資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

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「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

ICTを軸にした小中連携

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

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総合的な学習の時間とカリキュラム・マネジメント

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

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平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

平成29年度 中学校英語科教育 理論研究

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7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

第4章 道徳

自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

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新学習指導要領の理念と カリキュラム マネジメント 2019( 平成 31) 年 1 月 16 日 文部科学省 3 階講堂 天笠茂 ( 千葉大学特任教授 )

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

各教科 科目において 基礎的 基本的な知識 技能の習得とともに 知識 技能を活用する学習活動を重視すること 各教科 科目において 義務教育と高等学校との間の系統性を重視した円滑な接続を図ること 豊かな心や健やかな体の育成のため 道徳教育の充実や健やかな心身の育成についての指導の充実を図ること 生きる

2、協同的探究学習について

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平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

平成 30 年 4 月 1 日 平成 30 年度 第 70 回 日本連合教育会研究大会 桐生大会 大会主題 分科会研究協議題 等 Ⅰ 大会主題及び大会主題設定の趣旨 Ⅱ 分科会研究協議題 研究協議題設定の理由 研究協議の視点 (1) 第 1 分科会国語 (2) 第 2 分科会 社会 (3) 第 3

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り込んで獲得するものではなく 探究の過程を通して 自分自身で取捨 選択し 整理し 既にもっている知識や体験と結び付けながら 構造化され 身に付けていくものである そして こうした過程を経て獲得された知識は 実社会 実生活における様々な課題の解決に活用可能な生きて働く知識 すなわち概念として形成されて

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである


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2021 年度入学者選抜について ~ ひとりひとりの個性と可能性を見つめる入試へ ~ 4 月 4 日 関西学院大学 関西学院の使命は キリスト教主義教育によって Mastery for Service を体現する世界市民 を育み 世に輩出することにあります 世界市民 とは 他者と対話し共感する能力を

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ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

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(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

【学習指導要領改訂】 高等学校の新教科・科目構成(案)|旺文社教育情報センター

造を重ねながら取り組んでいる 人は, このような自分の役割を果たして活動すること, つまり 働くこと を通して, 人や社会にかかわることになり, そのかかわり方の違いが 自分らしい生き方 となっていくものである このように, 人が, 生涯の中で様々な役割を果たす過程で, 自らの役割の価値や自分と役割

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

基礎を育てることを主なねらいとしている 現在 地方自治体を取り巻く状況は 少子高齢化 情報化 グローバル化 経済の変動などによ り急速に変化している また 地方分権を推進する法律がつくられ 各地方自治体は 財政の健全 化や組織の改編 市町村合併等の新しい枠組みづくりに取り組んでいる さらに 子育て支

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

資料1 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第1~第3回)における主な意見等

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平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

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はじめに ~ まだ見ぬ未来を拓くために ~ 想定にとらわれることなく対処する ミスを恐れることなく 最善を尽くす そして 指示を待たずに 率先して引率者になる この言葉は 防災教育の取組を通して生み出された言葉ですが 災害発生時に限らず 現代あるいは将来の社会のあらゆる場面で生きて働く教訓です また

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平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県和歌山市 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

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国語 B では 話すこと 聞くこと 領域において 全国及び県平均を上回っているが 他の三つの領域においては 全国及び県平均を下回っている 活用する力を育成する取組のさらなる充実が必要である 設問 1 の目的に応じて 話し合いの観点を整理する力は身についてきている 設問 3 の二つの詩を比べて読み 自

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

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2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

工業教育資料347号


Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

思ったこと や 考えたこと が混同した学習になります 調べる時間には 提示資料を中心に記述させましょう 考えさせる時間には 調べて分かったことから なぜなのか どうして ~するのか まとめさせましょう 最後に 話し合う時間には 教科書から読み取った情報と考えを分けて交流させましょう そして 教師によ

中学校における授業実践事例 1 第 3 学年社会科 消費生活と経済 1 学校名 職氏名萩市立田万川中学校教諭室谷雄二 2 生徒 3 学年 15 人 3 学習指導案 (1) 題材名消費生活と経済 (2) 題材の目標経済活動の意義について消費生活を中心に理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済


解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

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教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

