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4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

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平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

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平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

審決取消判決の拘束力

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

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平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

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1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨 1 特許庁が無効 号事件について平成 25 年 5 月 9 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争い

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異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

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キューピー図形事件:東京高裁平成15(行ケ)192号平成15年10月29日判決(認容・審決取消)

平成  年(オ)第  号

令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

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丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

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達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

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年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

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Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

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平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

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平成 25 年 12 月 17 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 10 月 17 日 判 決 原告エイトマイハートイン コーポレイテッド 訴訟代理人弁護士 五十嵐 敦 出 田 真樹子 弁理士 稲 葉 良 幸 石 田 昌 彦 右

(イ係)

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

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淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

平成  年(行ツ)第  号

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1 A 所有の土地について A が B に B が C に売り渡し A から B へ B から C へそれぞれ所有権移転登記がなされた C が移転登記を受ける際に AB 間の売買契約が B の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で 当該登記の後に A により AB 間の売買契約が取り消された

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

11総法不審第120号

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

にした審決を取り消す 第 2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を レーザ加工方法, 被レーザ加工物の生産方法, およびレーザ加工装置, 並びに, レーザ加工または被レーザ加工物の生産方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体 とする特

税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

平成  年(あ)第  号

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本件は, 商標法 50 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である 1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等被告は, 下記の KIRIN の欧文字を横書きしてなり, 平成 19 年 6 月 25 日に出願され, 第 35 類 酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧

事実及び理由 第 1 原告の求めた裁判特許庁が無効 号事件について平成 27 年 1 月 6 日にした審決のうち, 登録第 号の指定役務中 第 42 類ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供, オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラ

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

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2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

11総法不審第120号

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第 2 事案の概要本件は, 原告が有する下記商標登録 ( 本件商標 ) について, 被告が行った商標法 51 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求に対し, 特許庁がこれを認容する審決をしたことから, 原告がその審決の取消しを求めた事案である 争点は,1 原告による下記の本件使用商標 1 及び2(

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第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

求める事案である 1 本件商標被告は, 平成 17 年 3 月 7 日, rhythm の文字を横書きしてなる商標 ( 以下 本件商標 という ) について, 第 25 類 履物, 乗馬靴 を指定商品として, 商標登録出願し, 同年 9 月 16 日に設定登録を受けた ( 登録第 号

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ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

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平成 25 年 5 月 30 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 4 月 25 日 判 決 原告 X 訴訟代理人弁理士田中聡 被告東洋エンタープライズ株式会社 訴訟代理人弁理士野原利雄 主 文 原告の請求を棄却する 訴訟費用は原

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

民事訴訟法

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平成 11 年 ( 行ケ ) 第 240 号審決取消請求事件 ( 平成 11 年 12 月 8 日口頭弁論終結 ) 判決原告寒梅酒造株式会社代表者代表取締役 A 訴訟代理人弁護士吉村仁同弁理士 B 被告鷹正宗株式会社代表者代表取締役 C 訴訟代理人弁護士有賀信勇同弁理士 D 主文原告の請求を棄却する 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 当事者の求めた判決 1 原告特許庁が 平成 10 年審判第 35647 号事件について 平成 11 年 6 月 4 日にした審決を取り消す 訴訟費用は被告の負担とする 2 被告主文と同旨第 2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯被告は 別添審決書写し別紙 (1) 記載のとおりの構成よりなり 第 33 類 日本酒 洋酒 果実酒 中国酒 薬味酒 を指定商品とする登録第 3369856 号商標 ( 平成 6 年 11 月 7 日登録出願 平成 10 年 7 月 24 日設定登録 以下 本件商標 という ) の商標権者である 原告は 平成 10 年 12 月 18 日 被告を被請求人として 本件商標の登録を無効とする旨の審判の請求をした 特許庁は 同請求を平成 10 年審判第 3564 7 号事件として審理した上 平成 11 年 6 月 4 日 本件審判の請求は成り立たない との審決をし その謄本は 同年 6 月 30 日 原告に送達された 2 審決の理由審決は 別添審決書写し記載のとおり 1 本件商標が 同写し別紙 (2) 記載のとおりの構成よりなり 第 38 類 清酒 ( 旧商標法施行規則 ( 大正 10 年農商務令第 36 号 )15 条の規定による商品類別の区分による ) を指定商品とする登録第 45256 号商標 ( 明治 24 年 3 月 16 日登録 第 3611 号更新 明治 44 年 2 月 15 日出願 同年 3 月 23 日設定登録 その後 5 回にわたり存続期間の更新登録がなされ 平成 3 年 5 月 29 日更新登録 以下 引用 A 商標 という ) 同別紙(3) 記載のとおりの構成よりなり 第 38 類 清酒 ( 前同 ) を指定商品とする登録第 380356 号商標 ( 昭和 23 年 7 月 7 日登録出願 昭和 24 年 12 月 20 日設定登録 その後 3 回にわたり存続期間の更新登録がなされ 平成元年 12 月 19 日更新登録 以下 引用 B 商標 という ) 及び同別紙 (4) 記載のとおりの構成よりなり 第 28 類 清酒 ( 平成 3 年政令第 299 号による改正前の商標法施行令の区分による ) を指定商品とする登録第 1010683 号商標 ( 昭和 45 年 11 月 20 日登録出願 昭和 48 年 4 月 26 日設定登録 その後 2 回にわたり存続期間の更新登録がなさされ 平成 5 年 5 月 28 日更新登録 以下 引用 C 商標 という ) と類似するから 商標法 4 条 1 項 11 号の規定に違反して登録されたものであり 同法 46 条 1 項の規定により その登録を無効とすべきであるとの請求人 ( 注 本訴原告 ) の主張について 本件商標と引用各商標とは 外観 称呼及び観念のいずれにおいても 互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であるとし 2 請求人の所有する引用各商標における 寒梅 は 全国的に知られており 本件商標のように 筑後の の文字を 寒梅 の文字の頭に冠して酒類を販売するとなれば 取引者 需要者間においてその商品の出所についての混乱を生じ 請求人の業務に係る商品である清酒 寒梅 と混同を生じるから 本件商標は 商標法 4 条 1 項 15 号の規定に違反して登録されたものであり 同法 46 条 1 項の規定により その登録を無効とすべきであるとの請求人の主張について 被請求人が本件

