育種 イネ トマト ジャガイモ マグロ等のゲノム編集農水産物の研究開発 競争力のある国産ゲノム編集技術の開発 世界第 5 位の植物遺伝資源や豊富な育種素材 我が国独自の遺伝子組換えカイコを用いた有用物質生産技術 機能性農産物 食品開発 高品質な農作物 育種素材 国産農産物の輸出力強化 生体情報の蓄積新たな育種技術

1. 日本が目指すイノベーション 1 スマート農業 世界的な潮流となりつつあるデータ駆動型の精密農業を確立するため 機械 施設の IoT 化 インテリジェンス化を進め 多様なデータなどを自動センシングしてビッグデータ解析し 自動管理する技術の開発を目指す また 中山間地域など多様な地域に導入可能になるよう 従来にない 破壊型イノベーション を指向する データ駆動型の革新的スマート生産システムの創出 世界的に実施されていない施設園芸 野菜 果樹でのスマート農業の展開 ( 我が国の強みである きめ細かな栽培による高品質生産をデータ等に基づき実現 ) 農業データ連携基盤 小型で機能を特化した農機などによるスマート農業の展開 完全無人など高精度 高スペックの自動化技術 ( 平地の大規模農地 ) AI イメージ 機能限定小型化低価格化など 中山間農業などに展開 ドローンや農機 施設のセンサーからデータを自動センシングして自動管理 作物の生育状況等を把握し 自動で施肥や農薬散布する技術など スペックや機能の特化 ダウンサイジングなど 従来にない発想で自動作業農業機械を開発 小型の自動農業機械が連携 協調しながら作業する技術など 2-3

1. 日本が目指すイノベーション 2 スマート農業 スマート農業は低コスト化 省力化といった生産性の向上のほか きめ細かな土壌診断や作物の生育情報の把握 病害虫の発生予測の高度化を通じた化学肥料や農薬使用量の最少化 施設園芸における高度な環境制御を通じた化石燃料の使用量の削減など 環境負荷の低減 環境保全にも貢献 < きめ細かな施肥 農薬散布 > ドローンを活用したほ場や作物のセンシング AI を活用した病害虫の画像診断 センサーを搭載した可変施肥田植機 < 施設園芸における高度な環境制御 > ほ場毎の肥料濃度のバラツキ等を把握 病害虫の発生状況を迅速に把握 センシングデータ等に基づききめ細かな施肥 農薬散布 化学肥料や農薬を最少化 自動で適切な肥料を投入 高度な環境制御により温室内の温度をムダ ムラなく最適管理 暖房に使用する化石燃料を低減 環境負荷の低減 環境保全に貢献 2-4

2-5 Ⅱ 日本が目指すイノベーション 1. 日本が目指すイノベーション 3 スマート農業 農林水産物の生産から流通 消費 加工 輸出まで様々なセンシングデータを自動的に収集してビッグデータ化し 情報のバリューチェーン を形成する 流通加工情報 販売 市況 消費情報 輸出関連情報 農業データ連携基盤の機能を強化 拡張

1. 日本が目指すイノベーション 3 スマート農業 実需者ニーズの多様化 定時 定量 定品質といった食品に求める概念の拡張が進展する一方 フードチェーン各主体の連携不足等により需給のミスマッチ 廃棄ロス等が発生 国内外のニーズなどの情報を産業の枠を超えて共有し それに即した生産体制を可能とする 生産から流通 加工 販売 輸出まで含めた 市場ニーズに的確に対応するスマートフードチェーンの構築が必要 生産 流通段階での人手不足 段階毎の対応に限界 知見データ蓄積の遅れ フードチェーンにおける課題 経験 勘に基づく作業 業務が主流であり 規模拡大や新 規参入 新たなビジネスモデルの確立を阻害 〇システムの分断 全体非効率 企業が個別にシステム化 フードチェーン各段階で ぶつ ぎり 状態 業務データが様々なシステムやドキュメントに点 在 個社別の精度の低い需要予測 農業特有の要因 ( 天候等 ) 市場動向のリスクが存在 旧来のプロダクトアウト型の経営を継続 生産 流通の各主体の連携不足 過剰在庫 コールドチェーンの途切れが発生 〇市場と生産現場におけるタイムラグ 変化する市場状況に対応し 柔軟に多数の生産者と消 費者 実需者のニーズを結び付けるのは熟練者でも困難 1 ビッグデータの形成 共有化 多数圃場に対応したセンシングデータ等に基づく高精 度な生産予測技術の開発 ブロックチェーン技術等による流通情報の集積 既存データへの接続及び連携のための技術開発 2 生産 流通 販売における連携システムの開発 生産情報を踏まえた物流における最適化技術 気象情報等を組み合わせた生鮮品の高精度な需要 予測技術 3 AI による需給マッチング支援技術の開発 AI を活用したマッチング ( 最適出荷先 時期等 ) 技術の 開発 消費者行動 実需者情報等に基づく生産 作業計画策 定技術 求められる技術開発 販売 消費まで含めたスマートフードチェーンに係るデータ連携基盤の運営は国立研究開発法人を想定 2-6