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人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

Taro-H29結果概要(5月25日最終)

~この方法で政策形成能力のレベルアップが図れます~

山梨大学教職大学院専攻長 堀哲夫教授提出資料

第 1 章 第 1 道章道徳徳科科 指指導導とと評評価1 求められる道徳科の授業 価 理論編 (1) 改訂の趣旨をどのように捉えるか人格の完成及び国民の育成の基盤となるものが道徳性です その道徳性を育てることが 学校教育における道徳教育の使命です 道徳教育においては 人間尊重の精神と生命に対する畏敬

第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

新しい幼稚園教育要領について

道徳科の授業を構成する手立て 1 教育課程編成の一般方針道徳教育は, 学校や児童生徒の実態などを踏まえ設定した目標を達成するために, あらゆる教育活動を通じて, 適切に行われなくてはならない その中で, 道徳科は, 各活動における道徳教育の要として, それらを補ったり, 深めたり, 相互の関連を考え

第 2 章 知 徳 体 のバランスのとれた基礎 基本の徹底 基礎 基本 の定着 教育基本法 学校教育法の改正により, 教育の目標 義務教育の目標が定められるとともに, 学力の重要な三つの要素が規定された 本県では, 基礎 基本 定着状況調査や高等学校学力調査を実施することにより, 児童生徒の学力や学

指導内容科目国語総合の具体的な指導目標評価の観点 方法 読むこと 書くこと 対象を的確に説明したり描写したりするなど 適切な表現の下かを考えて読む 常用漢字の大体を読み 書くことができ 文や文章の中で使うことができる 与えられた題材に即して 自分が体験したことや考えたこと 身の回りのことなどから 相

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

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第○学年○組 学習指導案

Transcription:

平成 2 8 年 7 月 2 9 日 ( 第 3 回 ) 中央教育審議会教育課程部会考える道徳への転換に向けた WG 資料 3 道徳科における 主体的 対話的で深い学び を実現する学習 指導改善について 主体的 対話的で深い学び を実現する学習 指導改善の視点 ( アクティブ ラーニングの視点 ) 1 深い学び の視点と 見方 考え方 3 対話的な学び の視点 4 主体的な学び の視点 5

主体的 対話的で深い学び を実現する学習 指導改善の視点 ( アクティブ ラーニングの視点 ) 総則 評価特別部会 小学校部会 中学校部会 高等学校部会における議論のとりまとめ ( 案 ) ( 平成 28 年 7 月 11 日教育課程企画特別部会資料より ) 5. どのように学ぶか ( 各教科等の指導計画の作成と実施 学習 指導の改善 充実 ) 各学校は カリキュラム マネジメント を通じて 子供たちが 何ができるようになるか 何を学ぶか どのように学ぶか を組み立てていくことが求められるが このうち どのように学ぶか の鍵となるのが アクティブ ラーニングの視点 すなわち子供たちの 主体的 対話的で深い学び をいかに実現するかという学習 指導改善のための視点である 社会で生きて働く知識や力を育むためには 子供たちが 何を学ぶか という学習内容の在り方に加えて それらの内容を どのように学ぶか という 学びの過程に着目してその質を高めていくことが重要である 世の中をどのような視点で捉え どのような枠組みで考えたらいいのかという 物事に対する見方 考え方を身に付けて深く理解したり 多様な人との対話で考えを広げたり 学ぶことの意味と自分の人生や社会の在り方を主体的に結びつけたりしていくという学びが実現されることによって 学校で学ぶ内容が 生きて働く知識や力として育まれることになる こうした学びの過程が 主体的 対話的で深い学び であり こうした学びが実現するように 日々の授業を改善していくための視点を共有し取組みを活性化しようというのが 今回の改訂の主眼である 教育方法に関するこれまでの議論においても 子供たちが主体的に学ぶことや 学級やグループの中で協働的に学ぶことの重要性は指摘されてきており 多くの実践も積み重ねられてきた 我が国では 教員がお互いの授業を検討しながら学び合い 改善していく 授業研究 が日常的に行われ 国際的にも高い評価を受けているが そうした中で 子供が興味や関心を抱くような身近な題材を取り上げて 学習への主体性を引き出したり 少人数で対話しながら多様な考え方に気付かせたりするための工夫や改善が続けられてきている こうした 授業研究 の成果は 日本の学校教育の質を支える貴重な財産である 一方で こうした工夫や改善の意義について十分に理解されないと 例えば 学習活動を子供の自主性のみに委ね 学習成果につながらない 活動あって学びなし と批判される授業に陥ったり 特定の教育方法にこだわるあまり 指導の型をなぞるだけで学びにつながらない授業になってしまったりという恐れも指摘されている こうした 主体的 対話的で深い学び とは 特定の指導方法のことでも 学校教育における教員の意図性を否定することでもない 教員が教えることにしっかりと関わり 子供たちに求められる資質 能力を育むためにはどのような学びが必要かを絶え間なく考え 授業の工夫 改善を重ねていけるようにすることで 子供たちの 主体的 対話的で深い学び を実現しようとする営みなのである 1

