第3回成長資金の供給促進に関する検討会配付資料

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み状 (3) お取引先への専門家派遣必要に応じて お取引先へ税理士や中小企業診断士などの専門家を直接派遣する 外部専門家派遣制度 を活用し 経営支援機能の強化を図っています 19 況中小企業の経営の改善及び活性化のための取組み状況 中小企業の経営の改善及び活性化のための取組 3. 中小企業の経営支援

外部支援機関と連携した支援として 政府系金融機関との連携融資 信用保証協会の経営サポート会議 中小企業再生支援協議会の再生計画の策定事業 及びひょうご産業活性化センターとの専門家派遣事業 割賦制度等を活用した支援を行い 最適なソリューションの提案を行いました 中小企業の経営支援のための関係省庁の施策

金融円滑化に対する当金庫の取組状況 平成 27 年 11 月 13 日 高岡信用金庫

金融円滑化に関する方針 千葉銀行は 地域金融機関として 金融サービスの提供をつうじて 地域のお客さまニーズにお応えし 地域の発展に貢献する という役割 使命を果たす 姿勢を堅持してまいりました 特に 地域への円滑な資金供給をはじめとする金融仲介機能の発揮やお客さまへの経営健全化支援等による地域密着型

日本政策金融公庫 日本政策金融公庫 国民生活事業のご案内 国民生活事業のご案内

また 関係省庁等においては 今般の措置も踏まえ 本スキームを前提とした以下のような制度を構築する予定である - 政府系金融機関による 災害対応型劣後ローン の供給 ( 三次補正 ) 政府系金融機関が 旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に対して 資本性借入金 の条件に合致した

平成22 年 11月 15日

もみじ銀行:もみじ銀行について>進捗状況について(平成22年度)

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第3回成長資金の供給促進に関する検討会配付資料

金融仲介機能の質の向上に向けた取組み

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

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金融仲介機能のベンチマークについて 平成 29 年 3 月 ( 東証 1 部証券コート :8370 )

平成 24 年 11 月 13 日 新潟縣信用組合 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律第 7 条第 1 項に規定する説明書類 第 1 第 6 条第 1 項第 1 号に規定する法第 4 条及び第 5 条の規定に基づく措置の実施に関する方針の概要 当組合は 地域に根差し 地

説明会

平成 30 年 8 月 31 日 平成 31 年度の財政投融資計画要求書 ( 機関名 : 株式会社日本政策金融公庫 ( 特定事業等促進円滑化業務 )) 1. 平成 31 年度の財政投融資計画要求額 ( 単位 : 億円 %) 平成 31 年度平成 30 年度対前年度比区分要求額当初計画額金額伸率 (1

地域密着型金融 の進捗状況 芝信用金庫 当金庫は 地域密着型金融 を恒久的な取組み課題として位置付け 中期経営計画 の重点課題として また経営方針の重点施策にもかかげ 取引先企業への支援及び地域経済への貢献に向けて取組んでおります 平成 22 年 4 月 ~ 平成 22 年 9 月までの進捗状況をご

20 21 The Hachijuni Bank, LTD.

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律第 7 条第 1 項に規定する説明書類 奄美信用組合 奄美信用組合は 奄美地区における金融の円滑化への取り組みをこれまで以上に強化するとともに その取り組み姿勢をお客様にご理解していただき 借入の条件変更等に関する ご要望 ご相談に迅速

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田辺克己への督促状況

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平成22年○月○日

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各 位 平成 27 年 5 月 11 日 会社名株式会社みちのく銀行代表者名取締役頭取髙田邦洋 ( コード番号 8350 東証第一部 ) 問合せ先経営企画部長須藤慎治 ( ) 第四次中期経営計画の策定について 株式会社みちのく銀行 ( 頭取髙田邦洋 ) は 平成 27 年 4

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地域金融円滑化のための基本方針 川之江信用金庫は 地域金融機関として 中小企業の健全な発展と一般大衆の豊かな生活実現に努め 地域社会に貢献するため 以下の方針に基づき 地域金融の円滑化に全力を傾注して取り組んでまいります また 金融円滑化に関する相談 申込 苦情等への適切かつ迅速な対応 お客様の経営