商標をその指定商品に使用しても これに接する取引者 需要者は 請求人あるいは同人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように その商品の出所について混同を生じるおそれはないとし 本件商標が 商標法 4 条 1 項 11 号及び 15 号のいずれにも違反して登録されたものということができないから 同法 46 条 1 項の規定により その登録を無効とすることはできないとした 第 3 原告主張の取消事由の要点審決の理由中 本件商標及び引用各商標の構成及び指定商品に関する認定 ( 審決書 2 頁 2~24 行 ) 当事者の主張の認定 無効理由についての判断の一部 ( 審決書 10 頁 1~3 行 10 頁 23 行 ~11 頁 7 行 ) は いずれも認める 審決は 本件商標が 引用各商標とは 互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であると誤って判断する ( 取消事由 1) とともに 本件商標をその指定商品に使用しても これに接する取引者 需要者は 原告あるいは原告と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように その商品の出所について混同を生じるおそれはないと誤認した ( 取消事由 2) ものであるから 違法として取り消されるべきである 1 類似判断の誤り ( 取消事由 1) 1 審決が 本件商標について 全体をもって称呼しても 淀みなく一連に称呼し得るものである ( 審決書 10 頁 7~8 行 ) と判断したことは誤りである なぜなら 本件商標 筑後の寒梅 から生じる チクゴノカンバイ の称呼は 冗長であり かつ 筑後 が産地 販売地表示であって 格助詞 の が存在することから ここで分断され 筑後の を省略して カンバイ と称呼されるからである そもそも 商標法 3 条 1 項 3 号は 産地 販売地 の表示ととられる商標を 自他商品の識別性がなく登録できない旨規定している そして 産地 販売地 プラス ある言葉 の商標については ある言葉 の部分に自他商品の識別性が存在する場合には ある言葉 の部分が要部となり登録性を有するものの 産地 販売地 の部分に自他商品の識別性がないため 当該 ある言葉 の商標と同一又は類似のものと取り扱われている 判例も 牛込西勘 と ( 本家 ) 西勘 ( 東京高等裁判所昭和 27 年 5 月 30 日判決 行裁例集 3 巻 4 号 784 頁 ) 池袋明治屋 と 明治屋 ( 東京地方裁判所昭和 36 年 11 月 15 日判決 判例時報 289 号 34 頁 ) 東京阿武隈 と 阿武隈川 ( 東京高等裁判所昭和 40 年 2 月 11 日判決 判例タイムズ 174 号 199 頁 ) 東京山形屋海苔店 と 山形屋海苔店 ( 東京地方裁判所昭和 57 年 6 月 16 日判決 無体財産例集 14 巻 2 号 418 頁 ) 白山雲龍 と 雲龍 ( 東京高等裁判所平成 3 年 11 月 18 日判決 判例時報 1410 号 107 頁 ) 京の柿茶 と 柿茶 ( 東京高等裁判所平成 8 年 1 月 18 日判決 判例時報 1562 号 116 頁 ) 尾張の寒梅 と 寒梅 ( 東京高等裁判所平成 10 年 6 月 25 日判決 平成 10 年 ( 行ケ ) 第 86 号 以下 別件判決 という ) 越乃立山 と 立山 ( 東京高等裁判所平成 11 年 3 月 18 日判決 判例時報 1679 号 140 頁 ) の事案において 産地 販売地 プラス ある言葉 の商標が 当該 ある言葉 の商標と同一又は類似の関係にあると判示しており その外にも地名に自他商品の識別性がないとした判例は多い ( 最高裁判所第 3 小法廷昭和 54 年 4 月 10 日判決 裁判集民事 126 号 507 頁 最高裁判所第 1 小法廷昭和 61 年 1 月 23 日判決 判例時報 1186 号 131 頁 東京高等裁判所平成 9 年 11 月 11 日判決 判例時報 1640 号 155 頁 ) 2 また 審決が 商品 日本酒 については 一般に原料 ( 米 ) の産地により味や品質が異なると認識されている ( 審決書 10 頁 9~10 行 ) と判断したことも誤りである すなわち 日本酒の味については 原料米の種類以外にも 精米歩合の高低 洗米のノウハウ 蒸米のノウハウ 使用麹 ( こうじ ) 使用酒母 使用酵母 醪 ( もろみ ) の発酵管理 搾りの程度 火入れのノウハウ等といった種々の要因が影響しており 特に 麹 酒母 醪が 味に影響を及ぼす三大要因なのである しかも 例えば 山田錦 という日本酒の原料米は 各地の蔵元が使用していることからも明らかなように 各産地特有の原料米銘柄があるわけではなく 同一銘柄米の産地差異よりも 異種銘柄米の差異の方が味の点で大きく相違するのである また 品質についても 全国的に統一された品質の表示基準が存在しており 純米酒 大吟醸酒 等の特定名称の表示により品質を表しており 産地や商標中の地名表示部分とは無関係である 商標法は 商標中に含まれる地名部分につ

