レタッチ - 1 レタッチの概念 Photoshop CS の概要 RAW 現像
レタッチ (retouch) = 修整作業 銀塩写真の修整技術 現像 焼付時の化学変化をコントロール フィルム現像時 : 増感 減感 など 焼付時 : 露光時間 現像時間 薬剤配合 液温調整 など 部分的な画像修整 加工 焼付時 : トリミング 部分焼き込み 覆い焼き マスキング 多重露光 色フィルター など 原版修整 : 鉛筆でしわ隠し など デジタル写真の 修整 技術 画像処理ソフトを使い 銀塩写真の修整に相当する作業を行う デジタル写真の 加工 技術 画像処理ソフトを使い 画像の変形 パターン化 合成などを行う 2
RGB= 光の三原色 Red 色相環 しきそうかん 復習 第 2 回 Yellow Magenta 明るい 光が多い 色は RGB の混ざり具合で決まる! Green 暗い光が少ない Cyan Blue R.G.B の明るさを個別に調整すれば画像の色 明暗をコントロールできる! = レタッチ 明るさの階調 : 256 段階 0~255 (=2 8 ) (8 ビットコーデイングの場合 ) 表現できる色の数 : 16,777,216 色 3
デジタル撮影の概念 4288 画素 2848 画素 光 光 電子変換素子 (CCD,CMOS) 1 画素 (Pixel) 例 : ニコン D300 R G B V 4288 H 2848 =12,2133,224 画素 この図は概念を示すもので 実現の方法は様々 カメラ内蔵の画像処理エンジン 増幅 増幅 増幅 デジタルデータ (10100101 ) カメラ内自動画像処理 ホワイトバランス 露出調整 色調 彩度 コントラスト シャープネス etc. デジタル情報化 デジタル情報化 デジタル情報化 データ圧縮 カメラ内で画像処理を加えないデータ R A W インターフェイス JPG 復習 記憶媒体 ( メモリーカード ) カメラ内で画像処理を加えたデータ 4
何故 RAW で撮影? JPG で撮影した場合のデメリット 作品作りをカメラ内蔵ソフトに依存 内蔵ソフトが撮影データを解析 WB 明度 彩度 コントラスト シャープネス等を最適に調整パソコン閲覧 小判プリントに適した作画 ( クッキリ感強調 ) JPGデータをレタッチする場合の不都合 非可逆圧縮による画質劣化が不可避 レタッチソフトはRAWからの作業が前提 JPGからの作画は作業性が悪い 出血大サービス! 現像無料プリント 1 枚 8 円! RAW = 撮像素子の各画素から取り出した RGB 値の生 ( ナマ ) データ ( 撮影済 未現像フィルムの 潜像 に相当 ) RAW 現像 レタッチ = デジタル暗室 で作品作り! RAW 撮影 + レタッチ = 暗室手作業 RAW 現像 + レタッチで暗室作業の楽しさを取り戻そう! 5
レタッチソフト RAW 現像からレタッチまで 一貫作業できるソフト RAWデータ : カメラメーカー モデル毎に異なる非標準の信号 汎用ソフトでは再生できない ファイルに表示される拡張子の例 : Nikon:.nef Canon:.crw RAW 現像 + 簡易レタッチ ( 初心者用 作品作りには不十分 ) デジカメ購入時に添付されるメーカー提供の無償ソフト Canon: ZoomBrowser EX Digital Photo Professional など Nikon: View NX など メーカーが提供する有償ソフト メーカーの特徴を打ち出した高度なレタッチソフト Nikon: Capture NX など サードパーテイが提供する有償ソフト メーカー モデルを問わず使える汎用ソフト ( アップデートが必要 ) カメラメーカーからRAWデータのアルゴリズム提供を受けて開発 超高機能 特定機能 使い勝手等に特徴のあるソフト Adobe Photoshop CS など 6
Adobe Photoshop CS 米国 Adobe 社が提供するデジタル画像処理ソフト 画像修整 加工ソフトの 業界標準 ( プロ用 ) 高機能 ( 画像処理はほぼ何でも可能 ) 高価格 (10 万円 ~) 現在は第 5 版 (CS-5) の日本語版が流通 フル機能版 CS-5 Extended と通常版 (CS-5) あり ( 自然写真を扱う場合は通常版の機能で足りる ) ウェブデザインのツールとしても業界標準 Photoshop Elements は機能限定版 高度な部分補正 画像加工しなければ Elementsの機能でも足りる? 画像ブラウザー Adobe Bridge と一体で使用 Adobe Bridge は Photoshop CS に同梱 正しいライセンス登録が必須 ( パソコン1 台にPhotoshop CS 1 本 ) 登録 自動更新 RAW 現像に必要な最新ソフトが提供される 7