主体的 対話的で深い学び については 論点整理 を踏まえたその後の議論を通じて 以下のように整理されている 習得 活用 探究の見通しの中で 教科等の特質に応じた見方 考え方を働かせて思考 判断 表現し 学習内容の深い理解や資質 能力の育成 学習への動機付け等につなげる 深い学び が実現できているか 子供同士の協働 教員や地域の人との対話 先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ 自らの考えを広げ深める 対話的な学び が実現できているか 学ぶことに興味や関心を持ち 自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら 見通しを持って粘り強く取組み 自らの学習活動を振り返って次につなげる 主体的な学び が実現できているか ( 深い学び と 見方 考え方 ) ( 略 ) 深い学び とは 習得 活用 探究の見通しの中で 教科等の特質に応じた見方 考え方を働かせて思考 判断 表現し 学習内容の深い理解や資質 能力の育成 学習への動機付け等につなげる 学びのことであると議論されている その具体的な姿については 現在 中央教育審議会において検討中であるが 学びの 深まり の鍵となるものとして 全ての各教科等で議論されているのが 各教科等の特質に応じた 見方 考え方 である 今後の授業改善等においては この 見方 考え方 が極めて重要になってくると考えられる 子供たちが 各教科等の学習において 様々な知識や力を身に付けていく過程の中で どのような視点で物事を捉え どのように思考していくのか という 物事を捉える視点や思考の枠組みも鍛えられていく 例えば算数 数学においては 事象を数量や図形及びそれらの関係に着目して捉えて論理的に考えていくこと 国語においては 言葉の働きを捉えて自分の思いや考えを深めたり表現したりしていくことなどである こうした 見方 考え方 は 各教科等の学習の中で活用されるだけではなく 大人になって生活していくにあたっても重要な働きをするものとなる 私達が社会生活の中で データを見ながら考えたり アイデアを言葉で表現したりする時には 学校教育を通じて身に付けた数学的な見方 考え方や 言葉に対する見方 考え方が活用されている いわば 頭の中の道具箱にある 見方 考え方 を活用しながら 世の中の様々な物事を理解し思考し よりよい社会や自らの人生を創り出していると考えられる この 見方 考え方 は 知識 技能を構造化して身に付けたり 思考力 判断力 表現力を豊かなものとしたり 社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものである すなわち 資質 能力の三つの柱全てに深く関わる 各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすものであり 教科等の教育と社会をつなぐものである 子供たちが学習や人生において 見方 考え方 を自在に働かせられるようにすることにこそ 教員の専門性が発揮されると考えられる ( 略 ) 2