いて 真実の かつ 産地を表示しなければならない義務を負わせるものではなく 実際にも真実の産地を表示していない例が存在する 審決の上記判断が仮に正しいとすれば 本件商標については その指定商品がすべて 筑後産の という品質により他と区分されることになってしまう 3 したがって 本件商標 筑後の寒梅 は 分断されて把握され その地名部分である 筑後 に自他商品の識別性はないのであるから 引用商標 寒梅 と同一又は類似であるにもかかわらず 審決が 本件商標について 構成中の 寒梅 の文字部分のみが独立して自他商品の識別機能を果たすものとはいえず 全体をもって一体不可分のものと認識し 把握されるものというのが相当である してみると 本件商標よりは その構成文字に相応して チクゴノカンバイ ( 筑後において寒中に咲く梅 ) の称呼 観念のみを生ずるものといわなければならない ( 審決書 10 頁 16~22 行 ) と判断したことも誤りである なお 旧国名 プラス 寒梅 の構成文字よりなる商標に関する審判事件 ( 平成 8 年審判第 7364 号事件 ) の審決について 本件の審決が 東京高等裁判所での審決取消請求事件 ( 平成 10 年 ( 行ケ ) 第 86 号 )( 注 前記別件訴訟 ) において 被告が出頭しないため請求原因事実を自白したものとみなされて審決を取り消した判決に基づき審理したものであるから 必ずしも事案を同じくするものとはいい難く ( 審決書 11 頁 25 行 ~12 頁 4 行 ) と判断したことも誤りである なぜなら 被告が出頭しない場合のいわゆる欠席判決は 事実関係について自白したものとみなされるが 法的評価である 商標の類否判断 については 自白の対象外だからである 2 商品出所の混同についての誤認 ( 取消事由 2) 審決が 引用各商標が 本件商標の登録出願の時 ( 平成 6 年 11 月 7 日 ) に既に取引者 需要者間に広く認識されるに至っていたことを立証すべき具体的な証拠 を何ら提示していない これが本件商標の登録出願時に すでに取引者 需要者間に広く認識されるに至っていたものとは認め難く ( 審決書 12 頁 22 行 ~13 頁 7 行 ) と判断したことは 法律の条文についての誤りである すなわち 仮に 原告 ( 審判請求人 ) の主張が 商標法 4 条 1 項 10 号を根拠とするものであれば 需要者間に広く認識され ているか否か 及びその事実の立証が問題となるであろうが 原告の主張は 同法 4 条 1 項 15 号を根拠とするものであり この条文の構成要件からみて 混同を生じるおそれ があるか否かが主張立証の対象であり 需要者間に広く認識され ているか否か は無関係である 仮に 需要者の間に広く認識されていない 場合であっても 両商標に 混同を生じるおそれ があれば 同法 4 条 1 項 15 号に該当するものである そして 本件の場合 審判甲第 7 第 8 号証が示すように 現実の混同が生じている以上 混同を生じるおそれが存在していることは明らかである 第 4 被告の反論の要点審決の認定判断は正当であり 原告の主張の取消事由はいずれも理由がない 1 取消事由 1 について 1 商標の類否判断においては 当該商品の具体的な取引状況に基づいて 商標を総合的 全体的に考察すべきものとされており 外観 観念 称呼等の類否も 商品の出所の誤認混同を推測させる一応の基準にすぎないものとされる 原告のように 一体性をもった 1 つの商標を殊更に分解して どの部分が識別機能を有するのか 要部とは何かを論じるのは 本末転倒であり 事の本質を見誤るものといえる しかも 当該商品業界の取引状況を何ら考慮することなく 一律に 地域 地名の表示は 産地 販売地の表示にすぎず 要部となり得ないとするのは 余りにも画一的である なお 原告が引用する判例は 地名部分とその余の部分との結び付きの緊密性や取引者 需要者の地名部分に対する着目の度合い 地名部分の有無による観念の変化の有無程度等につき事案を異にし あるいは 審理を異にするものであって 本件に適切ではない 2 日本酒にあっては ある商品が複数の生産地を有すること あるいは複数の産地を表示することは 極めて希有なことであり 標章に挿入された地域地区の表示は 他の記載と一体となって 商品を識別する上で 他種商品以上に重要な比重を占めており 商標の主要な構成部分をなす場合が多いといえる すなわち 日本酒について 取引者 需要者の間において その産地と結び付けた表現が日常頻繁に用いられていることは公知の事実であり 当該地名は産地を表しているものと認識され その地名に着目することから 地名の部分も自他商品の