Photoshop CS を使ったレタッチ作業の流れ 撮影済データ (RAW) の取り込み 記憶媒体をパソコンにつなぐと Adobe Bridge が自動的に立ち上がる 保存フォルダーを指定 撮影日毎のフォルダを自動的に作成 取り込み開始 RAW 現像 レタッチ Adobe Bridge 上の画像をクリック Photoshop が立ち上がり RAW 現像画面が出る RAW 現像画面で基本的な補正を行う露出補正 ホワイトバランス補正など OK で RAW 現像終了 RAW データ + 補正データ ( 隠しファイル ) が保存される Bridge 上で現像済み画像 ( マーク付き ) をクリック Photoshop が立ち上がり 現像済の画像が出る レタッチツールを使って画像を最適化 保存方式 (.psd.tiff.jpg など ) を選んで保存 8
取り込み RAW 現像 レタッチの流れ例 RAW 撮影元データ RAW 現像後 レタッチ後 ( コントラスト調整 ) 作品 (WB 再調整 トリミング ) ( デジタル画像加工例 ) 明度ダウン 赤カブリ生成 明度ダウン 雲消去 月合成 人物合成 9
RAW 現像時の留意点 作業開始前に確認すること : Photoshop デフォルト ( 既定の設定 ) のパラメーターを確認 色空間 (srgb or Adobe RGB) をカメラの設定と一致させる 何ビットで処理? 標準 :8bit 16bit: 高画質 ( 超重くなる ) モニターのキャリブレーションは? モニターのWBや輝度が不正確では 補正 が無意味 一般モニターの傾向 : 色温度 明度が高い ( クッキリ感を強調 ) 処理前 処理後データを収容するフォルダーを準備 オリジナルの撮影データを必ず残す ( 後日ゼロからやり直し可能な状態 ) 撮影時のイメージに合わせて露出 色調を補正 RAW 現像時の補正は WB と露光に留める レタッチ段階でも補正可能だが RAW 現像時の方が作業性が良い 上記以外の補正 微調整は現像後 レタッチ段階の方がやりやすい 銀塩写真でも 現像 = 素材作り ( フィルム ) 焼付 引伸 = 作品作り 10
出現した画素の度数0 階調 255 ヒストグラム ( 度数分布図 ) = 色や階調を客観的に確認するツール 復習 シャドウ部分 ハイライト部分 Red 画素階調分布 Green 画素階調分布 RGB 全チャンネルの階調の分布 Blue 画素階調分布 R.G.B の階調を個別に調整できる 11
絵の調子 ヒストグラムに現れた特徴を読む習慣を! ノーマル ハイキー 明るい ローキー 暗い レタッチ = 階調分布を意図的に変化させる RGBを同量で変化 明度 コントラスト RGBを個別に変化 彩度レタッチソフト = 分布を変化させるツール 12
RAW 現像の実際 露出補正 ヒストグラムが 0~255 に拡がるように露光量を補正 レタッチ時にバランス良くメリハリの効いた画面を作りやすい 白とび軽減 黒レベル 補助光効果も使うと便利だが フラット化に注意 WB 補正 気分 で補正すると錯覚に陥りやすい ( 補正は控えめに ) 自然写真では光線状態による 色カブリ 発生が自然の状態 厳密にWBを出すと不自然な絵になるので要注意 過度な 色カブリ効果 の追及 ( 赤出し ) も不自然な絵になりがち 厳密なWBが必要な場合 ( 商業写真 人口光線での撮影など ) グレイチャートを写し込んで撮影 無い場合は絵の中にグレイ点を探す グレイ点の RGB 値をスポイトで測定 ( 出来れば明 暗 2 点以上で ) グレイ点の RGB 値が均等になるように WB 調整スライドを左右 ±5 程度で OK ±5 に入らない場合は色カブリ調整スライドも左右 ほど良いところで OK 現像終了 レタッチ画面が開く 13
RAW 現像の例 例 1 露出不足補正 例 2 露出オーバー補正 例 3 シャドゥ部を押す補正 例 4 青カブリ ( 日陰 ) 補正 例 5 赤カブリ ( 人工光 ) 補正 例 6 意図的な赤カブリ生成 14
今日はここまで お疲れ様でした! 次回 (1 月日 ): レタッチ第 2 回 レイヤーの概念 トーンカーブの使い方 ビギナー専用! ベテランはご遠慮ください 15