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平成22年2月●日

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金融庁発足時の検査 監督手法 金融庁 ( 金融監督庁 ) は 発足当初 ( 監督庁 1998 年 ) 金融危機に際しての諸課題に対応し 以下を特色とする検査 監督の手法に転換 当時の大きな課題であった不良債権問題の解決等に取り組んだ 当時の主な課題 金融行政への信頼の回復 発足当時の検査 監督の方針

財政投融資 財政投融資とは 租税ではなく 有償資金 すなわち金利を付して返済しなければならない資金を用いて 民間では困難な大規模 超長期プロジェクトを実施したり 民間金融では困難な長期資金を供給したりすることにより 財政政策のなかで有償資金の活用が適切な政策分野に効率的 効果的に対応する仕組みです

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目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

資料 ( 文部科学省 ) 第 2 回国と地方のシステム WG 御説明資料 平成 29 年 3 月 6 日スポーツ庁提出資料

中小機構の概要 設立 : 平成 16 年 7 月 1 日 たかだ 中小機構の支援機能 ひろし 役職員 : 理事長高田坦史 ( 役員 13 名 職員 784 名 ) 主要拠点 : 本部 ( 東京 ) 地域本部 (9 地域本部 + 沖縄事務所 ) 中小企業大学校 (9 校 ) ~ 創業 新事業展開から成

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Microsoft PowerPoint - 平成22年度決算の概要(Ver2)

第 1 府令第 6 条第 1 項第 1 号に規定する法第 4 条および第 5 条の規定に基づく措置の実施に関する方針の概要 金融円滑化管理に対するする基本方針当組合は 中小企業者等に対する金融円滑化を図るための臨時措置に関する法律 を受け 最近の経済金融情勢および雇用環境も踏まえ 中小企業や個人事業

C o n t e n t s 1 日本政策金融公庫の概要 2 総裁メッセージ 4 プロフィール 5 主な業務 6 経営理念 7 業務運営計画 (2012 年度 2014 年度 ) 9 日本政策金融公庫の取組み 10 震災への対応 11 政策金融の実施 13 総合力を発揮したお客さまサービス向上の取

地方創生推進計画 地方創生推進計画 地域密着型金融推進計画 ( ちゅうしん持続的成長力発揮 29) 平成 27 年 7 月

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仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

店舗戦略現在 当行は神奈川県内に 34 ヶ店を展開しておりますが より一層お客さまが利用しやすい店舗とするために 店舗のリニューアルや提携 ATMの利用促進による既存店舗の機能強化や 各種専門チームの活用による効率的な販売チャネルの構築 強化などへの取り組みを行います 人財 組織戦略当行では 当行の

望の内容平成 30 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) ( 経済産業省中小企業庁経営支援部創業 新事業促進課 ) 制度名 産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定自治体における登録免許税の軽減措置の延長 税 目 登録免許税 ( 租税特別措置法第 80 条第

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概要 1. 概観 2. 中小企業向け事業分野における位置 3. 営業戦略 4. 要約 Seite 2

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なお 検証に当たっては 特に以下の点に留意する イ.~ニ.( 略 ) 改正後 なお 検証に当たっては 特に以下の点に留意する イ.~ニ.( 略 ) ( 新設 ) ホ. 経営に実質的に関与していない第三者と根保証契約を締結する場合には 契約締結後 保証人の要請があれば 定期的又は必要に応じて随時 被保

住宅融資事業においては 融資利率と借入利率との間に利子差益が生じており 平成 7 年度以降 横浜市に継続して寄附をしているが その総額は 666 億円に達し 事務費等を控除した事業開始以来の通算の損益を見ても 387 億円のプラスとなっている 2 融資債権の整理に向けた検討課題 (1) 債務者への配

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 4-5 福島 震災復興 租税特別措置等により達成しようとする目標 政策の達成目標と同じ 租税特別措置等による達成目標に係る測定指標 仮設施設の整備数 8 有効性等 政策目的に対する租税特別措置等の達成目標実現による寄与 東日本大震災で