1. 日本が目指すイノベーション 4 スマート農業 データ連携によるスマートフードチェーンにより 生産から流通 販売まで様々な効果が実現 生産流通 加工 販売 消費 1. 食品の安全性の確保 付加情報の提供 フードチェーンの各段階における安全性の確保に加え 各段階の実践規範によるマネジメントシステムの構築 ブロックチェーンを活用した偽造 改ざん防止技術により 一気通貫 種子から口に入るまで のトレーサビリティを構築し 新たな価値の創出 2. 需要と供給のバランスの安定化 日本ブランド農産物を定時 定量 定質に提供 多様化する消費者 実需者ニーズに対応する精緻な需給計画 新たな流通販売システムの構築による生産者の企業化及び他産業 ( 流通業界 ) からの農業への参画による需給バランスの安定化と廃棄ロスの削減 3. 不確定要素の排除 4. 集中生産の実現 5. 生産リードタイムの短縮 6. 優秀良品 ( 規格外品等 ) の流通 7. 適正な在庫 出荷管理 8. 一貫したコールドチェーンの設置 9. 食品卸売業界特有の機能のパッケージ化 10.JAN コード化 11. 技術革新による新たな流通市場の構築 12. 通いコンテナシステムの構築 14. 消費者嗜好等の情報提供 販売網の強化 15. 食を切り口とした生活提案 16.1 次産業から 6 次産業 新たな産業への提案 17. 買い物弱者への新サービス 18. 輸出の促進 13. 効果 効率的な多度小口配送 2-7

1. 日本が目指すイノベーション 5 新たな育種技術 直面する課題等 目指すべき経済社会像 ( ビジョン ) 我が国の農業従事者の高齢化 (65 歳以上が 6 割以上 ) 深刻な担い手不足による農業崩壊の危機 農業生産性向上等の課題 地球規模の気候変動等への対応 人口増加による世界 ( 特にアジア ) の食料市場の拡大 持続可能な開発目標 (SDGs) 目標 2 飢餓をゼロに の達成への貢献 世界の種子業界の再編 世界の大手種子企業がゲノム編集農作物を開発 バイオインフォマティクス企業と提携 バイオテクノロジー 生物機能の高度活用によるイノベーション ビッグデータ バイオテクノロジー等を活用した品種改良 ( スマート育種 ) により 農業が直面する課題を克服 生産者の所得向上等が図られ 農業が魅力ある産業になる 環境に優しい農業により 気候変動等への対応 世界の食料安定供給を実現 ( 新 緑の革命 ) バイオテクノロジー AI ICT 等の活用 若者にも魅力ある農業 生産者の所得の向上 安定 種苗開発体制の強化 輸出拡大 世界の食料安定供給に貢献 バイオテクノロジー 生物機能の高度活用による新産業の創出 産業システムの改革 バイオテクノロジーを用いた品種改良により 農林水産業が変わる ゲノム情報を用いた品種改良 (DNA マーカー選抜育種等 ) ゲノム編集技術等により画期的な品種を開発 農林水産業のあり方を改革 機能性成分を多く含み食味も優れる野菜品種 ( タキイ種苗 ) DNA マーカー育種 病害虫が付きにくいブリ類 ( 水産機構 ) DNA マーカー育種 ゲノム編集技術を利用した品種開発 (SIP) バイオとデジタルの融合による スマート育種システム の開発 育種ヒ ック テ ータの整備 ビッグデータ解析 スマート育種システム 先端ゲノム育種技術による育種素材等の開発 先端ゲノム育種技術の開発ゲノム編集技術 ケ ノミックセレクション等 ニーズ 実需者等 品種開発 民間事業者等への育種素材 品種開発サービス等の提供 新 緑の革命 (New Green Revolution) 環境と経済性に配慮しつつ 世界的な気候変動への対応と食料安定供給を実現する品種 栽培技術を開発 アジア アフリカ等に展開 超多収品種 干ばつ 多雨耐性品種 高温耐性品種 病害虫耐性品種 ( 低農薬 ) 遺伝資源の確保 民間等への提供 ジーンバンク ( 農研機構 ) 2-8

2-9 Ⅱ 日本が目指すイノベーション ( 参考 ) 現行 SIP 次世代農林水産業創造技術 成果の今後の展開方向 課題 これまでの主な成果 今後の展開方向 スマート農業 農業データ連携基盤 水田農業 施設園芸 29 年末にプロトタイプを構築し 主要農機メーカー ICT ベンダーが接続して試験運用を開始 参画企業拡大のための協議会を設立し 現在 約 110 社が参加 自動走行トラクターの 30 年度市販化決定 遠隔 自動水管理システムの市販化 コメ生産の 4 割以上のコスト低減を経営評価 実証試験では オランダに比肩する収量 (62t/10a) が確保できる見通し 経営評価モデルで経営の収益性等を確認 31 年度から本格運用し発展させる 今後は 連携基盤の機能を強化 拡張 ( 生産から流通 加工 消費 輸出までスマートフードチェーン化 ) を図る必要 現行 SIP 成果は順次市販化 今後は 施設園芸 野菜 果樹等でデータ駆動型のスマート生産システムの展開が必要 育種 機能性成分 GABA 高含有トマトを開発 ゲノム編集イネの野外隔離栽培の実施 ( 総穂重の増加 ) 今後は ビッグデータを活用した育種システムの高度化を図る一方 社会受容の促進を図っていく必要