識別機能を果たしているものといえる 現実にも 日本酒においては 地名プラス語句 の商標が多数使用されており 地名プラス寒梅 をみても 越乃寒梅 飛騨の寒梅 宮寒梅 京の寒梅 周防寒梅 豊の寒梅 三重の寒梅 等多数の標章が存在しており このうち 越乃寒梅 ( 新潟県 石本酒造株式会社 ) が圧倒的に著名であることは 周知の事実である 3 したがって 審決が 本件商標と引用各商標とは 外観 称呼及び観念のいずれにおいても 互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない ( 審決書 11 頁 16~18 行 ) と判断したことに誤りない 2 取消事由 2 について本件商標を付した商品が 原告商品と誤認混同を生じているとの主張は否認する 第 5 当裁判所の判断 1 取消事由 1( 類似判断の誤り ) について 1 審決の理由中 本件商標及び引用各商標の構成及び指定商品に関する認定 ( 審決書 2 頁 2~24 行 ) 本件商標と引用各商標が 外観上明らかに区別し得る差異を有すること ( 同 10 頁 1~3 行 ) 引用各商標が その構成及び文字に相応して カンバイ ( 寒中に咲く梅 ) の称呼 観念を生じるものであること ( 同 10 頁 23 行 ~11 頁 7 行 ) は いずれも当事者間に争いがない 2 本件商標 筑後の寒梅 は 全体が同一の書体 大きさ 間隔をもって外観上まとまりよく一連に横書きされたものであり 全体が一つのまとまりのある標章として認識される ところで 商品 日本酒 について その取引者 需要者の間で 例えば 秋田の酒 新潟の酒 土佐の酒 というような その産地と結び付けた表現が日常頻繁に用いられていること また 日本酒の実際の銘柄名に地名を含むものが多くあることは いずれも公知の事実であり これらの事実に照らして 取引者 需要者は 一般にその産地によって日本酒の味や品質に相違があるものと認識していることが推認される 仮に 原告の前示主張のとおり 現実には 日本酒の味や品質が 産地と直接関係のない要因によって決定される度合いが大きいとしても そのことと 取引者 需要者が一般に右のような認識を有していることとは別異の事柄であり かつ 前者の事実が後者の事実を覆すに足りるものともいえない したがって 日本酒の名称に地名が含まれている場合に その取引者 需要者は 通常 その地名が当該日本酒の産地名を表示しているものと認識し かつ その地名に着目するものと推認できるのであるから その地名部分は 取引者 需要者の注意を惹く部分として要部となり得るものであり かつ 他の部分 ( 地名部分が要部となるからといって 他の部分が要部とならないものではないことはいうまでもない ) と相俟って自他商品識別機能を果たし得るものと認めることができる 3 これらのことからすると 本件商標は 筑後の の文字部分を含んでその全体が自他商品識別機能を果たしているものと認められるから その全体によって外観の観察を行うべきであり また その全体の構成に応じて チクゴノカンバイ との称呼を生じ さらに その全体の構成に応じて 筑後において寒中に咲く梅 との観念を生じるものと認められ この点に関する審決の認定判断 ( 審決書 10 頁 4~22 行 ) に誤りはない また 以上の認定説示に照らして 本件商標から生じる チクゴノカンバイ の称呼が冗長であり かつ 筑後 が産地 販売地表示であって 格助詞 の が存在することから ここで分断され 筑後の を省略して カンバイ と称呼される旨の原告の主張 本件商標が分断されて把握され その地名部分である 筑後 に自他商品の識別性はないから 引用商標と同一又は類似である旨の主張が いずれも採用できないことは明らかである さらに 原告は 産地 販売地 プラス ある言葉 の商標が 当該 ある言葉 の商標と同一又は類似の関係にあると判示した裁判例 あるいは 地名に自他商品の識別性がないと判示した裁判例があると主張する しかし 事案 ( 例えば 当該指定商品において地域地名の相違が占める重要性 地名部分とその余の部分との結び付きの緊密性 取引者 需要者の地名部分に対する着目の度合い 地名部分の有無による観念の変化の有無程度等 ) や 審理の経過