道徳科の学習における主体的 対話的で深い学び 習得 活用 探究の見通しの中で 教科等の特質に応じた見方 考え方を働かせて思考 判断 表現し 学習内容の深い理解や資質 能力の育成 学習への動機付け等につなげる 深い学び が実現できているか 〇道徳科における 見方 考え方 の ( 案 ) 様々な事象を 道徳的諸価値の理解をもとに自己との関わりで ( 広い視野から ) 多面的 多角的に捉え 自己の ( 人間としての ) 生き方について考えること ( 括弧内は中学校の記述 ) 深い学び の視点から 道徳科において求められる改善の例( 案 ) 道徳的な問題を自分事として捉え 議論し 探究するプロセスを重視し 多面的 多角的な思考を促す主題の設定などを含めて 道徳科の特質を生かした学習活動の展開を構想すること 主題やねらいの設定が不十分な単なる生活経験の話合いや 読み物教材の登場人物の心情理解のみに終始する指導 ( 読み取り 指導) 望ましいとと思われることを言わせたり書かせたりすることに終始する指導( 押しつけ 指導) などに陥らないよう留意すること 多様な指導方法として 例えば 読み物教材の登場人物への自我関与を中心とした学習において 教材の登場人物の判断と心情を自分との関わりにおいて多面的 多角的に考えることを通し 登場人物に自分を投影して その判断や心情を考えることにより 道徳的価値の理解を深めること 様々な道徳的諸価値に関わる問題や課題を主体的に解決する学習において 児童生徒の考えの根拠を問う発問や 問題場面を自分に当てはめて考えてみることを促す発問 問題場面における道徳的価値の意味を考えさせること 役割演技など 道徳的行為に関する体験的な学習を通して 実際の問題場面を実感を伴って理解することで 様々な問題や課題を主体的に解決するために必要な資質 能力を養うこと 道徳的な問題場面には 1 道徳的諸価値が実現されていないことに起因する問題 2 道徳的諸価値についての理解が不十分又は誤解していることから生じる問題 3 道徳的諸価値のことは理解しているが それを実現しようとする自分とそうできない自分との葛藤から生じる問題 4 複数の道徳的価値の間の対立から生じる問題などがあり これらの問題構造を踏まえた場面設定や学習活動の工夫を行うこと 等 3

子供同士の協働 教員や地域の人との対話 先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ 自らの考えを広げ深める 対話的な学び が実現できているか 対話的な学び の視点から 道徳科において求められる改善等の例 ( 案 ) 教材や体験などから考えたこと 感じたことをまとめ 発表し会ったり 話合いなどにより異なる考えに接し 多面的 多角的に考え 協働的に議論したりするなどの工夫をすること 様々な道徳的諸価値に関わる問題や課題を主体的に解決する学習において グループなどで話合い 何が問題となっているのか 問題をよりよく解決するためにはどのような行動をとればよいのかなどについて多面的 多角的に考えて議論を深めること こうした学習ができるようにするため 日頃から何でも言い合え 認め合える学級の雰囲気をつくるとともに 教師が受容的な姿勢を持つこと 様々な専門家や保護者 地域住民がゲストティーチャーとして道徳科の授業に関わり児童生徒と対話すること 資料を通じて先人の考えに触れて道徳的価値の理解を深めたり自己を見つめる学習につながるような教材の開発 活用 自分自身に問いかけ対話することを通じて 道徳的価値を深く理解したり 自己の生き方についての考えを深めること 等 4

学ぶことに興味や関心を持ち 自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら 見通しを持って粘り強く取組み 自らの学習活動を振り返って次につなげる 主体的な学び が実現できているか 主体的な学び の視点から 道徳科において求められる改善の例 ( 案 ) 自己を見つめ 自己の生き方についての考えを深めるためには 主題やねらいの設定が不十分な単なる生活経験の話合いや 読み物教材の登場人物の心情理解のみに終始する ( 読み取り ) 指導 望ましいと思われることを言わせたり書かせたりすることに終始する ( 押しつけ ) 指導などに陥らないよう留意すること 道徳科における問題解決的な学習は 一定の答えを見いだしたり合意形成をすることが目的ではなく それを通して一人一人が気付いたことや感じたことを振り返る活動を取り入れること 年度当初に自分の有様や課題を考え 課題や目標を捉える学習を行うことや 学習の過程や成果などの記録を計画的にファイル等に集積 ( ポートフォリオ ) し 学習状況を自ら把握し振り返られるようにすること 児童生徒の発達の段階等を考慮し 身近な社会的課題を取り上げることにより 自分との関係において考え 解決に寄与しようとする意欲や態度を育てること 児童生徒が行う自己評価や相互評価を通じて 自身のよい点や可能性に気付いて主体的に学習に取り組む意欲を高めたり学習の在り方を改善したりすること 等 5