様式 重点項目 産業を担う人材確保対策の推進 雇用情勢の改善を背景に 就職相談者の減少が見込まれる中にあっても 本県産業の持続的な発展を図るため 優れた人材を確保していく必要があることから 県内外の学生や若年者をはじめとした幅広い世代 UI ターン希望者に対するきめ細かな支援により 人材確保を図りま

1. 利益 年度の当期純利益 ( 単体 ) は 金利低下の影響等により資金利益が減少したものの 役務取引等利益や有価証券関係損益の増加などにより 前年比 4 億円増加し 億円となりました 年度 前年度比 コア業務粗利益 億円 億円 資金利益 うち貸出金利息 投信解約益 役務取引等利益 経 費 コア業

平成29年度     地域経済動向調査      調査報告書

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社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

独立行政法人中小企業基盤整備機構 第3期中期目標

1. 経営方針 (1) 業務環境 1) 山形県の景気動向山形県の景気は 設備投資の増加や個人消費の底堅い推移 雇用 所得環境の改善などを背景に 緩やかに拡大している 個人消費は乗用車販売は前年を下回ったが 百貨店やスーパー販売額はウエートの高い飲食料品が堅調に推移している 生産活動は 電子部品等が自

個信センター概要

目次 前経営強化計画の実績総括 3 基本戦略の概要 4 基本戦略 生産性の向上 5 収益力の強化 6 信用コストの削減 7 人材の活用 ネットワークの強化 8 経営の改善目標 9 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化 10 信用供与円滑化のための目標計数 11 責任ある経営体制の確立 12 2

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富士銀行

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

民間金融機関信用保証協会(中小企業事業)(52協会)(事業融資規模)予算措置 企業者保険契約 国 ( 損失補償 ) 保証契約 代位弁済 保険金 ( 概ね8 割を填補 ) 14 予算措置 ( 出資金 ) 回収金 ( 回収金の概ね 8 割 ) 回収金 保険料 保証料 保険料率 一般保証 =0.97%(

【事例】平成○年度○○カテゴリーに係る全体方針の策定

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住宅ローンの貸出実績

中小企業支援ツール 中小企業支援ツール は 金融機関における中小企業支援の一助となることを目的に 自社製品開発などにより下請脱却に取り組んだものづくり中小企業の知財活用を調査 分析し 経営 事業上の課題を事業ライフステージごとに整理するとともに その課題解決に向け 知財活用の観点から考えられるアクシ

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M&A投資の現場から

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により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

Transcription:

資料 2 成長資金の供給に向けた地方銀行の取組み - 地域密着型金融の推進を通じて - 2014 年 10 月 23 日 一般社団法人全国地方銀行協会

見た位置付け 効果等顧客 地域サイドから( 中小企業向け貸出増加 利回り改善 ) 位置付け 効果等1. 地域密着型金融の取組み経緯と成長資金の供給に向けた現状認識 1 地域密着型金融の推進は 不良債権問題への対応に向けた集中的 重点的期間を経て 平成 15~18 年度 平成 19~22 年度 平成 23 年度 ~ 恒久的な枠組みへと発展し 現在では ビジネスモデルの確立へと深化が求められている 銀 集中期間 重点期間 リレバンアクションプログラム 地域密着型金融アクションプログラム 恒久的対応 ライフサイクルに応じた支援 事業価値を見極める融資手法 持続可能な地域経済への貢献 ビジネスモデル確立に向けた改善 自主性 創造性の発揮 中長期的な視点に立ち組織全体として継続的に推進 経営陣の主導性発揮により 推進態勢を整備 充実 行サイドから見た過剰債務企業等を中心に経営改善 事業再生を図る中で 事業機会や雇用機会の維持に繋がる 企業倒産の減少等不良債権処理や信用コストの低下といった銀行財務の健全性向上として効果発現 不良債権比率低下 信用コスト減少等 地域密着型金融の推進は 過剰債務企業の再生や新陳代謝と同時に地域金融機関の財務の健全化へと繋がってきた 今後の地域密着型金融は 人口減少をはじめとする社会 経済構造の変化が本格化していく中で 取引先企業の成長 さらには地域経済の活性化へと繋げ 銀行自身の収益力強化にも繋げるといった成長課題の位置付けへと深化している 成長資金供給は重要な課題との認識