を異にする他の裁判例が 直ちに本件に適切であるということはできず これらの裁判例は いずれも本件商標に関する前示判断を左右するに足るものでないことが明らかである 以上のとおりであるから 審決が 本件商標より生じる チクゴノカンバイ の称呼と 引用各商標より生じる カンバイ の称呼とを比較するに 両称呼は その構成音数を著しく異にするものであるから 称呼上相紛れるおそれのないものである さらに 本件商標よりは 筑後において寒中に咲く梅 の意味合いを 他方 引用各商標よりは 寒中に咲く梅 の意味合いを生ずるものであるから 両者は 観念においても明らかに相違するものである してみれば 本件商標と引用各商標とは 外観 称呼及び観念のいずれにおいても 互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない ( 審決書 11 頁 8~18 行 ) と判断したことに誤りはない 2 取消事由 2( 商品出所の混同についての誤認 ) について原告は 審決が 引用各商標について 本件商標の登録出願の時に 取引者 需要者間に広く認識されるに至っていたとは認められないと判断した ( 審決書 12 頁 22 行 ~13 頁 7 行 ) ことが 商標法 4 条 1 項 10 号に関する判断であり 本件のように同法 4 条 1 項 15 号を根拠とする請求については 法律の条文についての誤りであると主張する しかし 審決の当該箇所は 本件商標と引用各商標との間で 商品の出所についての混同を生じるおそれがあるか否かを判断するための前提となる事情の 1 つとして 引用各商標が 一般の取引者 需要者間にどの程度認識されていたかを検討し これが需要者の間に広く認識されているとはいえない以上 混同を生じるおそれも認められないと判断したものであることが明らかであるから 原告の主張は失当であってこれを採用する余地はない そして 原告は 本件訴訟手続において 本件商標を付した商品と引用各商標を付した商品との間で 現実の混同が生じていること あるいは 混同を生じるおそれが存在していることについて 何ら立証を行わない以上 これらの事実が認められないことは当然である したがって 審決が 本件商標をその指定商品に使用しても これに接する取引者 需要者は 請求人或いは同人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない ( 審決書 13 頁 10~14 行 ) と判断したことに誤りはない 3 以上によれば 審決の判断は正当であって 原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく 他に審決を取り消すべき瑕疵はない よって 原告の本訴請求は理由がないから これを棄却することとし 訴訟費用の負担につき 行政事件訴訟法 7 条 民事訴訟法 61 条を適用して 主文のとおり判決する 東京高等裁判所第 13 民事部 裁判長裁判官 裁判官 田中康久 石原直樹 裁判官清水節