業価値退出企2. 地方銀行の成長資金の供給にかかる取組み実績 地域密着型金融の推進を通し ライフステージに応じた資金供給 アドバイス等の取組みは実績を着実に積み上げてきている 創業 新事業支援融資は 平成 23 と 25 年度の対比で 1.7 倍の伸長となっているが 地方銀行の中小企業向け貸出規模 ( 平成 25 年度末 69 兆円 ) に比し規模は小さく 一層の開拓余地 リスク管理債権比率の低下もあり 経営改善支援 事業再生における DES や DDS といった金融手法の活用は足元落着きつつある 低金利局面が継続する中 地方銀行全体の基礎的利益 ( コア業務純益 ) は低下傾向にあり 成長資金 リスクマネーの供給は リスクに見合う収益確保を前提に 銀行自身の収益力を高める上でも取組み強化を必要とする領域 創業期成長期成熟期衰退期再生期 2 3 承継ステージ H25 年度創業 新事業支援融資実績 655 億円 (23 年度比 1.7 倍 ) 1 創業ステージ 2 成長ステージ H25 年度ビジネスマッチング成約件数 39 千件 (23 年度比 1.6 倍 ) 経過年数 H25 年度事業承継相談件数 11 千件 (23 年度比 1.3 倍 ) H25 年度 DDS 実績 262 億円 (23 年度比 2.4 倍 ) 4 再生ステージ

案件発掘資金供給ノウハウ創業支援 ベンチャー支援経営改善 事業再生支援3. ライフステージに応じた支援にかかる課題と取組み事例 3 資金供給の拡大は 案件の発掘力に大きく影響を受け 起業家等との接点強化が重要 顕在化した新事業案件として民間金融機関に申込みされる事案は必ずしも多くなく 潜在的案件の掘起し活動を通じ 案件発掘に繋げていく工夫が必要 起業家精神の醸成 新事業開拓に向けた取組み機会の提供といった潜在需要者を喚起する取組みを充実させていく必要がある ( 会員行の取組み事例 ) 創業支援セミナーやビジネスプランコンテストの開催 技術 製品開発等に向けた取引先と大学 研究機関等との連携に向けたコーディネート 大手企業への技術提案会による共同事業化支援等 創業支援等とは異なり 既存取引先への対応となることから 日常的かつ継続的な取引先との関係強化に加え 経営目標や課題の把握 分析に関し 取引先との目線合わせが重要 経営課題に関する目線合わせ等に関しては 客観的な第三者を介在させ 共通認識を醸成する方法は有効 ( 会員行の取組み事例 ) 中小企業再生支援協議会との連携による経営改善 再生支援 中小企業 小規模事業者ビジネス創造等支援事業を活用した専門家派遣等 資金供給の拡大には 案件の持込みを受けて審査を行う取捨選択型の活動ではなく 構想段階から関与する案件形成型の活動がリスク管理上からも有効 計画策定関与による事業への深い理解 財務戦略アドバイスを通じた資金調達手法提案を通じ 効果的なコベナンツ設定や適正なプライシングにも繋がる メザニンやエクイティといった資金供給手法は 政府系金融機関や公的機関等との連携や協調支援を通じ 組織的にノウハウ蓄積を図っていく必要がある ( 会員行の取組み事例 ) 起業 創業支援に向けた地域プラットフォームの形成 REVIC や政府系金融機関とのファンド組成 政府系金融機関との協調融資の実行 経営改善や再生支援は 地域密着型金融の推進にかかる取組み初期から継続し強化してきており 金融手法のノウハウ蓄積が進んできた分野 再生等を担う人材の継続的な育成に加え 金融支援にとどまらない本業改善支援の充実が必要 その際 外部機関との連携は有効と考えられる ( 会員行の取組み事例 ) 地域再生ファンドの組成や REVIC 東日本大震災事業者再生支援機構等との連携による再生支援 政府系金融機関との協調融資の実行 REVIC からの特定専門家派遣の受入れ等 等 全国地方銀行協会では 上記のような活動事例を 地域密着型金融に関する取組み状況 として年に 1 度とりまとめ 会員銀行に対し情報還元を行うとともに 対外公表により利用者への情報提供を行い 業界をあげた取組み促進に繋げている

4. 成長資金の供給にかかる意見 ( まとめ ) 4 案件発掘に向けた取組み課題 地域経済の活性化 成長を支える使命を持つ地域金融機関として ベンチャー 創業支援 事業再生といった領域の資金供給は一層推進していく必要があり 案件発掘力の強化に向けた自己努力を重ねる ( 地域内外とのネットワーク拡充 産学官や公的金融機関との連携態勢の充実を含む ) 政府系金融機関との関係 ( 民業補完と民業圧迫 ) メザニンやエクイティといった資金供給手法を定着させていくには 地域金融機関においてノウハウ修得 蓄積を重ねる必要があるが この点で 公的金融機関 ( 日本政策投資銀行 商工中金 日本政策金融公庫 国際協力銀行等 ) との連携は有効 但し 資金供給において リスク対比のリターンを意識したプライシングがなければ ビジネスとして根付かないと考えられ 制度的枠組みにおいて改善の余地があるのではないか 例えば 政府系金融機関のみに限定された利子補給制度などは 当該適用金利に引きずられることで こうした資金供給にかかる市場形成が図られていくうえで適切なプライシング環境に影響を与えかねず 見直しの余地がある 地域金融機関がリスクマネーを供給していくうえでは 民間金融機関の収益力の底上げも重要であり ( リスク耐性への手当てにもなる ) 民間金融機関が取り組むコアの貸出市場といえる成長期 安定期のシニアローンにかかる健全な貸出市場の成長を図る必要がある このため 公的金融機関による補完を必ずしも要さない 成長期 安定期の資金供給に関し 民間金融機関は 事業性評価にもとづく融資の促進 不動産担保や個人保証に過度に頼らない融資の一層の取り組みを通じた市場形成を促しつつ 公的金融機関は民業圧迫とならない対応に留意していただく必要があるのではないか 民間貸出金利との大幅な乖離を背景に 民間金融機関で取組み可能な案件が公的金融機関へと流出している事例が見られる ( 民間貸出金利との乖離には 表面の適用金利だけでなく 顧客側が支払金利の一部に関し 利子補給制度を通じ軽減が図られているものを含む )

民業補完 民業圧迫事例 創業期 事例から見える特徴 政府系金融機関による資本性ローンや協調融資など 民間金融機関では対応しにくい創業期のリスクマネーの供給において 連携した取組みが拡がっている 成長期 成熟期 衰退期 衰退期において 資本性ローンや協調融資により財務面の強化や資金繰りの安定化に貢献している面もあるが 成長期や成熟期において 民間金融機関では対抗しえない条件提示や政策目的の範囲に照らし妥当性に疑問がある対応などの結果 競合する事例が多く見られる 再生期 政府系金融機関が円滑な再生手続きを阻害している対応が見られる一方 政策金融が呼び水となって民間金融機関からのリスクマネー供給を誘発し 再生局面において一定の信用補完効果が発揮された事例が見られる 今後の方向性 民業補完の拡充 民業補完の徹底 民業補完の拡充 5

< 参考 > 地方銀行の成長資金の供給にかかる取組み実績 6 1 創業ステージにかかる資金供給 2 成長ステージにかかる支援 出所 : 平成 25 年度の地方銀行における地域密着型金融に関する取組み状況 ( 平成 26 年 9 月全国地方銀行協会 ) 3 承継ステージにかかる支援 出所 : 平成 25 年度の地方銀行における地域密着型金融に関する取組み状況 ( 平成 26 年 9 月全国地方銀行協会 )

4 経営改善 再生ステージにかかる支援 7 5 地域密着型金融に関する地域金融機関に対する利用者評価 出所 : 地方銀行における地域密着型金融に関する取組み状況 ( 全国地方銀行協会 ) をもとに作成 ライフステージに応じた取引先支援に関する取組み姿勢に対する利用者の評価 ( 積極的 やや積極的 ) は 成長段階にある取引先支援 を中心に評価向上の傾向にあるが なお改善の余地 出所 : 地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果等の概要 ( 平成 26 年 8 月金融庁 )